【実施例】
【0031】
本発明に係る野菜果実混合飲料の詳細は、以下の実施例によって説明されるが、これらの実施例によって、本発明に係る特許請求の範囲は限定されない。
【0032】
<レモンピールペーストの製造方法>
実施例で配合される果実の果皮加工物は、レモン由来である。当該レモンの果皮は、レモンピールペーストとして配合された。レモンピールペーストは、以下の工程にて製造した。まず、生のレモンを剥皮し、フラベド(外果皮)とアルベド(中果皮)を含む部位を回収した。当該部位270gに対して水340gを加え、ミキサーにて破砕し、レモンピールペーストを得た。
【0033】
<実施例1乃至5>
実施例1乃至5において配合する原料は、市販の人参濃縮汁(Brix=39.6、糖酸比=22.4)、市販の透明人参濃縮汁(Brix=58.1、糖酸比=19.2)、市販のりんご透明濃縮果汁(Brix=70.0、糖酸比=51.4)、市販のりんごピューレ(Brix=31.3、糖酸比=30.6)、市販のレモン濃縮果汁(Brix=51.5、糖酸比=1.29)、前述のレモンピールペースト(Brix=3.4、糖酸比=25.4)、クエン酸(和光純薬工業株式会社製)、異性化液糖(王子コーンスターチ株式会社製)である。異性化液糖を除くこれらの原料を表1の通りそれぞれ配合し、加水して混合し、実施例1乃至5のベースとなる調合液を得た。得られた調合液の糖酸比と糖度を測定し(測定結果:Brix=8.0、糖酸比=12.0)、同等の酸度となるようにクエン酸を加えて調整した異性化液糖を、表2に示す各実施例の糖度及び糖酸比となるように添加した。得られた調合液を加熱して95℃到達直後にPETボトルに充填した。充填後のPETボトルを5分程度放置してから水冷した。得られたサンプルは、それぞれ糖度及び酸度の測定並びに官能評価に供した。糖度及び酸度の測定値は、表2に示す。
【0034】
<比較例1乃至5>
比較例1乃至5において配合する原料は、レモンピールペーストを配合しないこと以外は、実施例1乃至5と同様である。異性化液糖を除くこれらの原料を表1の通りそれぞれ配合し、加水して混合し、比較例1乃至5のベースとなる調合液を得た。得られた調合液の糖酸比と糖度を測定し(測定結果:Brix=8.0、糖酸比=12.0)、同等の酸度となるようにクエン酸を加えて調整した異性化液糖を、表2に示す各比較例の糖度及び糖酸比となるように添加した。得られた調合液を加熱して95℃到達直後にPETボトルに充填した。充填後のPETボトルを5分程度放置してから水冷した。得られたサンプルは、それぞれ糖度及び酸度の測定並びに官能評価に供した。糖度及び酸度の測定値は、表2に示す。
【0035】
<実施例6>
実施例6において配合する原料は、クエン酸及び異性化液糖を配合しないこと以外は、実施例1乃至5と同様である。これらの原料を表1の通りそれぞれ配合し、加水して混合した。得られた調合液を加熱して95℃到達直後にPETボトルに充填した。充填後のPETボトルを5分程度放置してから水冷した。実施例6は、野菜及び果実の原料のみで実現したものある。得られたサンプルは、糖度及び酸度の測定並びに官能評価に供した。糖度及び酸度の測定値は、表2に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
<Brixの測定方法>
本測定で採用したRIの測定器は、屈折計(NAR−3T ATAGO社製)である。測定時の品温は、20℃であった。
【0038】
<酸度の測定方法>
本測定で採用した酸度の算出方法は、0.1N水酸化ナトリウム標準液を用いた滴定法であり、滴定値よりクエン酸当量に換算して算出した。
【0039】
<官能評価>
実施例1乃至6及び比較例1乃至5の官能評価において評価した項目は、「適度な甘味」、「甘さのキレ」、「濃厚感」である。評価において採用したのは、評点法である。本発明に係る野菜果実混合飲料において、「適度な甘味」と「甘さのキレ」は、過度な甘味が抑制されたかどうかの主たる指標である。「適度な甘味」は、甘味と酸味のバランスに関する指標であって、バランスが崩れるとどちらかが強く感じてしまう。「甘さのキレ」は、甘味の後残りに関する指標であって、キレが悪いと甘味の後残りが発生し、すっきりとした味わいを妨げる。「濃厚感」は、飲料の飲み応えに関する指標であって、薄く感じるものは飲料として不適である。
【0040】
「適度な甘味」は、適度な甘味と酸味を感じることで、甘さが気にならないものが高い評点となる。一方、酸味又は甘味のどちらかが強く感じるようになるにつれて低い評点となる。評価基準は以下の通りである
1点:甘味しか感じない
2点:甘味を非常に強く感じる
3点:甘味を強く感じる
4点:甘味を少し強く感じる
5点:適度な甘味と酸味を感じる
4点:酸味を少し強く感じる
3点:酸味を強く感じる
2点:酸味を非常に強く感じる
1点:酸味しか感じない
なお、本発明に係る野菜果実混合飲料においては、4点乃至5点を甘すぎない好ましいものとする。
【0041】
「甘さのキレ」は、飲用後の後味への甘味の後残りを指す。甘味の後残りが少ないほど高い評点となる。一方、後味に尾を引く感じで後残りがあるほど低い評点である。なお、「どちらでもない」は、キレが良いとも悪いとも判断がつかない状態を指すものである。評価基準は、以下のとおりである。
1点:キレがとても悪い
2点:キレが悪い
3点:どちらでもない
4点:キレが良い
5点:キレがとても良い
なお、本発明に係る野菜果実混合飲料においては、4点乃至5点をすっきりとした好ましいものとする。
【0042】
「濃厚感」は、味に厚みがあり、濃厚に感じるものほど高い評点である。一方、味に厚みがなく、薄く感じるものほど、低い評点である。なお、「どちらでもない」は、濃厚とも薄いとも判断がつかない状態を指すものである。評価基準は、以下のとおりである。
1点:とても薄く感じる
2点:薄く感じる
3点:どちらでもない
4点:濃厚に感じる
5点:とても濃厚に感じる
なお、本発明に係る野菜果実混合飲料においては、1点乃至2点は、味が薄く、飲料として不適であるものとする。
【0043】
評価は、訓練された専門パネル10名で行った。評価結果は、表2のとおりである。なお、表2に示す評点は、平均点を求め、四捨五入した値である。
【0044】
【表2】
【0045】
表2によれば、実施例2乃至4及び実施例6は、主たる指標である「適度な甘味」と「甘さのキレ」の2つの評点が共に良好であり、過度な甘味が抑えられた野菜果実混合飲料であった。果実の果皮加工物を配合していない比較例2乃至5は、「適度な甘味」と「甘さのキレ」のどちらかの評点が低かった。つまり、糖酸比が12.0以上の野菜果実混合飲料は、過度な甘味を抑制することができないことがわかる。比較例2乃至5のように糖酸比が12.0乃至19.0、且つ糖度が9.4度乃至12.7度を有する野菜果実混合飲料は、従来から市場に存在するものである。一方、実施例2乃至4は、果実の果皮加工物を配合することで、過度な甘味が抑えられ、適度な甘味と酸味を感じるため、甘さが気にならず、さらにはすっきりとした味であった。つまり、糖酸比の範囲が14.0乃至17.0の野菜果実混合飲料は、果実の果皮加工物を配合することで、過度な甘味が抑制できた。また、同等の糖酸比及び糖度を有し、その違いが果実の果皮加工物の配合の有無である実施例と比較例(実施例2と比較例2、実施例3と比較例3、実施例4と比較例4)を比較しても、果実の果皮加工物を配合した実施例2乃至4は、「適度な甘味」と「甘さのキレ」の両方の評点が優れており、過度な甘味の抑制効果が得られていることがわかる。「濃厚感」は、果実の果皮加工物の配合に関わらず、実施例1及び比較例1で評点が低かった。本飲料において、糖度が9.4度以上であることが好ましい。したがって、実施例2乃至4のような糖酸比が14.0乃至17.0の野菜果実混合飲料であって、糖度が9.4度以上のものは、過度な甘味が抑えられ、且つ薄くない味を呈する。実施例6は、実施例3と同等の糖酸比、糖度を野菜及び果実の原料のみで実現したものであるが、実施例3と同様に果実の果皮加工物による効果が得られた。
【0046】
<実施例7乃至12>
実施例7乃至12において配合する原料は、市販の人参濃縮汁(Brix=43.0、糖酸比=19.7)、市販の透明人参濃縮汁(Brix=62.2、糖酸比=15.0)、市販のりんご透明濃縮果汁(Brix=70.2、糖酸比=42.2)、市販のりんごピューレ(Brix=32.2、糖酸比=33.5)、市販のレモン濃縮果汁(Brix=58.4、糖酸比=1.40)、前述のレモンピールペースト(Brix=3.4、糖酸比=25.4)、クエン酸(和光純薬工業株式会社製)、異性化液糖(王子コーンスターチ株式会社製)である。異性化液糖を除くこれらの原料を表3の通りそれぞれ配合し、加水して混合し、実施例7乃至12のベースとなる調合液を得た。得られた調合液の糖酸比と糖度を測定し(測定結果:Brix=8.0、糖酸比=15.4)、クエン酸及び異性化液糖を、表4に示す各実施例の糖度及び酸度となるように添加した。得られた調合液を加熱して95℃到達直後にPETボトルに充填した。充填後のPETボトルを5分程度放置してから水冷した。得られたサンプルは、それぞれ糖度及び酸度の測定並びに官能評価に供した。糖度及び酸度の測定値は、表4に示す。糖度及び酸度の測定は、前述の通り行った。また、官能評価も、専門パネルの人数以外は、前述の通り行った。なお、官能評価は、訓練された専門パネル12名で行った。官能評価結果は、表4の通りであり、表4に示す評点は、平均点を求め、四捨五入した値である。
【0047】
<比較例6乃至10>
比較例6乃至10において配合する原料は、レモンピールペーストを配合しないこと以外は、実施例7乃至12と同様である。異性化液糖を除くこれらの原料を表3の通りそれぞれ配合し、加水して混合し、比較例6乃至10のベースとなる調合液を得た。得られた調合液の糖酸比と糖度を測定し(測定結果:Brix=8.0、糖酸比=15.4)、クエン酸及び異性化液糖を、表4に示す各比較例の糖度及び酸度となるように添加した。得られた調合液を加熱して95℃到達直後にPETボトルに充填した。充填後のPETボトルを5分程度放置してから水冷した。得られたサンプルは、それぞれ糖度及び酸度の測定並びに官能評価に供した。糖度及び酸度の測定値は、表4に示す。糖度及び酸度の測定は、前述の通り行った。また、官能評価も、専門パネルの人数以外は、前述の通り行った。なお、官能評価は、訓練された専門パネル12名で行った。官能評価結果は、表4の通りであり、表4に示す評点は、平均点を求め、四捨五入した値である。
【0048】
【表3】
【0049】
【表4】
【0050】
<実施例13>
実施例13において配合する原料は、市販の人参濃縮汁(Brix=43.0、糖酸比=19.7)、市販の透明人参濃縮汁(Brix=62.2、糖酸比=15.0)、市販のりんご透明濃縮果汁(Brix=70.2、糖酸比=42.2)、市販のりんごピューレ(Brix=32.2、糖酸比=33.5)、市販の濃縮レモンコミュニーテッド果汁(Brix=24.0、糖酸比=3.0)、クエン酸(和光純薬工業株式会社製)である。前述の濃縮レモンコミュニーテッド果汁は、約20%のレモン果皮を含むものである。これらの原料を表5の通りそれぞれ配合し、加水して混合した。得られた調合液を加熱して95℃到達直後にPETボトルに充填した。充填後のPETボトルを5分程度放置してから水冷した。得られたサンプルは、糖度及び酸度の測定並びに官能評価に供した。糖度及び酸度の測定値は、表6に示す。糖度及び酸度の測定は、前述の通り行った。また、官能評価も、専門パネルの人数以外は、前述の通り行った。なお、官能評価は、訓練された専門パネル12名で行った。官能評価結果は、表6の通りであり、表6に示す評点は、平均点を求め、四捨五入した値である。
【0051】
<比較例11>
比較例11において配合する原料は、濃縮レモンコミュニーテッド果汁の代わりに市販のレモン濃縮果汁(Brix=58.4、糖酸比=1.40)を配合すること以外は、実施例13と同様である。これらの原料を表5の通りそれぞれ配合し、加水した。得られた調合液を加熱して95℃到達直後にPETボトルに充填した。充填後のPETボトルを5分程度放置してから水冷した。得られたサンプルは、糖度及び酸度の測定並びに官能評価に供した。糖度及び酸度の測定値は、表6に示す。糖度及び酸度の測定は、前述の通り行った。また、官能評価も、専門パネルの人数以外は、前述の通り行った。なお、官能評価は、訓練された専門パネル12名で行った。官能評価結果は、表6の通りであり、表6に示す評点は、平均点を求め、四捨五入した値である。
【0052】
【表5】
【0053】
【表6】