(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記供給選択部は、前記洗浄液及び前記乾燥気体のいずれか一方の前記ノズルへの供給を停止させ、いずれか他方の前記ノズルへの供給を開始することを特徴とする請求項1に記載の医療・介護用容器の処理装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述したような再利用可能な容器を洗浄する洗浄装置において、再利用可能な容器を洗浄した場合、洗浄液(水滴)が該容器に付着したままとなる。このような水滴が付着した再利用可能な容器は、菌が繁殖しやすい状態となるため、洗浄後に該水滴をできるだけ早く拭き取る必要があり、煩雑である。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、洗浄した再利用可能な容器に付着した水滴を蒸発させやすくすることができる医療・介護用容器の洗浄装置及び処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の医療・介護用容器の洗浄装置は、洗浄液が供給されるチャンバと、前記チャンバ内に位置し、前記洗浄液を噴射して再利用可能な容器を洗浄するノズルと、前記再利用可能な容器を乾燥させる乾燥気体を前記チャンバ内に供給する送風器と、を備える。
【0008】
本発明では、ノズルから噴出した洗浄液により洗浄された再利用可能な容器に、送風器からチャンバ内に供給された上記乾燥気体が供給され、再利用可能な容器が乾燥されるので、該容器に付着した洗浄液(水滴)を蒸発させやすくできる。
【0009】
本発明の洗浄装置の好ましい態様としては、前記洗浄液を前記ノズルに供給する第1供
給部と、前記乾燥気体を前記ノズルに供給する第2供給部と、前記洗浄液及び前記乾燥気体の前記ノズルへの供給を制御する供給選択部と、を備えるとよい。
上記態様では、供給選択部の制御により第1供給部からの洗浄液及び第2供給部からの乾燥気体のそれぞれをノズルに自在に供給できる。また、乾燥気体を供給する構成をチャンバ内に別途設ける必要がないので、チャンバ内により多くの再利用可能な容器を収容できる。
【0010】
本発明の洗浄装置の好ましい態様としては、前記供給選択部は、前記洗浄液及び前記乾燥気体のいずれか一方の前記ノズルへの供給を停止させ、いずれか他方の前記ノズルへの供給を開始するとよい。
上記態様では、供給選択部により乾燥気体のノズルへの供給が停止されると、第1供給部により洗浄液がノズルに供給され、供給選択部により洗浄液のノズルへの供給が停止されると、第2供給部により乾燥気体がノズルに供給される。このため、ノズルから洗浄液を噴射させて再利用可能な容器を洗浄した後、ノズルから乾燥気体を再利用可能な容器に確実に供給できる。
【0011】
本発明の洗浄装置の好ましい態様としては、前記ノズルは、前記再利用可能な容器の外側に前記洗浄液を噴射する第1ノズルを備えるとよい。
上記態様では、第1ノズルにより再利用可能な容器の外側を洗浄し、かつ、乾燥させることができる。
【0012】
本発明の洗浄装置の好ましい態様としては、前記ノズルは、前記再利用可能な容器を支持する支持具に設けられ、該再利用可能な容器の内側に前記洗浄液を噴射する第2ノズルを備えるとよい。
上記態様では、第2ノズルにより再利用可能な容器の内側を洗浄し、かつ、乾燥させることができる。また、ノズルが第1ノズル及び第2ノズルの両方を備えている場合には、第1ノズルにより再利用可能な容器の外側を洗浄及び乾燥させ、第2ノズルにより再利用可能な容器の内側を洗浄及び乾燥させるので、再利用可能な容器を確実に洗浄及び乾燥させることができる。
【0013】
本発明の洗浄装置の好ましい態様としては、前記洗浄液を生成する洗浄液生成装置を備え、前記洗浄液生成装置は、微酸性電解水を生成する電解水生成器と、前記微酸性電解水に乾燥促進剤を混合する混合器と、を有するとよい。
【0014】
ここで、乾燥促進剤は、いわゆる界面活性剤であり、これが付着した物質の濡れ性を高める機能を有している。
上記態様では、微酸性電解水に乾燥促進剤が混合されているので、この洗浄液により洗浄された再利用可能な容器の表面の濡れ性が高まり、該表面には、洗浄液が薄い膜のように付着した状態となる。このため、乾燥時に該洗浄液を蒸発させやすくすることができる。
また、微酸性電解水は、希塩酸を電気分解した液を水で希釈したものであり、殺菌、消臭効果を有することから、洗浄後の再利用可能な容器の安全性を高めることができる。
【0015】
本発明の洗浄装置の好ましい態様としては、前記洗浄液を生成する洗浄液生成装置を備え、前記洗浄液生成装置は、微酸性電解水を生成する電解水生成器と、前記微酸性電解水に撥水剤を混合する混合器と、を有するとよい。
ここで、撥水剤は、これが付着した物質の表面張力を高める(濡れ性を低下させる)機能を有している。
上記態様では、微酸性電解水に撥水剤が混合されているので、この洗浄液により洗浄された再利用可能な容器の表面の表面張力が高まり、該表面には、洗浄液が複数の水滴が付着した状態となる。このため、ノズルから乾燥気体が供給されると、該乾燥気体により複数の水滴を吹き飛ばすことで、上記水滴を除去することができる。
また、上述したように、微酸性電解水は、希塩酸を電気分解した液を水で希釈したものであり、殺菌、消臭効果を有することから、洗浄後の再利用可能な容器の安全性を高めることができる。
【0016】
本発明の洗浄装置の好ましい態様としては、前記送風器により前記チャンバ内に供給される前記乾燥気体を前記チャンバに供給する前に加熱する加熱器を備えるとよい。
上記態様では、チャンバ内に供給される乾燥気体が該チャンバに供給される前に加熱器により加熱されるので、該加熱された乾燥気体により再利用可能な容器に付着した洗浄液をより迅速に蒸発させる(除去する)ことができる。
【0017】
本発明の医療・介護用容器の処理装置は、筐体内に、上記洗浄装置と、液を貯留可能であって使い捨て容器が投入されるシンク、前記シンク内の前記液内に前記使い捨て容器を浸して撹拌する撹拌部材及び該撹拌部材を回転させるモータを有する分解装置と、を備える。
洗浄装置において再利用可能な容器の洗浄を行い、分解装置の撹拌槽において使い捨て容器の分解処理を行うことができ、容器に応じて洗浄装置及び分解装置を使い分け、適切な処理を行わせることができる。そして、これら洗浄装置及び分解装置を一つの筐体内に配置したことにより、その設置、移動も容易になり、病棟内の狭いスペースにも設置することが可能になる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、洗浄した再利用可能な容器に付着した水滴を蒸発させやすくすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の洗浄装置及び該洗浄装置を備える医療・介護用容器の処理装置の実施形態について、図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
[医療・介護用処理装置の概略構成]
第1実施形態の医療・介護用容器の処理装置101は、
図1に示されるように、縦長直方体状の筐体1内に、再利用可能な容器31を洗浄することが可能な第1処理槽10(洗浄装置)と、使い捨て容器32を分解可能な第2処理槽20(分解装置)とを備えており、再生利用可能な容器31であるか、使い捨て容器32であるかに応じて、第1処理槽10と第2処理槽20とを使い分け、適切な処理を行わせることができる。また、この処理装置101では、一つの筐体1内に第1処理槽10と第2処理槽20とを集約して配置しているので、これらを一体として設置、移動できる。さらに、この処理装置101では、
図1及び
図2に示されるように、第1処理槽10の下方に第2処理槽20が配置されており、二つの処理槽10,20を上下に配置しているので、病棟内の狭いスペースにも設置することができる。
【0021】
なお、再利用可能な容器31としては、例えば尿器、陰洗ボトル、貯尿器、計量カップやメスシリンダー等がある。これらの再利用可能な容器31はプラスチックやゴム等で成形されたもの、又はガラス製とされ、使用の都度、第1処理槽10において洗浄することで再使用される。一方、使い捨て容器32は、例えば便器、差込便器、ポータブルトイレ用バケツ受け等があり、主に感染リスクの高い汚物(大便)を処理するための容器である。また、これ以外にも、ガーグルベースン、膿盆、バット、ユーリパン等の使い捨て容器32がある。そして、これらの使い捨て容器32は、水等により分解可能なパルプ等により形成され、第2処理槽20において、洗浄液と一緒に撹拌しながら分解した後で、廃棄処理される。
このような本実施形態の処理装置101は、第1処理槽10において再利用可能な容器31の洗浄後に、該再利用可能な容器31を乾燥させることを特徴としている。
【0022】
また、処理装置101の筐体1には、第1処理槽10と第2処理槽20との前方を開閉可能な扉2Aと、この扉2Aの開閉を行う開閉駆動部3Aとが設けられており、
図1〜
図3に示すように、この扉2Aを開いて第1処理槽10及び第2処理槽20の前方を開放することにより、第1処理槽10内に再利用可能な容器31を配置し、第2処理槽20内に使い捨て容器32を投入可能となっている。また、処理装置101では、第1処理槽10と第2処理槽20とが、その前方を単一の扉2Aで開閉可能に設けられており、開閉駆動部3Aにより扉2Aを第1処理槽10及び第2処理槽20の前面に沿って上下移動(上下方向にスライド)することにより、第1処理槽10と第2処理槽20との両方の前方が閉鎖された状態と、第1処理槽10と第2処理槽20の前方を開口して両処理槽10,20の前方を開放した状態とを選択して、扉2Aの開閉ができるようになっている。なお、第2処理槽20の前方のみを開口して第1処理槽10の前方を閉鎖した状態を選択して開閉させることにしてもよい。
【0023】
なお、本実施形態の処理装置101においては、扉2Aを開閉する開閉駆動部3Aが、
図1〜
図3に示すように、扉2Aに駆動力を付与するためのアクチュエータ4と、扉2Aを上下方向に案内するためのガイド機構5Aとを有する構成とされる。
本実施形態においては、アクチュエータ4が電動のアクチュエータにより構成されており、伸縮駆動可能とされる。また、ガイド機構5Aは、扉2Aを上下方向に案内するガイドレール部51と、3つのアーム部材55〜57からなるリンク部52とを備えている。
【0024】
ガイドレール部51には、上下方向に延びる溝部51aが形成されており、扉2Aの側面部には、この溝部51aに係合する軸部29a〜29cが設けられている。このため、扉2Aは、溝部51aの延伸方向(上下方向)に沿って、移動が案内されるようになっている。また、リンク部52を構成するアーム部材55〜57のうち第1アーム部材55は、その一端部がアクチュエータ4に接続され、他端部が支軸53に軸支され、アクチュエータ4の伸縮駆動に応じてその他端部回りに回動可能に設けられている。また、第2アーム部材56の一端部は、第1アーム部材55の他端部に接続され、第1アーム部材55と一体で支軸53回りに回動可能に設けられている。そして、第2アーム部材56の他端部と第3アーム部材57の一端部とは、支軸54により互いに回動可能に軸支されている。また、第3アーム部材57の他端部は、扉2Aに設けられた三つある軸部29a〜29cのうちの一つの軸部29bに軸支されている(なお、軸部29bは、上側の軸部29aと下側の軸部29cとの間に配置されている。)。これにより、アクチュエータ4が伸縮駆動すると、ガイド機構5Aを介して扉2Aに駆動力が伝達され、扉2Aが上下移動されるようになっている。なお、扉2Aの開閉位置は、センサ(受信部)35により検知することとしており、第2アーム部材56に発信部(発光素子やマグネット等)36が取り付けられ、発信部36からの光や磁力等を検知して扉2Aの移動が制御される。
【0025】
扉2Aの開閉駆動について、図面を用いて詳しく説明する。
図3に示すように、扉2Aを閉じた状態では、アクチュエータ4が伸長した状態となっており、第2アーム部材56と第3アーム部材57とが折り畳まれた状態とされている。この状態から、
図2及び
図5に示すようにアクチュエータ4を短くすると(縮ませると)、第1アーム部材55及び第2アーム部材56が支軸53回りに(
図3では、時計回りに)回動する。これにより、第2アーム部材56の一端部が下方向に移動し、他端部が上方向に移動する。この際、第2アーム部材56の他端部に接続された第3アーム部材57の一端部が、第2アーム部材56の他端部とともに上方向に持ち上げられることで、第2アーム部材56と第3アーム部材57の間が開かれる。そして、軸部29bに接続されている第3アーム部材57の他端部がガイドレール部51の溝部51aに沿って上方向に移動することで、扉2Aが上方向に持ち上げられ、扉2Aが開かれる。
【0026】
また、このように扉2Aが開いた状態から扉2Aを閉じるには、縮んだ状態のアクチュエータ4を伸長させる。アクチュエータ4を伸長させると、第1アーム部材55及び第2アーム部材56が支軸53回りに(
図1及び
図2では、反時計回りに)回動する。これにより、第2アーム部材56の一端部が上方向に移動し、他端部が下方向に移動する。この際、第2アーム部材56の他端部に接続された第3アーム部材57の一端部が、第2アーム部材57の他端部とともに下方向に下げられることで、第2アーム部材56と第3アーム部材57との間が閉じて、第2アーム部材56と第3アーム部材57とが折り畳まれる。そして、軸部29bに接続されている第3アーム部材57の他端部がガイドレール部51の溝部51aに沿って下方向に移動することで、扉2Aが下方向に下げられ、扉2Aが閉じられる。
【0027】
このように、処理装置101では、扉2Aを上下移動させる構造としているので、扉2Aの開閉のためのスペースを装置の前方に大きく確保する必要がなく、処理装置101の設置スペースを小さくすることができる。なお、扉2Aの移動は上下方向のスライドに限定されるものではなく、扉2Aを左右方向にスライドする構成としてもよい。この場合においても、扉2Aを第1処理槽10及び第2処理槽20の前面に沿って移動させる構造としたことにより、処理装置101の設置スペースを小さくすることができる。
【0028】
[第1処理槽の構成]
次に、
図1〜
図3に示すように、処理装置101の第1処理槽10は、洗浄液が供給されるチャンバ11と、チャンバ11内に配置され再利用可能な容器31を被洗浄位置に支持するための支持具12と、チャンバ11内に洗浄液又は乾燥気体を供給可能なノズル41,42とを備えている。
チャンバ11には、二種類のノズル41,42が備えられており、いずれも洗浄液又は乾燥気体を供給する供給配管9の接続管94Cに接続され、この接続管94Cからノズル41,42を通じてチャンバ11内に洗浄液又は乾燥気体が供給されるようになっている。このうち第1ノズル41は、チャンバ11の上部に配置されており、チャンバ11の上部から下方に向けてチャンバ11内に洗浄液又は乾燥気体を供給可能となっている。また、もう一つの第2ノズル42は、支持具12に取り付けられている。
【0029】
支持具12は、
図2に示すように、分岐された複数の支柱13を有しており、各支柱1
3は、互いに並行して配置されている。また、各支柱13は基端部において、それぞれ接続管94Cに接続されている。また、支持具12は、
図2に示すように、その基端部が処理装置101の後方側に配置され、先端部が処理装置101の前方側に配置されており、処理装置101の後方側から前方側にかけて上方に向けて傾斜して取り付けられている。第1処理槽10では、
図3に示すように、この支持具12の各支柱13に再利用可能な容器31を被せて配置することで、つまり、各支柱13を容器31の開口部から内部に差し込み、各支柱13の先端を容器31の内部に当接させることにより、容器31の開口部が斜め下方を向くようにして容器31を被洗浄位置に支持できるようになっている。
【0030】
また、各支柱13の先端部のそれぞれには、前述した第2ノズル42が取り付けられており、接続管94Cから供給された洗浄液又は乾燥気体が、各支柱13の内部を通じて第2ノズル42の先端から放出されることにより、容器31の内部を洗浄及び乾燥できるようになっている。なお、各支柱13の基端部には、細孔(図示省略)が複数設けられており、これらの細孔を通じても洗浄液又は乾燥気体が放出されるようになっているので、容器31の開口部の細部も確実に洗浄又は乾燥できる。
【0031】
また、支持具12に支持された容器31の外周面は、チャンバ11の上部に配置された第1ノズル41から洗浄液が容器31の外周面に向けて噴射されることにより洗浄される。なお、各支柱13の傾斜角度は、第2ノズル42から容器31の内部に供給された洗浄液が、自重で容器31の外部へ流出する角度に設定されており、これに対応して、第2ノズル42も斜め上方を向くようにして配置される。なお、各支柱13の傾斜角度は、例えば水平面に対して30°〜90°程度とされる。
【0032】
[洗浄液及び乾燥気体の供給構造]
このような第1処理槽10は、洗浄液を各ノズル41,42に供給する第1供給部90Aと、乾燥気体を第1ノズル41及び第2ノズル42に供給する第2供給部90Bと、洗浄液及び乾燥気体のいずれか一方の各ノズル41,42への供給を停止させ、いずれか他方の各ノズル41,42への供給を開始する供給選択部90Cと、を備えている。
なお、第1供給部90Aは、第3ノズル43に洗浄液を供給する機能も併せて備えている。
【0033】
[第1供給部の構成]
第1供給部90Aは、
図4及び
図5に示すように、微酸性電解水を生成する微酸性電解水生成器91と、微酸性電解水生成器91により生成された微酸性電解水を貯留するタンク92と、該タンク92に貯留された微酸性電解水に乾燥促進剤を混合する混合器93と、乾燥促進剤が混合された微酸性電解水を第1処理槽10及び第2処理槽20で用いられる洗浄液として供給配管9に供給するポンプ94とにより構成されている。これらのうち、微酸性電解水生成器91、タンク92及び混合器93により、本発明の洗浄液生成装置が構成される。
この微酸性電解水生成器91では、希塩酸を電気分解して生成した次亜塩素酸を、水道水と一定の割合で混ぜることにより希釈し、微酸性電解水を生成する。微酸性電解水は、陽極と陰極が隔膜で仕切られていない一室型電解装置で、2〜6%塩酸水(希塩酸)を電解することにより生成されるpHが5.0〜6.5で、有効塩素が10〜80ppmとされる次亜塩素酸水溶液である。そして、微酸性電解水は、高い殺菌、抗菌、消臭効果を有する一方で、人の健康を損なうおそれがなく、食品添加物に指定されるものである。また、微酸性電解水は塩素臭等もないので、再利用可能な容器31を洗浄した後の使用も安全である。
【0034】
供給配管9は、ポンプ94と各ノズル41〜43との間に設けられており、ポンプ94の吐出口に接続された接続管94Aと、接続管94Aの先端から2つに分岐された接続管
94B,94Cと、を備えている。接続管94Bは、第2処理槽20の第3ノズル43に接続され、接続管94Cは、第1処理槽10の第1ノズル41及び第2ノズル42に接続されている。
また、タンク92では、微酸性電解水に混合器93から配管93Aを介して乾燥促進剤が供給され、該タンク92内において乾燥促進剤と微酸性電解水とが混合されて、上記洗浄液となる。この乾燥促進剤は、いわゆる界面活性剤であり、これが付着した物質の濡れ性を高める機能を有している。そして、乾燥促進剤が混合された洗浄液は、ポンプ94の駆動により配管92Aを介してポンプ94内に供給され、
図6に示すように、接続管94A及び接続管94Cを介してノズル41,42(第1処理槽10)に供給され、接続管94A及び接続管94Bを介して、ノズル43(第2処理槽20)に供給される。
このように、処理装置101では、殺菌・除菌・消臭効果の強い微酸性電解水を洗浄液として使用することで、容器31の洗浄、すすぎを行いながら、容器31の除菌と、各処理槽10,20内、配管等も同時に除菌が行える。
【0035】
[第2供給部の構成]
第2供給部90Bは、
図4及び
図5に示すように、再利用可能な容器31を乾燥させる乾燥気体をチャンバ11内に供給する送風器95により構成されている。この送風器95には、該送風器95によりチャンバ11内に供給される乾燥気体を加熱する加熱器が設けられている。また、
図6に示すように、送風器95には接続管95Aが接続され、この接続管95Aの先端部は、供給配管9における接続管94B,94Cとの分岐位置より下流側で、接続管94Cにおける後述の第1電磁弁96より下流位置に接続されている。これにより、加熱された乾燥気体が接続管95A及び供給配管9の接続管94Cを介して第1処理槽10(チャンバ11)内に供給される。
【0036】
[供給選択部の構成]
供給選択部90Cは、洗浄液又は乾燥気体のいずれか一方のノズル41,42への供給を停止させ、いずれか他方のノズル41,42への供給を開始する。なお、供給選択部90Cは、洗浄液のノズル43への供給も併せて制御する。この供給選択部90Cは、
図4及び
図5に示すように、接続管94Aから接続管94B,94Cへの分岐部の直後に配置され、接続管94Cを開閉する第1電磁弁96と、接続管94Bに配置され、その管路を開閉する第2電磁弁97と、接続管95Aに配置され、その管路を開閉する第3電磁弁98と、により構成されている。
【0037】
この供給選択部90Cは、第1処理槽10において再利用可能な容器31を洗浄する際には、第1電磁弁96を開放させて接続管94Aを介して洗浄液を接続管94Cに流通させ、第3電磁弁98を閉塞させて乾燥気体の接続管95Aを介する接続管94Cへの流通を停止させる。なお、第1処理槽10において実行される洗浄処理と同時に第2処理槽20において分解処理が行われる場合には、第2電磁弁97も併せて開放する。
一方、供給選択部90Cは、第1処理槽10において再利用可能な容器31を乾燥する際には、第1電磁弁96及び第2電磁弁97を閉塞させて接続管94Aを介する接続管94Cへの洗浄液の流通及び接続管94Bを介する第3ノズル43への洗浄液の流通を停止させ、第3電磁弁98を開放させて接続管95Aを介して乾燥気体を接続管94Cに流通させる。このように第1電磁弁96及び第3電磁弁98のいずれかを開放し、他方を閉塞することで、第1処理槽10(チャンバ11)内に洗浄液又は乾燥気体のいずれかを供給するようにしている。なお、第2電磁弁97は、第2処理槽20における処理に応じて開閉される。
【0038】
[第2処理槽の構成]
第2処理槽20は、液を貯留可能であって使い捨て容器32が投入されるシンク21と、そのシンク21内の液に使い捨て容器32を浸して攪拌しながら分解可能な撹拌部材22と、撹拌部材22を回転させるモータ23と、シンク21内に洗浄液を供給可能な第3ノズル43とを有する。この場合、第2処理槽20は第1処理槽10の下方に配置されており、第2処理槽20の上部には、第1処理槽10から流下する洗浄液を流下可能な開口25(
図2及び
図3参照)が形成されている。
【0039】
そして、開口25には、洗浄液を流下可能な複数の網目(図示略)を有する網板7が設けられており、この網板7により、第1処理槽10と第2処理槽20との間が仕切られている。このため、第1処理槽10で洗浄を行う再利用可能な容器31を誤って落下させることがあっても、網板7上に落下し、第2処理槽20まで容器31が到達することを回避できる。また、第1処理槽10のノズル41,42からチャンバ11内に供給された洗浄液は、網板7の網目を通じて第2処理槽20に流下されるようになっており、その洗浄液を第2処理槽20のシンク21で貯留することで(溜めることで)、第2処理槽20の液として使用可能となっている。
【0040】
また、シンク21の下部には、シンク21内で破砕された容器及び洗浄液を排出可能な排液系8が接続されており、第1処理槽10で使用された洗浄液は、網板7の網目を通じて第2処理槽20に流下され、第2処理槽20を経由して排液系8から排出されるようになっている。また、第1処理槽10で使用された洗浄液と、第2処理槽20で使用された洗浄液及び処理された容器とが併せて1つの排液系8から外部(下水)に排出されるようになっている。
【0041】
また、網板7は、支持具12の各支柱13の傾斜角度に沿うようにして、処理装置101の後方側から前方側にかけて漸次上方に向けて傾斜して設けられている。これにより、第1処理槽10と第2処理槽20とが接近して配置され、第1処理槽10の開口部(操作口)と第2処理槽20の開口部(操作口)とが作業者が操作しやすい場所にまとめて配置されている。また、第1処理槽10の開口部と第2処理槽20の開口部とを接近させて配置した分だけ処理装置101の高さが低く形成できるので、第1処理槽10の開口部と第2処理槽20の開口部とを比較的広く確保しながら、設置スペースの省スペース化を図ることができる。
【0042】
また、処理装置101には、扉2Aの開閉操作や、両処理槽10,20の運転等の操作を行うフットスイッチ6が備えられており、作業者は、足元に置かれたフットスイッチ6を操作することにより、手を触れることなく処理装置101の操作を行えるため、感染のリスクを少なくできる。
なお、本実施形態の処理装置101には3つのフットスイッチが備えられており、
図3において手前に配置される一番目のフットスイッチが扉の開閉用スイッチ61、中央に配置される二番目のフットスイッチが第1処理槽10の第1運転プログラム開始スイッチ62、最も奥側に配置される三番目のフットスイッチが第2処理槽20の第2運転プログラム開始スイッチ63とされる。
【0043】
[再利用可能な容器の洗浄及び乾燥方法]
このように構成される処理装置101において、再利用可能な容器31を洗浄する場合には、まず、開閉用スイッチ61を操作して扉2Aを開き、第1処理槽10の前方の開口部から、チャンバ11内の支持具12の支柱13に容器31を被洗浄位置に支持する。そして、第1処理槽10の運転プログラムをスタートさせる。本実施形態の処理装置101では、第1運転プログラム開始スイッチ62の操作により、第1処理槽10の運転プログラムをスタートさせることができる。第1処理槽10の運転プログラムをスタートさせると、扉2Aが閉まり、第1処理槽10と第2処理槽20が閉鎖される。そして、第1処理槽10と第2処理槽20とが閉鎖された後、供給選択部90Cにより、第1電磁弁96が開放され、第2電磁弁97が閉塞され、かつ、第3電磁弁98が閉塞されることで、接続
管94Aを介して接続管94Cに洗浄液が供給され、ノズル41,42から洗浄液が放出され、容器31が洗浄される。
【0044】
この容器31の洗浄中は、上部の第1ノズル41から洗浄液が容器31の外周面に噴射されるだけではなく、容器31の内部に挿入された支柱13の先端のノズル42や上記細孔により、容器31の内周面(内部)にも洗浄液が噴射される。そして、容器31の内部に噴射され、容器31内を洗浄し終わった水等は、容器31の開口部が斜め下方を向くようになっていることから、自重で容器31内から流出される。また、第1処理槽10で使用した使用後の洗浄液は、第2処理槽20に流下して、排液系8から下水に排出される。
【0045】
そして、容器31の洗浄が終了すると、供給選択部90Cにより第1電磁弁96が閉鎖され、かつ、第3電磁弁98が開放されることで、送風器95から加熱された乾燥気体が接続管95Aを介して接続管94Cに供給される。
ここで、洗浄液として用いられる微酸性電解水には乾燥促進剤が混合されているので、この洗浄液により洗浄された再利用可能な容器31の表面の濡れ性が高まることから、該表面には、洗浄液が薄い膜のように付着した状態となる。この状態の容器31に対して、第1ノズル41及び第2ノズル42から上記乾燥気体が放出され、容器31が乾燥される。このため、乾燥時に該洗浄液を蒸発させやすくすることができる。
【0046】
なお、容器31の乾燥中は、上部の第1ノズル41から加熱された乾燥気体が容器31の外周面に送風されるだけではなく、容器31の内部に挿入された支柱13の先端の第2ノズル42や上記細孔により、容器31の内周面(内部)にも加熱された乾燥気体が噴射される。このように、第1ノズル41により再利用可能な容器の外側を洗浄及び乾燥させ、第2ノズル42により再利用可能な容器31の内側を洗浄及び乾燥させるので、再利用可能な容器31を確実に洗浄及び乾燥させることができる。
【0047】
そして、容器31の乾燥終了後には扉2Aが開かれ、第1運転プログラムが終了したことを作業者に知らせる。これにより、作業者は、洗浄及び乾燥済の容器31を第1処理槽10から取り出すことができる。また、開いた状態の扉2Aは、開閉用スイッチ61を操作することにより、閉じることができる。
【0048】
[使い捨て容器の分解方法]
また、処理装置101において、使い捨て容器32を廃棄処理する場合には、開閉用スイッチ61を操作して扉2Aを開く。そして、第2処理槽20の前方の開口部から、シンク21内に容器32を投入した後、第2処理槽20の運転プログラムをスタートさせる。本実施形態の処理装置101では、第2運転プログラム開始スイッチ63の操作により、第2処理槽20の運転プログラムをスタートさせることができる。第2処理槽20の運転プログラムをスタートさせると、扉2Aが閉まり、第1処理槽10と第2処理槽20とが閉鎖され、供給選択部90Cにより第1及び第2電磁弁96,97が開放され、第3電磁弁98が閉塞されることで、ノズル41〜43から洗浄液が放出され、第1処理槽10のチャンバ11内の洗浄が行われる。この際、第1処理槽10で使用された洗浄液が第2処理槽20に流下されることで、シンク21内に洗浄液が貯留される。これにより、シンク21内の容器32が洗浄液に浸される。そして、第1処理槽10の洗浄終了後に、撹拌部材22によりシンク21内の洗浄液と容器32とが攪拌され、容器32が分解される。容器32は、分解されることで洗浄液と合わさり、液状となる。
【0049】
容器32の分解後、シンク21内の洗浄液と容器32とは、シンク21の下部に接続された排液系8から下水に排出される。容器32の廃棄処理後は、再度、ノズル41〜43から洗浄液が噴射され、シンク21の洗浄が行われる。
そして、シンク21の洗浄終了後には扉2Aが開かれ、第2運転プログラムが終了した
ことを作業者に知らせる。なお、開いた状態の扉2Aは、開閉用スイッチ61を操作することにより、閉じることができる。
【0050】
[再利用可能な容器及び使い捨て容器の同時処理]
また、処理装置101では、再利用可能な容器31の洗浄処理と、使い捨て容器32の廃棄処理とを同時に行うこともできる。この場合も、まず、開閉用スイッチ61を操作して扉2Aを開く。そして、第1処理槽10の前方の開口部から、チャンバ11内の支持具12の支柱13に再利用可能な容器31を被洗浄位置に支持する。また、第2処理槽20の前方の開口部から、シンク21内に使い捨て容器32を投入する。次に、第2運転プログラム開始スイッチ63を操作することで、第2処理槽20の運転プログラムとともに、第1処理槽10の運転プログラムをスタートさせる。各運転プログラムをスタートさせると、扉2Aが閉まり、第1処理槽10と第2処理槽20とが閉鎖され、供給選択部90Cにより第1及び第2電磁弁96,97が開放され、かつ、第3電磁弁98が閉塞されることで、ノズル41〜43から洗浄液が放出され、チャンバ11内の再利用可能な容器31が洗浄される。
【0051】
この際、容器31の洗浄に使用された洗浄液は、第2処理槽20に流下される。また、第2処理槽20では、第1処理槽10から流下された洗浄液がシンク21内に溜められるとともに、第3ノズル43から噴射された洗浄液がシンク21内に溜められ、シンク21内の容器32が洗浄液に浸される。このように、処理装置101では、第1処理槽10で使用された洗浄液が、第2処理槽20における使い捨て容器32の処理にも使用され、洗浄液の有効利用を図ることができる。
そして、シンク21内の洗浄液と使い捨て容器32とは、第1処理槽10における再利用可能な容器31の洗浄終了後に、供給選択部90Cにより第1及び第2電磁弁96,97が閉鎖され、かつ、第3電磁弁98が開放されることで、送風器95から加熱された乾燥気体が接続管95Aを介して接続管94Cに供給される。これにより、第1ノズル41及び第2ノズル42から上記乾燥気体が放出され、容器31が乾燥される。
一方、再利用可能な容器31の乾燥処理後にモータ23の駆動により撹拌部材22が攪拌され、使い捨て容器32が分解される。使い捨て容器32は、分解されることで洗浄液と合わさり、液状となる。使い捨て容器32の分解後、シンク21内の洗浄液と容器32とは、シンク21の下部に接続された排液系8から下水に排出される。
【0052】
そして、使い捨て容器32の分解処理後に扉2Aが開かれ、第2運転プログラムが終了したことを作業者に知らせる。これにより、作業者は、洗浄及び乾燥済の再利用可能な容器32を第1処理槽10から取り出すことができる。なお、開いた状態の扉2Aは、開閉用スイッチ61を操作することにより、閉じることができる。
【0053】
上記実施形態では、ノズル41,42から噴出した洗浄液により洗浄された再利用可能な容器41に、送風器95からチャンバ11内に供給された上記乾燥気体が供給され、再利用可能な容器31が乾燥されるので、該容器31に付着した洗浄液(水滴)を蒸発させやすくできる。
また、供給選択部90Cにより第1電磁弁96及び第3電磁弁98の一方が開放され、他方が閉塞されることで、ノズル41,42から洗浄液を噴射させて再利用可能な容器31を洗浄した後、ノズル41,42から乾燥気体を再利用可能な容器31に供給できることから、乾燥気体を供給する構成をチャンバ11内に別途設ける必要がないので、チャンバ11内により多くの再利用可能な容器31を収容できる。
【0054】
また、微酸性電解水は、希塩酸を電気分解した液を水で希釈したものであり、殺菌、消臭効果を有することから、洗浄後の再利用可能な容器の安全性を高めることができる。
さらに、チャンバ11内に供給される乾燥気体が加熱器により加熱されるので、該加熱
された乾燥気体により再利用可能な容器31に付着した洗浄液をより迅速に蒸発させる(除去する)ことができる。
【0055】
医療・介護用容器の処理装置101では、第1処理槽10において再利用可能な容器31の洗浄を行い、分解装置の第2処理槽20において使い捨て容器32の分解処理を行うことができ、容器に応じて適切な処理を行わせることができる。そして、これら第1処理槽10(洗浄装置)及び第2処理槽20(分解装置)を一つの筐体内に配置したことにより、その設置、移動も容易になり、病棟内の狭いスペースにも設置することが可能になる。さらに、第1処理槽10で使用した洗浄液の少なくとも一部を第2処理槽20における液として使用するので、洗浄液の有効利用を図ることができる。
【0056】
また、処理装置101では、排液系8を1つに集約し、第1処理槽10で使用された洗浄液と第2処理槽20で使用された液とを併せて1つの排液系8から外部に排出することとしたので、設置場所に排液口が1つあれば、処理装置101を設置できる。そして、処理装置101では、前述したように、二つの処理槽10,20を上下に配置して、洗浄液を自然に第1処理槽10から第2処理槽20へ流下させるようにしているので、ポンプ94等の付帯設備が少なくて済み、省力化とともに、さらなる小型化を図ることができる。また、第1処理槽10から流下する洗浄液が第2処理槽20を経由することにより、第1処理槽10において洗浄処理を行う度に、併せて第2処理槽20内の洗浄も行うことができ、処理装置101の衛生状態を良好に保つことができる。さらに、処理装置101では、扉2Aを上下移動させる構造としたので、扉2Aの開閉のためのスペースを装置の前方に大きく確保する必要がなく、設置スペースをさらに小さくすることができる。
【0057】
[第2実施形態]
上記実施形態では、医療・介護用容器の処理装置101は、第1処理槽10及び第2処理槽20を備えることとしたが、これに限らず、例えば、第1処理槽10(洗浄装置)のみにより構成されてもよい。なお、以下の説明では、排液系8A、チャンバ11A、支持具12A、支柱13A、第1ノズル41A及び第2ノズル42Aの構成については、上記排液系8、チャンバ11、支持具12、支柱13、第1ノズル41及び第2ノズル42と略同一の構成であるため、説明を省略する。
本実施形態の処理装置101A(洗浄装置)は、
図7及び
図8に示すように、筐体1Aと、該筐体1Aの正面に配置され、開閉駆動部3Bの駆動により開閉可能な扉2Bとを備えている。この扉2Bは、上記第1実施形態と異なり、扉2Bの下端部が支持され、該下端部を軸として、
図7の矢印に示すように、前側に開放可能となっている。
【0058】
また、処理装置101Aは、
図8に示すように、チャンバ11A内に配置され、第2タンク104において微酸性電解水とリンス剤(乾燥促進剤)とが混合された洗浄液又は乾燥気体を噴出する第1ノズル41A及び第2ノズル42Aと、チャンバ11内に供給され湿気を含んだ乾燥気体を排出するスチームコンデンサ109と、洗浄液を各ノズル41A,42Aに供給する第1供給部100Aと、乾燥気体を第1ノズル41A及び第2ノズル42Aに供給する第2供給部100Bと、洗浄液及び乾燥気体のいずれか一方の各ノズル41A,42Aへの供給を停止させ、いずれか他方の各ノズル41A,42Aへの供給を開始する供給選択部100Cと、を備え、これらは筐体1Aに収容されている。
【0059】
[第1供給部の構成]
第1供給部100Aは、
図8に示すように、第2タンク104にリンス剤を供給するチューブポンプ102と、乾燥促進剤が含まれたリンス剤が貯留される第1タンク103と、微酸性電解水が貯留されている第2タンク104と、乾燥促進剤が混合された微酸性電解水を洗浄液としてチャンバ11A内に供給するポンプ105とにより構成されている。これらのうち、チューブポンプ102、第1タンク103及び第2タンク104により、本発明の洗浄液生成装置が構成される。
また、第2タンク104では、微酸性電解水にチューブポンプ102により乾燥促進剤を含むリンス剤が供給され、該第2タンク104内において乾燥促進剤と微酸性電解水とが混合されて、上記洗浄液となる。
【0060】
供給配管9Aは、ポンプ105と各ノズル41A,42Aとの間に設けられており、ポンプ105の吐出口に接続された接続管105Aと、接続管105Aの下流位置で分岐する接続管105B,105Cとを有する。接続管105Bは、第1ノズル41Aに接続され、接続管105Cは、第2ノズル42Aに接続されている。
この乾燥促進剤が混合された洗浄液は、ポンプ105の駆動により接続管105A、接続管105B及び接続管105Cを流通し、各ノズル41A,42Aを通じて、チャンバ11A内に供給される。
【0061】
[第2供給部の構成]
第2供給部100Bは、
図8に示すように、再利用可能な容器31(
図8では図示省略)を乾燥させる乾燥気体をチャンバ11A内に供給する送風器106により構成されている。この送風器106には、該送風器106によりチャンバ11内に供給される乾燥気体を加熱する加熱器が設けられている。また、送風器106には接続管106Aが設けられ、この接続管106Aの先端部は、供給配管9Aにおける接続管105Aの分岐部より上流側で、後述の第1電磁弁107より下流位置に接続されている。これにより、接続管106A、接続管105Aの一部、接続管105B及び接続管105Cを加熱された乾燥気体が流通し、ノズル41A,42Aからチャンバ11A内に供給される。
【0062】
[供給選択部の構成]
供給選択部100Cは、
図8に示すように、洗浄液又は乾燥気体のいずれか一方をノズル41A,42Aに供給し、いずれか他方のノズル41A,42Aへの供給を停止する。この供給選択部100Cは、接続管105Aに配置され、その管路を開閉する第1電磁弁107と、接続管106Aに配置され、その管路を開閉する第2電磁弁108と、により構成されている。
この供給選択部100Cは、チャンバ11A内において再利用可能な容器31を洗浄する際には、第1電磁弁107を開放させて接続管105Aを介して洗浄液を接続管105B,105Cに流通させ、第2電磁弁108を閉塞させて乾燥気体の接続管106Aを介する接続管105B,105Cへの流通を停止させる。一方、供給選択部100Cは、チャンバ11A内において再利用可能な容器31を乾燥する際には、第1電磁弁107を閉塞させて洗浄液の接続管105Aを介する接続管105B,105Cへの流通を停止させ、第2電磁弁108を開放させて接続管106Aを介して乾燥気体を接続管105B,105Cに流通させる。このように第1電磁弁107及び第2電磁弁108のいずれかを開放し、他方を閉塞することで、チャンバ11A内に洗浄液又は乾燥気体のいずれかを供給するようにしている。
【0063】
[スチームコンデンサの構成]
スチームコンデンサ109は、チャンバ11Aの一方の側面及び天面の一部を覆う形状であり、チャンバ11Aに供給され再利用可能な容器31を乾燥させることにより湿気を含んだ乾燥気体が流入する開口110と、該開口110から流入した湿気を含んだ乾燥気体を外部に放出する排出部111と、スチームコンデンサ109内に水を流入させる流入口112と、を備えている。
この開口110は、スチームコンデンサ109におけるチャンバ11Aの天面に対向する位置に設けられ、排出部111は、スチームコンデンサ109におけるチャンバ11Aの側面部の下部に対向する位置に設けられている。これにより、スチームコンデンサ109内に流入した湿気を含んだ乾燥気体は、チャンバ11Aの天面から側面に向かって流通し、スチームコンデンサ109から放出される。
なお、流入口112からスチームコンデンサ109内に流入させることで、開口110を介してスチームコンデンサ109内に流入した湿気を含んだ乾燥気体(蒸気)の一部が凝縮されて水となる。これにより、チャンバ11内の蒸気を減少させることが可能となる。
【0064】
[再利用可能な容器の洗浄及び乾燥方法]
このように構成される処理装置101Aにおいて、再利用可能な容器31を洗浄する場合には、扉2Bを開き、チャンバ11A内の支持具12Aの支柱13Aに挿通させて、容器31を被洗浄位置に支持する。扉2Bが閉まり、チャンバ11Aが閉鎖されると、供給選択部100Cにより、第1電磁弁107が開放され、第2電磁弁108が閉塞されることで、接続管105Aを介して供給配管9Aに洗浄液が供給され、各ノズル41A,42Aから洗浄液が放出され、容器31が洗浄される。
そして、容器31の洗浄が終了すると、供給選択部100Cにより第1電磁弁107が閉鎖され、かつ、第2電磁弁108が開放されることで、送風器106から加熱された乾燥気体が接続管106Aを介して接続管105Bに供給される。このチャンバ11A内に供給された乾燥気体は、容器31に噴射されることで、湿気(容器31の表面に付着した洗浄液)を含んだ乾燥気体となり、該乾燥気体がスチームコンデンサ109の開口110内に流入し、排出部111から放出される。
そして、容器31の乾燥が終了すると扉2Bが開かれ、作業者は、洗浄及び乾燥済の容器31をチャンバ11内から取り出すことができる。
【0065】
本実施形態においても、上記第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、本実施形態の処理装置101Aは、分解装置を備えていないことから、処理装置101Aをより小型化でき、かつ、洗浄装置として好適に利用できる。
【0066】
また、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
上記各実施形態では、微酸性電解水に乾燥促進剤が混合された液体を洗浄液として用いることとしたが、これに限らず、例えば、洗浄液として水を用いてもよいし、該水に乾燥促進剤を混合しなくてもよい。この場合、第1実施形態では、微酸性電解水生成器91、及び混合器93はなくてもよく、タンク92内に水を貯留しておけばよい。第2実施形態においては、チューブポンプ102及び第1タンク103はなくてもよく、第2タンク104内に水を貯留しておけばよい。
【0067】
上記第1実施形態では、タンク92内に貯留された微酸性電解水に混合器93から乾燥促進剤が供給されることとしたが、これに限らず、例えば、混合器93は、撥水剤をタンク92内の微酸性電解水に供給することとしてもよい。この場合、タンク92内において、撥水剤を含む微酸性電解水が洗浄液として用いられることとなるが、撥水剤は、これが付着した物質の表面張力を高める(濡れ性を低下させる)機能を有しているため、この洗浄液により洗浄された再利用可能な容器31の表面の表面張力が高まり、該表面には、洗浄液が複数の水滴が付着した状態となる。このため、ノズル41,42から乾燥気体が供給されると、該乾燥気体により複数の水滴を吹き飛ばすことで、上記水滴を除去することができる。なお、この場合、上記第1実施形態の場合に比べて、送風器95の送風圧力を高めて、より水滴を吹き飛ばすようにしてもよい。また、第2実施形態においても、リンス剤に撥水剤が含まれていることとしてもよい。
【0068】
また、上記第1実施形態の処理装置101では、第1処理槽10の下方に第2処理槽20を配置し、第1処理槽10と第2処理槽20との間に、具体的には、第2処理槽20の上部に、第1処理槽10から流下する洗浄液を第2処理槽20に流下可能な開口25を形成していたが、これに限定されるものではない。第1処理槽10と第2処理槽20との配置は上下に限定されるものではなく、種々の配置を採用できる。また、開口25は、第1処理槽10と第2処理槽20との間を接続する配管やノズル等の接続口により形成することができ、これらの配管等により第1処理槽10から第2処理槽20に向けて洗浄液を供給する構成としてもよい。