特許第6883134号(P6883134)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6883134化粧品及び医薬品業界における洗浄のための洗剤組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6883134
(24)【登録日】2021年5月11日
(45)【発行日】2021年6月9日
(54)【発明の名称】化粧品及び医薬品業界における洗浄のための洗剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C11D 1/68 20060101AFI20210531BHJP
   C11D 1/14 20060101ALI20210531BHJP
   C11D 3/26 20060101ALI20210531BHJP
   C11D 3/04 20060101ALI20210531BHJP
   C11D 17/04 20060101ALI20210531BHJP
   B08B 3/08 20060101ALI20210531BHJP
【FI】
   C11D1/68
   C11D1/14
   C11D3/26
   C11D3/04
   C11D17/04
   B08B3/08 Z
【請求項の数】17
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2020-84054(P2020-84054)
(22)【出願日】2020年5月12日
(62)【分割の表示】特願2018-541192(P2018-541192)の分割
【原出願日】2017年2月3日
(65)【公開番号】特開2020-125498(P2020-125498A)
(43)【公開日】2020年8月20日
【審査請求日】2020年5月26日
(31)【優先権主張番号】1650928
(32)【優先日】2016年2月5日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】510250467
【氏名又は名称】エコラボ ユーエスエー インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100202418
【弁理士】
【氏名又は名称】河原 肇
(74)【代理人】
【識別番号】100191444
【弁理士】
【氏名又は名称】明石 尚久
(72)【発明者】
【氏名】ガエタン ラウウェル
(72)【発明者】
【氏名】ジャック クリケリオン
(72)【発明者】
【氏名】セバスチャン テリエ
(72)【発明者】
【氏名】ベルトラン レタールトル
【審査官】 青鹿 喜芳
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−060791(JP,A)
【文献】 特表平08−508766(JP,A)
【文献】 特表平11−501354(JP,A)
【文献】 特表2001−507066(JP,A)
【文献】 特開2013−133458(JP,A)
【文献】 特開平02−016199(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/073067(WO,A1)
【文献】 特開平10−195489(JP,A)
【文献】 特開2008−069140(JP,A)
【文献】 特開平11−302693(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 1/00−19/00
B08B 3/00− 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造もしくは包装デバイス、または化粧品組成物もしくは医薬組成物を製造もしくは包装するために使用される任意の他のハードウェアから、場合によっては顔料を含有する疎水性残渣を除去するための洗剤組成物の使用であって、前記洗剤組成物は、
アルコキシル化脂肪族アルコールを含む非イオン性界面活性剤と、
ルキルサルフェート及び/又はアルキルスルホネートである、非芳香族共界面活性剤と、
前記組成物の合計重量を基準として10重量%〜40重量%の、アミノアルコールの中から選択される有機アルカリ剤であって、前記アミノアルコールはトリエタノールアミンである、有機アルカリ剤と、を含み、
前記非芳香族共界面活性剤は、前記組成物の総重量に基づいて1〜15重量%の量で前記洗剤組成物中に含有され
前記洗剤組成物のすぐに使える組成物は、7〜13のpHを有する、使用。
【請求項2】
前記非イオン性界面活性剤は、エトキシ化、プロポキシル化、ブトキシル化、及び任意にペントキシル化脂肪族アルコールを含有する、アルコキシル化脂肪族アルコールの混合物である、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記アルキルサルフェートはC6〜C10アルキルサルフェートを含み、前記アルキルスルホネートは、C6〜C8アルキルスルホネートを含む、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
前記C6〜C10アルキルサルフェートは、2−エチルヘキシルサルフェートである、請求項3に記載の使用。
【請求項5】
前記アルキルスルホネートはナトリウムアルカンスルホネートである、請求項1に記載の使用。
【請求項6】
前記洗剤組成物は、芳香族ヒドロトロープをさらに含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の使用。
【請求項7】
前記洗剤組成物は、前記洗剤組成物の総重量に基づいて5重量%未満のアルカリ性水酸化物を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の使用。
【請求項8】
前記洗剤組成物は、40〜85℃の温度で使用される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の使用。
【請求項9】
前記洗剤組成物は、乱流を有する動的洗浄システムで使用される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の使用。
【請求項10】
乱流を有する前記動的洗浄システムは、定置洗浄、撹拌を伴う浸漬、洗浄ボールを用いた閉回路内での洗浄、洗濯機内での洗浄、及び洗濯キャビネット内での洗浄の中から選択される、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
洗剤組成物であって、
アルコキシル化脂肪族アルコールを含む非イオン性界面活性剤と、
ルキルサルフェート及び/又はアルキルスルホネートである、非芳香族共界面活性剤と、
前記組成物の合計重量を基準として10重量%〜40重量%の、アミノアルコールの中から選択される有機アルカリ剤であって、前記アミノアルコールはトリエタノールアミンである、有機アルカリ剤と、を含み、
前記非芳香族共界面活性剤は、前記組成物の総重量に基づいて〜15重量%の量で前記洗剤組成物中に含有され
前記洗剤組成物のすぐに使える組成物は、7〜13のpHを有する、洗剤組成物。
【請求項12】
前記非イオン性界面活性剤は、エトキシ化、プロポキシル化、ブトキシル化、及び任意にペントキシル化脂肪族アルコールを含有する、アルコキシル化脂肪族アルコールの混合物である、請求項11に記載の洗剤組成物。
【請求項13】
前記アルキルサルフェートはC6〜C10アルキルサルフェートを含み、前記アルキルスルホネートは、C6〜C8アルキルスルホネートを含む、請求項11又は12に記載の洗剤組成物。
【請求項14】
前記C6〜C10アルキルサルフェートは、2−エチルヘキシルサルフェートである、請求項13に記載の洗剤組成物。
【請求項15】
前記アルキルスルホネートはナトリウムアルカンスルホネートである、請求項11に記載の洗剤組成物。
【請求項16】
前記洗剤組成物は、芳香族ヒドロトロープをさらに含む、請求項11〜15のいずれか1項に記載の洗剤組成物。
【請求項17】
前記洗剤組成物は、前記洗剤組成物の総重量に基づいて5重量%未満のアルカリ性水酸化物を含む、請求項11〜16のいずれか1項に記載の洗剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製造もしくは包装デバイス、または疎水性化粧品組成物もしくは医薬組成物を製造もしくは包装するために使用される任意の他のハードウェアを洗浄するための洗剤組成物の使用に関する。本発明はまた、そのような洗剤組成物自体に関する。
【背景技術】
【0002】
製造及び包装デバイス、ならびに化粧品または医薬品を製造または包装するために使用される任意の他のハードウェアは、一般に、乱流を有する動的システムを用いて洗浄される。これらの動的システムとしては、特に、「定置洗浄」(CIP)、強力な撹拌を伴う浸漬、洗浄ボールを用いた閉回路内での洗浄、洗濯機内での洗浄、及び洗濯キャビネット内での洗浄が挙げられる。
【0003】
これらの洗浄システムは、システム内で生じた乱流に起因する泡の形成を回避するために、特定の非発泡性洗剤を必要とする。一般に、これらの洗剤は、高アルカリ性であり、その結果として、大量のアルカリ性水酸化物、ならびに界面活性剤及び封鎖剤及びフロキュレーション防止剤を含有する。
【0004】
欧州特許第EP 1 200 544号は、例えば、医薬品または化粧品の製造または包装中に現れる顔料含有残渣の除去のためのアルカリ性洗剤を記載している。この洗剤は、界面活性剤、特に非イオン性界面活性剤、例えば、アルコキシル化脂肪族アルコール、アルキルポリグルコシド、及び/またはアルコキシル化脂肪族アミン、ならびに錯化剤としてのポリアスパラギン酸及びグルコン酸またはその塩の組み合わせを含有する。しかしながら、この洗剤は、製造及び包装設備からの強疎水性残渣の除去を可能にせず、これは、例えばファンデーション、マスカラ、及び口紅などの化粧品がますます疎水性になり、顔料、特に、例えば酸化チタンなどの酸化物が豊富になるという事実のために、今日の主要な不利点を表す。
【0005】
文書WO99/53003 A1は、アミンオキシド系の非イオン性界面活性剤を含有する、床表面、キッチン壁、及び器具に付着する酸化した油染みの除去のための洗剤組成物を開示している。この文書は、アミンオキシドが、洗浄力を改善し、同時に、洗剤組成物に同様に含有される非水溶性有機溶媒のための可溶化剤として作用することを教示している。しかしながら、この文書はまた、アミンオキシド系界面活性剤の含有量が20重量%未満であるとき、洗浄力が酸化した油染みまたはしつこい変性した油染みを除去するのに不十分であることも教示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、化粧品及び医薬品の製造において見られる高疎水性の顔料含有または非顔料含有残渣を効果的に洗浄する新しい洗剤の必要性が存在する。
【0007】
多くの調査研究に基づき、これらの必要性を満たす新規の洗剤組成物を開発してきたことは、出願者の功績である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
典型的には化粧品組成物及び医薬組成物の製造及び包装において見られる広範囲の疎水性残渣を効果的に除去するその能力のために特に選択される、非イオン性界面活性剤、共界面活性剤、及び有機アルカリ剤の組み合わせに基づく洗剤組成物を使用することによって、これらの不利点が克服され得ることがわかったことは、出願者の功績である。これらの残渣は、例えば、ファンデーション、日焼け止め、口紅、マスカラ、練り歯磨きなどの最終製品、ファンデーションベース、クリームなどの半製品、または例えば、ヘクトライト及びその誘導体などの改質粘土を含有する揮発性もしくは不揮発性のゲル及びシリコーンなどの原材料であってもよい。
【0009】
したがって、本発明は、製造及び包装装置、または化粧品組成物もしくは医薬組成物を製造もしくは包装するために使用される任意の他のハードウェアの表面からの、顔料含有または非顔料含有疎水性残渣の除去のための、洗剤組成物の使用に関し、前述の洗剤組成物は、
−アルコキシル化脂肪族アルコールの中から選択される非イオン性界面活性剤と、
−アミンオキシド、アルキルサルフェート、及びアルキルスルホネートの中から選択される非芳香族共界面活性剤と、
−モノエタノールアミンを除外するアミノアルコールの中から選択される有機アルカリ剤と、を含み、
非芳香族共界面活性剤は、組成物の総重量に基づいて1〜15重量%の量で洗剤組成物中に含有される。
【0010】
非イオン性界面活性剤、共界面活性剤、及び有機アルカリ剤のこの特定の組み合わせは、実際に、製造及び包装設備から、ならびに化粧品組成物または医薬組成物を製造または包装するために使用される任意の他のハードウェアから、極端に疎水性の顔料含有または非顔料含有残渣さえも効果的に除去することを可能にする。この他のハードウェアとしては、特に、ステンレス鋼製の桶、へら、移送及び吸引管、移送及び吸引ポンプ、包装ラインのための投与口及び充填口が挙げられる。
【発明の効果】
【0011】
従来技術で使用される洗剤とは対照的に、この特定の組み合わせに基づく洗剤の本発明に従った使用は、ファンデーション、口紅、ウォータープルーフマスカラ、練り歯磨きなどの幅広い異なる残渣、ならびに極端に疎水性の顔料含有原材料、例えば、ヘクトライト及びその誘導体などの改質粘土、特にベントンの除去を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に従った、KOPHANIOS CIP MAXI PP(Laboratoires Anios)及び組成物C7を用いた性能試験の前及び後の着色した乾燥皮膚用保湿クリームの残渣の写真。
図2】本発明に従った、KOPHANIOS CIP MAXI PP(Laboratoires Anios)及び組成物C7を用いた性能試験の前及び後の口紅の残渣の写真。
図3】本発明に従った、KOPHANIOS CIP MAXI PP(Laboratoires Anios)及び組成物C7を用いた性能試験の前及び後の黒色ウォータープルーフマスカラの残渣の写真。
図4】本発明に従った、KOPHANIOS CIP MAXI PP(Laboratoires Anios)及び組成物C7を用いた性能試験の前及び後のホワイトニング練り歯磨きの残渣の写真。
【発明を実施するための形態】
【0013】
アルコキシル化脂肪族アルコールの中から選択されるアルコキシル化非イオン性界面活性剤は、いくつかのアルコキシル化脂肪族アルコールの混合物であってもよい。そのような混合物は、例えば、エトキシ化、プロポキシル化、ブトキシル化、及び任意にペントキシル化脂肪族アルコールを含有することができる。好ましくは、アルコキシル化脂肪族アルコール(複数可)は、アルコキシル化C5〜C11分岐脂肪族アルコールである。したがって、本発明の好ましい非イオン性界面活性剤は、エトキシ化、プロポキシル化、ブトキシル化、及び任意にペントキシル化C5〜C11分岐脂肪族アルコールの混合物を含有する。この種類の界面活性剤において、短い分岐鎖は、高い臨界ミセル濃度(CMC)を付与し、したがって、低用量でのミセルの形成を制限し(洗浄力に対する界面活性剤の可用性)、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、及び特にブチレンオキシド、ならびに任意にペンチレンオキシドの単位からなる親水性部分は、界面活性剤に対して非常に顕著な消泡効果を付与する。加えて、ブチレンオキシドの存在の結果である立体障害は、この界面活性剤をアルカリ媒体中で安定させることに関与する。これらの界面活性剤は、強力な湿潤力を非常に弱い発泡効果と組み合わせ、加えて、生分解性である。本発明に特に好適である非イオン性界面活性剤の例としては、Plurafac(登録商標)LF、特に、Plurafac(登録商標)LF 305、Plurafac(登録商標)LF 120、及びPlurafac(登録商標)LF 711の名でBASF社(Ludwigshafen,Germany)によって市販されているアルコキシル化脂肪族アルコールである。
【0014】
アルコキシル化非イオン性界面活性剤は、組成物の総重量に基づいて、3〜20重量%、好ましくは5〜15重量%、より好ましくは5〜10重量%、さらにより好ましくは約10重量%の量で洗浄組成物中に有利に含有される。
【0015】
非芳香族共界面活性剤は、アミンオキシド、アルキルサルフェート、及びアルキルスルホネートの中から選択される。アミンオキシドとしては、特に、C10〜C16アルキルジメチルアミンオキシドが挙げられる。好ましいアミンオキシドは、例えば、Stepan社(Stepan Europe,Voreppe,France)によってAmmonyx(登録商標)DO40の名で市販されている、N,N−ジメチルデシルアミンオキシドである。アルキルサルフェート及びアルキルスルホネートに関して、それらは、特に、ナトリウム、カリウム、またはアンモニウムサルフェート及びスルホネート、好ましくはナトリウムサルフェート及びスルホネートであってもよい。アルキルサルフェートとしては、特に、C6〜C10アルキルサルフェートが挙げられる。好ましいアルキルサルフェートは、EMPICOL(登録商標)0585/U(Huntsman)の名で市販されている、2−エチルヘキシルサルフェートである。アルキルスルホネートとしては、特に、C6〜C8アルキルスルホネートが挙げられる。そのような商業的アルキルスルホネートの例は、Stepan社(Stepan Europe,Voreppe,France)によって市販されているBIO−TERGE(登録商標)PAS−7Sである。
【0016】
非芳香族共界面活性剤は、組成物の重量に関連して、1〜15重量%、好ましくは3〜10重量%、より好ましくは3〜6重量%、さらにより好ましく約6重量%の量で洗浄組成物中に含有される。
【0017】
モノエタノールアミンを除外するアミノアルコールの中から選択される有機アルカリ剤の使用は、腐食に敏感である材料を劣化させることなく、または強力な炭酸化の傾向を有することなく、予備アルカリ度を提供するという利点を有する。好ましくは、アミノアルコールは、トリエタノールアミン及び2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールから選択され、より好ましくは、アミノアルコールは、トリエタノールアミンである。
【0018】
アミノアルコールの中から選択される有機アルカリ剤は、組成物の総重量に基づいて、5〜50重量%、好ましくは10〜40重量%、さらにより好ましくは15〜30重量%の量で洗浄組成物中に有利に含有される。
【0019】
本発明に従って使用される洗剤組成物は、芳香族ヒドロトロープをさらに含むことができる。この芳香族ヒドロトロープ剤は、例えば、キシレンスルホネート、トルエンスルホネート、及びクメンスルホネートの中から選択され得る。スルホネートは、特に、ナトリウム、カリウム、またはアンモニウムスルホネート、好ましくはナトリウムスルホネートであってもよい。キシレンスルホネートは、HPLCによる、特にすすぎ水中での洗剤の濃度の監視を可能にするため、好ましい。当業者であれば、特に使用される有機アルカリ剤及びアルコキシル化非イオン性界面活性剤の量に応じて、芳香族ヒドロトロープの量を適応させる方法を理解するであろう。
【0020】
本発明に従って使用される洗剤組成物は、アルカリ性水酸化物をさらに含むことができる。好ましくは、洗剤組成物は、洗剤組成物の総重量に基づいて、5重量%未満、好ましくは3重量%未満、さらにより好ましくは2重量%未満のアルカリ性水酸化物を含む。アルカリ性水酸化物は、特に、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムから選択され得る。
【0021】
本発明に従って使用される洗剤組成物は、例えば、プロピレングリコールもしくはエチレングリコールなどの第3の溶媒などの他の補助剤、及び/またはフロキュレーション防止剤をさらに含むことができる。フロキュレーション防止剤は、例えば、ホスホン酸及びそのアルカリ塩(ホスホネート)、例えば、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリメチレンホスホン酸、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、ホスホノブタントリカルボン酸、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸、またはアクリル酸もしくはそのアルカリ金属塩(ポリアクリレート)に基づくホモポリマー、コポリマー、もしくはターポリマーであってもよい。
【0022】
すぐに使える洗浄組成物は、一般に、7〜13、好ましくは8〜12のpHを有する。
【0023】
特定の実施形態では、洗剤組成物は、ポリアスパラギン酸もしくはグルコン酸、またはその塩のうちの1つを含有しない。
【0024】
本発明に従った使用において、洗剤組成物は、40〜85℃、好ましくは55〜70℃、より好ましくは60〜70℃、より好ましくは約65℃の温度で有利に使用される。
【0025】
本発明に従った使用の好ましい実施形態によれば、洗剤組成物は、乱流を有する動的洗浄システムで使用される。有利に、乱流を有する動的洗浄システムは、定置洗浄、撹拌を伴う浸漬、洗浄ボールを用いた閉回路内での洗浄、洗濯機内での洗浄、及び洗濯キャビネット内での洗浄の中から選択される。
【0026】
本発明はまた、上記の本発明に従った使用において使用される洗剤組成物に関する。この組成物は、使用前に水、好ましくは軟水、脱塩水、もしくは浸透水で希釈される濃縮物の形態であってもよく、またはすぐに使える溶液の形態であってもよい。
【0027】
本発明は、ここで、本発明の非限定的な実施形態の実施例を用いて説明される。
【実施例】
【0028】
いくつかの洗剤組成物を、典型的には、化粧品の製造において見られる異なる残渣を除去するそれらの能力について評価した。
【0029】
A.試験された洗剤組成物
A.1.アミンオキシドを有する組成物
本発明に従った6つ(C4〜C9)を含む9つの洗剤組成物を調製及び試験した。従来技術の2つの組成物も試験した。
【0030】
表1は、これらの組成物のうちの9つの組成物を示し、他の2つの組成物は、それぞれ、KOPHANIOS CIP MAXI PP(Laboratoires Anios,Hellemmes,France)、及び特許出願第EP 1 200 544号の実施例3の洗剤である。
【表1】
【0031】
A.2.アルキルサルフェートまたはアルキルスルホネートを有する組成物
共界面活性剤がアルキルサルフェートまたはアルキルスルホネートである、本発明の6つ(C14〜C18)を含む9つの洗剤組成物(C10〜C18)を調製した。表2は、これらの組成物の各々の組成を示す。
【表2】
【0032】
B.性能試験
1)試験プロトコル
これらの性能試験を、以下の試験プロトコルに従って、軟水中5%v/vの希釈で組成物C1〜C19、Kophanios CIP MAXI PP(KCMPP)、及び特許出願第EP 1 200 544号の実施例3の洗剤を用いて実施した。
【0033】
補助物:200mLの容積を有する316Lステンレス鋼ビーカー。
1)ビーカーの内壁上の除去される生成物の均一な層の付着。
2)10分間の周囲空気中の乾燥。
3)試験される洗剤液でビーカーを3/4充填。
4)65±5℃の温度で30分間、磁気撹拌器上の磁化棒を用いた溶液の撹拌。
【0034】
洗浄力の定量化を、視覚的評価(残っている生成物、形跡、光沢など)によって行った。
【0035】
2)試験の結果
性能試験は、非イオン性界面活性剤、共界面活性剤、及び有機アルカリ剤の特定の組み合わせを含有する洗剤組成物のみが、試験した全ての残渣の満足のいく除去を可能にすることを明確に実証した。以下の表3及び4は、結果を要約する。
【表3】
【表4】
【0036】
図1〜4で再現された写真は、KOPHANIOS CIP MAXI PPと比較した組成物C7の洗浄性能の優位性を示す。組成物C7は、試験した全ての残渣に対して対照の製品KOPHANIOS CIP MAXI PPよりも明確に良好に機能し、組成物C9は、組成物C7と同じレベルの性能を示す。
以下の項目[1]〜[17]に、本発明の実施形態の例を列記する。
[1]
製造もしくは包装デバイス、または化粧品組成物もしくは医薬組成物を製造もしくは包装するために使用される任意の他のハードウェアから、場合によっては顔料を含有する疎水性残渣を除去するための洗剤組成物の使用であって、前記洗剤組成物は、
アルコキシル化脂肪族アルコールの中から選択される非イオン性界面活性剤と、
アミンオキシド、アルキルサルフェート、及びアルキルスルホネートの中から選択される非芳香族共界面活性剤と、
モノエタノールアミンを除外するアミノアルコールの中から選択される有機アルカリ剤と、を含み、
前記非芳香族共界面活性剤は、前記組成物の総重量に基づいて1〜15重量%の量で前記洗剤組成物中に含有される、使用。
[2]
前記非イオン性界面活性剤は、エトキシ化、プロポキシル化、ブトキシル化、及び任意にペントキシル化脂肪族アルコールを含有する、アルコキシル化脂肪族アルコールの混合物である、項目1に記載の使用。
[3]
前記非芳香族共界面活性剤は、アミンオキシド、アルキルサルフェート、及びアルキルスルホネートの中から選択される、項目1または2に記載の使用。
[4]
前記非芳香族共界面活性剤は、アミンオキシド、好ましくは、N,N−ジメチルC10〜C16アルキルアミンオキシド、より好ましくは、N,N−ジメチルデシルアミンオキシドである、項目3に記載の使用。
[5]
前記アミンアルコールの中から選択される前記有機アルカリ剤は、トリエタノールアミンである、項目1〜4のいずれか1項に記載の使用。
[6]
前記洗剤組成物は、芳香族ヒドロトロープをさらに含む、項目1〜5のいずれか1項に記載の使用。
[7]
前記洗剤組成物は、前記洗剤組成物の総重量に基づいて5重量%未満のアルカリ性水酸化物を含む、項目1〜6のいずれか1項に記載の使用。
[8]
前記洗剤組成物は、40〜85℃の温度で使用される、項目1〜7のいずれか1項に記載の使用。
[9]
前記洗剤組成物は、乱流を有する動的洗浄システムで使用される、項目1〜8のいずれか1項に記載の使用。
[10]
乱流を有する前記動的洗浄システムは、定置洗浄、撹拌を伴う浸漬、洗浄ボールを用いた閉回路内での洗浄、洗濯機内での洗浄、及び洗濯キャビネット内での洗浄の中から選択される、項目9に記載の使用。
[11]
洗剤組成物であって、
アルコキシル化脂肪族アルコールの中から選択される非イオン性界面活性剤と、
アミンオキシド、アルキルサルフェート、及びアルキルスルホネートの中から選択される非芳香族共界面活性剤と、
モノエタノールアミンを除外するアミノアルコールの中から選択される有機アルカリ剤と、を含み、
前記非芳香族共界面活性剤は、前記組成物の総重量に基づいて1〜15重量%の量で前記洗剤組成物中に含有される、洗剤組成物。
[12]
前記非イオン性界面活性剤は、エトキシ化、プロポキシル化、ブトキシル化、及び任意にペントキシル化脂肪族アルコールを含有する、アルコキシル化脂肪族アルコールの混合物である、項目11に記載の洗剤組成物。
[13]
前記非芳香族共界面活性剤は、アミンオキシド、アルキルサルフェート、及びアルキルスルホネートの中から選択される、項目11または12に記載の洗剤組成物。
[14]
前記非芳香族共界面活性剤は、アミンオキシド、N,N−ジメチルC10〜C16アルキルアミンオキシド、好ましくは、N,N−ジメチルデシルアミンオキシドである、項目13に記載の洗剤組成物。
[15]
前記アミノアルコールの中から選択される前記有機アルカリ剤は、トリエタノールアミンである、項目11〜14のいずれか1項に記載の洗剤組成物。
[16]
前記洗剤組成物は、芳香族ヒドロトロープをさらに含む、項目11〜15のいずれか1項に記載の洗剤組成物。
[17]
前記洗剤組成物は、前記洗剤組成物の総重量に基づいて5重量%未満のアルカリ性水酸化物を含む、項目11〜16のいずれか1項に記載の洗剤組成物。
図1
図2
図3
図4