【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和2年2月25日 ウェブサイト(https://www.fe−trading.com/page/hayabusa)にて公開
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記樹脂部材の中心を通りかつ前記研磨面と直交する方向の前記樹脂部材の断面において、前記第2領域における前記空隙の境界線の前記研磨面に対する角度が30度以上60度以下であることを特徴とする、
請求項4に記載の研磨用バフ。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態に係る研磨用バフ1の構造を示す図である。研磨用バフ1は、例えば円盤状であり、研磨用バフ1を回転させる研磨機に装着された状態で使用される。
【0013】
研磨用バフ1は、研磨部材11、及び樹脂部材12を有する。研磨部材11は、例えばウール製である。研磨部材11は、例えば化学繊維製であってもよい。研磨部材11は、研磨面111を有する。研磨面111は、被研磨部材に接する面である。被研磨部材は、例えば塗装面を有する部材を含む。
図1に示す研磨面111には、複数の毛が設けられている。
【0014】
樹脂部材12は、可撓性を有する。樹脂部材12は、例えば発泡ウレタン製である。樹脂部材12は、柔軟性を考慮すると、例えば発泡目(セル数)において約30〜80個/25mmの発泡ウレタン製が望ましい。樹脂部材12は、研磨部材11の研磨面111とは反対側の面に固定されている。樹脂部材12には、空隙121が形成されている。空隙121は積層方向において樹脂部材12を貫通している。空隙121は、研磨部材11と樹脂部材12との積層方向(以下、「積層方向」という。)において、研磨面111と平行な方向における空隙121の最大長(以下、「最大長」という。)が異なる複数の領域を有する。
【0015】
具体的には、空隙121は、第1領域122、及び第2領域123を有する。第1領域122は、積層方向において最大長が一定の領域である。第2領域123は、積層方向において研磨部材11と接する位置に向けて最大長が大きくなる領域である。
【0016】
第2領域123は、研磨部材11と接する位置における最大長が最大である。具体的には、第2領域123は、研磨部材11に接する位置の内径が最大になる円錐状の内側面を有する。
図1に示すように、樹脂部材12の中心を通りかつ研磨面111と直交する方向の樹脂部材12の断面において、第2領域123における空隙121の境界線は直線状である。空隙121が研磨部材11に接する位置における第2領域123の内側面が積層方向に対して傾いているので、当該位置において第2領域123の内側面が積層方向である場合に比べて、当該位置において研磨部材11に加わる圧力が小さい。その結果、研磨用バフ1においては、研磨面111に加わる力の偏りが生じづらくなる。
【0017】
研磨用バフ1は、このように空隙121が積層方向において樹脂部材12を貫通していることで、研磨用バフ1が高トルクを伴う高回転数で回っている間に研磨部材11が研磨面に加える圧力が小さくなるので、研磨面で発生する熱を抑制することができる。また、研磨用バフ1は、空隙121が、内側面が積層方向に対して傾いている第2領域123を有することで、空隙121が研磨部材11に接する位置に大きな圧力が加わることを抑制できる。その結果、研磨部材11が劣化したり、研磨部材11の毛が抜けて空隙121を介して研磨機にからまったり、被研磨部材の塗装面が過熱したりすることを抑制できる。なお、研磨用バフ1は、樹脂部材12における研磨部材11と反対側の面に、研磨用バフ1を研磨機に取り付けるための起毛布を有していてもよい。
【0018】
[変形例1〜変形例7]
図2は、変形例1〜変形例7としての研磨用バフ1a〜1gの構造を示す図である。
図2(a)は、変形例1としての研磨用バフ1aの構造を示す図である。
図2(b)は、変形例2としての研磨用バフ1bの構造を示す図である。
図2(c)は、変形例3としての研磨用バフ1cの構造を示す図である。
図2(d)は、変形例4としての研磨用バフ1dの構造を示す図である。
図2(e)は、変形例5としての研磨用バフ1eの構造を示す図である。
図2(f)は、変形例6としての研磨用バフ1fの構造を示す図である。
図2(g)は、変形例7としての研磨用バフ1gの構造を示す図である。
【0019】
上記第1の実施形態においては、樹脂部材12の中心を通りかつ研磨面111と直交する方向の樹脂部材12の断面において、第2領域123における空隙121の境界線が直線状である例を示したが、これに限定されない。樹脂部材12aの中心を通りかつ研磨面111と直交する方向の樹脂部材12aの断面において、第2領域123aにおける空隙121aの境界線は円弧上であってもよい。
【0020】
図2(a)に示すように、研磨用バフ1aは、樹脂部材12の代わりに樹脂部材12aを有する。樹脂部材12aには、空隙121aが形成されている。空隙121aは、第1領域122a、及び第2領域123aを有する。第1領域122aは、積層方向において最大長が一定の領域である。第2領域123aは、積層方向において研磨部材11と接する位置に向けて最大長が大きくなる領域である。第2領域123aは、研磨部材11と接する位置における最大長が最大である。樹脂部材12aの中心を通りかつ研磨面111と直交する方向の樹脂部材12aの断面において、第2領域123aにおける空隙121aの境界線は円弧状である。
【0021】
上記第1の実施形態においては、空隙121は、積層方向において樹脂部材12を貫通しており、積層方向において最大長が一定の第1領域122と、積層方向において研磨部材11と接する位置に向けて最大長が大きくなる第2領域123と、を有する例を示したが、これに限定されない。空隙121bは、積層方向において樹脂部材12bを貫通しておらず、積層方向において研磨部材11と接する位置に向けて最大長が大きくなる領域を有していてもよい。
【0022】
図2(b)に示すように、研磨用バフ1bは、樹脂部材12の代わりに樹脂部材12bを有する。樹脂部材12bには、空隙121bが形成されている。空隙121bは、積層方向において樹脂部材12bを貫通していない。空隙121bは、積層方向において研磨部材11と接する位置に向けて最大長が大きくなる領域を有する。空隙121bは、研磨部材11と接する位置における最大長が最大である。樹脂部材12bの中心を通りかつ研磨面111と直交する方向の樹脂部材12bの断面において、空隙121bの境界線は直線状である。
【0023】
また、
図2(c)に示すように、研磨用バフ1cは、樹脂部材12の代わりに樹脂部材12cを有する。樹脂部材12cには、空隙121cが形成されている。空隙121cは、積層方向において樹脂部材12cを貫通していない。空隙121cは、積層方向において研磨部材11と接する位置に向けて最大長が大きくなる領域を有する。空隙121cは、研磨部材11と接する位置における最大長が最大である。樹脂部材12cの中心を通りかつ研磨面111と直交する方向の樹脂部材12cの断面において、空隙121cの境界線は円弧状であってもよい。
【0024】
上記第1の実施形態においては、空隙121は、積層方向において樹脂部材12を貫通しており、積層方向において最大長が一定の第1領域122と、積層方向において研磨部材11と接する位置に向けて最大長が大きくなる第2領域123と、を有する例を示したが、これに限定されない。空隙121dは、積層方向において樹脂部材12dを貫通しており、積層方向において最大長が一定の第1領域122dと、積層方向において研磨部材11と接する側とは反対側の面に向けて最大長が大きくなる第3領域124dと、を有していてもよい。
【0025】
図2(d)に示すように、研磨用バフ1dは、樹脂部材12の代わりに樹脂部材12dを有する。樹脂部材12dには、空隙121dが形成されている。空隙121dは、積層方向において樹脂部材12dを貫通している。空隙121dは、第1領域122d、及び第3領域124dを有する。第1領域122dは、積層方向において最大長が一定の領域である。第3領域124dは、積層方向において研磨部材11と接する側とは反対側の面に向けて最大長が大きくなる領域である。第3領域124dは、研磨部材11と接する側とは反対側の面における最大長が最大である。樹脂部材12dの中心を通りかつ研磨面111と直交する方向の樹脂部材12dの断面において、第3領域124dにおける空隙121dの境界線は直線状である。
【0026】
また、
図2(e)に示すように、研磨用バフ1eは、樹脂部材12の代わりに樹脂部材12eを有する。樹脂部材12eには、空隙121eが形成されている。空隙121eは、積層方向において樹脂部材12eを貫通している。空隙121eは、第1領域122e、及び第3領域124eを有する。第1領域122eは、積層方向において最大長が一定の領域である。第3領域124eは、積層方向において研磨部材11と接する側とは反対側の面に向けて最大長が大きくなる領域である。第3領域124eは、研磨部材11と接する側とは反対側の面における最大長が最大である。樹脂部材12eの中心を通りかつ研磨面111と直交する方向の樹脂部材12eの断面において、第3領域124eにおける空隙121eの境界線は円弧状であってもよい。
【0027】
上記第1の実施形態においては、空隙121は、積層方向において樹脂部材12を貫通しており、積層方向において最大長が一定の第1領域122と、積層方向において研磨部材11と接する位置に向けて最大長が大きくなる第2領域123と、を有する例を示したが、これに限定されない。空隙121fは、積層方向において樹脂部材12fを貫通しておらず、積層方向において研磨部材11と接する側とは反対側の面に向けて最大長が大きくなる領域を有していてもよい。
【0028】
図2(f)に示すように、研磨用バフ1fは、樹脂部材12の代わりに樹脂部材12fを有する。樹脂部材12fには、空隙121fが形成されている。空隙121fは、積層方向において樹脂部材12fを貫通していない。空隙121fは、積層方向において研磨部材11と接する側とは反対側の面に向けて最大長が大きくなる領域を有する。空隙121fは、研磨部材11と接する側とは反対側の面における最大長が最大である。樹脂部材12fの中心を通りかつ研磨面111と直交する方向の樹脂部材12fの断面において、空隙121fの境界線は直線状である。
【0029】
また、
図2(g)に示すように、研磨用バフ1gは、樹脂部材12の代わりに樹脂部材12gを有する。樹脂部材12gには、空隙121gが形成されている。空隙121gは、積層方向において樹脂部材12gを貫通していない。空隙121gは、積層方向において研磨部材11と接する側とは反対側の面に向けて最大長が大きくなる領域を有する。空隙121gは、研磨部材11と接する側とは反対側の面における最大長が最大である。樹脂部材12gの中心を通りかつ研磨面111と直交する方向の樹脂部材12gの断面において、空隙121gの境界線は円弧状であってもよい。
【0030】
[研磨用バフ1の性能試験]
次に、第1の実施形態に係る研磨用バフ1の性能試験の結果を示す。性能試験においては、最も効果的な空隙121の形状を評価するために試作品を用いて試験を行った。
【0031】
取り付け機械は、RUPES LHR−15ES(15mmランダムオービット)である。研磨対象は、トヨタクラウンボンネットフード(202ブラック)である。研磨剤は、KATANA NANO(細目〜超微粒子)である。テストバフ素材は、ウールバフ1層タイプである。
【0032】
性能試験においては、樹脂部材12の中心を通りかつ研磨面111と直交する方向の樹脂部材12の断面において、第2領域123における空隙121の境界線の研磨面111に対する角度(以下、「角度」という。)が異なる5つの研磨用バフ1を準備した。また、樹脂部材12aの中心を通りかつ研磨面111と直交する方向の樹脂部材12aの断面において、第2領域123aにおける空隙121aの境界線が円弧状であり、円弧が円の1/4の円弧である研磨用バフ1aを準備した。
【0033】
性能試験においては、研磨対象として被研磨部材の塗装面の一定の面積(50cm角)を決めて、研磨剤を規定量(3g)つけて同一時間(60秒)研磨した。性能試験においては、各項目(研磨結果、抵抗感、及び毛抜け)をそれぞれ5段階評価で相対的に評価した。そして、各項目の合計を総合評価とした。
【0034】
表1は、研磨用バフ1、1aの性能試験の結果である。
研磨結果の項目は、数値が大きいほど研磨結果が良く、数値が小さいほど研磨結果が悪いことを示す。抵抗感の項目は、数値が大きいほど抵抗感が弱く、数値が小さいほど抵抗感が強いことを示す。毛抜けの項目は、数値が大きいほど毛抜けが少なく、数値が小さいほど毛抜けが多いことを示す。よって、各項目、及び総合評価の項目は、それぞれ数値が大きいほど性能試験の結果が良いことを示し、数値が小さいほど性能試験の結果が悪いことを示す。
【0036】
実施例1から実施例5は、角度が異なる研磨用バフ1の性能試験の結果である。実施例1では、角度は0度である。実施例1では、研磨結果は2、抵抗感は2、毛抜けは2となり、総合評価は6となった。実施例2では、角度は30度である。実施例2では、研磨結果は3、抵抗感は3、毛抜けは4となり、総合評価は10となった。実施例3では、角度は45度である。実施例3では、研磨結果は4、抵抗感は4、毛抜けは4となり、総合評価は12となった。
【0037】
実施例4では、角度は60度である。実施例4では、研磨結果は3、抵抗感は3、毛抜けは3となり、総合評価は9となった。実施例5では、角度は90度である。実施例5では、研磨結果は2、抵抗感は2、毛抜けは2となり、総合評価は6となった。実施例6は、第2領域123aにおける空隙121aの境界線が円弧状であり、円弧が円の1/4の円弧である研磨用バフ1aの性能試験の結果である。実施例6では、研磨結果は5、抵抗感は4、毛抜けは5となり、総合評価は14となった。
【0038】
性能試験の結果から、実施例2〜実施例6の総合評価は、実施例1の総合評価以上であり、樹脂部材12の中心を通りかつ研磨面111と直交する方向の樹脂部材12の断面において、第2領域123における空隙121の境界線の研磨面111に対する角度が30度以上60度以下であることが望ましいと判明した。最も総合評価が高いのは、実施例6であった。そして、次に総合評価が高いのは、実施例3であった。ただし、量産のコストを考慮した場合に最適であるのは、実施例3であった。
【0039】
毛抜けについても、実施例2〜実施例6の評価は、実施例1の評価以上であった。毛抜けについて最も評価が高いのは、実施例6であった、そして、次に、評価が高いのは、実施例2及び実施例3であった。樹脂部材12の空隙121の付近に加わる力が最も大きくなりづらいのは実施例6であり、実施例6の次に樹脂部材12の空隙121の付近に加わる力が大きくなりづらいのは、実施例2及び実施例3であることにより、このような結果を得られたと考えられる。
【0040】
研磨用バフ1において、樹脂部材12の中心を通りかつ研磨面111と直交する方向の樹脂部材12の断面において、第2領域123における空隙121の境界線が直線状である場合に、角度が45度の場合が毛抜けが生じづらいことがわかった。実施例3においては、角度が45度であるため、樹脂部材12の空隙121の付近に加わる力を均一に分散させ易いためと考えられる。一方、実施例5の空隙121は、研磨面111に接する位置における境界線が積層方向になっているため、実施例1との違いがあまり生じなかったと考えられる。
【0041】
[研磨用バフ1の圧力分布測定試験]
次に、第1の実施形態に係る研磨用バフ1の圧力分布測定試験の結果を示す。圧力分布測定試験においては、研磨用バフ1の圧力分散効果を視覚的に確認するために、以下の試験を行った。
【0042】
測定機材は、XSENSOR社 X3SeatSystemである。X3SeatSystemは、センサーシートを含む。センサーシートは複数の圧力センサを有するシートである。テストバフ素材は、ウールバフ1層タイプである。
【0043】
表2は、圧力分布測定試験において準備した研磨用バフ1の仕様を示す。
圧力分布測定試験においては、角度が異なる2つの研磨用バフ1を準備した。実施例Aでは、角度は45度である。比較例Bでは、角度は0度である。
【0045】
圧力分布測定試験においては、研磨機に研磨用バフ1を装着し、センサーシートと研磨用バフ1の研磨面111が平行に接触する状態にして、無負荷の状態から負荷をかけていき研磨用バフ1が潰れるまで動かした。
【0046】
図3は、実施例Aの圧力分布図である。
図3の左軸及び上軸に示す数値は、座標を示す。
図4は、実施例Aの圧力分布データを数値で示す図である。
図4(a)は、実施例Aにおける位置ごとの圧力分布を数値で示す図である。
図4(a)に示す各数値は、研磨面111の各位置における圧力(kPa)を示す。
図4(b)は、実施例Aの各種の測定条件を示す表である。
【0047】
図5は、比較例Bの圧力分布図である。
図5の左軸及び上軸に示す数値は、座標を示す。
図6は、比較例Bの圧力分布データを数値で示す図である。
図6(a)は、比較例Bにおける位置ごとの圧力分布を数値で示す図である。
図6(a)に示す各数値は、研磨面111の各位置における圧力(kPa)を示す。
図6(b)は、比較例Bの各種の測定条件を示す表である。
【0048】
図3及び
図4(a)に示すように、実施例Aでは、研磨面111の中心部分に圧力が高い領域が集中しておらず、中心から離れるにつれて圧力が徐々に高くなっていることがわかる。これに対して、
図5及び
図6(a)に示すように、比較例Bでは、研磨面111の空隙121の縁から圧力が高くなっていることがわかる。これらの結果から、実施例Aは、比較例Bに比べて、研磨面111に加わる圧力の分散が効果的に行われていることが実証されたと言える。
【0049】
図4(b)に示すように、実施例Aでは、平均圧力は5.77kPa、ピーク圧力は8.67kPaであった。一方、
図6(b)に示すように、比較例Bでは、平均圧力は6.3kPa、ピーク圧力は9.71kPaであった。これらの結果から、実施例Aでは、比較例Bに比べて、平均圧力及びピーク圧力が低くなったことがわかる。
【0050】
[第1の実施形態に係る研磨用バフ1による効果]
第1の実施形態に係る研磨用バフ1は、研磨面111を有する研磨部材11と、研磨部材11の研磨面111とは反対側の面に固定されており、空隙121が形成されている樹脂部材12と、を有する。そして、空隙121は、研磨部材11と樹脂部材12との積層方向において、研磨面111と平行な方向における空隙121の最大長が異なる複数の領域を有する。
【0051】
第1の実施形態に係る研磨用バフ1においては、このように樹脂部材12に形成されている空隙121が、研磨部材11と樹脂部材12との積層方向において、研磨面111と平行な方向における空隙121の最大長が異なる複数の領域を有する。したがって、研磨用バフ1においては、樹脂部材12に形成されている空隙121の付近に加わる力が大きくなりづらくなる。その結果、研磨用バフ1においては、研磨面111に加わる力の偏りが生じづらくなる。よって、研磨用バフ1においては、樹脂部材12に形成されている空隙121の縁の付近の毛が抜けづらくなるとともに、被研磨部材の塗装面に研磨剤が焼き付いたりしづらくなる。
【0052】
<第2の実施形態>
図7は、第2の実施形態に係る研磨用バフ1hの構造を示す図である。
第2の実施形態に係る研磨用バフ1hは、第1の実施形態に係る研磨用バフ1と比べて、樹脂部材12hが第1樹脂部材125h及び第2樹脂部材126hを有し、空隙121hが、第1樹脂部材125h及び第2樹脂部材126hの少なくとも一方に形成されている点で異なる。
【0053】
研磨用バフ1hは、研磨部材11、及び樹脂部材12hを有する。樹脂部材12hは、第1樹脂部材125h、及び第2樹脂部材126hを有する。第1樹脂部材125hは、研磨部材11の研磨面111とは反対側の面に固定されている。第2樹脂部材126hは、第1樹脂部材125hの研磨部材11に固定されている面とは反対側の面に固定されている。第2樹脂部材126hは、第1樹脂部材125hよりも硬い。
【0054】
空隙121hは、第1樹脂部材125h及び第2樹脂部材126hの少なくとも一方に形成されている。
図7に示すように、空隙121hは、第1樹脂部材125h及び第2樹脂部材126hに形成されている。研磨用バフ1hにおいては、このように樹脂部材12hが第1樹脂部材125h及び第2樹脂部材126hを有し、空隙121hが第1樹脂部材125h及び第2樹脂部材126hの少なくとも一方に形成されている。したがって、研磨用バフ1hにおいては、樹脂部材12hに形成されている空隙121hの付近に加わる力が大きくなりづらくなる。
【0055】
さらに、研磨用バフ1hにおいては、空隙121hが第2樹脂部材126hよりも柔らかい第1樹脂部材125hに形成されていることで、樹脂部材12hに形成されている空隙121hの付近に加わる力がさらに大きくなりづらくなる。また、研磨機に接する第2樹脂部材126hが第1樹脂部材125hよりも硬いので、研磨用バフ1hの劣化を抑制することができる。
【0056】
空隙121hは積層方向において樹脂部材12hを貫通している。空隙121hは、第1領域122h、及び第2領域123hを有する。第1領域122hは、積層方向において最大長が一定の領域である。第2領域123hは、積層方向において研磨部材11と接する位置に向けて最大長が大きくなる領域である。第2領域123hは、研磨部材11と接する位置における最大長が最大である。また、
図7に示すように、樹脂部材12hの中心を通りかつ研磨面111と直交する方向の樹脂部材12hの断面において、第2領域123hにおける空隙121hの境界線は直線状である。
【0057】
[変形例8〜変形例16]
図8は、変形例8〜変形例12としての研磨用バフ1i〜1mの構造を示す図である。
図8(i)は、変形例8としての研磨用バフ1iの構造を示す図である。
図8(j)は、変形例9としての研磨用バフ1jの構造を示す図である。
図8(k)は、変形例10としての研磨用バフ1kの構造を示す図である。
図8(l)は、変形例11としての研磨用バフ1lの構造を示す図である。
図8(m)は、変形例12としての研磨用バフ1mの構造を示す図である。
【0058】
図9は、変形例13〜変形例16としての研磨用バフ1n〜1qの構造を示す図である。
図9(n)は、変形例13としての研磨用バフ1nの構造を示す図である。
図9(o)は、変形例14としての研磨用バフ1oの構造を示す図である。
図9(p)は、変形例15としての研磨用バフ1pの構造を示す図である。
図9(q)は、変形例16としての研磨用バフ1qの構造を示す図である。
【0059】
上記第2の実施形態においては、樹脂部材12hの中心を通りかつ研磨面111と直交する方向の樹脂部材12hの断面において、第2領域123hにおける空隙121hの境界線は直線状である例を示したが、これに限定されない。樹脂部材12iの中心を通りかつ研磨面111と直交する方向の樹脂部材12iの断面において、第2領域123iにおける空隙121iの境界線は円弧上であってもよい。
【0060】
図8(i)に示すように、研磨用バフ1iは、樹脂部材12hの代わりに樹脂部材12iを有する。樹脂部材12iは、第1樹脂部材125i及び第2樹脂部材126iを有する。第1樹脂部材125i及び第2樹脂部材126iは、それぞれ第1樹脂部材125h及び第2樹脂部材126hと同様の構造を有する。
【0061】
樹脂部材12iには、空隙121iが形成されている。空隙121iは、第1領域122i、及び第2領域123iを有する。第1領域122iは、積層方向において最大長が一定の領域である。第2領域123iは、積層方向において研磨部材11と接する位置に向けて最大長が大きくなる領域である。第2領域123iは、研磨部材11と接する位置における最大長が最大である。樹脂部材12iの中心を通りかつ研磨面111と直交する方向の樹脂部材12iの断面において、第2領域123iにおける空隙121iの境界線は円弧状である。
【0062】
上記第2の実施形態においては、空隙121hは、積層方向において樹脂部材12hを貫通しており、積層方向において最大長が一定の第1領域122hと、積層方向において研磨部材11と接する位置に向けて最大長が大きくなる第2領域123hと、を有する例を示したが、これに限定されない。空隙121jは、積層方向において樹脂部材12jを貫通しておらず、積層方向において研磨部材11と接する位置に向けて最大長が大きくなる領域を有していてもよい。
【0063】
図8(j)に示すように、研磨用バフ1jは、樹脂部材12hの代わりに樹脂部材12jを有する。樹脂部材12jは、第1樹脂部材125j及び第2樹脂部材126jを有する。第1樹脂部材125j及び第2樹脂部材126jは、それぞれ第1樹脂部材125h及び第2樹脂部材126hと同様の構造を有する。
【0064】
樹脂部材12jには、空隙121jが形成されている。空隙121jは、積層方向において樹脂部材12jを貫通していない。空隙121jは、積層方向において研磨部材11と接する位置に向けて最大長が大きくなる領域を有する。空隙121jは、研磨部材11と接する位置における最大長が最大である。樹脂部材12jの中心を通りかつ研磨面111と直交する方向の樹脂部材12jの断面において、空隙121jの境界線は直線状である。
【0065】
また、
図8(k)に示すように、研磨用バフ1kは、樹脂部材12hの代わりに樹脂部材12kを有する。樹脂部材12kは、第1樹脂部材125k及び第2樹脂部材126kを有する。第1樹脂部材125k及び第2樹脂部材126kは、それぞれ第1樹脂部材125h及び第2樹脂部材126hと同様の構造を有する。
【0066】
樹脂部材12kには、空隙121kが形成されている。空隙121kは、積層方向において樹脂部材12kを貫通していない。空隙121kは、積層方向において研磨部材11と接する位置に向けて最大長が大きくなる領域を有する。空隙121kは、研磨部材11と接する位置における最大長が最大である。樹脂部材12kの中心を通りかつ研磨面111と直交する方向の樹脂部材12kの断面において、空隙121kの境界線は円弧状であってもよい。
【0067】
上記第2の実施形態においては、空隙121hが積層方向において樹脂部材12hを貫通しており、積層方向において最大長が一定の第1領域122hと、積層方向において研磨部材11と接する位置に向けて最大長が大きくなる第2領域123hと、を有する例を示したが、これに限定されない。空隙121lは、積層方向において樹脂部材12lを貫通しており、積層方向において最大長が一定の第1領域122lと、積層方向において研磨部材11と接する側とは反対側の面に向けて最大長が大きくなる第3領域124lと、を有していてもよい。
【0068】
図8(l)に示すように、研磨用バフ1lは、樹脂部材12hの代わりに樹脂部材12lを有する。樹脂部材12lは、第1樹脂部材125l及び第2樹脂部材126lを有する。第1樹脂部材125l及び第2樹脂部材126lは、それぞれ第1樹脂部材125h及び第2樹脂部材126hと同様の構造を有する。
【0069】
樹脂部材12lには、空隙121lが形成されている。空隙121lは、積層方向において樹脂部材12lを貫通している。空隙121lは、第1領域122l、及び第3領域124lを有する。第1領域122lは、積層方向において最大長が一定の領域である。第3領域124lは、積層方向において研磨部材11と接する側とは反対側の面に向けて最大長が大きくなる領域である。第3領域124lは、研磨部材11と接する側とは反対側の面における最大長が最大である。樹脂部材12lの中心を通りかつ研磨面111と直交する方向の樹脂部材12lの断面において、第3領域124lにおける空隙121lの境界線は直線状である。
【0070】
また、
図8(m)に示すように、研磨用バフ1mは、樹脂部材12hの代わりに樹脂部材12mを有する。樹脂部材12mは、第1樹脂部材125m及び第2樹脂部材126mを有する。第1樹脂部材125m及び第2樹脂部材126mは、それぞれ第1樹脂部材125h及び第2樹脂部材126hと同様の構造を有する。
【0071】
樹脂部材12mには、空隙121mが形成されている。空隙121mは、積層方向において樹脂部材12mを貫通している。空隙121mは、第1領域122m、及び第3領域124mを有する。第1領域122mは、積層方向において最大長が一定の領域である。第3領域124mは、積層方向において研磨部材11と接する側とは反対側の面に向けて最大長が大きくなる領域である。第3領域124mは、研磨部材11と接する側とは反対側の面における最大長が最大である。樹脂部材12mの中心を通りかつ研磨面111と直交する方向の樹脂部材12mの断面において、第3領域124mにおける空隙121mの境界線は円弧状であってもよい。
【0072】
上記第2の実施形態においては、空隙121hは、積層方向において樹脂部材12hを貫通しており、積層方向において最大長が一定の第1領域122hと、積層方向において研磨部材11と接する位置に向けて最大長が大きくなる第2領域123hと、を有する例を示したが、これに限定されない。空隙121nは、積層方向において樹脂部材12nを貫通しておらず、積層方向において研磨部材11と接する側とは反対側の面に向けて最大長が大きくなる領域を有していてもよい。
【0073】
図9(n)に示すように、研磨用バフ1nは、樹脂部材12hの代わりに樹脂部材12nを有する。樹脂部材12nは、第1樹脂部材125n及び第2樹脂部材126nを有する。第1樹脂部材125n及び第2樹脂部材126nは、それぞれ第1樹脂部材125h及び第2樹脂部材126hと同様の構造を有する。
【0074】
樹脂部材12nには、空隙121nが形成されている。空隙121nは、積層方向において樹脂部材12nを貫通していない。空隙121nは、積層方向において研磨部材11と接する側とは反対側の面に向けて最大長が大きくなる領域を有する。空隙121nは、研磨部材11と接する側とは反対側の面における最大長が最大である。樹脂部材12nの中心を通りかつ研磨面111と直交する方向の樹脂部材12nの断面において、空隙121nの境界線は直線状である。
【0075】
また、
図9(o)に示すように、研磨用バフ1oは、樹脂部材12hの代わりに樹脂部材12oを有する。樹脂部材12oは、第1樹脂部材125o及び第2樹脂部材126oを有する。第1樹脂部材125o及び第2樹脂部材126oは、それぞれ第1樹脂部材125h及び第2樹脂部材126hと同様の構造を有する。
【0076】
樹脂部材12oには、空隙121oが形成されている。空隙121oは、積層方向において樹脂部材12oを貫通していない。空隙121oは、積層方向において研磨部材11と接する側とは反対側の面に向けて最大長が大きくなる領域を有する。空隙121оは、研磨部材11と接する側とは反対側の面における最大長が最大である。樹脂部材12oの中心を通りかつ研磨面111と直交する方向の樹脂部材12oの断面において、空隙121oの境界線は円弧状であってもよい。
【0077】
上記第2の実施形態においては、空隙121hが積層方向において樹脂部材12hを貫通しており、積層方向において最大長が一定の第1領域122hと、積層方向において研磨部材11と接する位置に向けて最大長が大きくなる第2領域123hと、を有する例を示したが、これに限定されない。空隙121pは、積層方向において樹脂部材12pを貫通しておらず、積層方向において第1樹脂部材125pと第2樹脂部材126pとが接する面に向けて最大長が大きくなる領域を有していてもよい。
【0078】
図9(p)に示すように、研磨用バフ1pは、樹脂部材12hの代わりに樹脂部材12pを有する。樹脂部材12pは、第1樹脂部材125p及び第2樹脂部材126pを有する。第1樹脂部材125p及び第2樹脂部材126pは、それぞれ第1樹脂部材125h及び第2樹脂部材126hと同様の構造を有する。
【0079】
樹脂部材12pには、空隙121pが形成されている。空隙121pは、積層方向において樹脂部材12pを貫通していない。空隙121pは、積層方向において第1樹脂部材125pと第2樹脂部材126pとが接する面に向けて最大長が大きくなる領域を有する。空隙121pは、第4領域127p、及び第5領域128pを有する。第4領域127pは、空隙121pのうち、第1樹脂部材125pに形成されている空隙の領域である。第4領域127pは、積層方向において第2樹脂部材126pと接する位置に向けて最大長が大きくなる領域である。第4領域127pは、第1樹脂部材125pと第2樹脂部材126pとが接する面における最大長が最大である。
【0080】
第5領域128pは、空隙121pのうち、第2樹脂部材126pに形成されている空隙の領域である。第5領域128pは、積層方向において第1樹脂部材125pと接する位置に向けて最大長が大きくなる領域である。第5領域128pは、第1樹脂部材125pと第2樹脂部材126pとが接する面における最大長が最大である。樹脂部材12pの中心を通りかつ研磨面111と直交する方向の樹脂部材12pの断面において、空隙121pの境界線は直線状である。
【0081】
また、
図9(q)に示すように、研磨用バフ1qは、樹脂部材12hの代わりに樹脂部材12qを有する。樹脂部材12qは、第1樹脂部材125q及び第2樹脂部材126qを有する。第1樹脂部材125q及び第2樹脂部材126qは、それぞれ第1樹脂部材125h及び第2樹脂部材126hと同様の構造を有する。
【0082】
樹脂部材12qには、空隙121qが形成されている。空隙121qは、積層方向において樹脂部材12qを貫通していない。空隙121qは、積層方向において第1樹脂部材125qと第2樹脂部材126qとが接する面に向けて最大長が大きくなる領域を有する。空隙121qは、第4領域127q、及び第5領域128qを有する。第4領域127qは、空隙121qのうち、第1樹脂部材125qに形成されている空隙の領域である。第4領域127qは、積層方向において第2樹脂部材126qと接する位置に向けて最大長が大きくなる領域である。第4領域127qは、第1樹脂部材125qと第2樹脂部材126qとが接する面における最大長が最大である。
【0083】
第5領域128qは、空隙121qのうち、第2樹脂部材126qに形成されている空隙の領域である。第5領域128qは、積層方向において第1樹脂部材125qと接する位置に向けて最大長が大きくなる領域である。第5領域128qは、第1樹脂部材125qと第2樹脂部材126qとが接する面における最大長が最大である。樹脂部材12qの中心を通りかつ研磨面111と直交する方向の樹脂部材12qの断面において、空隙121qの境界線は円弧状であってもよい。
【0084】
[第2の実施形態に係る研磨用バフ1hによる効果]
第2の実施形態に係る研磨用バフ1hは、第1樹脂部材125hと第2樹脂部材126hとを有する樹脂部材12hを有する。そして、空隙121hは、第1樹脂部材125h及び第2樹脂部材126hの少なくとも一方に形成されている。
【0085】
したがって、研磨用バフ1hにおいては、このように樹脂部材12hが第1樹脂部材125h及び第2樹脂部材126hを有し、空隙121hが第1樹脂部材125h及び第2樹脂部材126hの少なくとも一方に形成されている。その結果、研磨用バフ1hにおいては、樹脂部材12hに形成されている空隙121hの付近に加わる力が大きくなりづらくなる。
【0086】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【解決手段】研磨用バフ1は、研磨面111を有する研磨部材11と、研磨部材11の研磨面111とは反対側の面に固定されており、空隙121が形成されている樹脂部材12と、を有し、空隙121は、研磨部材11と樹脂部材12との積層方向において、研磨面111と平行な方向における空隙121の最大長が異なる複数の領域を有する。また、空隙121は、積層方向において研磨部材11と接する位置に向けて最大長が大きくなる領域を有する。