特許第6883152号(P6883152)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6883152
(24)【登録日】2021年5月11日
(45)【発行日】2021年6月9日
(54)【発明の名称】浮揚熔解法
(51)【国際特許分類】
   H05B 6/32 20060101AFI20210531BHJP
   F27B 14/18 20060101ALI20210531BHJP
   C22B 9/16 20060101ALI20210531BHJP
【FI】
   H05B6/32
   F27B14/18
   C22B9/16
【請求項の数】13
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2020-552273(P2020-552273)
(86)(22)【出願日】2019年4月18日
(86)【国際出願番号】EP2019060168
(87)【国際公開番号】WO2019202111
(87)【国際公開日】20191024
【審査請求日】2020年11月16日
(31)【優先権主張番号】102018109592.9
(32)【優先日】2018年4月20日
(33)【優先権主張国】DE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】507332907
【氏名又は名称】アー エル デー ヴァキューム テクノロジーズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ALD Vacuum Technologies GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】110002675
【氏名又は名称】特許業務法人ドライト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スピタン,セルゲイ
(72)【発明者】
【氏名】フランツ,ヘンリック
(72)【発明者】
【氏名】シェアリング,ビョルン
(72)【発明者】
【氏名】ホルツ,マルクス
【審査官】 土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第2686864(US,A)
【文献】 国際公開第2009/064731(WO,A2)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0129429(US,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第0747648(EP,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第0935006(EP,A1)
【文献】 特開平03−180432(JP,A)
【文献】 特開2006−175505(JP,A)
【文献】 特開2000−180067(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 6/32
C22B 9/16
F27B 14/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浮揚熔解によって導電性材料から鋳造体を製造する方法であって、
幾つかのバッチ(1)のための出発材料の最下のバッチ(1)を少なくとも1つの交番電磁場の影響範囲に導入するステップであって、前記出発材料は縮小された断面の領域によって分離された幾つかの予め分離されたバッチ(1)を有する導電性材料からなり、当該領域は予め分離された前記バッチ(1)の分離が交番電磁場での熔解中にのみ起こるように設計されてなる前記ステップ、
前記バッチ(1)を熔解するステップ、
残りの未熔解の前記出発材料を浮揚状態で熔解したバッチ(1)から持ち上げるステップ、
浮揚している前記バッチ(1)を過熱するステップ、
浮揚している前記バッチ(1)の下の充填領域に型を配置するステップ、
前記バッチ(1)全体を前記型に流し込むステップ、
前記型から凝固した鋳造体を取り出すステップ、を含む、方法。
【請求項2】
前記バッチ(1)が、誘導渦電流が最大になるまで前記交番電磁場に導入されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
幾つかのバッチ(1)のための前記出発材料が、その長手方向軸に沿って、縮小された断面を有する領域を有する円柱状ロッドからなっており、縮小されていない断面を有する個々の領域が、バッチ(1)の材料の量にそれぞれ対応することを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
幾つかのバッチ(1)のための前記出発材料において、バッチ(1)内の交番電磁場に誘導される渦電流が、隣接する前記バッチ(1)がそれと共に熔解しない程度に限定されるように、前記バッチ(1)間の断面が縮小され、及び/又は、縮小された断面を有する領域が長いことを特徴とする、請求項1乃至3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
幾つかのバッチ(1)のための前記出発材料において、縮小された断面を有する前記領域が、少なくとも、担持される前記出発材料のそれぞれの重量に十分な機械的耐荷力を有するような寸法にされたことを特徴とする、請求項1乃至4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
幾つかのバッチ(1)のための前記出発材料において、縮小された断面を有する前記領域の熱伝導は、バッチ(1)が熔解されるときに、隣接するバッチ(1)がそれと共に熔解されないほど低いことを特徴とする、請求項1乃至5の何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記導電性材料が、チタン、ジルコニウム、バナジウム、タンタル、タングステン、ハフニウム、ニオブ、レニウム、モリブデン、ニッケル、鉄、アルミニウムからなるグループ中の少なくとも1つの金属を含むことを特徴とする、請求項1乃至6の何れか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記金属が、前記導電性材料の少なくとも50重量%、特に少なくとも60重量%又は少なくとも70重量%の割合を有することを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記導電性材料が、チタン又はチタン合金、特にTiAl又はTiAlVであることを特徴とする、請求項1乃至8の何れか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記導電性材料は、粉末形状で使用されることを特徴とする、請求項1乃至9の何れか1項に記載の方法。
【請求項11】
幾つかのバッチ(1)のための前記出発材料が、結合剤でのプレス及び/又は焼結によって前記導電性材料から製造されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記導電性材料は、熔解中に、前記導電性材料の融点よりも少なくとも10℃、少なくとも20℃、または少なくとも30℃高い温度まで過熱されることを特徴とする、請求項1乃至11の何れか1項に記載の方法。
【請求項13】
出発材料が縮小された断面を有する領域によって分離された幾つかの予め分離されたバッチ(1)を有し、予め分離された前記バッチ(1)の分離は交番電磁場での熔解中にのみ起こることを特徴とする、浮揚熔解法のための出発材料としての導電性材料の使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、幾つかのバッチのための出発材料を有する鋳造体の製造のための浮揚熔解法に関する。その方法は、減少した断面の領域によって分離された幾つかの個々のバッチを含む出発材料を使用する。単一のインゴットを介してバッチを供給することによって、バッチ材料のより好ましい製造に加えて、バッチのより効率的な熔解を達成することができる。熔解プロセス中、熔解物は坩堝の材料と接触しないので、坩堝材料による汚染、熔解物の坩堝材料との反応による汚染が回避される。
【0002】
このような不純物の回避は、高い融点を有する金属及び合金にとって特に重要である。そのような金属は、チタン、ジルコニウム、バナジウム、タンタル、タングステン、ハフニウム、ニオブ、レニウム及びモリブデンを含む。しかし、これはニッケル、鉄及びアルミニウムのような他の金属及び合金にとっても重要である。
【背景技術】
【0003】
従来技術の浮揚熔解方法が知られている。DE 422 004 Aは、既に、熔解される導電性材料が誘導電流によって加熱され、同時に電気力学的作用によって浮揚を維持する熔解法を開示している。また、熔解した材料を磁石によって型に押し込む鋳造法(電気力学的な圧力鋳造法)についても述べられている。当該方法は真空中で実施され得る。
【0004】
US 2,686,864 Aは、また、例えば真空中で、一つ又はそれ以上のコイルの影響下で、坩堝を使用することなく、導電性熔解物を浮揚状態にする方法を記載している。一つの設計では、浮揚状態で材料を安定させるために2つの同軸コイルが使用される。熔解後、材料が型に落下させられるか又は型に入れられる。そこに記載されている方法では、重さ60gのアルミニウムを浮揚状態に保持することができる。熔解金属は、熔解物がテーパー状のコイルを通って下方に逃げるように、電場強度を減少させることによって引き出される。電場強度が非常に急速に低下すると、金属は熔解状態で装置から落下する。この種のコイル配置の「弱いスポット」はコイルの中心であって、熔解される材料の量が限られていることは、既に知られている。
【0005】
US 4,578,552 Aは、また、浮揚熔解のための装置及び方法を開示している。熔解物の加熱と保持の両方に同じコイルが使用され、ここで、印加される交番電流の周波数を変化させて、電流を一定に保ちながら加熱電力を制御する。
【0006】
浮揚熔解の特別な利点は、他の方法の間に、坩堝材料による熔解物の汚染又は熔解物と接触する他の材料による熔解物の汚染を回避することである。浮揚する熔解物は、例えば真空又は不活性ガスであり得る周囲の雰囲気とのみ接触する。坩堝材料との化学反応をおそれる必要がないので、熔解物を非常に高い温度に加熱することができる。さらに、汚染材料のスクラップは、特に、低温坩堝内の熔解物と比較して減少する。しかしながら、浮揚熔解は実際には確立されていない。この理由は、浮揚熔解法の間、比較的少量の熔解材料しか浮揚状態に保持できないからである(DE 696 17 103 T2、第2ページ、第1パラグラフ参照)。
【0007】
全ての浮揚熔解法において、出発材料のバッチは、個々のインゴットの形で誘導コイル領域に導入される。これは、通常、供給位置でインゴットをピックアップし、インゴットを誘導コイル領域内で移動させ、そして、磁場をスイッチオンした後にインゴットを解放するグリッパの手段によって行われる。これは、磁場中でのインゴットの安定性及び熔解中の飛沫に関する問題をしばしば含んでいる。これらの比較的小さいインゴットの製造は、比較的複雑で高価である。
【0008】
インゴットを加熱するために誘導された渦電流を使用する際に達成され得る最大効率に関する別の欠点は、含まれる原理に起因する。コイル磁場のローレンツ力は、バッチの重量力を補償しなければならない。それを浮揚状態に保つためである。それはバッチをコイル磁場から上方に押し出す。その結果、バッチを加熱するための磁場の最適な利用に必要なように、バッチは磁場中に深く沈まない。むしろ、この最適レベルを超えて浮揚する。
【0009】
最後に、個々のインゴットを供給するために必要な時間は、達成可能なサイクル時間における制限要因である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来技術の方法の欠点は、以下のように要約することができる。完全な浮揚熔解法は、少量の材料でしか実施できないので、工業的応用はまだ行われていない。さらに、型での鋳造は困難である。浮揚原理は、バッチを加熱するために使用することができる磁場と、渦電流を生成する際のその効率とを制限する。磁場中でのインゴットの安定性と熔解中のスパッタリングに関する問題が発生する可能性がある。インゴットの製造は比較的複雑で高価である。
【0011】
したがって、本発明の課題は、浮揚熔解の経済的な使用を可能にする方法を提供することである。特に、その方法は熔解プロセスの効率を改善することによって高スループットを可能にし、バッチのための費用効果の高いインゴットの使用を可能にすべきである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本課題は、本発明による方法によって解決される。さらに、この課題は、浮揚熔解法における本発明による原料材料の使用によっても解決される。本発明によれば、導電性材料から鋳造体を製造する方法は、以下の工程を含む:
少なくとも1つの交番電磁場(熔解セクション)の影響の範囲に、幾つかのバッチのための出発材料の最下のバッチを導入するステップ、ここで、前記出発材料は縮小された断面領域によって分離された幾つかの予め分離されたバッチを有する導電性材料からなり、前記領域は交番電磁場での熔解中にのみ予め分離された前記バッチの分離が行われるように設計されている、
前記バッチを熔解するステップ、
残りの未熔解の前記出発材料を浮揚状態で熔解したバッチから持ち上げるステップ、
浮揚している前記バッチを過熱するステップ、
浮揚している前記バッチの下の充填領域に型を配置するステップ、
前記バッチ全体を前記型に流し込むステップ、
前記型から凝固した前記鋳造体を取り出すステップ。
【0013】
熔解したバッチの体積は、鋳造物の製造に十分なレベルまで型を充填するのに十分であること(「充填体積」)が好ましい。型への充填後、型内で材料が固まるように、冷却するために放置され又はクーラントで冷却される。次に、鋳造体が型から取り出され得る。流し込むことは、バッチを落下させること、特に交番電磁場のスイッチを切ることによって構成することができ、流し込むことは、交番電磁場によって例えばコイルを使用することによって、流し込む速度を遅くさせることができる。
【0014】
「導電性材料」は、誘導加熱され、浮揚状態で保持するのに適した導電性を有する材料であると理解される。
【0015】
「浮揚状態」は、処理されたバッチが坩堝又はプラットフォームなどと全く接触しないような完全な浮揚状態として定義される。
【0016】
「円柱状」インゴットは、一般的なシリンダー、特に一般的な直円柱の数学的定義の形状のインゴットとして、本出願の文脈において理解され、ここで、その定義はプリズムの特別な形状、特に直線状プリズム及び立方体を明示的に含む。好ましくは、それは、直線状の円柱又は六角形から二十四角形の底面領域を有する直線状のプリズムである。
【0017】
「最下の」バッチは、本発明によれば、出発材料が保持され移動される末端から遠位の出発材料の末端に位置する出発材料のバッチとして、定義される。
【0018】
個々のバッチの代わりに幾つかのバッチを組み合わせる供給源材料を介したバッチの供給は、幾つかの利点を提供する。バッチを本質的に棒状構造の様式で配置することにより、第一に、それらがコイルの磁場の中により深く導入され得る。単一バッチとは対照的に、出発材料は、浮揚する必要はなく、機械的に所定の位置に保持される。残りの出発材料は、熔解される最下のバッチを磁場中に押すことができる。これは、バッチの熔解効率を増加させる。バッチの熔解が開始されたときにのみ、熔解成分は浮揚状態に入る。残りの出発材料の保持力は、また、バッチが磁場中で安定化されることを保証する。バッチが熔解したら、残りの出発材料が上方に引っ張られ、自由に浮揚する熔解物を過熱する。
【0019】
最も好ましくは、誘導渦電流が最大になる程度まで、バッチが交番電磁場に導入される。このようにして、バッチが最適に加熱されることができ、これは鋳造プロセス全体の加速につながる。
【0020】
本発明による方法の非常に好ましいバージョンにおいて、幾つかのバッチのための出発材料はその長手方向軸に沿って、縮小された断面を有する領域を有する円柱状ロッドからなり、ここで、縮小されていない断面を有する個々の領域は、各々、バッチの材料の量に対応する。原則として、発生した磁場の安定化及び改善された利用の効果は、任意の形状のバッチに対して本発明に従って達成される。しかしながら、円柱の形状又は略円形状のベース領域を有するプリズムの形状の棒鋼は、例えば連続鋳造において、特に容易かつ安価に製造することができる。次いで、行われるべき残りの全ては、領域を回転、鋸引き又は切断してバッチを未加工ロッドに分離することである。
【0021】
出発材料のいかなる設計形態も同じバッチサイズを有する必要はない。原則として、同じサイズのバッチが、類似の部品の連続生産に必要とされる。しかしながら、異なる充填量を必要とする幾つかのキャビティを有する型を使用することも可能である。したがって、本発明は、これらの要件に適合した異なるバッチを有する原料を含む。
【0022】
個々のバッチを分離する縮小された断面を有する領域は一方ではより低い熱伝導を保証し、他方では磁場中で熔解されるバッチへの誘導渦電流の制限を保証する。
【0023】
したがって、好ましくは幾つかのバッチのための出発材料において、バッチ間の断面はある程度に縮小され、及び/又は、縮小された断面を有する領域は長く、それにより、バッチ内の交番電磁場に誘導される渦電流が、隣接するバッチがそれと共に熔解しない程度に制限される。これは、スペース節約配置と隣接するバッチの熔解の危険性との間の最適な比を達成するために、バッチを接続する領域を設計するときに考慮されなければならない。
【0024】
同様に、好ましくは、幾つかのバッチのための出発材料の場合、縮小された断面を有する領域の熱伝導は、1つのバッチが熔解されるときに隣接するバッチがそれと共に熔解されないほど低い。
【0025】
本発明による方法では、幾つかのバッチのための出発材料が、少なくとも、担持される出発材料のそれぞれの重量に十分な機械的耐荷力を有するような寸法にされた、縮小された断面を有する領域を有することが非常に好ましい。出発材料は吊り下げ配置で使用されるので、バッチを接続する領域であって縮小された断面のために最低の機械的強度を有する領域が、それらの各々の下の全領域を支持することができる場合に有利である。これは、出発材料を安定化させるための供給機構の必要性を排除する。可能な最小の断面が使用される場合、それらは頂部から底部に向かって縮小する。全ての断面を同じように設計する必要はなく、すなわち、最上部のバッチの接続を基準として使用する必要はない。
【0026】
好ましい実施形態では、本発明に従って使用される導電性材料が、チタン、ジルコニウム、バナジウム、タンタル、タングステン、ハフニウム、ニオブ、レニウム、モリブデンのグループからの少なくとも1つの高融点金属を有する。あるいは、ニッケル、鉄又はアルミニウムなどのより低融点の金属を使用することができる。また、前記金属のうち一又は複数の金属との混合物又は合金が導電性材料として使用され得る。好ましくは、金属が導電性材料の少なくとも50重量%、特に少なくとも60重量%又は少なくとも70重量%の割合を有する。これらの金属は、本発明の利点から特に利益を得ることが示されている。特に好ましい実施形態では、導電性材料がチタン又はチタン合金、特にTiAl又はTiAlVである。これらの金属又は合金は、特に型の材料に関して、粘度が温度に著しく依存し、また特に反応性であるため、特に有利な方法で加工され得る。本発明による方法は、浮揚状態での非接触熔解と、型への極めて迅速な充填とを組み合わせるので、それらの金属にとって特別な利点が実現され得る。本発明に基づく方法は、熔解物の鋳型の材料との反応から、特に薄い酸化物層を示すか、又は、酸化物を全く示さない鋳造体を製造するために使用され得る。そして、特に高融点金属の場合、誘導渦電流とそれに伴うより速い加熱の改善された利用が、サイクル時間において顕著である。
【0027】
本方法の有利な実施形態は、粉末形態の導電性材料を使用する。例えば、バッチを球形に設計する場合、回転中に固体金属ロッドから大量の材料を除去しなければならない。ロッドと一緒にねじ止めされた個々のボールから成る構造は、製造及び組立中にかなりの追加作業を引き起こすであろう。しかしながら、粉末を使用すると、その形態がより容易に製造され得る。これは、最も好ましくは、結合剤を用いたプレス及び/又は焼結によって行われる。可能なバインダーとしては、パラフィン、ワックス又はポリマーが挙げられ、これらの各々は低い作業温度を可能にする。
【0028】
本発明の有利な実施形態では、導電性材料が、熔解中に、材料の融点よりも少なくとも10℃、少なくとも20℃又は少なくとも30℃高い温度まで過熱される。過熱は、型に接触すると材料が瞬時に凝固するのを防ぎ、その温度は融点以下である。材料の粘度が高くなりすぎる前に、バッチを型内に分配することができることが達成される。浮揚熔解の1つの利点は、熔解物と接触する坩堝を使用する必要がないことである。これは、坩堝構成要素による熔解物の汚染のみならず低温坩堝法の高い材料損失を回避する。更なる利点は、真空中又は保護ガス下での操作が可能であり、反応性材料との接触がないので、熔解物を比較的高い温度に加熱することができることである。それにもかかわらず、ほとんどの材料は、そうでなければ、型との激しい反応が懸念されるように、意のままに過熱されることができない。従って、過熱は、好ましくは、導電性材料の融点を上回る最大300℃、特に200℃、好ましくは100℃に制限される。
【0029】
方法のうち有利なバージョンでは、少なくとも1つの強磁性要素が、磁場を集中させてバッチを安定化させるために、バッチが熔解される領域の周囲に水平に配置される。強磁性要素は熔解領域の周りにリング状に配置されることができ、それによって、「リング状」は、円形要素だけでなく、角度のある特に正方形又は多角形のリング要素を意味する。その要素は、熔解領域の方向に、特に水平に、突出する幾つかのロッド部分を有することができる。強磁性要素は、好ましくはμa>10、より好ましくはμa>50、特に好ましくはμa>100の透磁率を有する強磁性材料からなる。振幅透磁率は、特に25℃から100℃までの温度範囲、及び、0〜400mTの磁束密度における透磁率を指す。振幅透磁率は、特に、軟磁性フェライト(例えば3C92)の振幅透磁率の少なくとも100分の1、特に少なくとも100分の10又は100分の25である。適切な材料は、当業者に知られている。
【0030】
さらに、本発明によれば、浮揚熔解法のための出発材料としての導電性材料の使用であり、そこでは、出発材料は、縮小された断面を有する領域によって分離された幾つかの予め分離されたバッチを有し、予め分離されたバッチの分離は交番電磁場での熔解中にのみ行われる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1図1は、本発明による出発材料の3つの実施形態の側面図である。
図2図2は、強磁性要素、コイル及び幾つかのバッチについての出発材料の下部を有する熔解領域の構造の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図面は、好ましい実施形態を示す。これらは、例示目的のみのためのものである。
【0033】
図1は、導電性材料で作られた本発明による出発材料の3つの実施形態の側面図を示す。3つはすべて垂直円柱形である。上端には、供給装置に取り付けるのに適した領域がある。取り付け方法に応じて、この領域は図示のように滑らかであってもよいし、ホール又は三次元表面構造、特にフック又はグリッパによって把持されることを可能にする端部円周方向の広がりを備えていてもよい。
【0034】
左の出発材料は6つのバッチ(1)を有し、中央の出発材料は5つのバッチ(1)を有し、右の出発材料は8つのバッチ(1)を有する。左の出発材料の場合、個々のバッチ(1)は、三角形状のノッチによって分離される。これらのノッチは、例えば、材料を失うことなくパンチによって製造され得る。中央の出発材料において、個々のバッチ(1)は、縮小された断面を有するより広い領域によって分離される。このような設計は円筒形ロッドを回すことにより、単純かつ費用対効果の高い方法で製造することができる。右の出発材料は、それぞれ、個々のバッチ(1)の分離のための狭い円周方向の切り込みを有する。原則として、構造は中央の出発材料と同じであり、間隔のみが縮小され、縮小された断面を有する領域の断面がさらに縮小する。さらに縮小された断面のために、誘導渦電流のより良い制限及びより低い熱伝導を達成して、より短い間隔を補償する。
【0035】
図2は、図1における中央の出発物質の最も低い3つのバッチ(1)のセクションを示す。最も低いバッチ(1)がコイル(2)によって生成される交番電磁場(熔解領域)の影響範囲内にある。バッチ(1)の下には空の鋳造用型があり、型がホルダー(図示せず)によって充填領域に保持される。強磁性要素(3)は、コイル(2)の影響領域の周囲に配置される。バッチ(1)は、本発明による方法において熔解され、浮揚される。バッチ(1)が熔解した後、残りの出発材料を上方に引き上げ、熔解物を過熱する。次いで、熔解物を鋳造用型内に流し込み、凝固した鋳造体を最終的に鋳造用型から取り出す。
【符号の説明】
【0036】
1 バッチ
2 コイル
3 強磁性要素

【要約】
本発明は、浮揚熔解法による鋳造体を製造する方法に関し、その方法において、縮小された断面の領域によって分離された複数の予め分離されたバッチを有する出発材料を用いて、導電性材料のバッチが少なくとも1つの交番電磁場の影響範囲内に導入され、その結果、バッチが浮揚状態に保たれる。それらの領域は、予め分離されたバッチの分離が交番電磁場における熔解中にのみ起こるように設計されている。そして、次に、熔解物を鋳型に流し込む。
【選択図】図2
図1
図2