特許第6883178号(P6883178)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6883178
(24)【登録日】2021年5月12日
(45)【発行日】2021年6月9日
(54)【発明の名称】加熱冷却装置
(51)【国際特許分類】
   B22F 3/16 20060101AFI20210531BHJP
   B22F 3/105 20060101ALI20210531BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20210531BHJP
【FI】
   B22F3/16
   B22F3/105
   B33Y30/00
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2019-504907(P2019-504907)
(86)(22)【出願日】2016年11月9日
(65)【公表番号】特表2019-526703(P2019-526703A)
(43)【公表日】2019年9月19日
(86)【国際出願番号】CN2016105200
(87)【国際公開番号】WO2018086009
(87)【国際公開日】20180517
【審査請求日】2019年1月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】515306378
【氏名又は名称】東台精機股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】TONGTAI MACHINE & TOOL CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】盧 宣伊
(72)【発明者】
【氏名】陳 益智
(72)【発明者】
【氏名】陳 馨寶
(72)【発明者】
【氏名】嚴 瑞雄
【審査官】 池田 安希子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−186129(JP,A)
【文献】 特開2016−104555(JP,A)
【文献】 特開2008−307895(JP,A)
【文献】 特開2003−001715(JP,A)
【文献】 特表2017−512385(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 3/16
B22F 3/105
B33Y 30/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱冷却装置であって、レーザー金属溶融プロセス装置中に配置され、前記加熱冷却装置は、
本体、前記本体上に形成された凹陥部、及び前記凹陥部内に収容された断熱シートを有するベースと、
前記ベース上に配置され、加熱板及び前記加熱板内に貫入され延伸する加熱コイルを有する加熱ユニットと、
前記加熱ユニット上に配置された案内ユニットと、
板体を有し、前記案内ユニット内に挿脱可能に配置され、前記加熱ユニットから離隔された温度調節ユニットと、
前記加熱ユニット又は前記温度調節ユニットの温度を前記レーザー金属溶融プロセス装置の作業台に伝導するために、前記案内ユニット上に配置された伝導底板と、
前記板体と前記伝導底板との間に碁盤状に配列して配置され、前記伝導底板に前記作業台を冷却又は加熱させるための複数の冷却チップとを含む、
ことを特徴とする加熱冷却装置。
【請求項2】
前記加熱冷却装置は、前記ベース及び前記加熱ユニットを収容するための遮熱カバーを更に含み、前記遮熱カバーは、底壁及び取囲み壁を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の加熱冷却装置。
【請求項3】
前記案内ユニットは、前記加熱ユニットの対向する両側に配置された2つのスライドレールを有し、それにより、前記温度調節ユニットは前記スライドレール内で移動する、ことを特徴とする請求項1に記載の加熱冷却装置。
【請求項4】
前記案内ユニットは、前記2つのスライドレールにそれぞれ組み合わされた2つの固定柱を更に有し、前記温度調節ユニットは、前記2つの固定柱に合わせてスライドする2つのスライド溝を有する、ことを特徴とする請求項3に記載の加熱冷却装置。
【請求項5】
前記温度調節ユニットは、更に流路管を有し、前記流路管は、前記板体内に嵌設される、ことを特徴とする請求項1に記載の加熱冷却装置。
【請求項6】
前記伝導底板は、前記冷却チップにそれぞれ対応する複数の底板ブロックを有し、それにより各冷却チップは単独して対応する底板ブロックに対して温度伝導を行う、ことを特徴とする請求項1に記載の加熱冷却装置。
【請求項7】
前記板体は、前記冷却チップがそれぞれ対応して配置された複数の板体ブロックを有し、前記温度調節ユニットは、前記板体ブロック内にそれぞれ配置された複数の流路管を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の加熱冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱冷却装置に関し、特に、金属三次元(3D)プリント装置に適用される加熱冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
3Dラピッドプロトタイピング(3Dプリントとも呼ばれる)の主な技術的内容は、データ資料及び原料を3Dプリンターに入れ、粉末敷設装置によって、製品をレイヤ毎にプリントして最終製品を形成することである。3Dプリントは主に粉末焼結積層造形法(Selective Laser Sintering、SLS)、選択的レーザー溶解(Selective Laser Melting、SLM)、直接金属レーザー焼結(Direct Metal Laser Sintering、DMLS)、及び電子ビーム溶解(Electron Beam Melting, EBM)などの技術を含む。SLSは、低出力レーザーを使用して低融点ポリマー粉末を焼結する。SLMは、高エネルギービームレーザーを使用して金属粉末を直接溶融する。DMLSは、レーザーを使用して二元系金属を焼結する。EBMは、電子ビームを使用して金属粉末を溶融する。
【0003】
3Dプリント分野において、レーザー金属溶融プロセス装置は、異なる粉末を使用するため、粉末特性に応じてプロセス中の作業台を特定の温度で加熱又は冷却しなければならない。しかしながら、すべての既存の加熱又は冷却装置は独立して動作し、特性要求に応じて即時加熱及び冷却することができないため、製品の加工効率に影響を与えやすい。
【0004】
従って、従来技術における問題を解決するために、改善された加熱冷却装置を提供する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上のことに鑑み、本発明の主な目的は、加熱ユニット及び温度調節ユニットの設計を利用して、作業台が即時冷却又は即時加熱のプロセスに到達することを可能にする加熱冷却装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、金属溶融装置内に配置される加熱冷却装置を提供する。前記加熱冷却装置は、ベースと、加熱ユニットと、案内ユニットと、温度調節ユニットと、伝導底板と、複数の冷却チップとを含む。前記ベースは、本体と、凹陥部と、断熱シートとを有する。前記凹陥部は前記本体上に形成され、前記断熱シートは前記凹陥部内に収容される。前記加熱ユニットは、前記ベース上に配置され、加熱板と、前記加熱板内に貫入されて延伸する加熱コイルとを有する。前記案内ユニットは前記加熱ユニット上に配置される。前記温度調節ユニットは、前記案内ユニット内に挿抜可能に配置され、前記加熱ユニットから離隔される。前記伝導底板は、前記加熱ユニット又は前記温度調節ユニットの温度を前記金属溶融装置の作業台に伝導するために、前記案内ユニット上に配置される。前記冷却チップは、前記板体と前記伝導底板との間に碁盤状に配列して配置される。
【0007】
本発明の一実施例では、前記加熱冷却装置は、前記ベース及び前記加熱ユニットを収容するための遮熱カバーを更に含み、前記遮熱カバーは、底壁及び取囲み壁を有する。
【0008】
本発明の一実施例では、前記案内ユニットは、前記加熱ユニットの対向する両側に配置された2つのスライドレールを有し、それにより、前記温度調節ユニットは前記スライドレール内で移動する。
【0009】
本発明の一実施例では、前記案内ユニットは、前記2つのスライドレールにそれぞれ組み合わされた2つの固定柱を更に有し、前記温度調節ユニットは、前記2つの固定柱に合わせてスライドする2つのスライド溝を有する。
【0010】
本発明の一実施例では、前記温度調節ユニットは、板体及び流路管を有し、前記流路管は、前記板体内に嵌設される。
【0011】
本発明の一実施例では、前記伝導底板は、前記冷却チップにそれぞれ対応する複数の底板ブロックを有し、それにより各冷却チップは対応する底板ブロックに対して温度伝導を行う。
【0012】
本発明の一実施例では、前記板体は、前記冷却チップがそれぞれ対応して配置された複数の板体ブロックを有し、前記温度調節ユニットは、前記板体ブロック内にそれぞれ配置された複数の流路管を有する。
【0013】
このように、本発明の加熱冷却装置の伝導底板は、前記加熱ユニットにより加熱し、前記温度調節ユニットにより冷却することができるので、前記作業台は即時冷却又は即時加熱のプロセスに到達することが可能になる。さらに、前記温度調節ユニットは挿抜可能な設計であるため、前記板体を取り出して交換又は修理することが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明による加熱冷却装置の1つの好適実施例の組合せ図である。
図2】本発明による加熱冷却装置の1つの好適実施例の分解斜視図である。
図3-7】図2の加熱冷却装置の底板ブロックが加熱されるか又は冷却される模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、各実施例と図面を用いて、例を挙げる方法で本発明の実施可能な実施例を説明する。また、本発明で言及される方向の用語、例えば、上、下、頂、底、前、後、左、右、内、外、側面、周囲、中央、水平、横方向、垂直、縦方向、軸方向、径方向、最上層又は最下層などは、本発明の添付の図面を参照するための方向である。そのため、本明細書で使用される方向の用語は、本発明を説明、理解させるためのものであり、本発明を制限するものではない。
【0016】
図1及び2を参照すると、本発明の加熱冷却装置100の1つの好適実施例は、金属溶融装置内に配置され、前記加熱冷却装置100は、ベース2と、加熱ユニット3と、案内ユニット4と、温度調節ユニット5と、伝導底板6と、遮熱カバー7と、複数の温度センサ8と、複数の冷却チップ9とを含む。以下、各構成要素の詳細な構成、組み立て関係、及び動作原理について詳細に説明する。
【0017】
図1及び2に示されるように、前記ベース2は、本体21と、凹陥部22と、断熱シート23とを有する。前記凹陥部22は前記本体21上に形成される。前記断熱シート23は前記凹陥部22内に収容される。本実施例では、前記凹陥部22は矩形を呈する。前記断熱シート23を前記凹陥部22内に置くと、前記本体21の表面と前記断熱シート23の表面とは面一になる。
【0018】
図1及び2に示されるように、前記加熱ユニット3は前記ベース2上に配置され、前記加熱ユニット3は加熱板31及び加熱コイル32を有し、前記加熱コイル32は前記加熱板31内に貫入され延伸する。本実施例では、前記加熱板31は複数の貫通路を有し、前記加熱コイル32は前記通路内に貫入される。
【0019】
図1及び2に示されるように、前記案内ユニット4は前記加熱ユニット3上に配置され、前記案内ユニット4は2つのスライドレール41及び2つの固定柱42を有する。前記2つのスライドレール41は、前記加熱ユニット3の対向する両側に配置される。それにより、前記温度調節ユニット5は前記スライドレール41内で移動し、前記温度調節ユニット5は前記加熱ユニット3から離隔される。前記2つの固定柱42はそれぞれ前記2つのスライドレール41の内側に組み合わされる。
【0020】
図1及び2に示されるように、前記温度調節ユニット5は、前記案内ユニット4内に挿脱可能に配置され、前記加熱ユニット3から離隔される。前記温度調節ユニット5は、板体51、流路管52及び2つのスライド溝53を有する。前記流路管52は、冷却液体を流すために前記板体51内に嵌設され、前記スライド溝53は、前記板体51の対向する両側に形成され、前記スライド溝53はそれぞれ前記2つの固定柱42に合わせてスライドする。なお、他の実施例では、前記流路管52に熱流路及び冷流路を同時に設けることができる。熱流路は、前記加熱板31を迅速に補助し前記加熱板31の熱を平均的に受けることができ、冷流路は、即時の降温又は冷却の効果を達成することができる。
【0021】
図1及び2に示されるように、前記伝導底板6は前記案内ユニット4上に配置され、前記加熱ユニット3の加熱板31の温度を前記金属溶融装置の作業台101に伝導して昇温を行うか、又は前記温度調節ユニット5の板体51の温度を前記作業台101に伝導して降温を行う。
【0022】
図1及び2に示されるように、前記遮熱カバー7は、前記ベース2及び前記加熱ユニット3を収容するために使用され、前記遮熱カバー7は底壁71及び取囲み壁72を有し、前記取囲み壁72は前記底壁71の周縁から上方に延伸する。本実施例では、前記底壁71及び取囲み壁72は、内部熱エネルギーの漏出を防止するために、前記ベース2及び前記加熱ユニット3を完全に覆うことができる。
【0023】
図1及び2に示されるように、前記温度センサ8は、前記加熱ユニット3の加熱板31側に配置される。本実施例では、前記温度センサ8は、前記加熱板31の一方の側に等間隔に取り付けられ、前記温度センサ8を介して前記加熱板31と接触して前記加熱板31の即時の加熱温度を感知することができる。
【0024】
図1及び2に示されるように、前記冷却チップ9は、前記板体51と前記伝導底板6との間に碁盤状に配列して配置され、電源(図示せず)に電気的に接続されて駆動され得る。また、前記伝導底板6は、前記冷却チップ9の上にそれぞれ対応する複数の底板ブロック61を有し、それにより、各冷却チップ9は対応する底板ブロック61に対して温度伝導を行う。前記板体51は、前記冷却チップ9の下にそれぞれ対応して配置された複数の板体ブロック511を含む。前記温度調節ユニット5は、前記板体ブロック511内にそれぞれ配置された複数の流路管52を有する。各流路管52は、前記板体ブロック511が異なる温度(図3図7に示されるように)を調節することができるように、実際の必要に応じて熱流路又は冷流路として設定することができる。同時に、各冷却チップ9は、対応する板体ブロック511に対して温度伝導を行うことができる。
【0025】
上述の構造によれば、本発明の加熱冷却装置100は、前記加熱ユニット3の加熱板31によって加熱し、前記伝導底板6を介して前記作業台101に伝導して昇温を行うことができ、また、前記温度調節ユニット5の板体51によって冷却し、前記伝導底板6を介して前記作業台101に伝導して降温を行うこともできる。それにより、前記作業台101は即時冷却又は即時加熱のプロセスに到達することができる。さらに、前記温度調節ユニット5は挿脱可能な設計であるため、前記板体51を取り出して交換又は修理することが容易になる。また、前記冷却チップ9を用いて上方の前記底板ブロック61及び下方の前記板体ブロック511と合わせてマトリクス状に配列することによって、前記伝導底板6は領域別に冷却又は加熱することができ、異なる底板ブロック61に対して温度を調節することができるので、同一の作業平面上でのレーザー溶融プロセスにおいて同時に冷却又は加熱がある温度差を達成することができる。また、前記伝導底板6を複数の底板ブロック61に分割することによって、冷却領域と加熱領域とが互いに干渉しないようにすることができ、異なるブロックの温度制御が実現される。
【0026】
上記の設計によれば、前記伝導底板6は、前記加熱ユニット3により加熱し、前記温度調節ユニット5により冷却することができるので、前記作業台101は即時冷却又は即時加熱のプロセスに到達することが可能になる。前記温度調節ユニット5は挿脱可能な設計であるため、前記板体51を取り出して交換又は修理することが容易になる。また、前記冷却チップ9は前記板体51上に碁盤状に配列され、各冷却チップ9は単独して冷却又は加熱するため、前記冷却チップ9は領域を分けて冷却又は加熱することができ、異なるブロックに対して温度を調節して、前記作業台101中に実施されるレーザー溶融プロセスにおいて低温と高温が同時に存在することが実現される。さらに、加工作業の特別な需要を満たすために、前記作業台101内において異なるブロックに応じてその低温又は高温を決定してもよい。また、前記伝導底板6を複数の底板ブロック61に分割することによって、冷却領域と加熱領域とが互いに干渉しないようにすることができ、異なるブロックの温度制御が実現される。
【0027】
上記のように、前記伝導底板6は、前記加熱ユニット3により加熱し、前記温度調節ユニット5により冷却することができるので、前記作業台101は即時冷却又は即時加熱のプロセスに到達することが可能になる。前記温度調節ユニット5は挿脱可能な設計であるため、前記板体51を取り出して交換又は修理することが容易になる。同時に、前記冷却チップ9を碁盤状に配列することによって、異なるブロックを満足させてその低温/高温での加工作業を決定するように、領域を分けて冷却又は加熱することができる。
【0028】
本発明は、上記関連する実施例によって説明したが、上記の実施例は、単に本発明を実施するための一例である。開示された実施例は、本発明の範囲を限定しないことに留意されたい。むしろ、修正及び同等の配置は、本発明の範囲内に含まれることが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7