(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、
図14(a)(b)に示すように、上記のような空気袋50をベース部材53の支持面53s上に載置する構成を採用した場合、この空気袋50に空気を充填することにより、エアチューブ61が接続された一端側を支点として、他端側が浮き上がるように、その空気袋50の姿勢が変化する。そして、上記のような乗員支持装置においては、このような空気袋50の姿勢変化によって、装置の意匠面を構成する当接部の美観が損なわれる、或いは、その当接部に乗員の体が触れた際の触感が悪くなる等の問題が生ずる可能性がある。
【0006】
また、
図14(c)に示すように、ベース部材23の支持面23sに対して空気袋50の押圧面Sを固定した場合には、その側端部に接続されたエアチューブ61が当該空気袋50の拡張により局所的に屈曲する可能性がある。そして、これにより、その空気袋50の円滑な拡縮が妨げられるおそれがある。
【0007】
尚、例えば、特許文献2に記載の空気袋は、その袋部(空気袋本体)の押圧面に吸排気口(給排気口)となる連通筒部を設け、この連通筒部にエアチューブ(ホース)を接続する構成となっている。そして、このような構成を採用することで、その押圧面が一方向(例えば、ベース部材の支持面側)を向いた安定した姿勢で袋部を拡縮させることができる。
【0008】
しかしながら、エアチューブの接続部となる筒状部材を袋部の押圧面に対して交差配置することによって、収縮した状態の空気袋に触れた際、この筒状部材が、突起状の異物として感じられる可能性がある。そして、これにより、その質感が低下するおそれがあることから、この点において、なお改善の余地を残すものとなっていた。
【0009】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、質感に優れ、且つ安定した姿勢で円滑に拡縮することのできる空気袋、並びに、この空気袋を備えた乗員支持装置及び容積可変装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決する空気袋は、
車両のシートに着座した乗員に対する当接部と該当接部の内側に設けられたベース部材との間に空気袋を配置し該空気袋の拡縮により前記当接部が変位する乗員支持装置における空気袋であって、互いに相反する方向を向いた第1及び第2の押圧面を有
し、前記第1の押圧面が前記ベース部材側に向いた状態で配置されるとともに前記第2の押圧面が前記当接部側に向いた状態で配置される第1の袋部と、前記第1の押圧面に設けられた孔部を介して前記第1の袋部に連通する該第1の袋部よりも小さい第2の袋部と、を備えるとともに、前記第2の袋部には、前記第1の押圧面に沿うように配置されたエアチューブの先端部が接続され、前記第1の袋部は、該第1の袋部の拡縮により押圧力を発生するものであり、前記第2の袋部は、前記第1の袋部と前記エアチューブとの接続部として機能するものであって、押圧力を発生しない構成とされている。
【0011】
上記構成によれば、第1の押圧面に隣接する位置に設けられた第2の袋部をエアチューブの接続部として機能させることにより、その第1の押圧面が一方向(例えば、ベース部材の支持面側)を向いた安定した姿勢で第1の袋部を拡縮させることができる。また、第2の袋部に押圧力を発生する機能を求めないことで、当該第2の袋部を極小化することができる。そして、これにより、その拡縮による体積変化を小さく抑えることで、第1の袋部20の拡縮状態に関わらず、そのエアチューブの接続部となる第2の袋部の位置が動かないようにすることができる。その結果、エアチューブの局所的な屈曲を抑えて、円滑に、第1の袋部を拡縮させることができる。
【0012】
更に、多くの場合、エアチューブの素材には、弾性変形可能な軟質樹脂が用いられることから、第2の袋部に接続されたエアチューブの先端部は、その第1の袋部を構成する第1及び第2のシート材を介して径方向に押圧されることにより、容易に潰れる構成になっている。そして、これにより、収縮状態においても、その第1の押圧面に設けられたエアチューブの接続部が突起状の異物として感じられることのない良好な触感を維持することができる。
上記課題を解決する空気袋は、車室に設けられた収容スペースの壁部と該壁部の内側に設けられたベース部材との間に空気袋を配置し該空気袋の拡縮に基づき前記壁部が変位することにより前記収容スペースの容積を変化させる容積可変装置における空気袋であって、互いに相反する方向を向いた第1及び第2の押圧面を有し、前記第1の押圧面が前記ベース部材側に向いた状態で配置されるとともに前記第2の押圧面が前記壁部側に向いた状態で配置される第1の袋部と、前記第1の押圧面に設けられた孔部を介して前記第1の袋部に連通する該第1の袋部よりも小さい第2の袋部と、を備えるとともに、前記第2の袋部には、前記第1の押圧面に沿うように配置されたエアチューブの先端部が接続され、前記第1の袋部は、該第1の袋部の拡縮により押圧力を発生するものであり、前記第2の袋部は、前記第1の袋部と前記エアチューブとの接続部として機能するものであって、押圧力を発生しない構成とされている。
【0013】
上記課題を解決する空気袋は、前記第2の袋部は、前記孔部を覆う位置において前記第1の押圧面に貼り合わされたシート材により構成されることが好ましい。
上記構成によれば、構成簡素、且つ容易に、その第2の袋部を形成することができる。そして、そのシート材を第1の押圧面に貼り合せる際、これら第1の押圧面とシート材との間に、エアチューブの先端部を挟み込むことにより、容易に、このエアチューブの先端部を第2の袋部に接続することができる。
【0014】
上記課題を解決する空気袋は、前記第1の袋部は、互いに貼り合わされた二枚のシート材により構成されることが好ましい。
上記構成によれば、構成簡素、且つ容易に、その第1の袋部を形成することができる。また、このように二枚のシート材を貼り合せてなる袋部は、その各押圧面の中央部分が大きく膨らむ特徴がある。従って、このような構成を有する第1の袋部について、その第1の押圧面に隣接する位置に設けられた第2の袋部をエアチューブの接続部とすることで、顕著な効果を得ることができる。
【0015】
上記課題を解決する空気袋は、前記孔部は、前記第1の押圧面の中央部分に設けられることが好ましい。
上記構成によれば、第2の袋部に覆われる孔部を、最も大きく膨らむ第1の押圧面の中央部分に設けることで、より一層、顕著な効果を得ることができる。
【0016】
上記課題を解決する乗員支持装置は、車両のシートに着座した乗員に対する
前記当接部と該当接部の内側に設けられた
前記ベース部材との間に配置される上記何れかの空気袋を備え、前記空気袋の拡縮により前記当接部が変位することが好ましい。
【0017】
上記構成によれば、乗員に対する当接部を変位させることで、その乗員支持装置の利用者をより安定的な姿勢で支持することができる。更に、空気袋が安定した姿勢で円滑に拡縮することにより、その意匠面の美観及び感触を維持しつつ、円滑に当接部を変位させることができる。そして、これにより、高い質感を確保することができる。
【0018】
上記課題を解決する乗員支持装置は、前記当接部は、前記乗員の腕部が載置されるアームレストの肘置き部であることが好ましい。
上記構成によれば、アームレストの肘置き部を上下方向に変位させることで、このアームレストの利用者をより安定的な姿勢で支持することができる。
【0019】
上記課題を解決する容積可変装置は、車室に設けられた
前記収容スペースの壁部と該壁部の内側に設けられた
前記ベース部材との間に配置された上記何れかの空気袋を備え、前記空気袋の拡縮に基づき前記壁部が変位することにより前記収容スペースの容積を変化させることが好ましい。
【0020】
上記構成によれば、収容スペース内に収容される物の大きさに合わせて、その収容スペースの容積を自在に変更することができる。そして、これにより、収容スペース内の収容物を安定的に保持することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、高い質感を確保するとともに、安定した姿勢で円滑に空気袋を拡縮させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、乗員支持装置の空気袋を車両ドアに設けられたアームレストに具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、車両ドア1のインナーパネル2には、この車両ドア1の側方に配置されたシートの乗員(図示略)が利用するアームレスト3が設けられている。具体的には、このアームレスト3は、上方に臨む意匠面4sを備えた肘置き部4を有している。そして、本実施形態のアームレスト3は、これにより、そのシートに着座した乗員が、この肘置き部4の意匠面4sに腕部(例えば、肘から先の前腕部)を載せることができる構成になっている。
【0024】
また、本実施形態のアームレスト3は、この肘置き部4の下方となる位置において、その内側に設けられた空気袋10を備えている。具体的には、この空気袋10は、空気の流路Lとなるエアチューブ11を介して吸排気装置12に接続されている。尚、本実施形態のエアチューブ11は、弾性変形可能な軟質樹脂を用いて形成されている。また、この吸排気装置12は、制御装置13によって、その作動が制御されている。更に、この制御装置13には、図示しない操作スイッチに対する操作入力信号Scrが入力されるようになっている。そして、本実施形態の制御装置13は、この操作入力信号Scrに基づいて、その吸排気装置12の作動を制御する構成になっている。
【0025】
即ち、本実施形態の空気袋10は、エアチューブ11を介して空気が圧送されることにより拡張し、その内部空気が排出されることにより収縮する。また、本実施形態のアームレスト3は、この空気袋10が拡縮することにより、その上方に位置する肘置き部4が変位する。具体的には、本実施形態のアームレスト3において、この肘置き部4には、軟質素材が用いられている。そして、本実施形態のアームレスト3は、これにより、その肘置き部4の意匠面4sが上下方向に変位する構成になっている。
【0026】
また、本実施形態の制御装置13は、その操作入力信号Scrに示された乗員の操作要求に従ってアームレスト3の肘置き部4が変位するように、吸排気装置12の作動、つまりは、空気袋10に対する吸排気制御を実行する。そして、本実施形態のアームレスト3は、これにより、その当接部となる肘置き部4を介してシートの乗員を安定した姿勢で支持する構成になっている。
【0027】
(空気袋)
次に、本実施形態のアームレスト3に設けられた空気袋10の構成、及びその配置について説明する。
【0028】
図2〜
図5に示すように、本実施形態の空気袋10は、エアチューブ11を介して空気が圧送されることにより扁平略四角箱状に膨らむ第1の袋部20を備えている。具体的には、この第1の袋部20は、略矩形状にカットされた二枚のシート材21,22を厚み方向に重ねるとともに、これら各シート材21,22の周縁部を互いに溶着することにより形成されている。そして、第1の袋部20は、これにより、その拡張時、これら各シート材21,22の外表面21s,22sが、互いに相反する方向を向いた第1及び第2の押圧面S1,S2となるように構成されている。
【0029】
図2、
図3、及び
図6(a)(b)に示すように、本実施形態の空気袋10は、上記肘置き部4の下方(
図6中、下側)となる位置において、そのアームレスト3の内側に設けられたベース部材23の支持面23s上に載置されている。詳しくは、この空気袋10は、ベース部材23の支持面23sに対し、その第1の袋部20における第1の押圧面S1を構成する第1のシート材21を下側に向けた状態で載置されている。更に、ベース部材23の支持面23sには、当該支持面23s上に載置される空気袋10、詳しくは、その第1の袋部20の長手方向に延びる溝部24が形成されている。そして、本実施形態のエアチューブ11は、この溝部24の内側に配索される構成になっている。
【0030】
詳述すると、
図4〜
図6に示すように、本実施形態の空気袋10において、第1の袋部20を構成する第1のシート材21には、その中央部分に、当該第1のシート材21を厚み方向に貫通する孔部25が設けられている。また、本実施形態の空気袋10は、この孔部25を介して第1の袋部20に連通する当該第1の袋部20よりも小さい第2の袋部30を備えている。更に、この第2の袋部30には、空気袋10の長手方向、つまりは上記溝部24内に配置されることにより第1の押圧面S1に沿って配索されたエアチューブ11の延伸方向に開口する接続孔31が設けられている。そして、本実施形態の空気袋10は、この接続孔31に対して、そのエアチューブ11の先端部11aが接続される構成となっている。
【0031】
さらに詳述すると、
図4、
図5及び
図7に示すように、本実施形態の空気袋10において、第2の袋部30は、第1の袋部20における第1の押圧面S1、つまり、その第1の袋部20を構成する第1のシート材21の外表面21sに対し、上記孔部25を覆う位置において、第3のシート材33を貼り合わせることにより形成されている。具体的には、この第3のシート材33は、第1のシート材21よりも小さくカットされている。また、この第3のシート材33は、空気袋10の長手方向に延びる矩形部33aと、この矩形部33aの長手方向一端(
図4中、右側の端部)側に設けられた半円形状部33bと、を備えている。そして、この第3のシート材33は、その半円形状部33bの中心となる位置を上記孔部25に合せる態様で、その第1のシート材21の外表面21sに貼り付けられている。
【0032】
また、
図6及び
図8に示すように、本実施形態の空気袋10において、エアチューブ11は、上記のように第3のシート材33を第1のシート材21の外表面21sに貼り合せる際、その第3のシート材33における矩形部33aと第1のシート材21との間に、先端部11aが挟み込まれる構成になっている。そして、本実施形態の空気袋10は、これにより、第3のシート材33における矩形部33aが径方向からエアチューブ11の先端部11aに密着することで、その接続孔31が形成される、つまりは、第1の押圧面S1に沿って配置されたエアチューブ11の先端部11aが第2の袋部30に接続される構成になっている。
【0033】
更に、
図9に示すように、第2の袋部30は、その第1のシート材21に設けられた孔部25を覆う部分が、この孔部25と上記接続孔31に接続されたエアチューブ11(の先端部11a)との間の連通部32を形成する。そして、本実施形態の空気袋10は、これにより、そのエアチューブ11を介して圧送された空気が第1の袋部20内に流入し、及び第1の袋部20内の空気がエアチューブ11を介して外部に排出される構成になっている。
【0034】
このように、本実施形態の空気袋10は、その第1及び第2の押圧面S1,S2を有した第1の袋部20が拡縮することにより押圧力を発生する。そして、その第1の押圧面S1に設けられた孔部25を介して第1の袋部20に連通する第2の袋部30が、エアチューブ11の接続部40として機能する構成になっている。
【0035】
即ち、第1の押圧面S1にエアチューブ11の接続部40を設けることにより、第1の袋部20は、その拡縮状態に関わらず、第1の押圧面S1がベース部材23の支持面23sを向いた安定した姿勢に維持される。更に、その接続部40を構成する第2の袋部30に押圧力を発生する機能を求めないことで、この第2の袋部30を極小化することが可能になる。つまり、拡縮による体積変化を小さく抑えることで、第1の袋部20の拡縮状態に関わらず、そのエアチューブ11の先端部11aが接続された第2の袋部30の位置は、ほとんど変化しなくなる。そして、本実施形態の空気袋10は、これにより、エアチューブ11の局所的な屈曲を抑えることで、円滑に、その第1の袋部20が拡縮する構成になっている。
【0036】
また、収縮状態にある場合、第2の袋部30は、当該第2の袋部30を構成する第3のシート材33と略同じ厚みになる。更に、この第2の袋部30に接続されたエアチューブ11の先端部11aは、第1の押圧面S1に沿って配置されている。つまり、このエアチューブ11の先端部11aは、第1の袋部20を構成する第1及び第2のシート材21,22を介して径方向に押圧されることにより容易に潰れる構成になっている。そして、本実施形態の空気袋10は、これにより、収縮状態においても、そのエアチューブ11の接続部40が突起状の異物として感じられることのない良好な触感を維持する構成になっている。
【0037】
本実施形態のアームレスト3は、上記のように構成された空気袋10を、その肘置き部4と当該肘置き部4の内側に設けられたベース部材23との間に配置する。そして、これにより、意匠面4sの美観及び感触を維持しつつ、空気袋10の拡縮によって、円滑に、その肘置き部4を変位させることが可能になっている。
【0038】
以上、本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)空気袋10は、互いに相反する方向を向いた第1及び第2の押圧面S1,S2を有する第1の袋部20と、その第1の押圧面S1に設けられた孔部25を介して第1の袋部20に連通する当該第1の袋部20よりも小さい第2の袋部30と、を備える。そして、第2の袋部には、その第1の袋部20における第1の押圧面S1に沿うように配置されたエアチューブ11の先端部11aが接続される。
【0039】
上記構成によれば、第1の押圧面S1に隣接する位置に設けられた第2の袋部30をエアチューブ11の接続部40として機能させることにより、その第1の押圧面S1が一方向(ベース部材23の支持面23側)を向いた安定した姿勢で第1の袋部20を拡縮させることができる。また、第2の袋部30に押圧力を発生する機能を求めないことで、当該第2の袋部30を極小化することができる。そして、これにより、その拡縮による体積変化を小さく抑えることで、第1の袋部20の拡縮状態に関わらず、そのエアチューブ11の接続部40を構成する第2の袋部30の位置が動かないようにすることができる。その結果、エアチューブ11の局所的な屈曲を抑えて、円滑に、その第1の袋部20を拡縮させることができる。
【0040】
更に、第2の袋部30に接続されたエアチューブ11の先端部11aは、第1の袋部20を構成する第1及び第2のシート材21,22を介して径方向に押圧されることにより、容易に潰れる構成になっている。そして、これにより、収縮状態においても、その第1の押圧面S1に設けられたエアチューブ11の接続部40が突起状の異物として感じられることのない良好な触感を維持することができる。
【0041】
(2)第2の袋部30は、その孔部25を覆う位置において第1の押圧面S1を構成する第1のシート材21(の外表面21s)に貼り合わされた第3のシート材33により構成される。
【0042】
上記構成によれば、構成簡素、且つ容易に、その第2の袋部30を形成することができる。そして、その第3のシート材33を第1の押圧面S1に貼り合せる際、これら第1の押圧面S1と第3のシート材33との間に、エアチューブ11の先端部11aを挟み込むことにより、容易に、このエアチューブ11の先端部11aを第2の袋部30に接続することができる。
【0043】
(3)第1の袋部20は、互いに貼り合わされた二枚のシート材21,22により構成される。そして、第2の袋部30は、第1の押圧面S1の中央部分に設けられた孔部25を覆う位置に設けられる。
【0044】
上記構成によれば、構成簡素、且つ容易に、その第1の袋部20を形成することができる。また、このように二枚のシート材21,22を貼り合せてなる第1の袋部20は、その各押圧面(S1,S2)の中央部分が大きく膨らむ特徴がある。従って、このような構成を有する第1の袋部20について、その第1の押圧面S1に隣接する位置に設けられた第2の袋部30をエアチューブ11の接続部40とすることで、顕著な効果を得ることができる。そして、特に、第2の袋部30に覆われる孔部25を、その最も大きく膨らむ第1の押圧面S1の中央部分に設けることで、より一層、顕著な効果を得ることができる。
【0045】
(4)乗員支持装置としてのアームレスト3は、車両のシートに着座した乗員の腕部が載置される当接部としての肘置き部4と、この肘置き部4の内側に設けられたベース部材23と、を備える。そして、これらの肘置き部4とベース部材23との間には、上記空気袋10が配置される。
【0046】
上記構成によれば、空気袋10の拡縮によって、アームレスト3の肘置き部4を上下方向に変位させることができる。そして、これにより、このアームレスト3の利用者をより安定した姿勢で支持することができる。更に、その空気袋10が、安定した姿勢で円滑に拡縮することにより、その意匠面4sの美観及び感触を維持しつつ、円滑に肘置き部4を変位させることができる。そして、これにより、高い質感を確保することができる。
【0047】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、第1の袋部20は、扁平略四角箱状に膨らむこととした。しかし、これに限らず、互いに相反する方向を向いた第1及び第2の押圧面S1,S2を有するものであれば、その形状は、任意に変更してもよい。また、第1の袋部20は、二枚のシート材21,22を貼り合せてなることとしたが、その形成方法についてもまた、任意に変更してもよい。そして、孔部25の形成位置についてもまた、第1の押圧面S1であれば、任意に変更してもよい。
【0048】
・上記実施形態では、第2の袋部30は、その孔部25を覆う位置において、第1の押圧面S1を構成する第1のシート材21に第3のシート材33を貼り合わせることにより形成されることとした。しかし、これに限らず、例えば、袋状部材を孔部25を覆う位置に固着する等、その第2の袋部30の形成方法は、任意に変更してもよい。そして、第1の袋部20よりも小さいものであれば、その大きさ及び形状についてもまた、任意に変更してもよい。但し、その拡縮による体積変化を小さく抑える観点では、第2の袋部30は、できる限り小さい方が望ましい。
【0049】
・更に、上記実施形態では、第3のシート材33を第1の押圧面S1に貼り合せて第2の袋部30を形成する際、これら第1の押圧面S1と第3のシート材33との間に、エアチューブ11の先端部11aを挟み込むこととした。しかし、これに限らず、第1の押圧面S1に沿うように配置されたエアチューブ11の先端部11aが接続される構成であれば、予め第2の袋部30に設けられた接続孔31に対し、そのエアチューブ11の先端部11aを挿入する等、接続方法は任意に変更してもよい。
【0050】
・また、第1の押圧面S1に貼り合せる前の状態における第3のシート材33の形状は、平坦形状でもよく、
図7に示すように、予め、その接続孔31、及び第1の押圧面S1の孔部25と接続孔31に接続されたエアチューブ11の先端部11aとの間に隙間を形成する連通部32の立体形状(断面U字形状)が予め形成されたものであってもよい。
【0051】
特に、連通部32の立体形状が予め作り込まれた第3のシート材33を用いることで、空気袋10から空気を排出した後においても、その第1の押圧面S1に形成された孔部25と接続孔31に接続されたエアチューブ11の先端部11aとの間の隙間を維持することができる。
【0052】
即ち、
図10に示すように、排気により第2の袋部30が潰れることで、その第2の袋部30を構成する第3のシート材33が第1の押圧面S1に張り付いてしまう可能性がある。そして、これにより、その第1の押圧面S1に設けられた孔部25が塞がれるおそれがある。しかしながら、上記構成によれば、このような状況の発生を回避することができる。
【0053】
尚、例えば、第1の押圧面S1に袋状部材を固着する等、その他の方法により第2の袋部30を形成する場合についてもまた、このように排気状態においても孔部25とエアチューブ11の先端部11aとの間に隙間を形成する連通部32が維持される構成とするとよい。そして、これにより、排気により第1の袋部20と第2の袋部30とを連通する孔部25が塞がれる状況を防いで、円滑に、その第1の袋部20を拡張させることができる。
【0054】
・また、
図11(a)(b)に示す空気袋10Bのように、第1の袋部20Bと第2の袋部30とを連通する孔部25を囲むように、第1の押圧面S1に突出する複数の突部35を設けてもよい。具体的には、この例において、これらの突部35は、それぞれ、互いに間隔を開けて孔部25の周囲を円環状に囲む円弧状の突条形状をなしている。即ち、このような構成を採用することで、排気により第2の袋部30が潰れた際、その第1の押圧面S1に張り付いた第3のシート材33が孔部25を塞ぐ状況を回避することができる。更に、各突部35間の隙間によって、空気の経路が確保される。そして、これにより、円滑に、その第1の袋部20を拡張させることができる。
【0055】
尚、孔部25の周囲を囲む突部35の数や形状は、任意に変更してもよい。また、このような突部35は、第2の袋部30を構成する第3のシート材33側に設けてもよい。そして、例えば、第1の押圧面S1に袋状部材を固着する等、その他の方法により第2の袋部30を形成する構成に適用してもよい。
【0056】
・上記実施形態では、空気袋10が載置されるベース部材23の支持面23sには、その第1の袋部20の長手方向に延びる溝部24が形成される。そして、エアチューブ11は、この溝部24内に配置されることとした。しかし、これに限らず、第2の袋部30に接続されるエアチューブ11の先端部11aが、第1の押圧面S1に沿うように配置される構成であれば、その溝部24の延伸方向は、任意に変更してもよい。また、溝部24の深さも任意に変更してもよい。そして、このような溝部24を有しない構成についてもまた、これを排除しない。
【0057】
・上記実施形態では、乗員支持装置としてのアームレスト3が、車両ドア1のインナーパネル2に設けられた構成に具体化した。しかし、これに限らず、例えば、
図12に示すように、センターコンソール41に設けられたアームレスト3Cについて、その側方のシート42に着座する乗員の腕部(図示略)が載置される肘置き部4Cの内側に空気袋10Cを設ける。そして、この空気袋10Cの拡縮により、その乗員に対する当接部としての肘置き部4Cが変位する構成に具体化してもよい。
【0058】
・また、例えば、センターコンソール41の側面、或いは車両ドア1のインナーパネル2等に、シート42に着座する乗員の膝部が当接する「膝当て部」を設ける。更に、この当接部としての膝当て部の内側にベース部材を設けるとともに、このベース部材と膝当て部との間に空気袋10を配置する。そして、この空気袋10を拡縮させることにより、その膝当て部を変位させる構成としてもよい。尚、このような当接部は、膝以外の脚部が当接するものであってもよい。そして、これにより、シートに着座する乗員をより安定的な姿勢で支持することができる。
【0059】
・更に、例えば、
図13に示すように、コンソールボックス43の下壁部43aの下方にベース部材23Dを設け、このベース部材23Dと下壁部43aとの間に空気袋10Dを配置する。そして、この空気袋10Dの拡縮に基づき下壁部43aが上下方向に変位することにより、そのコンソールボックス43の容積を変化させる容積可変装置45を形成してもよい。
【0060】
上記構成によれば、コンソールボックス43内に収容される物の大きさに合わせて、そのコンソールボックス43の容積を自在に変更することができる。そして、これにより、コンソールボックス43内の収容物を安定的に保持することができる。
【0061】
また、空気袋10Dの拡縮によりコンソールボックス43の側壁部43bが側方に変位する構成であってもよい。そして、このような容積可変装置45は、例えば、車両ドア1のインナーパネル2に設けられたドアポケット46(
図1参照)等、車室に設けられたその他の収容スペースに適用してもよい。