(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記取付角算出部は、前記角速度検出部で検出した車両の角速度に基づいて、前記車両が旋回しているか否かを判定する請求項1から3のいずれか一項に記載の取付角算出装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る取付角算出装置、取付角評価装置、取付角算出方法および取付角評価方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0016】
[第一実施形態]
図1は、第一実施形態に係る取付角算出装置の構成例を示す図である。取付角算出装置40を有する車載装置1は、移動体に配置されている。本実施形態では、移動体の一例として車両について説明する。
【0017】
図2を用いて、車載装置1の取付角θ[deg]と車両のピッチ角α[deg]とについて説明する。
図2は、車両の車載装置の取付角と、車両のピッチ角とを説明する概略図である。車両は、傾斜した道路面R上を走行している。車両のピッチ角αは、水平面に対する車両の傾きである。車載装置1の取付角θは、路面Rに対する車載装置1の筐体の傾きである。
【0018】
図1に戻って、車載装置1は、車両のそれぞれの位置に配置された、GPS(Global Positioning System)受信機(衛星信号受信機)11と、ジャイロセンサ(角速度検出部)12と、制御装置20と、記憶装置30とを有する。
【0019】
GPS受信機11は、車両の現在位置を取得する。GPS受信機11は、GPS衛星からの衛星信号を受信する。GPS受信機11は、受信した衛星信号に基づいて位置情報を算出する。GPS受信機11は、算出した位置情報を制御装置20の取付角算出部100に出力する。
【0020】
ジャイロセンサ12は、車両の角速度を検出する。より詳しくは、ジャイロセンサ12は、ヨーレートジャイロを有する。ヨーレートジャイロは、車両の鉛直方向に沿ったz軸(
図3参照)を軸とした回転の角速度であるヨー角速度を検出する。
図3は、車両の姿勢を説明する概略図である。ジャイロセンサ12は、ヨーレートジャイロで検出したヨー角速度を制御装置20の取付角算出部100に出力する。
【0021】
ジャイロセンサ12は、検出軸の傾斜によって、感度変化率が大きく変わることが知られている。ジャイロセンサ12は、検出軸が鉛直方向と一致しているとき、感度が最大となる。
【0022】
図4を用いて、ジャイロセンサ12のピッチ角と感度変化の割合との関係を説明する。
図4は、ピッチ角とジャイロセンサの感度変化率とを示すグラフである。横軸は、ジャイロセンサ12の水平面に対するピッチ角である。縦軸は、ジャイロセンサ12の感度変化率である。
【0023】
ジャイロセンサ12のピッチ角が0[deg]のとき、感度変化率は最大値の1.0である。ジャイロセンサ12が傾斜し、ジャイロセンサ12のピッチ角が0[deg]から+10[deg]ずれると、ジャイロセンサ12の感度は2%程度低下する。ジャイロセンサ12が傾斜し、ジャイロセンサ12のピッチ角が0[deg]から−10[deg]ずれると、ジャイロセンサ12の感度は2%程度低下する。
【0024】
ジャイロセンサ12のピッチ角が−20[deg]のとき、感度変化率は約0.94である。ジャイロセンサ12が傾斜し、ジャイロセンサ12のピッチ角が−20[deg]から+10[deg]ずれると、ジャイロセンサ12の感度は5%程度上昇する。ジャイロセンサ12が傾斜し、ジャイロセンサ12のピッチ角が−20[deg]から−10[deg]ずれると、ジャイロセンサ12の感度は8%程度低下する。このように、ジャイロセンサ12のピッチ角が−20[deg]のとき、ピッチ角のずれる方向によって、言い換えると、傾斜の方向によって、ジャイロセンサ12の感度変化率が異なる。このため、例えば、高速道路のランプおよび立体交差等のように、車両のピッチ角が上下方向に変化する地点では、ジャイロセンサ12の感度が大きくずれ、車両のピッチ角を正しく算出できないおそれがある。
【0025】
制御装置20は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などで構成された演算処理装置である。制御装置20は、記憶装置30に記憶されているプログラムをメモリにロードして、プログラムに含まれる命令を実行する。制御装置20は、取付角算出装置40を含む。
【0026】
取付角算出装置40は、取付角算出部100で車載装置1の取付角θ[deg]を算出する。
【0027】
取付角算出部100における、車両の取付角θs[deg]の算出方法について説明する。
【0028】
車両が旋回している状態において、GPS受信機11の出力から算出した車両の第一角速度をWg[deg/s]、ジャイロセンサ12で検出した車両の角速度を表す出力をZ[LSB]、ジャイロセンサ12のオフセットをZofs[LSB]とすると、ジャイロセンサ12の仮の感度S´[deg/s/LSB]は、数式1で算出される。
【0030】
ジャイロセンサ12の最大感度をS0[deg/s/LSB]、ピッチ角をα[deg]、車両の取付角をθs[deg]とすると、数式2が成り立つ。
【0032】
ジャイロセンサ12の最大感度S0とジャイロセンサ12の仮の感度S´との感度比率S0/S´をXとする。
【0033】
ピッチ角の異なる地点p1、p2で計測された感度比率をX1、X2、このときのピッチ角をα1、α2とする。なお、α1、α2は、異なる角度である。上述したように、ピッチ角の異なる地点p1、p2においては、ジャイロセンサ12の検出軸の鉛直方向に対する傾斜が変わるため、ジャイロセンサ12の感度が変化する。
【0034】
これらより、数式3、数式4が成り立つ。
【0037】
これらより、取付角θsは、数式5で算出される。
【0039】
取付角算出部100は、数式5に、第一ピッチ角α1における第一の仮の感度S1=Wg1/(Z1−Zofs1)、第二ピッチ角α2における第二の仮の感度S2=Wg2/(Z2−Zofs2)、第一ピッチ角α1、第二ピッチ角α2を代入し、取付角θsを算出する。
【0040】
言い換えると、取付角算出部100は、車両が旋回している状態において、第一ピッチ角α1の地点p1における、GPS受信機11の出力から算出した車両の第一角速度Wg1と、ジャイロセンサ12の出力Z1とに基づいて、ジャイロセンサ12の第一の仮の感度S1を算出する。取付角算出部100は、車両が旋回している状態において、第二ピッチ角α2の地点p2における、GPS受信機11の出力から算出した車両の第二角速度Wg2と、ジャイロセンサ12の出力Z2とに基づいて、ジャイロセンサ12の第二の仮の感度S2を算出する。そして、取付角算出部100は、第一ピッチ角α1の地点p1において、ジャイロセンサ12の最大感度S0と第一の仮の感度S1との感度比率S0/S1であるX1を算出する。取付角算出部100は、第二ピッチ角α2の地点p2において、ジャイロセンサ12の最大感度S0と第二の仮の感度S2との感度比率S0/S2であるX2を算出する。そして、取付角算出部100は、算出した感度比率X1、X2を通過する余弦波を推定することで、取付角θsを算出する。
【0041】
図5を用いて、ピッチ角の異なる地点p1、p2、すなわち、水平面に対する車両の傾きである斜度の異なる複数の地点p1、p2で計測された、感度比率X1、X2を通過する余弦波について説明する。
図5は、ピッチ角とジャイロ感度比とを示すグラフである。ジャイロ感度比は、ピッチ角αが取付角θsと一致するとき、最大となる。ピッチ角の異なる地点p1、p2においては、ジャイロセンサ12の検出軸の鉛直方向に対する傾斜が変わるため、ジャイロセンサ12の感度が変化する。
【0042】
このように、取付角算出部100は、
図5に示すように、地点p1と地点p2とを通過する余弦波を推定することで、取付角θsを算出することができる。
【0043】
取付角算出部100は、このような処理を多数の地点p1、p2で繰り返し、推定した余弦波の位相差に基づいて、取付角θsをより精度よく算出することが好ましい。取付角θsはピッチ角によらず一定である。このため、処理を繰り返すことで、取付角θsをより精度よく算出することができる。
【0044】
取付角算出部100は、数式5に、例えば、カルマンフィルタ等を使用して、取付角θsを算出してもよい。
【0045】
記憶装置30は、制御装置20における各種処理に要するデータおよび各種処理結果を記憶する。記憶装置30は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置である。記憶装置30は、例えば、ピッチ角とジャイロ感度比との関係を示すグラフを記憶する。
【0046】
次に、
図6を用いて、取付角算出処理の流れについて説明する。
図6は、第一実施形態に係る取付角算出装置の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0047】
制御装置20は、車両が旋回しているか否かを判定する(ステップS11)。より詳しくは、制御装置20は、取付角算出部100で、ジャイロセンサ12で検出したヨー角速度がゼロであるか否かで、車両が旋回しているか否かを判定させる。
【0048】
制御装置20は、取付角算出部100で、ジャイロセンサ12で検出されたヨー角速度がゼロではない場合、車両が旋回していると判定させる(ステップS11でYes)。制御装置20は、ステップS12に進む。
【0049】
制御装置20は、取付角算出部100で、ジャイロセンサ12で検出されたヨー角速度がゼロである場合、車両が旋回していないと判定させる(ステップS11でNo)。制御装置20は、ステップS11に戻って処理を継続する。
【0050】
制御装置20は、ジャイロセンサ12で取付角θsを算出する(ステップS12)。より詳しくは、制御装置20は、取付角算出部100で、第一ピッチ角α1におけるGPS受信機11の出力から算出した車両の第一角速度Wg1と、第一ピッチ角α1におけるジャイロセンサ12の出力Z1とに基づいて、ジャイロセンサ12の第一の仮の感度S1を算出させる。そして、制御装置20は、取付角算出部100で、第一ピッチ角α1と異なる第二ピッチ角α2におけるGPS受信機11の出力から算出した車両の第二角速度wg2と、第二ピッチ角α2におけるジャイロセンサ12の出力Z2とに基づいて、ジャイロセンサ12の第二の仮の感度S2を算出させる。そして、制御装置20は、取付角算出部100で、第一ピッチ角α1と第一の仮の感度S1と第二ピッチ角α2と第二の仮の感度S2とに基づいて、数式5で取付角θsを算出させる。言い換えると、制御装置20は、取付角算出部100で、
図5に示すような、ピッチ角αと感度Sとの関係により、取付角θsを算出させる。
【0051】
このようにして、取付角算出部100は、車両が旋回しているとき、第一ピッチ角α1におけるGPS受信機11の出力から算出した第一角速度Wg1と、ジャイロセンサ12の出力Z1とに基づいて、ジャイロセンサ12の第一の仮の感度S1を算出する。取付角算出部100は、車両が旋回しているとき、第二ピッチ角α2におけるGPS受信機11の出力から算出した第二角速度Wg2と、ジャイロセンサ12の出力Z2とに基づいて、ジャイロセンサ12の第二の仮の感度S2を算出する。そして、取付角算出部100は、第一ピッチ角α1と第一の仮の感度S1と第二ピッチ角α2と第二の仮の感度S2とに基づいて、取付角θsを算出する。
【0052】
上述したように、本実施形態は、車両が旋回しているとき、第一ピッチ角α1におけるGPS受信機11の出力から算出した第一角速度Wg1と、ジャイロセンサ12の出力Z1とに基づいて、ジャイロセンサ12の第一の仮の感度S1を算出する。取付角算出部100は、車両が旋回しているとき、第二ピッチ角α2におけるGPS受信機11の出力から算出した第二角速度Wg2と、ジャイロセンサ12の出力Z2とに基づいて、ジャイロセンサ12の第二の仮の感度S2を算出する。そして、本実施形態は、第一ピッチ角α1と第一の仮の感度S1と第二ピッチ角α2と第二の仮の感度S2とに基づいて、取付角θsを算出することができる。
【0053】
しかも、本実施形態は、第一ピッチ角α1と第一の仮の感度S1と第二ピッチ角α2と第二の仮の感度S2とに基づいて、取付角θsを算出する処理を、ピッチ角の異なる地点について繰り返し行うことで、取付角θsをより精度よく算出することができる。
【0054】
本実施形態は、GPS受信機11の出力とジャイロセンサ12の出力Zとに基づいて、取付角θsを算出する。このため、本実施形態は、既存の車載装置1に新たなセンサを追加せずに実現することができる。このように、本実施形態は、容易に既存の車載装置1に適用することができる。
【0055】
本実施形態は、GPS受信機11の出力とジャイロセンサ12の出力Zとに基づいて、取付角θsを算出することができる。このため、本実施形態は、加速度センサで取付角の測定が不可能な状態であっても、取付角θsを算出することができる。
【0056】
[第二実施形態]
図7、
図8を用いて、本実施形態に係る車載装置1Aについて説明する。
図7は、第二実施形態に係る取付角評価装置の構成例を示す図である。
図8は、第二実施形態に係る取付角評価装置の処理の流れの一例を示すフローチャートである。車載装置1Aは、基本的な構成は第一実施形態の車載装置1と同様である。以下の説明においては、車載装置1と同様の構成要素には、同一の符号または対応する符号を付し、その詳細な説明は省略する。本実施形態の車載装置1Aは、加速度センサ(加速度検出部)13を有する点と、制御装置20Aの構成が、第一実施形態の車載装置1と異なる。
【0057】
GPS受信機11は、算出した位置情報を制御装置20Aの第一取付角算出部100Aと第二取付角算出部110Aに出力する。
【0058】
加速度センサ13は、車両の加速度を検出する。より詳しくは、加速度センサ13は、車両の前後方向に生じる加速度と、車両の左右方向に生じる加速度と、車両の鉛直方向に生じる加速度とを検出する。加速度センサ13は、検出した車両の加速度を制御装置20Aの第二取付角算出部110Aに出力する。
【0059】
制御装置20Aは、第一取付角算出部100Aと第二取付角算出部110Aと評価部120Aとを含む取付角評価装置40Aを有する。
【0060】
第一取付角算出部100Aは、取付角算出部100と同様に構成されている。第一取付角算出部100Aは、算出した第一取付角θsを評価部120Aに出力する。
【0061】
第二取付角算出部110Aは、加速度センサ13によって第二取付角を算出する。加速度センサ13によって第二取付角を算出する方法は、公知のいずれの技術でもよい。例えば、第二取付角算出部110Aは、GPS受信機11の高度をリファレンスとして算出した水平時のオフセットと、生産時に計測された水平状態のオフセットの差分と、生産時に計測された加速度センサ13の感度とを用いて第二取付角を算出してもよい。第二取付角算出部110Aは、算出した第二取付角を評価部120Aに出力する。
【0062】
評価部120Aは、第一取付角算出部100Aで算出した第一取付角θsに基づいて、第二取付角算出部110Aで算出した第二取付角を評価する。より詳しくは、評価部120Aは、第二取付角が確からしい精度であるかを評価する。
【0063】
確からしい精度とは、例えば、算出した第二取付角に基づいて車両のピッチ角を算出した場合、誤差が許容範囲内に収まるような精度をいう。または、確からしい精度とは、例えば、算出した第二取付角に基づいて車両の移動状態を判定した場合、判定結果が誤判定とならないような精度をいう。
【0064】
または、確からしい精度は、段階付けてもよい。例えば、確からしい精度は、高い、やや高い、低いという三段階としてもよい。
【0065】
例えば、評価部120Aは、第二取付角と第一取付角θsとの差が閾値未満の場合、第二取付角は確からしい精度であると評価する。評価部120Aは、第二取付角と第一取付角θsとの差が閾値以上の場合、第二取付角は不確かな精度であると評価する。
【0066】
確からしい精度であると評価された第二取付角は、例えば、車両のピッチ角の算出に使用する。不確かな精度であると評価された第二取付角は、例えば、車両のピッチ角の算出に使用せず、例えば、車両のピッチ角はゼロであると仮定する。
【0067】
または、例えば、評価部120Aは、第二取付角と第一取付角θsとの差が第一閾値未満の場合、第二取付角の精度は高いと評価してもよい。評価部120Aは、第二取付角と第一取付角θsとの差が第一閾値以上、第一閾値より大きい第二閾値未満の場合、第二取付角の精度はやや高いと評価してもよい。評価部120Aは、第二取付角と第一取付角θsとの差が第二閾値以上の場合、第二取付角の精度は低いと評価してもよい。
【0068】
精度が高い、または、精度がやや高いと評価された第二取付角は、車両のピッチ角の算出に使用する。精度が低いと評価された第二取付角は、車両のピッチ角の算出に使用せず、例えば、車両のピッチ角はゼロであると仮定する。
【0069】
次に、取付角評価処理の流れについて説明する。
図8に示すフローチャートのステップS21、ステップS22の処理は、
図6に示すフローチャートのステップS11、ステップS12と同様の処理である。
【0070】
制御装置20Aは、加速度センサ13で第二取付角を算出する(ステップS23)。より詳しくは、制御装置20Aは、第二取付角算出部110Aで、加速度センサ13によって第二取付角を算出させる。
【0071】
制御装置20Aは、加速度センサ13で算出した第二取付角を評価する(ステップS24)。より詳しくは、制御装置20Aは、評価部120Aで、第一取付角算出部100Aで算出した第一取付角θsに基づいて、第二取付角算出部110Aで算出した第二取付角を評価させる。
【0072】
本実施形態では、制御装置20Aは、評価部120Aで、第二取付角と第一取付角θsとの差分が、閾値以上であるか否かを判定させる。制御装置20Aは、評価部120Aで、第二取付角と第一取付角θsとの差分が、閾値以上である場合、第二取付角は確からしい精度であると評価させる。制御装置20Aは、評価部120Aで、第二取付角と第一取付角θsとの差分が、閾値未満である場合、第二取付角は不確かな精度であると評価させる。
【0073】
制御装置20Aは、評価結果が所定条件を満たすか否かを判定する(ステップS25)。本実施形態では、制御装置20Aは、ステップS24における評価結果が、第二取付角が不確かな精度であると評価されたか否かを判定する。
【0074】
制御装置20Aは、ステップS24において、第二取付角が不確かな精度であると評価された場合、ステップS25でYesと判定し、ステップS26に進む。制御装置20は、ステップS24において、第二取付角が不確かな精度であると評価されなかった場合、言い換えると、第二取付角が確からしい精度であると評価された場合、ステップS25でNoと判定し、処理を終了する。
【0075】
制御装置20Aは、車両のピッチ角をゼロとする(ステップS26)。この場合、第二取付角は、不確かな精度で、誤差が大きいと推定される。他の処理で第二取付角から算出したピッチ角を使用すると、正しい処理結果を得ることができないおそれがある。例えば、ピッチ角を使用して、一般道路から高速道路のランプへの侵入または立体交差への侵入を判定する処理では、正しい判定結果を得ることができないおそれがある。そこで、このような場合、一律に、車両のピッチ角はゼロとする。これにより、例えば、一般道路から高速道路のランプへの侵入または立体交差への侵入を判定する処理では、車両は一般道路の走行を継続していると判定される。
【0076】
ステップS25でNoと判定された場合は、他の処理では、第二取付角から算出したピッチ角を使用する。このため、例えば、ピッチ角を使用して、一般道路から高速道路のランプへの侵入または立体交差への侵入を判定する処理では、正しい判定結果を得ることができる。
【0077】
このようにして、第一取付角算出部100Aは、GPS受信機11の出力とジャイロセンサ12の出力Zとに基づいて算出した第一取付角θsに基づいて、加速度センサ13で算出した第二取付角を評価する。そして、例えば、第二取付角が不確かな精度であると判定された場合などには、車両のピッチ角をゼロとする。
【0078】
上述したように、本実施形態は、GPS受信機11の出力とジャイロセンサ12の出力Zとに基づいて算出した第一取付角θsで、加速度センサ13で算出した第二取付角を評価することができる。このように、本実施形態は、算出した第二取付角が確からしい精度であるか否かを評価することができる。言い換えると、本実施形態は、算出した第二取付角の精度を保証することができる。これにより、本実施形態によれば、第二取付角を高精度に算出することができる。
【0079】
本実施形態は、例えば、生産時に計測された加速度センサ13のオフセットまたは加速度センサ13の感度に誤差が生じ、算出した第二取付角の誤差が大きい場合、第二取付角の精度が不確かであると評価することができる。
【0080】
本実施形態は、第二取付角が不確かな精度であると判定された場合、車両のピッチ角をゼロとする。このため、本実施形態は、不確かな精度の第二取付角に基づいて算出されたピッチ角を、他の処理で使用してしまうことを抑制できる。本実施形態によれば、例えば、一般道路から高速道路のランプへの侵入または立体交差への侵入を判定する処理では、誤った判定結果を得ることを抑制できる。
【0081】
さて、これまで本発明に係る取付角算出部100、第一取付角算出部100Aについて説明したが、上述した実施形態以外にも種々の異なる形態にて実施されてよいものである。
【0082】
第一実施形態において、取付角算出部100で、多数の地点p1、p2での処理を繰り返した後であれば、ジャイロセンサ12の感度からピッチ角を推定してもよい。
【0083】
第二実施形態において、ステップS25において、第二取付角が不確かな精度であると判定された場合、および、ステップS26において、車両のピッチ角がゼロとされた場合、その旨を車両の乗員に、例えば、音声または画像で報知してもよい。これにより、乗員は、カーナビゲーション装置において、自車両の走行位置が、実際と異なって示される可能性があることを認識することができる。
【0084】
図示した取付角算出部100および取付角評価装置40Aの各構成要素は、機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていなくてもよい。すなわち、各装置の具体的形態は、図示のものに限られず、各装置の処理負担や使用状況などに応じて、その全部または一部を任意の単位で機能的または物理的に分散または統合してもよい。例えば、第一取付角算出部100Aと第二取付角算出部110Aと評価部120Aとによる処理は、一つの処理部で一連の処理として行なわれるようにしても良い。
【0085】
取付角算出部100の構成は、例えば、制御装置20の一つの機能として実現される。第一取付角算出部100Aと第二取付角算出部110Aと評価部120Aとの構成は、例えば、制御装置20Aの一つの機能として実現される。取付角算出部100と第一取付角算出部100Aと第二取付角算出部110Aと評価部120Aとの構成は、制御装置20の機能と同様に、例えば、ソフトウェアとして、メモリにロードされたプログラム等によって実現される。上記実施形態では、これらのハードウェアまたはソフトウェアの連携によって実現される機能ブロックとして説明した。すなわち、これらの機能ブロックについては、ハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、または、それらの組み合わせによって種々の形で実現できる。