特許第6883246号(P6883246)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6883246プリンタにおいて透明材料を吐出するイジェクタを整列させるための方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6883246
(24)【登録日】2021年5月12日
(45)【発行日】2021年6月9日
(54)【発明の名称】プリンタにおいて透明材料を吐出するイジェクタを整列させるための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20210531BHJP
【FI】
   B41J2/01 203
   B41J2/01 451
   B41J2/01 123
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-2452(P2018-2452)
(22)【出願日】2018年1月11日
(65)【公開番号】特開2018-122591(P2018-122591A)
(43)【公開日】2018年8月9日
【審査請求日】2020年12月24日
(31)【優先権主張番号】15/420,830
(32)【優先日】2017年1月31日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【弁理士】
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】マーティン・イー・フーヴァー
(72)【発明者】
【氏名】モーリツ・ピー・ワグナー
(72)【発明者】
【氏名】カ・ヘイ・ファン
【審査官】 亀田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−221746(JP,A)
【文献】 特開2016−221748(JP,A)
【文献】 特開2017−159476(JP,A)
【文献】 特開2015−73264(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/201233(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01−2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジェクタのアレイを有する少なくとも1つのイジェクタヘッドであって、該イジェクタのアレイから前記イジェクタヘッドに対向する媒体経路に向けて透明液滴が吐出される、少なくとも1つのイジェクタヘッドと、
明液滴を吐出する前記少なくとも1つのイジェクタヘッドに動作可能に接続された少なくとも1つのアクチュエータと、
前記媒体経路の幅を横切ってクロスプロセス方向に沿って連続する線形アレイ状に並べられた複数の発光素子を有する光源であって、光をある入射角で前記媒体経路に方向付けるように位置決めされている、光源と、
前記光源の前記複数の発光素子に隣接して配置され、一対の部材と複数の交差部材とを有するルーバーであって、前記一対の部材が互いに平行で、前記クロスプロセス方向に延在し、前記交差部材が、ひとつの交差部材が前記光源の隣り合う発光素子間に位置するように、プロセス方向に互いに平行に前記一対の部材間に延在し、光が前記光源から直接前記ルーバーを通過する際に、前記ルーバーが前記光源の発光素子それぞれからの光をコリメートすることが可能であり、前記光源の各発光素子の表面から遠ざかって前記媒体経路に向かう方向に延在する各交差部材の高さの、隣り合う交差部材間の距離に対する比が少なくとも2である、ルーバーと、
前記プロセス方向に前記光源からずらされ、前記媒体経路の幅を横切って連続する線形アレイ状に並べられた複数の感光素子であって、前記光源の前記発光素子から発した光の前記入射角を基準とする反射角に位置決めされており、各感光素子が前記感光素子によって受光した光量に対応する電気信号を生成するように構成された、複数の感光素子と、
前記透明液滴を吐出する前記少なくとも1つのイジェクタヘッド、前記少なくとも1つのアクチュエータ、前記光源、及び前記複数の感光素子に動作可能に接続するコントローラであって、前記コントローラが、前記透明液滴を吐出する前記少なくとも1つのイジェクタヘッドを動作させて、基材が前記透明液滴を吐出する少なくとも1つのイジェクタヘッドを通過してプロセス方向に前記媒体経路に沿って移動する際に、透明材料の液滴によって形成されたダッシュを有するテストパターンを前記基材上に印刷するように、かつ、前記光源を動作させ、光に前記ルーバーを通過させて前記基材上のダッシュの前記テストパターン上に導くように、かつ、前記感光素子によって受光した光量に対応する前記生成された電気信号を前記感光素子から受信するように、かつ、前記感光素子から受信した前記生成された電気信号を参照して前記テストパターンにおける前記ダッシュの位置を特定するように、かつ、前記特定された位置を参照して前記透明液滴を吐出する前記少なくとも1つのイジェクタヘッドについての少なくとも1つの不整列距離を特定するように、かつ、前記少なくとも1つのアクチュエータを動作させて、前記少なくとも1つのイジェクタヘッドを前記特定された少なくとも1つの不整列距離を参照して移動させ、透明液滴を吐出する前記少なくとも1つのイジェクタヘッドのクロスプロセス方向における整列を調整するように、構成されたコントローラと、
を備える、プリンタ。
【請求項2】
前記光源が、
第1の端部と、第2の端部とを有するライトパイプであって、前記第1の端部と前記第2の端部との間に前記ライトパイプに沿った、前記発光素子を形成する複数の開口を有する、ライトパイプと、
前記ライトパイプの一端に光を導き、光が前記ライトパイプにおける前記開口から放射されて前記ルーバーを通過することを可能とする、少なくとも1つの発光ダイオード(LED)と
をさらに備える、請求項に記載のプリンタ。
【請求項3】
記ライトパイプにおける各開口が前記ルーバーにおける隣接する交差部材間に配置されている、請求項に記載のプリンタ。
【請求項4】
前記光源が、
前記ルーバーに関連して配置された蛍光管であって、該蛍光管から放射された光が前記ルーバーを通過するのを可能とする蛍光管
をさらに含む、請求項に記載のプリンタ。
【請求項5】
前記コントローラが、
前記プロセス方向における前記少なくとも1つのイジェクタヘッドの不整列を示す距離を特定する
ようにさらに構成されている、請求項に記載のプリンタ。
【請求項6】
前記コントローラが、
前記プロセス方向における前記少なくとも1つのイジェクタヘッドの不整列を示す前記距離を参照してタイミング調整パラメータを生成し、
前記生成されたタイミング調整パラメータをメモリに記憶する
ようにさらに構成されている、請求項に記載のプリンタ。
【請求項7】
前記コントローラが、
前記記憶された、生成されたタイミング調整パラメータを参照して前記少なくとも1つのイジェクタヘッドにおけるイジェクタについての発射信号を生成する
ようにさらに構成されている、請求項に記載のプリンタ。
【請求項8】
前記基材が鏡面状基材である、請求項に記載のプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この文書に開示されたシステム及び方法は、一般に印刷システムに関し、より具体的には、印刷システムにおいて液滴の位置合わせ及び不良イジェクタの検出を可能とするためにイジェクタを整列させるためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2次元(2D)及び3次元(3D)プリンタは、受像部材又はプラテン上に材料の液滴を吐出するために1つ以上のイジェクタを動作させる。材料は、特に3次元(3D)物体プリンタにおいて、水性、油性、溶剤系、UV硬化型、エマルジョン、相変化、又は他の材料とすることができる。
【0003】
典型的なプリンタは、1つ以上の印刷ヘッドに編成されることができる1つ以上のイジェクタを使用する。イジェクタは、受像部材又はプラテンに対してオープンギャップにわたって材料の液滴を吐出する。2Dプリンタにおいて、受像部材は、記録媒体の連続ウェブ、一連の媒体シートとすることができ、又は、受像部材は、印刷ドラム若しくはエンドレスベルトなどの回転面とすることができる。3Dプリンタにおいて、プラテンは、物体が層毎に構築される平面部材又は物体の形成のためにイジェクタまわりに回転する円筒状部材とすることができる。2Dプリンタにおいて回転面に印刷された像は、後に回転面及び転写定着ローラによって形成された転写定着ニップにおいて機械力によって記録媒体に転写される。イジェクタは、発射信号と称されることがある電気電圧信号に応答してオリフィスを介して材料液滴を放出する機械力を発生させる圧電、熱、又は音響アクチュエータによって実装されることができる。タイミング信号の振幅又は電圧のレベルは、各液滴において吐出される材料の量に影響を与える。発射信号は、像又は物体層データに応じてコントローラによって生成される。プリンタは、受像部材又はプラテン上に以前に形成された層上の特定の位置において個々の液滴のパターンを印刷することによって像データ又は物体層データに応じて印刷像又は物体層を形成する。液滴が着弾する場所は、「液滴場所」、「液滴位置」、又は「画素」と称されることがある。それゆえに、印刷動作は、像データ又は物体層データに応じた受像部材又はプラテン上の液滴の配置としてみることができる。
【0004】
2D及び3Dプリンタにおけるイジェクタは、イメージング面又はプラテンを参照してプリンタにおける他のイジェクタと位置合わせされなければならない。イジェクタの位置合わせは、イジェクタが既知のパターンで液滴を吐出するように動作するプロセスであり、その後、吐出される液滴の印刷像は、イメージング面又は以前に形成された層を参照して且つプリンタにおける他のイジェクタを参照してイジェクタの向きを決定するために分析される。像データ又は物体層データに対応して液滴を吐出するためにプリンタにおいてイジェクタを動作させることは、イジェクタが受像部材又は以前に形成された層にわたる幅を有するレベルであること及びイジェクタの全てが動作可能であることを前提としている。しかしながら、イジェクタの向きに関する推測は、仮定することはできないが、確認する必要がある。さらに、イジェクタの適切な動作のための条件が確認できない場合、印刷像又は層の分析は、印刷用の推定される条件に良好にしたがうようにイジェクタの動作を調整するために又は推定された条件からイジェクタの偏差を補償するために、使用可能なデータを生成する必要がある。
【0005】
印刷像の分析は、2方向を参照して行われる。「プロセス方向」は、イメージング面又はプラテンが吐出される液滴を受けるようにイジェクタを通過するときに受像部材又はプラテンが移動している方向を指し、「クロスプロセス方向」は、受像部材又はプラテンの面においてプロセス方向に対して垂直な方向を指す。印刷像又は層を分析するために、テストパターンが生成される必要があり、そのため、イジェクタが液滴を吐出するように動作したかどうか、実際には、液滴を吐出したかどうか、及び、イジェクタが受像部材又はプラテン及びプリンタにおける他のイジェクタを参照して正確に配向された場合に液滴が着弾したであろう場所に吐出された液滴が着弾したかどうかに関して判定が行われることができる。
【0006】
システム及び方法は、異なるイジェクタから吐出される液滴を検出し、イジェクタの位置及び向きを推定し、及び印刷システムにおける良好な位置合わせのために許容される整列を達成するようにイジェクタのうちの1つ以上を移動させるために有用な矯正データを特定するために存在する。液滴の検出並びにイジェクタの位置及び向きの判定のために印刷システムにおける1つ以上のプロセッサが液滴受け基材上のテストパターンの像データを分析するのを可能とするために、液滴はテストパターンと称されることがある既知のパターンで吐出される。いくつかの印刷システムにおいて、イジェクタは、受像部材又はプラテン上に材料の透明液滴を吐出するように構成されている。この透明材料は、最終印刷物又は製造された3D物体の表面仕上げの光沢レベルを調整するのに有用である。さらに、透明材料は、3D物体の表面上にレンズなどの光学構造を形成するために、又は3D物体の造形中に支持構造を形成するために使用可能である。この文書において使用される場合、用語「透明」は、その中の着色剤の濃度が低いか又は全くない材料を指す。しかしながら、透明材料の使用から生じる1つの問題は、イメージングシステムによって受像部材上に吐出された透明材料の液滴を検出する際の困難性である。透明液滴は、良好にイメージングしないことから、イジェクタを整列させるための既知のシステム及び方法は、透明液滴が検出され且つ透明材料を吐出するイジェクタの位置及び向きが推定されるのを可能としない。
【0007】
イジェクタを整列させるための1つの公知のシステム及び方法において、テストパターンは、ダッシュを形成するイジェクタから吐出された液滴によって形成される。テストパターンにおけるダッシュは、クロスプロセス方向において液滴受像部材の幅にわたって延在する蛍光灯又はライトチューブなどの光源によって照射される。光検出器などの複数の受光器を有するイメージセンサは、受像部材から反射された光を受光する。受像部材がプロセス方向における光源及び受光器を通過するのにともない、光は、一般にコリメートされる。しかしながら、クロスプロセス方向において、受光器によって撮像された受像部材から反射された光は、光源の全幅から到来することができる。この種の光は、背景のようにみえるテストパターンにおいて透明材料のダッシュのエッジをもたらし、そのため、テストパターンの像におけるダッシュの検出は困難である。この難読化は、特に、透明材料が広範囲の着色材料及び非着色材料を検出するために有用である光沢のある又は鏡面状の面上に吐出される場合に存在する。したがって、テストパターンにおいて、特に光沢のある又は鏡面状の基材上において透明材料のダッシュを検出することができるイジェクタを整列させるためのシステム及び方法の開発が望ましい目標である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
印刷システムを動作させる方法は、透明材料を吐出するイジェクタが視認可能な着色材料を吐出するイジェクタと整列するのを可能とする。本方法は、基材が透明材料の液滴を吐出する少なくとも1つのイジェクタヘッドを通過してプロセス方向に移動するのにともない、少なくとも1つのイジェクタヘッドによって吐出された透明材料の液滴によって形成されたダッシュを有するテストパターンを基材上に印刷することと、光源に隣接して配置されたルーバーを介して光源によって生成された光を基材上のテストパターン上に導くことと、基材又はテストパターンの一部から反射された反射光の量に対応する電気信号を感光素子によって生成することと、生成された電気信号を参照してテストパターンにおけるダッシュの位置を特定することと、特定された位置を参照して透明液滴を吐出する少なくとも1つのイジェクタヘッドについての少なくとも1つの不整列距離を特定することと、透明液滴を吐出する少なくとも1つのイジェクタヘッドに動作可能に接続された少なくとも1つのアクチュエータをコントローラによって動作させることであって、コントローラが、透明液滴を吐出する少なくとも1つのイジェクタヘッドのクロスプロセス方向における整列を調整するために、特定された少なくとも1つの不整列距離を参照して少なくとも1つのアクチュエータを動作させることとを含む。
【0009】
プリンタは、プリンタにおけるイジェクタが視認可能な着色材料を吐出するイジェクタと整列するように透明材料を吐出するのを可能とするように構成されている。プリンタは、透明液滴が吐出されるイジェクタのアレイを有する少なくとも1つのイジェクタヘッドと、透明液滴を吐出する少なくとも1つのイジェクタヘッドに動作可能に接続された少なくとも1つのアクチュエータと、光源と、光源に隣接して配置されたルーバーと、各感光素子が感光素子による受光量に対応する電気信号を生成するように構成された複数の感光素子と、透明液滴を吐出する少なくとも1つのイジェクタヘッド、少なくとも1つのアクチュエータ、光源及び複数の感光素子に動作可能に接続するコントローラとを含む。コントローラは、ルーバーを介して基材上のダッシュのテストパターン上に光を導くように光源を動作させ、感光素子からの受光量に対応する生成された電気信号を感光素子から受信し、感光素子から受信した生成された電気信号を参照してテストパターンにおけるダッシュの位置を特定し、透明液滴を吐出する少なくとも1つのイジェクタヘッドについての少なくとも1つの不整列距離を特定された位置を参照して特定し、透明液滴を吐出する少なくとも1つのイジェクタヘッドのクロスプロセス方向における整列を調整するために特定された少なくとも1つの不整列距離を参照して少なくとも1つのアクチュエータを動作させるために、基材が透明液滴を吐出する少なくとも1つのイジェクタヘッドを通過してプロセス方向に移動するのにともない、透明材料液滴によって形成されたダッシュを有するテストパターンを基材上に印刷するために透明液滴を吐出する少なくとも1つのイジェクタヘッドを動作させるように構成されている。
【0010】
本特許出願の例示的な実施形態は、同様の参照符号が同様の要素を指す添付図面を参照して一例として以下に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、改良された光センサが使用される物体を形成するためにプラテン上に材料の液滴を吐出する改良された印刷システムの概略図である。
図2図2は、図1のシステムにおける光センサの1つの実施形態の図である。
図3図3は、図1のシステムにおける光センサの他の実施形態の図である。
図4図4は、図1に示されるシステムにおける光センサのルーバーを有さずに及びルーバーを有してイメージングされたテストパターンの像の差の図である。
図5図5は、ルーバーを有する及びルーバーを有しない図2又は図3の光センサの光源から出射された光の差を示している。
図6図6は、イジェクタが視認可能な着色材料を吐出するイジェクタと整列するように透明材料を吐出するのを可能とするプロセスのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本願明細書に開示された方法及びプリンタの環境並びに本方法及びプリンタの詳細の一般的な理解のために図面が参照される。図面において、同様の参照符号は同様の要素を示している。
【0013】
図1は、3次元(3D)物体プリンタ100を示している。プリンタ100は、プラテン104と、複数のイジェクタヘッド108とを備える。イジェクタヘッド108は、以下にさらに説明されるように、他のイジェクタヘッドのイジェクタと各イジェクタヘッドのイジェクタを位置合わせするために、プロセス方向、クロスプロセス方向、及び垂直方向における各イジェクタヘッドの独立した移動を可能とするように1つ以上のアクチュエータを有して構成されている。その後、イジェクタヘッド108は、イジェクタヘッドにおけるイジェクタの位置合わせを維持するためにブロックとしてともに移動される。各イジェクタヘッド108は、物体116などの3次元物体を形成するためにプラテン104の面112に向かって造形材料の液滴を吐出するように構成された1つ以上のイジェクタを有する。イジェクタ120A−Fは、3次元物体を形成するために造形材料の液滴を吐出するように構成されている。いくつかの実施形態において、イジェクタヘッド108は、形成された物体116についての支持部を形成するために、ワックスなどの支持材料の液滴を吐出するように構成された少なくとも1つのイジェクタ120Gを有する。本願明細書において使用される場合、「支持部」は、物体の一部についての造形材料の層が変形を引き起こす造形材料の重力又は層流なしに形成されるのを可能とする支持材料の1つ以上の層を意味する。この支持材料は、後に完成部品から除去される。図1に示されるイジェクタヘッド108におけるイジェクタ120A−Gの特定の配置は、単に説明のためのものにすぎない。いくつかの実施形態において、イジェクタヘッド108のそれぞれにおけるイジェクタ120A−Gは、いくつかの行又は列に配置されることができる。イジェクタヘッド108は、プロセス方向P、クロスプロセス方向CP、及び垂直方向Vにおいて、プラテン104に対して群として移動するように構成されている。いくつかの実施形態において、プリンタ100は、これらの方向において互いに対してイジェクタヘッド108及びプラテン104の一方又は双方を移動させるように構成されたアクチュエータを含む。
【0014】
プリンタ100は、少なくともイジェクタヘッド108及びイジェクタヘッドを移動させるアクチュエータに動作可能に接続されたコントローラ124を含む。コントローラ124は、プラテン面112上に3次元物体を形成するために物体層データに変換された像データを参照してイジェクタヘッド108を動作させるように構成されている。いくつかの実施形態において、像データは、形成されることになる物体の形状及びサイズを示す3次元モデルを含む。3次元物体の各層を形成するために、コントローラ124は、プラテン104に向かって材料の液滴を吐出しながら、プロセス方向Pにおいて複数回イジェクタヘッド108を掃引するようにプリンタ100のアクチュエータを動作させる。複数経路の場合、イジェクタヘッド108は、各掃引間でクロスプロセス方向CPにおいてシフトする。各層が形成された後、イジェクタヘッド108は、次層の印刷を開始するために垂直方向Vにプラテン104から離れるように移動する。
【0015】
プリンタ100がフルカラーで3次元物体を印刷するのを可能とするために、プリンタ100は、1対1対応でイジェクタヘッド108に動作可能に接続された複数の材料供給部128A−Gを含み、それらは、イジェクタヘッド108のイジェクタ120A−Gに異なる材料を供給するように構成されている。示された例示的な実施形態において、材料供給部128Aは、イジェクタヘッドの108のうちの1つの少なくとも1つのイジェクタ120Aに透明又は透き通った造形材料を供給する。材料供給部128Bは、イジェクタヘッド108のうちの1つの少なくとも1つのイジェクタ120Bに白色造形材料を供給する。材料供給部128Cは、イジェクタヘッド108のうちの1つの少なくとも1つのイジェクタ120Cに黒色造形材料を供給する。材料供給部128Dは、イジェクタヘッド108のうちの1つの少なくとも1つのイジェクタ120Dにシアン造形材料を供給する。材料供給部128Eは、イジェクタヘッド108のうちの1つの少なくとも1つのイジェクタ120Eにイエロー造形材料を供給する。材料供給部128Fは、イジェクタヘッド108のうちの1つの少なくとも1つのイジェクタ120Fにマゼンタ造形材料を供給する。最後に、材料供給部128Gは、イジェクタヘッド108のうちの1つの少なくとも1つのイジェクタ120Gにワックスなどの支持材料を供給する。上述したように、図1に示されるイジェクタ120A−Gの特定の配置は、単に説明のためのものにすぎない。いくつかの実施形態において、材料供給部128A−Gのそれぞれは、1つ以上の行又は列に配置された複数のイジェクタを供給するように構成されている。
【0016】
印刷システム100は、イジェクタヘッド108の位置合わせを検証するための光学イメージングシステム54を含む。図2に示される光学イメージングシステム54は、透明液滴並びに着色液滴がプラテン104又はプラテン104上に配置された基材上にイメージングされるのを可能とするために、光源60、光検出器64及びルーバー68を有して構成されている。光学イメージングシステム54は、例えば、イジェクタヘッド108のイジェクタによってプラテン104又はプラテン104上に配置された基材上に噴射された液滴の存在、強度、及び位置の検出を可能とするために、媒体上に液滴の像を生成するように構成されている。図2に示される実施形態において、光学イメージングシステム54についての光源60は、LEDによって発生された光をライトパイプの開口212に伝達するライトパイプ208に結合された単一の発光ダイオード(LED)204である。この文書において使用される場合、用語「ライトパイプ」は、光が一端から他端へと構造を通過して2つの端部間の開口において放射されるのを可能とする構造を意味する。開口212は、像基材に向かって光を導く。図3に示される光学イメージングシステム54の他の実施形態において、3つのLED304A、304B及び304Cは、ライトパイプ208に光を導くように配置されている。LED304Aは、緑色光を発生し、LED304Bは、赤色光を発生し、LED304Cは、青色光を発生する。これらのLEDは、コントローラ50によって選択的に活性化され、そのため、1つのLEDからの光のみが一度にライトパイプに導かれ、その後、像基材に向かって導かれる。図2及び図3の実施形態において、各ライトパイプは、システム100を移動する最も広い媒体と少なくとも同じ幅の距離でクロスプロセス方向における媒体の経路にわたって延在している。図2及び図3に示される実施形態における光源のLEDは、コントローラ50又は像照明用LEDを活性化するためのいくつかの他の制御回路に動作可能に接続されている。
【0017】
反射光は、光センサ54における光検出器64によって測定される。図2及び図3の実施形態において、光検出器64は、電荷結合素子(CCD)などの感光素子220の線形アレイ216である。各感光素子220は、媒体及び媒体上の材料液滴によって感光素子に反射された反射光の強度又は量に対応する電気信号を生成する。これらの信号は、コントローラ50によって受信され、テストパターンにおけるダッシュのエッジを検出するために像データとして処理される。図に示される実施形態において、線形アレイは、イジェクタヘッドを通過するように最も広い媒体に対応する距離で媒体経路の幅に実質的にわたって延在している。
【0018】
図4に示されるように、プラテン104上の鏡面状材料の基材上にダッシュ408を形成するために透明材料の液滴によって領域404A、404B及び404Cが印刷されている。鏡面状材料は、以下により完全に説明されるようにシートからの鏡面反射からの透明及び白色液滴の検出を向上させるのに役立つアルミニウム蒸着マイラーシートとすることができる。領域404Aは、後述するルーバー684を含まない上述した光センサ54などの光センサによってイメージングされている。クロスプロセス方向においてライトパイプから放射される光は、上述したように強くコリメートされていないことから、領域404Aにおけるダッシュ408のエッジは、画像処理において検出することが困難である。この文書において使用される場合、用語「ダッシュ」は、イジェクタヘッド又はプラテンのいずれかが移動されるのにともない単一のイジェクタから吐出される所定数の液滴を指し、そのため、液滴は、受け面上の細長い一連の液滴を形成する。図2及び図3に示される光センサ54の実施形態のそれぞれにおいて、ルーバー68が含まれている。この文書において使用される場合、用語「ルーバー」は、光がスラット又はストリップを通過するのを可能とするように一定間隔で配置されたスラット又はストリップのセットを意味する。ルーバー68は、2つの平行部材74及び平行部材74の間に延在する複数の交差部材78を有する。交差部材は、ライトパイプによって形成される面に対して垂直な方向にライトパイプの表面から延在する高さを有する。さらに、交差部材78は、クロスプロセス方向においてライトパイプにおける開口の幅に対応する距離だけ離隔されている。図5に示されるように、ルーバー68の交差部材78は、透明材料の液滴まで導かれる光線数を低減し、液滴のエッジと背景媒体とを区別するためにコントローラ50がダッシュの像を処理するのを可能とする電気信号の生成のために光検出器64における感光素子によって受光された鏡面反射の強度を向上させるために光をコリメートする。ルーバー68の左側の図5の部分は、ルーバー68が存在しないときにテストパターンの液滴に衝突するコリメートされていない光を示している。
【0019】
特に、ルーバーの高さ/幅の比及びピッチは、パイプからテストパターンに向けて光をコリメートするための重要な特性である。「ピッチ」は、ルーバーにおける単位距離あたりのスラットの数を指す。ピッチが高いほど、光のコリメーションが大きくなり、材料の液滴によって形成されるダッシュのエッジを検出する能力が向上する。ピッチが増加するのにともない、幅に対する高さの比も増加すべきである。例えば、幅に対する高さの比が2であれば通常は適切であるが、ピッチが増加するのにともない、すなわち、スラットの数が増加するのにともない、スラットの高さが増加すべきであるため、比は3になる。高さ/幅の比が相応に増加するとともにピッチが増加すると、テストパターンに衝突する光の均一性が改善され、その後に光検出器に到達する散乱光の量が低減する。
【0020】
引き続き図4を参照すると、領域404Bは、像領域404Cに使用されるルーバー68の交差部材よりも低い交差部材の高さを有するルーバー68を介して放射された光によって生成される透明材料のダッシュの像を示している。図から確認できるように、より大きな高さを有する交差部材を有するルーバー68は、透明材料のダッシュの検出を容易とするダッシュの像を生成する。異なる交差部材の高さを有するルーバー68を有する光センサ54によって透明材料のダッシュをイメージングすることにより、交差部材についての最適な高さが特定されて印刷システムにおいて使用されることができる。
【0021】
上述した印刷システム100において少なくとも1つの色材及び透明材料によってテストパターンを印刷する方法は、印刷システムオペレータが他のイジェクタヘッドと透明材料を吐出するイジェクタヘッドの整列を評価し、印刷システムにおけるイジェクタヘッドの位置を調整するためにアクチュエータを動作させるデータをシステムに入力するのを可能とする。本方法は、透明液滴及びシステム100における少なくとも1つの他のイジェクタヘッドからの液滴によって印刷されることになるダッシュのテストパターンを必要とする。そして、テストパターンは、テストパターンにおけるダッシュ及び媒体に衝突する光線を制限してコリメートするためにライトパイプ開口上に配置されたルーバー68を有する光センサによってイメージングされる。この制限及びコリメーションは、像データを生成するために使用される信号を生成する感光素子に入射する背景からの散乱光の量を低減する。したがって、像データを受信する画像プロセッサは、テストパターンの像におけるダッシュエッジを特定し、1つ以上のイジェクタヘッドの不整列距離を特定するためにダッシュエッジについての予測位置とそれらの位置を比較することができる。そして、これらの不整列距離は、イジェクタヘッドを再整列させるために、テストパターンにおける材料の液滴を吐出する1つ以上のイジェクタヘッドに動作可能に接続された1つ以上のアクチュエータを動作させるためにプリンタ内のコントローラによって使用される。
【0022】
具体的には、1つの実施形態において、プラテン上のダッシュの像データは、各ダッシュのX及びY位置を検出するために分析され、多数のダッシュについてのこれらの位置の平均は、イジェクタヘッドの位置を決定するために使用される。この位置は、イジェクタヘッドを他のイジェクタヘッドと整列させるために使用される。この整列は、イジェクタの全幅アレイを提供するために又は色毎の位置合わせのために異なるイジェクタヘッドからの液滴を位置合わせするためにイジェクタヘッドをステッチするために使用される。個々のダッシュ位置はまた、イジェクタヘッドにわたって画素配置を正規化するために使用される。そのような正規化補正は、吐出された液滴の体積又は質量を正規化してY方向又はプロセス方向における液滴配置を調整するようにイジェクタを駆動するために使用される波形の電圧を調整することを含む。
【0023】
透明液滴を吐出するイジェクタヘッドがプリンタにおける着色液滴を吐出するイジェクタヘッドに整列するのを可能とする方法100が図6に示されている。プリンタにおけるコントローラは、その少なくともいくつかが透明材料液滴によって形成されるダッシュのテストパターンを印刷するために1つ以上のイジェクタヘッドを動作させる(ブロック604)。印刷されたテストパターンが光センサ54を通過するのにともない、テストパターンが印刷された基材は、ルーバー68を介して光源60によって照射され(ブロック608)、光検出器64は、媒体上にテストパターンの像データを生成するために媒体及びダッシュによって反射された反射光から電気信号を生成する(ブロック612)。像データを受信する画像プロセッサは、テストパターンの像におけるダッシュエッジを特定し(ブロック616)、1つ以上のイジェクタヘッドについてのプロセス及びクロスプロセス方向における不整列距離を特定するためにダッシュエッジについての予測位置とそれらの位置を比較することができる(ブロック620)。クロスプロセス方向における不整列距離は、イジェクタヘッドを再整列させるために、1つ以上のイジェクタヘッドに動作可能に接続された1つ以上のアクチュエータを動作させるためにプリンタ内のコントローラによって使用される(ブロック624)。特定された不整列プロセス方向距離は、メモリに記憶され、プロセス方向距離不整列を補償するためにイジェクタヘッド内のイジェクタへの発射信号の印加を遅延又は進行させるためにその後に使用される時間調整パラメータを計算するためにコントローラによって使用される(ブロック628)。
【0024】
テストパターンにおけるダッシュからの鏡面反射は、ダッシュエッジの検出をより効率的に可能とすることから、アルミニウム蒸着マイラーなどの光沢のある鏡面基材がテストパターンの印刷のためにプラテン104上に配置される。他の種類の鏡面状基材は、研磨ステンレス鋼板、研磨アルミニウム板、クロムメッキシート、又はガラスシートを含む。アルミニウム蒸着マイラーは使い捨て商品である一方、これらの種類のシートは、洗浄して再利用することができる。この文書において使用される場合、「鏡面状の面」は、表面に入射する光の拡散、反射よりもむしろ、主に鏡面反射を生み出す面を指す。鏡面状の面は、色又は拡散反射により依存しないようにダッシュの検出を可能とする。この種の面は、透明材料などの非着色材料を検出するため並びに基材色と同様の着色材料を検出するために有用である。例えば、白色又はイエロー液滴などの淡色材料液滴は、白色又は淡色背景において検出することが困難であり、そのため、黒色又は暗色背景においては黒色又は暗色材料液滴が困難である。基材の鏡面状の面は、高度に鏡面であり、いくつかの場合において、透明材料液滴又は基材色と同様の材料液滴である。それゆえに、鏡面状の面に吐出される透明液滴又は同様の着色液滴は、鏡面反射を屈折又は散乱するドーム又はこぶ状のマークを形成する。光沢のある面上の各ダッシュは、ダッシュに衝突する光を集光させるレンズとして機能する。この集光は、ダッシュの中心を背景における光沢のある面よりも明るくみえさせることができる。
【0025】
これらのダッシュを検出するために、ダッシュによって生み出される鏡面反射における良好な均一性を提供する光源が必要とされ、そのため、これらの光源は、パイプにおける開口から又は管表面から放射される全ての角度において均一な光を提供することから、ライトパイプ又は蛍光管ランプが使用される。ダッシュからの光反射と光沢のある面からの光反射との間のコントラストをさらに高めるために、ルーバーは、鏡面反射を生み出す光を所定の検出角で配置された検出器にコリメートするためにライトパイプ又は蛍光管に隣接して配置されている。すなわち、検出器は、入射角に関連する反射角に沿った位置に配置されている。それゆえに、均一な光源及び光イメージングセンサ54のルーバーは、光沢のある面上の透明材料並びに液滴によって大幅にコントラストのない面上で検出することが困難な白色又は黒色液滴の検出を可能とする。そのようなシステムは、材料液滴の色と背景を形成する基材との間の激しいコントラストをあてにすることなく、広範囲の着色及び非着色材料滴が検出されるのを可能とする。
【0026】
動作において、プリンタは、上述した処理を実施するように構成されている。プリンタのコントローラは、着色液滴を吐出したイジェクタヘッドが公知の方法を使用して位置合わせされた後に透明材料液滴によって形成されたダッシュを有するテストパターンを印刷するように透明液滴及び着色液滴を吐出するイジェクタヘッドの群を動作させる。透明液滴を吐出するイジェクタヘッドについての不整列距離は、イジェクタヘッドのクロスプロセス位置を補正するように且つプロセス方向補正のタイミング調整パラメータを生成して記憶するようにアクチュエータを動作させるために使用される。着色液滴に対する透明液滴の不整列が印刷実行中に認識されている場合にのみ、他のテストパターンは、イジェクタヘッドの位置合わせのために印刷されて分析される必要がない。

図1
図2
図3
図4
図5
図6