特許第6883249号(P6883249)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6883249ストラップ取り付け構造及びデッキボード
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6883249
(24)【登録日】2021年5月12日
(45)【発行日】2021年6月9日
(54)【発明の名称】ストラップ取り付け構造及びデッキボード
(51)【国際特許分類】
   B60R 5/04 20060101AFI20210531BHJP
   F16B 21/00 20060101ALI20210531BHJP
   F16B 5/07 20060101ALI20210531BHJP
【FI】
   B60R5/04 Z
   F16B21/00 Z
   F16B5/07 D
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-254387(P2016-254387)
(22)【出願日】2016年12月27日
(65)【公開番号】特開2018-103903(P2018-103903A)
(43)【公開日】2018年7月5日
【審査請求日】2019年10月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000104674
【氏名又は名称】キョーラク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126398
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】石井 健二
【審査官】 浅野 麻木
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−056585(JP,A)
【文献】 特開2009−284661(JP,A)
【文献】 特開2009−068618(JP,A)
【文献】 特開2008−285063(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 5/04
F16B 5/07
F16B 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボードにストラップが取り付けられてなるストラップ取り付け構造であって、
前記ストラップの端部は、ボードに設けられた凹部に収容されるとともに、板状支持部材とボードの間に挟みこまれ、
前記凹部の両側に前記板状支持部材の厚さに対応した段差面が形成され、前記板状支持部材はこの段差面に締結部材により固定され、前記板状支持部材のボードとの対向面に設けられた支持ピンがストラップに設けられた孔部に挿入されて該ストラップを支持することを特徴とするストラップ取り付け構造。
【請求項2】
前記ボードは、樹脂製の中空成形体を主体とするものであることを特徴とする請求項1記載のストラップ取り付け構造。
【請求項3】
前記支持ピンの先端が、前記ボードに形成された凹部の底面に凹部として設けられた支持ピン受け部に挿入されていることを特徴とする請求項1または2記載のストラップ取り付け構造。
【請求項4】
デッキボード本体にストラップが取り付けられてなるデッキボードであって、
前記ストラップの端部は、デッキボード本体に設けられた凹部に収容されるとともに、板状支持部材とデッキボード本体の間に挟みこまれ、
前記凹部の両側に前記板状支持部材の厚さに対応した段差面が形成され、前記板状支持部材はこの段差面に締結部材により固定され、前記板状支持部材のデッキボード本体との対向面に設けられた支持ピンがストラップに設けられた孔部に挿入され、デッキボード本体に突き当てられていることを特徴とするデッキボード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボードにストラップを取り付ける際のストラップ取り付け構造に関するものであり、さらには、これを適用したデッキボードに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、カーゴフロアパネル(自動車荷室の蓋パネルまたはラゲージボード)、リアパーセルシェルフ等の自動車用内装品しては、樹脂製のデッキボードが知られている。中でも、熱可塑性樹脂をブロー成形することにより製造される中空成形体の表面に繊維シートを貼着した表皮付き中空成形体は、軽量で強度に優れるばかりでなく、外観や触感にも優れることから、この種のデッキボードとして広く用いられている。
【0003】
ところで、荷室の蓋パネル等として用いられるデッキボードにおいては、円滑な取り外しを実現するために、ストラップが取り付けられている。ストラップを引っ張ることにより、デッキボードが荷室の開口部から離脱する。
【0004】
例えば、特許文献1には、板状をなす本体部と、当該本体部に取り付けられ、可撓性を有するストラップとを備え、ストラップを本体部の端面に沿って起立させることが可能な車両用デッキボードが開示されている。特許文献1に記載される車両用デッキボードでは、ストラップに孔を設け、ここにリベットを挿入して本体部に取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許5802089号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ストラップをネジやリベット等でデッキボードに直接固定する方法では、安定的に確実に固定するのは難しいのが実情である。特に、デッキボードにおいては、強度を維持した状態で薄型化が進められており、ネジやリベットを挿入ストロークが短くなる傾向にある。しかも、デッキボードのストラップの取り付け部には、ストラップを収容し得る凹部をストラップの厚みに応じて形成する必要があり、ここにストラップを取り付けようとしても、僅かな厚みしかない。
【0007】
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、厚さの薄いボードに対しても、安定且つ確実にストラップを取り付けることが可能なストラップ取り付け構造を提供することを目的とし、さらには、ストラップの取り付け状態が良好なデッキボードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述の目的を達成するために、本発明のストラップ取り付け構造は、ボードにストラップが取り付けられてなるストラップ取り付け構造であって、前記ストラップの端部は、ボードに設けられた凹部に収容されるとともに、板状支持部材とボードの間に挟みこまれ、前記凹部の両側に前記板状支持部材の厚さに対応した段差面が形成され、前記板状支持部材はこの段差面に締結部材により固定され、前記板状支持部材のボードとの対向面に設けられた支持ピンがストラップに設けられた孔部に挿入されて該ストラップを支持することを特徴とする。
【0009】
また、本発明のデッキボードは、デッキボード本体にストラップが取り付けられてなるデッキボードであって、前記ストラップの端部は、デッキボード本体に設けられた凹部に収容されるとともに、板状支持部材とデッキボード本体の間に挟みこまれ、前記凹部の両側に前記板状支持部材の厚さに対応した段差面が形成され、前記板状支持部材はこの段差面に締結部材により固定され、前記板状支持部材のデッキボード本体との対向面に設けられた支持ピンがストラップに設けられた孔部に挿入され、デッキボード本体に突き当てられていることを特徴とする。
【0010】
本発明のストラップ取り付け構造及びデッキボードにおいては、ストラップをボード(デッキボード本体)に直接ネジ止めするのではなく、板状支持部材により間接的に固定している。ネジ止めされるのは、ストラップではなく板状支持部材である。ストラップが取り付けられる位置には凹部が設けられ、ボード(デッキボード本体)の厚さが削減されているが、それ以外の場所では凹部を形成する必要がなく、ネジを安定且つ強固に固定するためのストローク(板厚)が確保される。ストラップは、板状支持部材とボード(デッキボード本体)の間に挟み込まれ、板状支持部材に設けられた支持ピンがストラップに設けられた孔に挿入されることで、支持・固定される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、厚さの薄いボードに対しても、安定且つ確実にストラップを取り付けることが可能なストラップ取り付け構造を提供することが可能であり、ストラップの取り付け状態が良好なデッキボードを提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】デッキボードを表面側から見た概略斜視図である。
図2】デッキボードを裏面側から見た概略斜視図である。
図3】ストラップの取り付け状態を示す分解斜視図である。
図4】(A)はストラップ取り付け部の図1のA−A線における概略断面図であり、(B)はこれとは直交するB−B線における断面図である。
図5】ストラップをボードに設けられた孔を通す構成としたデッキボードの概略斜視図である。
図6図5のストラップ取り付け部のC−C線における概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を適用したストラップ取り付け構造の実施形態を、自動車用のデッキボードを例に図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
本実施形態のデッキボード1は、自動車の荷室に設置されるデッキボードとして使用されるものであり、図1及び図2に示すように、樹脂製の板状中空成形体からなるボード本体2と、表面に貼り付けられた表皮材3とから構成されている。自動車の後部座席の後方には、荷室が設けられており、その床面を構成するデッキボードとして本実施形態のデッキボード1が用いられる。
【0015】
また、本実施形態のデッキボード1は、その一端縁にストラップ34取り付けられている。荷室の開口部等に取り付けられたデッキボード1は、前記ストラップ4を引っ張ることで、容易に荷室の開口部等から離脱する。
【0016】
ボード本体2は、例えば表面壁と裏面壁とからなるものであり、ボード本体2を形成するための樹脂材料としては、ポリオレフィン系樹脂等が用いられる。ポリオレフィン系樹脂としては、ポリプロピレン樹脂やポリエチレン樹脂等を挙げることができ、メルトフローレートの異なる長鎖分岐構造を有するプロピレン単独重合体と直鎖構造を有するプロピレン単独重合体のブレンドを用いることも好適である。
【0017】
勿論、ポリオレフィン樹脂に限られるものではなく、任意の樹脂材料、例えばアクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリナフタレンテレフタレート(PEN)樹脂等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)樹脂、アクリロニトリル・スチレン(AS)樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂及びこれらの樹脂をブレンドした樹脂等も使用である。
【0018】
また、ボード本体2を構成する熱可塑性プラスチックとして、前述のポリオレフィン系樹脂に例えばSBS樹脂(スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体)、SEBS樹脂(スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン共重合体)等を配合してもよく、これにより、デッキボード1の耐衝撃性を向上することができる。さらに、ボード本体2は、発泡樹脂により成形されていてもよい。
【0019】
ボード本体2を構成する中空成形体の中空部内には、補強材が埋め込まれていてもよいし、表面壁や裏面壁に補強リブが形成されていてもよい。中空部内には裏面壁から表面壁に達するインナーリブを形成した補強構造とすることもできる。
【0020】
ボード本体2の表面に貼着される表皮材3であるが、例えば、いわゆる起毛タイプの比較的厚さの厚い表皮材(例えばタフトカーペット等)を用いることができる。タフトカーペットは、基布にループ状あるいはカット状のパイル糸を刺し込み、パイル糸が抜けないように裏面に接着剤をコーティングしパイル糸を固定したものである。
【0021】
あるいは、綿、麻、羊毛、絹等の天然繊維、ビスコースレーヨン、銅アンモニアレーヨン等の再生繊維、アセテート、レーヨン等の半合成繊維、ナイロン、ポリエステル、アクリル、ビニロン、ポリプロピレン、ポリウレタン等の合成繊維、及びこれらのブレンド繊維を加工して得られる編物、織物、不織布等の繊維シート等も用いることができる。
【0022】
次に、本実施形態のデッキボード1におけるストラップ4の取り付け構造について説明する。本実施形態のデッキボード1では、ストラップ4をボード本体2に直接取り付けるのではなく、図2に示すように板状支持部材5を用いて取り付け固定している。
【0023】
図3は、デッキボード1のストラップ4の取り付け部分を分解して示す図であり、図4(A)は、図1のA−A線における断面図、図4(B)は、図1のB−B線における断面図である。
【0024】
ストラップ4は、指等を掛けることができるようにループ状に折り返されてボード本体2に取り付けられており、したがって、ボード本体2には、この折り返されたストラップ4の端部を収容するためのストラップ収容凹部21が設けられている。
【0025】
このストラップ収容凹部21は、ストラップ4がボード本体2の裏面から突出しないように設けられるものであり、その深さは、ストラップ4の折り返して重ね合わされた端部の厚さ(ストラップ4の2枚分の厚さ)よりも少々大きく設定されている。
【0026】
ストラップ4の端部をこのストラップ収容凹部21内に挿入し、当該端部を覆って射出成形等によって成形された板状支持部材5をボード本体2にネジ止めすることにより、ストラップ4が固定される。ボード本体2のストラップ4を収容するためのストラップ収容凹部21の両側には、板状支持部材5の厚さに対応した段差面22,23が設けられており、これら段差面22,23で板状支持部材5の下面を支持することで、ボード本体2と概ね面一となるように板状支持部材5が取り付けられる。
【0027】
各段差面22,23には、それぞれネジ受け凹部22a,23aが設けられており、ここに板状支持部材5を締結部材であるネジ31,32によりネジ止めする。ストラップ4を収容するためのストラップ収容凹部21においては、その深さがストラップ4の2枚分の厚さ以上であるため、ボード本体2の裏面から大きく後退しており、ボード本体2の厚さD1は僅かなものとなる。ボード本体2が薄型化すると、ここにストラップ4を直接ネジ止めすることは難しい。斜めにネジ止めするようにすれば、ある程度のストロークの確保は可能になるが、斜め面の成形やここに斜め方向にネジ止め孔を形成することは、成形的に不利である。
【0028】
これに対して、板状支持部材5の下面を支持する段差面22,23は、板状支持部材5の厚さ分だけボード本体2の裏面から後退していればよく、段差面22,23におけるボード本体2の厚さD2は、先のストラップ4を収容するための凹部21における厚さD1よりも遥かに大きい。したがって、ネジ31,32により板状支持部材5をネジ止めする際に、ストローク(ネジ31,32の首下長さ)を大きく確保することができ、安定して、且つ確実にネジ止めを行うことができる。
【0029】
締結部材としては、前記ネジ31,32に限られるものではなく、例えばリベット等であってもよい。リベットボディがピール状に開いて締結するピールリベットの場合、取り付け前の長さが長く、これを奥まで挿入する必要があることから、リベット締結部においてボード本体2の厚みが必要である。本実施形態のデッキボード1では、リベット締結部において前述の通りストロークを確保することができ、この種のリベットを締結部材として用いることも可能となる。
【0030】
また、板状支持部材5のボード本体2と対向する面には、概ね中央部に支持ピン33が設けられている。板状支持部材5をボード本体2にネジ止めする際には、この支持ピン33をストラップ4に設けられた孔4aに挿入する。支持ピン33の先端は、ボード本体2のストラップ収容凹部21の底面に凹部として設けられた支持ピン受け部21a内に挿入され、これによってストラップ4が支持ピン33で確実に係止される。この時、支持ピン33の先端は支持ピン受け部21aの底面に突き当てられることが好ましいが、突き当てられていなくてもよい。
【0031】
なお、支持ピン33の断面形状は、円形であるが、楕円形状とすることも可能である。支持ピン33の断面形状を楕円形状とすることで、ストラップ4の回動を抑えることが可能である。また、板状支持部材5の支持ピン33に対応する位置には、ヒケ防止のための凹部33aが形成されている。
【0032】
また、板状支持部材5は、ストラップ4の基端側においてボード本体2に向かって屈曲して延出する立ち上がり部51を有する。図4(B)に示すように、板状支持部材5が取り付けられた状態では、立ち上がり部51は、ストラップ収容凹部21の背後に形成されたリブ(凹部)内に挿入される形になり、重ね合わされたストラップ4の端部を覆うことでこれを覆い隠し、外観を良好なものとしている。
【0033】
さらに、板状支持部材5にストラップ4をデッキボード1の表面側に曲がるように癖付けする部分を設けることも可能である。これにより、デッキボード1を荷室の開口部等に取り付けた際に、ストラップ4が立ち上がる形になり、これを引っ張ることが容易になる。
【0034】
前述のストラップ取り付け構造においては、ストラップ4を直接ボード本体2にネジ止めする場合に比べてストローク(ネジの首下長さ)を大きく確保することができ、安定して、且つ確実にネジ止めを行うことができる。ストラップ4のボード本体2への取り付け部分は、板状支持部材5によって覆い隠される形になり、外観上も良好である。前記構造においては、板状支持部材5を追加するだけでよく、製造コストの上昇も最小限に抑えられる。
【0035】
以上、本発明を適用した実施形態についてを説明してきたが、本発明が前述の実施形態に限られるものでないことは言うまでもなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
【0036】
例えば、先の実施形態では、ストラップ4をデッキボード1の端部に固定し、デッキボード1の1辺からストラップ4を引き出すようにしたが、図5及び図6に示すように、デッキボード1にストラップ孔41を設け、ここから引き出すようにしてもよい。この場合にも、ストラップ4の取り付け位置が異なるのみで、ストラップ4の端部を板状支持部材5で覆い、板状支持部材5をボード本体2に固定することでストラップ4を取り付けるストラップ取り付け構造は、先の実施形態と同様である。
【符号の説明】
【0037】
1 デッキボード
2 ボード本体
3 表皮材
4 ストラップ
5 板状支持部材
21 ストラップ収容凹部
22,23 段差面
31,32 ネジ
33 支持ピン
41 ストラップ孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6