【文献】
NAGARAJA B. M. et al.,Catalysis Today,ELSEVIER,2014年,Vol. 232,pp. 40-52
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
アルカンを含む原料ガスを脱水素触媒に接触させて、オレフィン及び共役ジエンからなる群より選択される少なくとも一種の不飽和炭化水素を含む生成ガスを得る工程を備え、
前記脱水素触媒が、K及びCaからなる群より選択される少なくとも一種の添加元素と、Alと、Mgと、第14属金属元素と、Ptと、を含有し、
前記脱水素触媒が、前記Al及び前記Mgを含有する担体に、前記第14属金属元素、前記Pt及び前記添加元素を担持させた触媒であり、
前記担体において、前記Alの酸化物換算の含有量が、前記担体の全量基準で、50質量%以上であり、
前記担体において、前記Mgの酸化物換算の含有量が、前記担体の全量基準で、15質量%以上であり、
前記Alに対する前記Mgのモル比が、0.30以上0.60以下であり、
前記添加元素の含有量が、前記脱水素触媒の全量基準で0.05質量%以上0.35質量%以下である、
不飽和炭化水素の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好適な一実施形態について説明する。
【0015】
本実施形態に係る製造方法は、アルカンを含む原料ガスを脱水素触媒に接触させて、オレフィン及び共役ジエンからなる群より選択される少なくとも一種の不飽和炭化水素を含む生成ガスを得る工程(以下、「脱水素工程」ともいう。)を備える。本実施形態において、脱水素触媒は、Na、K及びCaからなる群より選択される少なくとも一種の添加元素と、Alと、Mgと、第14属金属元素と、Ptと、を含有しており、添加元素の含有量は、脱水素触媒の全量基準で0.05質量%以上0.70質量%以下である。
【0016】
本実施形態に係る製造方法によれば、特定の金属元素を含有する脱水素触媒を用いることで、触媒上のコークの堆積量が少なくなり、良好な反応効率を長時間維持でき、優れた製造効率で不飽和炭化水素を得ることができる。このような効果が奏される理由は必ずしも明らかではないが、例えば以下のように推測される。
【0017】
本実施形態では、脱水素触媒がAl、Mg、第14属金属元素及びPtが含有することで、高い触媒活性が得られていると考えられる。より具体的には、本実施形態に係る脱水素触媒では、Al由来の酸点がMg及び第14属金属元素による被覆を受けることで酸性質が弱められ、それによってアルカンのクラッキング反応等の副反応が抑えられる。また、脱水素触媒中の第14属金属元素とPtとがバイメタリック粒子を形成することで、Pt粒子同士の凝集が抑制されると共に、第14族金属元素からPtへの電子供与が起こると考えられる。これにより、脱水素活性が向上すると考えられる。さらに、上記バイメタリック粒子中でPt原子が希釈され、炭化水素1分子にPt原子が多点で作用することによるC−C結合の開裂反応が抑制されると考えられる。これらの理由から、本実施形態では高いアルカン転化率及び高い反応選択率が実現されると考えられる。
【0018】
また、本実施形態では、脱水素触媒がNa、K及びCaからなる群より選択される少なくとも一種の添加元素を含有することで、上述の優れた触媒活性を十分に維持しつつ、コークの堆積量が低減されている。この理由は、Mg及び第14属金属元素により被覆しきれなかったAl由来の酸点が、添加元素による被覆を受けて、これにより当該酸点に起因するコークの生成が抑制されるためと考えられる。
【0019】
本実施形態において、原料ガスはアルカンを含む。アルカンの炭素数は、目的とする不飽和炭化水素の炭素数と同じであってよい。アルカンの炭素数は、例えば4〜10であってよく、4〜6であってよい。
【0020】
アルカンは、例えば、鎖状であってよく、環状であってもよい。鎖状アルカンには直鎖状アルカン及び分岐状アルカンが含まれる。鎖状アルカンとしては、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等が挙げられる。より具体的には、直鎖状アルカンとしては、n−ブタン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−デカン等が挙げられる。また、分岐状アルカンとしては、イソブタン、イソペンタン、2−メチルペンタン、3−メチルペンタン、2、3−ジメチルペンタン、イソヘプタン、イソオクタン、イソデカン等が挙げられる。環状アルカンとしては、例えば、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロデカン、メチルシクロヘキサン等が挙げられる。原料ガスは、アルカンを一種含むものであってよく、二種以上含むものであってもよい。
【0021】
原料ガスにおいて、アルカンの分圧は1.0MPa以下としてよく、0.1MPa以下としてもよく、0.01MPa以下としてもよい。原料ガスのアルカン分圧を小さくすることでアルカンの転化率が一層向上しやすくなる。
【0022】
また、原料ガスにおけるアルカンの分圧は、原料流量に対する反応器サイズを小さくする観点から、0.001MPa以上とすることが好ましく、0.005MPa以上とすることがより好ましい。
【0023】
原料ガスは、窒素、アルゴン等の不活性ガスを更に含有していてもよい。また、原料ガスは、スチームを更に含有していてもよい。
【0024】
原料ガスがスチームを含有するとき、スチームの含有量は、アルカンに対して1.0倍モル以上とすることが好ましく、1.5倍モル以上とすることがより好ましい。スチームを原料ガスに含有させることで、触媒の活性低下がより顕著に抑制される場合がある。なお、スチームの含有量は、例えば、アルカンに対して50倍モル以下であってよく、好ましくは10倍モル以下である。
【0025】
原料ガスは、上記以外に水素、酸素、一酸化炭素、炭酸ガス、オレフィン類、ジエン類等の他の成分を更に含有していてもよい。
【0026】
本実施形態において、生成ガスは、オレフィン及び共役ジエンからなる群より選択される少なくとも一種の不飽和炭化水素を含む。オレフィン及び共役ジエンの炭素数は、いずれもアルカンの炭素数と同じであってよく、例えば4〜10であってよく、4〜6であってよい。
【0027】
オレフィンとしては、例えば、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン等が挙げられ、これらはいずれの異性体であってもよい。共役ジエンとしては、例えば、ブタジエン(1,3−ブタジエン)、1,3−ペンタジエン、イソプレン、1,3−ヘキサジエン、1,3−ヘプタジエン、1,3−オクタジエン、1,3−ノナジエン、1,3−デカジエン等が挙げられる。生成ガスは、不飽和炭化水素を一種含むものであってよく、二種以上の不飽和炭化水素を含むものであってよい。例えば、生成ガスは、オレフィン及び共役ジエンを含むものであってよい。
【0028】
本実施形態に係る製造方法は、上記の中でも、アルカンとしてブタンを含む原料ガスを用いる方法、すなわち、ブテン及びブタジエンからなる群より選択される少なくとも一種の不飽和炭化水素を製造する方法に、特に好適に利用することができる。ブテン及びブタジエンからなる群より選択される少なくとも一種の不飽和炭化水素の製造に用いるブタンは、n−ブタン又はイソブタンであってよい。ブタンは、n−ブタン及びイソブタンの混合物であってよい。
【0029】
以下に、本実施形態における脱水素触媒について詳述する。
【0030】
脱水素触媒は、アルカンの脱水素反応を触媒する固体触媒であり、Na、K及びCaからなる群より選択される少なくとも一種の添加元素と、Alと、Mgと、第14属金属元素と、Ptと、を含有する触媒である。ここで、第14族金属元素とは、IUPAC(国際純正応用化学連合)の規定に基づく長周期型の元素の周期表における周期表第14族に属する金属元素を意味する。
【0031】
第14族金属元素は、例えば、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)及び鉛(Pb)からなる群より選択される少なくとも一種であってよい。これらの中でも、第14族金属元素がSnである場合、上述の効果が一層顕著に奏される。
【0032】
脱水素触媒において、添加元素の含有量は、脱水素触媒の全量基準で、0.05質量%以上であり、好ましくは0.07質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.08質量%以上である。添加元素の含有量を多くすることで、コークの堆積量をより顕著に低減することができる。また、添加元素の含有量は、脱水素触媒の全量基準で、0.70質量%以下であり、好ましくは0.65質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、さらに好ましくは0.4質量%以下、さらにより好ましくは0.35質量%以下である。添加元素の含有量を少なくすることで、脱水素触媒の触媒活性がより向上する傾向がある。
【0033】
脱水素触媒において、Alの含有量は、脱水素触媒の全量基準で、15質量%以上であってよく、25質量%以上であってよい。また、Alの含有量は、40質量%以下であってよい。
【0034】
脱水素触媒において、Mgの含有量は、脱水素触媒の全量基準で、10質量%以上であることが好ましく、13質量%以上であることがより好ましい。Mgの含有量は、脱水素触媒の全量基準で、20質量%以下であることが好ましく、18質量%以下であることがより好ましい。
【0035】
脱水素触媒において、第14族金属元素の含有量は、脱水素触媒の全量基準で、1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましい。第14族金属元素の含有量は、脱水素触媒の全量基準で、8質量%以下であることが好ましく、6質量%以下であることがより好ましい。
【0036】
脱水素触媒において、Ptの含有量は、脱水素触媒の全量基準で、0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましい。Ptの含有量は、脱水素触媒の全量基準で、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましい。Ptの含有量が0.1質量%以上であると、触媒量当たりの白金量が多くなり、反応器サイズを小さくできる。また、Ptの含有量が5質量%以下であると、触媒上で形成されるPt粒子が脱水素反応に好適なサイズとなり、単位白金重量あたりの白金表面積が大きくなるため、より効率的な反応系が実現できる。
【0037】
脱水素触媒において、Ptに対する第14族金属元素のモル比(第14族金属元素のモル数/Ptのモル数)は、副反応が抑制され、不飽和炭化水素の製造効率が一層向上する観点から、2以上であることが好ましく、4以上であることがより好ましい。また、Ptに対する第14属金属元素のモル比は、第14属金属元素によるPt粒子の過剰な被覆を防ぎ、不飽和炭化水素の製造効率を一層向上させる観点から、12以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましい。
【0038】
脱水素触媒において、Alに対するMgのモル比(Mgのモル数/Alのモル数)は、副反応をより顕著に抑制し、不飽和炭化水素の製造効率を一層向上させる観点から、0.30以上であることが好ましく、0.40以上であることがより好ましい。Alに対するMgのモル比は、脱水素触媒中のPtの分散性を向上させる観点から、0.60以下であることが好ましく、0.55以下であることがより好ましい。
【0039】
なお、脱水素触媒における各金属元素の含有量は、下記実施例に記載の方法により測定できる。
【0040】
好適な一態様において、脱水素触媒は、Al及びMgを含有する担体に、第14属金属元素、Pt及び添加元素を担持させた触媒であってよい。
【0041】
本態様において、担体は、アルミナ(Al
2O
3)と酸化マグネシウム(MgO)とを含む担体であってよく、AlとMgとの複合酸化物(例えば、MgAl
2O
4)を含む担体であってもよい。また、担体は、上記複合酸化物と、アルミナ及び/又は酸化マグネシウムとを含む担体であってもよい。
【0042】
担体におけるAlの含有量は、担体の全量基準で、20質量%以上であってよく、30質量%以上であってもよい。また、担体におけるAlの含有量は、担体の全量基準で、60質量%以下であってよく、50質量%以下であってもよい。
【0043】
担体において、Alの酸化物(Al
2O
3)換算の含有量は、担体の全量基準で、50質量%以上であってよく、60質量%以上であってもよい。また、Alの酸化物換算の含有量は、担体の全量基準で、90質量%以下であってよく、85質量%以下であってもよい。
【0044】
担体におけるMgの含有量は、担体の全量基準で、5質量%以上であってよく、10質量%以上であってもよい。また、担体におけるMgの含有量は、担体の全量基準で、30質量%以下であってよく、20質量%以下であってもよい。
【0045】
担体において、Mgの酸化物(MgO)換算の含有量は、担体の全量基準で、10質量%以上であってよく、15質量%以上であってもよい。また、Mgの酸化物換算の含有量は、担体の全量基準で、50質量%以下であってよく、35質量%以下であってもよい。
【0046】
担体において、Al及びMgの酸化物換算の合計量は、担体の全量基準で、50質量%以上であってよく、70質量%以上であってもよく、100質量%であってもよい。
【0047】
担体がAlとMgとの複合酸化物を含む場合、その含有量は、担体の全量基準で60質量%以上であってよく、80質量%以上であってもよい。また、複合酸化物の含有量は、担体の全量基準で100質量%以下であってよく、90質量%以下であってもよい。
【0048】
担体は、Al及びMg以外の他の金属元素を更に含んでいてよい。他の金属元素は酸化物として存在していてもよいし、Al及びMgからなる群より選択される少なくとも一種との複合酸化物として存在していてもよい。
【0049】
担体の酸性度は、副反応が抑制されるという観点から中性付近であることが好ましい。ここで、担体の酸性度に対する基準は、一般的に水に担体を分散させた状態におけるpHで区別する。すなわち、本明細書中、担体の酸性度は、担体1質量%を水中に懸濁させた懸濁液のpHで表すことができる。担体の酸性度は、好ましくはpH5.0〜9.0であり、より好ましくはpH6.0〜8.0である。
【0050】
担体の比表面積は、例えば50m
2/g以上であってよく、80m
2/g以上であることが好ましい。これにより、担持されるPtの分散性が向上しやすい傾向がある。また、担体の比表面積は、例えば300m
2/g以下であってよく、200m
2/g以下であることが好ましい。このような比表面積を有する担体は、焼成時に潰れてしまい易いマイクロ孔が少ない傾向にあり、担持されるPtの分散性が向上しやすい。なお、担体の比表面積は、窒素吸着法を用いたBET比表面積計で測定される。
【0051】
担体の調製方法は特に制限されず、例えば、ゾルゲル法、共沈法、水熱合成法、含浸法、固相合成法等であってよい。
【0052】
担体の調製方法の例として、含浸法の一態様を以下に示す。まず、第一の金属元素(例えばMg)を含む化合物が溶解した溶液に、第二の金属元素(例えばAl)を含む担体前駆体を加え、溶液を撹拌する。その後、減圧下で溶媒を除去し、得られた固体を乾燥させる。乾燥後の固体を焼成することで、第一の金属元素及び第二の金属元素を含む担体が得られる。この態様において、担体に含まれる目的の金属元素の含有量は、目的の金属元素を含む溶液における当該金属元素の濃度、当該溶液の使用量等によって調整することができる。
【0053】
第一の金属元素を含む化合物は、例えば、第一の金属元素を含む塩又は錯体であってよい。第一の金属元素を含む塩は、例えば、無機塩、有機酸塩又はこれらの水和物であってよい。無機塩は、例えば、硫酸塩、硝酸塩、塩化物、リン酸塩、炭酸塩等であってよい。有機塩は、例えば、酢酸塩、しゅう酸塩等であってよい。第一の金属元素を含む錯体は、例えば、アルコキシド錯体、アンミン錯体等であってよい。
【0054】
第一の金属元素を含む化合物を溶解する溶媒は、当該化合物を溶解でき、減圧下で除去可能なものであればよい。当該溶媒としては、例えば、塩酸、硝酸、アンモニア水、エタノール、クロロホルム、アセトン等が挙げられる。
【0055】
第二の金属元素を含む担体前駆体としては、例えば、アルミナ(例えばγ−アルミナ)等が挙げられる。担体前駆体は、例えば、ゾルゲル法、共沈法、水熱合成法等によって調製できる。担体前駆体として、市販のアルミナを用いてもよい。
【0056】
撹拌時の条件としては、例えば撹拌温度0〜60℃、撹拌時間10分〜24時間とすることができる。また、乾燥時の条件としては、例えば乾燥温度100〜250℃、乾燥時間3時間〜24時間とすることができる。
【0057】
焼成は、例えば、空気雰囲気下又は酸素雰囲気下で行うことができる。焼成は一段階で行ってもよく、二段階以上の多段階で行ってもよい。焼成温度は、金属前駆体を分解可能な温度であればよく、例えば200〜1000℃であってよく、400〜800℃であってもよい。なお、多段階の焼成を行う場合、少なくともその一段階が上記焼成温度であればよい。他の段階での焼成温度は、例えば上記と同じ範囲であってよく、100〜200℃であってもよい。
【0058】
脱水素触媒では、第14属金属元素、Pt及び添加元素を含む担持金属が担体に担持されている。担持金属は、酸化物又は複合酸化物として担体に担持されていてよく、単体の金属として単体に担持されていてもよい。
【0059】
担体には、第14属金属元素、Pt及び添加元素以外の他の金属元素が更に担持されていてもよい。他の金属元素は、単体の金属として担体に担持されていてもよいし、酸化物として担持されていてもよいし、第14属金属元素、Pt及び添加元素からなる群より選択される少なくとも一種との複合酸化物として担持されていてもよい。
【0060】
担体に担持される第14族金属元素の量は、担体100質量部に対して、好ましくは1質量部以上であり、より好ましくは2質量部以上である。また、担体に担持される第14族金属元素の量は、担体100質量部に対して、9質量部以下であってよく、7質量部以下であってもよい。第14族金属元素の量が上記範囲であると、触媒劣化が一層抑制され、高い活性がより長期間にわたり維持される傾向がある。
【0061】
担体に担持されるPtの量は、担体100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上であり、より好ましくは0.5質量部以上である。また、担体に担持されるPtの量は、担体100質量部に対して、5質量部以下であってよく、3質量部以下であってもよい。このようなPt量であると、触媒上で形成されるPt粒子が脱水素反応により好適なサイズとなり、単位白金重量あたりの白金表面積が大きくなるため、より効率的な反応系が実現できる。また、このようなPt量であると触媒コストを抑制しながら、高い活性をより長期間にわたり維持できる。
【0062】
担体に担持される添加元素の量は、担体100質量部に対して、好ましくは0.05質量部以上であり、より好ましくは0.1質量部以上、さらに好ましくは0.08質量部以上である。これにより、Al由来の酸点をより効率良く被覆でき、コークの堆積量がより顕著に抑制される。また、担体に担持される添加元素の量は、担体100質量部に対して、好ましくは0.70質量部以下であり、より好ましくは0.65質量部以下であり、さらに好ましくは0.5質量部以下、さらにより好ましくは0.35質量部以下である。これにより、脱水素触媒の触媒活性が十分に高く維持される。
【0063】
担体に担持される他の金属元素の量は、担体100質量部に対して、例えば10質量部以下であってよく、5質量部以下であってもよく、0質量部であってもよい。
【0064】
担体に金属を担持する方法は特に限定されず、例えば、含浸法、沈着法、共沈法、混練法、イオン交換法、ポアフィリング法が挙げられる。本態様では、複数種の担持金属を一種ずつ担体に担持してよく、複数種の担持金属を同時に担体に担持してもよい。
【0065】
本態様では、例えば、担体に第14属金属元素及びPtを担持してなる触媒前駆体に、添加元素を更に担持させることにより、脱水素触媒を得てもよい。なお、触媒前駆体の調製に際しては、担体に第14属金属元素を担持させた後、Ptを更に担持させてよく、担体にPtを担持させた後、第14属金属元素を更に担持させてもよい。また、担体に第14属金属元素及びPtを同時に担持させてもよい。
【0066】
担体への担持方法の一態様を以下に示す。まず、担持金属の前駆体を溶解させた溶液に、担体を加え、溶液を撹拌する。その後、減圧下で溶媒を除去し、得られた固体を乾燥させる。乾燥後の固体を焼成することで、担持金属を担体に担持させることができる。
【0067】
上記の担持方法において、担持金属の前駆体は、例えば、担持金属を含む塩又は錯体であってよい。担持金属を含む塩は、例えば、無機塩、有機酸塩又はこれらの水和物であってよい。無機塩は、例えば、硫酸塩、硝酸塩、塩化物、リン酸塩、炭酸塩等であってよい。有機塩は、例えば、酢酸塩、しゅう酸塩等であってよい。担持金属を含む錯体は、例えば、アルコキシド錯体、アンミン錯体等であってよい。
【0068】
担持金属の前駆体を溶解する溶媒は、当該前駆体を溶解でき、減圧下で除去可能なものであればよい。当該溶媒としては、例えば、水、エタノール、アセトン等が挙げられる。
【0069】
上記の担持方法において、撹拌時の条件としては、例えば撹拌温度0〜60℃、撹拌時間10分〜24時間とすることができる。また、乾燥時の条件としては、例えば乾燥温度100〜250℃、乾燥時間3時間〜24時間とすることができる。
【0070】
上記の担持方法において、焼成は、例えば、空気雰囲気下又は酸素雰囲気下で行うことができる。焼成は一段階で行ってもよく、二段階以上の多段階で行ってもよい。焼成温度は、例えば担体金属の前駆体を分解可能な温度であってよい。焼成温度は、例えば200〜1000℃であってよく、400〜800℃であってもよい。なお、多段階の焼成を行う場合、少なくともその一段階が上記焼成温度であればよい。他の段階での焼成温度は、例えば上記と同じ範囲であってよく、100〜200℃であってもよい。
【0071】
脱水素触媒におけるPtの分散度は、例えば10%以上であってよく、好ましくは15%以上であってよい。このようなPt分散度を有する脱水素触媒によれば、高い活性がより長期間にわたり維持される傾向がある。なお、Ptの分散度は、吸着種としてCOを用いた、金属分散度測定法で測定される値を示す。具体的には、以下の装置及び測定条件で測定される。
・装置:株式会社大倉理研製金属分散度測定装置R−6011
・ガス流速:30mL/分(ヘリウム、水素)
・試料量:約0.1g(小数点以下4桁目まで精秤する)
・前処理:水素気流下で400℃まで1時間かけて昇温し、400℃で60分間還元処理を行う。その後、ガスを水素からヘリウムに切り替えて400℃で30分間パージした後、ヘリウム気流下で室温まで冷却する。室温で検出器が安定するまで待った後、COパルスを行う。
・測定条件:常圧ヘリウムガス流通下、室温(27℃)で一酸化炭素を0.0929cm
3ずつパルス注入し、吸着量を測定する。吸着回数は、吸着が飽和するまで行う(最低3回、最大15回)。
【0072】
脱水素触媒は押出成形法、打錠成型法等の方法で成形されていてよい。
【0073】
脱水素触媒は、成形工程における成形性を向上させる観点から、触媒の物性や触媒性能を損なわない範囲において、成形助剤を含有してよい。成型助剤は、例えば、増粘剤、界面活性剤、保水剤、可塑剤、バインダー原料等からなる群より選択される少なくとも一種であってよい。脱水素触媒を成形する成形工程は、成形助剤の反応性を考慮して脱水素触媒の製造工程の適切な段階で行ってよい。
【0074】
成形された脱水素触媒の形状は、特に限定されるものではなく、触媒を使用する形態により適宜選択することができる。例えば、脱水素触媒の形状は、ペレット状、顆粒状、ハニカム状、スポンジ状等の形状であってよい。
【0075】
脱水素触媒は、前処理として還元処理が行われたものを用いてもよい。還元処理は、例えば、還元性ガスの雰囲気下、40〜600℃で脱水素触媒を保持することで行うことができる。保持時間は、例えば0.05〜24時間であってよい。還元性ガスは、例えば、水素、一酸化炭素等であってよい。
【0076】
還元処理を行った脱水素触媒を用いることにより、脱水素反応の初期の誘導期を短くすることができる。反応初期の誘導期とは、触媒が含有する活性金属のうち、還元されて活性状態にあるものが非常に少なく、触媒の活性が低い状態をいう。
【0077】
次いで、本実施形態における脱水素工程について詳述する。
【0078】
脱水素工程は、原料ガスを脱水素触媒に接触させてアルカンの脱水素反応を行い、不飽和炭化水素を含む生成ガスを得る工程である。
【0079】
脱水素工程は、例えば、脱水素触媒を充填した反応器を用い、当該反応器に原料ガスを流通させることにより実施してよい。反応器としては、固体触媒による気相反応に用いられる種々の反応器を用いることができる。反応器としては、例えば、固定床型反応器、ラジアルフロー型反応器、管型反応器等が挙げられる。
【0080】
脱水素反応の反応形式は、例えば、固定床式、移動床式又は流動床式であってよい。これらのうち、設備コストの観点からは固定床式が好ましい。
【0081】
脱水素反応の反応温度、すなわち反応器内の温度は、反応効率の観点から300〜800℃であってよく、400〜700℃であってよく、500〜650℃であってよい。反応温度が300℃以上であれば、不飽和炭化水素の生成量が一層多くなる傾向がある。反応温度が800℃以下であれば、コーキング速度が大きくなりすぎないため、脱水素触媒の高い活性がより長期にわたって維持される傾向がある。
【0082】
反応圧力、すなわち反応器内の気圧は0.01〜1MPaであってよく、0.05〜0.8MPaであってよく、0.1〜0.5MPaであってよい。反応圧力が上記範囲にあれば脱水素反応が進行し易くなり、一層優れた反応効率が得られる傾向がある。
【0083】
脱水素工程を、原料ガスを連続的に供給する連続式の反応形式で行う場合、重量空間速度(以下、「WHSV」という。)は、例えば0.1h
−1以上であってよく、0.5h
−1以上であってもよい。また、WHSVは、20h
−1以下であってよく、10h
−1以下であってもよい。ここで、WHSVとは、脱水素触媒の質量Wに対する原料ガスの供給速度(供給量/時間)Fの比(F/W)である。WHSVが0.1h
−1以上であると、反応器サイズをより小さくできる。WHSVが20h
−1以下であると、アルカンの転化率をより高くすることができる。なお、原料ガス及び触媒の使用量は、反応条件、触媒の活性等に応じて更に好ましい範囲を適宜選定してよく、WHSVは上記範囲に限定されるものではない。
【0084】
脱水素工程では、反応器に上記脱水素触媒(以下、「第一の脱水素触媒」ともいう。)以外の触媒を更に充填してもよい。
【0085】
例えば、本実施形態では、反応器の第一の脱水素触媒より後段に、オレフィンから共役ジエンへの脱水素反応を触媒する固体触媒(以下、「第二の脱水素触媒」ともいう。)が更に充填されていてもよい。第一の脱水素触媒は、アルカンからオレフィンへの脱水素反応の反応活性に特に優れるため、第一の脱水素触媒の後段に第二の脱水素触媒を充填することで、得られる生成ガス中の共役ジエンの割合を高めることができる。
【0086】
また、本実施形態に係る製造方法は、上記脱水素工程(第一の工程)で得られたオレフィンを含む生成ガス(第一の生成ガス)を、第二の脱水素触媒に接触させてオレフィンの脱水素反応を行い、共役ジエンを含む生成ガス(第二の生成ガス)を得る工程(第二の工程)を更に備えていてもよい。このような製造方法によれば、共役ジエンをより多く含む生成ガスを得ることができる。
【0087】
第二の脱水素触媒としては、オレフィンの脱水素反応の触媒であれば、特に制限無く用いることができる。例えば、第二の脱水素触媒としては、単純脱水素反応の触媒としてよく用いられるPt/Al
2O
3系触媒、酸化脱水素反応の触媒としてよく用いられるBi−Mo系触媒等を用いることができる。
【0088】
以上説明したように、本実施形態に係る製造方法によれば、触媒上のコークの堆積を抑制しつつ、アルカンから不飽和炭化水素を効率良く製造することができる。そのため、本実施形態に係る製造方法によれば、触媒再生の頻度を少なくすることができる。このような理由から、本実施形態に係る製造方法は、不飽和炭化水素(特に、ブテン及びブタジエン)を工業的に製造する場合に、非常に有用である。
【0089】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【実施例】
【0090】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
(実施例A−1)
<担体の調製>
0.5〜1mmに分級されたアルミナ15g(ネオビードGB−13、(株)水澤化学工業製、1質量%の濃度で水に懸濁させた懸濁液のpH:7.9)に、18.8gのMg(NO
3)
2・6H
2Oを56mLの水に溶解させた溶液を加えた。得られた混合液を、ロータリーエバポレーターを用いて、40℃、0.015MPaAで30分間撹拌し、40℃、常圧で30分間撹拌した。その後、混合液を撹拌しながら減圧下で水を除去した。得られた固体を130℃のオーブン中で一晩乾燥させた。次に、乾燥後の固体を、空気流通下、550℃で3時間、800℃で3時間焼成した。得られた固体に、再び18.8gのMg(NO
3)
2・6H
2Oを56mLの水に溶解させた溶液を加え、同様の手順を繰り返し行い、担体A−1を得た。
【0091】
<触媒の調製>
3.0gの担体A−1と、79.6mgのH
2PtCl
6・2H
2Oを16mLの水に溶解させた水溶液とを混合した。得られた混合液を、ロータリーエバポレーターを用いて、40℃、0.015MPaAで30分間撹拌し、40℃、常圧で30分間撹拌した。その後、混合液を撹拌しながら減圧下で水を除去した。得られた固体を130℃のオーブン中で一晩乾燥させた。次に、乾燥後の固体を、空気流通下、550℃で3時間焼成した。次に、得られた焼成体と、0.277gのSnCl
2・2H
2Oを20mLのEtOHに溶解させた溶液とを混合した。得られた混合液を、ロータリーエバポレーターを用いて、40℃、常圧で1時間撹拌し、その後減圧下でEtOHを除去した。得られた固体を130℃のオーブン中で一晩乾燥させた。次に、乾燥後の固体を、空気流通下、550℃で3時間焼成した。続いて、得られた焼成体と、54.5mgのCa(NO
3)
2・4H
2Oを5mLの水に添加して溶解させた溶液とを混合した。得られた混合液を、ロータリーエバポレーターを用いて、40℃、0.015MPaAで30分間撹拌し、40℃、常圧で30分間撹拌した。その後、混合液を撹拌しながら減圧下で水を除去した。得られた固体を130℃のオーブン中で一晩乾燥させた。次に、乾燥後の固体を、空気流通下、550℃で3時間焼成した後、水素による還元を行い、触媒A−1を得た。水素による還元は、水素と窒素を1:1(モル比)で混合した混合ガスの流通下、焼成後の固体を550℃で3時間保持することにより行った。
【0092】
得られた触媒A−1におけるPtの含有量、Snの含有量、Mgの含有量、Alの含有量及び添加元素(Ca)の含有量は、蛍光X線分析法(XRF)により測定した。蛍光X線分析法は、測定装置PW2400(PANalytical製)を用いて行い、含有量の定量はスタンダードレス定量計算プログラム UniQuant4を用いて行った。また、XRFの測定試料の調製は、以下のように行った。メノウ乳鉢に試料(例えば触媒A−1)125mg、セルロース(バインダー)125mgを量り取り、15分混合した後、20mmΦの錠剤成形器に入れ、10分間、300kgf・cm
−2の条件で加圧成形した。
【0093】
測定の結果、触媒A−1において、Ptの含有量は1質量%、Snの含有量は4.9質量%、Mgの含有量は16質量%、Alの含有量は36質量%、添加元素であるCaの含有量は0.3質量%であり、Ptに対するSnのモル比(Sn/Pt)は8であった。
【0094】
<不飽和炭化水素の製造>
0.5gの触媒A−1を管型反応器に充填し、反応器を固定床流通式反応装置に接続した。次に、水素及びHeの混合ガス(水素:He=4:6(モル比))を50mL/minで流通させながら反応器を550℃まで昇温し、当該温度で1時間保持した。次に、He及び水の混合ガスを反応器に供給して30分保持し、触媒のスチーミングを行った。ここで、混合ガスにおけるHe及び水のモル比は、4:3に調整した。反応器への混合ガスの供給速度は、87mL/minに調整した。続いて、n−ブタン、He及び水の混合ガス(原料ガス)を反応器に供給し、原料ガス中のn−ブタンの脱水素反応を行った。ここで、原料ガスにおけるn−ブタン、He及び水のモル比は、1:4:3に調整した。反応器への原料ガスの供給速度は、99mL/minに調整した。WHSVは3.8h
−1に調整した。反応器の原料ガスの圧力は大気圧に調整した。
【0095】
反応開始時から20分が経過した時点で、脱水素反応の生成物(生成ガス)を管型反応器から採取した。また、反応開始時から360分が経過した時点で、脱水素反応の生成物(生成ガス)を管型反応器から採取した。なお、反応開始時とは、原料ガスの供給が開始された時間である。各時点において採取された生成ガスを、熱伝導度検出器を備えたガスクロマトグラフ(TCD−GC)を用いて分析した。分析の結果、生成ガスがn−ブテン(1−ブテン、t−2−ブテン及びc−2−ブテン)と1,3−ブタジエンを含有することが確認された。上記ガスクロマトグラフに基づき、各時点において採取された生成ガス中のn−ブタンの濃度(単位:質量%)、n−ブテンの濃度(単位:質量%)及び1,3−ブタジエンの濃度(単位:質量%)を定量した。
【0096】
生成ガス中のn−ブタン、n−ブテン及び1,3−ブタジエンの濃度から、原料転化率(n−ブタン転化率)並びにブテン及び1,3−ブタジエンの選択率(ブテン+ブタジエン選択率)を算出した。なお、n−ブタン転化率は下記式(1)により定義され、ブテン+ブタジエン選択率は下記式(2)により定義される。
R
c=(1−M
P/M
0)×100 (1)
R
S=(M
b+M
c)/(M
0−M
P)×100 (2)
式(1)におけるR
cは、n−ブタン転化率である。式(2)におけるR
sは、ブテン+ブタジエン選択率である。式(1)〜(2)におけるM
0は、原料ガス中のn−ブタンのモル数である。式(1)におけるM
Pは、生成ガス中のn−ブタンのモル数である。式(2)におけるM
bは、生成ガス中のn−ブテン(1−ブテン、t−2−ブテン及びc−2−ブテン)のモル数である。式(2)におけるM
cは、生成ガス中の1,3−ブタジエンのモル数である。
【0097】
また、反応開始時から360分が経過した時点で、管型反応器から使用済み触媒を取出し、以下に示す方法により触媒上に堆積したコーク量(使用済み触媒全量に対するコーク量(質量%))を測定した。使用済み触媒20mg程度を、熱重量分析(TGA)装置のサンプルホルダーの中に入れた。窒素流中において、サンプル温度を1分あたり50℃の加熱速度で、室温から200℃まで上昇させた後、10分間保持した。このときのサンプルの重量をG
1とする。次に、空気流中において、サンプル温度を1分あたり15℃の加熱速度で、200℃から700℃まで上昇させた後、5分間保持した。このときのサンプルの重量をG
2とする。以下に示す式(3)を用いて触媒上に堆積したコーク量C(単位:質量%)を求めた。
C=(G
1−G
2)/G
2×100 (3)
【0098】
分析の結果、20分経過時のn−ブタン転化率は60.2%、ブテン+ブタジエン選択率は96.4%であり、360分経過時のn−ブテン転化率は51.8%、ブテン+ブタジエン選択率は96.7%であり、360分経過時のコーク量は0.8質量%であった。
【0099】
(実施例A−2)
触媒の調製に際し、Ca(NO
3)
2・4H
2Oの添加量を109.0mgとしたこと以外は、実施例A−1と同様にして触媒の調製を行い、触媒A−2を得た。得られた触媒A−2について分析したところ、Ptの含有量は1質量%、Snの含有量は4.9質量%、Mgの含有量は16質量%、Alの含有量は35質量%、添加元素であるCaの含有量は0.6質量%であり、Ptに対するSnのモル比(Sn/Pt)は8であった。
【0100】
また、触媒A−1に代えて触媒A−2を用いたこと以外は実施例A−1と同様にして、不飽和炭化水素の製造を行い、生成ガスの分析及びコーク量の測定を行った。その結果、20分経過時のn−ブタン転化率は52.8%、ブテン+ブタジエン選択率は96.8%であり、360分経過時のn−ブテン転化率は46.1%、ブテン+ブタジエン選択率は96.8%であり、360分経過時のコーク量は0.6質量%であった。
【0101】
(実施例A−3)
触媒の調製に際し、Ca(NO
3)
2・4H
2Oの添加量を127.2mgとしたこと以外は、実施例A−1と同様にして触媒の調製を行い、触媒A−3を得た。得られた触媒A−3について分析したところ、Ptの含有量は1質量%、Snの含有量は4.9質量%、Mgの含有量は16質量%、Alの含有量は35質量%、添加元素であるCaの含有量は0.7質量%であり、Ptに対するSnのモル比(Sn/Pt)は8であった。
【0102】
また、触媒A−1に代えて触媒A−3を用いたこと以外は実施例A−1と同様にして、不飽和炭化水素の製造を行い、生成ガスの分析及びコーク量の測定を行った。その結果、20分経過時のn−ブタン転化率は48.8%、ブテン+ブタジエン選択率は96.0%であり、360分経過時のn−ブテン転化率は43.3%、ブテン+ブタジエン選択率は96.8%であり、360分経過時のコーク量は0.4質量%であった。
【0103】
(比較例a−1)
触媒の調製に際し、Caを担持しなかったこと以外は、実施例A−1と同様にして触媒の調製を行い、触媒a−1を得た。得られた触媒a−1について分析したところ、Ptの含有量は1質量%、Snの含有量は4.9質量%、Mgの含有量は16質量%、Alの含有量は36質量%、Ptに対するSnのモル比(Sn/Pt)は8であった。
【0104】
また、触媒A−1に代えて触媒a−1を用いたこと以外は実施例A−1と同様にして、不飽和炭化水素の製造を行い、生成ガスの分析及びコーク量の測定を行った。その結果、20分経過時のn−ブタン転化率は60.6%、ブテン+ブタジエン選択率は95.9%であり、360分経過時のn−ブテン転化率は49.8%、ブテン+ブタジエン選択率は96.6%であり、360分経過時のコーク量は1.8質量%であった。
【0105】
(比較例a−2)
触媒の調製に際し、Ca(NO
3)
2・4H
2Oの添加量を163.5mgとしたこと以外は、実施例A−1と同様にして触媒の調製を行い、触媒a−2を得た。得られた触媒a−2について分析したところ、Ptの含有量は1質量%、Snの含有量は4.9質量%、Mgの含有量は16質量%、Alの含有量は35質量%、添加元素であるCaの含有量は0.9質量%であり、Ptに対するSnのモル比(Sn/Pt)は8であった。
【0106】
また、触媒A−1に代えて触媒a−2を用いたこと以外は実施例A−1と同様にして、不飽和炭化水素の製造を行い、生成ガスの分析及びコーク量の測定を行った。その結果、20分経過時のn−ブタン転化率は41.7%、ブテン+ブタジエン選択率は96.8%であり、360分経過時のn−ブテン転化率は37.3%、ブテン+ブタジエン選択率は96.4%であり、360分経過時のコーク量は0.5質量%であった。
【0107】
(比較例a−3)
触媒の調製に際し、Ca(NO
3)
2・4H
2Oの添加量を218.0mgとしたこと以外は、実施例A−1と同様にして触媒の調製を行い、触媒a−3を得た。得られた触媒a−3について分析したところ、Ptの含有量は1質量%、Snの含有量は4.9質量%、Mgの含有量は16質量%、Alの含有量は35質量%、添加元素であるCaの含有量は1.2質量%であり、Ptに対するSnのモル比(Sn/Pt)は8であった。
【0108】
また、触媒A−1に代えて触媒a−3を用いたこと以外は実施例A−1と同様にして、不飽和炭化水素の製造を行い、生成ガスの分析及びコーク量の測定を行った。その結果、20分経過時のn−ブタン転化率は30.6%、ブテン+ブタジエン選択率は96.8%であり、360分経過時のn−ブテン転化率は28.9%、ブテン+ブタジエン選択率は96.8%であり、360分経過時のコーク量は0.8質量%であった。
【0109】
実施例A−1、A−2及びA−3並びに比較例a−1、a−2及びa−3の結果を表1に示す。
【0110】
【表1】
【0111】
(実施例B−1)
触媒の調製に際し、Ca(NO
3)
2・4H
2Oの代わりに7.97mgのK(NO
3)
2を用いたこと以外は実施例A−1と同様にして触媒の調製を行い、触媒B−1を得た。得られた触媒B−1について分析したところ、Ptの含有量は1質量%、Snの含有量は4.9質量%、Mgの含有量は16質量%、Alの含有量は36質量%、添加元素であるKの含有量は0.1質量%であり、Ptに対するSnのモル比(Sn/Pt)は8であった。
【0112】
また、触媒A−1に代えて触媒B−1を用いたこと以外は実施例A−1と同様にして、不飽和炭化水素の製造を行い、生成ガスの分析及びコーク量の測定を行った。その結果、20分経過時のn−ブタン転化率は59.3%、ブテン+ブタジエン選択率は95.8%であり、360分経過時のn−ブテン転化率は48.8%、ブテン+ブタジエン選択率は96.3%であり、360分経過時のコーク量は1.0質量%であった。
【0113】
(実施例B−2)
触媒の調製に際し、Ca(NO
3)
2・4H
2Oの代わりに23.91mgのK(NO
3)
2を用いたこと以外は実施例A−1と同様にして触媒の調製を行い、触媒B−2を得た。得られた触媒B−2について分析したところ、Ptの含有量は1質量%、Snの含有量は4.9質量%、Mgの含有量は16質量%、Alの含有量は36質量%、添加元素であるKの含有量は0.3質量%であり、Ptに対するSnのモル比(Sn/Pt)は8であった。
【0114】
また、触媒A−1に代えて触媒B−2を用いたこと以外は実施例A−1と同様にして、不飽和炭化水素の製造を行い、生成ガスの分析及びコーク量の測定を行った。その結果、20分経過時のn−ブタン転化率は52.5%、ブテン+ブタジエン選択率は95.7%であり、360分経過時のn−ブテン転化率は43.4%、ブテン+ブタジエン選択率は95.7%であり、360分経過時のコーク量は0.7質量%であった。
【0115】
(実施例B−3)
触媒の調製に際し、Ca(NO
3)
2・4H
2Oの代わりに31.88mgのK(NO
3)
2を用いたこと以外は実施例A−1と同様にして触媒の調製を行い、触媒B−3を得た。得られた触媒B−3について分析したところ、Ptの含有量は1質量%、Snの含有量は4.9質量%、Mgの含有量は16質量%、Alの含有量は36質量%、添加元素であるKの含有量は0.4質量%であり、Ptに対するSnのモル比(Sn/Pt)は8であった。
【0116】
また、触媒A−1に代えて触媒B−3を用いたこと以外は実施例A−1と同様にして、不飽和炭化水素の製造を行い、生成ガスの分析及びコーク量の測定を行った。その結果、20分経過時のn−ブタン転化率は51.1%、ブテン+ブタジエン選択率は96.7%であり、360分経過時のn−ブテン転化率は43.5%、ブテン+ブタジエン選択率は96.5%であり、360分経過時のコーク量は0.8質量%であった。
【0117】
(比較例b−1)
触媒の調製に際し、Ca(NO
3)
2・4H
2Oの代わりに63.76mgのK(NO
3)
2を用いたこと以外は実施例A−1と同様にして触媒の調製を行い、触媒b−1を得た。得られた触媒b−1について分析したところ、Ptの含有量は1質量%、Snの含有量は4.9質量%、Mgの含有量は16質量%、Alの含有量は35質量%、添加元素であるKの含有量は0.8質量%であり、Ptに対するSnのモル比(Sn/Pt)は8であった。
【0118】
また、触媒A−1に代えて触媒b−1を用いたこと以外は実施例A−1と同様にして、不飽和炭化水素の製造を行い、生成ガスの分析及びコーク量の測定を行った。その結果、20分経過時のn−ブタン転化率は30.8%、ブテン+ブタジエン選択率は96.8%であり、360分経過時のn−ブテン転化率は22.7%、ブテン+ブタジエン選択率は96.0%であり、360分経過時のコーク量は0.5質量%であった。
【0119】
(比較例b−2)
触媒の調製に際し、Ca(NO
3)
2・4H
2Oの代わりに310.83mgのK(NO
3)
2を用いたこと以外は実施例A−1と同様にして触媒の調製を行い、触媒b−2を得た。得られた触媒b−2について分析したところ、Ptの含有量は1質量%、Snの含有量は4.9質量%、Mgの含有量は15質量%、Alの含有量は34質量%、添加元素であるKの含有量は3.9質量%であり、Ptに対するSnのモル比(Sn/Pt)は8であった。
【0120】
また、触媒A−1に代えて触媒b−2を用いたこと以外は実施例A−1と同様にして、不飽和炭化水素の製造を行い、生成ガスの分析及びコーク量の測定を行った。その結果、20分経過時のn−ブタン転化率は1.2%、ブテン+ブタジエン選択率は89.5%であり、転化率が非常に低かったため、反応をここで中止した。
【0121】
実施例B−1〜B−3及び比較例b−1〜b−2の結果を表2に示す。
【0122】
【表2】
【0123】
(比較例c−1)
触媒の調製に際し、Ca(NO
3)
2・4H
2Oの代わりに162.63mgのMg(NO
3)
2・6H
2Oを用いたこと以外は実施例A−1と同様にして触媒の調製を行い、触媒c−1を得た。得られた触媒c−1について分析したところ、Ptの含有量は1質量%、Snの含有量は4.9質量%、Mgの含有量は16.5質量%、Alの含有量は36質量%であり、Ptに対するSnのモル比(Sn/Pt)は8であった。なお、Ca(NO
3)
2・4H
2Oの代わりに添加したMg(NO
3)
2・6H
2O分のMg量は、触媒c−1中の0.5質量%に相当する量であった。
【0124】
また、触媒A−1に代えて触媒c−1を用いたこと以外は実施例A−1と同様にして、不飽和炭化水素の製造を行い、生成ガスの分析及びコーク量の測定を行った。その結果、20分経過時のn−ブタン転化率は59.2%、ブテン+ブタジエン選択率は95.9%であり、360分経過時のn−ブテン転化率は47.3%、ブテン+ブタジエン選択率は96.5%であり、360分経過時のコーク量は1.3質量%であった。
【0125】
(比較例c−2)
触媒の調製に際し、Ca(NO
3)
2・4H
2Oの代わりに57.67mgのLa(NO
3)
2・6H
2Oを用いたこと以外は実施例A−1と同様にして触媒の調製を行い、触媒c−2を得た。得られた触媒c−2について分析したところ、Ptの含有量は1質量%、Snの含有量は4.9質量%、Mgの含有量は16質量%、Alの含有量は35質量%、Laの含有量は0.6質量%であり、Ptに対するSnのモル比(Sn/Pt)は8であった。
【0126】
また、触媒A−1に代えて触媒c−2を用いたこと以外は実施例A−1と同様にして、不飽和炭化水素の製造を行い、生成ガスの分析及びコーク量の測定を行った。その結果、20分経過時のn−ブタン転化率は60.4%、ブテン+ブタジエン選択率は95.2%であり、360分経過時のn−ブテン転化率は47.7%、ブテン+ブタジエン選択率は95.9%であり、360分経過時のコーク量は2.0質量%であった。
【0127】
(比較例c−3)
触媒の調製に際し、Ca(NO
3)
2・4H
2Oの代わりに162.63mgのSr(NO
3)
2を用いたこと以外は実施例A−1と同様にして触媒の調製を行い、触媒c−3を得た。得られた触媒c−3について分析したところ、Ptの含有量は1質量%、Snの含有量は4.9質量%、Mgの含有量は16質量%、Alの含有量は35質量%、Srの含有量は0.6質量%であり、Ptに対するSnのモル比(Sn/Pt)は8であった。
【0128】
また、触媒A−1に代えて触媒c−3を用いたこと以外は実施例A−1と同様にして、不飽和炭化水素の製造を行い、生成ガスの分析及びコーク量の測定を行った。その結果、20分経過時のn−ブタン転化率は58.1%、ブテン+ブタジエン選択率は95.9%であり、360分経過時のn−ブテン転化率は48.1%、ブテン+ブタジエン選択率は96.4%であり、360分経過時のコーク量は1.2質量%であった。
【0129】
比較例c−1〜c−3の結果を表3に示す。
【0130】
【表3】