(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6883308
(24)【登録日】2021年5月12日
(45)【発行日】2021年6月9日
(54)【発明の名称】睡眠状態検出器
(51)【国際特許分類】
A61B 5/16 20060101AFI20210531BHJP
A61B 5/11 20060101ALI20210531BHJP
A61B 5/113 20060101ALI20210531BHJP
A61B 5/0245 20060101ALI20210531BHJP
【FI】
A61B5/16 130
A61B5/11 100
A61B5/113
A61B5/0245 Z
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2020-140855(P2020-140855)
(22)【出願日】2020年8月24日
【審査請求日】2021年1月20日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520322381
【氏名又は名称】篠 敏弘
(74)【代理人】
【識別番号】100122312
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 正優
(72)【発明者】
【氏名】篠 敏弘
【審査官】
樋口 祐介
(56)【参考文献】
【文献】
特許第6355180(JP,B2)
【文献】
特開2018−046901(JP,A)
【文献】
特開平10−216105(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第02092856(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B5/00−5/398
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
敷き寝具の下面と外周縁にそれぞれ密着するL字形の板部材と、
前記板部材に取り付けられるセンサと、
を備え、
前記敷き寝具の変形に伴って前記板部材が弾性変形し、前記センサが前記弾性変形を検出する、睡眠状態検出器。
【請求項2】
前記センサは、前記立板または底板に取り付けられる、請求項1に記載の睡眠状態検出器。
【請求項3】
前記センサは、前記敷き寝具に横たわる被検者の体動、呼吸または鼓動を検出する、請求項1または2に記載の睡眠状態検出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、睡眠者の睡眠状態を非侵襲的に検出する睡眠状態検出器に関する。
【背景技術】
【0002】
睡眠者(被検者)の睡眠深度を測定する睡眠深度測定装置が開発されている。睡眠深度測定装置では、睡眠者の脈拍(鼓動)、呼吸、体動、体温等の生体データを検出する睡眠センサが用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019−180847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の睡眠センサは、ベッドマットレスとシーツとの間に配置されたり、ベッドと床の間に配置されたりする。このため、睡眠センサの設置位置を変更(調整)したり、睡眠センサの数を増やしたり、睡眠センサを交換したりするのは、必ずしも容易でない。特に、病院や介護施設等において、被検者が布団やベッドに寝たままの状態で、睡眠センサを設置したり、交換したりすることは困難である。
【0005】
本発明は、設置位置の変更・調整や交換、設置数の増減が容易な睡眠状態検出器を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施態様に係る睡眠状態検出器は、敷き寝具の下面と側面にそれぞれ密着するL字形の板部材と、前記板部材に取り付けられて、前記板部材の変形を検出するセンサと、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明の実施態様に係る睡眠状態検出器は、前記センサは、前記側面に密着する立板に取り付けられる、ことを特徴とする。
【0008】
本発明の実施態様に係る睡眠状態検出器は、前記センサは、圧電素子である、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の睡眠状態検出器は、設置位置の変更・調整や交換、設置数の増減を容易に行うことができる。特に、病院や介護施設等において、被検者が布団やベッドに寝たままの状態で、睡眠状態検出器を設置したり、交換したりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態に係る睡眠状態検出器1を示す斜視図である。
【
図2】睡眠状態検出器1を敷き寝具10に設置した図である。
【
図3】被検者が寝返りをしたときの検出データを示す図である。
【
図4】被検者が安静にしているときの検出データを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の睡眠状態検出器1について説明する。
図1は、睡眠状態検出器1を示す斜視図である。
図2は、睡眠状態検出器1を敷き寝具10に設置した図である。
【0012】
睡眠状態検出器1は、被検者が横たわる敷き寝具10に設置されて、被検者の睡眠状態を検出するものである。睡眠状態検出器1は、被検者の体動、呼吸、脈拍等の生体データを検出可能である。
敷き寝具10は、例えば、敷き布団やベッドマットレスである。敷き布団は、敷き布団用マットレスや床、畳の上に敷かれる。ベッドマットレスは、ベッドの上に敷かれる。
そして、敷き寝具10の上面にシーツや敷きパッド等を敷いた状態で、被検者が直接横たわる。
睡眠状態検出器1は、L字形に折り曲げられた金属製の板部材3と、この板部材3に固定された変形センサ7と、を備える。
【0013】
板部材3は、金属製の平板を直角に折り曲げたものであり、水平方向に沿う略矩形の底板4と、この底板4に直交して垂直方向に沿う略矩形の立板5と、を有する。
板部材3は、敷き寝具10の外周縁13に配置される。具体的には、底板4が敷き寝具10の下面(不図示)に密着し、立板5が敷き寝具10の側面12に密着するように配置される。つまり、板部材3は、敷き布団用マットレスやベッドと敷き寝具10の間に底板4が差し込まれ、立板5が敷き寝具10に押し付けられる。
板部材3は、敷き寝具10の外周縁13であれば、枕元、足元または側方のいずれに配置してもよい。
【0014】
変形センサ7は、板部材3の底面(底板4)に固定される。変形センサ7は、例えば圧電素子である。変形センサ7は、板部材3の弾性変形(振動)を検出する。
被検者が敷き寝具10に横たわると、敷き寝具10が被検者の体重により変形する。敷き寝具10の外周縁13(特に側面12)が膨らんだり変位したりする。敷き寝具10の外周縁13の変位等に伴い、板部材3が弾性変形する。底板4がベッド等と敷き寝具10の間に差し込まれているので、立板5が外側に傾くように変位(弾性変形)する。変形センサ7は、立板5が外側に傾く弾性変形を検出する。
【0015】
変形センサ7は、被検者が敷き寝具10の上で寝返りをしたとき、板部材3の弾性変形を検出する。
また、変形センサ7は、被検者が敷き寝具10の上で安静にしているときも、板部材3の弾性変形を検出する。被検者の呼吸や鼓動により、敷き寝具10が微小に変形(振動)し、この振動が外周縁13(特に側面12)にも伝達される。敷き寝具10の外周縁13が微小に変形(振動)すると、変形センサ7がこの振動(弾性変形)を検出する。
【0016】
図3は、被検者が寝返りをしたときの検出データを示す図である。
ベッドとベッドマットレスを用意し、睡眠状態検出器1をベッドマットレスの右側面、左側面にそれぞれ配置した。
被検者が左側に寝返りをしたとき、特にベッドマットレスの左側面に配置した睡眠状態検出器1Lの検出波形が大きく変化した。ベッドマットレスの右側面に配置した睡眠状態検出器1Rの検出波形も僅かに変化している。
このように、睡眠状態検出器1は、被検者の体動を良好に検出することができる。
【0017】
図4は、被検者が安静にしているときの検出データを示す図である。
図4(a)は被検者が就寝(安静)時の検出データ、
図4(b)は被検者が不在時の検出データである。
ベッドとベッドマットレスを用意し、睡眠状態検出器1をベッドマットレスの前側面(枕元)に配置した。
被検者不在時の検出波形は、ホワイトノイズである。一方、被検者の就寝(安静)時の検出波形は、一定の周期で増減する波形を含んでいる。この一定周期の波形は、被験者の呼吸や鼓動に由来する。
このように、睡眠状態検出器1は、被検者の呼吸や鼓動を良好に検出することができる。
【0018】
以上、説明したように、本実施形態に係る睡眠状態検出器1は、変形センサ7が取り付けられた板部材3をベッド等と敷き寝具10の間に差し込むだけなので、設置位置の変更・調整や交換、設置数の増減を容易に行うことができる。特に、病院や介護施設等において、被検者が敷き寝具10に寝たままの状態で、睡眠状態検出器1を設置したり、交換したりすることができる。
【0019】
板部材3は、ベッド等と敷き寝具10(底面11)の間に差し込まれる底板4と、敷き寝具10の側面12に押し付けられる立板5からなので、睡眠状態検出器1の低コスト化を図ることができる。立板5がを側面12に押し付けることにより、敷き寝具10の変形を良好に検出することができる。
変形センサ7が圧電素子であるので、板部材3の弾性変形(振動)を良好に検出することができる。被検者の鼓動(脈拍)、呼吸、体動等の生体データを良好に検出することができる。
【0020】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。実施形態で挙げた具体的な形状や構成等は一例にすぎず、適宜変更が可能である。
【0021】
板部材3は、金属板に限らず、プラスチック板であってもよい。板部材3の形状(長さ、幅、厚み)や数量は、任意に設定・変更できる。
【0022】
変形センサ7は、圧電素子に限らず、例えばひずみゲージであってもよい。
変形センサ7は、1つに限らず、複数であってもよい。例えば、圧電素子とひずみゲージを併用してもよい。
変形センサ7は、底板4に取り付けられる場合に限らず、立板5に取り付けてもよい。底板4と立板5の両方に取り付けてもよいし、その配置も任意に設定・変更できる。
【0023】
睡眠状態検出器1を敷き寝具10に対して複数設置する場合には、各睡眠状態検出器1が同一の検出特性を有する場合に限らない。設置場所に応じて、異なる検出特性を有する睡眠状態検出器1を用いてもよい。
【符号の説明】
【0024】
1 睡眠状態検出器
3 板部材
4 底板
5 立板
7 変形センサ
10 敷き寝具(敷き布団)
12 側面
13 外周縁
18 枕
19 掛け布団
20 敷き布団用マットレス(ベッド)
【要約】
【課題】設置位置の変更や交換、設置数の増減が容易な睡眠状態検出器を提案する。
【解決手段】睡眠状態検出器1は、敷き寝具10の下面11と側面12にそれぞれ密着するL字形の板部材3と、この板部材3に取り付けられて板部材13の変形を検出するセンサ7と、を備える。板部材3は、敷き寝具10の下面11に密着する底板4と、敷き寝具10の側面12に密着する立板5を有する。センサ7は、圧電素子であり、立板5に取り付けられる。
【選択図】
図1