特許第6883309号(P6883309)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6883309
(24)【登録日】2021年5月12日
(45)【発行日】2021年6月9日
(54)【発明の名称】マスク
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/11 20060101AFI20210531BHJP
   A62B 18/02 20060101ALI20210531BHJP
【FI】
   A41D13/11 F
   A41D13/11 Z
   A62B18/02 C
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2020-150493(P2020-150493)
(22)【出願日】2020年9月8日
【審査請求日】2020年9月10日
(31)【優先権主張番号】特願2020-84045(P2020-84045)
(32)【優先日】2020年5月12日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520164862
【氏名又は名称】丹野 暁
(74)【代理人】
【識別番号】100185270
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 貴史
(72)【発明者】
【氏名】丹野 暁
【審査官】 ▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−104256(JP,A)
【文献】 国際公開第2017/014102(WO,A1)
【文献】 特開2011−010903(JP,A)
【文献】 特表2006−525823(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 13/11
A62B 18/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂で形成され、着用者の口及び鼻先を覆うマスク本体部と、
合成樹脂で形成され、前記マスク本体部の外面を覆うカバー部と、
前記マスク本体部に設けられ、かつ、着用者が呼吸するための空気が通過する第1通気口と、
前記カバー部で前記第1通気口に対応する位置に設けられ、かつ、着用者が呼吸するための空気が通過する第2通気口と、
前記マスク本体部と前記カバー部との間に着脱可能に設けられ、かつ、前記カバー部の外部から前記第2通気口を通過して前記カバー部内に進入する吸気に含まれる粒子を捕集する不織布で形成されたフィルターと、
を備え、
前記フィルターは、前記第1通気口及び前記第2通気口に対応する箇所に配置され、該フィルターの大きさが、着用者の口及び鼻先を含む顔面の所定部位よりも小さい、
マスク。
【請求項2】
前記マスク本体部及び前記カバー部は、所定の透明度を有する合成樹脂で形成され、前記第1通気口及び前記第2通気口が、該マスク本体部及び該カバー部において着用者の口を覆う部分を除く位置に設けられる、
請求項1に記載のマスク。
【請求項3】
所定の弾性部材で形成された接触部であって、前記マスク本体部によって着用者の口及び鼻先が覆われるときに、該マスク本体部と該着用者の顔面との間に介装される接触部を更に備える、
請求項1又は請求項2に記載のマスク。
【請求項4】
所定の弾性部材で形成され、かつ、前記マスク本体部と前記カバー部との間に脱着可能に設けられる中間膜部と、
前記中間膜部に対して開閉可能に設けられる仕切弁部と、
前記仕切弁部に設けられ、かつ、前記第1通気口及び前記第2通気口につながる開口部と、
を有し、
前記フィルターは、前記マスク本体部と前記仕切弁部との間で前記開口部に対応する箇所に設けられている、
請求項1乃至請求項3に記載のマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着用者の口及び鼻先を覆うマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、外層、内層及び口元層を有し着用者の鼻口部を覆うマスク本体部と、一対の耳掛け部と、を備えるマスクが開示されている。このマスク本体部において、外層及び口元層は、不織布の層よりなり、内層は、極細繊維不織布よりなるフィルター層と吸湿性繊維不織布よりなる吸湿層とを備える。
【0003】
特許文献2には、織編物を縫製して構成されたマスク本体と、耳かけ部分と、を備えるマスクが開示されている。そして、このマスクにおいて、マスク本体の内側には不織布シートが口当て布として配される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018−127757号公報
【特許文献2】特開平9−192247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に示されるマスクによれば、着用者の鼻口部を覆うマスク本体部が不織布によって構成されることで、高い粒子捕集効率と通気性が確保されるが、このような性能を維持するためには、マスクを構成する不織布が常に新しい状態で使用されることが望まれる。つまり、不織布によって構成されたマスクは、使い捨てにされることが望まれる。しかしながら、このように不織布によって構成されたマスクが使い捨てにされると、比較的多量の不織布が消費されることになり、資源性が損なわれてしまう。
【0006】
また、特許文献2に示されるマスクによれば、織編物を縫製して構成されたマスク本体と、不織布シートによって構成された口当て布と、が別々に設けられる。そして、使用回数に応じて口当て布が交換されることで、高い粒子捕集効率と通気性が維持され得る。このような構成によれば、特許文献1に示されるマスクよりも不織布の消費量が少なくされる。しかしながら、特許文献2に示されるマスクにおいても、着用者の口を覆う程度の大きさの不織布シートが比較的高い頻度で交換されることになり、資源性が損なわれてしまう虞がある。このように、マスクとしての性能と資源性とを両立する技術については、未だ改良の余地を残すものである。
【0007】
本発明の目的は、高い粒子捕集効率を有しながら、経済的で資源性に優れたマスクを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願開示のマスクは、合成樹脂で形成され、着用者の口及び鼻先を覆うマスク本体部と、合成樹脂で形成され、前記マスク本体部の外面を覆うカバー部と、前記マスク本体部に設けられ、かつ、着用者が呼吸するための空気が通過する第1通気口と、前記カバー部で前記第1通気口に対応する位置に設けられ、かつ、着用者が呼吸するための空気が通過する第2通気口と、前記マスク本体部と前記カバー部との間に着脱可能に設けられ、かつ、前記カバー部の外部から前記第2通気口を通過して前記カバー部内に進入する吸気に含まれる粒子を捕集する不織布で形成されたフィルターと、を備え、前記フィルターは、前記第1通気口及び前記第2通気口に対応する箇所に配置され、該フィルターの大きさが、着用者の口及び鼻先を含む顔面の所定部位よりも小さい。
【発明の効果】
【0009】
本願開示のマスクは、高い粒子捕集効率を有しながら、経済的で資源性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施形態に係るマスクを説明するための図である。
図2】マスク本体部とカバー部との間におけるフィルターの配置について説明するための図である。
図3】マスクに備えられるフィルターの大きさを説明するための図である。
図4】第1の実施形態の変形例1における、カバー部に備えられる固定紐の配置の態様について説明するための図である。
図5】第1の実施形態の変形例2に係るマスクを説明するための図である。
図6】第2の実施形態に係るマスクを説明するための図である。
図7】第3の実施形態に係るマスクを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本願開示において、マスクは、マスク本体部と、カバー部と、フィルターと、を備える。マスク本体部は、合成樹脂で形成され、着用者の口及び鼻先を覆う形状に成形される。そして、マスク本体部の外側には、該マスク本体部の外面を覆うカバー部が設けられる。ここで、カバー部には、耳掛け部を設けることができ、マスク本体部の外側にカバー部が配置されたマスクが着用者の顔面に当てられた状態で、耳掛け部が着用者の耳に引っ掛けられることによって、マスクが着用者の顔面に固定されることになる。なお、マスク本体部によって着用者の口及び鼻先が覆われるときに、該マスク本体部と該着用者の顔面との間に接触部が介装されてもよい。そして、接触部が所定の弾性部材で形成されることで、マスクが着用者の顔面に固定された状態で該接触部が着用者の顔面に沿って変形することになり、マスクが着用者の顔面に密着し易くなる。また、マスク本体部とカバー部との間には、フィルターが介装される。そして、フィルターは、粒子を捕集する不織布で形成される。ここで、粒子を捕集する不織布とは、例えば、エレクトレット化されたメルトブロー不織布である。このようなマスクにおいて、マスク本体部およびカバー部は、着用者が呼吸するための空気を導入する通気口を有し、上記のフィルターがこれら通気口を覆うように配置される。これによれば、マスク本体部およびカバー部に設けられた通気口と、これらを覆うように配置されたフィルターによって、高い粒子捕集効率と通気性が確保される。
【0012】
更に、本願開示のマスクでは、フィルターの大きさが、着用者の口及び鼻先を含む顔面の所定部位よりも小さくされる。ここで、上記の所定部位とは、着用者の顔面において、その幅が一対の口角間の距離によって、その高さが下唇の下端と鼻先との距離によって定義される領域である。このような構成によれば、フィルターが比較的高い頻度で交換されたとしても、それに応じて消費される不織布の量を可及的に少なくすることができる。つまり、マスクとしての性能と資源性とを両立することができる。
【0013】
以上に述べたように、本願開示のマスクは、高い粒子捕集効率を有しながら、経済的で資源性に優れている。
【0014】
以下、図面に基づいて、本願開示の実施の形態を説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、本願開示は実施形態の構成に限定されない。
【0015】
<第1の実施形態>
第1の実施形態に係るマスクについて、図1を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係るマスクを説明するための図である。なお、本願開示のマスク1は、ウイルスや細菌、花粉、粉塵等の微小粒子や、ウイルスや細菌を含んだ飛沫が、着用者の口や鼻に直接届くことを抑制するためのものである。本実施形態に係るマスク1は、着用者の口及び鼻先を覆うマスク本体部10と、マスク本体部10の外面を覆うカバー部20と、マスク本体部10とカバー部20との間に介装されるフィルター30と、を備える。
【0016】
マスク本体部10は、合成樹脂で形成される。そして、マスク本体部10がカップ状に成形されることで、着用者の口及び鼻先がマスク本体部10によって覆われることになる。ここで、マスク本体部10を形成する合成樹脂は、例えば、光硬化樹脂であって光造形により成形される。ただし、マスク本体部10を形成する合成樹脂をこれに限定する意図はなく、マスク本体部10をカップ状に成形できるものであれば、その種類は問わない。なお、このようにカップ状に成形された合成樹脂製のマスク本体部10は、比較的高い強度を有する。そのため、仮に外部から荷重が加えられたとしても変形し難く、カップ状の形状が維持され易くなる。
【0017】
そして、マスク本体部10には、マスク本体部10において着用者の顔の輪郭や顎付近を覆う部分に通気口12が設けられる。ここで、通気口12は、マスク1の着用者が呼吸するための空気を導入するためのものである。マスク本体部10の外面には、凹部11が形成されていて、この凹部11の底面にスロット状の通気口12が形成される。本実施形態では、マスク本体部10において着用者の顔の輪郭付近のうち左右の頬を覆う部分に一対の凹部11が形成されるとともに、着用者の顎付近を覆う部分に凹部11が形成され、各凹部11の底面にスロット状の通気口12が複数形成されている。
【0018】
カバー部20は、合成樹脂で形成される。ここで、カバー部20がマスク本体部10の外面よりも一回り大きなカップ状に成形されることで、マスク本体部10の外面がカバー部20によって覆われることになる。なお、カバー部20は、マスク本体部10と同様の合成樹脂により形成され得る。また、カバー部20にも、マスク本体部10と同様に、マスク1の着用者が呼吸するための空気を導入するための通気口22が設けられる。カバー部20の外面には、マスク本体部10の凹部11に対応する位置に凹部21が形成され、各凹部21の底面にスロット状の通気口22が複数形成されている。
【0019】
また、カバー部20は、耳掛け部23を備える。そして、マスク1が着用者の顔面に当てられた状態で、耳掛け部23が着用者の耳に引っ掛けられることによって、マスク1が着用者の顔面に固定されることになる。なお、耳掛け部23としては、公知の紐状弾性体やテープ状弾性体を用いることができる。
【0020】
そして、上記のマスク本体部10と上記のカバー部20との間には、フィルター30が介装される。ここで、フィルター30は、粒子を捕集する不織布で形成される。ここで、フィルター30を形成する不織布は、例えば、メルトブロー不織布である。メルトブロー不織布は、極細繊維によって構成されているため、効率よく粒子を捕集することができる。そして、本実施形態では、エレクトレット化されたメルトブロー不織布をフィルター30として用いることができる。そうすると、フィルター30を通過する空気に含まれる粒子が、エレクトレット化メルトブロー不織布を構成する帯電した極細繊維に吸着されることになる。
【0021】
ここで、フィルター30は、マスク本体部10の通気口12およびカバー部20の通気口22を覆うように配置される。これについて、図2に基づいて説明する。図2は、マスク本体部10とカバー部20との間におけるフィルター30の配置について説明するための図である。ここで、図2には、マスク本体部10およびカバー部20において着用者の顎付近を覆う部分に形成された凹部11および凹部21の断面図が示されている。これによれば、フィルター30が、マスク本体部10の凹部11およびカバー部20の凹部21によって挟み込まれるように介装されることで、マスク本体部10の通気口12およびカバー部20の通気口22がフィルター30によって覆われることがわかる。そうすると、マスク1の着用者が呼吸するために導入される空気がフィルター30を通過することになり、空気に含まれる粒子がフィルター30によって捕集される。なお、フィルター30は、マスク本体部10の通気口12またはカバー部20の通気口22のいずれかを覆うように配置されてもよい。
【0022】
このようなマスク1は、所定の弾性部材で形成された接触部40を更に備えており、マスク本体部10によって着用者の口及び鼻先が覆われるときに、該マスク本体部10と該着用者の顔面との間に接触部40が介装される。ここで、接触部40を形成する弾性部材は、例えば、熱可塑性ポリウレタン樹脂等のエラストマーや、ゴム等の天然樹脂である。このような接触部40が備えられると、マスク本体部10の外縁からマスク本体部10内に空気が侵入する事態が抑制される。また、接触部40が、仮にポリウレタンエラストマーによって形成されると、接触部40が着用者の汗等の水分を吸水したとしてもその形状が保持され得るため、マスク1の良好な着け心地が維持される。
【0023】
以上に述べた構成によれば、マスク本体部10の通気口12およびカバー部20の通気口22と、これらを覆うように配置されたフィルター30によって、高い粒子捕集効率と通気性が確保される。しかしながら、フィルター30が比較的高い頻度で交換されると、それに応じて不織布が消費されることになる。そして、マスクとしての性能と資源性とを両立する技術については、未だ改良の余地を残すものである。
【0024】
そこで、本発明者は、鋭意検討を行った結果、フィルター30の大きさが、着用者の口及び鼻先を含む顔面の所定部位よりも小さくされることで、高い粒子捕集効率を有しながら、経済的で資源性に優れるマスクを提供できることを見出した。これについて、図3を参照しながら説明する。
【0025】
図3は、マスク1に備えられるフィルター30の大きさを説明するための図である。図3によると、着用者の口及び鼻先を含む顔面の所定部位が領域aとして表される。ここで、領域aは、その幅が一対の口角間の距離a1によって、その高さが下唇の下端と鼻先との距離a2によって定義される領域である。不織布がフィルターとして用いられる従来のマスクによれば、この領域aを覆うように不織布が配置される。つまり、フィルターである不織布の大きさが、着用者の口及び鼻先を含む顔面の所定部位である領域aよりも大きくなる。
【0026】
これに対して、本実施形態のマスク1では、上述したように、マスク本体部10の通気口12およびカバー部20の通気口22を覆うようにフィルター30が配置される。そうすると、図3に示すように、フィルター30の大きさ(図3に示される3つのフィルター30を合わせた大きさ)を、着用者の口及び鼻先を含む顔面の所定部位である領域aよりも小さくすることができる。このような構成によれば、フィルター30が比較的高い頻度で交換されたとしても、それに応じて消費される不織布の量を可及的に少なくすることができる。つまり、マスクとしての性能と資源性とを両立することができる。
【0027】
以上に述べたように、本願開示のマスクは、高い粒子捕集効率を有しながら、経済的で資源性に優れている。
【0028】
なお、本実施形態のマスク1では、上述したように、マスク本体部10の通気口12およびカバー部20の通気口22が、マスク本体部10およびカバー部20において着用者の顔の輪郭や顎付近を覆う部分に設けられている。言い換えれば、マスク本体部10の通気口12およびカバー部20の通気口22が、マスク本体部10およびカバー部20において着用者の口を覆う部分を除く位置に設けられている。このような構成において、マスク本体部10およびカバー部20は、所定の透明度を有する合成樹脂で形成されてもよい。ここで、所定の透明度とは、光透過性が高くマスク1の着用者の表情を外側から視認できる程度の透明度である。このようなマスク1では、着用者の口の動きが外側から視認可能となる。そうすると、マスク1の着用者とのコミュニケーションにおいて、着用者が発する声だけでなく口の動きも利用することができる。以上に述べた構成は、高い粒子捕集効率を有しながら、経済的で資源性に優れているとともに、良好なコミュニケーションの実現を助けるものである。
【0029】
<第1の実施形態の変形例1>
上記第1の実施形態の第1の変形例について、図4に基づいて説明する。上述した第1の実施形態では、カバー部20に耳掛け部23が備えられ、耳掛け部23が着用者の耳に引っ掛けられることによってマスク1が着用者の顔面に固定される。これに対して、本変形例では、図4に示すように、耳掛け部23に代えて固定紐24によってマスク1が着用者の顔面に固定される。なお、固定紐24としては、公知の紐状弾性体やテープ状弾性体を用いることができる。ここで、図4は、カバー部20に備えられる固定紐24の配置の態様について説明するための図である。図4によると、U字型に形成された固定紐24が、カバー部20の側面に配置されていて、その一部が通気口22と立体的に交差している。ここで、本願開示のマスク1によれば、通気口22が凹部21の底面に形成されている。そのため固定紐24と通気口22との間には凹部21による空間が確保される。これによれば、固定紐24によって通気口22が塞がれてしまう事態が抑制される。そして、図4に示されるマスク1では、マスク1が着用者の顔面に当てられた状態で、固定紐24の一方が着用者の後頭部に巻き付けられ、他方が着用者の後頸部に巻き付けられることによって、マスク1が着用者の顔面に固定されることになる。このような構成によれば、頭部が上下運動等をしてもマスク1が顔面に固定された状態からずれ難くなる。そのため、着用者がスポーツをする場合や医療行為等の所定の作業を行う場合に、好適にマスク1が顔面に固定され得る。なお、本願開示のマスク1では、耳掛け部23または固定紐24が公知の方法により着脱可能に構成され、マスク1を顔面に固定する手段として、耳掛け部23と固定紐24とが交換可能に構成され得る。したがって、着用者は、マスク1の使用用途に応じて、マスク1を顔面に固定する手段として、耳掛け部23を用いてもよいし固定紐24を用いてもよい。
また、固定紐24は、凹部21の上下に形成される固定紐導入孔を介して摺動自在に挿入される。
【0030】
<第1の実施形態の変形例2>
上記第1の実施形態の第2の変形例について、図5に基づいて説明する。図5は、本変形例に係るマスクを説明するための図である。上述した第1の実施形態では、マスク本体部10によって着用者の口及び鼻先が覆われるときに、該マスク本体部10と該着用者の顔面との間に接触部40が介装される例について説明した。これに対して、本変形例では、図5に示すように、マスク1には所定の弾性部材で形成された接触部が設けられない。このような構成においても、マスク本体部10内に導入される空気の大部分は、通気口12および通気口22を通過したものであるため、これら通気口を覆うように配置されたフィルター30によって、高い粒子捕集効率が確保される。また、本変形例に係るマスク1によれば、マスク1を構成する部品点数を削減することができる。
【0031】
以上に述べたマスク1によれば、高い粒子捕集効率を有しながら、経済的で資源性に優れているとともに、マスク1を構成する部品点数を削減することができる。
【0032】
<第2の実施形態>
第2の実施形態について、図6に基づいて説明する。図6は、本実施形態に係るマスクを説明するための図である。上述した第1の実施形態では、マスク本体部10の通気口12およびカバー部20の通気口22が、マスク本体部10およびカバー部20において着用者の顔の輪郭や顎付近を覆う部分に設けられる例について説明した。これに対して、本実施形態では、図6に示すように、マスク本体部10の通気口12およびカバー部20の通気口22が、マスク本体部10およびカバー部20において着用者の顔の輪郭や顎付近を覆う部分だけでなく、着用者の口付近を覆う部分にも設けられる。このように、マスク本体部10およびカバー部20において、着用者の口付近を覆う部分にも通気口が設けられることで、より良好な通気性を確保することができる。
【0033】
そして、このようなマスク1においても、マスク本体部10とカバー部20との間には、これらにおいて着用者の口付近を覆う部分に設けられた通気口を覆うように、フィルター30が介装される。ここで、フィルター30の大きさ(図6に示される4つのフィルター30を合わせた大きさ)は、着用者の口及び鼻先を含む顔面の所定部位(上記の図3に示した領域a)よりも小さくされる。このような構成によれば、フィルター30が比較的高い頻度で交換されたとしても、それに応じて消費される不織布の量を可及的に少なくすることができる。つまり、マスクとしての性能と資源性とを両立することができる。
【0034】
<第3の実施形態>
第3の実施形態について、図7に基づいて説明する。図7は、本実施形態に係るマスクを説明するための図である。上述した第1の実施形態では、マスク本体部10の通気口12およびカバー部20の通気口22が、マスク本体部10およびカバー部20において着用者の顔の輪郭や顎付近を覆う部分に設けられる例について説明した。これに対して、本実施形態では、図7に示すように、マスク1は、マスク本体部10とカバー部20との隙間に、中間膜のようにして脱着可能に設置される中間膜部50を有する。
【0035】
中間膜部50は、所定の弾性部材で形成される。また、中間膜部50に、正面から見て左右に計2箇所の仕切弁51が設けられている。さらに、2箇所の仕切弁51は、中間膜部50に対してそれぞれ作動可能、つまり、開閉可能である。また、2箇所の仕切弁51は、開口部52をそれぞれ1箇所有する。
【0036】
開口部52は、通気口12および通気口22に相当する箇所に位置する。すなわち、マスク1は、マスク本体部10とカバー部20との隙間に中間膜部50を設置した状態で、通気口12と開口部52と通気口22とがほぼ同じ位置に維持される。さらに、マスク本体部10とカバー部20との間、具体的には、マスク本体部10と中間膜部50との間で開口部52に対応する位置にフィルター30が設けられている
【0037】
中間膜部50に設けた2箇所の仕切弁部51は、マスク1の着用者の呼気及び吸気でそれぞれ作動する。具体的に説明すると、マスク1の着用者の口から吐出された呼気が通気口12を通ると、呼気圧がフィルター30に加わり、フィルター30と共に2箇所の仕切弁部51が作動することにより、中間膜部50に対して2箇所の仕切弁部51が開き、2箇所の仕切弁部51と中間膜部50との間、及び通気口22を通ってマスク1の外部へ排出される。
【0038】
一方、マスク1の着用者の吸気が通気口22を通ってカバー部20と中間膜部50との間に進入すると、吸気圧力で仕切弁部51が作動することにより、中間膜部50に対して2箇所の仕切弁部51が閉じ、かつ、吸気圧力でフィルター30がカバー本体10へ押し付けられてフィルター30が通気口22を覆う。すると、マスク1の着用者が呼吸するために導入される空気がフィルター30を通過し、かつ、通気口22を通ってマスク本体部10内へ進入することになり、空気に含まれる粒子がフィルター30によって捕集される。このように、マスク1は、マスク1の着用者の吸気時に2箇所の仕切弁部51が中間膜部50に対して閉じられるため、マスク1の着用者が吸入する空気が、フィルター30を通過せずにマスク本体部10の内部に流入するのを防止できる。
【0039】
また、このような構成によれば、フィルター30が比較的高い頻度で交換されたとしても、それに応じて消費される不織布の量を可及的に少なくすることができる。つまり、マスクとしての性能と資源性とを両立することができる。
【符号の説明】
【0040】
1・・・・・・マスク
10・・・・・マスク本体部
20・・・・・カバー部
12、22・・通気口
30・・・・・フィルター
40・・・・・接触部
50・・・・・中間膜部
51・・・・・仕切弁部
52・・・・・開口部

【要約】
【課題】高い粒子捕集効率を有しながら、経済的で資源性に優れたマスクを提供する。
【解決手段】本願開示のマスクは、合成樹脂で形成され、着用者の口及び鼻先を覆うマスク本体部と、合成樹脂で形成され、前記マスク本体部の外面を覆うカバー部と、粒子を捕集する不織布で形成されたフィルターであって、前記マスク本体部と前記カバー部との間に介装されるフィルターと、を備え、前記マスク本体部及び前記カバー部は、着用者が呼吸するための空気を導入する通気口を有し、前記フィルターは、前記マスク本体部の前記通気口、又は、前記カバー部の前記通気口を覆うように配置され、該フィルターの大きさが、着用者の口及び鼻先を含む顔面の所定部位よりも小さい。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7