【課題を解決するための手段】
【0010】
本願には、例えば、下記各構成例に記載の発明が開示される。
【0011】
<構成例1>
車両から供給される電源のノイズを検出し、車載ネットワークを流れる信号を検出した場合に、前記車載ネットワークに打診信号を送信し、
前記打診信号の送信後に前記車載ネットワークを流れる応答信号に基づき所定の給電条件を満たしたときに前記車両から供給される電源に基づく外部機器への給電を開始する給電制御機能を有することを特徴とする電源制御機器。
【0012】
このようにすれば、車載電源のノイズを検出し、車載ネットワークの信号を検出したときに、車載ネットワークに打診信号が送信されるので、車載電源のノイズを検出したときに無条件に打診信号を送信する場合に比べて、打診信号によって車載ネットワーク上のコンピュータがウエイクアップする事がなくなり、車両の電流使用量を減少させることができるのでよい。特に、車両がスリープ中、例えばガソリン車でエンジンを切って駐車しており乗員がいない状態など、一般的には例えばイグニッションスイッチがOFF位置のときに流れる電流である暗電流を減少させることができ、いわゆるバッテリ上がりの発生を予防することができる。特に車載ネットワークを打診信号が流れた場合にウェイクアップする車載コンピュータを有する車両において優れた効果を発揮する。特に車載ネットワークを打診信号が流れた場合に複数の車載コンピュータがウェイクアップする車両において顕著な効果を発揮する。
特に、打診信号は、車載電源のノイズを検出した後、車載ネットワークの信号を検出したときに送信するようにするとよい。打診信号は、例えば、車載ネットワークに接続されたコンピュータの全部又は一部(例えば、ボディ系ECU)が既にウエイクアップしている状態で流れる信号を検出したときに送信するとよく、このようにすれば、スリープ状態にあるコンピュータ等が打診信号によってウエイクアップするという状況をより的確に回避することができるのでよい。打診信号は、例えば、車載ネットワークに接続されたコンピュータの全部又は一部がスリープしていることを示す信号が検出されたとき、或いは、車載ネットワークに接続されたコンピュータの全部又は一部がウエイクアップしていることを示さない信号しか流れていないときには、送信しないようにするとよく、このようにすれば、スリープ状態にあるコンピュータ等が打診信号によってウエイクアップするという状況をより的確に回避することができるのでよい。
【0013】
また、構成例1では、車載電源のノイズと車載ネットワークを流れる信号の検出に加え、打診信号の送信後に車載ネットワークを流れる応答信号に基づいて給電条件が成立したと判断されたときに外部機器への給電を行うので、車両がスリープ(例えばイグニッションスイッチをON等していない)状態において、何らかの原因で電源電圧にノイズが生じたとしても、車両の状態等に応じて適切な外部機器への給電制御が可能になるのでよい。
【0014】
車両から供給される電源は、例えば車両のバッテリーやオルターネータに直接または間接的に接続された電源とするとよい。電源のノイズは、例えば、オルタノイズのようにエンジンの回転に伴う発電によるノイズ、イグニッションノイズのようなプラグの点火時に発生するようなスパイクノイズ、セル始動時やイグニッションスイッチをIG位置又はACC位置に切り替えた時の電圧低下・ドアアンロック時等に発生する車両内の各種機器への突入電流による電圧降下ノイズ等とするとよい。車載ネットワークは、例えば、CAN、FlexRay等とするとよい。車載ネットワークを流れる信号は、電源制御機器又は他の機器を着脱自在に接続するためのコネクタから取得するとよい。当該コネクタは、信号端子と電源端子を有するコネクタとするとよい。車両から供給される電源と車載ネットワークの信号の双方を当該コネクタから取得するとよい。このようにすれば1つのコネクタから車載電源のノイズと車載ネットワークの信号の双方を得ることができる。当該コネクタは、OBDコネクタとするとよい。
【0015】
なお、車両から供給される電源のノイズ検出から一定時間内(特に例えば1sec程度)に車載ネットワーク上にデータが現れ無い場合、電源制御装置はスリープへ移行するようにするとよい。このようにすれば本装置で消費される電流も減らす事ができるのでよい。車両から供給される電源のノイズの検出から一定時間のみ車載ネットワークの信号を検査し、当該一定時間を経過後は検査をやめるようにするとよい。この一定時間は、打診信号の送信後、車載ネットワーク上にデータが流れ続けているにも関わらず、応答が無い場合、リトライは数回程度とし、次のノイズ信号を検出した時に再打診するとよい(例えば、イグニッションスイッチをACC位置にしたときにCANが動作しだす車両において、ACC位置でのノイズ検出後、エンジンECUに打診を行っても応答がない。このままイグニッションオンの状態(例えば、イグニッションスイッチがIG位置)になるまで打診をし続けると、仮にその後イグニッションスイッチをOFF位置にしても打診が有る為、車両はスリープに入れない。ノイズ検出後に再打診とした場合、イグニッションスイッチがACC位置の状態からIG位置になったときのエンジン始動ノイズで再打診を行い応答を受け取る事が出来る。イグニッションスイッチがACC位置からOFF位置になっても打診しない為、車両はスリープに入る事が出来る)。給電判断機能は、打診信号の送信後の一定時間のみ車載ネットワークの信号を検査し、当該一定時間を経過後は検査しないようにすると更に良い。
【0016】
給電条件は、例えば、応答信号に含まれる情報、応答信号の特性(例えば、周波数、頻度、振幅、パラメータ、識別情報、識別情報の数等)に関する条件とするとよい。給電条件は、応答信号または車載ネットワーク上に流れる信号で判断すると良い(例えば、外部機器がレーダー探知機であればイグニッションスイッチがIG位置になったときに車載ネットワーク上に流れる信号、外部機器がナビゲーションであればイグニッションスイッチがACC位置になったときに車載ネットワーク上に流れる信号、外部機器がセキュリティ関係の機器であればリモコンからのドアロック信号が検出されることを給電条件とするとよい)。給電制御機能は、給電条件が成立したと判断したときに、車載電源から外部機器への給電を開始する制御を行うとよい。給電制御機能は、例えば、車両のイグニッションスイッチがIG位置、又は、車両が走行中(例えば、エンジン回転数が0rpmではないとき)の状態を示す応答信号があるとき、又は、そのような応答信号があると推定されるときに、給電条件が成立したと判断するとよい。エンジン回転数が0rpmになった(エンジンが停止した)ことを検出したときに電源供給をOFFにするとよい。ただし、アイドリングストップ車の場合、交差点等で停止(アイドリングストップ)する都度外部機器の電源が切れてしまう問題を生じるので、アイドリングストップ車であるか否かの設定または判定を行い、アイドリングストップ車の場合、エンジン回転数が0rpmであるときには給電条件が成立したと判断しないようにするとよい。外部機器は、上記状態以外での使用が意図されていない機器とするとよい。例えば、レーダー探知機は、これらの状態以外での使用は意図されていないので、外部機器がレーダー探知機である場合は、上記状態のときのみ給電を行うことで、使用電流を効果的に削減できるのでよい。給電制御機能は、例えば、車両がイグニッションオンの状態(例えば、イグニッションスイッチがACC位置又はIG位置である状態を示す応答信号があるとき、又は、あると推定されるときに、給電条件が成立したと判断するとよい。外部機器は、これらの状態での使用が意図されている機器とするとよい。例えば、ナビゲーションシステムは、ACCの状態でも使用される場合があるので、外部機器がナビゲーションシステムである場合は、上記状態のときのみ給電を行うことで、使用電流を効果的に削減できるのでよい。
【0017】
電源制御機器は、車載ネットワークに着脱自在に接続することができるコネクタを有するとよい。電源制御機器は、外部機器に着脱自在に接続することができるコネクタやケーブルを有するとよい。電源制御機器は、外部機器に対する電源の供給/遮断を切り替えるための切替器等のハードウェアやソフトウェアを有するとよい。電源制御機器は、電源アダプタとするとよい。電源制御機器は、電源制御機器が有する各機能を実現するための給電条件等のデータやプログラムを記憶した記憶媒体を有するとよい。記憶媒体は、揮発性又は不揮発性の記憶媒体とするとよい。揮発性媒体は、例えば、RAMとするとよい。不揮発性媒体は、例えば、EEPROMとするとよい。電源制御機器は、上記プログラムを実行し、及び/又は、電源制御機器が有する各機能を実現するためのCPU等の制御部を有するとよい。
【0018】
<構成例2>
前記給電判断機能は、前記応答信号のパラメータに基づいて、前記給電条件を満たしたか否かの判断を行うことを特徴とする電源制御装置。
【0019】
このようにすれば、給電条件の成否判断の容易化、的確化できるのでよい。例えば、給電判断機能は、特定のパラメータを含む応答信号が検出されたときに、給電条件が成立したと判断するとよい。例えば、車両が特定の状態(例えば、イグニッションオンの状態)のときに、打診信号に対して特定のパラメータを含む応答信号が車載ネットワークに流れることが判っているならば、当該特定のパラメータを検出したときに給電条件が成立したと判断することで、車両が当該特定の状態のときのみ外部機器への給電を行うことができるのでよい。
【0020】
パラメータは、例えば、信号に含まれるデータの内容とするとよい。例えば、パケット通信であれば、パラメータは、パケットの特定ビットの状態とするとよい。例えば、特定の車種において、車両が特定の状態のときには、特定ビット(例えば、パケットのデータ部分の5バイト目の第5ビット)が「1」の応答信号が送信されることが判っているのであれば、当該特定ビットが「1」の信号を検出したときに給電条件が成立したと判断すれば、車両が当該特定の状態のときに外部機器への給電を行うことができるのでよい。
【0021】
他の態様として、前記給電判断機能は、前記応答信号の周期に基づいて、前記給電条件を満たしたか否かの判断を行うとよい。例えば、応答信号がエンジン動作時に得られる程度の短い周期で検出される場合、或いは、応答信号の検出頻度がエンジン動作時と同等レベルの高い頻度のときに、給電条件が成立したと判断するとよい。例えば、エンジンECUの信号が他の信号に比べて周期が短い車両であれば、エンジンECUがウエイクアップしているときの周期あるいは頻度とするとよい。このようにすればエンジンECUがウエイクアップしているときに外部機器に給電する制御を行うことができるのでよい。
【0022】
<構成例3>
前記給電判断機能は、前記応答信号の識別情報に基づいて、前記給電条件を満たしたか否かの判断を行うことを特徴とする電源制御装置。
【0023】
このようにすれば、給電条件の成否判断の更なる容易化、的確化を図ることができるのでよい。例えば、車載ネットワークに特定の識別情報を含む信号が流れているかどうかで給電条件の成否判断を行うとよい。例えば、車載ネットワークに特定の識別情報を含む信号が流れている場合に、給電条件が成立する方向での判断をするとよい。給電条件が成立する方向での判断は、構成例3の条件が成立したときに給電条件が成立したと判断してもよく、他の条件(例えば、構成例2の条件)を同時に満たしたときに給電条件が成立したと判断してもよい。識別情報は、例えば、応答信号を発信したコンピュータを識別するための情報とするとよい。例えば、特定の車種において、車両が特定の状態では、特定の識別情報を有する信号が車載ネットワークに流れることが判っているのであれば、当該識別情報を含む信号を検出したときに給電条件が成立したと判断することにより、車両が当該特定の状態のときに外部機器への給電を行うことができるのでよい。或いは、例えば、特定の車種において、車両が特定の状態では、第1の識別情報の打診信号に対して第2の識別情報を有する信号が車載ネットワークに流れることが判っているのであれば、当該第2の識別情報を含む信号を検出したときに給電条件が成立したと判断することにより、車両が当該特定の状態のときに外部機器への給電を行うことができるのでよい。第1の識別情報と第2の識別情報は、同一でもよく、異なってもよい。第1の識別情報と第2の識別情報が一定の関係があるものとするとよい。例えば、メーカーや車両の種類によっては、打診信号の識別番号に「8」を加算した識別番号の応答信号が出力される場合がある。そのようなメーカーや車両については、第1の識別情報に「8」を加算したものを第2の識別情報とするとよい。例えば、この一定の関係がある第2の識別情報を検出した場合には、給電条件が成立したと判断するとよい。この一定の関係のない第2の識別情報が検出された場合には、給電条件が成立したと判断しないとよい。
【0024】
<構成例4>
前記給電判断機能は、前記応答信号の識別情報の数に基づいて、給電条件を満たしたか否かの判断を行うことを特徴とする電源制御装置。
【0025】
このようにすれば、給電条件の成否判断の一層の容易化、的確化を図ることができるのでよい。例えば、車載ネットワークを流れる応答信号に含まれる識別情報の種類の数が一定数以上の場合に、給電条件が成立する方向での判断をするとよい。給電条件が成立する方向での判断は、構成例4の条件が成立したときに給電条件が成立したと判断してもよく、他の条件(例えば、構成例2,3の条件)を同時に満たしたときに給電条件が成立したと判断してもよい。例えば、特定の車種において、車両が特定の状態では、識別情報の個数又は種類の数が一定数以上になることが判っているのであれば、当該数が一定数以上のときに給電条件成立したと判断することにより、車両が当該特定の状態のときに外部機器への給電を行うことができるのでよい。
【0026】
<構成例5>
前記給電条件の設定を行うための給電条件設定機能と、
前記給電条件設定機能により設定された前記給電条件を記憶する設定条件記憶機能とを更に有し、
前記給電判断機能は、前記設定条件記憶機能に記憶された前記給電条件に基づいて、前記給電条件を満たしたか否かの判断を行うことを特徴とする電源制御装置。
【0027】
このようにすれば、給電条件の設定を行うことが可能になるのでよい。例えば、新規発売やモデルチェンジのために車載ネットワークの仕様(例えば、車両の状態等に応じてどのような信号が車載ネットワークに流れるのかの仕様)が変わった場合でも、条件設定機能を用いて当該新規発売等の車種の給電条件を設定できるので、多様な車種・メーカーの車両への柔軟な対応が可能になるのでよい。
【0028】
<構成例6>
前記給電条件設定機能は、ユーザの操作に基づいて、前記給電条件の設定を行うことを特徴とする電源制御装置。
【0029】
このようにすれば、ユーザが任意に給電条件の設定を行うことができるのでよい。例えば、新規発売の車種に電源制御装置を使用したい場合、ユーザは、当該新規発売の車種の給電条件を、例えば、電源制御装置のメーカーから入手し、給電条件設定機能を用いて当該給電条件を設定できるのでよい。入手の方法は、例えば、ウェブサイトからのダウンロードやSDカード等のメディアの配布等とするとよい。
【0030】
<構成例7>
前記給電条件設定機能は、ユーザが前記外部機器に対して行った操作に基づいて、前記給電条件の設定を行うことを特徴とする電源制御装置。
【0031】
このようにすれば、外部機器への操作により給電条件の設定を行い得るので、ユーザの利便性、操作性が向上するのでよく、また、電源制御機器が操作のための部材を有する必要が無いので電源制御機器の小型化、低コスト化を図り得るのでよい。外部機器は、液晶モニタ等の出力装置やタッチパネル等の入力装置等、操作を行うためのユーザインターフェイスを有するとよい。給電条件設定機能は、外部機器の出力装置に、給電条件の設定の入力を受け付けるための画面を表示させるとよい。電源端子は、ユーザから操作しにくい位置にあることが多く、一方、外部機器は、ユーザが操作し易い位置にある場合が多いので、特に電源制御装置を電源端子付近に設置する場合、構成例7では、ユーザは、操作し難い位置での操作を行わなくてよいのでよい。
【0032】
<構成例8>
車両が第1の状態のときに前記車載ネットワークを流れる信号に関する情報を記憶する第1情報記憶機能と、
車両が前記第1の状態と異なる第2の状態のときに前記車載ネットワークを流れる信号に関する情報を記憶する第2情報記憶機能と、
を更に有し、
前記給電条件設定機能は、第1情報記憶機能が記憶した情報と、第2情報記憶機能が記憶した情報に基づいて、前記給電条件を設定することを特徴とする電源制御装置。
【0033】
このようにすれば、第1情報記憶機能が記憶した情報と、第2情報記憶機能が記憶した情報に基づいて、給電条件を自動的に設定することが可能になるのでよい。例えば、第1の状態は、イグニッションオンの状態(例えば、イグニッションスイッチがIG位置)、第2の状態は、イグニッションオフの状態(イグニッションスイッチがOFF位置又はACC位置)とするとよい。
【0034】
第1情報記憶機能は、第1の状態のときに車載ネットワークを流れるすべての信号に関する情報を記憶するとよい。第2情報記憶機能は、第2の状態のときに車載ネットワークを流れるすべての信号に関する情報を記憶するとよい。特に第1の状態と第2の状態での記憶時間は同一の時間とするとよい。例えば、第1情報記憶機能の情報と第2情報記憶機能の情報との差分の情報を用いて給電条件を決定すると、給電条件の決定が容易になるのでよい。特に、第1情報記憶機能の情報と第2情報記憶機能の情報との差分の識別情報を用いて給電条件を決定すると、給電条件の決定が特に容易になるのでよい。具体的には、例えば、第2の状態のときに流れている全ての信号の識別情報から、第1の状態のときに流れている全ての信号の識別情報を除外したときに残った識別情報を使用することにするとよい。例えば、給電判断機能は、応答信号が上記の「残った識別情報」を含むときに、給電条件が成立したと判断するとよい。「残った識別情報」が複数になる場合も考えられるが、そのような場合は、例えば、周期の短い信号の識別情報を使用することにするとよく、このようにすれば、例えば、エンジンECUの信号が他の信号に比べて周期が短い車両であれば、エンジンECUがウエイクアップしているときに外部機器に給電する制御をより確実に行うことができるのでよい。ここでは、第1、第2情報記憶機能に記憶する情報として識別情報を使用する場合で説明したが、識別情報に変えて、他のパラメータ(例えば、データの内容)を使用してもよい。パラメータ、データの内容については、上記説明を参照されたい。
【0035】
例えば、電源制御装置は、(1)ユーザに対して車両を第1の状態(例えば、ACC)にすることを指示し、続いて、(2)車両を第1の状態にしたことの確認の操作をユーザに対して求め、(3)当該操作が検出されたときに車載ネットワークを流れる信号に関する情報を第1情報記憶機能に記憶し、更に、(4)ユーザに対して車両を第2の状態(例えば、イグニッションオンの状態)にすることを指示し、続いて、(5)車両を第2の状態にしたことの確認の操作をユーザに対して求め、(6)当該操作を検出したときに車載ネットワークを流れる信号に関する情報を第2情報記憶機能に記憶するといった方法で学習をさせるとよい。これらの指示の表示や操作の受け付け等は、外部装置を用いて行うと、電源制御装置を簡略化できるのでよい。例えば、(1)では、第1の状態で電源制御装置を車載ネットワークに接続することをユーザに指示し、及び/又は、(2)、(5)では、それぞれ、第1、第2の状態になったことを電源制御装置が自動検出すると、ユーザの操作がより容易になるのでよい。第2の状態になったことは、電源制御装置から車載ネットワークに打診信号を送信し、それに対する応答信号があったことにより判断するとよい。その他、上記手順は適宜変更が可能である。
【0036】
<構成例9>
複数の前記給電条件を記憶する給電条件記憶機能と、
前記給電条件記憶機能により記憶された前記給電条件のいずれかを選択する給電条件選択機能を更に有し、
前記給電判断機能は、前記給電条件選択機能が選択した前記給電条件に基づいて、前記給電条件を満たしたか否かの判断を行うことを特徴とする電源制御装置。
【0037】
このようにすれば、複数の給電条件のいずれかを選択でき、選択した給電条件が成立したときに外部機器への給電が行われるため、例えば、仕様(例えば、車両の状態等に応じてどのような信号が車載ネットワークに流れるのかの仕様)が異なる複数種類の車両に応じて、より柔軟に給電を制御できるのでよい。例えば、車種やメーカーにより、車両の状態を判別できる条件が決まっているのであれば、車種やメーカー毎の当該条件を給電条件として記憶しておき、車種やメーカーに応じて給電条件を選択できるようにすれば、複数種類の車種やメーカーの車両に対して、車両の状態に応じて外部機器への給電を行うことができるのでよい。給電条件選択機能は、複数の給電条件を選択可能にしてもよい。その場合、例えば、選択されたいずれか1つの給電条件が成立したときに給電を開始してもよく、選択された給電条件の全部又は2つ以上が成立したときに給電を開始してもよい。
【0038】
<構成例10>
1つ又は複数の前記給電条件に対応する1つ又は複数の第1切替状態と、1つ又は複数の第2切替状態のいずれかの条件を選択可能なスイッチと、
第1特別給電機能を更に有し、
前記スイッチがいずれかの前記第1切替状態の選択をした場合、前記給電判断機能が当該選択された前記第1切替状態に対応する前記給電条件が成立したと判断したときに、前記給電制御機能は、前記外部機器への給電を行い、
前記スイッチがいずれかの前記第2切替状態を選択した場合、前記第1特別給電機能は、前記給電判断機能による前記給電条件を満たしたか否かの判断とは無関係に前記車載電源から前記外部機器への給電を行うことを特徴とする電源制御装置。
【0039】
このようにすれば、ユーザは、スイッチを第2切替状態にすることにより、給電判断機能による成否判断とは無関係に、外部機器への電源供給を確保することができるのでよい。これにより、電源制御装置に給電条件が記憶又は設定されていない車両(例えば、新規発売の車種)で電源制御装置を使用する場合でも、ユーザは、スイッチを第2切替状態に切り替えることにより、外部機器への電源供給を確保することができるのでよい。よって、給電条件が記憶又は設定されていなから電源供給ができず、電源供給がされていないから給電条件を設定できないというジレンマを防止できるのでよい。スイッチは、例えば、DIPスイッチとするとよい。
【0040】
<構成例11>
前記給電制御機能による外部機器への電源供給が不可能な切断状態から、前記給電制御機能による外部機器への電源供給が可能な接続状態への移行があったときに、前記給電判断機能による前記給電条件を満たしたか否かの判断とは無関係に前記車載電源から前記外部機器への給電を行う第2特別給電機能を更に有することを特徴とする電源制御装置。
【0041】
このようにすれば、切断状態から接続状態に移行したときに、給電判断機能による成否判断とは無関係に、外部機器への電源供給を確保することができるのでよい。これにより、給電条件が条件記憶機能により記憶されていない車両(例えば、新規発売の車種や新規メーカーの車両)で電源制御装置を使用する場合でも、電源制御装置を切断状態から接続状態に移行させることで、外部機器への電源供給を確保することができるのでよい。よって、給電条件が設定されていなから電源供給ができず、電源供給がされていないから給電条件を設定できないというジレンマを防止できるのでよい。切断状態は、電源制御装置が車載ネットワークから切断された状態とし、接続状態は、電源制御装置が車載ネットワークに接続された状態とするとよい。切断状態から接続状態への移行は、例えば、電源制御装置のコネクタを車載ネットワークのコネクタに差し込むこととするとよい。この場合、接続状態の継続による電流消費を抑える為、数分程度のタイマーにより自動で切断状態に移行するとよい。またタイマー設定有効・無効もディップスイッチ等で選択可能とするとよい。切断状態はバッテリー切れの状態とし、接続状態はバッテリー切れでない状態としてもよい。
【0042】
構成例10及び/又は11(特に構成例5〜9のいずれかを引用する構成例10及び/又は11)では、給電判断機能による成否判断とは無関係に車載電源から外部機器への電源供給が行われているときに、給電条件設定機能が設定の操作を受け付けると、給電条件の設定が必要である蓋然性が高いときに、その設定が行われることとなり、ユーザの利便性が向上するのでよい。
【0043】
<構成例12>
前記打診信号が前記車載ネットワークに接続されたコンピュータを識別するための識別情報を含むことを特徴とする電源制御装置。
【0044】
このようにすれば、例えば、打診信号の識別情報により車載ネットワーク上のコンピュータを指定し、その指定したコンピュータが発出する応答信号に基づいて給電条件の成否判断を行うことができるのでよい。打診信号は、外部機器に電源を供給すべきに動作している車載ネットワーク上のコンピュータを識別するための識別番号を含むと、外部機器に電源を供給すべきときを的確に判断できるのでよい。例えば、エンジンECUを指定する識別情報を有する打診信号を使用し、エンジンECUからの応答信号があったときに給電条件が成立したと判断すると、エンジンECUがウエイクアップしているときに外部機器への給電を行う制御ができるのでよい。
【0045】
<構成例13>
前記打診機能は、前記車載ネットワークに前記打診信号を反復して送信し、
前記給電判断機能は、いずれかの前記打診信号の送信後に前記車載ネットワークを流れる前記応答信号に基づいて、遮電条件の成否判断を行い、
前記給電制御機能は、前記遮電判断機能が前記遮電条件が成立したと判断したときに、前記車載電源から外部機器への給電を遮断することを特徴とする電源制御装置。
【0046】
このようにすれば、応答信号に基づいて、車載電源から外部機器への給電を遮断する(例えば、給電を終了させる)ことが可能になるのでよい。例えば、応答信号を検出できない場合に給電を遮断するとよい。打診機能は、例えば、打診信号の送信後に車載ネットワークを流れる応答信号を検出したときに、打診信号を送信することを反復して実行するとよい。打診機能は、例えば、打診信号の送信後に一定時間内に車載ネットワークを流れる応答信号を検出したときに、打診信号を送信することを反復して実行するとよい。打診信号の反復の間隔は、一定時間とするとよい。車両の状態を適切に監視して適切な電源供給の制御を行うために、一定時間は、10ミリ秒〜1秒程度とするとよい。各打診信号は、同一構成(例えば、波形、周波数、振幅、パラメータ等が同一)の信号とするとよい。
【0047】
遮電条件は給電条件とは異なる条件とするとよい。給電判断機能は、例えば、特定のパラメータや識別番号の信号を検出できないときに遮電条件が成立を判断するとよい。給電判断機能は、例えば、特定のパラメータや識別番号の信号を一定時間以上検出できないときに遮電条件が成立を判断するとよい。遮電条件の成否判断のより具体的な態様は、給電条件の成否判断に関して上記したと同様又は類似の態様とするとよい。
【0048】
<構成例14>
車載ネットワークの信号を常時検査する常時検査機能と、
前記常時検査機能が検出した信号に基づいて、車両の状態を判断する車両状態判断機能と、
前記車両状態判断機能の判断に基づいて、前記車載電源から外部機器への給電を制御する第2給電制御機能を有することを特徴とする電源制御装置。
【0049】
このようにすれば、車載ネットワークの信号に基づいて判断される車両の状態に応じて外部機器への給電を制御できるのでよい。車両状態判断機能は、例えば、車載ネットワークの信号のパラメータ(例えば、データ内容、識別情報、識別情報の数等)に基づいて車両の状態を判断するとよい。例えば、車両が特定の状態(例えば、イグニッションオンの状態)のときのみ特有のパラメータを含む信号が車載ネットワークに流れることが判っているのであれば、当該パラメータを含む信号を検出したときに、第2給電制御機能が外部機器への給電を行うことで、車両が特定の状態のときに外部機器への給電を行うことが可能になるのでよい。また、当該パラメータを含む信号を検出しないときに、外部機器への給電を遮断することで、車両が特定の状態ではないときには、外部機器への給電を遮断することが可能になるのでよい。このようにすれば、輸入車や最近の車両など、イグニッションオフの状態になった後も暫くの間は、外部からの信号に応答する車両であっても、イグニッションオフの状態のときには、給電を遮断できるのでよい。また、アイドリングストップ車において、交差点等でアイドリングストップしても、イグニッションオンの状態である限り給電が行われるので、アイドリングストップの都度、外部機器の電源が切れてしまう問題も解消できるのでよい。常時検査としては、車載ネットワークの信号を常時検査するとよい。例えば、車載電源のノイズを検出したかどうかとは無関係に、車載ネットワークの信号を検査するとよい。
【0050】
構成例14の発明は、構成例1〜13のいずれかを引用する構成例であってもよく、構成例1〜13のいずれも引用しない独立の構成例であってもよい。構成例1を引用しない構成例14は、打診信号の送信が不要であり、打診信号によるコンピュータのウエイクアップのために電流消費量が増加する問題を確実に防止できるのでよい。
【0051】
<構成例15>
前記電源制御装置は、
前記車載ネットワーク及び前記外部機器との間での情報の通信を制御する通信プログラムと、
プログラム更新機能と、
を有し、
前記外部機器は、外部から更新情報の入力を受けるための更新情報入力機能と、前記電源制御装置から受信した情報を表示するための表示プログラムを有し、
前記更新情報入力機能が前記更新情報の入力を受けたときに、前記プログラム更新機能は、前記通信プログラムと前記表示プログラムをセットで更新することを特徴とする電源制御装置。
【0052】
このようにすれば、車載ネットワークからの情報の取得と、その情報の表示のためのプログラムをセットで更新できるのでよい。例えば、電源制御装置が車載ネットワークからエンジン回転数、車速、水温の情報を取得して外部機器に提供し、当該外部機器がこれらエンジン回転数、車速、水温の情報を表示する場合、外気温の情報を追加で表示させるための更新情報を用いることで、電源制御装置が車載ネットワークからエンジン回転数、車速、水温、外気温の情報を取得して外部機器に提供し、当該外部機器がこれらエンジン回転数、車速、水温、外気温の情報を表示するように、通信プログラム及び表示プログラムをセットで更新できるようにするとよい。
【0053】
更新情報は、通信プログラム及び表示プログラムの更新を行うための指令、プログラム及び/又はデータとするとよい。更新情報は、例えば、電源制御装置のメーカーのウェブサイトからダウンロードする等の形態で提供するとよい。更新情報入力機能は、例えば、有線又は無線で外部から外部機器に更新情報の入力を行う機能とするとよい。例えば、更新情報を記憶したSDカード等のメディアを外部機器に装着することで、更新情報の入力を行い得るようにするとよい。
【0054】
構成例15では、電源制御装置がプログラム更新機能を有するが、プログラム更新機能は、外部機器が有してもよく、それら以外の装置・機器が有してもよい。例えば、構成例15の変形形態の構成例として、下記構成例15’とするとよい。
<構成例15’>
前記車載ネットワークと前記外部機器の間での情報の通信を制御する通信プログラムを有する構成例1〜14のいずれかの電源制御装置と、
外部から更新情報の入力を受けるための更新情報入力機能と、前記電源制御装置から受信した情報を表示するための表示プログラムを有する外部機器と、
プログラム更新機能と
を有し、
前記更新情報入力機能が前記更新情報の入力を受けたときに、前記プログラム更新機能は、前記通信プログラムと前記表示プログラムをセットで更新する
ことを特徴とするシステム。
【0055】
<構成例16>
請求項1〜15及び15’のいずれかに記載の電子機器の機能をコンピュータに実現させるためのプログラム。
【0056】
上述した各構成例等に記載の構成は矛盾の生じない範囲で組み合わせて構成するとよい。また各構成例等に記載の構成要素を矛盾の生じない範囲で任意組み合わせてあらたな構成例を構成するとよい。