特許第6883318号(P6883318)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6883318
(24)【登録日】2021年5月12日
(45)【発行日】2021年6月9日
(54)【発明の名称】粉粒体の定量フィーダ装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 65/48 20060101AFI20210531BHJP
【FI】
   B65G65/48 D
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-35603(P2017-35603)
(22)【出願日】2017年2月28日
(65)【公開番号】特開2018-140856(P2018-140856A)
(43)【公開日】2018年9月13日
【審査請求日】2020年2月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】508038806
【氏名又は名称】株式会社アイシンナノテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100159628
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 雅比呂
(72)【発明者】
【氏名】月原 信夫
(72)【発明者】
【氏名】山根 穣
(72)【発明者】
【氏名】豊田 敦史
【審査官】 松江川 宗
(56)【参考文献】
【文献】 特表平10−502603(JP,A)
【文献】 特開昭59−097913(JP,A)
【文献】 特開2012−072491(JP,A)
【文献】 特開平09−086670(JP,A)
【文献】 特開2006−082963(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 65/30−65/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉粒体が投入される収容容器と、
収容容器から供給された粉粒体を回転搬送する円盤であり、回転中心側から周縁側になるにしたがって高さが低くなる斜面と、斜面に形成された複数の突起とを有する円錐台形状の供給盤と、
供給盤が収容される底を有する筒形状であり、供給盤の外側に相当する底の一部に排出孔が形成された収容部とを備え
供給盤は、周縁に等間隔に形成された羽根を有し、
羽根は、斜面に周縁から回転中心側に向うに従い幅が狭くなる凹みが周縁沿って等間隔にあることで形成された先端になるに従い幅が狭くなる三角形状である粉粒体の定量フィーダ装置。
【請求項2】
突起は、一端が斜面の上端に位置し他端が斜面の下端に位置する棒状であり、羽根の三角形状の周縁側の頂点に向かって延設されている請求項1に記載の粉粒体の定量フィーダ装置。
【請求項3】
羽根は、三角形状のうち供給盤の回転方向に沿った辺の中央と供給盤の中心とを通る仮想線よりも、三角形状のうち周縁側の頂点が供給盤の回転方向前方にずれて配置されている請求項1または2に記載の粉粒体の定量フィーダ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉粒や粉体よりも大きい粒体、若しくは、粉体と粒体が混ざり合ったもの(以下、これらを総称して粉粒体という)を定量供給するための定量フィーダ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、粉粒体を定量供給することは、その粉粒体の物性、例えば、比重、粒子、粒度の相違、水分や静電気に起因する付着性や凝集性に影響を受け、非常に困難な作業となっている。
【0003】
このような課題に対し、出願人は、特許文献1に示すような粉粒体の定量フィーダ装置を開発した。この装置を図9に示す。なお、特許文献1中の符号については、括弧を付して示す。図9に示すように、特許文献1の定量フィーダ装置は、粉粒体の収容容器(2)を有し、その収容容器(2)の下方に設置された駆動部と、その駆動部と連動される回転軸(23)に取り付けられ、粉粒体を回転搬送する供給盤(20)と、その供給盤(20)の外方端下に形成された排出シュート(7)を有している。供給盤(20)は、回転中心側から周縁側になるにしたがって高さが低くなる斜面を有する円錐台形状となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−246111号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、定量供給の対象となる粉粒体は様々であり、粉粒体の種類によっては、粉粒体が供給盤(20)の上に残留し、排出シュート(7)から排出されないものがある。例えば、粉粒体がビーズのように丸い粒状で軽量な場合には、粉粒体が供給盤(20)上で飛び跳ねて回転搬送されずに、排出シュート(7)へ排出されない。このような場合には、正確な定量供給ができない。
【0006】
本発明は、このような問題に対してなされたものであり、安定的に粉粒体を供給盤から排出シュートに搬送することにより、正確な定量供給を可能とする粉粒体の定量フィーダ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記のような目的を達成するために、以下のような特徴を有している。
[1] 粉粒体が投入される収容容器と、
収容容器から供給された粉粒体を回転搬送する円盤であり、回転中心側から周縁側になるにしたがって高さが低くなる斜面と、斜面に形成された複数の突起とを有する供給盤と、
供給盤が収容される底を有する筒形状であり、供給盤の外側に相当する底の一部に排出孔が形成された収容部とを備えた粉粒体の定量フィーダ装置。
【0008】
[2] 突起は、点状、もしくは一端が斜面の上端に位置し他端が斜面の下端に位置する棒状である[1]に記載の粉粒体の定量フィーダ装置。
[3] 供給盤は、周縁に等間隔に形成された羽根を有する[1]または[2]に記載の粉粒体の定量フィーダ装置。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態1に係る粉粒体の定量フィーダ装置の全体構成を示す断面図である。
図2】本発明の実施の形態1に係る粉粒体の定量フィーダ装置の定量部を示す平面図である。
図3】本発明の実施の形態1に係る粉粒体の定量フィーダ装置の供給盤を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)は側面図である。
図4】本発明の実施の形態2に係る粉粒体の定量フィーダ装置の供給盤を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)は側面図である。
図5】本発明の実施の形態3に係る粉粒体の定量フィーダ装置の供給盤を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)は側面図である。
図6】本発明の実施の形態4に係る粉粒体の定量フィーダ装置の供給盤を示す図であり、(a)は側面図、(b)は斜視図である。
図7】本発明の実施の形態5に係る粉粒体の定量フィーダ装置の供給盤を示す図であり、(a)は側面図、(b)は斜視図である。
図8】従来の粉粒体の定量フィーダ装置の定量部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付した図面を参照し、本発明の実施の形態に係る粒体の定量フィーダ装置について説明する。
【0011】
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の形態1に係る粉粒体の定量フィーダ装置の全体構成を示す断面図である。この粉粒体の定量フィーダ装置は、粉粒体の投入口1が開口された粉粒体の収容容器(ホッパー)2、粉粒体の定量を行う定量部(後述する)が設置されたディスクフレーム10、および粉粒体の定量部を駆動するモータ8を有している。収容容器2、ディスクフレーム10およびモータ8は、架台9の上に設置されている。
【0012】
図1では、収容容器2は、ブリッジ防止を目的としてストレートな円筒形としているが、収容容器2は、下方になるに従って径が小さくなるようなコーン状としてもよい。
【0013】
収容容器2の内部には、攪拌軸11の一部として、略L字状の丸棒からなる攪拌棒3が取り付けられている。攪拌棒3は、攪拌軸11と同期回転することで、収容容器2内の粉粒体が、ブリッジや収容容器2の内側側面に付着しないように機能する。攪拌軸11の下端側には、後述する供給盤5に定量の粉粒体を送り、供給するための供給手段4が取り付けられている。
【0014】
攪拌棒3の下方には収容容器2の内壁面とやや隙間を設けて半月形の仕切板12が設けられている。仕切板12は、隔壁として収容容器(ホッパー)2内部と、その下方に設置された粉粒体の供給手段4とを分離している。仕切板12は、供給手段4に供給する粉圧を一定に保ち、収容容器2内部の材料の残量の変化に伴う供給量の変動を最小限に抑えより精度良く定量供給を可能にするように機能する。
【0015】
図2は、本発明の実施の形態に係る粉粒体の定量フィーダ装置の定量部を示す平面図である。定量部は、供給手段4および供給盤5を有している。供給手段4および供給盤5は、モータ8により駆動されている。供給盤5は、底のある筒状の収容部21に収容されている(図1参照)。収容部21の供給盤5の外側に相当する底の一部には、排出孔21aが形成されている。排出孔21aは、供給手段4より粉粒体が供給される部分に対し、供給盤5が半回転した位置に設けられている。排出孔21aの下には排出シュート7が連結されている。
【0016】
供給手段4は、攪拌軸11の中心に対し、等間隔に設けられた複数の羽根4a、4a‥を有している。供給手段4は、平面視において収容部21と一部が重複するように配置されており、供給手段4の羽根4a、4a‥の先端が収容部21の上面と摺接するように配置されている。供給手段4は、回転することにより、供給手段4の上部に配置されている収容容器2から粉粒体の落下を促進させ、供給盤5が配置された収容部21へ粉粒体を送り込む。
【0017】
供給盤5は、供給手段4から搬送された粉粒体を回転搬送する円盤であり、回転中心O(図3(b)参照)側から周縁側になるにしたがって高さが低くなる斜面5bと、斜面5bに形成された突起5a、5a‥と、回転軸と係合する軸孔5cを有している。なお、本発明において、突起5aとは、斜面5bに対し、回転軸から離れる方向に凸の部分を示す。
【0018】
このように構成された定量部では、供給手段4の羽根4a、4a‥で送られた粉粒体が逐次供給盤5が収容された収容部21に送られる。粉粒体は、収容部21内において供給盤5の回転により、排出孔21aの位置まで回転搬送され、排出孔21aを介して排出シュート7から排出される。
次に、実施の形態1に係る粉粒体の定量フィーダ装置の供給盤5の形状について詳細に説明する。
図3(a)は、本発明の実施の形態1に係る粉粒体の定量フィーダ装置の供給盤を示す斜視図であり、(b)は平面図、(c)は側面図である。
【0019】
前述のとおり、供給盤5は、複数の突起5aと、斜面5bと、軸孔5cを有している。図3(c)に示すように、斜面5bは、上から下まで傾斜が等しく形成されている。なお、供給盤5の高さは、収容部21に収まる高さであれば任意の高さとすることができる。
【0020】
実施の形態1では、突起5aの形状は棒状である。棒状の突起5aは、図3(a)および(b)に示すように、一端が斜面5bの上端に位置し、他端が斜面5bの下端に位置する。突起5aは、供給盤5の斜面5bに回転方向に等間隔に設置されている。換言すれば、突起5aは、供給盤5上に放射状に配置されている。図3(c)に示すように、棒状の突起5aは、断面視において上に円弧を有するかまぼこ形状を有している。突起5aは、平らな面において斜面5bに接し、球面において粉粒体と接するように配置されている。
【0021】
このように、本発明では、供給盤5に、突起5aと斜面5bを組み合わせて設置することを1つの特徴としている。供給盤5に、複数の突起aを形成して供給盤5の表面に凹凸を作ることで、供給盤5の回転時に、凹んだ部分に粉粒体を引っ掛けて回転搬送することができる。これにより、粉体がビーズのように粒状で軽量で供給盤5上で飛び跳ねてしまうような場合にも、凹んだ部分に粉粒体を周方向に固定して回転搬送することができる。また、供給盤5に斜面5bを形成することで、突起5aによって周方向に固定された粉粒体を、斜面5bに沿って、上から下へ、かつ、回転中心(O)側から周縁側へ移動させて、排出シュート7へ順次誘導することができる。
【0022】
このように、本発明では、供給盤5に突起5aと斜面5bを組み合わせて設置することで、粉粒体が堆積したままとなる状態を回避して、供給盤から安定的に粉粒体を排出シュートに搬送することにより、正確な定量供給を可能とすることができる。
【0023】
なお、実施の形態1では、突起5aを断面視においてかまぼこ形状と説明したが、断面視において矩形などの任意の多角形状を有するように構成してもよい。また、図3では、同じ棒状の突起5aが周方向に同じ高さに配置されているが、異なる長さの棒状の突起5aを配置するように構成してもよい。
【0024】
なお、本発明の供給盤は、斜面と突起を有していれば、どのように構成してもよい。突起の数、突起の高さや配置は粉粒体に応じて任意に設計することができる。以下の実施の形態では、本発明を実現することができる供給盤の他の形状について説明する。
【0025】
[実施の形態2]
図4は、本発明の実施の形態2に係る粉粒体の定量フィーダ装置の供給盤を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)は側面図である。なお、以下の実施の形態では、供給盤以外の構成は実施の形態1と略同一であるため、他の構成については説明を省略する。
【0026】
実施の形態2の供給盤51は、複数の突起51a、斜面51bおよび軸孔51cを有している。斜面51bは実施の形態1と同様に、上から下まで傾斜が等しく形成されている。実施の形態2では、複数の突起51aは点状である。突起51aは、図4(c)に示すように、半球形状を有している。突起51aは、平らな面において斜面5bに接し、球面において粉粒体と接するように配置されている。
【0027】
図4(b)に示すように、突起51aは、供給盤51の斜面51b上に千鳥に配置されている。点状の突起51aは、任意の配置とすることができ、例えば、斜面51bに放射状に並べてもよい。
【0028】
実施の形態4では、突起51aを、例えば、ビーズのように丸い粒状の粉粒体と近似した形状に形成して配置しておくことで、粉粒体を整列させて、定量供給の精度を向上させることができる。
【0029】
[実施の形態3]
図5は、本発明の実施の形態3に係る粉粒体の定量フィーダ装置の供給盤を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)は側面図である。実施の形態3では、実施の形態1の供給盤に加えて、供給盤の周縁に羽根が形成されている。実施の形態3の供給盤52は、複数の突起52a、斜面52b、軸孔52cおよび羽根52dを有している。それぞれの羽根52dの形状は、先端になるに従い幅が狭くなる三角形である。また、羽根52dの中心線を点線で示し、供給盤5の回転方向を点線矢印で示すと、供給盤5の羽根52dは、供給盤52の回転方向前方にずれて配置されている(実線矢印参照)。
【0030】
実施の形態3では、さらに供給盤52の周縁に羽根52dを形成することで、羽根52dと羽根52dの間に粉粒体を引っ掛けて粉粒体を回転搬送することができる。これにより、さらに、供給盤52上に粉粒体が堆積することを防止し、安定的に粉粒体を排出シュート7へ回転搬送することができる。
【0031】
また、羽根52dの先端を、供給盤52の回転方向前方にずらして配置している。これにより、羽根52dの回転方向前方への粉粒体を押し出す力が強まり、より収容部21の周縁側に粉粒体を回転搬送しやすくなる。
【0032】
[実施の形態4]
図6は、本発明の実施の形態4に係る粉粒体の定量フィーダ装置の供給盤を示す図であり、(a)は側面図、(b)は斜視図である。この供給盤53は、突起53a‥、斜面53bおよび軸孔53cを有している。実施の形態1では、供給盤5の斜面5bの角度は、上から下まで一定であったが、実施の形態4では、斜面53bの角度が、下方になるにしたがって緩やかになるように変化している。このように、斜面の傾きは粉粒体の種類に応じて種々変更することができる。
【0033】
[実施の形態5]
図7は、本発明の実施の形態5係る粉粒体の定量フィーダ装置の供給盤を示す図であり、(a)は側面図、(b)は斜視図である。この供給盤54は、突起54a‥、斜面54bおよび軸孔54cを有している。実施の形態5では、実施の形態4とは逆に、斜面54bの角度が、下方になるにしたがって急になるように変化している。
【0034】
このように、本発明の供給盤は、突起と斜面を有していれば、種々設計変更可能である。また、実施の形態1〜5の要素を組み合わせて実施することもできる。なお、本発明の供給盤は、収容部21のみならず、収容容器2の底部に設置することもできる。
【符号の説明】
【0035】
2 収容容器
4 供給手段
5、51、52、53、54 供給盤
7 排出シュート
8 モータ
9 架台
10 ディスクフレーム

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8