(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6883321
(24)【登録日】2021年5月12日
(45)【発行日】2021年6月9日
(54)【発明の名称】骨格材止め部材
(51)【国際特許分類】
A01G 9/14 20060101AFI20210531BHJP
【FI】
A01G9/14 P
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-79293(P2017-79293)
(22)【出願日】2017年4月12日
(65)【公開番号】特開2018-174800(P2018-174800A)
(43)【公開日】2018年11月15日
【審査請求日】2020年4月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】597088591
【氏名又は名称】佐藤産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116573
【弁理士】
【氏名又は名称】羽立 幸司
(72)【発明者】
【氏名】富森 篤範
【審査官】
坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】
登録実用新案第3028506(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3028233(JP,U)
【文献】
英国特許出願公告第1532701(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 9/14
E04G 7/08
E04G 7/12
E04H 15/34
F16B 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビニールハウスのシートを止めるシート止め部材に連結し、前記ビニールハウスの骨格材に係合する骨格材止め部材であって、
前記シート止め部材に連結し、その断面が略コの字型の第1部材と、
その断面が略コの字型の部材であって、前記第1部材と連結して、前記第1部材と共に連結した内側により前記骨格材の外周を囲むことが可能な第2部材と、
前記第2部材に螺合し、螺合による固定度の調節が可能であって、その先端を前記骨格材に当接して前記骨格材を前記第1部材に圧接させて、前記シート止め部材及び前記骨格材止め部材を前記骨格材に固定する固定手段とを備え、
前記第1部材又は前記第2部材の両側面部にはそれぞれ切欠きが形成されており、
前記第2部材又は前記第1部材の両側面部には前記各切欠きに引っ掛けるフック部が形成されており、
前記固定手段は、前記螺合により前記各切欠きと前記各フック部の係合度も調節可能であって、前記係合度を大きくして前記第1部材と前記第2部材とを連結する、骨格材止め部材。
【請求項2】
前記各フック部の先端の向きが同じ方向に伸びていることを特徴とする、請求項1記載の骨格材止め部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨格材止め部材に関し、特に、ビニールハウスのシートを止めるシート止め部材に連結し、ビニールハウスの骨格材(パイプ)に係合する骨格材止め部材に関する。
【背景技術】
【0002】
今までのビニールハウスのシートを止めるシート止め部材に連結し、ビニールハウスの骨格材(パイプ)に係合する骨格材止め部材としては、特許文献1に記載のものがある。
【0003】
上記では、シート止め部材としては、上段溝と下段溝とを備えたE字断面の条材と、この条材の上段溝に一方のシートの端部を押込み、下段溝に他のシートの端部を押込む横向きU字断面のストッパとから構成されている。そして、骨格材止め部材としては、条材をビニールハウスの骨格材(パイプ)に係止めするアタッチメントが挙げられ、そのアタッチメントは、具体的には、くさびによって係止めするものが示されている。
【0004】
以下、図を用いて、さらに説明する。
【0005】
図9は従来の「くさび」を用いた骨格材止め部材としてのアタッチメントと骨格材としてのパイプとアタッチメントに連結してシートを止めるシート止め部材との三者の関係を示した図である。
図10は
図9のXの方向から見た図である。
【0006】
図9を参照して、シートを止めるシート止め部材51にはアタッチメント53が連結している。アタッチメント53は、パイプ52に止められるパイプ止め部材であり、シート止め部材51に繋がる断面が略コの字状の第1部材55と、第1部材55の両側面部に下方位置に形成された両方の穴に挿入されるくさび57とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−337180号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、アタッチメントに「くさび」を用いたものは、風雨で緩み易い面があるばかりか、緩みが大きくなりすぎると外れてしまう恐れがあることに加え、骨格材(パイプ)がビニールハウスの形状に合わせて様々に曲がっており、特にその曲がったカーブ部分は一直線に延びる「くさび」ではしっかり固定できない場合があった。その結果、シート止め部材も緩み、シートがめくれる等の問題が起こっていた。
【0009】
ゆえに、本発明は、骨格材(パイプ)がビニールハウスの形状に合わせて様々な径を描いて曲がったカーブであってもしっかりと固定できるとともに、緩んだとしても外れてしまうことを極力抑え、その後の再度の固定を容易にして、シートがめくれる等が発生することを極力防止したビニールハウスの骨格材に係合する骨格材止め部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の観点は、ビニールハウスのシートを止めるシート止め部材に連結し、前記ビニールハウスの骨格材に係合する骨格材止め部材であって、前記シート止め部材に連結し、その断面が略コの字型の第1部材と、その断面が略コの字型の部材であって、前記第1部材と連結して、前記第1部材と共に連結した内側により前記骨格材の外周を囲むことが可能な第2部材と、前記第2部材に螺合し、螺合による固定度の調節が可能であって、その先端を前記骨格材に当接して前記骨格材を前記第1部材に圧接させて、前記シート止め部材及び前記骨格材止め部材を前記骨格材に固定する固定手段とを備えたものである。
【0011】
このように、螺合を用いた固定手段により、風雨等にも緩みにくく、ビニールハウスの形状に合わせて様々な径を描いて曲がったカーブであっても螺合の度合いをそれぞれに合わせて固定度を調整できる。
【0012】
本発明の第2の観点は、第1の観点において、前記第1部材又は前記第2部材の両側面部にはそれぞれ切欠きが形成されており、前記第2部材又は前記第1部材の両側面部には前記各切欠きに引っ掛けるフック部が形成されており、前記固定手段は、前記螺合により前記各切欠きと前記各フック部の係合度も調節可能であって、前記係合度を大きくして前記第1部材と前記第2部材とを連結するものである。
【0013】
このように、螺合による調節により各切欠きと各フック部との係合度が大きくなり、骨格材の固定をしっかりしたものにできるとともに、それと同時に第1部材と第2部材との連結もしっかりしたものとできる。
【0014】
本発明の第3の観点は、第2の観点において、前記各フック部の先端の向きが同じ方向に伸びていることを特徴とするものである。
【0015】
このように、向きを揃えたことで、切欠きとフック部との係合関係を組み立ての現場で容易に行えるともに、第1部材の両側面部の幅の間隔と第2部材の両側面部の幅の間隔を同じものとすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の第1の観点によれば、螺合を用いた固定手段により、風雨等にも緩みにくく、ビニールハウスの形状に合わせて様々な径を描いて曲がったカーブであっても螺合の度合いをそれぞれに合わせて固定度を調整でき、パイプ(骨角材)への止めが確実に行われ、それによりビニールハウスのシートを止めるシート止め部材もしっかり固定され、シートがめくれる等の発生を極力防止したものとできる。加えて、螺合による再度の固定を容易にして、シートがめくれる等の発生を事前に予防するものとできる。
【0017】
本発明の第2の観点によれば、螺合による調節により各切欠きと各フック部との係合度を大きくでき、骨格材への固定をしっかりしたものにできるとともに、それと同時に第1部材と第2部材との連結もしっかりしたものとできるので、第1部材と第2部材との一体化が図られ、骨格材との関係での緩みがより生じ難いものとできる。
【0018】
本発明の第3の観点によれば、向きを揃えたことで、切欠きとフック部との係合関係を組み立ての現場で容易に行えるともに、第1部材の両側面部の幅の間隔と第2部材の両側面部の幅の間隔を同じものとすることができる。そして、第1部材と第2部材との一体化が図られるとともに側面部の強度を大きくでき、骨格材との関係での固定をより大きくしていくことができる。また、組み立てた後の経年変化等を経て、仮に取り換える必要がある場合には、螺合を緩めれば、第1部材と第2部材とを簡単に分離して、新たなものを簡単に取り付けることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施の形態にかかる骨格材止め部材としてのアタッチメントを説明するための図であって
図9に対応する図である。
【
図2】本発明の実施の形態にかかる骨格材止め部材としてのアタッチメントを説明するための図であって
図1のII方向から見た
図10に対応する図である。
【
図6】
図3の第2部材を取り付けて
図1及び
図2の状態にすることを説明するための図である。
【
図7】
図6に示したアタッチメントを4方向から見た図である。
【
図8】
図1に示したアタッチメントがビニールハウスに取り付ける状況を説明するための図である。
【
図9】従来の「くさび」を用いた骨格材止め部材としてのアタッチメントと骨格材としてのパイプとアタッチメントに連結してシートを止めるシート止め部材との三者の関係を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0021】
図1は本発明の実施の形態にかかる骨格材止め部材としてのアタッチメントを説明するための図であって
図9に対応する図である。
図2は本発明の実施の形態にかかる骨格材止め部材としてのアタッチメントを説明するための図であって
図1のII方向から見た
図10に対応する図である。
図3は
図1及び
図2の第2部材を示した斜視図である。
図4は
図3の第2部材を6方向から見た図である。
図4(A)は
図3のIVAの方向から見た図であり、
図4(B)は
図3のIVBの方向から見た図であり、
図4(C)は
図3のIVCの方向から見た図であり、
図4(D)は
図3のIVDの方向から見た図であり、
図4(E)は
図3のIVEの方向から見た図である。なお、
図3のIVCの方向とは反対から見た図は
図4(C)と対称であり、省略する。
図5は
図3のV−Vライン断面図である。
図6は
図3の第2部材を取り付けて
図1及び
図2の状態にすることを説明するための図である。
図7は
図6に示したアタッチメントを4方向から見た図である。
図7(A)は
図6のVIIAの方向から見た図であり、
図7(B)は
図6のVIIBの方向から見た図であり、
図7(C)は
図6のVIICの方向から見た図であり、
図7(D)は
図6のVIIDの方向から見た図である。
【0022】
図1及び
図2を参照して、
図9及び
図10に示すように、シートを止めるシート止め部材51があり、このシート止め部材51には骨格材止め部材としてのアタッチメント1が連結する。アタッチメント1は、シート止め部材51に連結する断面が略コの字状の第1部材3と、第1部材3と連結する断面が略コの字状の第2部材5と、固定手段としてのボルト7とを備える。
【0023】
第2部材5は、第1部材3と連結して、第1部材3と共に連結した内側により共に骨格材であるパイプ52の外周を囲むことが可能なものである。固定手段としてのボルト7は、第2部材5に螺合し、その螺合による固定度の調節が可能であって、その先端部7aをパイプ52に当接させ、パイプ52を第1部材3に圧接してシート止め部材51及びアタッチメント1をパイプ52に固定することが可能なものとなっている。
【0024】
図3〜
図5を参照して、第2部材5は、互いに対向して向き合う平板状の側面部5aと側面部5bを有している。側面部5aにはその上部の中央位置にフック部5cが形成され、側面部5bにはその上部の中央位置にフック部5dが形成されている。フック部5cの先端がのびている方向は内側であり、フック部5dの先端がのびている方向は外側であり、両フック部の先端がのびている方向は同じ向きになっている。なお、このフック部5cとフック部5dが係合するように、第1部材3の側面部にはそれぞれ切欠きが形成されている(
図1、
図2、
図6及び
図7参照)。側面部5aと側面部5bは平板状の四角形の底部5eの向かい合う2辺から上方にのびており、底部5eの中央位置にはボルトが螺合する螺合部5fが形成されている。
【0025】
このようにして、螺合を用いた固定により、風雨等にも緩みにくく、ビニールハウスの形状に合わせて様々な径を描いて曲がったカーブであっても螺合の度合いをそれぞれに合わせて固定度を調整でき、パイプ(骨角材)への止めが確実に行われ、それによりビニールハウスのシートを止めるシート止め部材もしっかり固定され、シートがめくれる等の発生を極力防止したものとできる。加えて、螺合による再度の固定を容易にして、シートがめくれる等の発生を事前に予防するものとできている。
【0026】
図6及び
図7を参照して、第2部材5を第1部材3に取り付けることを説明する。まず、第2部材5のフック部5cを第1部材3の切欠き3aに引っ掛け、第2部材5のフック部5を第1部材3の切欠き3bに引っ掛ける。そして、ボルトを締めていくことによる螺合により、ボルト7の先端部7aが
図1及び
図2に示すようにパイプ52に当たり、パイプ52が第1部材3に当接する。さらに締めていくことによってパイプ52が第1部材3に圧接すると同時に、第2部材5のフック部5cと第1部材3の切欠き3aとの係合及び第2部材5のフック部5と第1部材3の切欠き3bとの係合がよりしっかりしたものとなっていく。これにより、第1部材3と第2部材5との強固な連結が行われるとともに、一体化した第1部材3及び第2部材5とによるアタッチメント1がパイプ52にしっかりと固定され、アタッチメント1連結するシート止め部材51もパイプ52にしっかりと固定される。
【0027】
加えて、
図6に示すように、向きを揃えたことで、切欠きとフック部との係合関係を組み立ての現場で容易に行えるともに、第1部材3の両側面部の幅の間隔と第2部材の両側面部の幅の間隔を同じものとすることができる(
図6のL)。そして、第1部材3と第2部材5との一体化が図られるとともに側面部の強度を大きくでき、骨格材との関係での固定をより大きくしていくことができている。また、組み立てた後の経年変化等を経て、仮に取り換える必要がある場合には、螺合を緩めれば、第1部材3と第2部材5とを簡単に分離して、新たなものを簡単に取り付けることもできるものとなっている。
【0028】
図8は
図1に示したアタッチメントがビニールハウスに取り付ける状況を説明するための図である。
図8(A)はビニールハウスの骨格材(パイプ)でできた骨格全体を示した斜視図であり、
図8(B)は
図8(A)のA部分の拡大図であり、
図8(C)は
図8(A)のVIIIの方向から見た図であり、図(D)は
図8(C)のB部分を拡大した図である。
【0029】
図8に示すようなパイプ52がカーブで曲がった位置にアタッチメント1を取り付けることができる。なお、
図8で、図中の符号11は谷樋である。
【0030】
なお、上記では、第1部材3に切欠きを設け、第2部材5にフック部を設けたが、逆であってもよい。さらに、第1部材3に切欠きとフック部を設け、第2部材にフック部と切欠きを設けるような組み合わせであってもよい。
【0031】
また、上記では、第1部材3の両側面部の幅の間隔と第2部材5の両側面部の幅の間隔とを同じものとしたが、切欠きとフック部とを用いるかを問わず、連結できるならば、第1部材3の両側面部の内側に第2部材5の両側面部の外側が位置する関係でもよく、その逆の関係であってもよい。
【符号の説明】
【0032】
1・・・アタッチメント、3・・・第1部材、5・・・第2部材、7・・・ボルト