【実施例】
【0022】
以下、試験例などにより本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらによりなんら限定されるものではない。なお、本実施例における説明及び表中の各成分の含有量を示
す%は重量%で示されているものとする。
【0023】
1.高甘味度甘味料水溶液に対する異味改善効果の確認試験
本実施例においては、甘味料のうちでも特に異味が感じられやすい、食品添加物、若しくは人工甘味料であって、砂糖よりも甘味が強い甘味料(以下、高甘味度甘味料という場合がある。)を選択し、当該高甘味度甘味料に由来する異味に対する異味改善効果を確認試験により検証した。
【0024】
(1)被検試料
甘味料用異味改善剤として、バラ抽出物(丸善製薬(株)社製ローズバッツエキスパウダーMF)10%、シクロデキストリン(日本食品化工(株)社製セルデックスB−100)45%、及び賦形剤としてデキストリン(松谷化学工業(株)社製マックス1000)45%を粉体混合して顆粒化したバラ抽出物製剤を100%となるように調製した。当該バラ抽出製剤を実施例用の被検試料に用いた。また、比較例用の被検試料には、前記バラ抽出物、又は前記シクロデキストリンのいずれかを使用した。
【0025】
(2)供試飲料
下記表1,2,3および4に示した処方に従って、高甘味度甘味料配合水溶液を調製した。具体的には、各高甘味度甘味料及び被検試料を水に投入後、完全溶解したものを供試飲料として使用した。なお、アセスルファムKは、ニュートリノヴァ・ジャパン(株)製の「サネット」、スクラロースは三栄源エフ・エフ・アイ(株)製の「スクラロース」、アスパルテームは味の素(株)製の「PAL SWEET DIET」、ステビア抽出物は守田化学工業(株)製の「レバウディオJ−100」を使用した。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
【表3】
【0029】
【表4】
【0030】
(3)評価結果
〔高甘味度甘味料水溶液の苦味及びえぐ味改善効果官能評価〕
実施例1〜4、比較例1〜8、並びにブランク1〜4で得られた高甘味度甘味料水溶液について、7名のパネラーによって、下記スコア基準を設けたうえで、苦味及びえぐ味の改善効果を評価した。
【0031】
〔高甘味度甘味料水溶液の苦味及びえぐ味改善効果官能評価基準〕
0:ブランクと比較して、変化はなく、苦味及びえぐ味の改善効果は認められない。
1:ブランクと比較して、苦味及びえぐ味の改善効果がわずかに認められる。
2:ブランクと比較して、苦味及びえぐ味の改善効果が認められる。
3:ブランクと比較して、苦味及びえぐ味の改善効果が強く認められる。
【0032】
【表5】
【0033】
【表6】
【0034】
【表7】
【0035】
【表8】
【0036】
〔高甘味度甘味料水溶液の苦味及びえぐ味改善効果官能評価の結果〕
表5〜表8及び
図1〜4の結果から、実施例1〜4によれば、高甘味度甘味料由来の苦味及びえぐ味改善効果を強く示すことが明らかとなった。一方で、バラ抽出物、又は、シクロデキストリン単独を含有する比較例1〜8では、スコアが1を下回ったことから苦味およびえぐ味改善効果をほとんど示さないことが分かった。実施例1〜4比較例の結果、シクロデキストリンをバラ抽出物と併用した実施例1〜4に係る被検試料によれば、1を大きく上回る2付近のスコアを示し、単純に対応する比較例の評価結果を加算した値よりも苦味およびえぐ味改善効果が相乗的に強くなることがわかった。
【0037】
また、これらの結果から、本発明によれば、高甘味度甘味料だけでなく、甘味料に由来する苦味及びえぐ味を大きく改善する効果を発揮できることが期待される。
【0038】
〔高甘味度甘味料水溶液の甘味後引き改善効果官能評価〕
実施例1〜4、比較例1〜8、並びにブランク1〜4で得られた高甘味度甘味料水溶液について、7名のパネラーによって、下記スコア基準を設けたうえで、甘味の後引きを短くできることに関する改善効果を評価した。
【0039】
〔高甘味度甘味料水溶液の甘味後引き改善効果官能評価基準〕
0:ブランクと比較して、甘味の後引きに変化はなく、改善効果は認められない。
1:ブランクと比較して、甘味の後引きがわずかに短くなったと認められる。
2:ブランクと比較して、甘味の後引きが短くなったと認められる。
3:ブランクと比較して、甘味の後引きが大幅に短くなったと認められる。
【0040】
【表9】
【0041】
【表10】
【0042】
【表11】
【0043】
【表12】
【0044】
〔高甘味度甘味料水溶液の甘味後引き改善効果官能評価の結果〕
表9〜12および
図5〜8の結果から、実施例1〜4によれば、高甘味度甘味料の甘味後引きに対する改善効果を強く示すことが明らかとなった。一方で、バラ抽出物、又は、シクロデキストリン単独を含有する比較例1〜8では、スコアが1を下回ったことから甘味後引き改善効果をほとんど示さないことが分かった。さらに、シクロデキストリンをバラ抽出物と併用した実施例1〜4に係る被検試料によれば、2以上のスコアを示し、単純に対応する比較例の評価結果を加算した値よりも甘味後引き改善効果が相乗的に強くなることがわかった。また、これらの結果から、本発明によれば、高甘味度甘味料だけでなく、甘味料に由来する甘味の後引きを大きく改善する効果を発揮できることが期待される。
【0045】
以上の結果から、甘味料由来の苦味及びえぐ味の改善、並びに甘味の後引きを強く改善できることが分かった。本発明により甘味料由来の異味改善効果が得られることが分かった。
【0046】
2.他の植物由来抽出物及びシクロデキストリンの組み合わせと本発明との異味改善効果の比較確認試験
前記実施例におけるバラ抽出物にかえて他の植物由来抽出物とシクロデキストリンとの組み合わせによってなる製剤を調整し、実施例1に係る甘味料用異味改善剤と同様の官能評価を行って異味改善効果を比較した。
【0047】
(1)被検試料
実施例1におけるバラ抽出物にかえて、他の植物由来抽出物として緑茶抽出物(太陽化学(株)社製サンフェノンBG−5)、及びブドウ種子抽出物(サビンサジャパン(株)社製ブドウ種子抽出物)から選択された1つを10%、シクロデキストリン45%、及び賦形剤としてデキストリン45%を粉体混合して顆粒化した比較例用製剤を100%となるように調製し、被検試料とした。比較例用製剤は、それぞれ緑茶抽出物製剤、及びブドウ種子抽出物製剤という。バラ抽出物と前記他の植物由来抽出物には、抽出物中の主成分ポリフェノールであるという共通点を有する。
【0048】
(2)供試飲料
下記表13に示した処方に従って、高甘味度甘味料配合水溶液を調製した。具体的には、各高甘味度甘味料及び被検試料を水に投入後、完全溶解したものを供試飲料として使用した。なお、アセスルファムKは、ニュートリノヴァ・ジャパン(株)製の「サネット」を使用した。
【0049】
【表13】
【0050】
前記「高甘味度甘味料水溶液の苦味及びえぐ味改善効果官能評価基準」と同じ基準を用いて、7名のパネラーによって、苦味及びえぐ味の改善効果を評価した。
【0051】
【表14】
【0052】
その結果、その他の植物由来抽出物とシクロデキストリンとを組み合わせた製剤からなる比較例9〜10では、苦味及びえぐ味の改善効果はほとんど認められなかった。
【0053】
次に、「高甘味度甘味料水溶液の甘味後引き改善効果官能評価基準」と同じ基準を用いて、7名のパネラーによって、甘味後引きの改善効果を評価した。
【0054】
【表15】
【0055】
その結果、その他の植物由来抽出物とシクロデキストリンとを組み合わせた製剤からなる比較例9〜10では、甘味後引きに対する改善効果はほとんど認められなかった。
【0056】
この結果より、単にポリフェノールを含む植物由来抽出物及びシクロデキストリンの組み合わせであれば甘味料の異味を改善できるわけではなく、甘味料の異味改善効果はバラ抽出物を有効成分として、シクロデキストリンと併用されることで、特異的に作用していると考えられる。