【実施例】
【0153】
つぎに、本発明の実施例について説明する。ただし、本発明は、以下の実施例に限定されない。
【0154】
(実施例A1:コンジュゲート一本鎖核酸分子の合成)
(1)一本鎖核酸分子の合成
以下に示す一本鎖核酸分子を、ホスホロアミダイト法に基づき、核酸合成機(商品名ABI Expedite(登録商標) 8909 Nucleic Acid Synthesis System、アプライドバイオシステムス)により合成した。前記合成には、RNAアミダイトとして、EMMアミダイト(国際公開第2013/027843号)を用いた(以下、同様)。前記アミダイトの脱保護は、定法に従った。合成した一本鎖核酸分子は、HPLCにより精製した。精製後の一本鎖核酸分子は、それぞれ凍結乾燥した。下記一本鎖核酸分子中、KH−0001、NH−0005、PH−0009の下線部は、ヒトTGF−β1遺伝子の発現抑制配列であり、KH−0010の下線部は、ルシフェラーゼ遺伝子の発現抑制配列である。
KH−0001(配列番号29
(標的遺伝子の発現を抑制する発現抑制配列を含む配列)および配列番号37(配列番号29と相補的な配列))
5’-GCAGAGUACACACAGCAUAUACC-Lx-GGUA
UAUGCUGUGUGUACUCUGCUU-3’
NH−0005(配列番号30)
5’-GCAGAGUACACACAGCAUAUACCCCACACCGGUA
UAUGCUGUGUGUACUCUGCUU-3’
PH−0009(配列番号29
(標的遺伝子の発現を抑制する発現抑制配列を含む配列)および配列番号37(配列番号29と相補的な配列))
5’-GCAGAGUACACACAGCAUAUACC-Lx-GGUA
UAUGCUGUGUGUACUCUGCUU-3’
KH−0010(配列番号31
(標的遺伝子の発現を抑制する発現抑制配列を含む配列)および配列番号38(配列番号31と相補的な配列))
5’-CUUACGCUGAGUACUUCGAUUCC-Lx-GGAA
UCGAAGUACUCAGCGUAAGUU-3’
KH−0030(配列番号29
(標的遺伝子の発現を抑制する発現抑制配列を含む配列)および配列番号37(配列番号29と相補的な配列))
5’-GCAGAGUACACACAGCAUAUACC-Lx-GGUA
UAUGCUGUGUGUACUCUGCUU-3’
PH−0000(配列番号32
(3’側鎖)および配列番号39(5’側鎖))
5’-UACUAUUCGACACGCGAAGUUCC-Lx-GGAACUUCGCGUGUCGAAUAGUAUU-3’
【0155】
本発明の一本鎖核酸分子であるKH−0001は、リンカー領域(Lx)として下記リジンアミダイトを用いた一本鎖核酸分子である。
【0156】
【化4】
【0157】
前記NH−0005およびPH−0009は比較例の一本鎖核酸分子であり、NH−0005はリンカー領域(Lx)としてヌクレオチド残基のみを用いた一本鎖核酸分子であり、PH−0009はリンカー領域(Lx)として下記L−プロリンジアミドアミダイトを用いた一本鎖核酸分子である。
【0158】
【化5】
【0159】
本発明の一本鎖核酸分子であるKH−0010は、リンカー領域(Lx)として上記リジンアミダイトを用いた一本鎖核酸分子である。
【0160】
本発明の一本鎖核酸分子であるKH−0030は、リンカー領域(Lx)として下記リジン−コレステロールアミダイトを用いた一本鎖核酸分子である。
【0161】
【化6】
【0162】
前記PH−0000はネガティブコントロールの一本鎖核酸分子であり、リンカー領域(Lx)として上記L−プロリンジアミドアミダイトを用いた一本鎖核酸分子である。
【0163】
(2)脂質コンジュゲート一本鎖核酸分子の合成
以下に本発明の脂質コンジュゲート一本鎖核酸分子であるKH−0001−C18の構造を示す。
KH−0001−C18は、前記KH−0001のリンカー領域(Lx)に、後述する方法にて一本鎖脂質であるステアリン酸(C18)を結合させた一本鎖核酸分子である。
【0164】
KH−0001−C18(配列番号29
(標的遺伝子の発現を抑制する発現抑制配列を含む配列)および配列番号37(配列番号29と相補的な配列))
【0165】
【化KHC18】
【0166】
KH−0001−C18の合成
500μmol/LのKH−0001 200μL、50mmol/LのC18−NHS/DMF溶液 80μL、イソプロパノール 320μL、pH9.2の炭酸緩衝液 400μL(最終濃度100mmol/L)を混合し、40℃にて3時間撹拌した。反応液をHPLCにて精製 (カラム:Develosil C8−UG−5,5μm,10×50mm;流速:4.7mL/min;検出:UV260nm;カラムオーブン:35℃;Buffer A:50mmol/L TEAA,5%CH
3CN;Buffer B:CH
3CN) し、目的物のピークを分取した。分取したフラクションのエタノール沈殿を行い、生じた沈殿を注射用蒸留水(大塚製薬)に溶解させた。UV260nmにおける吸光度を測定し、収量を算出した。純度98.45%のKH−0001−C18を6.5mg得た。質量分析:15989.34(計算値:15989.06)。精製後のHPLCチャートを
図2に示す。
【0167】
以下に本発明の脂質コンジュゲート一本鎖核酸分子であるKH−0001−DOPEの構造を示す。
KH−0001−DOPEは、前記KH−0001のリンカー領域(Lx)に、後述する方法にて二本鎖脂質であるDOPEを結合させた一本鎖核酸分子である。
【0168】
KH−0001−DOPE(配列番号29
(標的遺伝子の発現を抑制する発現抑制配列を含む配列)および配列番号37(配列番号29と相補的な配列))
【0169】
【化KHDOPE】
【0170】
KH−0001−DOPEの合成
KH−0001(1115μM)100μL、10mM DOPE−NHS/エタノール溶液 400μL、エタノール 200μL、1%トリエチルアミン水溶液 100μL、注射用蒸留水 200μLを混合し、40℃にて3時間撹拌した。反応液をHPLCにて精製 (カラム:Develosil C8−UG−5,5μm,10×50mm;流速:4.7mL/min;検出:UV260nm;カラムオーブン:35℃;Buffer A:50mM TEAA,5%CH
3CN;Buffer B:CH
3CN) し、目的物のピークを分取した。分取したフラクションのエタノール沈殿を行い、生じた沈殿を注射用蒸留水に溶解させた。UV260nmにおける吸光度を測定し、収量を算出した。純度98.64%のKH−0001−DOPEを3.0mg得た。質量分析:16562.52(計算値:16562.71)。精製後のHPLCチャートを
図3に示す。
【0171】
以下に本発明の脂質コンジュゲート一本鎖核酸分子であるKH−0001−Cholの構造を示す。
KH−0001−Cholは、前記KH−0001のリンカー領域(Lx)に、後述する方法にてエチレングリコールリンカーを介してコレステロールを結合させた一本鎖核酸分子である。
【0172】
KH−0001−Chol(配列番号29
(標的遺伝子の発現を抑制する発現抑制配列を含む配列)および配列番号37(配列番号29と相補的な配列))
【0173】
【化KHChol】
【0174】
KH−0001−Cholの合成
500μmol/LのKH−0001 200μL、50mmol/L のCholesteryl−EG−NHS Ester/DMF溶液 80μL、イソプロパノール 320μL、pH9.2の炭酸緩衝液 400μL(最終濃度100mmol/L)を混合し、50℃にて終夜撹拌した。反応液をHPLCにて精製 (カラム:Develosil C8−UG−5,5μm,10×50mm;流速:4.7mL/min;検出:UV260nm;カラムオーブン:35℃;Buffer A:50mmol/L TEAA,5%CH
3CN;Buffer B:CH
3CN) し、目的物のピークを分取した。分取したフラクションのエタノール沈殿を行い、生じた沈殿を注射用蒸留水(大塚製薬)に溶解させた。UV260nmにおける吸光度を測定し、収量を算出した。純度95.47%のKH−0001−Cholを0.9mg得た。質量分析:16382.13(計算値:16382.55)。
【0175】
(3)糖質コンジュゲート一本鎖核酸分子の合成
以下に本発明の糖質コンジュゲート一本鎖核酸分子であるKH−0001−Lacの構造を示す。
KH−0001−Lacは、前記KH−0001のリンカー領域(Lx)に、後述する方法にて二糖であるラクトースを結合させた一本鎖核酸分子である。
【0176】
KH−0001−Lac(配列番号29
(標的遺伝子の発現を抑制する発現抑制配列を含む配列)および配列番号37(配列番号29と相補的な配列))
【0177】
【化KHLac】
【0178】
KH−0001−Lacの合成
1mmol/LのKH−0001 100μL、2mol/Lのラクトース 50μL、メタノール 600μL、pH3.8の酢酸緩衝液 200μL(最終濃度200mmol/L)、10mol/LのNaBH
3CN/メタノール溶液 50μLを混合し、60℃にて20時間撹拌した。反応液をSephadex G−25(PD−10;GEヘルスケア)を用いて精製し、質量分析より目的物の生成を確認した。質量分析:16048.38(計算値:16048.89)。精製後のHPLCチャートを
図4に示す。
【0179】
以下に本発明の糖質コンジュゲート一本鎖核酸分子であるKH−0001−GalNAcの構造を示す。
KH−0001−GalNAcは、前記KH−0001のリンカー領域(Lx)に、後述する方法にて単糖であるN−アセチルガラクトサミンを結合させた一本鎖核酸分子である。
【0180】
KH−0001−GalNAc(配列番号29
(標的遺伝子の発現を抑制する発現抑制配列を含む配列)および配列番号37(配列番号29と相補的な配列))
【0181】
【化KHGalNAc】
【0182】
KH−0001−GalNAcの合成
1mmol/LのKH−0001 100μL、2mol/LのN−アセチルガラクトサミン 50μL、メタノール 600μL、pH3.8の酢酸緩衝液 200μL(最終濃度200mmol/L)、10mol/LのNaBH
3CN/メタノール溶液 50μLを混合し、60℃にて終夜撹拌した。反応液をSephadex G−25(PD−10;GEヘルスケア)を用いて精製し、質量分析より目的物の生成を確認した。質量分析:15927.54(計算値:15927.81)。
【0183】
以下に本発明の糖質コンジュゲート一本鎖核酸分子であるKH−0001−GlcNAcの構造を示す。
KH−0001−GlcNAcは、前記KH−0001のリンカー領域(Lx)に、後述する方法にて単糖であるN−アセチルグルコサミンを結合させた一本鎖核酸分子である。
【0184】
KH−0001−GlcNAc(配列番号29
(標的遺伝子の発現を抑制する発現抑制配列を含む配列)および配列番号37(配列番号29と相補的な配列))
【0185】
【化KHGlcNAc】
【0186】
KH−0001−GlcNAcの合成
1mmol/LのKH−0001 100μL、2mol/LのN−アセチルグルコサミン 50μL、メタノール 600μL、pH3.8の酢酸緩衝液 200μL(最終濃度200mmol/L)、10mol/LのNaBH
3CN/メタノール溶液 50μLを混合し、60℃にて終夜撹拌した。反応液をSephadex G−25(PD−10;GEヘルスケア)を用いて精製し、質量分析より目的物の生成を確認した。質量分析:15927.85(計算値:15927.81)。
【0187】
(4)ペプチドコンジュゲート一本鎖核酸分子の合成
以下に本発明のペプチドコンジュゲート一本鎖核酸分子であるKH−0010−GE11の構造を示す。
KH−0010−GE11は、前記KH−0010のリンカー領域(Lx)に、後述する方法にてGMBSリンカーを介して前記配列番号12で示すペプチドであるGE11を結合させた一本鎖核酸分子である。
【0188】
KH−0010−GE11(配列番号31
(標的遺伝子の発現を抑制する発現抑制配列を含む配列)および配列番号38(配列番号31と相補的な配列))
【0189】
【化KHGE11】
【0190】
KH−0010−GE11の合成
500μmol/LのKH−0010 200μL、4mmol/LのGMBS/DMF溶液 500μL、pH7.0のリン酸緩衝液(最終濃度120mmol/L)を混合し、室温にて3時間撹拌した。反応液をSephadex G−25(PD−10;GEヘルスケア)を用いて精製し、100mmol/Lのリン酸緩衝液(pH7.0)中にて1mgのGE11ペプチドを添加し、室温にて1時間撹拌した。反応液をHPLCにて精製 (カラム:Develosil C8−UG−5,5μm,10×50mm;流速:4.7mL/min;検出:UV260nm;カラムオーブン:35℃;Buffer A:50mmol/L TEAA,5%CH
3CN;Buffer B:CH
3CN)し、目的物のピークを分取した。分取したフラクションのエタノール沈殿を行い、生じた沈殿を注射用蒸留水(大塚製薬)に溶解させた。UV260nmにおける吸光度を測定し、収量を算出した。純度95.97%のKH−0010−GE11を0.7mg得た。精製後のHPLCチャートを
図5に示す。
【0191】
以下に本発明のペプチドコンジュゲート一本鎖核酸分子であるKH−0010−GE11(7)の構造を示す。
KH−0010−GE11(7)は、前記KH−0010のリンカー領域(Lx)に、後述する方法にてGMBSリンカーを介して前記配列番号13で示すペプチドであるGE11(7)を結合させた一本鎖核酸分子である。
【0192】
KH−0010−GE11(7)(配列番号31
(標的遺伝子の発現を抑制する発現抑制配列を含む配列)および配列番号38(配列番号31と相補的な配列))
【0193】
【化KHGE11(7)】
【0194】
KH−0010−GE11(7)の合成
500μmol/LのKH−0010 200μL、4mmol/LのGMBS/DMF溶液 500μL、pH7.0のリン酸緩衝液(最終濃度120mmol/L)を混合し、室温にて3時間撹拌した。反応液をSephadex G−25(PD−10;GEヘルスケア)を用いて精製し、100mmol/Lのリン酸緩衝液(pH7.0)中にて1mgのGE11(7)ペプチドを添加し、室温にて1時間撹拌した。反応液をHPLCにて精製 (カラム:Develosil C8−UG−5,5μm,10×50mm;流速:4.7mL/min;検出:UV260nm;カラムオーブン:35℃;Buffer A:50mmol/L TEAA,5%CH
3CN;Buffer B:CH
3CN) し、目的物のピークを分取した。分取したフラクションのエタノール沈殿を行い、生じた沈殿を注射用蒸留水(大塚製薬)に溶解させた。UV260nmにおける吸光度を測定し、収量を算出した。純度95.12%のKH−0010−GE11(7)を0.3mg得た。質量分析:16877.66 (計算値:16877.74)。精製後のHPLCチャートを
図6に示す。
【0195】
以下に本発明のペプチドコンジュゲート一本鎖核酸分子であるKH−0010−GE11(5)の構造を示す。
KH−0010−GE11(5)は、前記KH−0010のリンカー領域(Lx)に、後述する方法にてGMBSリンカーを介して前記配列番号14で示すペプチドであるGE11(5)を結合させた一本鎖核酸分子である。
【0196】
KH−0010−GE11(5)(配列番号31
(標的遺伝子の発現を抑制する発現抑制配列を含む配列)および配列番号38(配列番号31と相補的な配列))
【0197】
【化KHGE11(5)】
【0198】
KH−0010−GE11(5)の合成
500μmol/LのKH−0010 200μL、4mmol/LのGMBS/DMF溶液 500μL、pH7.0のリン酸緩衝液(最終濃度120mmol/L)を混合し、室温にて3時間撹拌した。反応液をSephadex G−25(PD−10;GEヘルスケア)を用いて精製し、100mmol/Lのリン酸緩衝液(pH7.0)中にて1mgのGE11(5)ペプチドを添加し、室温にて1時間撹拌した。反応液をHPLCにて精製 (カラム:Develosil C8−UG−5,5μm,10×50mm;流速:4.7mL/min;検出:UV260nm;カラムオーブン:35℃;Buffer A:50mmol/L TEAA,5%CH
3CN;Buffer B:CH
3CN) し、目的物のピークを分取した。分取したフラクションのエタノール沈殿を行い、生じた沈殿を注射用蒸留水(大塚製薬)に溶解させた。UV260nmにおける吸光度を測定し、収量を算出した。純度92.12%のKH−0010−GE11(5)を0.6mg得た。質量分析:16657.41(計算値:16657.54)。精製後のHPLCチャートを
図7に示す。
【0199】
以下に本発明のペプチドコンジュゲート一本鎖核酸分子であるKH−0001−GE11の構造を示す。
KH−0001−GE11は、前記KH−0001のリンカー領域(Lx)に、後述する方法にてGMBSリンカーを介して前記配列番号12で示すペプチドであるGE11を結合させた一本鎖核酸分子である。
【0200】
KH−0001−GE11(配列番号29
(標的遺伝子の発現を抑制する発現抑制配列を含む配列)および配列番号37(配列番号29と相補的な配列))
【0201】
【化KH01GE11】
【0202】
KH−0001−GE11の合成
500μmol/LのKH−0001 800μL、4mmol/LのGMBS/DMF溶液 2000μL、1mol/Lのリン酸緩衝液 (pH7.0) 480μL、注射用蒸留水720μLを混合し、室温にて3時間撹拌した。反応液をSephadex G−25(PD−10;GEヘルスケア)を用いて精製し、その1/3量を次反応に用いた。100mmol/Lのリン酸緩衝液(pH7.0)中にて1mgのGE11ペプチドを添加し、室温にて1時間撹拌した。反応液をHPLCにて精製 (カラム:Develosil C8−UG−5,5μm,10×50mm;流速:4.7mL/min;検出:UV260nm;カラムオーブン:35℃;Buffer A:50mmol/L TEAA,5%CH
3CN;Buffer B:CH
3CN) し、目的物のピークを分取した。分取したフラクションのエタノール沈殿を行い、生じた沈殿を注射用蒸留水(大塚製薬)に溶解させた。UV260nmにおける吸光度を測定し、収量を算出した。純度96.85%のKH−0001−GE11を1.1mg得た。質量分析:17530.41(計算値:17530.61)。精製後のHPLCチャートを
図8に示す。
【0203】
以下に本発明のペプチドコンジュゲート一本鎖核酸分子であるKH−0001−GE11(7)の構造を示す。
KH−0001−GE11(7)は、前記KH−0001のリンカー領域(Lx)に、後述する方法にてGMBSリンカーを介して前記配列番号13で示すペプチドであるGE11(7)を結合させた一本鎖核酸分子である。
【0204】
KH−0001−GE11(7)(配列番号29
(標的遺伝子の発現を抑制する発現抑制配列を含む配列)および配列番号37(配列番号29と相補的な配列))
【0205】
【化KH01GE11(7)】
【0206】
KH−0001−GE11(7)の合成
500μmol/LのKH−0001 800μL、4mmol/LのGMBS/DMF溶液 2000μL、1mol/Lのリン酸緩衝液 (pH7.0) 480μL、注射用蒸留水720μLを混合し、室温にて3時間撹拌した。反応液をSephadex G−25(PD−10;GEヘルスケア)を用いて精製し、その1/3量を次反応に用いた。100mmol/Lのリン酸緩衝液(pH7.0)中にて1mgのGE11(7)ペプチドを添加し、室温にて1時間撹拌した。反応液をHPLCにて精製 (カラム:Develosil C8−UG−5,5μm,10×50mm;流速:4.7mL/min;検出:UV260nm;カラムオーブン:35℃;Buffer A:50mmol/L TEAA,5%CH
3CN;Buffer B:CH
3CN) し、目的物のピークを分取した。分取したフラクションのエタノール沈殿を行い、生じた沈殿を注射用蒸留水(大塚製薬)に溶解させた。UV260nmにおける吸光度を測定し、収量を算出した。純度96.40%のKH−0001−GE11(7)を1.1mg得た。質量分析:16877.65(計算値:16877.74)。精製後のHPLCチャートを
図9に示す。
【0207】
以下に本発明のペプチドコンジュゲート一本鎖核酸分子であるKH−0001−GE11(5)の構造を示す。
KH−0001−GE11(5)は、前記KH−0001のリンカー領域(Lx)に、後述する方法にてGMBSリンカーを介して前記配列番号14で示すペプチドであるGE11(5)を結合させた一本鎖核酸分子である。
【0208】
KH−0001−GE11(5)(配列番号29
(標的遺伝子の発現を抑制する発現抑制配列を含む配列)および配列番号37(配列番号29と相補的な配列))
【0209】
【化KH01GE11(5)】
【0210】
KH−0001−GE11(5)の合成
500μmol/LのKH−0001 800μL、4mmol/LのGMBS/DMF溶液 2000μL、1mol/Lのリン酸緩衝液 (pH7.0) 480μL、注射用蒸留水720μLを混合し、室温にて3時間撹拌した。反応液をSephadex G−25(PD−10;GEヘルスケア)を用いて精製し、その1/3量を次反応に用いた。100mmol/Lのリン酸緩衝液(pH7.0)中にて1mgのGE11(5)ペプチドを添加し、室温にて1時間撹拌した。反応液をHPLCにて精製 (カラム:Develosil C8−UG−5,5μm,10×50mm;流速:4.7mL/min;検出:UV260nm;カラムオーブン:35℃;Buffer A:50mmol/L TEAA,5%CH
3CN;Buffer B:CH
3CN) し、目的物のピークを分取した。分取したフラクションのエタノール沈殿を行い、生じた沈殿を注射用蒸留水(大塚製薬)に溶解させた。UV260nmにおける吸光度を測定し、収量を算出した。純度98.09%のKH−0001−GE11(5)を1.1mg得た。質量分析:16657.49(計算値:16657.54)。精製後のHPLCチャートを
図10に示す。
【0211】
(実施例B1:脂質コンジュゲート一本鎖核酸分子の遺伝子発現抑制効果)
TGF−β1遺伝子を標的とする発現抑制配列を有する、前記実施例A1にて合成した脂質コンジュゲート一本鎖核酸分子KH−0001−C18、比較例として、コンジュゲートを持たない一本鎖核酸分子であるPH−0009について、TGF−β1遺伝子発現抑制効果を検討した。
【0212】
前記各一本鎖核酸分子を注射用蒸留水(大塚製薬)に溶解し、一本鎖核酸分子溶液を調製した。
【0213】
細胞は、A549細胞(DSファーマバイオメディカル)を使用した。培地は、10%FBSを含むDMEM(Invitrogen)を使用した。培養条件は、37℃、5%CO
2下とした。
【0214】
まず、細胞を、前記培地中で培養し、その培養液を、24穴プレートに、400μLずつ、4×10
4細胞/ウェルとなるように分注した。さらに、前記ウェル中の細胞に、前記一本鎖核酸分子をトランスフェクション試薬RNAiMAX(Invitrogen)を用いて、前記トランスフェクション試薬の添付プロトコールに従って、トランスフェクションした。具体的には、前記ウェルあたりの組成を以下のように設定し、トランスフェクションを行った。下記組成において、(A)は前記トランスフェクション試薬、(B)はOpti−MEM(Invitrogen)、(C)は前記一本鎖核酸分子溶液であり、(B)および(C)をあわせて98.5μL添加した。なお、前記ウェルにおいて、前記一本鎖核酸分子の最終濃度は、0.01、0.1、1nmol/Lとした。
【0215】
【表1】
【0216】
トランスフェクション後、前記ウェル中の細胞を24時間培養した後、RNeasy Mini Kit(Qiagen、オランダ)を用い、添付のプロトコールに従って、RNAを回収した。次に、逆転写酵素(商品名SuperScript III、Invitrogen)を用い、添付のプロトコールに従って、前記RNAからcDNAを合成した。そして、以下に示すように、合成した前記cDNAを鋳型としてPCRを行い、TGF−β1遺伝子の発現量および内部標準であるβ−アクチン遺伝子の発現量を測定した。前記TGF−β1遺伝子の発現量は、前記β−アクチン遺伝子の発現量により補正した。
【0217】
前記PCRは、試薬としてLightCycler FastStart DNA Master SYBR Green I(商品名、Roche)、機器としてLight Cycler DX400(商品名、Roche)を用いた(以下、同様)。前記TGF−β1遺伝子およびβ−アクチン遺伝子の増幅には、それぞれ、以下のプライマーセットを使用した。
TGF−β1遺伝子用PCRプライマーセット
(配列番号33) 5’-TTGTGCGGCAGTGGTTGAGCCG-3’
(配列番号34) 5’-GAAGCAGGAAAGGCCGGTTCATGC-3’
β−アクチン遺伝子用プライマーセット
(配列番号35) 5’-GCCACGGCTGCTTCCAGCTCCTC-3’
(配列番号36) 5’-AGGTCTTTGCGGATGTCCACGTCAC-3’
【0218】
なお、コントロール1として、前記培養液に前記(B)液100μLのみを添加した細胞についても、遺伝子発現量を測定した(−)。また、コントロール2として、トランスフェクションにおいて、前記RNA溶液を未添加とし、前記(A)1.5μLと前記(B)とを合計100μL添加した以外は、同様にして処理した細胞についても、遺伝子発現量を測定した(mock)。
【0219】
補正後のTGF−β1遺伝子の発現量について、コントロール(−)の細胞における発現量を1として、各一本鎖核酸分子を導入した細胞での発現量の相対値を求めた。
【0220】
これらの結果を
図11に示す。
図11はTGF−β1遺伝子発現量の相対値を示すグラフであり、縦軸は相対遺伝子発現量である。
図11に示すように、KH−0001−C18は、PH−0009と同程度の強い遺伝子発現抑制活性を示すことがわかった。
【0221】
(実施例B2:脂質コンジュゲート一本鎖核酸分子、糖質コンジュゲート一本鎖核酸分子およびペプチドコンジュゲート一本鎖核酸分子の遺伝子発現抑制効果)
TGF−β1遺伝子を標的とする発現抑制配列を有する、前記実施例A1にて合成した以下の脂質コンジュゲート一本鎖核酸分子、糖質コンジュゲート一本鎖核酸分子およびペプチドコンジュゲート一本鎖核酸分子について、TGF−β1遺伝子発現抑制効果を検討した。脂質コンジュゲート一本鎖核酸分子としては、KH−0001−C18、KH−0001−DOPE、KH−0001−CholおよびKH−0030、糖質コンジュゲート一本鎖核酸分子としては、KH−0001−Lac、KH−0001−GalNAcおよびKH−0001−GlcNAcならびにペプチドコンジュゲート一本鎖核酸分子としては、KH−0001−GE11、KH−0001−GE11(7)およびKH−0001−GE11(5)を使用した。ネガティブコントロールとしてPH−0000、比較例としてコンジュゲートを持たない一本鎖核酸分子であるKH−0001およびPH−0009を使用した。
【0222】
脂質コンジュゲート一本鎖核酸分子およびペプチドコンジュゲート一本鎖核酸分子の遺伝子発現抑制効果の検討において、A549細胞(DSファーマバイオメディカル)を使用した。糖質コンジュゲート一本鎖核酸分子の遺伝子発現抑制効果の検討において、HepG2細胞(DSファーマバイオメディカル)を使用した。培地は、10%FBSを含むDMEM(Invitrogen)を使用した。培養条件は、37℃、5%CO
2下とした。
【0223】
以下の点を除き、実施例B1と同様の方法で遺伝子発現量を測定した。逆転写酵素としてTranscriptor First Strand cDNA Synthesis Kit(商品名、Roche)、PCRの試薬としてLightCycler480 SYBR Green I Master(商品名、Roche)およびPCRの機器としてLight Cycler480 Instrument II(商品名、Roche)を使用した。また、糖質コンジュゲート一本鎖核酸分子およびペプチドコンジュゲート一本鎖核酸分子の最終濃度は、それぞれ、0.1、1nmol/L、脂質コンジュゲート一本鎖核酸分子の最終濃度は、1nmol/Lとした。
【0224】
補正後のTGF−β1遺伝子の発現量について、コントロール2(mock)の細胞における発現量を1として、各一本鎖核酸分子を導入した細胞での発現量の相対値を求めた。
【0225】
これらの結果を
図12〜14に示す。各図は、TGF−β1遺伝子発現量の相対値を示すグラフであり、縦軸は相対遺伝子発現量である。
図12は糖質コンジュゲート一本鎖核酸分子、
図13はペプチドコンジュゲート一本鎖核酸分子、
図14は脂質コンジュゲート一本鎖核酸分子の結果である。
図12に示すように、いずれの糖質コンジュゲート一本鎖核酸分子も、KH−0001およびPH−0009と同程度の強い遺伝子発現抑制活性を示した。
図13に示すように、いずれのペプチドコンジュゲート一本鎖核酸分子も、KH−0001およびPH−0009と同程度の強い遺伝子発現抑制活性を示した。
図14に示すように、KH−0001−C18は、KH−0001およびPH−0009と同程度の強い遺伝子発現抑制活性を示した。また、KH−0001−DOPE、KH−0001−CholおよびKH−0030の相対遺伝子発現量は0.1〜0.35であり、遺伝子発現抑制活性を示した。
【0226】
(実施例C1:脂質コンジュゲート一本鎖核酸分子のダイサータンパク質に対する反応性)
前記実施例A1にて合成した、脂質コンジュゲート一本鎖核酸分子KH−0001−C18、比較例として、コンジュゲートを持たない一本鎖核酸分子であるPH−0009、およびリンカー領域Lxがヌクレオチド残基のみからなる一本鎖核酸分子であるNH−0005について、ダイサータンパク質に対する反応性を検討した。
【0227】
試薬としてRecombinant Human Dicer Enzyme Kit(商品名、Genlantis)を用い、添付プロトコールに従って、前記ダイサータンパク質と前記核酸分子を含む反応液を調製し、これを37℃でインキュベートした。インキュベート時間は、0、2、6、24、48、72時間とした。所定時間インキュベート後の前記反応液に、前記試薬の反応停止液を加え、7M尿素−20%ポリアクリルアミドゲル電気泳動を行った。その後、前記ポリアクリルアミドゲルを、SYBR Green II(商品名、Lonza)で染色し、ChemiDoc(商品名、Bio−Rad)を使用して分析した。
【0228】
これらの結果を
図15に示す。
図15(A)はNH−0005のダイサータンパク質に対する反応性を示す電気泳動の結果であり、
図15(B)はPH−0009のダイサータンパク質に対する反応性を示す電気泳動の結果であり、
図15(C)はKH−0001−C18のダイサータンパク質に対する反応性を示す電気泳動の結果である。各々の図において、レーン「M」は分子量マーカー(20、30、40、50および100 base)であり、(h)は前記インキュベートの時間であり、Rは未処理のサンプルを示す。
【0229】
比較例のコンジュゲートを持たないPH−0009およびリンカー領域が天然のヌクレオチドからなるNH−0005は、前記ダイサータンパク質と徐々に反応し6時間後まで反応が続いていた。これに対して、脂質コンジュゲートを持つKH−0001−C18は、前記ダイサーと速やかに反応し2時間後において反応が終了していた。そこで、KH−0001−C18のダイサータンパク質との反応性を詳しく調べるために、インキュベート時間を、0、5、10、30、60、90、120分とし、同様にして反応および解析を行った。
【0230】
その結果を
図16に示す。レーン「M」は分子量マーカー(20、30、40、50および100 base)であり、(min)は前記インキュベートの時間(分)であり、Rは未処理のサンプルを示す。
図16に示す通り、KH−0001−C18は、速やかにダイサータンパク質と反応し60分後には反応が終了していた。
【0231】
以上の結果から、本発明の脂質コンジュゲート一本鎖核酸分子は、ダイサータンパク質に対する反応性が大きく向上していることがわかった。すなわち、前記実施例B1の遺伝子発現抑制効果の結果と併せて考慮すると、本発明の脂質コンジュゲート一本鎖核酸分子は、細胞内に導入された後速やかにRNA干渉効果を発揮する能力を有している可能性があると考えられる。
【0232】
(実施例C2:脂質コンジュゲート一本鎖核酸分子のヒト血清中での安定性)
前記実施例A1にて合成した、脂質コンジュゲート一本鎖核酸分子KH−0001−C18、比較例として、コンジュゲートを持たない一本鎖核酸分子であるPH−0009、およびリンカー領域Lxがヌクレオチド残基のみから成る一本鎖核酸分子であるNH−0005について、ヒト血清中での安定性を検討した。
【0233】
まず、1×PBSに、前記一本鎖核酸分子および正常ヒト血清(MP Biomedicals)を混合した混合液30μLを、37℃でインキュベートした。前記混合液30μLにおいて、前記一本鎖核酸分子の添加量は、60pmolとし、前記正常ヒト血清の添加量は、終濃度10%とした。そして、インキュベート開始から、0時間後、1時間後、3時間後、5時間後および24時間後に、95℃で10分加熱処理後氷中にて急冷し反応を停止した。その後、Bligh&Dyer法(http://biochem2.umin.jp/contents/Manuals/manual54.html)に従いRNA分画を抽出した。得られた抽出液を7M尿素−20%ポリアクリルアミドゲル電気泳動した後、SYBR Green II(商品名、Lonza)で染色し、ChemiDoc(商品名、Bio−Rad)を使用して分析した。
【0234】
この結果を
図17に示す。
図17において、レーン「M」は、分子量マーカーであり、(h)は、インキュベート時間を示す。
【0235】
図17に示すように、リンカー領域Lxがヌクレオチド残基のみから成る比較例のNH−0005は、速やかな分解反応が進行しインキュベート1時間後において完全分解に至っていることが確認された。これに対して、本発明のKH−0001−C18は、比較例のPH−0009と同程度に、分解が緩やかであり、反応5時間後においても完全分解には至らなかった。
【0236】
前記実施例B1、前記実施例B2、前記実施例C1、前記実施例C2の結果より、本発明の脂質コンジュゲート一本鎖核酸分子は、生体内における安定性を有しかつ細胞内に導入された後速やかにRNA干渉効果を発揮する能力を有している可能性があると考えられる。
【0237】
(参考例1:Lysアミダイトの合成)
下記スキーム6に従い、リジン(Lys)アミダイトであるDMTr-Lysアミダイト(7)を合成した。なお、下記スキーム6中、「Tfa」は、トリフルオロアセチル基を表す。
【0238】
【化S6】
【0239】
(1)化合物2の合成
6-ヒドロキシヘキサン酸(6g, 15.1mmol)のピリジン溶液(124mL)に4,4’-ジメトキシトリチルクロリド(20g, 1.3eq.)およびジメチルアミノピリジン(0.5g, 0.1eq.)を加え、室温にて20時間撹拌した。反応終了後メタノール(10mL)を加えて10分間撹拌し、溶媒留去した。反応液を酢酸エチルで希釈し、TEAA緩衝液(pH 8-9)で3回洗浄、飽和食塩水で1回洗浄後、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥、減圧下溶媒留去した。このようにして、薄黄色油状物質である化合物2を31g(ピリジン含有)得た。
【0240】
(2)化合物4の合成
化合物3(2.7g, 7.9mmol)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(1.9g, 1.2eq.)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール一水和物(2.6g, 2.4eq.)のアセトニトリル溶液(45mL)に、4-アミノ-1-ブタノール(0.86g, 1.2eq.)のアセトニトリル溶液(5mL)を加えて室温で16時間撹拌した。反応終了後沈殿物を濾取し、濾液をエバポレーターにて溶媒留去した。得られた残渣にジクロロメタンを加え、酢酸緩衝液(pH 4)で3回、飽和重曹水で3回洗浄後、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥、減圧下溶媒留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ジクロロメタン/メタノール=10/1)により精製し、白色固体である化合物4を2.8g(収率85%)得た。以下に、化合物4の機器分析値を示す。
【0241】
化合物4;
1H-NMR(400MHz, CDCl
3) δ: 7.07(br, 1H), 6.72(t, J=5.6Hz, 1H), 4.03(m, 1H), 3.66(d, J=4.9Hz, 2H), 3.37(dd, J=12.9, 6.3Hz, 2H), 3.29(dd, J=12.4, 6.3Hz, 2H), 1.83(s, 2H), 1.66-1.60(m, 6H), 1.44(s, 9H), 1.41-1.37(m, 2H)
【0242】
(3)化合物5の合成
化合物4(2.5g, 6.1mmol)を塩酸/テトラヒドロフラン溶液(4M, 45mL)中で室温にて2時間撹拌した。反応終了後、減圧下溶媒留去した。得られた残渣をエタノールに溶かし、トルエンを加えて共沸した。溶媒留去後、白色固体である化合物5を1.9g得た。以下に、化合物5の機器分析値を示す。
【0243】
化合物5;
1H-NMR(400MHz, CD
3OD) δ: 3.85-3.81(m, 1H), 3.59-3.56(m, 2H), 3.32-3.20(m, 2H), 1.94-1.80(m, 2H), 1.66-1.58(m, 6H), 1.46-1.40(m, 2H)
【0244】
(4)化合物6の合成
化合物2(ピリジン含有, 24g, 35.5mmol)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(8.8g, 1.2eq.)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール一水和物(7.2g, 1.5eq.)の溶液(150mL)にトリエチルアミン(4.5mL, 0.9eq.)を加え、さらに化合物5(10g, 0.9eq.)のN,N-ジメチルホルムアミド溶液(30mL)を加えて室温で20時間撹拌した。反応終了後沈殿物を濾取し、濾液をエバポレーターにて溶媒留去した。得られた残渣にジクロロメタンを加え、飽和重曹水で3回洗浄後、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥、減圧下溶媒留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ジクロロメタン/メタノール=20/1+0.05%ピリジン)により精製し、薄黄色固体である化合物6を16g(収率70%)得た。以下に、化合物6の機器分析値を示す。
【0245】
化合物6;
1H-NMR(400MHz, CDCl
3) δ: 7.43-7.40(m, 2H), 7.32-7.26(m, 6H), 7.21-7.17(m, 1H), 6.81(d, J=8.8Hz, 4H), 4.39-4.37(m, 1H), 3.78(s, 6H), 3.64-3.61(m, 2H), 3.33-3.22(m, 4H), 3.03(t, J=6.6Hz, 2H), 2.19(t, J=7.6Hz, 2H), 1.79-1.54(m, 12H), 1.40-1.34(m, 4H)
【0246】
(5)化合物7の合成
アセトニトリルにて共沸乾燥した出発物質(1.26g, 1.73mmol)の無水アセトニトリル溶液(3.5mL)に、ジイソプロピルアンモニウムテトラゾリド(394mg, 1.3eq.)、2-シアノエトキシ-N,N,N’,N’-テトライソプロピルホスホロジアミダイト(700mg, 1.3eq.)を加え、室温にて2.5時間撹拌した。ジクロロメタンを加えて飽和重曹水および飽和食塩水で洗浄、硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製(アミノシリカ、展開溶媒:n-ヘキサン/酢酸エチル=2/3)し、白色固体である化合物7を1.3g(収率78%)得た。以下に、化合物7の機器分析値を示す。
【0247】
化合物7;
1H-NMR(400MHz, CDCl
3) δ: 7.43-7.41(m, 2H), 7.32-7.17(m, 7H), 6.81(dt, J=9.3, 2.9Hz, 4H), 4.42-4.37(m, 1H), 3.78(s, 6H), 3.88-3.54(m, 6H), 3.32-3.20(m, 4H), 3.03(t, J=6.3Hz, 2H), 2.19(t, J=7.6Hz, 2H), 1.83-1.53(m, 12H), 1.42-1.31(m, 4H), 1.28-1.24(m, 2H), 1.18-1.16(m, 12H)
31P-NMR(162MHz, CDCl
3) δ: 146.9
【0248】
(参考例2:Glyアミダイトの合成)
下記スキーム7に従い、グリシン(Gly)アミダイトであるDMTr-Glyアミダイト(化合物12)を合成した。
【0249】
【化S7】
【0250】
(1)N-(4-ヒドロキシブチル)-N
α-Fmoc-グリシンアミド(化合物8)
Fmoc−グリシン(4.00g, 13.45mmol)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(3.33g, 16.15mmol)及び1−ヒドロキシベンゾトリアゾール1水和物(4.94g, 32.29mmol)の無水N,N−ジメチルホルムアミド溶液(100mL)に4−アミノブタノール(1.44g, 16.15mmol)の無水N,N−ジメチルホルムアミド溶液(30mL)を加え、アルゴン雰囲気下、室温で終夜撹拌した。生成した沈殿をろ別し、ろ液を減圧下で濃縮した。得られた残渣にジクロロメタン(200mL)を加え、飽和重曹水で3回洗浄した。更に飽和食塩水で洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下で溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフ(展開溶媒:ジクロロメタン−メタノール(95:5)に付し、N-(4-ヒドロキシブチル)-N
α-Fmoc-グリシンアミド(8)(4.30g, 87%)を得た。以下に、N-(4-ヒドロキシブチル)-N
α-Fmoc-グリシンアミド(8)の機器分析値を示す。
【0251】
N-(4-ヒドロキシブチル)-N
α-Fmoc-グリシンアミド(8);
1H−NMR(400MHz, CDCl
3):δ=7.78−7.76(2H,d,J=7.3Hz),7.65−7.63(2H,d,J=7.3Hz),7.42−7.41(2H,t,J=7.6Hz),7.34−7.30(2H,td,J=7.6,1.1Hz),4.42−4.40(2H,d,J=7.3Hz),4.25−4.22(1H,t,J=6.8Hz),3.83(2H,s),3.60−3.55(2H,m),3.30−3.25(2H,m),1.61−1.55(4H,m).
【0252】
(2)N-(4-O-DMTr-ヒドロキシブチル)-N
α-Fmoc-グリシンアミド(化合物9)
化合物8(4.20g, 11.40mmol)に対し無水ピリジンを用いて3回共沸乾燥した。その共沸残渣に4,4’−ジメトキシトリチルクロリド(5.80g, 17.10mmol)及び無水ピリジン(80mL)を加え、室温下で終夜撹拌した。得られた反応混合物にメタノール(20mL)を加え室温で30分撹拌した後、減圧下で溶媒を留去した。その後、ジクロロメタン(200mL)を加え、飽和重曹水で3回洗浄し、更に飽和食塩水で洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下で溶媒を留去した。未精製のN-(4-O-DMTr-ヒドロキシブチル)-N
α-Fmoc-グリシンアミド(9)(11.40g)を得た。
【0253】
(3)N-(4-O-DMTr-ヒドロキシブチル)-グリシンアミド(化合物10)
未精製の化合物9(11.40g, 16.99mmol)にN,N−ジメチルホルムアミド(45mL)及びピペリジン(11.7mL)を室温で加え、室温で終夜撹拌した。反応混合物を減圧下で溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフ(展開溶媒:ジクロロメタン−メタノール(9:1)+0.05%ピリジン)に付し、グリシン−4,4’−ジメトキシトリチルオキシブタンアミド(3)(4.90g, 96%、 2steps)を得た。以下に、N-(4-O-DMTr-ヒドロキシブチル)-グリシンアミド(10)の機器分析値を示す。
【0254】
N-(4-O-DMTr-ヒドロキシブチル)-グリシンアミド(10);
1H−NMR(400MHz,CDCl
3):δ=7.44−7.42(2H,m),7.33−7.26(6H,m),7.21−7.20(1H,m),6.83−6.80(4H,m),3.79(6H,s), 3.49(2H,s),3.30−3.28(2H,t,J=6.3Hz),3.09−3.06(2H,t,J=5.9Hz),1.61−1.55(4H,m).
【0255】
(4)N-(4-O-DMTr-ヒドロキシブチル)-N
α-(6-ヒドロキシヘキサノイル)-グリシンアミド(化合物11)
化合物10(4.80g, 10.70mmol)を無水ピリジンで3回共沸乾燥後、アルゴン雰囲気下で6−ヒドロキシヘキサン酸(1.70g, 12.84mmol)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(2.46g, 12.84mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール1水和物(3.93g, 25.69mmol)、及び無水ジクロロメタン(60mL)を室温で加え、10分間撹拌した。このようにして得た混合物にトリエチルアミン(3.90g, 38.53mmol)を加え、アルゴン雰囲気下、室温で終夜撹拌した。得られた反応混合物にジクロロメタン(200mL)を加え飽和重曹水で3回、更に飽和食塩水で1回洗浄した。有機層を分取し硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下で溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフ(展開溶媒:ジクロロメタン−メタノール(95:5)+0.05%ピリジン)に付し、N-(4-O-DMTr-ヒドロキシブチル)-N
α-(6-ヒドロキシヘキサノイル)-グリシンアミド(11)(4.80g, 80%)を得た。以下に、N-(4-O-DMTr-ヒドロキシブチル)-N
α-(6-ヒドロキシヘキサノイル)-グリシンアミド(11)の機器分析値を示す。
【0256】
N-(4-O-DMTr-ヒドロキシブチル)-N
α-(6-ヒドロキシヘキサノイル)-グリシンアミド(11);
1H−NMR(400MHz,CDCl
3):δ=7.43−7.40(2H,m),7.33−7.26(6H,m),7.22−7.20(1H,m),6.83−6.80(4H,m),3.85(2H,s),3.78(6H,s),3.63−3.60(2H,t,J=6.3Hz),3.26−3.23(2H,t,J=6.1Hz),3.07−3.05(2H,t,J=5.6Hz),2.26−2.22(2H,t,J=7.3Hz),1.68−1.52(8H,m),1.41−1.36(2H,m).
【0257】
(5)N-(4-O-DMTr-ヒドロキシブチル)-N
α-(6-O-(2-シアノエチル-N,N-ジイソプロピルホスフィチル)-ヒドロキシヘキサノイル)-グリシンアミド(化合物12)
化合物11(4.70g, 8.35mmol)を無水ピリジンで3回共沸乾燥した。つぎに、ジイソプロピルアンモニウムテトラゾリド(1.72g, 10.02mmol)を加え、減圧下で脱気してアルゴンガスを充填し、無水アセトニトリル(5mL)を加えた。さらに、2−シアノエトキシ−N,N,N’,N’−テトライソプロピルホスホロジアミダイト(3.02g, 10.02mmol)の無水アセトニトリルジクロロメタン混合溶液(1:1)(4mL)を加え、混合物をアルゴン雰囲気下、室温で4時間撹拌した。得られた反応混合物にジクロロメタン(150mL)を加え、飽和重曹水で2回、更に飽和食塩水で1回洗浄した。有機層を分取し、硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下で溶媒を留去した。アミノシリカを用いたカラムクロマトグラフ(展開溶媒:n−ヘキサン−アセトン(3:2)+0.1%トリエチルアミン)に残渣を付し、ヒドロキシヘキサン酸アミドグリシン−4,4’−ジメトキシトリチルオキシブタンアミドホスホロアミダイト(12)(4.50g, 71%, HPLC98.2%)を得た。以下に、N-(4-O-DMTr-ヒドロキシブチル)-N
α-(6-O-(2-シアノエチル-N,N-ジイソプロピルホスフィチル)-ヒドロキシヘキサノイル)-グリシンアミド(12)の機器分析値を示す。
【0258】
N-(4-O-DMTr-ヒドロキシブチル)-N
α-(6-O-(2-シアノエチル-N,N-ジイソプロピルホスフィチル)-ヒドロキシヘキサノイル)-グリシンアミド(12);
1H−NMR(400MHz,CDCl
3):δ=7.43−7.40(2H,m),7.33−7.26(6H,m),7.22−7.20(1H,m),6.83−6.80(4H,m),3.85−3.81(4H,s),3.78(6H,s),3.63−3.61(2H,t,J=6.3Hz),3.26−3.23(2H,t,J=6.1Hz),3.05−2.97(4H,m),2.64−2.62(2H,t,J=6.4Hz),2.25−2.23(2H,t,J=7.3Hz),1.68−1.52(8H,m),1.40−1.38(2H,m),1.13−1.20(12H,m).
31P−NMR(162MHz,CDCl
3): δ=146.57.
【0259】
(参考例3:プロリンアミダイトの合成)
下記スキーム8に従い、プロリン骨格を含むアミダイトである化合物17を製造した。
【0260】
【化S8】
【0261】
(1)N-(4-ヒドロキシブチル)-N
α-Fmoc-L-プロリンアミド(化合物14)
化合物13(Fmoc−L−プロリン)を出発原料とした。前記化合物13(10.00g、29.64mmol)、4−アミノ−1−ブタノール(3.18g、35.56mmol)および1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(10.90g、70.72mmol)を混合し、前記混合物に対し、減圧下で脱気し、アルゴンガスを充填した。前記混合物に、無水アセトニトリル(140mL)を室温で加え、さらに、ジシクロヘキシルカルボジイミド(7.34g、35.56mmol)の無水アセトニトリル溶液(70mL)を添加した後、アルゴン雰囲気下、室温で15時間撹拌した。反応終了後、生成した沈殿をろ別し、回収したろ液について、減圧下で溶媒を留去した。得られた残渣にジクロロメタン(200mL)を加え、飽和重曹水(200mL)で洗浄した。そして、有機層を回収し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、前記有機層をろ過した。得られたろ液について、減圧下で溶媒を留去し、その残渣にジエチルエーテル(200mL)を加え、粉末化した。生じた粉末を濾取することにより、無色粉末状の化合物14(10.34g、収率84%)を得た。以下に、前記化合物14の機器分析値を示す。
【0262】
化合物14:
1H−NMR(CDCl
3): δ7.76−7.83(m,2H,Ar−H)、7.50−7.63(m,2H,Ar−H)、7.38−7.43 (m,2H,Ar−H)、7.28−7.33(m,2H,Ar−H),4.40−4.46(m,1H,CH),4.15−4.31(m,2H,CH
2),3.67−3.73(m,2H,CH
2)、3.35−3.52(m,2H,CH
2)、3.18−3.30(m,2H,CH
2)、2.20−2.50(m,4H)、1.81−2.03(m,3H)、1.47−1.54(m,2H);
Ms(FAB+): m/z409(M+H
+).
【0263】
(2)N-(4-O-DMTr-ヒドロキシブチル)-L-プロリンアミド(化合物15)
N-(4-ヒドロキシブチル)-N
α-Fmoc-L-プロリンアミド(化合物14)(7.80g、19.09mmol)を無水ピリジン(5mL)と混合し、室温で2回共沸乾燥した。得られた残留物に、4,4’−ジメトキシトリチルクロリド(8.20g、24.20mmol)、DMAP(23mg、0.19mmol)および無水ピリジン(39mL)を加えた。この混合物を、室温で1時間撹拌した後、メタノール(7.8mL)を加え、室温で30分撹拌した。この混合物を、ジクロロメタン(100mL)で希釈し、飽和重曹水(150mL)で洗浄後、有機層を分離した。前記有機層を、硫酸ナトリウムで乾燥した後、前記有機層をろ過した。得られたろ液について、減圧下で溶媒を留去した。得られた未精製の残渣に、無水ジメチルホルムアミド(39mL)およびピペリジン(18.7mL、189mmol)を加え、室温で1時間撹拌した。反応終了後、前記混合液について、減圧下、室温で、溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(商品名Wakogel C−300、展開溶媒 CH
2Cl
2:CH
3OH=9:1、0.05%ピリジン含有)に供し、淡黄色油状の化合物15(9.11g、収率98%)を得た。以下に、前記化合物15の機器分析値を示す。
【0264】
化合物15:
1H−NMR (CDCl
3): δ7.39−7.43(m,2H,Ar−H)、7.30(d,J=8.8Hz,4H,Ar−H)、7,21(tt,1H,4.9,1.3Hz,Ar−H)、6.81(d,J=8.8Hz,4H,Ar−H)、3.78(s,6H,OCH
3)、3.71(dd,H,J=6.3Hz,5.4Hz,CH)、3.21(2H,12.9,6.3Hz,2H,CH
2)、3.05(t,J=6.3Hz,2H,CH
2)、2.85−2.91(m,2H,CH
2)、2.08−2.17(m,1H,CH)、1.85−2.00(m,3H)、1.55−1.65(m,5H);
Ms(FAB+); m/z 489(M+H
+)、303(DMTr
+).
【0265】
(3)N-(4-O-DMTr-ヒドロキシブチル)-N
α-(6-ヒドロキシヘキサノイル)-L-プロリンアミド(化合物16)
得られた前記N-(4-O-DMTr-ヒドロキシブチル)-L-プロリンアミド(化合物15)(6.01g、12.28mmol)、EDC(2.83g、14.74mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(3.98g、29.47mmol)およびトリエチルアミン(4.47g、44.21mmol)の無水ジクロロメタン溶液(120mL)を混合した。この混合液に、さらに、アルゴン雰囲気下、室温で、6−ヒドロキシヘキサン酸(1.95g、14.47mmol)を加え、その後、アルゴン雰囲気下、室温で、1時間撹拌した。前記混合液をジクロロメタン(600mL)で希釈し、飽和食塩水(800mL)で3回洗浄した。有機層を回収し、前記有機層を、硫酸ナトリウムで乾燥した後、前記有機層をろ過した。得られたろ液について、減圧下で溶媒を留去した。これにより、淡黄色泡状の前記化合物16(6.29g、収率85%)を得た。以下に、前記化合物16の機器分析値を示す。
【0266】
化合物16:
1H−NMR (CDCl
3): δ7.41−7.43(m,2H,Ar−H)、7.27−7.31(m,4H,Ar−H)、7.19−7.26(m,2H,Ar−H)、7.17−7.21(m,1H,Ar−H)、6.79−6.82(m,4H,Ar−H)、4.51−4.53(m,1H,CH)、3.79(s,6H,OCH
3)、3.61(t,2H,J=6.4Hz,CH
2)、3.50−3.55(m,1H,CH)、3.36−3.43(m,1H,CH),3.15−3.24(m,2H,CH
2),3.04(t,J=6.3Hz,2H,CH
2)、2.38−2.45(m,1H,CH)、2.31(t,6.8Hz,2H,CH
2)、2.05−2.20(m,1H,CH)、1.92−2.00(m,1H,CH)、1.75−1.83(m,1H,CH)、1.48−1.71(m,8H)、1.35−1.44(m,2H,CH
2);
Ms(FAB+): m/z 602(M
+)、303(DMTr
+).
【0267】
(4)N-(4-O-DMTr-ヒドロキシブチル)-N
α-(6-O-(2-シアノエチル-N,N-ジイソプロピルホスフィチル)-ヒドロキシヘキサノイル)-L-プロリンアミド(化合物17)
得られた前記N-(4-O-DMTr-ヒドロキシブチル)-N
α-(6-ヒドロキシヘキサノイル)-L-プロリンアミド(化合物16)(8.55g、14.18mmol)を無水アセトニトリルと混合し、室温で3回共沸乾燥した。得られた残留物に、ジイソプロピルアンモニウムテトラゾリド(2.91g、17.02mmol)を加え、減圧下で脱気し、アルゴンガスを充填した。前記混合物に対し、無水アセトニトリル(10mL)を加え、さらに、2−シアノエトキシ−N,N,N’,N’−テトライソプロピルホスホロジアミダイト(5.13g、17.02mmol)の無水アセトニトリル溶液(7mL)を加えた。この混合物を、アルゴン雰囲気下、室温で2時間撹拌した。そして、前記混合物をジクロロメタンで希釈し、飽和重曹水(200mL)で3回洗浄した後、飽和食塩水(200mL)で洗浄した。有機層を回収し、硫酸ナトリウムで乾燥した後、前記有機層をろ過した。得られた前記ろ液について、減圧下に溶媒を留去した。得られた残渣を、充填剤としてアミノシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 ヘキサン:酢酸エチル=1:3、0.05%ピリジン含有)に供し、無色シロップ状の化合物17(10.25g、純度92%、収率83%)を得た。以下に、前記化合物17の機器分析値を示す。
【0268】
化合物17:
1H−NMR(CDCl
3): δ7.40−7.42(m,2H,Ar−H)、7.29−7.31(m,4H,Ar−H)、7.25−7.27(m,2H, Ar−H)、7.17−7.21(m,1H,Ar−H)、6.80−6.82(m,4H,Ar−H)、4.51−4.53(m,1H,CH)、3.75−3.93(m,4H)、3.79(s,6H,OCH
3)、3.45−3.60(m,4H)、3.35−3.45(m,1H,CH)、3.20−3.29(m,1H)、3.04(t,J=6.4Hz,2H,CH
2)、2.62(t,J=5.8Hz,2H,CH
2)、2.40−2.44(m,1H,CH)、2.31(t,7.8Hz,2H,CH
2)、2.03−2.19(m,1H,CH)、1.92−2.02(m,1H,CH)、1.70−1.83(m,1H,CH)、1.51−1.71(m,8H)、1.35−1.44(m,2H,CH
2)、1.18(d,J=6.8Hz,6H,CH
3)、1.16(d,J=6.8Hz,6H,CH
3);
31P−NMR(CDCl
3): δ147.17;
Ms(FAB+): m/z 802(M
+)、303(DMTr
+),201(C
8H
19N
2OP
+).
【0269】
(参考例4:リジン−コレステロールアミダイトの合成)
下記スキームに従い、リジン−コレステロールアミダイトである化合物11を製造した。
【0270】
【化S】
【0271】
(1)(コレスタ-5-エン-3β-イル)イミダゾール-1-カルボキシレート(化合物2)の合成
コレステロール(化合物1)(8.0 g, 20 mmol)のピリジン溶液(200 mL)にN,N-カルボニルジイミダゾール(6.6 g, 2.0 eq.)を加え、室温にて4時間撹拌した。エバポレーターにて溶媒留去、ジクロロメタンを加えて溶液を希釈した。この溶液を5%リン酸二水素ナトリウム水溶液で洗浄し、その後飽和食塩水で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒留去した。減圧乾燥し、白色固体物質を9.8 g(収率 98 %)得た。以下に、化合物(2)の機器分析値を示す。
【0272】
1H-NMR (500 MHz, CDCl
3) δ: 8.13 (s, 1H), 7.42 (s, 1H), 7.06 (s, 1H), 5.40-5.45 (m, 1H), 4.75-4.85 (m, 1H), 2.45-2.54 (m, 2H), 1.58-2.06 (m, 7H), 0.90-1.58 (m, 19H), 1.06 (s, 3H), 0.92 (d, 3H, J=6.3Hz), 0.87 (d, 6H, J=6.8Hz), 0.69 (s, 3H).
【0273】
(2)6-(4,4’-ジメトキシトリチル)ヘキサン酸(化合物4)の合成
共沸乾燥した6-ヒドロキシヘキサン酸(化合物3)(3.0 g, 23 mmol)と4-ジメチルアミノピリジン(DMAP) (0.28 g, 0.1 eq.)のピリジン溶液 (75 mL) に4,4-ジメトキシトリチルクロリド(DMTrCl) (7.8 g, 1.0 eq.) を加えて室温にて5時間撹拌した。TLCにて原料の消失を確認後、メタノールを加えて30分撹拌した。エバポレーターにて溶媒留去、ジクロロメタンを加えて溶液を希釈した。この溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄、飽和食塩水で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒留去した。ヘキサンを用いてトリチレーションを行った。減圧乾燥し、油状物質を7.8 g得た。
【0274】
(3)t-ブチル (1-((4-ヒドロキシブチル)アミノ)-1-オキソ-6-(2,2,2-トリフルオロアセトアミド)ヘキサン-2-イル)カルバメート(化合物6)の合成
N-α-(t-ブトキシカルボニル)-N-ε-トリフルオロアセチル-L-リジン(化合物5)(8.0 g, 24 mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド溶液(160 mL)に4-アミノ-1-ブタノール (2.4 g, 1.2 eq.)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール一水和物(HOBt) (8.6 g, 2.4 eq.)を加え、0℃で撹拌した。1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC) (5.4 g, 1.2 eq.)を加え30分撹拌した。その後室温で一晩撹拌した。反応溶液をエバポレーターにて溶媒留去した。得られた残渣にジクロロメタンを加え、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄後、飽和食塩水で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥、減圧下溶媒留去した。ヘキサンで洗浄後、沈殿物をろ別して減圧乾燥させた。固体物質を7.0 g(収率 73 %)得た。以下に、化合物(6)の機器分析値を示す。
【0275】
1H-NMR (500 MHz, CDCl
3) δ: 7.16 (br, 1H), 6.77 (t, J= 5.4 Hz, 1H), 4.04 (m, 1H), 3.66 (d, J= 5.4 Hz, 2H), 3.37 (dd, J= 12.9, 6.3 Hz, 2H), 3.29 (dd, J= 12.4, 6.3 Hz, 2H), 1.84-1.79 (m, 2H), 1.66-1.56 (m, 6H), 1.44 (s, 9H), 1.41-1.37 (m, 2H).
【0276】
(4)t-ブチル(6-アミノ-1-((4-ヒドロキシブチル)アミノ)-1-オキソヘキサン-2-イル)カルバメート(化合物7)の合成
化合物6(3.0 g, 7.2 mmol)のメタノール溶液(30 mL)に、アンモニア水 (26.5 mL, 50eq.) を加えて室温で1日撹拌した。さらにアンモニア水 (26.5 mL, 50eq.) を加えて40℃で7時間撹拌した。反応終了後、減圧下溶媒留去した。減圧乾燥して油状物質を2.3 g得た。以下に、化合物(7)の機器分析値を示す。
【0277】
ESI-MS: m/z 318.25 [M+H]
+
【0278】
(5)t-ブチル(コレスタ-5-エン-3β-イル) (6-((4-ヒドロキシブチル)アミノ)-6-オキソヘキサン-1,5-ジイル)ジカルバメート(化合物8)の合成
化合物7(2.3 g, 7.3 mmol)のピリジン溶液(100 mL)に、化合物2 (14 g, 4.0 eq.)と4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)(0.27 g, 0.3 eq.)を加えて、40℃で5日間撹拌した。エバポレーターにて溶媒留去、ジクロロメタンを加えて溶液を希釈した。この溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄、飽和食塩水で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフ(展開溶媒 ジクロロメタン:メタノール=20:1)に付し、固体物質を3.5 g(収率 67 %)得た。以下に、化合物(8)の機器分析値を示す。
【0279】
1H-NMR (500 MHz, CDCl
3) δ: 5.37 (s, 1H), 4.74 (m, 1H), 4.47 (m, 1H), 3.67 (m, 2H), 3.30 (m, 2H), 3.19-3.11 (m, 2H), 2.34 (d, 2H, J=6.3Hz), 1.98 (m, 2H), 1.90-1.80 (m, 5H), 1.65-1.00 (m, 38H), 0.99 (s, 3H), 0.92 (d, 3H, J=6.3Hz), 0.87 (d, 6H, J=6.8Hz), 0.69 (s, 3H).
ESI-MS: m/z 730.59 [M+H]
+, 752.57 [M+Na]
+, 1460.19 [2M+H]
+, 1482.16 [2M+Na]
+
【0280】
(6)コレスタ-5-エン-3β-イル(5-アミノ-6-((4-ヒドロキシブチル)アミノ)-6-オキソヘキシル)カルバメート(化合物9)の合成
化合物8(3.4 g, 4.7 mmol)を2M-塩酸/メタノール溶液(150 mL)に加え、室温で3時間撹拌した。反応終了後、減圧下溶媒留去した。ヘキサンを用いてトリチレーションを行った。減圧乾燥し、固体物質を2.7 g(収率 93 %)得た。以下に、化合物(9)の機器分析値を示す。
【0281】
ESI-MS:m/z 630.54 [M+H]
+, 1460.07 [2M+H]
+
【0282】
(7)コレスタ-5-エン-3β-イル(5-(6-(4,4’-ジメトキシトリチル)ヘキサンアミド)-6-((4-ヒドロキシブチル)アミノ)-6-オキソヘキシル)カルバメート(化合物10)の合成
化合物9(2.5 g, 4.0 mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド溶液(90 mL)に化合物4 (2.6 g, 1.5 eq.)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール一水和物(HOBt) (1.8 g, 3.0 eq.)、トリエチルアミン(1.2 g, 3.0 eq.)を加え、0℃で撹拌した。1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC) (1.1 g, 1.5 eq.)を加え30分撹拌した。その後室温で一晩撹拌した。反応溶液をエバポレーターにて溶媒留去した。得られた残渣にジクロロメタンを加え、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄後、飽和食塩水で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥、減圧下溶媒留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフ(展開溶媒 酢酸エチル+0.05% ピリジン→酢酸エチル:メタノール(30:1)+0.05% ピリジン)に付し、固体物質を2.0 g(収率 50 %)得た。以下に、化合物(10)の機器分析値を示す。
【0283】
1H-NMR (500 MHz, CDCl
3) δ: 7.42-7.41 (m, 2H), 7.32-7.26 (m, 6H), 7.21-7.18 (m, 1H), 6.81 (d, J= 8.8 Hz, 4H), 5.37 (s, 1H), 4.79 (m, 1H), 4.32 (m, 1H), 3.78 (s, 6H), 3.64-3.61 (m, 2H), 3.29-3.25 (m, 2H), 3.18-3.09 (m, 2H), 3.02 (t, J= 6.6 Hz, 2H), 2.35-2.26 (m, 2H), 2.19 (t, J= 7.6 Hz, 2H), 2.06-1.58 (m, 9H), 1.58-0.90 (m, 33H), 0.99 (s, 3H), 0.92 (d, 3H, J=6.3Hz), 0.87 (d, 6H, J=6.8Hz), 0.69 (s, 3H).
ESI-MS:m/z 1068.72 [M+Na]
+, 1084.71 [M+K]
+
【0284】
(8)コレスタ-5-エン-3β-イル(5-(6-(4,4’-ジメトキシトリチル)ヘキサンアミド) -6-((4-(((2-シアノエトキシ)(ジイソプロピルアミノ)ホスフィノ)オキシ)ブチル)アミノ)-6-オキソヘキシル)カルバメート(化合物11)の合成
共沸乾燥した化合物10 (2.3 g, 2.2 mmol) のジクロロメタン溶液 (8 mL) に、ジイソプロピルアンモニウムテトラゾリド(DIPAT) (0.45 g, 1.2 eq.)を加えた。2-シアノエトキシ-N,N,N’,N’-テトライソプロピルホスホロジアミダイト (0.80 g, 1.2 eq.) のジクロロメタン溶液 (2 mL)を加え、40℃にて3時間撹拌した。ジクロロメタンにて希釈し飽和重曹水および飽和食塩水で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒留去した。アミノシリカを用いたカラムクロマトグラフ(展開溶媒 n-ヘキサン:酢酸エチル(1:2)+0.1 %トリエチルアミン)に残渣を付し、固体物質を2.2 g(収率81%)得た。以下に、化合物(11)の機器分析値を示す。
【0285】
1H-NMR (500 MHz, CDCl
3) δ: 7.43-7.41 (m, 2H), 7.32-7.25 (m, 6H), 7.21-7.17 (m, 1H), 6.81 (d, J= 8.8 Hz, 4H), 5.36 (s, 1H), 4.78 (m, 1H), 4.34 (m, 1H), 3.78 (s, 6H), 3.70-3.55 (m, 6H), 3.28-3.23 (m, 2H), 3.13-3.09 (m, 2H), 3.02 (t, J= 6.6 Hz, 2H), 2.64 (t, J= 6.5 Hz, 2H), 2.19 (t, J= 7.6 Hz, 2H), 2.00-1.78 (m, 6H), 1.65-0.90 (m, 38H), 1.18-1.16 (m, 12H), 0.99 (s, 3H), 0.92 (d, 3H, J=6.3Hz), 0.87 (d, 6H, J=6.8Hz), 0.67 (s, 3H).
31P-NMR (202 MHz, CDCl
3) : δ=148.074, 147.913
ESI-MS:m/z 1268.85 [M+Na]
+, 1284.82 [M+K]
+
【0286】
(参考例5:脂肪酸活性エステル体の合成)
下記スキーム9に従い、ミリスチン酸-N-ヒドロキシコハク酸イミドエステル(C14-NHS)、パルミチン酸-N-ヒドロキシコハク酸イミドエステル(C16-NHS)またはステアリン酸-N-ヒドロキシコハク酸イミドエステル(C18-NHS)を、それぞれ合成した。また、下記スキーム10に従い、オレイン酸-N-ヒドロキシコハク酸イミドエステル(C18:1-NHS)を合成した。
【0287】
【化S9】
【0288】
【化S10】
【0289】
ミリスチン酸-N-ヒドロキシコハク酸イミドエステル(C14-NHS)の合成
ミリスチン酸(1.5g, 6.6mmol)をジクロロメタン(30mL)に溶解させ撹拌した。この溶液にN-ヒドロキシコハク酸イミド(0.91g, 1.2eq.)と1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)(1.5g, 1.2eq.)を加え、一晩撹拌した。水で2回洗浄後、飽和食塩水で1回洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥して、減圧下溶媒留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=1/3)により精製し、目的物を1.4g(収率67%)得た。以下に、得られたミリスチン酸-N-ヒドロキシコハク酸イミドエステル(C14-NHS)のNMR測定結果を示す。
【0290】
ミリスチン酸-N-ヒドロキシコハク酸イミドエステル(C14-NHS):
1H−NMR(CDCl
3) δ: 2.83(4H, s), 2.60(2H, t, J=7.6Hz), 1.74(2H, q, J=7.6Hz), 1.44(2H, q, J=6.9Hz), 1.48−1.22(18H, m), 0.88(3H, t, J=6.8Hz).
【0291】
パルミチン酸-N-ヒドロキシコハク酸イミドエステル(C16-NHS)の合成
パルミチン酸(6.0g, 23mmol)をジクロロメタン(110mL)に溶解させ撹拌した。この溶液にN-ヒドロキシコハク酸イミド(3.2g, 1.2eq.)と1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)(5.4g, 1.2eq.)を加え、一晩撹拌した。水で2回洗浄後、飽和食塩水で1回洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥して、減圧下溶媒留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=1/2)により精製し、目的物を7.8g(収率94%)得た。以下に、得られたパルミチン酸-N-ヒドロキシコハク酸イミドエステル(C16-NHS)のNMR測定結果を示す。
【0292】
パルミチン酸-N-ヒドロキシコハク酸イミドエステル(C16-NHS):
1H−NMR(CDCl
3) δ: 2.84(4H, s), 2.60(2H, t, J=7.6Hz), 1.74(2H, q, J=7.6Hz), 1.38(2H, q, J=6.9Hz), 1.43−1.20(m, 22H), 0.88(3H, t, J=6.8Hz).
【0293】
ステアリン酸-N-ヒドロキシコハク酸イミドエステル(C18-NHS)の合成
ステアリン酸(3.0g, 11mmol)をジクロロメタン(100mL)に溶解させ撹拌した。この溶液にN-ヒドロキシコハク酸イミド(1.5g, 1.2eq.)と1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)(2.4g, 1.2eq.)を加え、2日間撹拌した。水で2回洗浄後、飽和食塩水で1回洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥して、減圧下溶媒留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=1/3)により精製し、目的物を2.8g(収率70%)得た。以下に、得られたステアリン酸-N-ヒドロキシコハク酸イミドエステル(C18-NHS)のNMR測定結果を示す。
【0294】
ステアリン酸-N-ヒドロキシコハク酸イミドエステル(C18-NHS):
1H−NMR(CDCl
3) δ: 2.84(4H, m), 2.60(2H, t, J=7.6Hz), 1.74(2H, q, J=7.6Hz), 1.38(2H, q, J=6.9Hz), 1.43−1.20(m, 26H), 0.88(3H, t, J=6.8Hz).
【0295】
オレイン酸-N-ヒドロキシコハク酸イミドエステル(C18:1-NHS)の合成
オレイン酸(4.0g, 14mmol)をジクロロメタン(70mL)に溶解させ撹拌した。この溶液にN-ヒドロキシコハク酸イミド(2.0g, 1.2eq.)と1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)(3.3g, 1.2eq.)を加え、一晩撹拌した。水で2回洗浄後、飽和食塩水で1回洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥して、減圧下溶媒留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=1/3)により精製し、目的物を5.2g(収率97%)得た。以下に、得られたオレイン酸-N-ヒドロキシコハク酸イミドエステル(C18:1-NHS)のNMR測定結果を示す。
【0296】
オレイン酸-N-ヒドロキシコハク酸イミドエステル(C18:1-NHS):
1H−NMR(CDCl
3) δ: 5.35(2H, m), 2.83(4H, s), 2.60(2H, t, J=7.6Hz), 2.01(4H, m), 1.75(2H, q, J=7.6Hz), 1.41−1.27(20H, m), 0.88(3H, t, J=6.8Hz).
【0297】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。