(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6883374
(24)【登録日】2021年5月12日
(45)【発行日】2021年6月9日
(54)【発明の名称】成形品取出し装置
(51)【国際特許分類】
B29C 45/42 20060101AFI20210531BHJP
B29C 33/44 20060101ALI20210531BHJP
【FI】
B29C45/42
B29C33/44
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-196491(P2017-196491)
(22)【出願日】2017年10月10日
(65)【公開番号】特開2019-69545(P2019-69545A)
(43)【公開日】2019年5月9日
【審査請求日】2020年8月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000132231
【氏名又は名称】株式会社スター精機
(74)【代理人】
【識別番号】100081466
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 研一
(72)【発明者】
【氏名】水野 耕治
【審査官】
▲高▼村 憲司
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭62−199316(JP,U)
【文献】
特開平08−300365(JP,A)
【文献】
実開昭62−094021(JP,U)
【文献】
特開2015−223716(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3205448(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00 − 45/84
B29C 33/00 − 33/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形品を負圧吸着したチャックを少なくとも二次元方向へ移動して成形機金型内の成形品を該成形機の操作側及び反操作側のいずれかに設定された開放位置に取り出す成形品取出し装置において、
成形機の固定プラテンに固定される第1フレームは、上記成形機の中心軸線と直交する方向及び中心軸線と一致する方向のいずれかで、一方端部が金型側及び他方端部が上記開放位置側へ延出し、上記チャックを移動可能に支持すると共に少なくとも一方端部側に中空部を有した中空構造からなり、
上記第1フレームの中空部内には圧縮空気形成手段の空気タンクの少なくとも一部を挿嵌して固定すると共に第1フレームの一方端部には圧縮空気形成手段の空気圧縮機を取り付け、
空気圧縮機により圧縮形成された圧縮空気を空気タンク内に供給して溜めた後に圧縮空気を吐出可能にした成形品取出し装置。
【請求項2】
成形品を負圧吸着したチャックを少なくとも二次元方向へ移動して成形機の金型内の成形品を該成形機の操作側及び反操作側のいずれかに設定された開放位置に取り出す成形品取出し装置において、
成形機の固定プラテンに固定される第1フレームは、上記成形機の中心軸線と直交する方向及び中心軸線と一致する方向のいずれかで、一方端部が金型側及び他方端部が上記開放位置側へ延出し、上記チャックを移動可能に支持すると共に少なくとも一方端部側に中空部を有し、
上記第1フレームの中空部内には圧縮空気形成手段の空気タンクの少なくとも一部を挿嵌して固定すると共に固定された空気タンクには圧縮空気形成手段の空気圧縮機を取り付け、
空気圧縮機により圧縮形成された圧縮空気を空気タンク内に供給して溜めた後に圧縮空気を吐出可能にした成形品取出し装置。
【請求項3】
請求項1及び2のいずれかおいて、
第1フレームは、その長手直交方向断面が方形状で、内部に中空部を有した筒体からなる成形品取出し装置。
【請求項4】
請求項1及び2のいずれかにおいて、
上記第1フレームは成形機の中心軸線と直交する方向へ延出し、第1走行体をその長手方向へ往復移動可能に支持し、
上記第1走行体には第1フレームの長手方向と直交する方向へ延出する第2フレームを設けると共に該第2フレームには第2走行体をその長手方向へ往復移動可能に支持し、
上記第2走行体には下部にチャックが設けられた上下ユニットを昇降可能に支持し、
上記チャックを三次元方向へ移動して成形品取出しを実行する成形品取出し装置。
【請求項5】
請求項1及び2のいずれかにおいて、
上記第1フレームは成形機の側方にてその中心軸線と一致する方向で、金型位置と開放位置に至る長さで延出し、第1走行体をその長手方向へ往復移動可能に支持し、
上記第1走行体には第1フレームの長手方向と直交する方向で、金型と成形機側方に至る長さで延出する第2フレームを設けると共に該第2フレームには第2走行体をその長手方向へ往復移動可能に支持し、
上記第2走行体には下部にチャックが設けられた上下ユニットを昇降可能に支持し、
上記チャックを三次元方向へ移動して成形品取出しを実行する成形品取出し装置。
【請求項6】
請求項1において、
第1フレームの一方端部は成形機の側方へ突出し、突出した一方端部の中空部内に空気タンクの少なくとも一部を挿嵌して固定すると共に突出した一方端部に空気圧縮機を取り付けた成形品取出し装置。
【請求項7】
成形品を負圧吸着したチャックを二次元方向へ移動して成形機の金型内の成形品を該成形機の操作側及び反操作側のいずれかに設定された開放位置に取り出す成形品取出し装置において、
成形機の固定プラテンに対し、成形機の操作側及び反操作側のいずれか一方側に位置するように固定され、成形機の中心軸線と一致する方向へ延出し、第3走行体が中心軸線と一致する方向へ往復移動可能に支持される第3フレームと、
上記第3走行体に対し、上記中心軸線と直交方向へ延出して移動可能に支持される第4走行体と、
第4走行体に対し、上記中心軸線と直交方向へ移動可能に支持され、チャックが設けられる第5走行体と、
を備え、
上記第3フレームは、少なくとも一方の端部に中空部を有し、
上記第3フレームの中空部内には圧縮空気形成手段の空気タンクの少なくとも一部を挿嵌して固定すると共に固定された空気タンクには圧縮空気形成手段の空気圧縮機を取り付け、
空気圧縮機により圧縮形成された圧縮空気を空気タンク内に供給して溜めた後に圧縮空気を吐出可能にした成形品取出し装置。
【請求項8】
成形品を負圧吸着したチャックを二次元方向へ移動して成形機の金型内の成形品を該成形機の操作側及び反操作側のいずれかに設定された開放位置に取り出す成形品取出し装置において、
成形機の固定プラテンに対し、成形機の操操作及び反操作側のいずれか一方側に位置するように固定され、成形機の中心軸線と一致する方向へ延出し、第3走行体が中心軸線と一致する方向へ往復移動可能に支持される第3フレームと、
上記第3走行体に対し、上記中心軸線と直交方向へ延出して移動可能に支持される第4走行体と、
第4走行体に対し、上記中心軸線と直交方向へ移動可能に支持され、チャックが設けられる第5走行体と、
を備え、
上記第3フレームは、少なくとも一方の端部に中空部を有し、
上記第3フレームの中空部内には圧縮空気形成手段の空気タンクの少なくとも一部を挿嵌して固定すると共に空気タンクが固定された第3フレームの端部には圧縮空気形成手段の空気圧縮機を取り付け、
空気圧縮機により圧縮形成された圧縮空気を空気タンク内に供給して溜めた後に圧縮空気を吐出可能にした成形品取出し装置。
【請求項9】
請求項7及び8のいずれかおいて、
第3フレームは、その長手直交方向断面が方形状で、内部に中空部を有した筒体からなる成形品取出し装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形機により成形された成形品を所定の開放位置に取出す成形品取出し装置、詳しくは成形品を吸着して保持するチャックの吸着パッドを負圧形成するための圧縮空気発生手段を第1フレームに設けて省スペース化した成形品取出し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
成形品取出し装置にあっては、成形品を吸着保持したチャックを成形機の金型間から成形機の操作側又は反操作側に設定された開放位置の間で移動制御して成形品取出し動作を実行している。そしてチャックによる成形品を保持するには、一般的に吸着パッドを負圧化して吸着するようにしている。
【0003】
該吸着パッドの負圧減としては、例えば特許文献1に示すように走行体に負圧発生装置を搭載し、該負圧発生装置に圧縮空気を供給し、そのベンチュリ作用により負圧を形成している。
【0004】
上記負圧発生装置に供給される圧縮空気は、工場に設けられた空気圧縮機(空気コンプレッサ)及び空気タンク(空気タンク)から配管された空気配管を介して供給したり、成形品取出し装置ごとに、成形機に成形品取出し装置を固定するために固定プラテンに固定される架台又は該架台に固定される第1フレームに空気圧縮機及び空気タンクを取り付けたりして供給するようにしている。
【0005】
前者にあっては、工場内に設置された多数の成形品取出し装置のすべてに圧縮空気を供給する必要から大容量の圧縮空気を発生することが可能な大型の空気圧縮機及び空気タンクとしている。しかし、工場内に設置された多数の成形品取出し装置の内、一部の成形品取出し装置を稼働させる場合であっても、工場全体に圧縮空気を供給できる能力を備えた大容量の空気圧縮機を稼働させる必要があり、空気圧縮機の稼働効率が悪くなり、空気圧縮機の消費電力が増大する問題を有している。また、空気タンクからそれぞれの成形品取出し装置へ圧縮空気を供給するための空気配管が長くなることが避けられず、空気損失が増大する問題を有している。
【0006】
後者にあっては、架台や第1フレームに取付けられた空気圧縮機や空気タンクが成形機の射出ユニット(射出シリンダー)や移動するチャックに干渉する恐れがあるため、小型で小容量の空気圧縮機や空気タンクしか取り付けることができず、大型(重量物)の成形品を取出す場合には、成形品を吸着保持するのに十分な負圧を得ることが困難であった。また、小型成形品を取り出す成形品取出し装置にあっては、成形機や成形品取出し装置自体が小型で、設置スペースが更に狭小化するため、成形機の射出ユニット(射出シリンダー)や移動するチャックに対する干渉を回避しながら空気圧縮機や空気タンクを取り付けるスペースを十分に確保できなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2015-223716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
解決しようとする問題点は、工場内の一部の成形品取出し装置を稼働させる場合であっても、大容量の空気圧縮機を稼働させる必要があり、空気圧縮機の稼働効率が悪くなり、空気圧縮機の消費電力が増大する点にある。
【0009】
また、1台の空気圧縮機及び空気タンクからそれぞれの成形品取出し装置に圧縮空気を供給する空気配管が長くなることが避けられず、配管途中における空気損失により圧縮空気の消費量が増大する点にある。
【0010】
更に、固定プラテンに対する成形品取出し装置の設置スペース自体が狭小なため、空気圧縮機及び空気タンクを成形機の射出ユニットや移動するチャックと干渉せずに取り付けることが困難な点にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の請求項1は、成形品を負圧吸着したチャックを少なくとも二次元方向へ移動して成形機金型内の成形品を該成形機の操作側及び反操作側のいずれかに設定された開放位置に取り出す成形品取出し装置において、成形機の固定プラテンに固定される第1フレームは、上記成形機の中心軸線と直交する方向及び中心軸線と一致する方向のいずれかで、一方端部が金型側及び他方端部が上記開放位置側へ延出し、上記チャックを移動可能に支持すると共に少なくとも一方端部側に中空部を有した中空構造からなり、上記第1フレームの中空部内には圧縮空気形成手段の空気タンクの少なくとも一部を挿嵌して固定すると共に第1フレームの一方端部には圧縮空気形成手段の空気圧縮機を取り付け、空気圧縮機により圧縮形成された圧縮空気を空気タンク内に供給して溜めた後に圧縮空気を吐出可能にしたことを最も主要な特徴とする。
【0012】
請求項2は、成形品を負圧吸着したチャックを少なくとも二次元方向へ移動して成形機の金型内の成形品を該成形機の操作側及び反操作側のいずれかに設定された開放位置に取り出す成形品取出し装置において、成形機の固定プラテンに固定される第1フレームは、上記成形機の中心軸線と直交する方向及び中心軸線と一致する方向のいずれかで、一方端部が金型側及び他方端部が上記開放位置側へ延出し、上記チャックを移動可能に支持すると共に少なくとも一方端部側に中空部を有し、上記第1フレームの中空部内には圧縮空気形成手段の空気タンクの少なくとも一部を挿嵌して固定すると共に固定された空気タンクには圧縮空気形成手段の空気圧縮機を取り付け、空気圧縮機により圧縮形成された圧縮空気を空気タンク内に供給して溜めた後に圧縮空気を吐出可能にしたことを最も主要な特徴とする。
【0013】
請求項7は、成形品を負圧吸着したチャックを二次元方向へ移動して成形機の金型内の成形品を該成形機の操作側及び反操作側のいずれかに設定された開放位置に取り出す成形品取出し装置において、成形機の固定プラテンに対し、成形機の操操作及び反操作側のいずれか一方側に位置するように固定され、成形機の中心軸線と一致する方向へ延出し、第3走行体が中心軸線と一致する方向へ往復移動可能に支持される第3フレームと、上記第3走行体に対し、上記中心軸線と直交方向へ延出して移動可能に支持される第4走行体と、第4走行体に対し、上記中心軸線と直交方向へ移動可能に支持され、チャックが設けられる第5走行体とを備え、上記第3フレームは、少なくとも一方の端部に中空部を有し、上記第3フレームの中空部内には圧縮空気形成手段の空気タンクの少なくとも一部を挿嵌して固定すると共に固定された空気タンクには圧縮空気形成手段の空気圧縮機を取り付け、空気圧縮機により圧縮形成された圧縮空気を空気タンク内に供給して溜めた後に圧縮空気を吐出可能にしたことを最も主要な特徴とする。
【0014】
請求項8は、成形品を負圧吸着したチャックを二次元方向へ移動して成形機の金型内の成形品を該成形機の操作側及び反操作側のいずれかに設定された開放位置に取り出す成形品取出し装置において、成形機の固定プラテンに対し、成形機の操操作及び反操作側のいずれか一方側に位置するように固定され、成形機の中心軸線と一致する方向へ延出し、第3走行体が中心軸線と一致する方向へ往復移動可能に支持される第3フレームと、上記第3走行体に対し、上記中心軸線と直交方向へ延出して移動可能に支持される第4走行体と、第4走行体に対し、上記中心軸線と直交方向へ移動可能に支持され、チャックが設けられる第5走行体とを備え、上記第3フレームは、少なくとも一方の端部に中空部を有し、上記第3フレームの中空部内には圧縮空気形成手段の空気タンクの少なくとも一部を挿嵌して固定すると共に空気タンクが固定された第3フレームの端部には圧縮空気形成手段の空気圧縮機を取り付け、空気圧縮機により圧縮形成された圧縮空気を空気タンク内に供給して溜めた後に圧縮空気を吐出可能にしたことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、成形品取出し装置に応じた容量で小型の空気圧縮機及び空気タンクを使用し、空気圧縮を効率的に供給することができ、空気圧縮機の消費電力を低減することができる。
【0016】
また、空気圧縮機及び空気タンクから負圧発生器までの距離を最小にし、途中における空気損失等を抑制して圧縮空気の消費量を低減することができる。
【0017】
更に、固定プラテンに対する成形品取出し装置の設置スペースが狭小な場合であっても、空気圧縮機及び空気タンクを成形機の射出ユニットや移動するチャックと干渉せずに有効に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施例1に係る成形品取出し装置の概略を示す斜視図である。
【
図2】第1フレームに対する圧縮空気形成手段の取り付け状態を示す分解斜視図である。
【
図3】第1フレームに対する空気タンクの挿嵌固定状態を示す部分断面図である。
【
図4】第1フレームに対する圧縮空気形成手段の取り付け変更例を示す部分説明図である。
【
図5】実施例2に係る成形品取出し装置の概略を示す斜視図である。
【
図6】第1フレームに対する圧縮空気形成手段の取り付け状態を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
第1フレームの中空部内には圧縮空気形成手段の空気タンクの少なくとも一部を挿嵌して固定すると共に第1フレームの一方端部には圧縮空気形成手段の空気圧縮機を取り付け、空気圧縮機により圧縮形成された圧縮空気を空気タンク内に供給して溜めた後に圧縮空気を吐出可能にしたことを最良の形態とする。
【実施例1】
【0020】
以下、本発明を樹脂成形機に搭載され、成形された樹脂成形品を取出す樹脂成形品取出し装置に実施した実施例を示す図に従って説明する。
図1乃至
図3に示すように、樹脂成形機(図示せず)の固定プラテン1の上面には樹脂成形品取出し装置3が架台5を介して固定される。該樹脂成形品取出し装置3の第1フレーム7は樹脂成形機の中心軸線と直交(左右方向)し、一方端部が樹脂成形機の上方に位置し、かつ他方端部が樹脂成形機の操作側又は反操作側に設定される開放位置に至る長さで、内部に中空部7aを有し、少なくとも上面が平面状の、例えば長手直交方向断面が方形の筒体形状からなる。
【0021】
該第1フレーム7の上面にはその長手方向へ延出する一対のガイドレール9が固定され、該ガイドレール9には第1走行体11がその長手方向(樹脂成形機の中心軸線直交方向)へ移動するように支持される。
【0022】
また、第1フレーム7の上面には第1駆動部材の一部を構成し、その長手方向へ延出するラックギャ、タイミングベルト等の第1被駆動部材13が固定される。該第1被駆動部材13には第1走行体11に搭載され、第1駆動部材の一部を構成する数値制御可能なサーボモータ等の第1電動モータ(図示せず)の回転軸に固定されたプーリ等の第1駆動回転体(図示せず)が噛合され、第1電動モータの回転駆動に伴って第1走行体11がその長手方向へ往復移動される。
【0023】
上記第1走行体11の金型側には上記中心軸線と一致し、型開した可動金型の上方へ延出する第2フレーム15の基端部が固定され、該第2フレーム15には第2走行体17が上記中心軸線と一致する方向(前後方向)へ移動可能に支持される。上記第2フレーム15には、例えば前後方向に延出し、第2駆動部材の一部を構成するラックギャやタイミングベルト等の第2被駆動部材(図示せず)が固定されると共に第2被駆動部材には第2走行体17に搭載され、第2駆動部材の一部を構成する数値制御可能にサーボモータ等の第2電動モータ19の回転軸に固定されたプーリ等の第2駆動回転体(図示せず)が噛合され、第2電動モータ19の回転駆動に伴って第2走行体17が前後方向へ往復移動される。
【0024】
上記第2走行体17には上下方向に軸線を有した昇降ユニット21が昇降するように支持され、該昇降ユニット21の下端部には樹脂成形品を吸着して保持するチャック23が、必要に応じて水平位置と垂直位置の間で反転回動する姿勢制御部材(図示せず)を介して取り付けられる。該昇降ユニット21には、例えば上下方向に延出し、第3駆動部材の一部を構成するラックギャやタイミングベルト等の第3被駆動部材(図示せず)が固定されると共に第3被駆動部材には第2走行体17に搭載され、第3駆動部材の一部を構成する数値制御可能にサーボモータ等の第3電動モータ25の回転軸に固定されたプーリ等の第3駆動回転体(図示せず)が噛合され、第3電動モータ25の回転駆動に伴って第2走行体17に対して昇降ユニット21が上下方向へ昇降移動される。
【0025】
上記チャック23はチャック板23aに多数の吸着パッド23bが樹脂成形品の製品に対応して取り付けられ、各吸着パッド23bは、例えば第2走行体17に搭載された負圧発生器27にホース等を介して接続される。
【0026】
上記負圧発生器27に対して圧縮空気を発生して供給する空気圧縮機及び空気タンクは、樹脂成形品取出し装置3に対して以下のように取り付けられる。
【0027】
第1フレーム7において第1走行体11の移動原点より開放位置と反対側の外側に位置する一方端部の中空部7a内には空気タンク29の一方端部が挿嵌した状態で固定される。該空気タンク29は、例えばアルミニウム引き抜き材等の金属材からなり、樹脂成形品取出し装置3で使用する負圧を発生される空気(圧縮空気)の消費量に応じた容量で、上記中空部7a内に挿嵌可能な大きさ及び形状で長手直交方向断面が方形で、両端部が閉鎖された筒体形状に形成される。第1フレーム7挿嵌側の空気タンク29の吐出口部は上記負圧発生器27にホース等を介して接続される。
【0028】
第1フレーム7の一方端部から外側へ突出した空気タンク29の上面には空気圧縮機31が取り付けられる。該空気圧縮機31は、従来公知の往復式、回転式、遠心式及び軸流式のいずれの形式であってもよく、その吐出口は空気タンク29に逆止弁や圧力調整器等を設けて接続される。
【0029】
次に、上記のように構成された樹脂成形品取出し装置3の作用を説明する。
先ず、樹脂成形品取出し装置3による従来公知の樹脂成形品の取出し作用を説明すると、第1乃至第3電動モータ19、25の駆動に伴って第1走行体11を金型側の第1フレーム7における一方端側に、第2走行体17を金型上方に、また昇降ユニット21を上方にそれぞれ移動してチャック23を金型上方の待機位置へ移動して待機させる。
【0030】
上記状態にて樹脂成形機から樹脂成形作業の終了に伴って型開信号が出力されると、昇降ユニット21を下降作動してチャック23を可動金型に相対させた後に第2走行体17を可動金型側へ前進移動し、チャック23により可動金型内の樹脂成形品を吸着して保持させる。
【0031】
上記動作後、第2走行体17を可動金型から離間する方向へ後退移動させると共に昇降ユニット21を上昇作動して樹脂成形品を吸着保持したチャック23を金型間から上方へ離脱させる。
【0032】
チャック23が金型間から上方へ離脱したタイミングで樹脂成形機へ型閉信号を出力して型締めさせると共にチャック23が上方位置へ移動したタイミングで第1走行体11を第1フレーム7の他方端部側へ移動してチャック23を樹脂成形品の開放位置へ移動させる。
【0033】
該開放位置において、必要により昇降ユニット21を下降作動したり、第2走行体17を前進移動したりしてチャック23を開放位置に配置されたシューター(図示せず)や集積装置(図示せず)へ移動した後に樹脂成形品の吸着を解除してこれらに移載して取出し動作を完了した後に、第1走行体11、第2走行体17及び昇降ユニット21を戻してチャック23を待機位置へ移動し、次位の樹脂成形品の成形作業が終了するまで待機させる。
【0034】
チャック23により樹脂成形品を吸着保持するための負圧は、空気圧縮機31により発生して空気タンク29に溜められた圧縮空気を負圧発生器27へ供給し、そのベンチュリ作用により生成される負圧を吸着パッド23bに作用して樹脂成形品を吸着させる。
【0035】
その際、圧縮空気を発生させる空気圧縮機31及び該空気圧縮機31により発生する圧縮空気の脈動を抑制する空気タンク29が、開放位置と反対側でチャック23が移動操作されることのない第1フレーム7の一方端部側に設けられるため、チャック23に対する干渉を回避することができる。
【0036】
また、空気タンク29の一部または全部が第1フレーム7において第1走行体11の移動原点より開放位置と反対側の外側に位置する一方端部の中空部7a内に挿嵌して固定されるため、第1フレーム7における一方端部が外側へ大きく延出して取付けスペースが拡大するのを回避しながら樹脂成形品取出し装置3に対して空気圧縮機31及び空気タンク29を有効に設けることができる。
【0037】
上記説明は、第1フレーム7における一方端部の中空部7a内に、空気タンク29の一部を挿嵌して固定すると共に空気タンク29の露出部分(非挿嵌部分)に空気圧縮機31を取り付ける構成としたが、
図4に示すように第1フレーム7の一方端部を外側へ、空気圧縮機31の取付けスペース幅分、延伸し、第1フレーム7における一方端部の中空部7a内に空気タンク29の一部または全体を挿嵌して固定すると共に一方端部の延伸箇所に空気圧縮機31の取付ける構成としてもよい。
【0038】
上記説明は、第1フレーム7が樹脂成形機の中心軸線と直交する方向へ延出する中空構造で、その原点側の中空部7a内に空気タンク29の一部または全部を挿嵌して固定する構成としたが、架台5に固定される第1フレーム7を樹脂成形機の操作側又は反操作側のいずれかの側に位置し、樹脂成形機の中心軸線と一致する方向で、固定プラテン5側と型開した金型側に至る長さで延出する中空構造とすると共に該第1フレーム7に移動可能に支持される第1走行体11に設けられる第2フレーム15を樹脂成形機の中心軸線と直交する方向で金型と開放位置に至るように延出する、所謂縦トラバース構造としてもよい。
【実施例2】
【0039】
図5及び
図6に示すように実施例2に係る樹脂成形品取出し装置51は、樹脂成形機の操作側又は反操作側からチャック23を進入させて樹脂成形品を取出す、所謂サイドエントリータイプで、樹脂成形機の固定プラテン1の上面には、樹脂成形機の操作側又は反操作側へ延出する架台53の基端部が固定され、該架台53の延出部には上記中心軸線と一致する方向(前後方向)へ延出し、その先端部が型開した可動金型に至る長さからなる第3フレーム55の基端部が固定される。
【0040】
該第3フレーム55は、実施例1と同様に内部に中空部55aを有し、少なくとも下面が平面状の、例えば長手直交方向断面が方形の筒体形状からなる。そして該第3フレーム55の下面には前後方向へ延出する一対のガイドレール(図示せず)が固定され、該ガイドレールには第3走行体57が前後方向へ往復移動可能に支持される。
【0041】
該第3走行体57は、第1駆動部材と同様の第4駆動部材(図示せず)が連結され、該第4駆動部材の駆動に伴って第3走行体57が前後方向へ往復移動される。
【0042】
第3走行体57には、樹脂成形機の中心軸線と直交する方向(左右方向)に延出し、第3走行体57から金型に至る距離の半分の長さからなり、第4走行体としての左右走行フレーム61が左右方向へ移動可能に支持される。該左右走行フレーム61は第1駆動部材と同様の第5駆動部材(図示せず)が連結され、該第5駆動部材の駆動に伴って左右走行フレーム61が左右方向へ往復移動される。
【0043】
上記左右走行フレーム61には第5走行体65が左右方向へ移動可能に支持される。該第5走行体65には、左右方向に延出し、第3走行体57から金型に至る距離の半分の長さのアーム65aが取り付けられ、該アーム65aの先端部にはチャック23が取り付けられる。また、上記第5走行体には、第1駆動部材と同様の第6駆動部材67(図示せず)が連結され、第6駆動部材により第5走行体65が左右方向へ往復移動される。上記第5走行体65は、第5及び第6駆動部材が同期駆動させることにより第3走行体57に対してチャック23を倍速移動される。
【0044】
上記第3フレーム55の一方端部(
図5,6は可動金型寄りを示すが、樹脂成形機の金型交換作業を考慮すると、射出ユニット寄りの端部が望ましい。)には空気タンク29の一方端部が挿嵌した状態で固定され、その吐出口は第3走行体57に搭載された負圧発生器27にホース等を介して接続される。
【0045】
第3フレーム55の一方端部から外側へ突出した空気タンク29の上面には空気圧縮機31が取り付けられ、該空気圧縮機31の吐出口は空気タンク29の一方端部に逆止弁や圧力調整器等を設けて接続される。
【0046】
なお、実施例1と同一の部材に付いては、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0047】
実施例2は、実施例1と同様に圧縮空気を発生させる空気圧縮機31及び該空気圧縮機31により発生する圧縮空気の脈動を抑制する空気タンク29を第3フレーム55の一部として取り付けることができ、チャック23との干渉を有効に防止することができると共に取付けスペースを省スペース化することができる。
【0048】
実施例2にあっても、第3フレーム55の一方端部を、空気圧縮機31の取付けスペース幅分、延伸し、第3フレーム55における一方端部の中空部55a内に空気タンク29の一部または全体を挿嵌して固定すると共に一方端部の延伸箇所に空気圧縮機31の取付ける構成としてもよい。
【0049】
また、実施例1及び2は樹脂成形品取出し装置として説明したが、ダイキャスト成形品のように金属材料を成形する成形機に取付けられる成形品取出し装置としても実施可能である。
【符号の説明】
【0050】
1 固定プラテン
3 樹脂成形品取出し装置
5 架台
7 第1フレーム
7a 中空部
9 ガイドレール
11 第1走行体
13 第1被駆動部材
15 前後フレーム
17 第2走行体
19 第2電動モータ
21 昇降ユニット
23 チャック
23 チャック板
23b 吸着パッド
25 第3電動モータ
27 負圧発生手段としての負圧発生器
29 圧縮空気形成手段の空気タンク
31 圧縮空気形成手段の空気圧縮機
51 樹脂成形品取出し装置
53 架台
55 第3フレーム
55a 中空部
57 第3走行体
61 第4走行体としての左右走行フレーム
65 第5走行体
65a アーム