特許第6883407号(P6883407)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 矢崎総業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6883407-レバー式コネクタ 図000002
  • 特許6883407-レバー式コネクタ 図000003
  • 特許6883407-レバー式コネクタ 図000004
  • 特許6883407-レバー式コネクタ 図000005
  • 特許6883407-レバー式コネクタ 図000006
  • 特許6883407-レバー式コネクタ 図000007
  • 特許6883407-レバー式コネクタ 図000008
  • 特許6883407-レバー式コネクタ 図000009
  • 特許6883407-レバー式コネクタ 図000010
  • 特許6883407-レバー式コネクタ 図000011
  • 特許6883407-レバー式コネクタ 図000012
  • 特許6883407-レバー式コネクタ 図000013
  • 特許6883407-レバー式コネクタ 図000014
  • 特許6883407-レバー式コネクタ 図000015
  • 特許6883407-レバー式コネクタ 図000016
  • 特許6883407-レバー式コネクタ 図000017
  • 特許6883407-レバー式コネクタ 図000018
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6883407
(24)【登録日】2021年5月12日
(45)【発行日】2021年6月9日
(54)【発明の名称】レバー式コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/642 20060101AFI20210531BHJP
【FI】
   H01R13/642
【請求項の数】1
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-224214(P2016-224214)
(22)【出願日】2016年11月17日
(65)【公開番号】特開2018-81846(P2018-81846A)
(43)【公開日】2018年5月24日
【審査請求日】2019年10月17日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 裕介
【審査官】 鈴木 重幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−016306(JP,A)
【文献】 特開2013−016307(JP,A)
【文献】 特開2013−016297(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R13/56−13/72
H01R13/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1コネクタと、
前記第1コネクタと嵌合する第2コネクタと、
前記第1コネクタの内方に配置され回動によって前記第1コネクタと前記第2コネクタとを嵌合させるレバーと、
可撓性を有して前記第1コネクタの外側に突出して形成され前記第1コネクタと前記第2コネクタとの完全嵌合状態でのみ前記第1コネクタの内側に変位可能となって前記第2コネクタと嵌合した前記第1コネクタのパネルにおける取付穴への取り付けを可能とするパネル係止用ロックと、
を備え、
前記パネル係止用ロックが、第1パネル係止用ロック片と、第2パネル係止用ロック片と、からなり、
前記第1パネル係止用ロック片及び前記第2パネル係止用ロック片には、レバー対向側に突起が形成され、
前記第1パネル係止用ロック片は、前記第1コネクタと前記第2コネクタとの初期・中途嵌合状態で前記突起が前記レバーの表面と対向して撓みが阻止される一方、完全嵌合状態で前記レバーの表面から前記突起が外れた位置となって撓み可能となり、
前記第2パネル係止用ロック片は、前記第1コネクタと前記第2コネクタとの中途嵌合状態で前記突起が前記レバーの表面と対向して撓みが阻止される一方、完全嵌合状態で前記レバーの表面に形成された凹部に前記突起が一致して撓み可能となることを特徴とするレバー式コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レバー式コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
パネルに取り付けるタイプのレバー式コネクタとして、例えば特許文献1に開示されているものがある。図17に示すように、このレバー式コネクタ500は、雄側コネクタハウジング501と、雌側コネクタハウジング503とからなり、雄側コネクタハウジング501と雌側コネクタハウジング503を嵌合済みとした状態でパネル(図示略)に対しその取付孔に嵌め込むようにして取り付けられる。
雄側コネクタハウジング501は、全体として上下両端部が半円形となった長円形をなしており、その後端部外周には、長円形をなすフランジ部505と、そのフランジ部505よりも少し前方に位置する弾性抜止片507とが形成されている。雄側コネクタハウジング501の前端側においては、前方へ突出するフード部509が形成されている。フード部509の左右両外側面には一対の軸部511が形成されていて、この軸部511にレバー513が支持されている。雌側コネクタハウジング503の左右両外側面には、一対のカムフォロア515が突出形成されている。
【0003】
雄側コネクタハウジング501と雌側コネクタハウジング503を嵌合する際には、まず、レバー513を待ち受け位置に待機させ、雌側コネクタハウジング503をフード部509に浅く嵌め込み、そのカムフォロア515をカム溝517の入り口に進入させる。
次に、この状態からレバー513を図17における反時計周り方向へ回動させると、カム溝517とカムフォロア515の係合によるテコ作用により、レバー513に付与する操作力が小さくても、両コネクタハウジングの嵌合が円滑に進み、レバー513が嵌合位置に達すると両コネクタハウジングが正規の嵌合状態となる。
【0004】
このようにして雄側コネクタハウジング501と雌側コネクタハウジング503を嵌合済みの状態としたレバー式コネクタは、雄側コネクタハウジング501のフード部509を先に向けてパネルの表側から長円形(雄側コネクタハウジング501の外周と相似形)の取付孔に嵌め込まれ、雄側コネクタハウジング501のフランジ部505を取付孔の孔縁に対して表側から当接させるとともに、弾性抜止片507の突起519を取付孔の孔縁に対して裏側から係止させることにより、パネルに取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−359029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来のレバー式コネクタ500は、弾性抜止片507によりパネルに固定されるが、雄側コネクタハウジング501と雌側コネクタハウジング503とが中途嵌合状態であってもパネルに取付け固定可能である。レバー式コネクタ500は、雄側コネクタハウジング501と雌側コネクタハウジング503とが中途嵌合状態でパネルに取付けられてしまうと、車両走行時の振動により嵌合が外れる(離脱する)虞がある。
【0007】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、中途嵌合状態でのパネルへの取付を阻止して、パネル取付後の中途嵌合による離脱を防止できるレバー式コネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る上記目的は、下記構成により達成される。
(1) 第1コネクタと、前記第1コネクタと嵌合する第2コネクタと、前記第1コネクタの内方に配置され回動によって前記第1コネクタと前記第2コネクタとを嵌合させるレバーと、可撓性を有して前記第1コネクタの外側に突出して形成され前記第1コネクタと前記第2コネクタとの完全嵌合状態でのみ前記第1コネクタの内側に変位可能となって前記第2コネクタと嵌合した前記第1コネクタのパネルにおける取付穴への取り付けを可能とするパネル係止用ロックと、を備え、前記パネル係止用ロックが、第1パネル係止用ロック片と、第2パネル係止用ロック片と、からなり、前記第1パネル係止用ロック片及び前記第2パネル係止用ロック片には、レバー対向側に突起が形成され、前記第1パネル係止用ロック片は、前記第1コネクタと前記第2コネクタとの初期・中途嵌合状態で前記突起が前記レバーの表面と対向して撓みが阻止される一方、完全嵌合状態で前記レバーの表面から前記突起が外れた位置となって撓み可能となり、前記第2パネル係止用ロック片は、前記第1コネクタと前記第2コネクタとの中途嵌合状態で前記突起が前記レバーの表面と対向して撓みが阻止される一方、完全嵌合状態で前記レバーの表面に形成された凹部に前記突起が一致して撓み可能となることを特徴とするレバー式コネクタ。
【0009】
上記(1)の構成のレバー式コネクタによれば、第2コネクタと嵌合した第1コネクタは、パネルの取付穴に取り付けられる。この際、第1コネクタは、パネル係止用ロックが取付穴の開口縁裏側に係止されて取り付けられる。パネル係止用ロックは、開口縁裏側に係止される前に、一旦、第1コネクタの内側に変位し、開口縁を乗り越えた後、弾性復帰して開口縁裏側に係止される。このパネル係止用ロックの変位は、第1コネクタと第2コネクタの完全嵌合状態でのみ可能となっている。従って、第1コネクタと第2コネクタとが初期・中途嵌合状態では変位が阻止され、その結果、パネル係止用ロックは、取付穴の開口縁を乗り越えられず、第1コネクタがパネルに取り付け不能となる。これにより、第1コネクタと第2コネクタとが、初期・中途嵌合状態であることが検知可能となる。
上記(2)の構成のレバー式コネクタによれば、第1コネクタと第2コネクタとの嵌合状態検知が、レバーの回動過程の異なる位置で行われる。即ち、レバー回動過程の初期状態では、第1パネル係止用ロック片の撓みが阻止される。また、レバー回動過程の中途状態では、第1パネル係止用ロック片及び第2パネル係止用ロック片の撓みが阻止される。これにより、レバー式コネクタは、完全嵌合状態でない嵌合状態(不完全嵌合状態)を誤検出や検出漏れなく、より高精度に且つ確実に検出することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るレバー式コネクタによれば、中途嵌合状態でのパネルへの取付を阻止して、パネル取付後の中途嵌合による離脱を防止することができる。
【0011】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係るレバー式コネクタの分解斜視図である。
図2図1に示したレバー式コネクタの第2コネクタを省略した分解斜視図である。
図3図1に示した第2コネクタの分解斜視図である。
図4図1に示した第1コネクタにおけるフレームの平面図である。
図5図4のA−A断面図である。
図6図5のB−B断面図である。
図7図1に示したレバーの斜視図である。
図8図7に示したレバーの側面図である。
図9図8のC−C断面図である。
図10】パネルに取り付ける前の本実施形態に係るレバー式コネクタの斜視図である。
図11】(a)は初期嵌合状態のレバー式コネクタの側面図、(b)は(a)のD−D断面図である。
図12】(a)は初期嵌合状態においてパネルの取付穴へ挿入した場合のレバー式コネクタの断面図、(b)は(a)の要部拡大図である。
図13】(a)は中途嵌合状態のレバー式コネクタの側面図、(b)は(a)のE−E断面図である。
図14】(a)は完全嵌合状態のレバー式コネクタの側面図、(b)は(a)のF−F断面図である。
図15】(a)は完全嵌合状態においてパネルの取付穴へ挿入した場合のレバー式コネクタの断面図、(b)は(a)の要部拡大図である。
図16】パネルに取り付けられた本実施形態に係るレバー式コネクタの斜視図である。
図17】従来のレバー式コネクタの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る実施形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明の一実施形態に係るレバー式コネクタ100の分解斜視図である。
本実施形態に係るレバー式コネクタ100は、第1コネクタ11と、第2コネクタ13と、レバー15と、パネル係止用ロック17と、を有す。なお、本実施形態において、上下前後左右の方向は、図1に示した矢印の方向に従う。
【0014】
レバー式コネクタ100は、予め第1コネクタ11と第2コネクタ13とをパネル19(図10参照)の外側で嵌合しておき、その嵌合済の両コネクタをパネル19の取付穴21に嵌合し、両コネクタ11,13及びレバー15をパネル19の内側に収容するタイプのものである。
【0015】
図2図1に示したレバー式コネクタ100の第2コネクタ13を省略した分解斜視図である。
第1コネクタ11は、インナハウジング23と、フレーム25と、レバー15とを有する。インナハウジング23は、2つの第1筐体部材27及び第1筐体部材29を左右に並べた構造となっており、内部に複数の雌端子(図示略)が収容されている。このインナハウジング23は、フレーム25内に収容される。
【0016】
レバー15は、第1コネクタ11の内方に配置され、回動によって第1コネクタ11と第2コネクタ13とを嵌合させる。レバー15は、両側面にそれぞれ設けられた軸支部31でフレーム25に回動可能に組み付けられる。このレバー15は、第2コネクタ13のカムフォロア33がカム溝35に挿入された状態、すなわち第1コネクタ11と第2コネクタ13の仮嵌合状態で、操作部37を押圧操作することにより回動し、てこ作用によって第1コネクタ11と第2コネクタ13とを正規嵌合状態とさせる。レバー15の揺動先端には、フレーム25の被係止部39に係止される係止部41が設けられている。
【0017】
図3は第2コネクタ13の分解斜視図である。
第2コネクタ13は、インナハウジング23よりも大きな2つの第2筐体部材43及び第2筐体部材45を左右で合体した構造となっており、内部に上記の雌端子に接続される複数の雄端子(図示略)が収容される。また、第2筐体部材45の両側面には、レバー15のカム溝35に挿入されるカムフォロア33がそれぞれ突設されている。この第2コネクタ13は、カムフォロア33をカム溝35に挿入し、レバー15の回動によってインナハウジング23と嵌合され、複数の雌端子と複数の雄端子とが一括接続される。
【0018】
第2筐体部材43と第2筐体部材45とのそれぞれの合体面47には、上下方向に延在する係合レール49と係合レール51とが形成される。係合レール49と係合レール51とは、例えば蟻ほぞと、蟻溝とにより形成される。係合レール49と係合レール51とは、延在方向の一端側と他端側とを相互に差し入れて、延在方向(上下方向)にスライドすることにより、第2筐体部材43と第2筐体部材45とを離間方向(左右方向)に移動不能に合体させる。
【0019】
図4は第1コネクタ11におけるフレーム25の平面図である。
フレーム25は、パネル19の取付穴21よりも大きい相似形の長円で形成されたフランジ部53を有する。フランジ部53の取付穴挿入側(前側)の面には、平行な一対の側壁55が湾曲壁57で連結されて、一端側が開放部59となったC字状の周壁61が立設される。一対の側壁55のそれぞれには、上記長円の長手方向(左右方向)に離間して一対のパネル係止用ロック17が形成される。つまり、フレーム25の周壁61には、合計4つのパネル係止用ロック17が設けられる。
【0020】
本実施形態において、4つのパネル係止用ロック17は、一対の第1パネル係止用ロック片63と、一対の第2パネル係止用ロック片65と、からなる。第1パネル係止用ロック片63は側壁55の一端側(湾曲壁側)に設けられ、第2パネル係止用ロック片65は側壁55の他端側(開放部側)に設けられる。即ち、両側の側壁55のそれぞれに、第1パネル係止用ロック片63と第2パネル係止用ロック片65とが設けられている。
【0021】
図5図4のA−A断面図である。
第1パネル係止用ロック片63及び第2パネル係止用ロック片65は、側壁55とフランジ部53とからスリットにより切り離されることにより、基端が側壁55に接続され、先端が自由端となる矩形状の片持ち可撓片とされている。これにより、第1パネル係止用ロック片63及び第2パネル係止用ロック片65は、先端が第1コネクタ11の内外に変位する可撓性を有する。
【0022】
図6図5のB−B断面図である。
第1パネル係止用ロック片63及び第2パネル係止用ロック片65は、第1コネクタ11の外側に係止爪67が突出して形成される。また、第1パネル係止用ロック片63及び第2パネル係止用ロック片65には、レバー対向側に突起69が形成される。突起69は、例えば四角柱状に形成される。
【0023】
図7はレバー15の斜視図である。
レバー15は、平行な一対のレバー側板71の一端同士が上記の操作部37で接続された平面視U字状に形成される。レバー側板71は、側面視で軸支部31を挟む両端が狭くなる略菱形状に形成される。それぞれのレバー側板71には、軸支部31と操作部37との間に、凹部73が形成される。
【0024】
図8はレバー15の側面図である。
レバー側板71は、軸支部31と操作部37との間で、凹部73を挟む一方の辺部が、基辺部75となる。この基辺部75は、第1コネクタ11と第2コネクタ13を完全嵌合させた状態で、フレーム25のフランジ部53と平行となる。基辺部75は、操作部37と反対側が後方傾斜辺部77に接続される。この後方傾斜辺部77は、弧状部(R部)79を介して前方傾斜辺部81に接続される。これら後方傾斜辺部77、弧状部79及び前方傾斜辺部81に囲まれるレバー側板71の一部分は、ロック可撓規制部83となる。ロック可撓規制部83と凹部73とは、所定の相対位置となるように形成されている。
【0025】
図9図8のC−C断面図である。
本実施形態において、凹部73は、レバー側板71を厚み方向に貫通する透孔である。凹部73は、左右のレバー側板71において同一位置に配置される。凹部73は、パネル係止用ロック17の背面に形成された突起69を受け入れ可能な四角形で形成される。
【0026】
次に、レバー式コネクタ100の動作を説明する。
図10はパネル19に取り付け前のレバー式コネクタ100の斜視図である。
レバー式コネクタ100は、第1コネクタ11と第2コネクタ13とが完全嵌合状態でパネル19の取付穴21へ、フランジ部53の反対側(前側)から挿入されて取り付けられる。
【0027】
図11(a)は初期嵌合状態のレバー式コネクタ100の側面図、(b)は(a)のD−D断面図である。
レバー式コネクタ100の挿入時、仮にレバー15が図11(a)に示す初期嵌合状態であると、図11(b)に示すように、レバー15のロック可撓規制部83が、第1パネル係止用ロック片63の突起69の背面に配置される。なお、このとき、第2パネル係止用ロック片65の背面には、レバー側板71は配置されていない。
【0028】
図12(a)は初期嵌合状態においてパネル19の取付穴21へ挿入した場合のレバー式コネクタ100の断面図、(b)は(a)の要部拡大図である。
図12(a)に示すように、突起69がレバー15のロック可撓規制部83に当接した第1パネル係止用ロック片63は、第1コネクタ11の内側へは撓むことができない。その結果、レバー式コネクタ100は、図12(b)に示すように、係止爪67が取付穴21の開口縁に当たり、パネル19への取り付けが阻止される。これにより、レバー15の初期嵌合状態が検知される。
【0029】
図13(a)は中途嵌合状態のレバー式コネクタ100の側面図、(b)は(a)のE−E断面図である。
また、レバー式コネクタ100の挿入時、仮にレバー15が図13(a)に示す中途嵌合状態であると、図13(b)に示すようにレバー15の表面85が、第2パネル係止用ロック片65の突起69の背面に配置される。このとき、第1パネル係止用ロック片63の背面には、ロック可撓規制部83は配置されていても、配置されていなくてもよい。本実施形態では、中途嵌合状態においても、第1パネル係止用ロック片63の背面に、ロック可撓規制部83が配置される。
【0030】
突起69がレバー15の表面85に当接した第2パネル係止用ロック片65は、第1コネクタ11の内側へは撓むことができない。その結果、レバー式コネクタ100は、係止爪67が取付穴21の開口縁に当たり、パネル19への取り付けが阻止される。これにより、レバー15の中途嵌合状態が検知される。
【0031】
図14(a)は完全嵌合状態のレバー式コネクタ100の側面図、(b)は(a)のF−F断面図である。
一方、図14(a)に示すように、第1コネクタ11と第2コネクタ13とが完全嵌合状態となる位置までレバー15が回動されていると、第2パネル係止用ロック片65の突起69に、レバー15の凹部73が一致する。このとき、第1パネル係止用ロック片63の背面には、ロック可撓規制部83は配置されていない。
【0032】
図15(a)は完全嵌合状態においてパネル19の取付穴21へ挿入した場合のレバー式コネクタ100の断面図、(b)は(a)の要部拡大図である。
図15(a)に示すように、突起69がレバー15の凹部73に一致した第2パネル係止用ロック片65は、第1コネクタ11の内側へは撓むことが可能となる。その結果、レバー式コネクタ100は、図15(b)に示すように、取付穴21への挿入時、4つの係止爪67が取付穴21の開口縁に当たると、4つの全ての係止爪67が第1コネクタ11の内側へ移動し、パネル19への取り付けが可能となる。
【0033】
図16はパネル19に取り付けられたレバー式コネクタ100の斜視図である。
レバー式コネクタ100は、第1パネル係止用ロック片63及び第2パネル係止用ロック片65が、第1コネクタ11の内側に撓んで、係止爪67が取付穴21を通過した後、係止爪67が弾性復帰して取付穴21の開口縁裏側に係止されることにより、パネル19への取り付けが完了する。
【0034】
このように、第1パネル係止用ロック片63は、第1コネクタ11と第2コネクタ13との初期・中途嵌合状態で突起69がレバー15の表面85と対向して撓みが阻止される一方、完全嵌合状態ではレバー15の表面85から突起69が外れた位置となって撓み可能となる。
【0035】
また、第2パネル係止用ロック片65は、第1コネクタ11と第2コネクタ13との中途嵌合状態で突起69がレバー15の表面85と対向して撓みが阻止される一方、完全嵌合状態ではレバー15の表面85に形成された凹部73に突起69が一致して撓み可能となる。
【0036】
即ち、レバー式コネクタ100は、第1コネクタ11と第2コネクタ13との完全嵌合状態でのみ、第1パネル係止用ロック片63及び第2パネル係止用ロック片65が、第1コネクタ11の内側に撓み可能となって、第2コネクタ13と嵌合した第1コネクタ11のパネル19における取付穴21への取り付けを可能とする。
【0037】
次に、上記した構成の作用を説明する。
本実施形態に係るレバー式コネクタ100では、第1コネクタ11の内方にレバー15が設けられる。レバー15は、回動により第1コネクタ11に第2コネクタ13を嵌合する。第2コネクタ13と嵌合した第1コネクタ11は、パネル19の取付穴21に取り付けられる。
【0038】
この際、第1コネクタ11は、パネル係止用ロック17が取付穴21の開口縁裏側に係止されて取り付けられる。パネル係止用ロック17は、開口縁裏側に係止される前に、一旦、第1コネクタ11の内側に変位し、開口縁を乗り越えた後、弾性復帰して開口縁裏側に係止される。このパネル係止用ロック17の変位は、第1コネクタ11と第2コネクタ13の完全嵌合状態でのみ可能となっている。
【0039】
従って、第1コネクタ11と第2コネクタ13とが初期・中途嵌合状態では変位が阻止され、その結果、パネル係止用ロック17は、取付穴21の開口縁を乗り越えられず、第1コネクタ11がパネル19に取り付け不能となる。これにより、第1コネクタ11と第2コネクタ13とが、初期・中途嵌合状態であることが検知可能となる。このように、レバー式コネクタ100では、完全嵌合状態となったもののみがパネル19に取り付けられるので、パネル取付後に、中途嵌合状態のものが離脱することがない。
【0040】
また、レバー式コネクタ100では、第1コネクタ11と第2コネクタ13との嵌合状態検知が、レバー15の回動過程の異なる位置で行われる。即ち、レバー回動過程の初期状態では、第1パネル係止用ロック片63の撓みが阻止される。また、レバー回動過程の中途状態では、第1パネル係止用ロック片63及び第2パネル係止用ロック片65の撓みが阻止される。これにより、レバー式コネクタ100は、完全嵌合状態でない嵌合状態(不完全嵌合状態)を誤検出や検出漏れなく、より高精度に且つ確実に検出することができる。
【0041】
従って、本実施形態に係るレバー式コネクタ100によれば、中途嵌合状態(不完全嵌合状態)でのパネル19への取付を阻止して、パネル取付後の中途嵌合による離脱を防止することができる。
【0042】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0043】
ここで、上述した本発明に係るレバー式コネクタの実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]〜[2]に簡潔に纏めて列記する。
[1] 第1コネクタ(11)と、
前記第1コネクタと嵌合する第2コネクタ(13)と、
前記第1コネクタの内方に配置され回動によって前記第1コネクタと前記第2コネクタとを嵌合させるレバー(15)と、
可撓性を有して前記第1コネクタの外側に突出して形成され前記第1コネクタと前記第2コネクタとの完全嵌合状態でのみ前記第1コネクタの内側に変位可能となって前記第2コネクタと嵌合した前記第1コネクタのパネル(19)における取付穴(21)への取り付けを可能とするパネル係止用ロック(17)と、
を備えることを特徴とするレバー式コネクタ(100)。
[2] 上記[1]に記載のレバー式コネクタであって、
前記パネル係止用ロック(17)が、第1パネル係止用ロック片(63)と、第2パネル係止用ロック片(65)と、からなり、
前記第1パネル係止用ロック片及び前記第2パネル係止用ロック片には、レバー対向側に突起(69)が形成され、
前記第1パネル係止用ロック片は、前記第1コネクタと前記第2コネクタとの初期・中途嵌合状態で前記突起が前記レバーの表面(85)と対向して撓みが阻止される一方、完全嵌合状態で前記レバーの表面から前記突起が外れた位置となって撓み可能となり、
前記第2パネル係止用ロック片は、前記第1コネクタと前記第2コネクタとの中途嵌合状態で前記突起が前記レバーの表面と対向して撓みが阻止される一方、完全嵌合状態で前記レバーの表面に形成された凹部(73)に前記突起が一致して撓み可能となることを特徴とするレバー式コネクタ(100)。
【符号の説明】
【0044】
11…第1コネクタ
13…第2コネクタ
15…レバー
17…パネル係止用ロック
19…パネル
21…取付穴
63…第1パネル係止用ロック片(パネル係止用ロック)
65…第2パネル係止用ロック片(パネル係止用ロック)
69…突起
73…凹部
85…表面
100…レバー式コネクタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17