(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記スイッチ装置の前記スイッチ入力回路は、前記下降スイッチが操作されたときに、第1抵抗値を有する第1回路を形成して、前記第1電圧値を有する前記操作信号を出力するよう構成され、且つ、前記上昇スイッチが操作されたときに、前記第1抵抗値とは異なる第2抵抗値を有する第2回路を形成して、前記第2電圧値を有する前記操作信号を出力するよう構成され、
前記スイッチ装置の前記スイッチ水没検出回路は、自身内部に水が浸入したときに、前記第1及び第2抵抗値とは異なる第3抵抗値を有する第3回路を形成して、前記第3電圧値を有する前記スイッチ水没検出信号を出力するよう構成され、
前記スイッチ装置の前記スイッチ入力回路及び前記スイッチ水没検出回路の構成により、前記第3電圧値が前記第1電圧値よりも大きく且つ前記第2電圧値よりも小さくなっている、
請求項1に記載のパワーウィンドウ装置。
前記スイッチ装置の前記スイッチ入力回路は、前記スイッチ水没検出回路内部に水が浸入して前記第3回路が形成された後は、前記下降スイッチが操作されたときには前記第1回路を形成して前記第1電圧値を出力する一方で、前記上昇スイッチが操作されても前記第2回路を形成せずに前記第3電圧値を出力するよう構成されている、
請求項2に記載のパワーウィンドウ装置。
前記スイッチ装置の前記スイッチ入力回路は、前記下降スイッチが操作されたときに、第1抵抗値を有する第1回路を形成して、前記第1電圧値を有する前記操作信号を出力するよう構成され、且つ、前記上昇スイッチが操作されたときに、前記第1抵抗値とは異なる第2抵抗値を有する第2回路を形成して、前記第2電圧値を有する前記操作信号を出力するよう構成され、
前記スイッチ装置の前記スイッチ水没検出回路は、自身内部に水が浸入したときに、前記第1及び第2抵抗値とは異なる第3抵抗値を有する第3回路を形成して、前記第3電圧値を有する前記スイッチ水没検出信号を出力するよう構成され、
前記スイッチ装置の前記スイッチ入力回路及び前記スイッチ水没検出回路の構成により、前記第3電圧値が前記第1電圧値よりも大きく且つ前記第2電圧値よりも小さくなっている、
請求項6に記載のパワーウィンドウ装置。
前記スイッチ装置の前記スイッチ入力回路は、前記スイッチ水没検出回路が水の浸入を検出した後は、前記下降スイッチが操作されたときには前記所定信号を前記第2信号線に出力する一方で、前記上昇スイッチが操作されても前記所定信号を前記第2信号線に出力しないように構成されている、
請求項7に記載のパワーウィンドウ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、パワーウィンドウ装置では、特に車両が水没したときに、装置の誤動作やウィンドウの上昇動作を防止しつつ、乗員が車両から脱出できるようにすべく、ウィンドウの下降動作を確保できるように対策を施すことが望ましい。上記の特許文献1に記載されたパワーウィンドウ装置のようにスイッチ装置と制御装置とが別体に構成されていると、このようなウィンドウの下降動作を確保するための対策を、スイッチ装置及び制御装置の両方に施す必要がある。特許文献1に記載されたパワーウィンドウ装置では、制御装置に防水対策を施しているが、完全に防水することが難しいことから、信頼性の点で課題がある。つまり、防水しきれずに水が浸入した場合に、ウィンドウの下降動作が確保されない可能性がある。また、制御装置の防水対策を強化しようとすると、コストが高くなってしまう。
【0007】
本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、スイッチ装置と制御装置とが別体に構成されたパワーウィンドウ装置において、制御装置に特別な防水対策を施さなくても、水没したときに、装置の誤動作やウィンドウの上昇動作を防止しつつ、ウィンドウの下降動作を適切に確保することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明は、車両のウィンドウガラスを下降動作及び上昇動作させるためのパワーウィンドウ装置であって、ウィンドウガラスを下降動作させるための下降スイッチとウィンドウガラスを上昇動作させるための上昇スイッチとを備え、下降スイッチが操作されたときと上昇スイッチが操作されたときとで異なる電圧値を有する操作信号を出力するスイッチ装置と、スイッチ装置と別体に構成され、スイッチ装置と一の信号線により接続された制御装置であって、この制御装置は、信号線を介してスイッチ装置から入力された操作信号の電圧値に基づき、ウィンドウガラスを下降動作及び上昇動作させるための駆動モータを制御する制御装置と、を備え、スイッチ装置は、更に、下降スイッチが操作されたときに第1電圧値を有する操作信号を出力し、且つ、上昇スイッチが操作されたときに第1電圧値とは異なる第2電圧値を有する操作信号を出力するスイッチ入力回路と、自身内部への水の浸入を検出したときに第1及び第2電圧値とは異なる第3電圧値を有するスイッチ水没検出信号を出力するスイッチ水没検出回路と、を備え、
下降及び上昇スイッチが操作されていない状態において出力されるスイッチ水没検出信号の第3電圧値は、信号線がグランドに接続された場合に出力される信号の電圧値とは異なる大きさを有し、制御装置は、更に、スイッチ装置のスイッチ入力回路から操作信号が入力されたときに、この操作信号が有する電圧値に応じてウィンドウガラスを下降動作又は上昇動作させるように駆動モータを駆動する正常時制御を行い、且つ、スイッチ装置のスイッチ水没検出回路からスイッチ水没検出信号が一旦入力された後は、正常時制御を行わず、所定の許可信号を出力する制御回路と、制御回路から許可信号が入力され、且つ、スイッチ装置のスイッチ入力回路から第1電圧値を有する操作信号が入力されたときに、ウィンドウガラスを下降動作させるように駆動モータを駆動する強制駆動回路と、を備える、ことを特徴とする。
【0009】
このように構成された本発明によれば、スイッチ装置と制御装置とが別体に構成されたパワーウィンドウ装置において、制御装置が、スイッチ装置の水没検出回路からスイッチ水没検出信号が入力されたときに、正常時制御を行わないようにして許可信号を生成し、この許可信号を生成した状態において、スイッチ装置からウィンドウを下降動作させるための第1電圧値を有する操作信号が入力されたときに、ウィンドウガラスを下降動作させるように駆動モータを駆動する。これにより、制御装置に特別な防水対策を施さなくても、水没時において、装置の誤動作やウィンドウの上昇動作を防止しつつ、ウィンドウの下降動作を適切に確保することができる。特に、本発明によれば、強制駆動回路を制御装置内に設けることで、水没時において、制御装置内の制御回路を介さずに、この強制駆動回路によってウィンドウガラスを下降動作させるように駆動モータを直接駆動することができる。よって、たとえ水没時に制御回路が故障したとしても、装置の誤動作やウィンドウの上昇動作を防止しつつ、ウィンドウの下降動作を適切に確保することができる。
【0010】
本発明において、好ましくは、スイッチ装置のスイッチ入力回路は、下降スイッチが操作されたときに、第1抵抗値を有する第1回路を形成して、第1電圧値を有する操作信号を出力するよう構成され、且つ、上昇スイッチが操作されたときに、第1抵抗値とは異なる第2抵抗値を有する第2回路を形成して、第2電圧値を有する操作信号を出力するよう構成され、スイッチ装置のスイッチ水没検出回路は、自身内部に水が浸入したときに、第1及び第2抵抗値とは異なる第3抵抗値を有する第3回路を形成して、第3電圧値を有するスイッチ水没検出信号を出力するよう構成され、スイッチ装置のスイッチ入力回路及びスイッチ水没検出回路の構成により、第3電圧値が第1電圧値よりも大きく且つ第2電圧値よりも小さくなっている。
このように構成された本発明によれば、スイッチが操作されたときに出力される操作信号の第1及び第2電圧値と、水没検出回路が水の浸入を検出したときに出力されるスイッチ水没検出信号の第3電圧値とが異なるようにスイッチ装置を回路構成しているので、制御装置側でスイッチ装置の水没を適切に判別することができる。
【0011】
本発明において、好ましくは、スイッチ装置のスイッチ入力回路は、スイッチ水没検出回路内部に水が浸入して第3回路が形成された後は、下降スイッチが操作されたときには第1回路を形成して第1電圧値を出力する一方で、上昇スイッチが操作されても第2回路を形成せずに第3電圧値を出力するよう構成されている。
このように構成された本発明によれば、スイッチ装置が水没したときに、ウィンドウの下降動作を確保しつつ、ウィンドウの上昇動作を確実に防止することができる。
【0012】
本発明において、好ましくは、制御装置の強制駆動回路は、スイッチ装置から入力された操作信号の電圧値と基準電圧値とを比較することで、第1電圧値を有する操作信号を検出する比較回路を備え、許可信号が入力され且つ比較回路が第1電圧値を有する操作信号を検出したときに、ウィンドウガラスを下降動作させるように駆動モータを駆動する。
このように構成された本発明によれば、制御装置内の比較回路によって、第1電圧値を有する操作信号が制御装置に入力されたことを検出するので、水没後においても(例えば水没により制御回路が故障した場合にも)、ウィンドウを下降動作させるために下降スイッチが操作されたことを制御装置側で適切に判別することができる。
【0013】
本発明において、好ましくは、制御装置は、更に、自身内部への水の浸入を検出する制御装置水没検出回路を備え、制御装置の制御回路は、制御装置水没検出回路が水の浸入を検出したときにも、許可信号を強制駆動回路に出力する。
このように構成された本発明によれば、スイッチ装置だけでなく、制御装置にも水没検出回路を設けているので、スイッチ装置及び制御装置のどちらが先に水没しても、各々の水没を適切に検出することができる。よって、スイッチ装置及び制御装置のどちらが先に水没しても、装置の誤動作やウィンドウの上昇動作を防止しつつ、ウィンドウの下降動作を適切に確保することができる。
【0014】
他の観点では、本発明は、車両のウィンドウガラスを下降動作及び上昇動作させるためのパワーウィンドウ装置であって、ウィンドウガラスを下降動作させるための下降スイッチとウィンドウガラスを上昇動作させるための上昇スイッチとを備え、下降スイッチが操作されたときと上昇スイッチが操作されたときとで異なる電圧値を有する操作信号を出力するスイッチ装置と、スイッチ装置と別体に構成され、スイッチ装置と第1信号線及び第2信号線により接続された制御装置であって、この制御装置は、第1信号線を介してスイッチ装置から操作信号が入力されて、この操作信号の電圧値に基づき、ウィンドウガラスを下降動作及び上昇動作させるための駆動モータを制御する制御装置と、を備え、スイッチ装置は、更に、下降スイッチが操作されたときに第1電圧値を有する操作信号を第1信号線に出力し、且つ、上昇スイッチが操作されたときに第1電圧値とは異なる第2電圧値を有する操作信号を第1信号線に出力するスイッチ入力回路と、自身内部への水の浸入を検出したときに第1及び第2電圧値とは異なる第3電圧値を有するスイッチ水没検出信号を第1信号線に出力するスイッチ水没検出回路と、を備え、スイッチ装置のスイッチ入力回路は、更に、スイッチ水没検出回路が水の浸入を検出した後は、下降スイッチが操作されたときに所定信号を第2信号線に出力し、制御装置は、更に、スイッチ装置のスイッチ入力回路から操作信号が入力されたときに、この操作信号が有する電圧値に応じてウィンドウガラスを下降動作又は上昇動作させるように駆動モータを駆動する正常時制御を行い、且つ、スイッチ装置のスイッチ水没検出回路からスイッチ水没検出信号が一旦入力された後は、正常時制御を行わず、所定の許可信号を出力する制御回路と、制御回路から許可信号が入力され、且つ、スイッチ装置のスイッチ入力回路から第2信号線を介して所定信号が入力されたときに、ウィンドウガラスを下降動作させるように駆動モータを駆動する強制駆動回路と、を備える、ことを特徴とする。
【0015】
このように構成された本発明によれば、スイッチ装置と制御装置とが別体に構成されたパワーウィンドウ装置において、制御装置が、スイッチ装置の水没検出回路からスイッチ水没検出信号が入力されたときに、正常時制御を行わないようにして許可信号を生成し、この許可信号を生成した状態において、スイッチ装置から第2信号線を介して所定信号が入力されたときに、ウィンドウガラスを下降動作させるように駆動モータを駆動する。これにより、制御装置に特別な防水対策を施さなくても、水没したときに、装置の誤動作やウィンドウの上昇動作を防止しつつ、ウィンドウの下降動作を適切に確保することができる。特に、本発明によれば、強制駆動回路を制御装置内に設けることで、水没時において、制御装置内の制御回路を介さずに、この強制駆動回路によってウィンドウガラスを下降動作させるように駆動モータを直接駆動することができる。よって、たとえ水没時に制御回路が故障したとしても、装置の誤動作やウィンドウの上昇動作を防止しつつ、ウィンドウの下降動作を適切に確保することができる。
【0016】
本発明において、好ましくは、スイッチ装置のスイッチ入力回路は、下降スイッチが操作されたときに、第1抵抗値を有する第1回路を形成して、第1電圧値を有する操作信号を出力するよう構成され、且つ、上昇スイッチが操作されたときに、第1抵抗値とは異なる第2抵抗値を有する第2回路を形成して、第2電圧値を有する操作信号を出力するよう構成され、スイッチ装置のスイッチ水没検出回路は、自身内部に水が浸入したときに、第1及び第2抵抗値とは異なる第3抵抗値を有する第3回路を形成して、第3電圧値を有するスイッチ水没検出信号を出力するよう構成され、スイッチ装置のスイッチ入力回路及びスイッチ水没検出回路の構成により、第3電圧値が第1電圧値よりも大きく且つ第2電圧値よりも小さくなっている。
このように構成された本発明によれば、スイッチが操作されたときに出力される操作信号の第1及び第2電圧値と、水没検出回路が水の浸入を検出したときに出力されるスイッチ水没検出信号の第3電圧値とが異なるようにスイッチ装置を回路構成しているので、制御装置側でスイッチ装置の水没を適切に判別することができる。
【0017】
本発明において、好ましくは、スイッチ装置のスイッチ入力回路は、スイッチ水没検出回路が水の浸入を検出した後は、下降スイッチが操作されたときには所定信号を第2信号線に出力する一方で、上昇スイッチが操作されても所定信号を第2信号線に出力しないように構成されている。
このように構成された本発明によれば、スイッチ装置が水没したときに、ウィンドウの下降動作を確保しつつ、ウィンドウの上昇動作を確実に防止することができる。
更に他の観点では、本発明は、車両のウィンドウガラスを下降動作及び上昇動作させるためのパワーウィンドウ装置であって、ウィンドウガラスを下降動作させるための下降スイッチとウィンドウガラスを上昇動作させるための上昇スイッチとを備え、下降スイッチが操作されたときと上昇スイッチが操作されたときとで異なる電圧値を有する操作信号を出力するスイッチ装置と、スイッチ装置と別体に構成され、スイッチ装置と一の信号線により接続された制御装置であって、この制御装置は、信号線を介してスイッチ装置から入力された操作信号の電圧値に基づき、ウィンドウガラスを下降動作及び上昇動作させるための駆動モータを制御する制御装置と、を備え、スイッチ装置は、更に、下降スイッチが操作されたときに第1電圧値を有する操作信号を出力し、且つ、上昇スイッチが操作されたときに第1電圧値とは異なる第2電圧値を有する操作信号を出力するスイッチ入力回路と、自身内部への水の浸入を検出したときに第1及び第2電圧値とは異なる第3電圧値を有するスイッチ水没検出信号を出力するスイッチ水没検出回路と、を備え、制御装置は、更に、スイッチ装置のスイッチ入力回路から操作信号が入力されたときに、この操作信号が有する電圧値に応じてウィンドウガラスを下降動作又は上昇動作させるように駆動モータを駆動する正常時制御を行い、且つ、スイッチ装置のスイッチ水没検出回路からスイッチ水没検出信号が一旦入力された後は、正常時制御を行わず、所定の許可信号を出力する制御回路と、制御回路から許可信号が入力され、且つ、スイッチ装置のスイッチ入力回路から第1電圧値を有する操作信号が入力されたときに、ウィンドウガラスを下降動作させるように駆動モータを駆動する強制駆動回路と、を備え、制御装置の強制駆動回路は、スイッチ装置から入力された操作信号の電圧値と基準電圧値とを比較することで、第1電圧値を有する操作信号を検出する比較回路を備え、許可信号が入力され且つ比較回路が第1電圧値を有する操作信号を検出したときに、ウィンドウガラスを下降動作させるように駆動モータを駆動する、ことを特徴とする。
更に他の観点では、本発明は、車両のウィンドウガラスを下降動作及び上昇動作させるためのパワーウィンドウ装置であって、ウィンドウガラスを下降動作させるための下降スイッチとウィンドウガラスを上昇動作させるための上昇スイッチとを備え、下降スイッチが操作されたときと上昇スイッチが操作されたときとで異なる電圧値を有する操作信号を出力するスイッチ装置と、スイッチ装置と別体に構成され、スイッチ装置と一の信号線により接続された制御装置であって、この制御装置は、信号線を介してスイッチ装置から入力された操作信号の電圧値に基づき、ウィンドウガラスを下降動作及び上昇動作させるための駆動モータを制御する制御装置と、を備え、スイッチ装置は、更に、下降スイッチが操作されたときに第1電圧値を有する操作信号を出力し、且つ、上昇スイッチが操作されたときに第1電圧値とは異なる第2電圧値を有する操作信号を出力するスイッチ入力回路と、自身内部への水の浸入を検出したときに第1及び第2電圧値とは異なる第3電圧値を有するスイッチ水没検出信号を出力するスイッチ水没検出回路と、を備え、制御装置は、更に、スイッチ装置のスイッチ入力回路から操作信号が入力されたときに、この操作信号が有する電圧値に応じてウィンドウガラスを下降動作又は上昇動作させるように駆動モータを駆動する正常時制御を行い、且つ、スイッチ装置のスイッチ水没検出回路からスイッチ水没検出信号が一旦入力された後は、正常時制御を行わず、所定の許可信号を出力する制御回路と、制御回路から許可信号が入力され、且つ、スイッチ装置のスイッチ入力回路から第1電圧値を有する操作信号が入力されたときに、ウィンドウガラスを下降動作させるように駆動モータを駆動する強制駆動回路と、を備え、制御装置は、更に、自身内部への水の浸入を検出する制御装置水没検出回路を備え、制御装置の制御回路は、制御装置水没検出回路が水の浸入を検出したときにも、許可信号を強制駆動回路に出力する、ことを特徴とする。
更に他の観点では、本発明は、車両のウィンドウガラスを下降動作及び上昇動作させるパワーウィンドウ装置のためのスイッチ装置であって、ウィンドウガラスを下降動作させるための下降スイッチと、ウィンドウガラスを上昇動作させるための上昇スイッチと、下降スイッチが操作されたときに第1電圧値を有する操作信号を、信号線を介して出力し、且つ、上昇スイッチが操作されたときに第1電圧値とは異なる第2電圧値を有する操作信号を、信号線を介して出力するスイッチ入力回路と、自身内部への水の浸入を検出したときに第1及び第2電圧値とは異なる第3電圧値を有するスイッチ水没検出信号を、信号線を介して出力するスイッチ水没検出回路と、を備え、下降及び上昇スイッチが操作されていない状態において出力されるスイッチ水没検出信号の第3電圧値は、信号線がグランドに接続された場合に出力される信号の電圧値とは異なる大きさを有する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、スイッチ装置と制御装置とが別体に構成されたパワーウィンドウ装置において、制御装置に特別な防水対策を施さなくても、水没したときに、装置の誤動作やウィンドウの上昇動作を防止しつつ、ウィンドウの下降動作を適切に確保することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態によるパワーウィンドウ装置について説明する。
【0021】
<第1実施形態>
まず、
図1を参照して、本発明の第1実施形態によるパワーウィンドウ装置の構成について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態によるパワーウィンドウ装置を概略的に示す回路図である。
【0022】
図1に示すように、第1実施形態によるパワーウィンドウ装置101は、複数のスイッチSW1〜SW4を備えるスイッチ装置1と、このスイッチ装置1と別体に構成され、スイッチ装置1と一の信号線3により接続された制御装置2と、制御装置2により制御されて、車両のウィンドウ(不図示)を下降動作及び上昇動作させる駆動モータ4と、を有する。
【0023】
スイッチ装置1は、ウィンドウを自動で下降動作させる(換言するとウィンドウを一気に下降動作させる)ためのスイッチSW1と、ウィンドウを手動で下降動作させる(換言するとウィンドウを段階的に下降動作させる)ためのスイッチSW2と、ウィンドウを自動で上昇動作させる(換言するとウィンドウを一気に上昇動作させる)ためのスイッチSW3と、ウィンドウを手動で上昇動作させる(換言するとウィンドウを段階的に上昇動作させる)ためのスイッチSW4と、を有する。スイッチSW1、SW2は、本発明における下降スイッチの一例に相当し、スイッチSW3、SW4は、本発明における上昇スイッチの一例に相当する。
【0024】
スイッチSW1は、一端が信号線3に接続され、且つ、他端がグランド線GL1を介してグランドに接続されている。スイッチSW2は、一端が抵抗R1を介して信号線3に接続され、且つ、他端がグランド線GL1を介してグランドに接続されている。スイッチSW3は、一端が抵抗R1、R2、R3を介して信号線3に接続され、且つ、他端がグランド線GL1を介してグランドに接続されている。スイッチSW4は、一端が抵抗R1、R2、R3、R4を介して信号線3に接続され、且つ、他端がグランド線GL1を介してグランドに接続されている。
【0025】
このように、並列に設けたスイッチSW1〜SW4間に抵抗R1〜R4を設けることで、スイッチSW1〜SW4のそれぞれがオンになったときに形成される回路の抵抗値が変わる。具体的には、スイッチSW1をオンにしたときには抵抗R1〜R4を含まない回路が形成され、スイッチSW2をオンにしたときには抵抗R1を含む回路が形成され、スイッチSW3をオンにしたときには抵抗R1〜R3を含む回路が形成され、スイッチSW4をオンにしたときには抵抗R1〜R4を含む回路が形成される。これにより、スイッチSW1〜SW4のそれぞれがオンになったときに、信号線3における電位、つまり信号線3を介して制御装置2へと出力される操作信号の電圧値が変わる。ここで、スイッチSW1〜SW4のそれぞれがオンとなったときに制御装置2へと出力される操作信号の電圧値をV1〜V4と表記すると、これら電圧値V1〜V4の関係は「V1<V2<V3<V4」となる。電圧値V1、V2は、本発明における第1電圧値の一例に相当し、電圧値V3、V4は、本発明における第2電圧値の一例に相当する。また、スイッチSW1〜SW4及び抵抗R1〜R4は、本発明におけるスイッチ入力回路の一例に相当する。
【0026】
更に、スイッチ装置1は、自身内部への水の浸入を検出可能に構成された水没検出回路11(スイッチ水没検出回路に相当する)を有する。この水没検出回路11は、2つの離間したパッド(導体としての2つの電極に相当する)を備えており、内部に水が浸入したときに2つのパッド間に水が満たされて、この水を介して電流が流れることで、自身内部への水の浸入(スイッチ装置1の水没に相当する)を検出できるようになっている。水没検出回路11は、一端がグランドに接続され、且つ、他端が抵抗R5を介してトランジスタQ1のベースに接続され、このトランジスタQ1のエミッタは、スイッチSW1と信号線3との間に接続されている。また、トランジスタQ1のベースとエミッタとの間には、抵抗R6が更に接続されている。そして、トランジスタQ1のコレクタは、抵抗R7を介してトランジスタQ2のベースに接続され、このトランジスタQ2のコレクタは、抵抗R2と抵抗R3との間に接続されている。加えて、トランジスタQ2のエミッタは、グランド線GL1を介してグランドに接続され、トランジスタQ2のベースとエミッタとの間には、抵抗R8が更に接続されている。
【0027】
このような回路構成により、水没検出回路11が水の浸入を検出したとき、つまり水没検出回路11内に浸入した水により2つのパッドが導通したときに、トランジスタQ1がオンとなり、それによりトランジスタQ2もオンとなる。その結果、抵抗R2と抵抗R3との間がグランドに接続されることとなる。これは、並列して設けられたスイッチSW2とスイッチSW3との間の仮想的なスイッチ(トランジスタQ2)がオンになることに相当する。したがって、トランジスタQ2がオンになったときにスイッチ装置1から信号線3を介して制御装置2へと出力される信号(スイッチ水没検出信号)の電圧値をV5とすると、この電圧値V5と上記した電圧値V1〜V4との関係は「V1<V2<V5<V3<V4」となる。こうなるのは、トランジスタQ2がオンになったときには、抵抗R1、R2を含む回路が形成されるからである。なお、電圧値V5は、本発明における第3電圧値の一例に相当する。
【0028】
次いで、制御装置2は、信号線3を介してスイッチ装置1から操作信号が入力され、操作信号の電圧値に基づき、ウィンドウガラスを下降動作及び上昇動作させるよう制御を行う制御回路21と、この制御回路21による制御のもとで駆動モータ4を駆動するモータ駆動回路26と、自身内部への水の浸入を検出可能に構成された水没検出回路27(制御装置水没検出回路に相当する)と、スイッチ装置1から入力された操作信号の電圧値と基準電圧値とを比較することで、電圧値V1又はV2を有する操作信号を検出する比較回路28と、制御回路21及び水没検出回路27に接続されたAND回路22と、水没検出回路27及び比較回路28に接続されたAND回路24と、制御回路21及びAND回路24に接続されたOR回路23と、を有する。制御回路21と信号線3との間には、抵抗R9を介して電源B1(例えば5V又は12V)が接続され、比較回路28には、抵抗R10を介して電源B2が接続されている(この抵抗R10は、更に抵抗R11を介してグランドに接続されている)。水没検出回路27は、上記した水没検出回路11と同様の構成を有しており、自身内部への水の浸入(制御装置2の水没に相当する)を検出できるようになっている。
【0029】
制御回路21は、通常時(スイッチ装置1又は制御装置2が水没していない状況を意味する。以下同様とする。)においては、スイッチ装置1から入力された操作信号の電圧値がV3又はV4である場合、つまりウィンドウを上昇動作させるためのスイッチSW3又はSW4が操作された場合、ウィンドウを上昇動作させるための信号をAND回路22に出力する。AND回路22は、制御回路21からウィンドウを上昇動作させるための信号が入力され、且つ、水没検出回路27が水の浸入を検出していないことを示す信号が入力されたときに、ウィンドウを上昇動作させるための信号をモータ駆動回路26に出力する。このときに、モータ駆動回路26は、ウィンドウを上昇動作させるように駆動モータ4を駆動する。具体的には、モータ駆動回路26は、制御回路21に入力された操作信号の電圧値の大きさ(V3又はV4)に応じた態様にて、ウィンドウを上昇動作させるように駆動モータ4を駆動する。
【0030】
また、制御回路21は、通常時において、スイッチ装置1から入力された操作信号の電圧値がV1又はV2である場合、つまりウィンドウを下降動作させるためのスイッチSW1又はSW2が操作された場合、ウィンドウを下降動作させるための信号をOR回路23に出力する。OR回路23は、制御回路21からウィンドウを下降動作させるための信号が入力されたときに、ウィンドウを下降動作させるための信号をモータ駆動回路26に出力する。このときに、モータ駆動回路26は、ウィンドウを下降動作させるように駆動モータ4を駆動する。具体的には、モータ駆動回路26は、制御回路21に入力された操作信号の電圧値の大きさ(V1又はV2)に応じた態様にて、ウィンドウを下降動作させるように駆動モータ4を駆動する。
【0031】
他方で、制御回路21は、スイッチ装置1から電圧値V5を有するスイッチ水没検出信号が入力されたとき、つまりスイッチ装置1の水没検出回路11が水の浸入を検出したときに、水没検出回路27から許可信号を出力させるよう指示を出し、このときに水没検出回路27は許可信号をAND回路22、24に出力する。制御回路21は、スイッチ装置1から電圧値V5を有するスイッチ水没検出信号が一旦入力されると、その後にスイッチ装置1から電圧値V1〜V4を有する操作信号が入力されても、上記したような通常時での操作信号に応じた制御(正常時制御)を行わないようにする。また、水没検出回路27は、自身内部への水の浸入を検出したときにも、許可信号をAND回路22、24に出力する。AND回路22は、水没検出回路27から許可信号が入力された場合には(つまり水没検出回路27が水の浸入を検出していないことを示す信号が入力されていない場合)、たとえ制御回路21からウィンドウを上昇動作させるための信号が入力されたとしても、ウィンドウを上昇動作させるための信号をモータ駆動回路26に出力しない。
【0032】
一方、AND回路24には、上記した許可信号に加えて、比較回路28が電圧値V1又はV2を有する操作信号を検出したときに、比較回路28から当該操作信号が入力される。AND回路24は、水没検出回路27から許可信号が入力され、且つ比較回路28から電圧値V1又はV2を有する操作信号が入力された場合に、ウィンドウを下降動作させるための信号をOR回路23に出力する。OR回路23は、制御回路21からウィンドウを下降動作させるための信号が入力されていなくても、AND回路24からウィンドウを下降動作させるための信号が入力された場合には、当該信号をモータ駆動回路26に出力する。このときに、モータ駆動回路26は、ウィンドウを下降動作させるように駆動モータ4を駆動する。なお、OR回路23、AND回路24及び比較回路28は、本発明における強制駆動回路の一例に相当する。
【0033】
次に、
図2及び
図3を参照して、本発明の第1実施形態によるパワーウィンドウ装置101が水没したときの動作について具体的に説明する。
【0034】
図2は、本発明の第1実施形態によるパワーウィンドウ装置101のスイッチ装置1が先に水没したときの回路状態を示す図である。
図2に示すように、スイッチ装置1の水没検出回路11が水の浸入を検出したとき、つまり水没検出回路11内に浸入した水により2つのパッドが導通したときに、トランジスタQ1がオンとなり、それによりトランジスタQ2もオンとなる。その結果、抵抗R2と抵抗R3との間がグランドに接続されることとなる。こうしてトランジスタQ2がオンになったときに(スイッチSW1〜SW4はオフであるものとする)、上記した操作信号の電圧値V1〜V4とは異なる電圧値V5を有するスイッチ水没検出信号が、スイッチ装置1から信号線3を介して制御装置2に出力される。
【0035】
また、上記のようにトランジスタQ2がオンになった状態では、スイッチSW3、SW4をオンにしても、スイッチ装置1から電圧値V3、V4を有する操作信号は出力されず、スイッチ装置1から電圧値V5を有するスイッチ水没検出信号が出力され続ける。スイッチSW3、SW4をオンにしたときに形成される回路は、オンの状態にあるトランジスタQ2により形成される回路と比較すると、抵抗R3、R4が付加された回路となっている。そのため、スイッチSW3、SW4をオンにしても、スイッチSW3、SW4を含む回路には電流が流れずに、トランジスタQ2により形成される回路のほうに電流が流れるため、スイッチ装置1から電圧値V5を有するスイッチ水没検出信号が出力され続けるのである。
一方で、トランジスタQ2がオンになった状態においても、スイッチSW1、SW2をオンにした場合には、スイッチ装置1から電圧値V1、V2を有する操作信号が出力される。オンの状態にあるトランジスタQ2により形成される回路は、スイッチSW1、SW2をオンにしたときに形成される回路と比較すると、抵抗R1、R2が付加された回路となっている。そのため、スイッチSW1、SW2をオンにすると、そのままスイッチSW1、SW2を含む回路のほうに電流が流れて、スイッチ装置1から電圧値V1、V2を有する操作信号が出力されるのである。
【0036】
次いで、制御装置2の制御回路21は、上記のようにしてスイッチ装置1から電圧値V5を有するスイッチ水没検出信号が入力されたときに、水没検出回路27から許可信号を出力させるよう指示を出す(矢印A11)。このときに、水没検出回路27は、許可信号をAND回路22、24に出力する(矢印A12、A13)。また、制御回路21は、スイッチ装置1から電圧値V5を有する信号が一旦入力されると、その後にスイッチ装置1から電圧値V1〜V4を有する操作信号が入力されても、上述したような通常時での操作信号に応じた制御(正常時制御)を行わないようにする。
【0037】
次いで、AND回路22は、水没検出回路27から許可信号が入力された場合、たとえ制御回路21からウィンドウを上昇動作させるための信号が入力されたとしても(基本的には水没後には制御回路21は当該信号を出力しない)、ウィンドウを上昇動作させるための信号をモータ駆動回路26に出力しない。他方で、比較回路28は、基準電圧値を用いた比較により、電圧値V1又はV2を有する操作信号が入力されたことを検出したときに、当該操作信号をAND回路24に出力する。そして、AND回路24は、水没検出回路27から許可信号が入力され、且つ比較回路28から電圧値V1又はV2を有する操作信号が入力された場合に、ウィンドウを下降動作させるための信号をOR回路23に出力する。OR回路23は、制御回路21からウィンドウを下降動作させるための信号が入力されていなくても(基本的には水没後には制御回路21は当該信号を出力しない)、AND回路24からウィンドウを下降動作させるための信号が入力された場合には、当該信号をモータ駆動回路26に出力する。その結果、モータ駆動回路26は、ウィンドウを下降動作させるように駆動モータ4を駆動する。
【0038】
次に、
図3は、本発明の第1実施形態によるパワーウィンドウ装置101の制御装置2が先に水没したときの回路状態を示す図である。
図3に示すように、制御装置2の水没検出回路27は、自身内部への水の浸入を検出したときに、許可信号をAND回路22、24に出力する(矢印A21、A22)。制御回路21は、このように水没検出回路27が水の浸入を一旦検出すると、その後にスイッチ装置1から電圧値V1〜V4を有する操作信号が入力されても、上述したような通常時での操作信号に応じた制御(正常時制御)を行わないようにする。
【0039】
この後、
図2と同様にして、各回路が動作する。すなわち、AND回路22は、水没検出回路27から許可信号が入力された場合、たとえ制御回路21からウィンドウを上昇動作させるための信号が入力されたとしても、ウィンドウを上昇動作させるための信号をモータ駆動回路26に出力しない。他方で、比較回路28は、基準電圧値を用いた比較により、電圧値V1又はV2を有する操作信号が入力されたことを検出したときに、当該操作信号をAND回路24に出力する。そして、AND回路24は、水没検出回路27から許可信号が入力され、且つ比較回路28から電圧値V1又はV2を有する操作信号が入力された場合に、ウィンドウを下降動作させるための信号をOR回路23に出力する。OR回路23は、こうしてAND回路24からウィンドウを下降動作させるための信号が入力されたときに、当該信号をモータ駆動回路26に出力する。その結果、モータ駆動回路26は、ウィンドウを下降動作させるように駆動モータ4を駆動する。
【0040】
次に、
図4を参照して、本発明の第1実施形態によるパワーウィンドウ装置101における通常時及び水没時での電圧変化について説明する。
図4は、本発明の第1実施形態によるパワーウィンドウ装置101において通常時及び水没時(スイッチ装置1が水没したとき)に各スイッチSW1〜SW4のオン/オフを切り替えたときの電圧値のタイムチャートを示す。
【0041】
図4に示すように、通常時において、スイッチSW1〜SW4の全てをオフ、スイッチSW2をオン、スイッチSW1をオン、スイッチSW2をオン、スイッチSW1〜SW4の全てをオフ、スイッチSW4をオン、スイッチSW3をオン、スイッチSW4をオン、スイッチSW1〜SW4の全てをオフ、といった順にスイッチSW1〜SW4を操作したものとする。この場合、スイッチ装置1から信号線3を介して制御装置2に出力される操作信号の電圧値は、V0、V2、V1、V2、V0、V4、V3、V4、V0、といった順にて変化する。電圧値V0〜V4の関係は、「V1<V2<V3<V4<V0」である。
【0042】
また、スイッチ装置1の水没時において、スイッチSW1〜SW4の全てをオフ、スイッチSW2をオン、スイッチSW1をオン、スイッチSW2をオン、スイッチSW1〜SW4の全てをオフ、スイッチSW4をオン、スイッチSW3をオン、スイッチSW4をオン、スイッチSW1〜SW4の全てをオフ、といった順にスイッチSW1〜SW4を操作したものとする。この場合、スイッチ装置1から信号線3を介して制御装置2に出力される信号の電圧値は、V5、V2、V1、V2、V5、V5、V5、V5、V5、といった順にて変化する。電圧値V0〜V5の関係は、「V1<V2<V5<V3<V4<V0」である。
【0043】
上述したように、スイッチ装置1の水没時には、トランジスタQ2がオンになることで、スイッチSW1〜SW4の全てがオフである状態においても、電圧値V0ではなく電圧値V5を有するスイッチ水没検出信号がスイッチ装置1から出力される。そして、こうしてトランジスタQ2がオンになった状態では、スイッチSW3、SW4をオンにしても、スイッチ装置1から電圧値V3、V4を有する操作信号は出力されず、スイッチ装置1から電圧値V5を有するスイッチ水没検出信号が出力され続ける。一方で、トランジスタQ2がオンになった状態においても、スイッチSW1、SW2をオンにした場合には、スイッチ装置1から電圧値V1、V2を有する操作信号が出力される。
【0044】
以上説明した第1実施形態によれば、スイッチ装置1と制御装置2とが別体に構成されたパワーウィンドウ装置101において、制御装置2が、スイッチ装置1の水没検出回路11からスイッチ水没検出信号が入力されたときに、正常時制御を行わないようにして許可信号を生成し、この許可信号を生成した状態において、スイッチ装置1からウィンドウを下降動作させるための電圧値V1、V2を有する操作信号が入力されたときに、ウィンドウガラスを下降動作させるように駆動モータ4を駆動する。これにより、制御装置2に特別な防水対策を施さなくても、水没時において、装置の誤動作やウィンドウの上昇動作を防止しつつ、ウィンドウの下降動作を適切に確保することができる。
【0045】
特に、第1実施形態によれば、OR回路23、AND回路24及び比較回路28によって強制駆動回路を制御装置2内に構成することで、水没時において、制御装置2内の制御回路21を介さずに、この強制駆動回路によってウィンドウガラスを下降動作させるように駆動モータ4を直接駆動することができる。よって、たとえ水没時に制御回路21が故障したとしても、装置の誤動作やウィンドウの上昇動作を防止しつつ、ウィンドウの下降動作を適切に確保することができる。
【0046】
また、第1実施形態によれば、スイッチSW1〜SW4が操作されたときに出力される操作信号の電圧値V1〜V4と、水没検出回路11が水の浸入を検出したときに出力されるスイッチ水没検出信号の電圧値V5とが異なるようにスイッチ装置1を回路構成しているので、制御装置2側でスイッチ装置1の水没を適切に判別することができる。加えて、第1実施形態によれば、制御装置2内の比較回路28によって、電圧値V1、V2を有する操作信号が制御装置2に入力されたことを検出するので、水没後においても(例えば水没により制御回路21が故障した場合にも)、ウィンドウを下降動作させるためにスイッチSW1、SW2が操作されたことを制御装置2側で適切に判別することができる。
【0047】
また、第1実施形態によれば、スイッチ装置1内の水没検出回路11が水の浸入を検出した後は、ウィンドウを下降動作させるためのスイッチSW1、SW2が操作されたときには、スイッチ装置1が電圧値V1、V2を有する操作信号を出力する一方で、ウィンドウを上昇動作させるためのスイッチSW3、SW4が操作されたときには、スイッチ装置1が電圧値V3、V4を有する操作信号を出力せずに電圧値V5を有するスイッチ水没検出信号を出力し続けるように、スイッチ装置1が回路構成されているので、スイッチ装置1が水没したときに、ウィンドウの下降動作を確保しつつ、ウィンドウの上昇動作を確実に防止することができる。
【0048】
また、第1実施形態によれば、スイッチ装置1だけでなく、制御装置2にも水没検出回路27を設けているので、スイッチ装置1及び制御装置2のどちらが先に水没しても、各々の水没を適切に検出することができる。よって、スイッチ装置1及び制御装置2のどちらが先に水没しても、装置の誤動作やウィンドウの上昇動作を防止しつつ、ウィンドウの下降動作を適切に確保することができる。
【0049】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態によるパワーウィンドウ装置について説明する。以下では、第1実施形態と異なる構成及び制御について主に説明し、第1実施形態と同様の構成及び制御については説明を適宜省略する。つまり、ここで特に説明しない構成及び制御は、第2実施形態と同様であるものとする。作用効果についても同様である。
【0050】
まず、
図5を参照して、本発明の第2実施形態によるパワーウィンドウ装置の構成について説明する。
図5は、本発明の第2実施形態によるパワーウィンドウ装置を概略的に示す回路図である。
【0051】
図5に示すように、第2実施形態によるパワーウィンドウ装置102は、複数のスイッチSW5〜SW8を備えるスイッチ装置31と、このスイッチ装置31と別体に構成され、スイッチ装置31と2本の信号線33、34により接続された制御装置32と、制御装置32により制御されて、車両のウィンドウ(不図示)を下降動作及び上昇動作させる駆動モータ35と、を有する。
【0052】
スイッチ装置31は、ウィンドウを自動で下降動作させるためのスイッチSW5と、ウィンドウを手動で下降動作させるためのスイッチSW6と、ウィンドウを自動で上昇動作させるためのスイッチSW7と、ウィンドウを手動で上昇動作させるためのスイッチSW8と、を有する。スイッチSW5、SW6は、本発明における下降スイッチの一例に相当し、スイッチSW7、SW8は、本発明における上昇スイッチの一例に相当する。
【0053】
スイッチSW5は、一端が信号線33に接続され、且つ、他端がグランド線GL2を介してグランドに接続されている。スイッチSW6は、一端が抵抗R22を介して信号線33に接続され、且つ、他端がグランド線GL2を介してグランドに接続されている。スイッチSW7は、一端が抵抗R22、R23、R24を介して信号線33に接続され、且つ、他端がグランド線GL2を介してグランドに接続されている。これら抵抗R22と抵抗R23との間には、信号線34が更に接続されている。スイッチSW8は、一端が抵抗R22、R23、R24、R25を介して信号線33に接続され、且つ、他端がグランド線GL2を介してグランドに接続されている。
【0054】
このように、並列に設けたスイッチSW5〜SW8間に抵抗R22〜R25を設けることで、スイッチSW5〜SW8のそれぞれがオンになったときに形成される回路の抵抗値が変わる。具体的には、スイッチSW5をオンにしたときにはR22〜R25を含まない回路が形成され、スイッチSW6をオンにしたときには抵抗R22を含む回路が形成され、スイッチSW7をオンにしたときには抵抗R22〜R24を含む回路が形成され、スイッチSW8をオンにしたときには抵抗R22〜R25を含む回路が形成される。これにより、スイッチSW5〜SW8のそれぞれがオンになったときに、信号線33における電位、つまり信号線33を介して制御装置32へと出力される操作信号の電圧値が変わる。ここで、上述した電圧値V1〜V4を、スイッチSW5〜SW8のそれぞれがオンとなったときに制御装置32へと出力される操作信号の電圧値にも適用すると、これら電圧値V1〜V4の関係も「V1<V2<V3<V4」となる。スイッチSW5〜SW8及び抵抗R22〜R25は、本発明におけるスイッチ入力回路の一例に相当する。
【0055】
更に、スイッチ装置31は、自身内部への水の浸入を検出可能に構成された水没検出回路36(スイッチ水没検出回路に相当する)を有する。この水没検出回路36は、上記した水没検出回路11と同様の構成を有しており、自身内部への水の浸入(スイッチ装置31の水没に相当する)を検出できるようになっている。水没検出回路36は、一端がグランド線GL2を介してグランドに接続され、且つ、他端が抵抗R27を介してトランジスタQ21のベースに接続されている(抵抗R27には更に抵抗R28及びコンデンサC1が接続されている)。トランジスタQ21のエミッタは、信号線33に接続され、トランジスタQ21のコレクタは、トランジスタQ22のベースに接続されている。このトランジスタQ22のコレクタは、抵抗R23と抵抗R24との間に接続され、トランジスタQ22のエミッタは、グランド線GL2を介してグランドに接続されている。
【0056】
このような回路構成により、水没検出回路36が水の浸入を検出したとき、つまり水没検出回路36内に浸入した水により2つのパッドが導通したときに、トランジスタQ21がオンとなり、それによりトランジスタQ22もオンとなる。その結果、抵抗R23と抵抗R24との間がグランドに接続されることとなる。これは、並列して設けられたスイッチSW6とスイッチSW7との間の仮想的なスイッチ(トランジスタQ22)がオンになることに相当する。したがって、トランジスタQ22がオンになったときにスイッチ装置31から信号線33を介して制御装置32へと出力される信号(スイッチ水没検出信号)の電圧値にも上述したV5を適用すると、この電圧値V5と上記した電圧値V1〜V4との関係も「V1<V2<V5<V3<V4」となる。こうなるのは、トランジスタQ22がオンになったときには、抵抗R22、R23を含む回路が形成されるからである。
【0057】
次いで、制御装置32は、信号線33を介してスイッチ装置31から操作信号が入力され、操作信号の電圧値に基づき、ウィンドウガラスを下降動作及び上昇動作させるよう制御を行う制御回路37と、この制御回路37による制御のもとで駆動モータ35を駆動するモータ駆動回路38と、自身内部への水の浸入を検出可能に構成された水没検出回路39(制御装置水没検出回路に相当する)と、制御装置32内の電磁両立性(EMC:Electromagnetic Compatibility)に対策するためのEMC対策フィルタ40と、モータ駆動回路38の電流を検出する電流検出回路41と、駆動モータ35への出力電圧を監視する電圧監視回路42と、を有する。基本的には、制御回路37とモータ駆動回路38とは、抵抗32が設けられた複数の配線により接続されている(それぞれ抵抗R33を介してグランドに接続されている)。なお、制御装置32は、上記した制御装置2と同様に、所定の電源(不図示)に接続されている。
【0058】
制御回路37は、通常時(スイッチ装置31又は制御装置32が水没していない状況を意味する。以下同様とする。)においては、スイッチ装置31から入力された操作信号の電圧値がV3又はV4である場合、つまりウィンドウを上昇動作させるためのスイッチSW7又はSW8が操作された場合、抵抗R32が設けられた配線を介して、ウィンドウを上昇動作させるための信号、ウィンドウを動作させる許可信号(上昇用及び下降用許可信号)、及びPWM(Pulse Width Modulation)信号を、モータ駆動回路38に出力する。これにより、モータ駆動回路38において、上昇用入力端子、上昇用及び下降用許可入力端子並びにPWM入力端子に「H」信号が入力され、且つ、下降用入力端子に「L」信号が入力される。そして、モータ駆動回路38は、上昇用出力端子から「H」信号を出力し、下降用出力端子から「L」信号を出力する。その結果、駆動モータ35は、ウィンドウを上昇動作させることとなる。
【0059】
また、制御回路37は、通常時において、スイッチ装置31から入力された操作信号の電圧値がV1又はV2である場合、つまりウィンドウを下降動作させるためのスイッチSW5又はSW6が操作された場合、抵抗R32が設けられた配線を介して、ウィンドウを下降動作させるための信号、ウィンドウを動作させる許可信号(上昇用及び下降用許可信号)、及びPWM信号を、モータ駆動回路38に出力する。これにより、モータ駆動回路38において、下降用入力端子、下降用及び上昇用許可入力端子並びにPWM入力端子に「H」信号が入力され、且つ、上昇用入力端子に「L」信号が入力される。そして、モータ駆動回路38は、下降用出力端子から「H」信号を出力し、上昇用出力端子から「L」信号を出力する。その結果、駆動モータ35は、ウィンドウを下降動作させることとなる。
【0060】
他方で、水没検出回路39は、一端がグランドに接続され、且つ、他端が抵抗R31を介してトランジスタQ24のベースに接続されている。この水没検出回路39は、上記した水没検出回路11と同様の構成を有しており、自身内部への水の浸入(制御装置32の水没に相当する)を検出できるようになっている。抵抗R31は、更に、両端に抵抗R30及びコンデンサC2がそれぞれ接続され、これら抵抗R30及びコンデンサC2並びにトランジスタQ24のエミッタは、EMC対策フィルタ40に接続されている。特に、EMC対策フィルタ40を含めて、抵抗R30、コンデンサC2及びトランジスタQ24のエミッタは、抵抗R21を介して信号線33に接続されている。また、水没検出回路39は、その両端にトランジスタQ23のエミッタ及びコレクタが接続され、このトランジスタQ23のベースは、制御回路37に接続されている。更に、トランジスタQ24のコレクタは、並列に設けられた抵抗R36、R37、R38及びダイオードD1、D2、D3、D4を介して、モータ駆動回路38に接続されている。加えて、トランジスタQ24のコレクタは、抵抗R34を介して制御回路37に接続され(この抵抗34は更に抵抗R35を介してグランドに接続されている)、且つ、トランジスタQ25のベースに接続されている。このトランジスタQ25のコレクタは、抵抗R39を介してモータ駆動回路38の上昇用入力端子に接続され、トランジスタQ25のエミッタは、信号線34に接続されている。
【0061】
水没検出回路39が水の浸入を検出したとき、つまり水没検出回路39内に浸入した水により2つのパッドが導通したときに、トランジスタQ24がオンになる。また、スイッチ装置31から電圧値V5を有するスイッチ水没検出信号が入力されたとき、つまりスイッチ装置31の水没検出回路36が水の浸入を検出したときにも、制御回路37がトランジスタQ23をオンにすることで(このときに制御回路37がトランジスタQ23に出力する信号は本発明における許可信号の一例に相当する)、トランジスタQ24がオンになる。このようにトランジスタQ24がオンになると、抵抗R36及びダイオードD1を介してモータ駆動回路38の下降用入力端子に「H」信号が入力され、抵抗R37及びダイオードD2を介してモータ駆動回路38の上昇用入力端子に「H」信号が入力され、抵抗R36及びダイオードD3を介してモータ駆動回路38の下降用及び上昇用許可入力端子に「H」信号が入力され、抵抗R38及びダイオードD4を介してモータ駆動回路38のPWM入力端子に「H」信号が入力される。また、トランジスタQ24がオンになると、抵抗R34を介して制御回路37に信号が入力される。制御回路37は、このような信号が一旦入力されると、その後にスイッチ装置31から電圧値V1〜V4を有する操作信号が入力されても、上記したような通常時での操作信号に応じた制御(正常時制御)を行わないようにする。加えて、トランジスタQ24がオンになると、トランジスタQ25もオンになる。
【0062】
こうしてトランジスタQ25がオンになった状態において、スイッチ装置31のスイッチSW5、SW6がオンになると、つまりウィンドウを下降動作させるためのスイッチSW5、SW6が操作されると、比較的低い電圧値を有する信号(本発明における所定信号の一例に相当する。特にスイッチSW6が操作された場合には当該信号の電圧値がほぼ0になる。)が信号線34を介してトランジスタQ25に入力される。これにより、モータ駆動回路38の上昇用入力端子に「L」信号が入力されることとなる、換言すると上昇用入力端子に入力される信号が「H」信号から「L」信号へと変化する。その結果、モータ駆動回路38が、下降用出力端子から「H」信号を出力し、上昇用出力端子から「L」信号を出力することで、駆動モータ35がウィンドウを下降動作させる。一方で、トランジスタQ25がオンになった状態において、スイッチ装置31のスイッチSW7、SW8がオンにされても、つまりウィンドウを上昇動作させるためのスイッチSW7、SW8が操作されても、信号線34を介してトランジスタQ25に入力される信号の電圧に変化は生じない。そのため、モータ駆動回路38の上昇用入力端子に入力される信号は「H」信号のままである。したがって、下降用出力端子及び上昇用出力端子からの出力信号は「H」信号のままであるので、駆動モータ35はウィンドウを動作させない。
なお、トランジスタQ24、Q25や抵抗R36、R37、R38などを含む回路は、本発明における強制駆動回路の一例に相当する。
【0063】
次に、
図6及び
図7を参照して、本発明の第2実施形態によるパワーウィンドウ装置102が水没したときの動作について具体的に説明する。
【0064】
図6は、本発明の第2実施形態によるパワーウィンドウ装置102のスイッチ装置31が先に水没したときの回路状態を示す図である。
図6に示すように、スイッチ装置31の水没検出回路36が水の浸入を検出したとき、つまり水没検出回路36内に浸入した水により2つのパッドが導通したときに、トランジスタQ21がオンとなり、それによりトランジスタQ22もオンとなる。その結果、抵抗R23と抵抗R24との間がグランドに接続されることとなる。こうしてトランジスタQ22がオンになったときに(スイッチSW5〜SW8はオフであるものとする)、操作信号の電圧値V1〜V4とは異なる電圧値V5を有するスイッチ水没検出信号が、スイッチ装置31から信号線33を介して制御装置32に出力される。
【0065】
また、上記のようにトランジスタQ22がオンになった状態では、スイッチSW7、SW8をオンにしても、スイッチ装置31から電圧値V3、V4を有する操作信号は出力されず、スイッチ装置31から電圧値V5を有するスイッチ水没検出信号が信号線33に出力され続ける。スイッチSW7、SW8をオンにしたときに形成される回路は、オンの状態にあるトランジスタQ22により形成される回路と比較すると、抵抗R24、R25が付加された回路となっている。そのため、スイッチSW7、SW8をオンにしても、スイッチSW7、SW8を含む回路には電流が流れずに、トランジスタQ22により形成される回路のほうに電流が流れるため、スイッチ装置31から電圧値V5を有するスイッチ水没検出信号が出力され続けるのである。一方で、トランジスタQ22がオンになった状態においても、スイッチSW5、SW6をオンにした場合には、スイッチ装置31から電圧値V1、V2を有する操作信号が信号線33に出力される。オンの状態にあるトランジスタQ22により形成される回路は、スイッチSW5、SW6をオンにしたときに形成される回路と比較すると、抵抗R22、R23を含む回路となっている。そのため、スイッチSW5、SW6をオンにすると、そのままスイッチSW5、SW6を含む回路のほうに電流が流れて、スイッチ装置31から電圧値V1、V2を有する操作信号が出力されるのである。
【0066】
次いで、制御装置32の制御回路37は、上記のようにしてスイッチ装置31から電圧値V5を有するスイッチ水没検出信号が入力されたときに、トランジスタQ23をオンにすることで(矢印A31)、トランジスタQ24がオンになる。このようにトランジスタQ24がオンになると、抵抗R36及びダイオードD1を介してモータ駆動回路38の下降用入力端子に「H」信号が入力され、抵抗R37及びダイオードD2を介してモータ駆動回路38の上昇用入力端子に「H」信号が入力され、抵抗R36及びダイオードD3を介してモータ駆動回路38の下降用及び上昇用許可入力端子に「H」信号が入力され、抵抗R38及びダイオードD4を介してモータ駆動回路38のPWM入力端子に「H」信号が入力される。また、トランジスタQ24がオンになると、トランジスタQ25もオンになる。制御回路37は、上記のようにスイッチ装置31から電圧値V5を有するスイッチ水没検出信号が入力されると、その後にたとえスイッチ装置31から電圧値V1〜V4を有する操作信号が入力されても、上述したような通常時での操作信号に応じた制御(正常時制御)を行わないようにする。
【0067】
こうしてトランジスタQ25がオンになった状態において、スイッチ装置31のスイッチSW5、SW6がオンになると、比較的低い電圧値を有する信号(特にスイッチSW6が操作された場合には当該信号の電圧値はほぼ0になる)が信号線34を介してトランジスタQ25に入力される。これにより、モータ駆動回路38の上昇用入力端子に「L」信号が入力されることとなる、換言すると上昇用入力端子に入力される信号が「H」信号から「L」信号へと変化する。その結果、モータ駆動回路38が、下降用出力端子から「H」信号を出力し、上昇用出力端子から「L」信号を出力することで、駆動モータ35がウィンドウを下降動作させる。一方で、トランジスタQ25がオンになった状態において、スイッチ装置31のスイッチSW7、SW8がオンにされても、信号線34を介してトランジスタQ25に入力される信号の電圧に変化は生じない。そのため、モータ駆動回路38の上昇用入力端子に入力される信号は「H」信号のままである。したがって、下降用出力端子及び上昇用出力端子からの出力信号は「H」信号のままであるので、駆動モータ35はウィンドウを動作させない。
【0068】
次に、
図7は、本発明の第2実施形態によるパワーウィンドウ装置102の制御装置32が先に水没したときの回路状態を示す図である。
図7に示すように、制御装置32の水没検出回路39が自身内部への水の浸入を検出したときに、つまり水没検出回路39内に浸入した水により2つのパッドが導通したときに、トランジスタQ24がオンになる。このようにトランジスタQ24がオンになると、抵抗R36及びダイオードD1を介してモータ駆動回路38の下降用入力端子に「H」信号が入力され、抵抗R37及びダイオードD2を介してモータ駆動回路38の上昇用入力端子に「H」信号が入力され、抵抗R36及びダイオードD3を介してモータ駆動回路38の下降用及び上昇用許可入力端子に「H」信号が入力され、抵抗R38及びダイオードD4を介してモータ駆動回路38のPWM入力端子に「H」信号が入力される。また、トランジスタQ24がオンになると、抵抗R34を介して制御回路37に信号が入力される(矢印A41)。制御回路37は、このような信号が一旦入力されると、その後にスイッチ装置31から電圧値V1〜V4を有する操作信号が入力されても、上記したような通常時での操作信号に応じた制御(正常時制御)を行わないようにする。加えて、トランジスタQ24がオンになると、トランジスタQ25もオンになる。
【0069】
こうしてトランジスタQ25がオンになった状態にも、
図6と同様にして、各回路が動作する。すなわち、トランジスタQ25がオンになった状態において、スイッチ装置31のスイッチSW5、SW6がオンになると、比較的低い電圧値を有する信号(特にスイッチSW6が操作された場合には当該信号の電圧値はほぼ0になる)が信号線34を介してトランジスタQ25に入力されることで、上昇用入力端子に入力される信号が「H」信号から「L」信号へと変化する。その結果、モータ駆動回路38が、下降用出力端子から「H」信号を出力し、上昇用出力端子から「L」信号を出力することで、駆動モータ35がウィンドウを下降動作させる。一方で、トランジスタQ25がオンになった状態において、スイッチ装置31のスイッチSW7、SW8がオンにされても、信号線34を介してトランジスタQ25に入力される信号の電圧は変化しないため、モータ駆動回路38の上昇用入力端子に入力される信号は「H」信号のままである。したがって、下降用出力端子及び上昇用出力端子からの出力信号は「H」信号のままであるので、駆動モータ35はウィンドウを動作させない。
【0070】
以上説明した第2実施形態によれば、スイッチ装置31と制御装置32とが別体に構成されたパワーウィンドウ装置102において、制御装置32が、スイッチ装置31の水没検出回路36からスイッチ水没検出信号が入力されたときに、正常時制御を行わないようにして許可信号を生成し、この許可信号を生成した状態において、スイッチ装置31から信号線34を介して所定信号が入力されたときに、ウィンドウガラスを下降動作させるように駆動モータ35を駆動する。これにより、制御装置32に特別な防水対策を施さなくても、水没時において、装置の誤動作やウィンドウの上昇動作を防止しつつ、ウィンドウの下降動作を適切に確保することができる。
【0071】
特に、第2実施形態によれば、トランジスタQ24、Q25などによって強制駆動回路を制御装置32内に構成することで、水没時において、制御装置32内の制御回路37を介さずに、この強制駆動回路によってウィンドウガラスを下降動作させるように駆動モータ35を直接駆動することができる。よって、たとえ水没時に制御回路37が故障したとしても、装置の誤動作やウィンドウの上昇動作を防止しつつ、ウィンドウの下降動作を適切に確保することができる。
【0072】
また、第2実施形態によれば、スイッチSW5〜SW8が操作されたときに出力される操作信号の電圧値V1〜V4と、水没検出回路36が水の浸入を検出したときに出力されるスイッチ水没検出信号の電圧値V5とが異なるようにスイッチ装置31を回路構成しているので、制御装置32側でスイッチ装置31の水没を適切に判別することができる。
【0073】
また、第2実施形態によれば、スイッチ装置31内の水没検出回路36が水の浸入を検出した後は、ウィンドウを下降動作させるためのスイッチSW5、SW6が操作されたときには、スイッチ装置31が信号線34を介して所定信号を出力する一方で、ウィンドウを上昇動作させるためのスイッチSW7、SW8が操作されたときには、スイッチ装置31が信号線34を介して所定信号を出力しないように、スイッチ装置31が回路構成されているので、スイッチ装置31が水没したときに、ウィンドウの下降動作を確保しつつ、ウィンドウの上昇動作を確実に防止することができる。
【0074】
また、第2実施形態によれば、スイッチ装置31だけでなく、制御装置32にも水没検出回路39を設けているので、スイッチ装置31及び制御装置32のどちらが先に水没しても、各々の水没を適切に検出することができる。よって、スイッチ装置31及び制御装置32のどちらが先に水没しても、装置の誤動作やウィンドウの上昇動作を防止しつつ、ウィンドウの下降動作を適切に確保することができる。
【0075】
<変形例>
上記した実施形態では、スイッチ装置及び制御装置の両方に水没検出回路を設けていたが、他の例では、スイッチ装置のみに水没検出回路を設け、制御装置には水没検出回路を設けなくてもよい。これによっても、水没時において、装置の誤動作やウィンドウの上昇動作を防止しつつ、ウィンドウの下降動作を適切に確保することができる。