特許第6883514号(P6883514)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6883514
(24)【登録日】2021年5月12日
(45)【発行日】2021年6月9日
(54)【発明の名称】カプセル組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/11 20060101AFI20210531BHJP
   A61K 8/87 20060101ALI20210531BHJP
   A61Q 13/00 20060101ALI20210531BHJP
   A61Q 15/00 20060101ALI20210531BHJP
【FI】
   A61K8/11
   A61K8/87
   A61Q13/00 102
   A61Q15/00
【請求項の数】10
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2017-524346(P2017-524346)
(86)(22)【出願日】2015年10月27日
(65)【公表番号】特表2017-533240(P2017-533240A)
(43)【公表日】2017年11月9日
(86)【国際出願番号】EP2015074813
(87)【国際公開番号】WO2016071151
(87)【国際公開日】20160512
【審査請求日】2018年10月26日
(31)【優先権主張番号】14290337.6
(32)【優先日】2014年11月7日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】501105842
【氏名又は名称】ジボダン エス エー
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】オーソン,エマヌエル
(72)【発明者】
【氏名】ファデル,アッディ
(72)【発明者】
【氏名】ハリソン,イアン,ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ケレ,クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ブラコフスカ−マイセ,エヴェリナ
(72)【発明者】
【氏名】デニュエル,ヴォルフガング
(72)【発明者】
【氏名】ソルティス,トーマス
【審査官】 松元 麻紀子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−528161(JP,A)
【文献】 特開平08−208429(JP,A)
【文献】 特表2009−524723(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/11
A61K 8/87
A61Q 13/00
A61Q 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
20〜50ミクロンの体積平均直径およびカプセル(コア+シェル)の総重量の5重量%〜40重量%のカプセルシェル重量を有する1種以上のポリウレアカプセルを含み、ここでポリウレアカプセルの公称破断応力が、0.1〜2MPaの範囲である、カプセル化香料組成物。
【請求項2】
シェル重量(カプセル(コア+シェル)の総重量のパーセンテージとして表される)のカプセル体積平均直径(ミクロンで表される)に対する比が、0.7ミクロン−1以下である、請求項1に記載のカプセル化香料組成物。
【請求項3】
カプセル化香料が、15,000ppm以下の水への溶解度を有する香料成分を少なくとも60重量%含む、請求項1または2に記載のカプセル化香料組成物。
【請求項4】
カプセルが、カプセル化された溶媒を含有しない、請求項1〜3のいずれか一項に記載のカプセル化香料組成物。
【請求項5】
シリカの流動助剤を含む粉末の形態であり、ここでシリカが1〜8ミクロンの粒径を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のカプセル化香料組成物。
【請求項6】
請求項5に記載のカプセル化香料組成物を形成する方法であって、スラリーの形態のカプセル化香料組成物中にシリカを分散させるステップ、およびスラリーを脱水するステップを含む、前記方法。
【請求項7】
スラリーが、噴霧乾燥により脱水される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれか一項に定義されるカプセル化香料組成物を含む、リーブオンパーソナルケア製品。
【請求項9】
消臭製品の形態である、請求項8に記載のリーブオン製品。
【請求項10】
発汗抑制剤の形態である、請求項8に記載のリーブオン製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1種以上のコア−シェルカプセルを含むカプセル化香料組成物であって、コアが香料を含み、シェルがポリウレア樹脂を含む(以下、「ポリウレアカプセル」)、前記カプセル化香料組成物に関する。本発明はまた、前記組成物を含有する消費者製品にも関する。
【背景技術】
【0002】
カプセル化香料組成物は、当技術分野で知られている。これは、小さな固体粒子または液滴をシェル材料の薄膜でコーティングするプロセスによって、形成されてもよい。事実上あらゆる被覆材料が、少なくとも概念的には、候補のカプセルシェル材料であるが、実際には商業的および規制上の理由から、これまで市販品に使用された材料は比較的少ない。カプセルシェル材料の選択は、コスト、入手可能性、処理の容易さ、および固有のバリア特性を含む多くの要因によって決定される。所与の用途に最適なシェル材料を定義することは複雑になり得るが、これは、多くの相互作用するパラメータが、所与のカプセルシェル材料の成功を決定するからである。
【0003】
カプセル化香料組成物は、家庭用ケア製品およびパーソナルケア製品を含む様々な消費者製品において増加した頻度で使用されている。本出願人の知識によると、消臭剤および発汗抑制剤の分野において、2つのタイプのシェル材料が商業的応用に用いられている。デンプンコア−シェルカプセルは、汗により湿潤したときに香料を放出するそれらの能力のため、商用消臭剤および発汗抑制剤製品に用いられている。一方、ゼラチンコア−シェルカプセルに基づくカプセル化香料組成物もまた、機械的作用、例えば皮膚や髪や衣料品に押しつけられたりこすりつけられたりすることにより壊れて香料を送達するそれらの能力のため、商用消臭剤および発汗抑制剤製品に用いられている。
【0004】
ゼラチンコア−シェルカプセルは、典型的には、複雑なコアセルベーションのプロセスによって形成される。このプロセスは、当技術分野で周知であり、ゼラチンと油−水エマルジョンの水性外部相中の別のコロイドとがコアセルベートされ、外部相中に分散した油滴の表面に吸収されるときに、進行する。このプロセスの特徴は、全てのシェル形成材料が単一相中に、−外部水相中に、含有されることである。シェルを形成する構成材料は、この単一相を通って拡散あるいは移動し、油水界面に到達してシェルを形成する。さらに、このように香料カプセル化を形成するとき、典型的には、分散相として、極めて高いC logPを有する犠牲油または溶媒の液滴を用いる。油水界面に形成される高い界面張力は、実質的に均一の厚さのカプセルシェルの形成を促進する。形成される空のカプセルを、次いで香料組成物中に浸漬することができ、香料組成物はカプセルコア中に拡散して犠牲油または溶媒を置き換えるかもしくは実質的に置き換えて、カプセル化香料組成物を形成する。
【0005】
EP 2 221 039およびEP 2 179 719は、ゼラチンコア−シェルカプセルに基づくカプセル化香料組成物を含有する、消臭および発汗抑制組成物を開示する。カプセルは、極めて明瞭な一定のシェル厚さを呈することによって特徴付けられる。
【0006】
ポリウレアコア−シェルカプセルに基づくカプセル化香料組成物もまた、当技術分野で知られている。これらのカプセルは、界面重合のプロセスによって形成される。水中油型エマルジョンが、上で記載したコアセルベーションのプロセスにおけるとおりに調製されるが、しかしこのプロセスにおいて、シェル形成材料は、分散油相および連続水性相の両方に含まれる。重要なことに、シェル形成材料は、2つの異なる相を通って拡散して、カプセルシェルの形成のために反応する前に油−水の界面に到達しなければならない。シェル特性または特徴は、油相の組成に直接影響され、香油の場合には、典型的には数十または数百の異なる香料成分を含み、それぞれがそれ自体の物理的および化学的特性(例えば、溶解度および分配係数)を有する。シェル形成材料が油−水界面に向かって拡散することができる速度は、複合香油の組成に依存して変化する。その結果、シェルの形態、特にシェルの厚さおよび均一性は、正確に制御するのが困難であり得る。
【0007】
これまでは、本出願人は、芳香がポリウレアコア−シェルカプセルから送達されるものについて、いかなる商業的応用も認識していない。
【0008】
ヒトまたは動物の体を芳香付けることおよび悪臭を打ち消すことの両方のためのリーブオンパーソナルケア製品において、カプセル化香料組成物を用いることが知られている。リーブオン製品は、対象の毛髪または皮膚への局所適用のために適合され、体の上に長時間残るようなパーソナルケア製品である。現代の消費者にとってのリーブオン製品の特に重要なカテゴリーは、消臭剤および発汗抑制剤である。体臭は、望ましくなく、非衛生的で反社会的とすらみなされることもある。体臭は、微生物叢がヒトの汗に作用した結果発生する。汗を取り除くために定期的に入浴することで体の悪臭の蓄積に対処することができるが、頻繁に入浴することまたはシャワーを浴びることが常に現実的または可能であるとは限らない。したがって、消臭剤および発汗抑制剤の適用は、現代のボディケアレジメンの重要な側面になっている。
【0009】
消臭剤および発汗抑制剤を含むすべての用途のカテゴリーにわたる、カプセル化香料組成物に共通の課題は、香料の保持と、カプセルからそれらが分散している周囲の媒体への制御されない香料の漏れである。カプセル化香料組成物が消費者製品中に入れられたとき、それらは重大な安定性の問題、例えば浸透圧の影響下のカプセルの破壊や、外部媒体の作用下でのカプセルからの香料の抽出などに見舞われ得る。製剤者にとっての難題は、適用の前に良好な香料の保持を呈するだけでなく、適用において必要なときに香料を放出するカプセルの能力に悪影響を与えることなくそれを行わなければならない、カプセル化技術を作り出すことである。
【0010】
リーブオン製品(特に発汗抑制剤および消臭剤)は、カプセル化香料組成物特定の製剤者にとって特定の難題を提示する。消費者は、適用の瞬間からその後何時間も、次の入浴の機会が訪れるまで、これらの製品と密に接する。継続的な香料の放出には、特定の課題が生じる。これは消費者を苛立たせる可能性もあり、慣れをもたらす可能性もまたある。したがって、特にかかる用途において、カプセル化香料組成物は、皮膚表面、毛髪または布地とのわずかな摩擦接触でカプセルが破壊されて香料を放出するほどの壊れやすいものであるべきではない。その一方で、発汗は身体活動の結果としてもたらされるものであるから、長時間の激しい身体活動に相応して、カプセルは皮膚および/または布地との摩擦力に応じて破壊されて一気に香料を放出させるべきである。「需要に応じた(on-demand)」香料の放出は、嗅覚的な手掛かりを消費者に提供することができて、製品の有効性を示唆し、これは次に製品に対する消費意欲を引き出す。
【0011】
デンプンまたはゼラチンカプセルに基づいた現在の香料カプセル化技術は、この需要に応じた放出を、少なくとも6時間から10時間以上までの期間の範囲の長時間にわたって提供することができず、一方、ポリウレアカプセルはこの点で有望な技術を代表するが、今までポリウレアカプセルは、確実な方式で的確な放出特性を有するように生産することが難しいことが確認されている。
【0012】
特にリーブオンパーソナルケア製品、より特に消臭剤および発汗抑制剤において有用なポリウレアカプセルを含むカプセル化香料組成物を提供することのニーズが残存する。
【0013】
より特には、カプセル化香料組成物に対して攻撃的な媒体、例えば塩や界面を高レベルで含有する媒体など、を含有する消費者製品中において時間が経っても十分に安定である前記カプセル化香料組成物を提供することのニーズが残存する。
【0014】
さらに、上記の特徴を保有し、それでもなお十分に脆く、機械的な力を受けたとき、皮膚や布地への激しいこすりに相応して、適用後少なくとも6時間、および10時間までの期間、新鮮さの感覚を提供するのに十分な強度で香料を放出する前記カプセル化香料組成物を提供することのニーズが残存する。
【発明の概要】
【0015】
本出願人は、先行技術の課題および満たされていないニーズに対処し、第1の側面において、カプセル化香料組成物、特にヒトまたは動物の対象の皮膚または毛に適用されてその上に残るように適合されたパーソナルケア製品における使用のための前記カプセル化香料組成物であって、20〜90ミクロンの、より特に20〜75ミクロンの、さらにより特に20〜50クロンの、より特にはさらに30〜50ミクロンの体積平均カプセル直径を有する1種以上のポリウレアカプセルを含む、前記カプセル化香料組成物を提供する。
【0016】
本明細書で用いる場合、体積平均粒径は、Malvern 2000S装置およびMie散乱理論を用いた光散乱測定によって測定される。Mie理論の原理および光散乱を如何にしてカプセルサイズの測定に使用できるかについては、例えばH. C. van de Hulst, Light scattering by small particles. Dover, New York, 1981に見出すことができる。静的光散乱によってもたらされる主な情報は、光散乱強度の角度依存性であり、そしてこれはカプセルのサイズおよび形状に関連する。しかし標準的な操作方法では、回折対象のサイズに等しいサイズを有する球のサイズは、この対象の形状がどのようであっても、装置に付属のMalvern独自のソフトウェアによって計算される。多分散試料の場合、全体の散乱強度の角度依存性は、試料中のサイズ分布に関する情報を含む。出力は、所与のサイズクラスに属するカプセルの総容量を、カプセルサイズの関数として表すヒストグラムであるが、任意数である50のサイズクラスが、典型的には選択される。
【0017】
実験的には、約10%のカプセルを含有する数滴のスラリーを、散乱セルを通って流れる脱気された水の循環流に添加する。散乱強度の角度分布を測定し、Malvern独自のソフトウェアによって分析して、試料中に存在するカプセルの平均サイズおよびサイズ分布を提供する。本発明の文脈において、パーセンタイルDv10、Dv50およびDv90が、カプセルサイズ分布の特性として使用され、Dv50は、分布の中央値に対応する。
【0018】
本発明の特定の態様において、カプセル化香料組成物における、カプセル(シェル材料+コア材料)の総重量のパーセンテージとして表されるポリウレアカプセルのシェル重量は、約5重量%〜40重量%、より特に10〜25重量%、さらにより特に12重量%〜20重量%である。
【0019】
本発明の特定の態様において、カプセル化香料組成物は、水性分散媒体中に分散されたポリウレアカプセルを含むスラリーの形態で提供される。
【0020】
シェル重量は、本発明のカプセル化香料組成物の安定性と性能の両方を決定するのに重要なパラメータである。特に、カプセルの体積平均直径との関係でのシェル重量は、カプセル化香料組成物の放出特性を決定する。より特に、カプセル直径(ミクロンで表される)に対するシェル重量(カプセル総重量:シェル材料+コア材料に対する重量%で表される)の比が約0.7ミクロン−1以下、より特に0.6ミクロン−1以下、さらにより特に0.2ミクロン−1以下である場合に、カプセルの安定性および性能が最適である。
【0021】
ポリウレアカプセルを高度に均一なシェル厚さで生産することの困難性を考慮して、本出願人は、シェル重量が、カプセル形成中の工程内管理のための信頼性のあるパラメータであることを見出した。シェル重量を(カプセル化プロセス中に添加するシェル形成モノマーの量を制御することによって)操作すること、およびカプセル直径を上記のパラメータ内で操作することにより、本発明の目的のための所望の放出プロフィールを有するカプセル化香料組成物を生産することが可能である。より特に、本出願人は、活性化されていないとき(すなわち、圧縮または剪断力を受けていないとき)にはほとんど香料印象を提供せず、活発な身体活動に相応した激しい機械的攪拌に応答して香料を放出するような十分に機械的に頑丈なカプセルを得ることが可能であることを見出した。
【0022】
これは、カプセル化香料組成物を、全ての様式の消費者製品中に、しかし特に消臭剤および発汗抑制剤などのリーブオン製品に、使用のときの皮膚と皮膚または衣類との摩擦接触により剪断される機能を保持しつつ、安定して組み込むことを可能にする。
【0023】
本発明の特定の態様において、ポリウレアカプセルの公称破断応力は、MPaとして表して、約0.1〜2MPa、より特に0.2MPa〜1.5MPa、さらにより特に0.4MPa〜1MPaの範囲である。
【0024】
公称破断応力は、当技術分野で知られているマイクロマニピュレーション技術によって測定することができる。カプセルを蒸留水で希釈し、顕微鏡ステージ上、室温(24±1℃)で約30分乾燥させる。マイクロマニピュレーション技術の原理は、単一のカプセルを2つの平行な表面の間で圧縮することである。単一のカプセルを圧縮して保持し、圧縮して解放し、圧縮して予め設定された1μm/秒の速度で大きな変形または破断させる。同時に、それらに加えられる力およびそれらの変形を、決定することができる。この技術は、カプセル試料の表面に対して垂直に配置された細いプローブを使用する。プローブは、所定の速度で移動するようにプログラム可能な3次元マイクロマニピュレータに取り付けられた、力トランスデューサに接続されている。全プロセスは、倒立顕微鏡上で実施される。力対サンプリング時間の曲線から、力と破裂までのカプセル変形との関係、およびその初期直径が得られる。マイクロマニピュレーション技術は、Zhang, Z., Saunders, R. and Thomas, C. R., Micromanipulation measurements of the bursting strength of single microcapsules, Journal of Microencapsulation 16(1), 117-124 (1999)にさらに完全に記載されており、この文献は参照により本明細書に組み込まれる。カプセル破断時の力は力単位(ニュートン)で表され、これは次に、破断力をカプセルの断面積で割ることにより、圧力単位(パスカル)で表される破断応力に変換される。マイクロマニピュレーションに使用されるチップまたはプローブは、カプセルとほぼ同じサイズでなければならず、典型的には10〜50ミクロンである。典型的には、破断時の力を単一のカプセルで測定し、典型的には50個のカプセルにわたって繰り返し、平均値を用いて、本発明による公称破断応力を計算する。
【0025】
カプセル化香料組成物のカプセルコアは、香油を含有する。香油は、1種以上の香料成分を含有する。一般論では、香料成分は、アルコール、ケトン、エステル、エーテル、アセタート、テルペン炭化水素、含窒素または亜硫酸複素環化合物、および天然または合成起源のエッセンシャルオイルなどの、多様な化学種に属する。これらの香料成分の多くは、いずれの場合にも、S. Arctander, Perfume and Flavor Chemicals, 1969, Montclair, New Jersey, USAの書籍もしくはそのより最近のバージョン、または同様の性質の他の研究などの参考文献、ならびに香料製造分野の豊富な特許文献に記載されている。
【0026】
当技術分野で一般的に知られているように、カプセル形成中の香料がカプセル化される効率、ならびに形成されたカプセルからの香料の漏れの低減の両方が、比較的高いC logPを有する多量の香料成分の使用を介して促進され得る。典型的には、良好なカプセル化効率および低い漏れを達成するために、約2.5以上、より特に3.3以上、さらにより特に4.0以上のC logP値を有する香料成分を、少なくとも約50重量%、より特に約60重量%より多く、さらにより特に約70重量%より多く、より特にはさらに約80重量%より多く使用することが慣習的である。かかる香料成分の使用は一般に、特定の時間、温度および濃度の条件下で、カプセルシェルを介した製品基剤中への香料の拡散を低減するのに役立つとみなされている。
【0027】
香料成分のC logPの値は、Daylight Chemical Information Systems, Inc., Daylight CIS, Irvine, Californiaから入手可能なPomona92データベースを含む、多くのデータベースで報告されている。
【0028】
溶媒を、香料成分と混合して使用するのが通常である。溶媒材料は、香料成分に混和性でありかつ、用いられる量においては香料の質に影響をほとんど及ぼさないかまたは全く及ぼさない、疎水性材料である。通常使用される溶媒は、高いC logP値、例えば6より大きい、さらには10より大きいC logP値を有する。溶媒としては、トリグリセリド油、モノおよびジグリセリド、鉱油、シリコーン油、ジエチルフタラート、ポリアルファオレフィン、ひまし油およびミリスチン酸イソプロピルが含まれる。
【0029】
US2011071064は、パーソナルケア用途における使用のためのポリウレアカプセルに関する。これは特に、カプセルの香料を放出する速度を操作するための、シェル特性を操作する手段に関する。その中には、溶媒をコア中において10重量%より大きい、より特に30重量%より大きい、さらにより特に70重量%より大きい量で用いるべきであることが述べられている。
【0030】
この知見とは対照的に、本出願人は驚くべきことに、本発明のポリウレアカプセルのコア材料中に実質的に溶媒材料を用いないことが可能であることを見出した。実際に、本出願人は、カプセル化されたコアが完全に香料成分で構成されて溶媒を含まない、カプセル化香料組成物を調製することが可能であることを見出した。
【0031】
溶媒非含有のカプセル化香料組成物は、特に、コア材料を構成する香料成分が、限られた水溶性しか有しない場合に、用いられ得る。特に、コア材料は、水への溶解度が15,000ppm以下、より特に5000ppm以下、さらにより特に3000ppm以下である、香料成分を大部分として形成するべきである。より特には、少なくとも60%、より特に少なくとも70%、さらにより特に少なくとも80%、さらにより特に90%より多くの香料成分の、水への溶解度が、15,000ppm以下、より特に5000ppm以下、さらにより特に3000ppm以下であるべきである。
【0032】
カプセルコアにおいて溶媒の使用を避けることは、コストおよび環境への影響の面で一般的に有利である。しかしより特には、リーブオン製品との関係では、高い香料負荷量(perfume loading)を有するカプセルの調製が、溶媒の使用を避けることによって可能になるならば、より低いレベルのカプセルを含むカプセル化香料組成物を、調製することができる。当然、用いるカプセルの濃度が低いほど、処置された皮膚と密接に接触する衣類に、目に見える残留物が付着する可能性は低い。
【0033】
所望の香り効果を得るために必要な、スラリー中に用いるカプセルの濃度は、いかに効率よく香料がカプセル化できるかの程度に依存し、そしてこれは、用いられるシェル材料のコア材料に対する相対的な量に影響される。
【0034】
本発明の特定の態様において、スラリー中におけるカプセル負荷量(カプセル化された材料+シェル材料)は、スラリーの重量に基づいて、約5重量%〜75重量%、より特に25重量%〜50重量%、さらにより特に30重量%〜40重量%の範囲である。
【0035】
さらにまた、スラリーの重量に基づいて重量パーセンテージとして表される香料成分の総重量は、約10重量%〜50重量%、より特に20重量%〜40重量%、さらにより特に25〜35重量%の範囲である。
【0036】
さらに、これらの香料成分の高い負荷量は、比較的低いシェル重量にもかかわらず、カプセル化することができる。実際、本発明の別の側面において、カプセルの総重量に基づいて重量パーセンテージとして表されるコア内容物の量は、約60重量%〜95重量%、より特に75重量%〜80重量%、さらにより特に80重量%〜88重量%の範囲であり得る。
【0037】
コア−シェル重量比は、予め水で洗浄し、濾過により分離したカプセルを秤量することによって得ることができる。次に、コアを溶媒抽出技術によって抽出し、コア重量を得る。シェル重量は、カプセル化材料の初期量の重量%を考慮した、単純な質量バランスから得られる。
【0038】
上述したように、本発明のカプセル化香料組成物は、あらゆる香料成分をカプセル化するために使用され得る。しかしながら、アルデヒド官能基を保有する香料成分のカプセル化に関連する困難があり得る。より具体的には、アルデヒド官能基を含有する香料成分が、カプセル壁形成に使用されるモノマーのアミン官能基と反応することが知られている。これにより、アルデヒド香料成分を含有する香料のカプセル化が完全に失敗する可能性があり、またはカプセルが形成されても、香料の負荷量が低く、カプセルが凝集しやすい。香油保持が低いことはコストをもたらし、一方、凝集現象は少なくとも審美的に望ましくなく、最悪の場合、製造上の問題や貧弱なカプセル性能につながる可能性があるので、できるだけ避けるべきである。
【0039】
WO2011/161265にはこの問題に対する解決策が提案されており、解決策は、アルデヒド香料成分を、アルデヒド官能基が保護されしたがってカプセル形成中にアミンモノマーと反応することができないアルデヒド前駆体の形態で提供することからなる。これは問題に対する興味深い解決策であるが、しかし、アルデヒド香料成分の前駆体の調製に付随する、追加のコストおよび複雑さが存在する。
【0040】
本発明の特定の態様において、カプセル化香料組成物を用いてアルデヒド含有香料成分をカプセル化する場合、前記アルデヒド香料成分に加えて、カプセル化香料は、非芳香族環状香料成分、およびアルキルサリチラートおよび/または2,2,2−三置換アセタールを含有すべきであり、ここで前記アセタールは、次の一般式を有し:
C−CH(OR)(OR
式中、Rは、少なくとも4個の炭素原子、より好ましくは少なくとも5個の炭素原子、および最も好ましくは少なくとも6個の炭素原子を、ただし10個を超えない炭素原子を有する、飽和または不飽和のアルキルまたは芳香族残基であり;RおよびRは独立して、少なくとも炭素原子を有する飽和または不飽和のアルキル残基から選択され;およびRおよびRは独立して、メチル基および/またはエチル基のいずれかから選択される。
【0041】
本発明のさらに特定の態様において、アルデヒド含有香料成分に加えて、カプセル化香料は、非芳香族環状香料成分およびアルキルサリチラートを含む。
本発明のさらに特定の態様において、カプセル化香料は、上記定義の、非芳香族環状香料成分およびアルキルサリチラートおよび2,2,2−三置換アセタールを含む。
【0042】
本明細書で使用する用語「環状香料成分」は、その化学構造内に閉じた環を形成する一連の原子を含有する、香料成分として有用な分子を指す。この環は、芳香族または脂肪族であってもよい。単環式でも多環式でもよく、ヘテロ原子を含んでいてもよい。この環は置換基を有していてもよく、または置換されていなくてもよい。
アルデヒド香料成分は、香料製造においてまたは風味剤として有用な、あらゆるアルデヒドであってよい。香料製造技術分野の当業者であれば、アルデヒド官能基を含有する成分のパレットを利用することができ、これらの成分は本発明において、アルデヒド香料成分を表すものとして企図される。アルデヒドは、脂肪族アルデヒド、脂環式アルデヒド、および非環状テルペンアルデヒド、環状テルペンアルデヒド、または芳香族アルデヒドであってよい。
【0043】
より特に、アルデヒドは、限定されないが、以下のアルデヒドの群を含み、ここでCAS番号が括弧内に示されている。本明細書中では、芳香成分に、慣用名または非体系的な名称が用いられるが、当業者は、これらの名称およびCAS番号が、より正式な命名体系、例えばIUPACなどに基づく同義語も含むことを意図していることを理解する:
【0044】
デカナール(112-31-2)、2−メチルデカナール(アルデヒドC−11)(19009-56-4)、10−ウンデセン−1−オール(112-45-8)、ウンデカナール(112-44-7)、ドデカナール(112-54-9)、2−メチルウンデカナール(110-41-8)、ヘプタナール(111-71-7)、オクタナール(124-13-0)、グリーンヘキサナール(5435-64-3)、ノナナール(124-19-6)、ウンデカナール混合物(1337-83-3)、(Z)−4−デセナール(21662-09-9)、(E)−4−デセナール(65405-70-1)、9−デセナール(39770-05-3)、イソバレルアルデヒド(590-86-3)、アミルシンナムアルデヒド(122-40-7)、メチルシンナムアルデヒド(101-39-3)、メチルフェニルヘキセナール(21834-92-4)、フェニルプロピオンアルデヒド(104-53-0)、パラトリルアルデヒド(104-87-0)、パラアニスアルデヒド(123-11-5)、ベンズアルデヒド(100-52-7)、CYCLAL C(68039-49-6)、TRICYCLAL(68039-49-6)、CYCLOMYRAL(68738-94-3)、イソシクロシトラール(1335-66-6)、MACEAL(68259-31-4)、サフラナール(116-26-7)、ヘリオトロピン(120-57-0)、ヘキシルシンナムアルデヒド(101-86-0)、BOURGEONAL(18127-01-0)、シンナムアルデヒド(104-55-2)、クミンアルデヒド(122-03-2)、シクラメンアルデヒド(103-95-7)、CYCLOHEXAL(31906-04-4)、フェンアルデヒド(5462-06-6)、FLORALOZONE(67634-15-5)、FLORHYDRAL(125109-85-5)、HYDRATROPIC ALDEHYDE(93-53-8)、リリアール(80-54-6)、メフラナールMEFRANAL(55066-49-4)、MYRALDENE(37677-14-8)、SILVIAL(6658-48-6)、TRIFERNAL(16251-77-7)、2−トリデセナール(7774-82-5)、DUPICAL(30168-23-1)、SCENTENAL(86803-90-9)、PRECYCLEMONE B(52475-86-2)、VERNALDEHYDE(66327-54-6)、ヘキサナール(66-25-1)、ADOXAL(141-13-9)、CALYSPONE(929253-05-4)、CETONAL(65405-84-7)、シトラール(5392-40-5)、シトロネラール(106-23-0)、シトロネリルオキシアセトアルデヒド(7492-67-3)、ジヒドロファルネサール(32480-08-3)、ヒドロキシシトロネラール(107-75-5)、メロナール(106-72-9)、メトキシメロナール(62439-41-2)、ノナジエナール(557-48-2)、ONCIDAL(54082-68-7)、ピノアセトアルデヒド(33885-51-7)、テトラヒドロシトラール(5988-91-0)、TROPIONAL(1205-17-0)、エチルバニリン(121-32-4)、バニリン(121-33-5)。
【0045】
香料成分をカテゴリーに割り当てる場合、アルデヒド官能基と環の両方を含む香料成分は、本発明の目的のためのアルデヒド香料成分であり、環状香料成分ではないとみなされる。
あらゆる観察される凝集現象の程度または深刻度は多くの要因に依存し、これには、カプセルシェルを形成するのに使用されるモノマー(例えばアミンモノマー)に対するアルデヒド香料成分の反応性、ならびにアルデヒド香料成分の水性媒体への溶解性を含む。カプセルシェル形成プロセスが界面プロセスであり、使用されるアミンが実質的に水相に含まれるので、アルデヒド香料成分が水相に分配される程度は、アミンに対するその反応性にも影響する。
【0046】
本発明の特定の態様において、カプセル化香料組成物は、カプセル化香料の総重量に基づき約6重量%までのアルデヒド香料成分を含有することができる。より特には、カプセル化香料組成物は、カプセル化アルデヒド香料成分を、0.01重量%〜6重量%、より特に0.01〜5.5重量%、さらにより特に0.01〜5重量%、さらにより特に0.01〜4.5重量%、さらにより特に0.01〜4.0重量%、さらにより特に0.01〜3.5重量%、さらに特に0.01〜3重量%、さらに特に0.01〜2重量%、さらに特に0.01〜1重量%の範囲で含む。
【0047】
非芳香族環状香料成分としては、限定されないが、環状エステル、ケトン、ケタールおよびアルコールが含まれる。本発明において特に有用な非芳香族環状香料成分は、環状エステルである。有用な環状エステルの例としては、以下が含まれる:
アセチル化チョウジ油テルペン(68425-19-4)、AGRUMEX(88-41-5)、シクロヘキシルプロピオン酸アリル(2705-87-5)、AMBER CORE(139504-68-0)、アンブレイン(8016-26-0)、AMBREINOL(73138-66-6)、アンブレトリド(28645-51-4)、アンブリノール(41199-19-3)、AMBROFIX(6790-58-5)、APHERMATE(25225-08-5)、AZARBRE(68845-36-3)、ビシクロノナラクトン(4430-31-3)、BOISIRIS(68845-00-1)、ボルネオール(507-70-0)、ボルニルアセタートリキッド(125-12-2)、パラブチルシクロヘキサノール(98-52-2)、パラブチルシクロヘキシルアセタート(32210-23-4)、CAMONAL(166301-22-0)、合成カンファー(76-22-2)、LAEVO CARVONE(6485-40-1)、CASHMERAN(33704-61-9)、セドレン(11028-42-5)、セドレノール(28231-03-0)、セドロール(77-53-2)、ウッディエポキシド(71735-79-0)、セドリルアセタート結晶(77-54-3)、セドリルメチルエーテル(19870-74-7)、CELERY KETONE(3720-16-9)、CETALOX(3738-00-9)、シベトン(542-46-1)、CONIFERAN(67874-72-0)、CORANOL(83926-73-2)、COSMONE(259854-70-1)、CYCLOGALBANATE(68901-15-5)、シクロヘキシルエチルアセタート(21722-83-8)、CYPRISATE(23250-42-2)、ダマセノン(23696-85-7)、アルファダマスコン(24720-09-0)、ベータダマスコン(23726-92-3)、デルタダマスコン(57378-68-4)、デルタデカラクトン(705-86-2)、ガンマデカラクトン(706-14-9)、
【0048】
DECATONE(34131-98-1)、ジヒドロアンブレート(37172-02-4)、ベータジヒドロイオノン(17283-81-7)、ジヒドロジャスモン(1128-08-1)、デルタドデカラクトン(713-95-1)、ドデカラクトンガンマ(2305-05-7)、DUPICAL(30168-23-1)、エチルサフラネート(35044-59-8)、エチレンブラシレート(105-95-3)、ユーカリプトール(470-82-6)、アルファフェンコン(7787-20-4)、酢酸フェンチル(13851-11-1)、フェンチルアルコール(1632-73-1)、FLOROCYCLENE(68912-13-0)、FLOROSA(63500-71-0)、FLORYMOSS(681433-04-5)、FOLENOX(26619-69-2)、FOLROSIA(4621-04-9)、FRESKOMENTHE(14765-30-1)、FRUITATE(80623-07-0)、ガルバノンピュア(56973-85-4)、GARDOCYCLENE(67634-20-2)、GEORGYWOOD(185429-83-8)、GIVESCONE(57934-97-1)、GLYCOLIERRAL(68901-32-6)、GRISALVA(68611-23-4)、GYRANE(24237-00-1)、HABANOLIDE(111879-80-2)、HEDIONE(24851-98-7)、ヘプタラクトンガンマ(105-21-5)、HERBANATE(116126-82-0)、HERBAVERT(67583-77-1)、ヘルボキサン(54546-26-8)、ベータイオノン(8013-90-9)、IRISANTHEME(1335-46-2)、ALPHA IRISONE(8013-90-9)、アルファイロン(79-69-6)、イロンF(54992-91-5)、イソEスーパー(54464-57-2)、イソジャスモンB11(95-41-0)、ISOLONGIFOLANONE(23787-90-8)、イソメントンDL(491-07-6)、イソプレゴール(89-79-2)、イソラルデイン40、70および90(1335-46-2)、JASMACYCLENE(5413-60-5)、JASMATONE(13074-65-2)、JASMOLACTONE(32764-98-0)、シスジャスモン(488-10-8)、JASMONYL(18871-14-2)、KARANAL(117933-89-8)、KEPHALIS(36306-87-3)、LAITONE(4625-90-5)、LIGANTRAAL(68738-99-8)、MAYOL(13828-37-0)、メントン(89-80-5)、METAMBRATE(72183-75-6)、メチルセドリルケトン(32388-55-9)、ガンマメチルデカラクトン(7011-83-8)、メチルジヒドロイソジャスモナート(37172-53-5)、
【0049】
メチルエピジャスモナート(39924-52-2)、METHYL TUBERATE(33673-62-0)、MUSCENONE(82356-51-2)、ムスコン(541-91-3)、エチレンドデカノアート(54982-83-1)、ムスクラクトン(3391-83-1)、MYRALDYL ACETATE(72403-67-9)、NECTARYL(95962-14-4)、NIMBEROL(70788-30-6)、NIRVANOLIDE(329925-33-9)、ノートカトン(4674-50-4)、NOPYL ACETATE(128-51-8)、デルタオクタラクトン(698-76-0)、ガンマオクタラクトン(104-50-7)、OKOUMAL(131812-67-4)、OPALAL(62406-73-9)、ORIVONE(16587-71-6)、OXYOCTALINE FORMATE(65405-72-3)、PIVACYCLENE(68039-44-1)、PLICATONE(41724-19-0)、POIRENATE(2511-00-4)、クイントン(4819-67-4)、RHUBOFIX(41816-03-9)、RHUBOFLOR(93939-86-7)、ROSE OXIDE CO(16409-43-1)、ROSE OXIDE LAEVO(3033-23-6)、ROSSITOL(215231-33-7)、SAFRALEINE(54440-17-4)、SANDELA(66068-84-6)、SPIRAMBRENE(121251-67-0)、スピロガルバノン(224031-70-3)、SUPERFIX(3910-35-8)、THIBETOLIDE(106-02-5)、TIMBEROL(70788-30-6)、TRIMOFIX O(144020-22-4)、デルタウンデカラクトン(710-04-3)、ガンマバレロラクトン(108-29-2)、VELOUTONE(65443-14-3)、VELVIONE(37609-25-9)、VERDALIA(27135-90-6)、VERDOL(13491-79-7)、VERTOFIX COEUR(32388-55-9)、VETIKOL ACETATE(68083-58-9)、酢酸ベチベリル(68917-34-0)、VETYNAL(57082-24-3)。
有用なアルキルサリチラートとしては、以下が含まれる:アミルサリチラート(2050-08-0)、エチルサリチラート(118-61-6)、ヘキセニル−3−シスサリチラート(65405-77-8)、ヘキシルサリチラート(6259-76-3)、イソブチルサリチラート(87-19-4)、イソブチルサリチラート(87-19-4)、KARMAFLOR(873888-84-7)、メチルサリチラート(119-36-8)。
【0050】
有用な2,2,2−置換アセタールとしては、METHYL PAMPLEMOUSSE(67674-46-8)、AMAROCIT B(72727-59-4)、NEROLIACETAL(99509-41-8)が含まれる。
非芳香族環状香料成分およびアルキルサリチラートは、互いに独立して、カプセル化香料の総重量に基づき、約10重量%以上、より特に15%以上、より特に20%以上、より特に25%以上、さらにより特に30%以上、より特に33%以上、例えば20〜99.99%、または25〜99.99%、または25〜99.99%、または30〜99.99%、または33〜99.99%の量で存在することができる。
【0051】
本発明の特定の態様において、アルデヒド香料成分は、約1重量%〜6重量%、より特に2重量%〜5.5重量%、さらにより特に3重量%〜5重量%の量で存在し;および、非芳香族環状香料成分および/またはアルキルサリチラート香料成分は、独立して、30重量%を超える、さらにより特には33重量%を超える量で、存在する。
本発明の別の特定の態様において、アルデヒド香料成分は、約1重量%〜6重量%、より特に2重量%〜5.5重量%、さらにより特に3重量%〜5重量%の量で存在し;非芳香族環状香料成分および/またはアルキルサリチラート香料成分は、独立して、10重量%〜33重量%の量で存在する。
【0052】
本発明のさらに別の特定の態様において、アルデヒド香料成分は、約1重量%〜6重量%、より特に2重量%〜5.5重量%、さらにより特に3重量%〜5重量%の量で存在し;非芳香族環状香料成分およびアルキルサリチラート香料成分は独立して、10重量%〜33重量%の量で存在し、2,2,2−置換アセタールは25重量を超える、より特には30重量%を超える、さらにより特には33重量%を超える量で存在する。
【0053】
本発明によるカプセル化香料組成物は、アミンとイソシアナートの界面重付加によってカプセルを生産するための当技術分野で知られているあらゆる方法により、調製することができる。
代表的な調製方法は、WO 2011/161229およびWO 2011/160733に開示されている。WO 2011/161229またはWO 2011/160733によれば、ポリウレアマイクロカプセルは、保護コロイドとしてのポリビニルピロリドン(PVP)の存在下で調製される。
【0054】
WO 2012/107323には、ポリイソシアナートとグアナゾールおよびアミノ酸との反応生成物であって、アニオン性安定剤またはアニオン性ポリビニルアルコールなどの界面活性剤、例えばKurarayにより販売されているMowiol(登録商標)KL-506などの存在下における、前記反応生成物を含むポリウレアシェルを有するポリウレアマイクロカプセルが、開示されている。
EP-B-0 537 467には、ポリビニルアルコールなどの安定剤、例えば部分的または完全に鹸化されたポリビニルアセタートの存在下での、ポリエチレンオキシド基を含有するイソシアナートから調製されたマイクロカプセルが記載されている。
【0055】
WO 2007/096592には、油相を、ポリビニルアルコールまたはそのカルボキシル化およびスルホン化誘導体などの界面活性剤系によって一般に安定化された連続水性相中に乳化させる、マイクロカプセル化法が記載されている。
典型的な調製方法において、カプセル化香料組成物は、以下に記載するような、界面活性剤および/または保護コロイドを含有する水相を調製する手順に従って、調製することができる。水相を、僅か数秒から数分までの時間、激しく撹拌する。次いで、疎水相を水相に添加することができる。疎水相は、カプセル化される香料およびイソシアナートを含有する。疎水相はまた、好適な溶媒を含んでもよいが、本発明の好ましい側面においては、溶媒は使用されない。激しく攪拌した後、疎水相が水性連続相中に小さな液滴として分散されたエマルジョンが得られる。攪拌の速度は、水相中の疎水相の液滴の大きさに影響を及ぼすように、調整することができる。
【0056】
次いで、アミンを含有する水溶液を添加して、重付加反応を開始させる。導入されるアミンの量は、遊離イソシアナート基を変換するのに必要な化学量論的量に対して、大抵は過剰である。
重付加反応は、一般に約0〜100℃の範囲の温度で、数分から数時間の範囲の時間、進行する。
【0057】
界面重付加によるカプセルの製造条件は当技術分野において周知であり、当業者の範囲内にあるこれらの条件の更なる詳細化は、ここでは必要とされない。カプセルの調製に関する具体的な記載は、以下の実施例で提供される。
カプセルの形成に有用なアミンとしては、イソシアナートと反応してポリウレアを形成することができる、1以上の第1級または第2級アミン基を含有する化合物が含まれる。アミンが1個のみのアミノ基を含む場合、化合物は、重合反応によってネットワークを形成する1以上の追加の官能基を含む。
【0058】
好適なアミンの例としては、1,2−エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,6−ジアミノヘキサン、ヒドラジン、1,4−ジアミノシクロヘキサンおよび1,3−ジアミノ−1−メチルプロパン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、およびビス(2−メチルアミノエチル)メチルアミンが含まれる。
他の有用なアミンとしては、ポリエチレンアミン(poly ethyieneamine)(CH2CH2NH)n、例えばエチレンアミン、ジエチレンアミン、エチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンなど;BASFにより販売されるポリビニルアミン(CH2CHNH2)n(Lupamineの異なるグレード);BASFによりLupasol(商標)グレードとして販売されるポリエチレンイミン(CH2CH2N)x−(CH2CH2NH)y−(CH2CH2NH2)z;ポリエーテルアミン(HuntsmanからのJeffamine);グアニジン、グアニジン塩、メラミン、ヒドラジンおよび尿素が含まれる。
【0059】
特に好ましいアミンはポリエチレンイミン(PEI)であり、より特には、BASFにより供給されるLupasol(商標)範囲からのPEI、さらにより特にはLupasol(商標)PR8515である。
ポリウレアマイクロカプセルの形成に有用なイソシアナートとしては、2−および3官能性イソシアナート、例えば1,6−ジイソシアナトヘキサン、1,5−ジイソシアナト−2−メチルペンタン、1,5−ジイソシアナト−3−メチルペンタン、1,4−ジイソシアナト−2,3−ジメチルブタン、2−エチル−1,4−ジイソシアナトブタン、1,5−ジイソシアナトペンタン、1,4−ジイソシアナトブタン、1,3−ジイソシアナトプロパン、1,10−ジイソシアナトデカン、1,2−ジイソシアナトシクロブタン、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、または3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチル−1−イソシアナトシクロヘキサンが含まれる。
【0060】
他の有用なイソシアナートとしては、イソシアナートモノマーに基づくオリゴマー、例えば1,6−ジイソシアナトヘキサンのホモポリマーも含まれる。これらのモノマーおよびオリゴマーは全て、Bayerにより商品名Desmodurとして販売されている。改質されたイソシアナート、特に水分散性イソシアナートも含まれ、例えば、ヘキサメチレンジイソシアナート(Hexamethylene Diisocyanate)に基づく親水性脂肪族ポリイソシアナート(BAYHYDUR(商標)の名称で販売)などである。
【0061】
使用してもよい保護コロイドまたは乳化剤の種類としては、マレイン酸ビニルコポリマー、例えばビニルエーテルと無水マレイン酸またはマレイン酸のコポリマー、リグノスルホン酸ナトリウム、無水マレイン酸/スチレンコポリマー、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、およびプロピレンオキシド、エチレンジアミンおよびエチレンオキシドのコポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレン化ソルビトールおよびドデシル硫酸ナトリウムの脂肪酸エステルが含まれる。
特定の保護コロイドとしては、85〜99.9%の範囲の加水分解度を有するポリビニルアルコールコポリマーが含まれる。本明細書で使用する場合、用語「ポリビニルアルコールコポリマー」は、ビニルアルコール/ビニルアセタートとコモノマーとのポリマーを意味する。
【0062】
ポリビニルアルコールは、ポリビニルアセタートの加水分解(脱アセチル化)により生産され、これによりポリビニルアセタートのエステル基がヒドロキシル基へ加水分解されて、ポリビニルアルコールを形成することが知られている。
加水分解度は、加水分解によって変換される基のパーセンテージを反映する。したがって、加水分解度によって認定される「ポリビニルアルコール」という用語は、エステル基とヒドロキシル基の両方を含有するビニルポリマーを意味する。
本発明の特定の態様において、加水分解度の範囲が85〜99.9%、より特に85〜95%であるポリビニルアルコールのコポリマーを、保護コロイドとして使用することができる。
【0063】
加水分解度は、当技術分野で周知の技術、例えばDIN 53401に従って決定することができる。
ポリビニルアルコールコポリマーは、付加コモノマーを、すなわち、第1のステップでビニルエステルと重合され、続いて第2のステップでエステル基を加水分解してポリビニルアルコールのコポリマーを形成するコモノマーを、含有する。コポリマーは、ビニルアセタートとコモノマーのラジカル重合により、それ自体知られている方法で形成することができる。
【0064】
ポリビニルアルコールコポリマーは、不飽和炭化水素をコモノマーとして含有してもよい。これらの炭化水素は、荷電または非荷電官能基で修飾されてもよい。特定のコモノマーは、以下を含むが、これらに限定されない:
− 2または3個の炭素原子を有し官能基を有さない不飽和炭化水素、例えば、エチレン;
− 2〜6個の炭素原子およびヒドロキシル基などの非荷電官能基を有する不飽和炭化水素、例えば、ブテン−1,4−ジオール;
− カルボキシル基および/またはスルホン酸基などのアニオン性基を有する、不飽和炭化水素;
− 第四級アンモニウム基などのカチオン性基を有する、不飽和炭化水素。
【0065】
ポリビニルアルコールの特定のコポリマーには、加水分解度が85〜99.9%、より特に85〜95%のものが含まれ;これらは以下を含む:
− 0.1〜30モル%の、上記のようなアニオン性基を含有するコモノマー;または
− 0.1〜30モル%の、上記のようなカチオン性基を含有するコモノマー;または
− 2〜6個の炭素原子と非荷電官能基、特に2つのヒドロキシル基を有する不飽和炭化水素を有する、0.1〜30モル%のコモノマー;
ここで、モル%は、ビニルアセタート/コモノマー重合混合物に基づく。
ポリビニルアルコールと1,2−ジオール構造を有するコモノマーの好適なコポリマーは、EP 2 426 172およびEP 2 648 211に記載されており、これらは本明細書に参照により組み込まれる。
【0066】
以下の保護コロイドは、本発明のポリウレアカプセル組成物の調製において特に有用である:
− 80%より大きい、好ましくは85.0%〜99.5%の加水分解度および2mPas〜70mPas(DP 100〜6000)の粘度を有する、アニオン性ポリビニルアルコールコポリマー、例えばKuraray製のK-polymer KL-318(粘度20〜30mPas、加水分解度85.0〜90.0%)。Nippon GohseiからのGohsenal T-350(粘度27〜33mPas、加水分解度93.0〜95.0%);Nippon GohseiからのGohseran L-3266(粘度2.3〜2.7mPas、加水分解度86.5〜89.0%);
− 80%より大きい、好ましくは85.0〜99.5%の加水分解度および2mPas〜70mPa・s(DP 100〜6000)の粘度を有する、非荷電ポリビニルアルコールコポリマー、例えばNippon GohseiからのG-polymer OKS-8041(粘度2.8〜3.3mPas、加水分解度88.0〜90.0%)、Nippon GohseiからのG-polymer AZF-8035(粘度2.8〜3.3mPas、加水分解度98.5〜99.5%);および
− 80%より大きい、より特に85.0〜99.5%の加水分解度および2mPas〜70mPas(DP 100〜6000)の粘度を有する、カチオン性ポリビニルアルコールコポリマー、例えばNippon GohseiからのGohsefimer K-210(粘度18.0〜22.0mPas、加水分解度85.5〜88.0%)。
【0067】
保護コロイドは、カプセルシェルの構成成分であってもなくてもよい。一般に、スラリーの重量に基づいて重量パーセントで表される保護コロイドの総量は、約0.1〜20重量%、より特には1〜10重量%、さらにより特には1.5〜5重量%の範囲である。
2種以上の異なる保護コロイドの組み合わせも、本発明において使用してよい。
カプセル化香料組成物がスラリーとして保存されること、またはさらに消費者製品中にスラリーとして組み込まれることを意図する場合、スラリーのpHは、約5〜10のレベルに調節される。これは、クエン酸またはギ酸などの好適な酸のアルカリ性スラリーへの添加、および添加された防腐剤によって達成し得る。
【0068】
本発明のカプセル化香料組成物は、水性スラリーの形態で調製することができる。しかしながら、スラリーの生産に生じる可能性がある課題は、香料含有カプセルが水性分散媒体中から相分離して、クリーミングする(cream)か、沈降するかまたは凝固する可能性があることである。時間が経っても安定に水性分散媒体中でカプセルを適切に分散および懸濁させるために、スラリー中において分散助剤が通常用いられる。
【0069】
様々な分散助剤が当技術分野で知られており、これには以下が含まれる:多糖類、ペクチン、アルギン酸塩、アラビノガラクタン、カラギーナン、ゲランガム、キサンタンガム、グアーガム、アクリラート/アクリルポリマー、デンプン、水膨潤性粘土、アクリラート/アミノアクリラートコポリマー、およびそれらの混合物、マルトデキストリン;アルギン酸エステルなどの天然ゴム;ゼラチン、タンパク質加水分解物およびそれらの四級化形態;合成ポリマーおよびコポリマー、例えばポリ(ビニルピロリドン−co−ビニルアセタート)、ポリ(ビニルアルコール−co−ビニルアセタート)、ポリ(マレイン酸)、ポリ(アルキレンオキシド)、ポリ(ビニルメチルエーテル)、ポリ(ビニルエーテル−co−マレイン酸無水物)など、ならびにポリ−(エチレンイミン)、ポリ((メタ)アクリルアミド)、ポリ(アルキレンオキシド−co−ジメチルシロキサン)、ポリ(アミノジメチルシロキサン)など。
【0070】
利用可能な分散助剤の多様性にもかかわらず、適当な分散助剤の選択は、カプセルシェル化学、その形態、サイズおよび密度、ならびにpHおよび電解質含量などの水性分散媒体の組成を含む、多くの要因に依存し、カプセル化プロセス条件によってある程度決定される。
実際、本出願人は、信頼性が高く再現性のある方法で、ポリウレアカプセルを含むスラリーを調製することが困難であることを見出した。相分離、およびスラリー粘度は、制御が困難であった。スラリー粘度が高すぎると、スラリーを加工するために高い剪断力が必要であり、カプセルを損傷する可能性がある。さらに、高粘性のスラリーは取り扱いが困難であり得て、カプセル化香料組成物を消費者製品の基剤に組み込む際に、困難を招くことがある。
【0071】
出願人は今や、本発明に至る研究の過程で、ヒドロキシエチルセルロースを分散助剤として用いることによって、ポリウレアカプセルが安定して分散されかつ許容される粘度を有するスラリーとしてカプセル化香料組成物を、直接的な様式で形成することが可能であることを見出した。
したがって、本発明は、本発明の別の側面において上述のカプセル化香料組成物、ここでカプセルは、25℃の温度にて21s−1の剪断速度で回転するディスクを使用して、レオメーター、例えばRheoStress(商標)1装置(ThermoScientific)で測定した場合に、3000センチポアズまでの、より特に約150〜3000センチポアズの粘度を有する、安定した懸濁液の形態である、を提供する。
【0072】
上述において使用したように、用語「安定な懸濁液」とは、目視検査において、50℃の温度で2週間保存した場合に、クリーミング、沈降、沈殿または凝固などの相分離の兆候を示さない、ポリウレアカプセルの懸濁液を意味することを意図している。
消費者製品での使用に適したあらゆるヒドロキシエチルセルロースを、本発明による分散助剤として使用することができる。しかし好ましいグレードは、化粧品での使用に適したグレードである。特に好ましいグレードには、当技術分野で知られているNatrosol(商標)製品、特にNatrosol(商標)250 HXが含まれる。
【0073】
本発明の特定の態様において、スラリー中で用いられるヒドロキシエチルセルロースの量は、スラリーの総重量に基づき約0.05〜約1.0重量%、より特に、0.05〜0.5重量%である。
ヒドロキシエチルセルロースが分散助剤として用いられるならば、追加の分散助剤もまた用いられてもよい。好適な追加の分散助剤の例には、本明細書上記のあらゆるものが含まれる。特に、前記追加の分散助剤には、デンプン、例えばNational 465、Purity W、もしくはデンプンB990など;またはアクリラートポリマーもしくはコポリマー、例えばTinovis CD、Ultragel 300およびRheocare TTAなど、が含まれる。
【0074】
追加の分散助剤が使用される場合、それらは、スラリーの重量に基づき、約0.1〜約5.0重量%、より特に0.5〜4重量%、さらにより特に1〜3重量%の範囲の量で使用されてよい。
ヒドロキシエチルセルロースは、好ましくは、一旦スラリーが形成されたら添加する。カプセルの形成中にヒドロキシエチルセルロースを添加することは、好ましくは避けるが、それは粘度を増加させ、カプセル形成に有害となり得るためである。
【0075】
微生物汚染を防止するため、本発明のカプセル化香料組成物は、防腐剤を含有してもよい。防腐剤はカプセル化されていてもよく、および/またはスラリーの水性懸濁媒体中に含まれていてもよい。好適な防腐剤としては、第四級化合物、ビグアニド化合物、およびそれらの混合物が含まれる。第四級化合物の非限定的な例としては、塩化ベンザルコニウムおよび/または置換塩化ベンザルコニウムが含まれ、例えば、市販のBarquat(登録商標)(Lonzaから入手可能)、Maquat(登録商標)(Masonから入手可能)、Variquat(登録商標)(Witco/Sherexから入手可能)、およびHyamine(登録商標)(Lonzaから入手可能);ジ(C6〜C14)アルキルジ短鎖(C1〜4アルキルおよび/またはヒドロキシアルキル)第四級物、例えばLonzaからのBardac(登録商標)製品;N−(3−クロロアリル)ヘキサミニウムクロリド、例えばDowより入手可能なDowicide(登録商標)およびDowicil(登録商標);塩化ベンゼトニウム、例えばRohm&HaasからのHyamine(登録商標);Rohm&Haasから供給されるHyamine(登録商標)10に代表される塩化メチルベンゼトニウム、Merrell Labsから入手可能なCepacolなどの塩化セチルピリジニウム;およびジエステル第四級アンモニウム化合物が含まれる。好ましいジアルキル四級化合物の例は、ジ(C8〜C12)ジアルキルジメチルアンモニウムクロリド、例えば塩化ジデシルジメチルアンモニウム(Bardac(登録商標)22)、および塩化ジオクチルジメチルアンモニウム(Bardac(登録商標)2050)などである。本明細書のカチオン性防腐剤および/または抗菌剤として有用な第四級化合物は、好ましくは、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム、塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ジアルキルメチルベンジルアンモニウム、およびそれらの混合物からなる群から選択される。本明細書で有用な他の好ましいカチオン性抗菌活性物質としては、塩化ジイソブチルフェノキシエトキシエチルジメチルベンジルアンモニウム(Rohm&HaasからHyamine(登録商標)1622の商品名で市販されている)および(メチル)ジイソブチルフェノキシエトキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド(すなわち塩化メチルベンゼトニウム)が含まれる。
【0076】
カプセル化香料組成物は、界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤としては、非イオン性、カチオン性、アニオン性および双性イオン性の種類が含まれる。
カプセル化された香料に加えて、スラリーは、カプセル化されていない、すなわち遊離の香料を、カプセルの外に水性担体媒体中に含有してもよい。
所望の場合には、スラリーの形態の、本明細書に記載のカプセル化香料組成物を、脱水して粉末の形態のカプセル化香料組成物を提供してもよく、これは本発明の別の側面を表す。
【0077】
スラリーは、当技術分野で知られている技術を用いて乾燥することができる。例えば、液体を懸濁液からデカントして乾燥し、カプセルをオーブン中で乾燥してケーキを生成し、これを次に、続く粉砕工程によって粉末形態にすることができる。
しかし好ましくは、スラリーの乾燥は、噴霧乾燥または流動床乾燥により、それ以上の処理をすることなく行われる。
【0078】
噴霧乾燥技術および装置は、当技術分野において周知である。噴霧乾燥プロセスでは、懸濁されたカプセルをノズルを通して乾燥チャンバに押し込む。カプセルは、乾燥チャンバの内部を移動する流体(空気など)に同伴されてもよい。流体(例えば150および120℃、より好ましくは170℃と200℃との間、さらにより好ましくは175℃と185℃の間の温度で加熱されてもよい)は、液体を蒸発させて、乾燥したカプセルを残し、その後乾燥カプセルは、処理装置から回収してさらに処理することができる。
【0079】
噴霧乾燥されたカプセルを流動助剤と混合して、ケーキングすることのない流動性粉末を生産することは、慣習的である。流動助剤としては、沈降シリカ、ヒュームドシリカまたはコロイドシリカなどのシリカまたはシリカート;デンプン;炭酸カルシウム;硫酸ナトリウム;変性セルロース;ゼオライト;または当技術分野で周知の他の無機微粒子が含まれる。
噴霧乾燥手順中に遭遇する高い温度および衝突力を考えると、コアシェルカプセルがそのコア材料の一部を失うことはごく普通のことである。さらに、カプセルの熱安定性を犠牲にすることなく、スラリーからのすべての水分を追い出すために十分に高い温度で十分に長い時間作業することは、可能でない場合もある。したがって、本明細書に記載の噴霧乾燥プロセスから出現するポリウレアカプセルは、少量の表面油および残留水分を含み得る。しかし本出願人は、乾燥カプセルに添加された流動助剤の従来の使用は、ケーキング傾向のない自由流動性の形態で本発明のポリウレアカプセルを生産するのに、完全に有効ではないことを見出した。
【0080】
しかし驚くべきことに、本出願人は、噴霧乾燥工程の前に流動助剤をスラリーに添加すると、得られたポリウレアカプセルは、ケーキングしなかったかまたは目に見える凝集の兆候を示さなかった、微細な自由流動性粉末を生成することを見出した。
より特には、本出願人は、スラリーに添加された流動助剤が、ミクロンサイズの、より特には1〜約8ミクロン、さらにより特には1〜7、より特には1〜6、さらにより特には1〜5ミクロンの体積平均粒径を有するシリカの形態である場合に、自由流動性であり、ケーキングに抵抗性であり、残留水分および表面油が低レベルの、特に良好な粉末が形成されることを見出した。
【0081】
さらに、本出願人は、約5〜約30lbs/ftの嵩密度を有するシリカを使用すると、自由流動性であり、ケーキングに抵抗性であり、残留水分および表面油が低レベルの、特に良好な粉末が得られることを見出した。
特に好ましい流動助剤は、Syloid FPグレードのシリカであり、例えばSyloid FP 244、Syloid FP 72、またはSyloid FP 63であった。
したがって本発明は、その別の側面において、本明細書で定義される、粉末形態のカプセル化香料組成物を作る方法であって、本明細書で定義される複数のポリウレアカプセルを、本明細書で定義されるシリカ流動助剤を含む水性媒体中に分散して含むスラリーを、噴霧乾燥するステップを含む、前記方法を提供する。
【0082】
本発明の別の側面において、本明細書中で上に記載した流動助剤を含む粉末の形態の、本明細書で定義されるカプセル化香料組成物が提供され、該粉末は、残留水分含量として、スラリー重量に基づき、約0.1〜約8重量%、より特に0.5%〜5%、さらにより特に1〜3重量%を有する。
本発明のさらに別の側面において、本明細書中で上に記載した流動助剤を含む粉末の形態の、本明細書で定義されるカプセル化香料組成物が提供され、該粉末は、表面油(コアから失われた油)含量として、粉末の重量に基づき、5重量%未満、より特に2重量%未満、さらにより特に0.5重量%未満を有する。
【0083】
残留水分はKarl Fisher法を用いて測定することができ、一方、表面油の量は、粉末を油用の溶媒で抽出し、GC MSを用いて分析することによって測定することができる。
本発明はまた、上述において定義したカプセル化香料組成物のリーブオンパーソナルケア製品中への組み込みにも関する。本発明はまた、上述において定義したカプセル化香料組成物を含有するリーブオンパーソナルケア製品にも関する。
【0084】
本発明によるカプセル化香料組成物は、スラリーまたは粉末の形態で前記製品に組み込まれ得る。前記製品に組み込まれるカプセル化香料組成物の量は、最終製品の0.01重量%〜25重量%、より特に0.1重量%〜10重量%、およびさらにより特に0.5重量%〜5重量%の範囲であり得る。
本発明のカプセル化香料組成物は、剪断に敏感な、皮膚を皮膚でこすることまたは皮膚を衣料品でこすることによってその香料内容物を放出するように適合された、ポリウレアカプセルを含有する。
【0085】
本発明のカプセル化香料組成物は、前記製品に組み込まれる香料材料の唯一の供給源であってもよい。しかしながら、追加の香料も前記製品に、遊離(カプセル化されていない)香料の形態で組み込むことができ、または他の種類のカプセル化香料組成物を、本発明のカプセル化香料組成物と共に使用することもできる。他の種類のカプセル化香料組成物は、香料を含有することが知られているあらゆるカプセル、例えばゼラチンカプセル、デンプンカプセル、アクリルカプセル、アミノプラストカプセルなどを含んでよい。他のカプセル種類はそれらの香料を、拡散によって、または熱、湿気、光、または剥離によるなどの、あらゆる外部物理的刺激によって、放出することができる。
【0086】
リーブオン製品は、コロン、アフターシェーブローション、アフターバス剤、スプラッシュローション、保湿クリーム、ヘアクリーム、タルカムパウダー、ならびに、とりわけ消臭剤および発汗抑制剤製品を含む。
消臭剤および発汗抑制剤は、固体、クリームまたは液体の形態を取り得る。これらの形態は、種々のデバイス、例えば自立した固体製品(スティック状)を支持する押し上げデバイスを有するキャニスター、エアロゾルスプレー、ポンプスプレーおよび液体塗布器などを介して体に送達される。
【0087】
本発明のさらに別の側面において、リーブオン製品の嗅覚特性を付与、増強、改善または変更する方法が提供され、この方法は、前記製品に、上記定義されたカプセル化香料組成物を組み込むことを含む。
上記定義されたカプセル化香料組成物を含有するリーブオン製品、特に消臭および発汗抑制製品であって、ヒトまたは動物の皮膚に対する、または織物などの無生物の表面に対する皮膚の摩擦力などの剪断力にさらされた場合に、香料を確実に放出し、これを、6時間まで、より好ましくは10時間までの時間行う、前記製品の提供は、満たされていないニーズに対処する。
【0088】
上述したように、本発明のカプセル化香料組成物は、リーブオン製品中への組み込みに、より特には消臭または発汗抑制製品に、および本発明のさらなる態様のための前記カプセル化香料組成物を含有するリーブオン製品に、特に好適である。発汗抑制および/または消臭パーソナルケア製品は、カプセル化香料組成物に加えて、少なくとも1つの消臭剤活性成分および/または少なくとも1つの発汗抑制塩もしくは錯体を含む。
本発明の意味において、「消臭活性成分」とは、細菌によるヒトの汗の分解に起因する不快な臭いを、マスキング、吸収、改善または低減することができるあらゆる物質を意味すると理解される。
【0089】
より具体的には、消臭活性成分は、静菌剤または殺菌剤、例えば2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテル(Triclosan(登録商標))、2,4−ジクロロ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテル、3’,4’,5’−トリクロロサリチルアニリド、1−(3’,4’−ジクロロ−フェニル)−3−(4’−クロロフェニル)尿素(Triclocarban(登録商標))、または3,7,11−トリメチルドデカ−2,5,10−トリエノール(Farnesol(登録商標));第四級アンモニウム塩、例えばセチルトリメチル−アンモニウム塩またはセチルピリジニウム塩、DPTA(1,3−ジアミノプロパン四酢酸)または1,2−デカンジオール(SymriseからのSimclariol)であることができる。
【0090】
さらに挙げられるのは、亜鉛塩の消臭活性成分の中では、例えばサリチル酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、ピドリン酸亜鉛、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、乳酸亜鉛またはフェノイスルホン酸亜鉛など;クロルヘキシジンおよびその塩;重炭酸ナトリウム;サリチル酸およびその誘導体、例えば5−(n−オクタノイル)サリチル酸;グリセロール誘導体、例えばカプリル酸/カプリン酸グリセリド(AbitecからのCapmul MCM)、グリセロールカプリラートもしくはカプラート(それぞれ、StraetmansからのDermosoft GMCYおよびDermosoft GMC)、またはポリグリセリル−2カプラート(StraetmansからのDermosoft DGMC);ビグアニド誘導体、例えばポリヘキサメチレン−ビグアニド塩;銀、ゼオライトまたは銀非含有ゼオライトである。
【0091】
組成物の発汗抑制効果を改善するために、ブレンステッド酸、特にマレイン酸および/または無水マレイン酸に由来するものを含む、1種以上の水溶性アニオン性ポリマーを使用することができ、これは特許出願WO 02/49590に記載されている。
さらに、本明細書における「発汗抑制塩または錯体」は、それ自体が単独で、汗の流れを低減または制限し、および/またはヒトの汗を吸収する効果を有する、あらゆる塩または錯体をいう。かかる発汗抑制塩または錯体の例は、OTC final monograph on Antiperspirant Activesおよび米国特許公開第20100196484号、第20050031565号、第20050238598号、および第20110212144号に見出すことができ、これらの開示全体は本明細書に参照により組み込まれる。
【0092】
発汗抑制塩または錯体は、一般にアルミニウムおよび/またはジルコニウム塩または錯体から選択される。それらは典型的には、ハロゲン化水素酸アルミニウム;ハロゲン化水素酸アルミニウムジルコニウム、またはジルコニウムヒドロキシクロリドとの、およびアルミニウムヒドロキシクロリドとの錯体(アミノ酸を有するものまたは含まないもの)、例えば、米国特許第3,792,068号に記載のものである。
特に挙げられるのは、アルミニウム塩の中でも、活性化または非活性化形態のアルミニウムクロロ水和物、アルミニウムクロロハイドレックス、アルミニウムクロロハイドレックスポリエチレングリコール錯体、アルミニウムクロロハイドレックスプロピレングリコール錯体、アルミニウムジクロロ水和物、アルミニウムジクロロハイドレックスポリエチレングリコール錯体、アルミニウムジクロロハイドレックスプロピレングリコール錯体、アルミニウムセスキクロロ水和物、アルミニウムセスキクロロハイドレックスポリエチレングリコール錯体、アルミニウムセスキクロロハイドレックスプロピレングリコール錯体、または乳酸アルミニウムナトリウムで緩衝された硫酸アルミニウムである。
【0093】
特に挙げられるのは、アルミニウムジルコニウム塩の中でも、アルミニウムジルコニウムオクタクロロ水和物、アルミニウムジルコニウムペンタクロロ水和物、アルミニウムジルコニウムテトラクロロ水和物またはアルミニウムジルコニウムトリクロロ水和物である。
ヒドロキシ塩化ジルコニウムおよびヒドロキシ塩化アルミニウムの、アミノ酸との錯体は、ZAGという名称で一般に知られている(アミノ酸がグリシンである場合)。ここで挙げられるのは、これらの生成物の中で、アルミニウムジルコニウムオクタクロロハイドレックスグリシン錯体、アルミニウムジルコニウムペンタクロロハイドレックスグリシン錯体、アルミニウムジルコニウムテトラクロロハイドレックス(tetrathiorohydrex)グリシン錯体、およびアルミニウムジルコニウムトリクロロハイドレックスグリシン錯体である。
本発明およびその利点をさらに説明するために、以下の特定の実施例および比較例が与えられているが、これらは単に例示的であり限定的ではないことが意図されていると、理解される。
【実施例】
【0094】
例1
マイクロカプセルを次のように調製した:
25gのポリビニルピロリドン(K60)および650gの水を含むプレミックス(I)を調製し、pHを水酸化ナトリウム溶液を用いて10.0に調節した。カプセル化する香料300g、20gのDesmodur(登録商標)Wおよび5gのBayhydur(登録商標)XP 2547を含むプレミックス(II)を調製した。
2つのプレミックスを合わせ、室温で攪拌装置を用いて乳化させた。乳化プロセスは、所望の液滴サイズになるまで行った。次に、エマルジョンのpHを、水酸化ナトリウム水溶液を用いて8に調節した。次に、10gのLupasol(登録商標)PR8515溶液を1ステップで添加した。
【0095】
反応混合物を、反応が開始されるまで加熱した。
次いで、混合物を室温まで冷却した。
カプセル化香料組成物を得た。Malvern 2000S装置を用いた光散乱測定で得られた体積平均カプセルサイズ分布は、D50=20μmおよびD90=50μmであり、シェル重量は全スラリー重量組成の6%であった。スラリーの固形分は40重量%であった。
【0096】
例2
カプセル化香料組成物は、例1に記載された技法に従って調製した。組成物は、以下の表1〜5に特定される成分を有する香料組成物のスラリーを25重量%含有していた。カプセル化プロセスは、上の例1に記載されている。香料に含有されるアルデヒド、非芳香族環状香料成分およびアルキルサリチラートの量を示す(香料の重量部)。香料の残余は、香料製造において通常使用される他の香料成分から形成される。
実施例で使用された香料の組成を、表1〜5に列挙する。「イオノン系」の下では、イオノン、イロン、イソラルデイン、ダマスコン、ダマセノン、ガルバノンなどが意味される。
【0097】
【表1】
【0098】
【表2】
【0099】
【表3】
【0100】
【表4】
【0101】
【表5】
【0102】
【表6】
【0103】
例3
官能検査を実施して、例1の方法に従って形成された、同じ香料を含有するが、D50が10ミクロンと30ミクロンである2つの異なるサイズのカプセル化香料組成物の2つの試料の強度を、ロールオン消臭基剤において経時的に比較した。ロールオン消臭剤は、訓練された感覚パネリストによって皮膚上で試験された。製品は、新たに適用した時点、次いで適用の2時間後、6時間後および10時間後に評価した。10時間後には製品を、こすった後、および皮膚から直接、評価した。
知覚された全体的な強度は、訓練された感覚パネリストにより、0〜100の尺度を用いて評価した。
【0104】
パネリストは、サンプル適用の直後、2時間後、6時間後、10時間後、および10時間後でこすった後に、Tシャツを通して脇の下の匂いを嗅ぐよう指示された。適用の10時間後にこすった後には、脇の下の皮膚からの直接の評価も行った。
こすり評価では、パネリストは次のように指示された:左腕を前方に、同時に右腕を後方に動かし、この時に上腕が身体の側面をこすり、下腕がそれらの前に水平に出るように保つこと。彼らはこの動作を合計4回行うよう求められた。
どの試料をどちらの腕(左または右)に適用するかの割り振りは、所定の無作為化に従って行い、パネリストは常に、左脇の下を最初に評価するように求められた。各試料を、21人のパネリストが1回評価した。
データは、スチューデントT検定を用いて分析した。信頼区間は95%であった。
【0105】
【表7】
【0106】
例4
ポリウレアカプセルを含有する一連のスラリーを、表8に開示するように配合し、相分離の程度を1週間後に50℃で測定した。結果から明らかなように、ヒドロキシエチルセルロース(Natrosol 250HX)を0.4重量%で使用した場合、相分離は観察されず、スラリーは流動可能なままである。他の全ての分散助剤は、試験期間中スラリーを安定化できなかった。
相分離は裸眼評価によって測定し、水相の高さのスラリーの全高に対する比として表した。
【0107】
【表8】
【0108】
例5
例1の手順に従って形成されたカプセル化香料組成物90gを、スラリーとして形成した。このスラリーに、9gのCapsul E(水中で23%)および1gのシリカ(Syloid FP 244)を添加した。スラリーを250rpmで30分間撹拌し、噴霧乾燥機(実験室)中で噴霧器を用いて噴霧乾燥させた。入口温度は180℃であり、出口温度は90℃であった。30ミクロンのD50および65%の芳香負荷を有する、自由流動性粉末が得られた。残留水分定数は4重量%であり、表面油は0.8重量%であった。