特許第6883573号(P6883573)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6883573鎖の中央に官能基を有するジエンエラストマーを含有するゴム組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6883573
(24)【登録日】2021年5月12日
(45)【発行日】2021年6月9日
(54)【発明の名称】鎖の中央に官能基を有するジエンエラストマーを含有するゴム組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 15/00 20060101AFI20210531BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20210531BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20210531BHJP
   C08C 19/25 20060101ALI20210531BHJP
   B60C 1/00 20060101ALI20210531BHJP
【FI】
   C08L15/00
   C08L101/00
   C08K3/013
   C08C19/25
   B60C1/00 A
【請求項の数】10
【全頁数】46
(21)【出願番号】特願2018-517580(P2018-517580)
(86)(22)【出願日】2016年10月7日
(65)【公表番号】特表2018-535295(P2018-535295A)
(43)【公表日】2018年11月29日
(86)【国際出願番号】EP2016073950
(87)【国際公開番号】WO2017060396
(87)【国際公開日】20170413
【審査請求日】2019年10月7日
(31)【優先権主張番号】1559594
(32)【優先日】2015年10月8日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】514326694
【氏名又は名称】コンパニー ゼネラール デ エタブリッスマン ミシュラン
(74)【代理人】
【識別番号】100179305
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 幸大
(72)【発明者】
【氏名】ド−ゴードマリ ブノワ
(72)【発明者】
【氏名】ヌーリー クリスティーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ヴォワザン フロリアンドル
【審査官】 横山 法緒
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−102347(JP,A)
【文献】 特開2014−205842(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/018743(WO,A1)
【文献】 特開2013−087210(JP,A)
【文献】 特開2009−030027(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00−101/14
C08K 3/00−13/08
C08C 19/25
B60C 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の強化フィラーと、20から200phrの間の可塑化樹脂と、少なくとも1種の修飾ジエンエラストマーを含むエラストマーマトリックスとをベースとする強化ゴム組成物であって、少なくとも1種の修飾ジエンエラストマーが、
a)修飾ジエンエラストマーの合計質量に対して少なくとも70質量%の直鎖状ジエンエラストマーであり、シラノールを得るために、部分的にまたは完全に加水分解されていてもよいアルコキシシラン基により、鎖の中央で優位に官能基化されており、アルコキシシラン基が、強化フィラーと相互作用することが可能である別の官能基を有してもよく、アルコキシシラン基のケイ素原子がジエンエラストマーの主鎖に位置する、直鎖状ジエンエラストマー、
b)修飾ジエンエラストマーの合計質量に対して0質量%超かつ30質量%までの、星型分岐状ジエンエラストマー、
で構成され、
前記修飾ジエンエラストマーのMooney粘度が、50から80の範囲であり、そのガラス転移温度(Tg)が、-100℃から-80℃の範囲である、強化ゴム組成物。
【請求項2】
星型分岐状ジエンエラストマーb)が、スズベースまたはケイ素ベースの星型分岐状エラストマーであることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
強化フィラーと相互作用することが可能である官能基が、環状もしくは非環状第一級、第二級もしくは第三級アミン、イソシアネート、イミン、シアノ、チオール、カルボキシレート、エポキシドまたは第一級、第二級もしくは第三級ホスフィンから選択される官能基であることを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
強化フィラーと相互作用することが可能である他の官能基、およびエラストマーに結合しているケイ素原子が、飽和もしくは不飽和、環状もしくは非環状、直鎖状もしくは分岐状二価C1-C18脂肪族炭化水素系ラジカル、または二価C6-C18芳香族炭化水素系ラジカルと定義されるスペーサー基を介して互いに接続し、前記スペーサー基が、1個もしくは複数の芳香族ラジカル、および/または1個もしくは複数のヘテロ原子を含んでもよいことを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
修飾ジエンエラストマーが、1から0.65の範囲のcis-1,4-結合/trans-1,4-結合のモル比を有し、ジエン部に対して、8から15質量%の範囲の含有量のビニル単位を有するブタジエンホモポリマーであることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
修飾ジエンエラストマーが、ジエンエラストマーの合計質量に対して、0から5質量%の間の含有量のビニル芳香族単位、およびまた、ジエン部に対して、8から15質量%の範囲の含有量のビニル単位を有するブタジエンおよびビニル芳香族モノマーのコポリマーであることを特徴とする、請求項1からのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
ジエンエラストマーa)およびb)が、官能基化および星型分岐の前に、同一のミクロ構造および同一のマクロ構造を有することを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
修飾ジエンエラストマーが、以下のステップ:
- リビングジエンエラストマーを形成するための、重合開始剤の存在下における、少なくとも1種の共役ジエンモノマーのアニオン性重合と、
- 官能基化剤対重合開始剤のモル比が、0.40から0.75の範囲である、官能基化剤との反応によるエラストマーの修飾であって、官能基化剤が、以下の式1
【化1】
式1
(式中、
・Rは、飽和もしくは不飽和、環状もしくは非環状二価C1-C18脂肪族炭化水素系ラジカルまたはC6-C18芳香族炭化水素系ラジカルであり、
・Xは、水素原子、または強化フィラーと相互作用することが可能である官能基であり、
・R’ラジカルは、置換されているまたは非置換であり、同一であるかまたは異なり、C1-C10、またはさらにC1-C8アルキル基を表す)
に相当する修飾と、
を含む方法により得られることを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
修飾ジエンエラストマーが、以下の特性:
- 星型分岐状ジエンエラストマーb)が、強化フィラーと相互作用することが可能である別の官能基を有する、ケイ素原子により分岐している、3つに分岐した星型分岐状エラストマーであり、ケイ素原子が、ジエンエラストマーの3つの分岐により置換されている、
- 強化フィラーと相互作用することが可能である他の官能基が、第三級アミンである、
- スペーサー基が、直鎖状C1-C18炭化水素系ラジカルである、
- ケイ素原子を含む官能基が、シラノールを得るために部分的にまたは完全に加水分解されていてもよいメトキシシランまたはエトキシシランである、
- ジエンエラストマーが、ブタジエンポリマーである、
- ジエンエラストマーが、修飾ジエンエラストマーの合計質量に対して、少なくとも75質量%の直鎖状ジエンエラストマーであって、鎖の中央で優位に官能基化されている直鎖状ジエンエラストマーa)、および最大で25質量%の星型分岐状ジエンエラストマーb)を含む、
のいずれかの少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つまたは少なくとも5つを有することを特徴とする、請求項1からのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
タイヤ用ゴム製の中間品であって、請求項1から9のいずれか1項に記載の架橋可能なまたは架橋したゴム組成物を含むことを特徴とする、中間品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部分的にまたは完全に加水分解されていてもよく、別の官能基を有していてもまたは有していなくてもよいアルコキシシラン基により修飾されているジエンエラストマーを含むゴム組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料の節約および環境保護の必要性は優先事項になりつつあるので、タイヤケーシングの構成物、例えば、アンダーレイヤー、サイドウォールまたはトレッドに関与する様々な半製品の製造に使用できるゴム組成物の形態で、混合物の加工を可能にするために、また転がり抵抗を低下させたタイヤを得るために、できる限り低いヒステリシスを有する混合物を生成することが望ましい。
理想的には、例えばタイヤトレッドは、非常に多くの技術的な要件を満たさなければならず、この要件は、耐損耗性を向上させながらタイヤの転がり抵抗を低下させることを含めて、本来相反することが多い。
さらに、転がり抵抗の抑制の証である、混合物のヒステリシスの低下も達成されなければならない一方、詳細には生状態で、混合物の加工適性を保持し、また、エラストマーの流れ抵抗も維持しなければならない。
多くの溶液は、ヒステリシスの減少に関する目的を達成するために既に実験されている。詳細には、官能基化剤、カップリング剤または星型分岐剤による重合終了時のジエンポリマーおよびコポリマー構造の修飾を挙げることができ、その狙いは、このように修飾したポリマーと、カーボンブラックであれ強化無機フィラーであれ、フィラーの間の良好な相互作用を得ることである。
強化無機フィラー、例えばシリカを含有する混合物の文脈内において、アルコキシシラン誘導体により、とりわけ、アルコキシシラン官能基による官能基化と、他の官能基、とりわけアミン、イミン、エポキシあるいはチオール官能基による官能基化を組み合わせることにより、または組み合わせないことにより、官能基化されているジエンポリマーを使用することを目的としている。
例を挙げれば、文献国際公開第2007047943 A1号は、官能基化されたエラストマーを含有する強化ゴム組成物のヒステリシスを改善する目的で、保護されたチオール官能基を有するリビングエラストマーとアルコキシシラン化合物を反応させることによりポリマー鎖の末端における官能基化について説明している。
【0003】
この出願者らは、文献欧州特許出願公開第0692492号および同第0692493において、官能基化されたエラストマーを含有する強化ゴム組成物の強化、また、ヒステリシスを改善する目的で、エポキシ官能基を有するアルコキシシラン化合物による、鎖の末端および中央におけるジエンエラストマーの官能基化について説明している。
アミノ官能基を有するアルコキシシラン化合物による官能基化は、特許文献で幅広く記載されている。アミノ基を有するアルコキシシラン官能基により鎖末端で官能基化されているエラストマーは、タイヤの製造を意図されているゴム組成物中においてシリカおよびカーボンブラック、またはさらに、これら2種のフィラーの混合物を均等に正しく組み合わせられている。
この出願者らとしては、文献国際公開第2009133068 A1号では、官能基化ジエンエラストマーは、本質的に、鎖内に、アルコキシシラン官能基およびアミン官能基を有する基を有するエラストマーのカップリング単位で構成され、この基のケイ素原子は、ジエンエラストマー鎖の2つの部分へと結合すると説明している。鎖の中央で官能基化されているこのエラストマーは、それを含有する組成物に対して、機械的および動的性質、とりわけ、ヒステリシスを改善する一方、とりわけタイヤトレッドに使用する満足すべき生加工性を保つ。
タイヤの転がり抵抗を低下させるヒステリシス性質の改善を除いて、タイヤの耐損耗性を評価することが可能な耐摩耗性の向上は、タイヤの製造を意図されているゴム組成物に望ましい、もう1つの性能特性である。
タイヤの耐損耗性および耐摩耗性を改善するために、トレッドにおける一定の剛性は望ましいことが知られている。しかし、経験により、トレッドのそのような剛性は、ゴム組成物のヒステリシスロスの著しい増大を伴うので、転がり抵抗性にしばしば悪影響を与え、該当する場合はひどく悪影響を与えることも多いことが示されている。
【0004】
さらに、タイヤの製造が意図されている材料に関する設計者の目下の関心事は、それらを含有するタイヤの性能を改善するが、エラストマーを製造するステップまたはその性質に有害な影響を与えない目的で、ゴム組成物の機械的および動的性質における折衷を改善することである。したがって、例えば、本来、性質に関する折衷の改善は、エラストマーの流れを損なうように行われてはならず、損なわれると、ゴムの輸送および保存中に重大な欠陥が生じる。
流れを限定するために、スズまたはケイ素を含む追加のカップリング剤または星型分岐剤を使用して、カップリングした、または星型分岐したエラストマーを添加することが過去に提案されてきた。しかし、過去に例証されている組合せでは必ずしも強化ゴム組成物が生じ、その加工性/ヒステリシスの折衷が、タイヤ用途で満足すべきものであるとは限らない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決を提案する技術的な課題は、タイヤ用途の目的で、ゴム組成物の加工性、またはその構成成分の固有特性、例えばこの組成物に含有されているエラストマーの性質、とりわけその流れ抵抗に有害な影響を与えずに、ゴム組成物のヒステリシスおよび摩耗性における折衷をさらに改善するという課題である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
アルコキシシラン基により鎖の中央で優位に官能基化されており、流れ抵抗が有害な影響を受けない、強化フィラーおよび可塑化樹脂と組み合わせた直鎖状ジエンエラストマーを含む、特定の組成を有する修飾ジエンエラストマーが、生加工性に有害に影響を与えることなく、こうした構成成分をベースとしたゴム組成物のヒステリシス/摩耗の折衷を改善することを、本発明者らが、意外にも、これらの研究の経過中にまさに発見したことで、この狙いは達成された。
したがって、本発明の主題は、少なくとも1種の強化フィラーと、樹脂と、修飾ジエンエラストマーを含むエラストマーマトリックスとをベースとするゴム組成物であって、修飾ジエンエラストマーが、
a)修飾ジエンエラストマーの合計質量に対して少なくとも70質量%の直鎖状ジエンエラストマーであり、シラノールを得るために、部分的にまたは完全に加水分解されていてもよいアルコキシシラン基により、鎖の中央で優位に官能基化されており、アルコキシシラン基は別の官能基を有してもよく、アルコキシシラン基のケイ素原子はジエンエラストマーの主鎖に位置する、直鎖状ジエンエラストマー、ならびに
b)修飾ジエンエラストマーの合計質量に対して、0質量%超かつ30質量%までの星型分岐状ジエンエラストマー
で構成され、
前記修飾ジエンエラストマーのMooney粘度が、50から80の範囲であり、ガラス転移温度が−100℃から−80℃、好ましくは−95℃から−80℃の範囲であるゴム組成物である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】官能基化剤/リビングポリマー鎖(PLi)モル比に応じた単位P、PA、P2AおよびP3Aの分布を示す図である。
図2】完全撹拌バッチ式反応器における反応時間に応じた測定収率を示す図である。
図3】固有粘度上昇(VJ)の測定値を示す図である。
図4】管状モデルに組み込まれた反応速度モデルおよび完全撹拌連続反応器により計算される単位の分布から、計算したVJを判定することを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本記述では、示されているすべてのパーセンテージ(%)は、特に明示的に指示されない限り質量%である。さらに、「aからbの間(between a and b)」という表現により表されている任意の値の範囲は、a超からb未満に及ぶ値の範囲を表す(つまり、aおよびbという境界は含まない)が、「aからb(from a to b)」という表現により表されている任意の値の範囲は、aからbまでに及ぶ値の範囲を意味する(つまり、厳密な境界aおよびbを含む)。
【0009】
「ベースとする組成物」という表現は、使用される様々な成分の混合物および/または反応生成物を含む組成物を意味すると理解されるべきであり、こうしたベース成分のいくつかは、組成物の様々な生成相中に、詳細には、その架橋または加硫中に、互いに少なくとも部分的に反応させることが可能である、または反応させるよう意図されている。
【0010】
本出願において、化合物に関連した「優位に」または「優位な」は、この化合物が、組成物中の同一タイプの化合物のうちで優位であること、つまり、同一タイプの化合物のうちで、質量に対して最大の分画を表すものを意味すると理解される。したがって、官能基化されたジエンエラストマーの「優位な」官能基単位は、官能基化ジエンエラストマーの合計質量に対してジエンエラストマーを構成する官能基化された単位のうちで、質量に対して最大の分画を表すものを表す。あるタイプの化合物を1種しか含まない系において、その化合物は、本発明の意義の範囲内で優位である。
【0011】
本記述では、Tgは、規格ASTM D3418に従って測定した、化合物、とりわけ本発明の修飾ジエンエラストマーのガラス転移温度を意味するよう意図されている。
【0012】
本記述では、Mooney粘度は、規格ASTM D1646に従って測定した、化合物、とりわけ本発明の修飾ジエンエラストマーのMooney粘度ML(1+4)100℃を意味するよう意図されている。
本記述では、第一級または第二級アミンは、当業者に公知の保護基により保護されている、または保護されていない第一級または第二級アミンを意味するよう意図されている。
【0013】
本記述では、「修飾ジエンエラストマー」という用語は、1個または複数のヘテロ原子を含む基を含むジエンエラストマーを意味すると理解される。
この基は、直鎖状エラストマー主鎖の末端に位置し得る。その結果、ジエンエラストマーが、鎖末端で官能基化されると言われる。これは、一般的に、リビングエラストマーと官能基化剤、つまり、少なくとも単官能性の任意の分子の反応により得られるエラストマーであり、官能基は、リビング鎖末端と反応する、当業者により公知の任意のタイプの化学基である。
【0014】
この基は、直鎖状エラストマー主鎖に位置し得る。その結果、ジエンエラストマーが、「鎖末端」の位置と異なり、鎖の中央でカップリングされる、あるいは官能基化されていると言われることになるが、基は、正確には、エラストマー鎖の中央に位置していない。これは、一般的に、リビングエラストマーの2つの鎖とカップリング剤、つまり任意の少なくとも二官能性の分子の反応により得られるエラストマーであり、官能基は、リビング鎖末端と反応する、当業者により公知の任意のタイプの化学基である。
【0015】
この基は中央にあり得、n個のエラストマー鎖(n>2)がそこに結合し、星型分岐状構造を形成する。その結果、ジエンエラストマーは星型に分岐していると言われることになる。これは、一般的に、n鎖リビングエラストマーと、星型分岐剤、つまり任意の多官能性分子の反応により得られるエラストマーであり、官能基は、リビング鎖末端と反応する、当業者により公知の任意のタイプの化学基である。
【0016】
当業者は、リビングエラストマーに対して反応性の1個超の官能基を含む作用剤との官能基化反応により、官能基化エラストマーの直鎖状鎖を構成する鎖末端および鎖の中央で官能基化されている混合物単位、また、適切であれば、星型分岐状単位が生じると理解するであろう。操作条件、主に官能基化剤対リビング鎖のモル比に応じて、ある単位が混合物中で優位になる。
本発明によれば、ゴム組成物の必須構成成分は、上に記載した修飾ジエンエラストマーである。
【0017】
「ジエンエラストマー」という用語は、公知のように、ジエンモノマー(2種の共役または非共役炭素−炭素二重結合を有するモノマー)から少なくとも部分的に生じるエラストマー(すなわち、ホモポリマーまたはコポリマー)の意味として理解される(1種または複数が理解される)べきである。より詳細には、ジエンエラストマーは、4から12個の炭素原子を有する共役ジエンモノマーの重合により得られる任意のホモポリマー、あるいは1種もしくは複数の共役したジエンの互いの共重合、または、8から20個の炭素原子を有する1種もしくは複数のビニル芳香族化合物との共重合により得られる任意のコポリマーを意味するよう意図されている。
いくつかの変形形態によれば、ジエンエラストマーは、エラストマーの質量に対して、95質量%から100質量%のジエン単位、および0から5質量%のビニル芳香族単位を含有する。
【0018】
コポリマーの場合には、これらは、コポリマーの合計質量に対して、95質量%から100質量%未満、好ましくは96質量%から99質量%のジエン単位、および、0質量%超から5質量%、好ましくは1質量%から4質量%のビニル芳香族単位を含有する。
【0019】
以下は、本発明による方法に使用できる共役ジエンとしてとりわけ適切である:1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジ(C1からC5アルキル)−1,3−ブタジエン、例えば、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジエチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−3−エチル−1,3−ブタジエンまたは2−メチル−3−イソプロピル−1,3−ブタジエン、フェニル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエンおよび2,4−ヘキサジエンなど。
【0020】
以下は、ビニル芳香族化合物としてとりわけ適切である:スチレン、オルト−、メタ−またはパラ−メチルスチレン、「ビニルトルエン」の商用混合物、パラ−(tert−ブチル)スチレン、メトキシスチレン、ビニルメシチレン、ジビニルベンゼンおよびビニルナフタレンなど。
【0021】
ジエンエラストマーは、優先的には、ポリブタジエン(BR)、合成ポリイソプレン(IR)、ブタジエンコポリマー、詳細にはブタジエンおよびビニル芳香族モノマーのコポリマー、イソプレンコポリマーおよびこれらのエラストマーの混合物からなる高度不飽和ジエンエラストマーの群から選択される。そのようなコポリマーは、より詳細には、ブタジエン/スチレンコポリマー(SBR)、イソプレン/ブタジエンコポリマー(BIR)、イソプレン/スチレンコポリマー(SIR)およびイソプレン/ブタジエン/スチレンコポリマー(SBIR)である。これらのポリマーのうち、ブタジエンホモポリマーおよびブタジエン/スチレンコポリマー(SBR)が特に好ましい。
【0022】
ブタジエンホモポリマーとして、ポリブタジエン、詳細には、4%から20%、好ましくは10%から15%の含有量(mol%)の1,2−単位を有し、1から0.65の範囲のcis−1,4−/trans−1,4−モル比を有するものが特に適切である。
【0023】
ブタジエン/スチレンコポリマーとして、コポリマーの質量に対して、0から5質量%の間、より詳細には1質量%から4質量%の範囲のスチレン含有量、および、4%から20%の間、好ましくは10%から15%の、ブタジエン部の1,2−結合含有量(mol%)を有するブタジエン/スチレンコポリマーが特に適切である。
ジエンエラストマーは、使用される重合条件によって決まる任意のミクロ構造を有し得る。コポリマーは、ブロック、統計、逐次またはミクロ逐次エラストマーなどであってよく、分散体または溶液中で調製できる。ジエンおよび芳香族ビニルをベースとし、とりわけ、ブタジエンおよびスチレンを含有するコポリマーの場合には、優先的には、2種のモノマーを統計的に分布させる。
【0024】
これらのエラストマーのミクロ構造は、極性剤の有無、およびアニオン性重合のステップ中に用いられる極性剤の量により判定され得る。優先的には、ジエンエラストマーがジエンおよびスチレンをベースとする場合、極性剤は、ポリマー鎖に沿ったスチレンの統計的分布を促進する量で重合ステップ中に使用される一方、1,2−結合の含有量は、4%から20%、好ましくは10%から15%に保たれる。
【0025】
鎖の中央で官能基化されているジエンエラストマーa)および星型分岐状ジエンエラストマーb)は、官能基化および星型分岐の前に、同一のミクロ構造または異なるミクロ構造を有し得る。
好ましくは、鎖の中央で優位に官能基化されている直鎖状ジエンエラストマーa)および星型分岐状ジエンエラストマーb)は、官能基化および星型分岐の前に、同一のミクロ構造を有する。
好ましくは、鎖の中央で優位に官能基化されている直鎖状ジエンエラストマーa)および星型分岐状ジエンエラストマーb)は、官能基化および星型分岐の前に、同一のミクロ構造および同一のマクロ構造をやはり有する。
【0026】
「鎖の中央で優位に官能基化されている直鎖状ジエンエラストマー」、すなわちエラストマーa)という用語は、本発明によれば、官能基化エラストマーの直鎖状単位、すなわち鎖末端で官能基化されている直鎖状鎖、鎖の中央で官能基化されている直鎖状鎖の混合物を意味するよう意図されており、鎖の中央のものは、この混合物中で優位であり、好ましくは、エラストマーa)の合計質量の少なくとも50質量%、よりいっそう優先的には少なくとも80質量%を表す。
【0027】
好ましい実施形態によれば、本発明による修飾ジエンエラストマーは、修飾ジエンエラストマーの合計質量に対して、少なくとも75質量%、またはさらに少なくとも80質量%の、鎖の中央で優位に官能基化されている直鎖状ジエンエラストマーa)を含む。
別の好ましい実施形態によれば、本発明による修飾ジエンエラストマーは、修飾ジエンエラストマーの合計質量に対して、最大で25質量%、またはさらに最大で20質量%の星型分岐状ジエンエラストマーb)を含む。
さらに別の好ましい実施形態によれば、本発明による修飾ジエンエラストマーは、修飾ジエンエラストマーの合計質量に対して、少なくとも5質量%の星型分岐状ジエンエラストマーb)を含む。
【0028】
特に好ましい実施形態によれば、改善しつつ、エラストマーの流れ抵抗を保つ生加工性/ヒステリシス/摩耗の折衷のため、本発明による修飾ジエンエラストマーは、修飾ジエンエラストマーの合計質量に対して、少なくとも75質量%の、鎖の中央で優位に官能基化されている直鎖状ジエンエラストマーa)、および修飾ジエンエラストマーの合計質量に対して、最大で25質量%の星型分岐状ジエンエラストマーb)を含む。より詳細には、その結果、本発明による修飾ジエンエラストマーは、修飾ジエンエラストマーの合計質量に対して、少なくとも5質量%の星型分岐状ジエンエラストマーb)を含む。
【0029】
星型分岐状ジエンエラストマーb)は、好ましくはスズベースまたはケイ素ベース星型分岐状ジエンエラストマーである。
星型分岐状ジエンエラストマーb)は、3つまたは4つの分岐を含む好ましくは星型分岐状ジエンエラストマーである。
【0030】
本発明の特に好ましい一実施形態によれば、星型分岐状ジエンエラストマーb)は、強化フィラーと相互作用することが可能である別の官能基を有するまたは有さない、ケイ素原子を含む基により分岐している、3つに分岐した星型分岐状エラストマーであり、ケイ素原子は、ジエンエラストマーの三分岐型により置換される。ケイ素原子に対する置換は、有利には、結果として単一の官能基化剤が使用できるので、ジエンエラストマーa)のものと同一である。
【0031】
本発明の第1の変形形態によれば、ジエンエラストマーa)は、シラノールを得るために部分的にまたは完全に加水分解されていてもよいアルコキシシラン基以外の官能基を含まず、エラストマー鎖に直接結合しているケイ素原子を含む。
【0032】
本発明の第2の変形形態によれば、ジエンエラストマーa)は、強化フィラーと相互作用することが可能である別の官能基も含み、この官能基は、有利には、アルコキシシラン基のケイ素が直接、またはスペーサー基を介して有する。これにより、エラストマー鎖に直接結合しているケイ素原子を含むアルコキシシラン基が、強化フィラーと都合よく相互作用するという事実は無視できないと理解される。
【0033】
「強化フィラーと都合よく相互作用するアルコキシシラン基」または「強化フィラーと相互作用することが可能である官能基」という用語は、フィラーにより強化したゴム組成物内で、前記フィラーとの物理的または化学的結合を形成することが可能である任意の他のアルコキシシラン基または官能基を意味すると理解される。この相互作用は、例えば、前記官能基と、フィラーに存在する官能基の間の共有、水素、イオンおよび/または静電結合を介して確立できる。
アルコキシシラン基のアルコキシラジカルは、式R’O−(式中、R’は、置換または非置換C1−C10、またはさらにC1−C8、アルキル基、好ましくはC1−C4アルキル基、より優先的にはメチルおよびエチルを表す)のものであってよい。
【0034】
「強化フィラーと相互作用することが可能である官能基」という用語は、好ましくは、N、S、OまたはPから選択される、少なくとも1個のヘテロ原子を含む官能基を意味するよう意図されている。例として、これらの官能基のうち、環状または非環状第一級、第二級または第三級アミン、イソシアネート、イミン、シアノ、チオール、カルボキシレート、エポキシドまたは第一級、第二級または第三級ホスフィンを挙げることができる。
したがって、第二級または第三級アミン官能基として、C1−C10、好ましくはC1−C4、アルキルラジカル、より優先的にはメチルまたはエチルラジカルにより置換されるアミン、あるいは窒素原子および少なくとも1個の炭素原子、好ましくは2から6個の炭素原子を含有するヘテロ環を形成する環状アミンを挙げることができる。例えば、メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノ、プロピルアミノ、ジプロピルアミノ、ブチルアミノ、ジブチルアミノ、ペンチルアミノ、ジペンチルアミノ、ヘキシルアミノ、ジヘキシルアミノまたはヘキサメチレンアミノ基、好ましくはジエチルアミノおよびジメチルアミノ基が適切である。
【0035】
イミン官能基として、ケチミンを挙げることができる。例えば、(1,3−ジメチルブチリデン)アミノ、(エチリデン)アミノ、(1−メチルプロピリデン)アミノ、(4−N,N−ジメチルアミノベンジリデン)アミノ、(シクロヘキシリデン)アミノ、ジヒドロイミダゾールおよびイミダゾール基が適切である。
したがって、カルボキシレート官能基として、アクリレートまたはメタクリレートを挙げることができる。そのような官能基は、好ましくはメタクリルレートである。
【0036】
エポキシド官能基として、エポキシまたはグリシジルオキシ基を挙げることができる。
第二級または第三級ホスフィン官能基として、C1−C10、好ましくはC1−C4アルキルラジカル、より優先的にはメチルまたはエチルラジカルにより置換されているホスフィン、あるいはジフェニルホスフィンを挙げることができる。例えば、メチルホスフィノ、ジメチルホスフィノ、エチルホスフィノ、ジエチルホスフィノ、エチルメチルホスフィノおよびジフェニルホスフィノ基が適切である。
【0037】
本発明の第2の変形形態によれば、強化フィラーと相互作用することが可能である他の官能基は、自らがジエンエラストマーに直接結合しているケイ素原子に、直接結合し得る。
本発明の第2の変形形態によれば、強化フィラーと相互作用することが可能である他の官能基、およびジエンエラストマーに直接結合しているケイ素原子は、原子または原子の基であってよいスペーサー基を介して結合することができる。スペーサー基は、飽和もしくは不飽和、環状もしくは非環状、直鎖状もしくは分岐、二価C1−C18脂肪族炭化水素系ラジカル、または二価C6−C18芳香族炭化水素系ラジカルであってよく、1つもしくは複数の芳香族ラジカルおよび/または1個もしくは複数のヘテロ原子を含有し得る。炭化水素系ラジカルは、置換されていてもよい。
【0038】
好ましくは、スペーサー基は、直鎖状または分岐状二価C1−C18脂肪族炭化水素系ラジカル、より優先的には直鎖状二価脂肪族炭化水素系ラジカル、よりいっそう優先的には直鎖状二価C2またはC3炭化水素系ラジカルである。
【0039】
強化フィラーと相互作用することが可能である他の官能基の性質、スペーサー基の性質、ジエンエラストマーの性質、ケイ素原子を含む官能基の性質、および異なる単位の比率にとりわけ関連する上の様々な優先的な、または優先的ではない態様は、適合できる限り互いに組み合わせることができる。
【0040】
きわめて優先的には、第2の変形形態によれば、ジエンエラストマーa)は、これに従って、強化フィラーと相互作用することが可能である別の官能基も含み、強化フィラーと相互作用することが可能である他の官能基は、第一級、第二級または第三級アミンである。本発明の第2の変形形態のこうした使用は、ヒステリシス性質が改善されるため、特に有利である。
好ましくは、強化フィラーと相互作用することが可能である官能基は、第三級アミン官能基、好ましくはジエチルアミンまたはジメチルアミンである。
【0041】
本発明の有利な変形形態によれば、以下の特性:
− 星型分岐状ジエンエラストマーb)は、強化フィラーと相互作用することが可能である別の官能基を有する、ケイ素原子を含む基により分岐している、3つに分岐した星型分岐状エラストマーである、
− 強化フィラーと相互作用することが可能である他の官能基は、第三級アミン、より詳細にはジエチルアミノまたはジメチルアミノ基である、
− スペーサー基は、直鎖状C1−C18炭化水素系ラジカル、よりいっそう優先的には直鎖状C2またはC3炭化水素系ラジカルである、
− アルコキシシラン基は、シラノールを得るために部分的にまたは完全に加水分解されていてもよいメトキシシランまたはエトキシシランである、
− ジエンエラストマーは、ブタジエンポリマー、より詳細にはブタジエンホモポリマーまたはブタジエン/スチレンコポリマーである、
− 修飾ジエンエラストマーは、修飾ジエンエラストマーの合計質量に対して、少なくとも75質量%の、鎖の中央で優位に官能基化されている直鎖状ジエンエラストマーa)、および最大で25質量%の星型分岐状ジエンエラストマーb)を含む、
の少なくともいずれか1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、好ましくはすべてが順守される。
【0042】
したがって、きわめて優先的には、本発明による修飾エラストマーは、ジエンエラストマーであり、これに関して:
− 星型分岐状ジエンエラストマーb)は、ジエチルアミノまたはジメチルアミノ基を有する、ケイ素原子を含む基により分岐している、3つに分岐した星型分岐状エラストマーである、
− スペーサー基は、直鎖状C3炭化水素系ラジカルである、
− アルコキシシラン基は、シラノールを得るために部分的にまたは完全に加水分解されていてもよいメトキシシランまたはエトキシシランである、
− ジエンエラストマーは、ブタジエンホモポリマーまたはブタジエン/スチレンコポリマーである、
− 修飾ジエンエラストマーは、修飾ジエンエラストマーの合計質量に対して、少なくとも75質量%の、鎖の中央で優位に官能基化されている直鎖状ジエンエラストマーa)および最大で25質量%の星型分岐状ジエンエラストマーb)を含む。
【0043】
本発明による修飾ジエンエラストマーは、以下に記載する方法によって得られる。
本発明の変形形態のいずれか1つによれば、この修飾ジエンエラストマーの調製方法の第1のステップは、重合開始剤の存在下における、少なくとも1種の共役ジエンモノマーのアニオン性重合である。
重合開始剤として、任意の公知の単官能性アニオン開始剤を使用してよい。しかし、アルカリ金属、例えばリチウムを含有する開始剤が、優先的には使用される。
炭素−リチウム結合を含む有機リチウム開始剤は、とりわけ適切である。好ましくは、ヘテロ原子を含まない炭化水素系の有機リチウム開始剤が使用されることになる。代表的な化合物は、脂肪族有機リチウム化合物、例えばエチルリチウム、n−ブチルリチウム(n−BuLi)、イソブチルリチウムである。アミン−リチウム結合を含む有機リチウム開始剤も適切である。代表的な化合物は、第二級環状アミン、例えばピロリジンおよびヘキサメチレンイミンから得られるリチウムアミドである。
重合は、好ましくは、例えば、脂肪族または脂環式炭化水素、例としてペンタン、ヘキサン、ヘプタン、イソオクタン、シクロヘキサンもしくはメチルシクロヘキサン、または芳香族炭化水素、例えばベンゼン、トルエンもしくはキシレンであってよい不活性炭化水素系溶媒の存在下で実行される。
重合は、連続式またはバッチ式で実行できる。
重合は、一般的に、20℃から150℃、好ましくは30℃から120℃付近の温度にて実行される。リビング鎖末端の反応性を改変するために、重合終了時に、金属交換剤を添加することももちろん可能である。
【0044】
続いて、本発明による修飾ジエンエラストマーを調製するために、重合から生じるリビングジエンエラストマーを官能基化する。
本発明による修飾ジエンエラストマーの調製の第1の変形形態によれば、鎖の中央で優位に官能基化されている直鎖状ジエンエラストマーa)および星型分岐状ジエンエラストマーb)は、適切な比率で混合される。
【0045】
鎖の中央で官能基化されているジエンエラストマーa)は、有利には、リビング鎖末端と、別の官能基を有するまたは有さない、シラノールを得るために部分的にまたは完全に加水分解されていてもよいアルコキシシラン基を、鎖の中央に導入することが可能であるカップリング剤の反応により得られ;適切であれば、他の官能基がアミンである場合、ジエンエラストマーa)の鎖の中央における官能基化は、とりわけ、特許出願国際公開2009133068号に記載されている手順により達成され得、この説明は、参照により組み込まれる。
星型分岐状ジエンエラストマーb)は、公知のように、それ自体、リビング鎖末端と星型分岐剤、つまり任意の多官能性分子の反応により得られ、官能基は、当業者により公知の、リビング鎖末端と反応する任意のタイプの化学基である。
【0046】
2種のエラストマーの混合は、不活性溶媒、例えば脂肪族または脂環式炭化水素、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、イソオクタンもしくシクロヘキサン、または芳香族炭化水素、例えばベンゼン、トルエンもしくはキシレン中で実行され得、これは、重合溶媒と同一であってよい。その結果、この混合は、20℃から120℃、好ましくは30℃から110℃付近の温度にて実行されることになる。
【0047】
本発明による修飾ジエンエラストマーの調製の第2の変形形態によれば、この重合ステップから生じるリビングジエンエラストマーに、星型分岐剤の反応、および、ジエンエラストマーの1つまたは2つの鎖によりケイ素原子を置換して、シラノールを得るために加水分解されていても、されていなくてもよいアルコキシシラン基をポリマー鎖の中央に導入することが可能であり、アルコキシシラン基が、ゴム組成物内の強化フィラーと相互作用することが可能である別の官能基を有してもよいカップリング剤の反応を施す。
【0048】
本発明のこうした2つの合成変形形態に従って使用できるカップリング剤は、シラノール官能基を得るために加水分解されていてよいアルコキシシラン官能基、あるいは非加水分解性アルコキシシラン官能基を有し、強化フィラーと相互作用することが可能である官能基を有してもよく、2つの官能基は、互いに直接結合している、または、スペーサー基を介して結合している。強化フィラーと相互作用することが可能である官能基およびスペーサー基は、上で定義されている通りである。
【0049】
カップリング剤は、以下の式(I)
【化1】
式(I)
(式中、
− Yは、飽和または不飽和、環状または非環状、二価C1−C18脂肪族またはC6−C18芳香族炭化水素系ラジカル、好ましくは直鎖状または分岐状、二価C1−C18脂肪族炭化水素系ラジカル、より優先的には直鎖状二価脂肪族炭化水素系ラジカル、よりいっそう優先的には、直鎖状C3炭化水素系ラジカルであり、
− Xは、水素原子、または強化フィラーと相互作用することが可能である官能基であり、
− R’ラジカルは、置換されているまたは非置換であり、同一であるかまたは異なり、C1−C10、またはさらにC1−C8アルキル基、好ましくはC1−C4アルキル基、より優先的にはメチルおよびエチルを表す)
により表すことができる。
【0050】
強化フィラーと相互作用することが可能である官能基は、上で定義されている通りである。
強化フィラーと相互作用することが可能である官能基は、優先的には、第一級、第二級または第三級アミン官能基である。
次いで、第一級アミンの場合には、窒素原子は、2つの保護基、とりわけ2つのトリアルキルシリルラジカルにより置換され得、アルキル基は1〜4個の炭素原子を有する。
【0051】
次いで、第二級アミンの場合には、窒素原子は、保護基、とりわけトリアルキルシリルラジカルにより置換され得、アルキル基は、1〜4個の炭素原子を有し、また、C1−C10、好ましくはC1−C4アルキルラジカル、より優先的にはメチルまたはエチルラジカルにより置換され得る。
【0052】
次いで、第三級アミンの場合には、窒素原子は、同一であるか、または異なる2つの保護基、場合によりC1−C10、好ましくはC1−C4アルキルラジカル、より優先的にはメチルまたはエチルラジカルにより置換され得、あるいは窒素の2つの置換基が、前記窒素と、窒素原子および少なくとも1個の炭素原子、好ましくは 2〜6個の炭素原子を含有するヘテロ環を形成する。
例えば、カップリング剤として、アルキルトリアルコキシシラン、(N,N−ジアルキルアミノプロピル)トリアルコキシシラン、(N−アルキルアミノプロピル)トリアルコキシシランを挙げることができ、第二級アミン官能基は、トリアルキルシリル基、および(アミノプロピル)トリアルコキシシランにより保護され、第一級アミン官能基は、2つのトリアルキルシリル基により保護される。
【0053】
優先的に、カップリング剤は、(3−N,N−ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、(3−N,N−ジメチルアミノプロピル)トリエトキシシラン、(3−N,N−ジエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、(3−N,N−ジエチルアミノプロピル)トリエトキシシラン、(3−N,N−ジプロピルアミノプロピル)トリメトキシシラン、(3−N,N−ジプロピルアミノプロピル)トリエトキシシラン、(3−N,N−ジブチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、(3−N,N−ジブチルアミノプロピル)トリエトキシシラン、(3−N,N−ジペンチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、(3−N,N−ジペンチルアミノプロピル)トリエトキシシラン、(3−N,N−ジヘキシルアミノプロピル)トリメトキシシラン、(3−N,N−ジヘキシルアミノプロピル)トリエトキシシラン、(3−ヘキサメチレンアミノプロピル)トリメトキシシラン、(3−ヘキサメチレンアミノプロピル)トリエトキシシラン、(3−モルホリノプロピル)トリメトキシシラン、(3−モルホリノプロピル)トリエトキシシラン、(3−ピペリジノプロピル)トリメトキシシランまたは(3−ピペリジノプロピル)トリエトキシシランから選択され得る。より優先的には、カップリング剤は、(3−N,N−ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシランである。
【0054】
優先的には、カップリング剤は、(3−N,N−メチルトリメチルシリルアミノプロピル)トリメトキシシラン、(3−N,N−メチルトリメチルシリルアミノプロピル)トリエトキシシラン、(3−N,N−エチルトリメチルシリルアミノプロピル)トリメトキシシラン、(3−N,N−エチルトリメチルシリルアミノプロピル)トリエトキシシラン、(3−N,N−プロピルトリメチルシリルアミノプロピル)トリメトキシシランまたは(3−N,N−プロピルトリメチルシリルアミノプロピル)トリエトキシシランから選択され得る。より優先的には、カップリング剤は、(3−N,N−メチルトリメチルシリルアミノプロピル)トリメトキシシランである。
【0055】
優先的には、カップリング剤は、(3−N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピル)トリメトキシシランおよび(3−N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピル)トリエトキシシランから選択され得る。より優先的には、カップリング剤は、(3−N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピル)トリメトキシシランである。
【0056】
有利には、強化フィラーと相互作用することが可能である官能基がアミン官能基である場合、アミン官能基は第三級であり、その結果カップリング剤は、優先的には(3−N,N−ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシランである。
【0057】
強化フィラーと相互作用することが可能である官能基は、イソシアネート官能基であってもよい。その結果、優先的には、官能基化剤は、(3−イソシアナトプロピル)トリメトキシシランおよび(3−イソシアナトプロピル)トリエトキシシランから選択される。
【0058】
強化フィラーと相互作用することが可能である官能基は、イミン官能基であってもよい。その結果、優先的には、官能基化剤は、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリメトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(1,3−メチルエチリデン)−3−(トリメトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(1,3−メチルエチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−エチリデン−3−(トリメトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−エチリデン−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(1−メチルプロピリデン)−3−(トリメトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(1−メチルプロピリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(4−N,N−ジメチルアミノベンジリデン)−3−(トリメトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(4−N,N−ジメチルアミノベンジリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(シクロヘキシリデン)−3−(トリメトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(シクロヘキシリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(3−トリメトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール、N−(3−トリメトキシシリルプロピル)−4,5−イミダゾールまたはN−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4,5−イミダゾールから選択される。
【0059】
強化フィラーと相互作用することが可能である官能基は、シアノ官能基であってもよい。その結果、優先的には、官能基化剤は、(3−シアノプロピル)トリメトキシシランおよび(3−シアノプロピル)トリエトキシシランから選択される。
【0060】
強化フィラーと相互作用することが可能である官能基は、保護されている、または保護されていないチオール官能基であってもよい。例として、(S−トリアルキルシリルメルカプトアルキル)トリアルコキシシランを挙げることができる。その結果、優先的には、官能基化剤は、(S−トリメチルシリルメルカプトプロピル)トリメトキシシラン、(S−トリメチルシリルメルカプトプロピル)トリエトキシシラン、(S−tert−ブチルジメチルシリルメルカプトプロピル)トリメトキシシラン、(S−tert−ブチルジメチルシリルメルカプトプロピル)トリエトキシシラン、(S−トリメチルシリルメルカプトエチル)トリメトキシシラン、(S−トリメチルシリルメルカプトエチル)トリエトキシシラン、(S−tert−ブチルジメチルシリルメルカプトエチル)トリメトキシシランまたは(S−tert−ブチルジメチルシリルメルカプトエチル)トリエトキシシランから選択される。
【0061】
強化フィラーと相互作用することが可能である官能基は、カルボキシレート官能基であってもよい。カルボキシレート官能基として、アクリレートまたはメタクリレートを挙げることができる。そのような官能基は、好ましくはメタクリレートである。その結果、優先的には、官能基化剤は、(3−メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシランおよび(3−メタクリロイルオキシプロピル)トリエトキシシランから選択される。
【0062】
強化フィラーと相互作用することが可能である官能基は、エポキシド官能基であってもよい。その結果、優先的には、官能基化剤は、(2−グリシジルオキシエチル)トリメトキシシラン、(2−グリシジルオキシエチル)トリエトキシシラン、(3−グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(3−グリシジルオキシプロピル)トリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランおよび2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシランから選択される。
【0063】
強化フィラーと相互作用することが可能である官能基は、保護されている、もしくは保護されていない第一級ホスフィン官能基、保護されている、もしくは保護されていない第二級ホスフィン官能基、または第三級ホスフィン官能基であってもよい。その結果、優先的には、官能基化剤は、(3−P,P−ビストリメチルシリルホスフィノプロピル)トリメトキシシラン、(3−P,P−ビストリメチルシリルホスフィノプロピル)トリエトキシシラン、(3−メチルトリメチルシリルホスフィノプロピル)トリメトキシシラン、(3−メチルトリメチルシリルホスフィノプロピル)トリエトキシシラン、(3−エチルトリメチルシリルホスフィノプロピル)トリメトキシシラン、(3−エチルトリメチルシリルホスフィノプロピル)トリエトキシシラン、(3−ジメチルホスフィノプロピル)トリメトキシシラン、(3−ジメチルホスフィノプロピル)トリエトキシシラン、(3−ジエチルホスフィノプロピル)トリメトキシシラン、(3−ジエチルホスフィノプロピル)トリエトキシシラン、(3−エチルメチルホスフィノプロピル)トリメトキシシラン、(3−エチルメチルホスフィノプロピル)トリエトキシシラン、(3−ジフェニルホスフィノプロピル)トリメトキシシランまたは(3−ジフェニルホスフィノプロピル)トリエトキシシランから選択される。
【0064】
カップリング剤対リビングポリマー鎖の開始剤のモル比は0.30から0.80、優先的には0.40から0.65、さらにより優先的には0.45から0.55に変動する。
【0065】
本発明の修飾ジエンエラストマーの調製の変形形態のいずれか1つによれば、星型分岐剤は、優先的には、官能価が2超のスズベースまたはケイ素ベースの作用剤である。そのような星型分岐剤は、当業者に公知である。これらは、トリハロスズおよびケイ素化合物、例えばSnR1X’3、SnHX’3、SiR1X’3、SiHX’3だけではなく、SnX’4、SiX’4、またはさらに、強化フィラーと相互作用することが可能である官能基で非置換であるか、もしくは置換されているアルコキシル化ケイ素化合物、とりわけトリアルコキシシランも含む。これらの式において、R1は、1から20個の炭素原子を有するアルキルまたはアラルキル基であり、X’はハロゲン、優先的にはClであり、強化フィラーと相互作用することが可能である官能基は、上で定義されている通りである。
【0066】
本発明による修飾ジエンエラストマーの調製に関する第2の変形形態の、特に有利な実施形態によれば、カップリング剤および星型分岐剤は、全く同一の化合物である。この有利な実施形態によれば、官能基化は、有利には、とりわけ、出願国際公開第2015018599号に記載されている手順に従って、連続式で実行され得る。
【0067】
本発明による修飾ジエンエラストマーの調製に関する第2の変形形態の別の実施形態によれば、カップリング剤および星型分岐剤は別のものである。この詳細な実施形態によれば、重合ステップから生じるリビングジエンエラストマーの官能基化は、20℃から120℃に変化する温度にて実行されて、最大で30質量%のリビングジエンエラストマーを星型分岐させるために、適量の星型分岐剤の存在下で、それにより開始され得る。その結果、続いて、ジエンエラストマーの残りのリビング鎖は、ポリマー鎖の中央に、官能基、優先的には、ゴム組成物内の強化フィラーと相互作用することが可能である第一級、第二級または第三級アミンを有するまたは有さないアルコキシシラン基を導入することが可能であるカップリング剤を添加すること、および、この作用剤と反応することにより官能基化される。
【0068】
本発明の変形形態によれば、官能基化剤は、これに従って、保護されている第一級アミン官能基、または保護されている第二級アミン官能基を有し、合成方法には、第一級または第二級アミンを脱保護するステップが続くことがある。このステップは、修飾反応後に実行する。保護されているアミン基により官能基化されている鎖は、このアミン官能基を脱保護するために、例として、酸、塩基、フッ素化誘導体、例えばフッ化テトラブチルアンモニウム、銀塩、例えば硝酸銀などと反応できる。これらの様々な方法は、著作物"Protective Groups in Organic Synthesis", T.W.Green and P.G.M.Wuts, Third Edition, 1999に記載されている。この脱保護ステップは、修飾ジエンエラストマーの加水分解性アルコキシシラン官能基を、シラノール官能基に変換するために、それらのすべて、または一部を加水分解する効果を有することができる
【0069】
本発明の変形形態によれば、官能基化剤は、これに従って、保護されているチオール官能基を有し、合成方法には、チオールを脱保護するステップが続くことがある。このステップは、修飾反応後に実行する。保護されているチオール基により官能基化されている鎖は、例として、水、アルコールまたは酸(塩酸、硫酸、カルボン酸)と反応できる。この脱保護ステップは、修飾ジエンエラストマーの加水分解性アルコキシシラン官能基をシラノール官能基に変換するために、それらのすべて、または一部を加水分解する効果を有することができる。
【0070】
本発明の変形形態によれば、官能基化剤は、これに従って、保護されている第一級または第二級ホスフィン官能基を有し、合成方法には、ホスフィンを脱保護するステップが続くことがある。このステップは、修飾反応後に実行する。保護されているホスフィン基により官能基化されている鎖は、例として、水、アルコールまたは酸(塩酸、硫酸、カルボン酸)と反応できる。この脱保護ステップは、修飾ジエンエラストマーの加水分解性アルコキシシラン官能基をシラノール官能基に変換するために、それらのすべて、または一部を加水分解する効果を有することができる。
【0071】
本発明の変形形態によれば、合成方法は、文献欧州特許出願公開第2266819号に記載されているように、酸性、塩基性または中性化合物を添加することにより、加水分解性アルコキシシラン官能基を加水分解するステップを含み得る。次いで、加水分解性の官能基は、シラノール官能基に完全に、または部分的に変換される。このようにして、少なくとも50mol%、またはさらに少なくとも80mol%、100mol%までの官能基を加水分解できる。
【0072】
本発明による修飾ジエンエラストマーを合成するための方法は、修飾エラストマーの回収ステップを、公知の手段で方法自体に続けることができる。
この方法の変形形態によれば、こうしたステップは、乾燥形態で先のステップから生じるエラストマーを回収する目的のためのストリッピングステップを含む。このストリッピングステップは、修飾ジエンエラストマーの加水分解性アルコキシシラン官能基をシラノール官能基に変換するために、それらのすべて、または一部を加水分解する効果を有し得る。このようにして、有利には、少なくとも50mol%の官能基が加水分解され得る。
【0073】
当業者は、これらのステップは、適合できる限り互いに組み合わせることができることを理解するであろう。したがって、本発明による修飾ジエンエラストマーを合成する方法は、修飾ステップに続く、脱保護ステップ、特異的加水分解ステップおよびストリップピングステップのすべてまたは一部を含み得る。
【0074】
本発明による修飾ジエンエラストマーは、このゴムの保存および輸送中に良好な安定性を生じる、満足すべき流れ抵抗を有する。
本発明によるゴム組成物が、こうした修飾ジエンエラストマーの1種または複数を含み得ることは理解されるべきである。
【0075】
有利には、ゴム組成物は、本発明による修飾エラストマーとして、ジエンエラストマーを含み、これに関して、以下の特性:
− 星型分岐状ジエンエラストマーb)は、強化フィラーと相互作用することが可能である別の官能基を有する、ケイ素原子を含む基により分岐している、3つに分岐した星型分岐状エラストマーである、
− 強化フィラーと相互作用することが可能である他の官能基は、第三級アミン、より詳細にはジエチルアミノ−またはジメチルアミノ−基である、
− スペーサー基は、直鎖状C1−C18炭化水素系ラジカル、よりいっそう優先的には直鎖状C2またはC3炭化水素系ラジカルである、
− ケイ素原子を含む官能基は、シラノールを得るために部分的にまたは完全に加水分解されていてもよいメトキシシランまたはエトキシシランである、
− ジエンエラストマーは、ブタジエンポリマー、より詳細にはブタジエンホモポリマーまたはブタジエン/スチレンコポリマーである、
− 修飾ジエンエラストマーは、修飾ジエンエラストマーの合計質量に対して、少なくとも75質量%の、鎖の中央で優位に官能基化されている直鎖状ジエンエラストマーa)、および最大で25質量%の星型分岐状ジエンエラストマーb)を含む
の少なくともいずれか1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、好ましくはすべてが順守される。
【0076】
優先的には、ゴム組成物は、本発明による修飾エラストマーとして、ジエンエラストマーを含み、これに関して:
− 星型分岐状ジエンエラストマーb)は、ジエチルアミノまたはジメチルアミノ基を有する、ケイ素原子を含む基により分岐している、3つに分岐した星型分岐状エラストマーである、
− 強化フィラーと相互作用することが可能である他の官能基は、第三級アミン、より詳細にはジエチルアミノまたはジメチルアミノ基である、
− スペーサー基は、直鎖状C3炭化水素系ラジカルである、
− アルコキシシラン基は、シラノールを得るために部分的にまたは完全に加水分解されていてもよいメトキシシランまたはエトキシシランである、
− ジエンエラストマーは、ブタジエンホモポリマーまたはブタジエン/スチレンコポリマーである、
− 修飾ジエンエラストマーは、修飾ジエンエラストマーの合計質量に対して、少なくとも75質量%の、鎖の中央で優位に官能基化されている直鎖状ジエンエラストマーa)、および最大で25質量%の星型分岐状ジエンエラストマーb)を含む。
【0077】
本発明による修飾ジエンエラストマーは、様々な変形形態に従って、星型分岐状になり、カップリングされ、官能基化されていても、またはそうでなくても、単体で組成物に、または、少なくとも1種の他の従来のジエンエラストマーとのブレンドとして使用され得る。優先的には、本発明に使用されるこの他のジエンエラストマーは、ポリブタジエン(BR)、合成ポリイソプレン(IR)、天然ゴム(NR)、ブタジエンコポリマー、イソプレンコポリマーおよびこれらのエラストマーの混合物からなるジエンエラストマーの群から選択される。そのようなコポリマーは、より優先的には、ブタジエン/スチレンコポリマー(SBR)、エチレン/ブタジエンコポリマー(EBR)、イソプレン/ブタジエンコポリマー(BIR)、イソプレン/スチレンコポリマー(SIR)およびイソプレン/ブタジエン/スチレンコポリマー(SBIR)からなる群から選択される。これは、ジエンエラストマー以外の任意の合成エラストマーとのブレンド、さらに、エラストマー以外の任意のポリマー、例えば熱可塑性ポリマーとのブレンドとみなすことも可能である。
【0078】
ブレンドとして使用される従来のエラストマーが、天然ゴムおよび/または1種または複数のジエンポリマー、例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレンまたはブタジエン/スチレンまたはブタジエン/スチレン/イソプレンコポリマーである場合、その結果、修飾した、または修飾していないこのエラストマー、またはこれらのエラストマーは、本発明による修飾ジエンエラストマー100部ごとに1から70質量部で存在し得る。
【0079】
本発明による組成物の性質の改善は、この組成物における本発明の修飾ジエンエラストマーとは異なるエラストマーの比率が低くなるにつれて、向上するものであることに注目すべきである。
したがって、好ましくは、エラストマーマトリックスは、質量に対して、本発明による修飾ジエンエラストマーを優位に含む。
より優先的には、エラストマーマトリックスは、本発明による修飾ジエンエラストマーのみからなる。
本発明のゴム組成物は、上に記載した少なくとも1種のエラストマーマトリックス以外に、少なくとも1種の強化フィラーを含む。
【0080】
タイヤトレッドの製造に使用できるゴム組成物を強化する能力に関して公知の、任意のタイプの強化フィラー、例えばカーボンブラック、公知のようにこれと組み合わせられる強化無機フィラー、例えばシリカ、カップリング剤、またはこれらの2つのタイプのフィラーの混合物も使用され得る。
【0081】
個別に、または混合物の形態で使用されるすべてのカーボンブラック、とりわけタイヤのトレッドに従来使用されているHAF、ISAFまたはSAFタイプのブラック(「タイヤグレード」ブラック)は、カーボンブラックとして適切である。より詳細には、そのカーボンブラックのうち、100、200または300シリーズ(ASTMグレード)の強化カーボンブラック、例えば、N115、N134、N234、N326、N330、N339、N347またはN375ブラックが挙げられる。
【0082】
「強化無機フィラー」は、本出願では、定義により、色および起源(天然または合成)に関係なく、中間カップリング剤以外の手段なしで、それ自体単体でタイヤの製造を意図されているゴム組成物を強化することが可能である、任意の無機またはミネラルフィラーと理解されるべきであり;そのようなフィラーは、一般的に、公知のように、ヒドロキシル(−OH)基がその表面に存在することにより特徴付けられる。
【0083】
シリカタイプ、詳細にはシリカ(SiO2)、またはアルミニウムタイプ、詳細にはアルミナ(Al23)のミネラルフィラーは、強化無機フィラーとしてとりわけ適切である。使用されるシリカは、当業者に公知の任意の強化シリカであってよく、とりわけ、BET表面積およびCTAB比表面積が共に、450m2/g未満、好ましくは30から400m2/g、とりわけ60から300m2/gの間、よりいっそう優先的には130から300m2/gの間、またはさらに130から250m2/gの間である、任意の沈降シリカまたはヒュームドシリカであってよい。アルミニウムタイプ、詳細にはアルミナ(Al23)もしくは水酸化(酸化)アルミニウムのミネラルフィラー、または例えば米国特許第6610261号および同第6747087号に記載されている強化酸化チタンも挙げられる。強化フィラーとして、別の性質の強化フィラー、とりわけカーボンブラックも適切であるが、但し、こうした強化フィラーが、シリカ層で覆われていること、あるいは、その表面に、官能性部位、とりわけ、フィラーとエラストマーの間に結合を確立するためにカップリング剤の使用を必要とするヒドロキシル部位を含むことを条件とする。例として、例えば、タイヤ用のカーボンブラックを挙げることができ、例えば、特許文献国際公開第96/37547号および同第99/28380号で記載されている。
【0084】
強化無機フィラーが用いられる物理的条件として、それが粉末、ミクロパール、顆粒、ビーズまたは任意の他の適切な高密度化形態かどうかは重要ではない。もちろん、「強化無機フィラー」という用語は、異なる強化フィラー、詳細には、上に記載した高度に分散性のシリカフィラーの混合物も意味すると理解される。
優先的には、強化フィラー(カーボンブラックおよび/または他の強化フィラー、例えばシリカ)の合計含有量は、10から200phrの間、より優先的には30から150phrの間、よりいっそう優先的には70から130phrの間であり、公知のように、最適な含有量は、標的とされる詳細な用途に応じて異なる。
【0085】
本発明の変形形態によれば、カーボンブラック以外の強化フィラーが優位である、つまり、強化フィラーは、強化フィラーの合計質量の50質量%超のカーボンブラック以外の1種または複数のフィラー、とりわけ強化無機フィラー、例えばシリカを含むか、またはさらに、そのようなフィラーのみからなる。
この変形形態によれば、カーボンブラックも存在する場合、これは、20phr未満、より優先的には10phr未満(例えば0.5から20phrの間、とりわけ1から10phr)の含有量で使用され得る。
【0086】
本発明の別の変形形態によれば、カーボンブラックを優位に含み、シリカまたは別の無機フィラーを含んでもよい強化フィラーが使用される。
強化フィラーが、フィラーとエラストマーの間の結合を確立するために、カップリング剤の使用を必要とするフィラーを含む場合、本発明によるゴム組成物は、従来通り、この結合を効率的に生じさせることが可能である作用剤も含む。シリカが、強化フィラーとして組成物に存在する場合、カップリング剤として、有機シラン、とりわけアルコキシシランポリスルフィドまたはメルカプトシラン、あるいは少なくとも二官能性のポリオルガノシロキサンが使用され得る。
そのようなカップリング剤は、上記の修飾ジエンエラストマーの合成に使用されるカップリング剤と混同してはならない。
【0087】
本発明による組成物において、カップリング剤の含有量は、有利には20phr未満であり、その使用はできる限り少ないことが一般的に望ましいと理解される。その含有量は、優先的には0.5から12phrの間である。カップリング剤の有無は、強化無機フィラーの存在によって決まる。カップリング剤の含有量は、このフィラーの含有量に従って、当業者により容易に調整される;含有量は、典型的には、カーボンブラック以外の強化無機フィラーの量に対して、0.5質量%から15質量%の程度である。
【0088】
本発明によるゴム組成物は、カップリング剤に加えて、カップリング活性化剤、フィラーを覆う作用剤、またはより一般的には、公知のように、ゴムマトリックス中におけるフィラーの分散を改善すること、および組成物の粘度を低下させることによって、生状態での加工される能力を改善することが可能な加工助剤も含み得、これらの作用剤は、例えば、加水分解性シラン、例えばアルキルアルコキシシラン、ポリオール、ポリエーテル、第一級、第二級もしくは第三級アミンまたはヒドロキシル化もしくは加水分解性ポリオルガノシロキサンである。
【0089】
本発明によるゴム組成物は、上記のカーボンブラックまたは他の強化無機フィラーのすべて、または一部を置き換えることができる強化有機フィラーも含有し得る。強化有機フィラー、官能基化ポリビニル有機フィラーの例として、例えば出願国際公開第−A−2006/069792号、同第−A−2006/069793、同第−A−2008/003434号および同第−A−2008/003435号に記載されているものを挙げることができる。
【0090】
本発明によれば、ゴム組成物の別の必須構成成分は、樹脂である。
当業者に公知のように、本出願における「樹脂」という名称は、定義によれば、一方では室温(23℃)にて固体であり(液体可塑化化合物、例えば油とは対照的に)、他方では適正な希釈剤として作用するように意図されている、エラストマー組成物と相溶性がある(つまり、使用される含有量で混和性である)化合物に用いられる。
【0091】
炭化水素系樹脂は、詳細には、ポリマーマトリックスに可塑化剤または粘着付与剤として使用できる、当業者に周知のポリマーである。これらは、例えば、"Hydrocarbon Resins" by R.Mildenberg, M.Zander and G.Collin (New York, VCH, 1997, ISBN 3-527-28617-9)と題した著作物に記載されており、用途、とりわけタイヤゴム分野に関して取り上げられるのはChapter 5(5.5."Rubber Tires and Mechanical Goods")である。これらは、脂肪族、芳香族、水素化芳香族または脂肪族/芳香族タイプのものであってよい、つまり脂肪族および/または芳香族モノマーをベースとしてよい。これらは、天然であっても合成であってもよく、石油をベースとしていてもしていなくてもよい(そのような場合には、これらは石油樹脂という名称でも公知である)。
【0092】
本発明の詳細な実施形態によれば、炭化水素系樹脂は、以下の特性:
− 20℃超、とりわけ30℃超のTg;
− 300g/mol超、とりわけ 400から1500g/molの数平均分子量(Mn);
−3未満、とりわけ2未満の多分散指数(PI)(注:PI=Mw/Mn、Mwは質量平均分子量)
の少なくともいずれか1つを有する。
より詳細には、この炭化水素系樹脂は、上の特性のすべてを有する。
【0093】
Tgは、規格ASTM D3418(1999年)に従って測定される。炭化水素系樹脂のマクロ構造(Mw、MnおよびPI)は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC):溶媒テトラヒドロフラン;温度35℃;濃度1g/l;流量1ml/分;注入前に、孔隙率0.45μmのフィルタで濾過した溶液;ポリスチレン標準を用いたMoore較正;直列Waters カラム3本のセット(Styragel HR4E、HR1およびHR0.5);示差屈折計(Waters 2410)およびそれに関連するオペレーティングソフトウェア(Waters Empower)による検出により判定される。
【0094】
そのような炭化水素系樹脂の例として、シクロペンタジエン(CPDと省略される)またはジシクロペンタジエン(DCPDと省略される)ホモポリマーまたはコポリマー樹脂、テルペンホモポリマーまたはコポリマー樹脂、C5留分ホモポリマーまたはコポリマー樹脂、C9留分ホモポリマーまたはコポリマー樹脂(またはより一般的にはC8−C10留分)、クマロンホモポリマーまたはコポリマー樹脂、ロジンエステルおよびこれらの樹脂の混合物からなる群から選択されるものを挙げることができる。より詳細には、上のコポリマー樹脂のうち、(D)CPD/C9芳香族コポリマー樹脂、(D)CPD/テルペンコポリマー樹脂、(D)CPD/C5留分コポリマー樹脂、テルペン/ビニル芳香族コポリマー樹脂、C5/C9留分コポリマー樹脂およびこれらの樹脂の混合物からなる群から選択されるものが挙げられる。
【0095】
「テルペン」基という用語は、ここでは、公知の、α−ピネン、β−ピネンおよびリモネンモノマーである。C9モノマーとしては、例えば:スチレン、フェノール、α−メチルスチレン、オルト−、メタ−またはパラ−メチルスチレン、ビニルトルエン、パラ−(tert−ブチル)スチレン、メトキシスチレン、クロロスチレン、ビニルメシチレン、ジビニルベンゼン、ビニルナフタレン、インデンまたはC9留分(より一般的にはC8からC10留分)から生じる任意のビニル芳香族モノマーが適切である。
【0096】
より詳細には、(D)CPDホモポリマー樹脂、(D)CPD/スチレンコポリマー樹脂、ポリリモネン樹脂、リモネン/スチレンコポリマー樹脂、リモネン/D(CPD)コポリマー樹脂、C5留分/スチレンコポリマー樹脂、C5留分/C9留分コポリマー樹脂およびこれらの樹脂の混合物からなる群から選択される樹脂がさらに挙げられる。
上の樹脂は、いずれも当業者に周知であり、市販されており、例えば、ポリリモネン樹脂に関しては、Dercolyteという名称でDRTにより、C5留分/スチレン樹脂またはC5留分/C9留分樹脂に関しては、Super Nevtacという名称でNeville Chemical Companyにより、またはHikorezという名称でKolonにより販売されており、あるいは40MSまたは40NS(芳香族および/または脂肪族樹脂の混合物)という名称でStruktolにより販売されている。
【0097】
炭化水素系樹脂の含有量は、優先的には、20から200phrの間、より優先的には50から150phrの範囲内である。こうした最小値を下回ると、グリップ性能は不十分になることが証明され得る一方、推奨される最大値を超えると、材料の加工は、粘着度のレベルが高すぎるため困難になる。
【0098】
本発明によるゴム組成物は、タイヤの製造を意図されているエラストマー組成物に一般的に使用される通常の添加剤、例えば、顔料、非強化フィラー、保護剤、例えば抗オゾンワックス(antiozone wax)、化学的抗オゾン剤、抗酸化剤、抗疲労剤、液体可塑化剤、例えば油、強化樹脂、例えば、国際出願第02/10269号に記載されているメチレンアクセプタ(例えば、フェノール系ノボラック樹脂)またはメチレンドナー(例えば、HMTまたはH3M)、硫黄もしくは硫黄ドナー、および/または過酸化物および/またはビスマレイミドをベースとする架橋系、加硫促進剤または加硫活性化剤のすべてを含んでも、または一部を含んでもよい。
【0099】
組成物は、当業者に周知の2つの逐次調製相を使用して適切な混合器中で製造される:110℃から190℃、好ましくは130℃から180℃の最大温度までの高温における第1の熱機械的作業または混練相(「非生成」相)、続いて低温、典型的には110℃未満、例えば40℃から100℃に下がった第2の機械的作業相(「生成」相)、この仕上げ相の間に架橋系が組み込まれる。
【0100】
本発明による組成物を調製する方法は、一般的に:
(i)130℃から180℃の最大温度での、架橋系を除く、本発明による修飾ジエンエラストマーおよび強化フィラーを含む組成物の成分の熱機械的作業を実践する第1のステップ、次いで
(ii)前記第1のステップの前記最大温度より低い温度における機械的作業の第2のステップを実践し、その間に前記架橋系が組み込まれる、第2のステップ
を含む。
この方法は、上で挙げたステップ(i)および(ii)を実践する前に、上記の方法による修飾ジエンエラストマーを調製するステップも含み得る。
本発明の別の主題は、本発明によるゴム組成物を含むタイヤ用ゴム製の中間品であり、中間品は、架橋可能であるか、または架橋されるか、またはそのような組成物からなる。
【0101】
このようにして得られる最終組成物は、続いて、例えば、タイヤ用に意図されているゴム製半製品として使用できるゴム形材要素(rubber profiled element)を形成するために、例えば、シートまたはスラブの形態でカレンダ加工してよい、あるいは押出加工してよい。
本発明による強化ゴム組成物は、架橋状態または非架橋状態、言い換えれば架橋可能な状態で行われ得る。
【0102】
ヒステリシス/生加工性/摩耗の折衷を改善する一方、本発明による強化ゴム組成物を特徴付けるエラストマーの流れ抵抗を維持することにより、そのような組成物は、タイヤの任意の半製品、ごく詳細にはトレッドを構成でき、とりわけその転がり抵抗を低下させ、耐損耗性を改善することに注目すべきである。
したがって、本発明の最終的な主題は、本発明による中間品、詳細にはトレッドを含むタイヤである。
【0103】
上で挙げた本発明の特性、またはその他のものも、例証として示されるが、限定されない本発明のいくつかの模範的な実施形態の以下の説明を読むと、さらに正しく理解されるであろう。
【実施例】
【0104】
使用される測定および試験
サイズ排除クロマトグラフィー
SEC(サイズ排除クロマトグラフィー)技術により、溶液中の高分子を、多孔ゲルで満たしたカラムに通して、大きさに従って分離することが可能になる。高分子は、流体力学的体積に従って分離され、最も体積の大きいものが最初に溶出する。
絶対法を用いなくても、SECにより、ポリマーのモル質量分布を理解することが可能になる。様々な数平均モル質量(Mn)および質量平均モル質量(Mw)は、商用の標準から判定でき、多分散指数(PI=Mw/Mn)は、「Moore」較正により計算できる。モル質量の対数(logM)と溶出時間(te)を結び付ける較正曲線は、事前に標準を用いて生成し、モデル化する。
エラストマーに関しては、分析前におけるポリマー試料の特定の処理はない。この処理は、溶出溶媒中に、約1g.l-1の濃度で溶解したのみである。次いで、溶液を、注入前に、孔隙率が0.45μmのフィルタに通して濾過する。
【0105】
使用される装置は、Waters Allianceクロマトグラフィーラインである。溶出溶媒は、テトラヒドロフラン、またはテトラヒドロフラン+1vol%のジイソプロピルアミン+1vol%のトリエチルアミンであり、流量は1ml.分-1であり、系の温度は35℃であり、分析時間は30分間である。販売名Styragel HT6EであるWaters カラム2本のセットが使用される。注入されたポリマー試料の溶液の体積は、100μlである。検出器は、Waters 2410示差屈折計であり、クロマトグラフィーのデータを使用するソフトウェアは、Waters Empower Systemである。
【0106】
計算した平均モル質量を、以下のミクロ構造を有するSBRに対して生成された較正曲線と比較する:25質量%(ポリマーの質量に対して)のスチレンタイプの単位、23質量%(ブタジエン部に対して)の1,2−タイプの単位および50質量%(ブタジエン部に対して)のtrans−1,4−タイプの単位。
炭化水素系樹脂に関しては、マクロ構造(Mw、Mn、PIおよびMz)が、サイズ排除クロマトグラフィー (SEC)により、標準ISO 16014(サイズ排除クロマトグラフィーを使用した、ポリマーの平均分子質量および分子質量分布の測定)、ASTM D5296(高速サイズ排除クロマトグラフィーによる、ポリスチレンの分子の質量平均および分子の質量分布)およびDIN 55672(サイズ排除クロマトグラフィー)に基づいて判定される。
【0107】
これらの測定に関しては、樹脂試料は、濃度1.5g/lまで非抗酸化テトラヒドロフラン中で溶解する。溶液を、例えば、フィルタに取り付けた使い捨てシリンジを使用して、孔隙率が0.45μmのテフロンフィルタで濾過する。サイズ排除クロマトグラフィーカラムのセットを通して、体積100μlを注入する。移動相を流量1ml/分で溶出させる。カラムは、オーブン中で、35℃にてサーモスタット制御される。検出は、35℃にてサーモスタット制御される屈折計により実行する。カラムの固定相は、孔隙率を制御したポリスチレンジビニルベンゼンゲルをベースとする。ポリマー鎖が溶媒に溶解している場合は、ポリマー鎖が占めている空間に応じて分離する:ポリマー鎖が占める体積が大きいほど、カラムの細孔はポリマー鎖が入りにくくなり、溶出時間は短くなる。
【0108】
樹脂について計算した平均モル質量を、分子分布が狭い(1.1以下の多分散指数PI)ポリスチレン標準に対して生成された較正曲線と比較する。こうした標準のモル質量の範囲は、160から約 70000g/molに及ぶ。こうした標準は、4または5種類の標準の「ファミリー」としてまとめて分類でき、これらは、各ファミリーの間でlogMが約0.55増大する。
【0109】
認証済み(ISO 13885およびDIN 55672)標準キット、例えば、PSSのバイアルキット(polymer standard service、商品番号PSS−pskitr1l−3)、また、Wp=162g/molの追加の標準PS(Interchim、商品番号 178952)が使用され得る。こうしたキットは、ポリスチレン標準のファミリーを適切な量でそれぞれ含有する3つのバイアルの形態である:
黒バイアル: Wp=1220、4850、15500および67500g/mol。
青バイアル: Wp=376、3470、10400、46000g/mol。
黄バイアル: Wp=266、1920、7200、28000g/mol。
PS162: Wp=162g/mol。
【0110】
SEC測定に使用される設備は、ポンプ、脱ガス装置およびインジェクタ;示差屈折計(例えばWaters 2410屈折計)、データの取得および加工用ソフトウェア、例えばWaters Empower ソフトウェア、カラムオーブン、例えばWaters「Columns Heater Module」および以下の順で直列に装着されたカラム4本を含む液体クロマトグラフィーシステム、例えばWaters Alliance 2690システムである:
【0111】
【0112】
一般的にいえば、平均質量およびPIの計算に関して、生成物の溶出の積分限界は、試料の注入に対応するクロマトグラムに対しては定義される。2つの積分限界の間で定義される屈折率シグナルは、毎秒の「遮断」である。これらの「初期遮断」のそれぞれに関して、溶出時間tiおよび検出器からのシグナルの面積Aiが読み取られる。
ここで想起されるのは以下である:PI=Mw/Mn(式中、Mwは質量平均分子量であり、Mnは数平均分子量である)。質量Mw、MnおよびMzは、以下の式
【0113】
【数1】
(式中、Aiは、質量Miおよび溶出時間tiに対応する屈折率検出器からのシグナルの幅である)
に従って計算される平均質量であることも想起される。
【0114】
高分解能サイズ排除クロマトグラフィー
高分解能SEC技術は、ポリマー試料に存在する鎖の様々な集団の質量に対するパーセンテージを判定するために使用される。
分析前におけるポリマー試料の特定の処理はない。この処理は、溶出溶媒中に、約1g.l-1の濃度で溶解したのみである。次いで、溶液を、注入前に、孔隙率が0.45μmのフィルタに通して濾過する。
【0115】
使用される装置は、Waters Alliance 2695クロマトグラフィーラインである。溶出溶媒はテトラヒドロフランであり、流量は0.2ml.分-1であり、系の温度は35℃である。直列の同一カラム3本のセットが使用される(Shodex、長さ300mm、直径8mm)。カラムのセットの理論段数の数は22000超である。注入されたポリマー試料の溶液の体積は、50μlである。検出器は、Waters 2414示差屈折計であり、クロマトグラフィーのデータを使用する用途のソフトウェアは、Waters Empowerシステムである。
計算した平均モル質量を、以下のミクロ構造を有するSBRに対して生成された較正曲線と比較する:25質量%のスチレンタイプの単位、23質量%の1,2−タイプの単位および50質量%のtrans−1,4−タイプの単位。
【0116】
Mooney粘度
ポリマーおよびゴム組成物に関しては、Mooney粘度ML(1+4)100℃を、規格ASTM D−1646に従って測定する。
規格ASTM D−1646に記載されている振動コンシストメータが使用される。以下の原理に従ってMooney可塑性の測定を実行する:生状態(すなわち硬化前)のエラストマーまたは組成物を、100℃に加熱した円筒形チャンバ中で成形する。1分間予熱した後で、ロータを試験標本内で2回/分回転させ、この運動を維持するための作動トルクを4分間回転させた後で測定する。Mooney可塑性ML(1+4)は、「Mooney単位」(MU、1MU=0.83N.m)で表す。
組成物のMooney粘度とエラストマーのMooney粘度の間の差から、生加工性または加工性を測定することが可能になる。この差が小さいほど、生加工性は良好になる。
【0117】
示差走査熱量測定
エラストマーのガラス転移温度(Tg)は、規格ASTM E1356−08(2014年)に従って、示差熱量計(示差走査熱量計)によって判定される。
近赤外(NIR)分光法
エラストマーのミクロ構造は、近赤外(NIR)分光法の技術により特徴付けられる。
近赤外分光法(NIR)は、エラストマー中のスチレンの質量によって、また、そのミクロ構造(1,2−、trans−1,4−およびcis−1,4−ブタジエン単位の相対的分布)によって、含有量を定量的に判定するために使用される。この方法の原理は、多成分系に対して一般化されたBeer−Lambertの法則に基づく。方法は間接的なので、13C NMRにより判定される組成を有する標準エラストマーを使用して行われる多変量較正を伴う[Vilmin, F., Dussap, C.and Coste, N., Applied Spectroscopy, 2006, 60, 619-29]。次いで、約730μmの厚さを有するエラストマーフィルムのNIRスペクトルからスチレン含有量およびミクロ構造を計算する。スペクトルは、Peltier効果により冷却したInGaAs検出器を備えたBruker Tensor 37フーリエ変換近赤外分光計を使用して、透過モードで4000から6200cm-1の間で、2cm-1の解像度で得られる。
【0118】
固有粘度
25℃でのエラストマーの固有粘度は、以下の原理に従って、0.1g.dl-1のトルエン中のエラストマー溶液から判定される:
固有粘度は、毛管中のポリマー溶液の流動時間tおよびトルエンの流動時間toを測定することにより判定される。
トルエンの流動時間および0.1g.dl-1のポリマー溶液の流動時間を25±0.1℃にて、サーモスタット制御浴中に入れたUbbelohde管(毛管の直径0.46mm、18から22mlの容量)内で測定する。
以下の関係式:
【0119】
【数2】
(式中、
C:単位g.dl-1のトルエン中のポリマー溶液の濃度、
t:秒単位のトルエン中のポリマー溶液の流動時間、
o:秒単位のトルエンの流動時間、
ηInh:dl/g-1で表される固有粘度)
により固有粘度が得られる。
【0120】
低温流(CF(1+6)100℃)
これは、固定条件下(T=100℃)で、較正したダイを通って、所定の時間(6時間)にわたって押出加工されたエラストマーの質量の測定に関する問題である。ダイは、直径6.35mmおよび厚さ0.5mmを有し、穴が開いた直径52mmの円筒形の皿の底部および中心に位置する。
事前にペレット(厚さ2cmおよび直径52mm)に形成された40±4gのエラストマーを、このデバイスに入れる。1kg(±5g)の重さの較正したピストンを、エラストマーペレットの上に位置させる。このアセンブリを、続いて、100℃±0.5℃でオーブン中に入れる。
【0121】
オーブン中の最初の1時間のうちは、状態が安定化していないので、t=1時間で、押出加工された生成物を切断し、次いで廃棄する。
続いて、測定を6時間±5分続け、その最中、生成物をオーブン中で放置する。6時間の終わりに、押出加工された生成物の試料を切断し、次いで計量する。測定の結果は、計量したエラストマーの質量である。結果は、対照に対してベース100で示される。値が低いほど、エラストマーの流れ抵抗は強くなる。
【0122】
修飾エラストマー単位の分布の判定
用いられる方法は、出願者の名において特許出願国際公開第2015/018599号に既に明記されているモデリング法であり、以下に記載する。
1 − バッチ式撹拌反応器中における官能基化の反応速度モデルの速度定数(K)の比を判定した例
鎖末端における官能基化された鎖、鎖の中央で官能基化されている鎖、および星型分岐状鎖(三型分岐)の質量に対するパーセンテージの実験的測定、ならびに(3−N,N−ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン/n−BuLiモル比に応じた粘度の上昇
91.6ml(70.5g)のメチルシクロヘキサン、14.8ml(9.65g)のブタジエンおよび0.49mlのメチルシクロヘキサン中テトラヒドロフルフリルエーテル0.078mol.l-1溶液を、250mlガラスボトル11本(Steinieボトル)中に導入する。n−ブチルリチウム(n−BuLi)を添加することにより、重合される溶液中で不純物を中和した後で、1.90mlのメチルシクロヘキサン中n−BuLi0.097mol.l-1を添加する。重合を60℃にて実行する。
15分後、モノマーの転化率は95%に達する。この含有量は、200mmHgの減圧下で140℃にて乾燥させた抽出物を計量することにより判定される。対照ボトル(ボトルno.1)を、リチウムと比較して過剰なメタノールで止めた。「最初の」測定した固有粘度は、0.66dl.g-1である。0.88mlのメチルシクロヘキサン中の(3−N,N−ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン0.1mol/l-1溶液を、ボトル2から9に存在するリビングポリマーの溶液(0.48モル等量、対Li)に添加し、0.73mlのこの同一の溶液をボトル10に添加し(0.40モル等量、対Li)、1.83mlのこの同一の溶液をボトル11に添加する(1.0モル等量、対Li)。60℃にて15分間反応させた後で、エラストマー100部(phr)に対して0.4部の4,4’−メチレンビス(2,6−ジ(tert−ブチル)フェノール)およびエラストマー100部(phr)に対して0.2部のN−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミンを添加することにより溶液を抗酸化させる。このように処理したポリマーを、60℃にて、減圧下および窒素流下で12時間乾燥させることにより溶液から分離する。
【0123】
「最終」固有粘度、「最終」固有粘度と「初期」固有粘度の比と定義される粘度の上昇、また、不活化された鎖(P)、鎖末端で官能基化されている鎖(PA)、鎖の中央で官能基化されている鎖(P2A)および星型分岐状鎖(P3A)の質量に対するパーセンテージは、以下の表1で提示されている。
【0124】
【0125】
リビングジエンエラストマーは、反応機構
(式中、
− Aは、官能基化剤を表し、
−PLiは、リビングエラストマー鎖を表し、
− PAは、鎖末端で官能基化されているエラストマーを表し、
− P2Aは、カップリングしたエラストマーを表し、
− P3Aは、三分岐型の星型分岐状エラストマーを表し、
− kiは、反応Riの速度定数を表す)
に従って官能基化され、反応機構は、以下の速度則
【0126】
(式中
− k1、k2およびk3は、それぞれ、反応R1、R2およびR3の速度定数((m3/mol).秒-1で表わされる)であり、
− [PLi]は、リビング鎖の濃度(mol/m3で表される)であり、
− [A]は、修飾剤 Aの濃度(mol/m3で表される)であり、
− [PA]は、鎖末端で官能基化されているエラストマーの濃度(mol/m3で表される)であり、
− [P2A]は、カップリングしたエラストマーの濃度(mol/m3で表される)であり、
− [P3A]は、三分岐型の星型分岐状エラストマーの濃度(mol/m3で表される)であり、
速度定数Kの比は、
【数3】
が1を超えると定義される)
に従って実行される。
【0127】
当業者に従って組み込まれている、官能基化のための反応速度モデルは、異なる単位の分布を判定することを可能にする、完全撹拌バッチ式反応器モデル(参考文献:Villermeaux, J; Genie de la reaction chimique; 1993)である。さらに、鎖は、重合中および/または官能基化ステップ中に不活化(P)され得る。したがって、最終製品は、不活化された(P)エラストマー、鎖末端で官能基化されている(PA)エラストマー、鎖の中央で官能基化されている(P2A)エラストマー、および星型分岐状(P3A)エラストマーの混合物である。
【0128】
上記表1の実験点に関して、これらの実験に使用される反応器を表す完全撹拌バッチ式反応器モデルの説明に従って、K=102±1の値を評価した。
官能基化剤/リビングポリマー鎖(PLi)モル比に応じた単位P、PA、P2AおよびP3Aの分布は、図1で表されている:シミュレート値(線)および測定値(点)。
【0129】
2 − バッチ式撹拌反応器における官能基化の動態を測定した例
(3−N,N−ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン(約0.5mol等量、対Li)とのカップリング時間に応じた、鎖末端で官能基化されている鎖、鎖の中央で官能基化されている鎖、および星型分岐状(3つに分岐した)鎖の、質量に対するパーセンテージの実験的測定
91.6ml(70.5g)のメチルシクロヘキサン、14.8ml(9.65g)のブタジエンおよび0.49mlのメチルシクロヘキサン中テトラヒドロフルフリルエーテル0.078mol.l-1溶液を、250mlガラスボトル22本(Steinieボトル)中に導入する。n−ブチルリチウム(n−BuLi)を添加することにより、重合される溶液中で不純物を中和した後で、1.90mlのメチルシクロヘキサン中n−BuLi0.097mol.l-1を添加する。重合を60℃にて実行する。
【0130】
15分後、モノマーの転化率は95%に達する。この含有量は、200mmHgの減圧下で140℃にて乾燥させた抽出物を計量することにより判定される。0.88mlのメチルシクロヘキサン中(3−N,N−ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン0.1mol.l-1溶液を、残りの21本のボトルに存在するリビングポリマー溶液(0.48モル等量、対Li)に添加する。60℃にて10秒間(ボトル12、13および14)、15秒間(ボトル15、16および17)、20秒間(ボトル18、19および20)、30秒間(ボトル21および22)、2分間(ボトル23)および15分間(ボトル24、25、26、27、28、29、30、31および32)反応させた後で、エラストマー100部(phr)に対して0.4部の4,4’−メチレンビス(2,6−ジ(tert−ブチル)フェノール)およびエラストマー100部(phr)に対して0.2部のN−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミンを添加することにより溶液を抗酸化させる。このように処理したポリマーを、60℃にて、減圧下および窒素流下で12時間乾燥させることにより溶液から分離する。
不活化された鎖(P)、鎖末端で官能基化されている鎖(PA)、鎖の中央で官能基化されている鎖(P2A)および星型分岐状鎖(P3A)の質量に対するパーセンテージは、以下の表2で提示されている。
【0131】
【0132】
先述の例と同一の反応速度モデルおよびK=102±1の値を使用することにより、反応速度モデルにおけるk1[PLi]の値は、104±0.2で評価される。シミュレート収率を、図2の完全撹拌バッチ式反応器における反応時間に応じた測定収率と比較する。
【0133】
3 − 連続構成における官能基化の比速度定数(K)を測定する例
連続官能基化部分を特徴付けるために、完全に撹拌されると想定される連続撹拌重合反応器の流出口で、可変量の官能基化剤をパイロットスケールの連続重合プラントに注入する。官能基化部分は、36の4リットルのエレメントを含むKenics型静的混合器および、完全に撹拌されると想定される、体積が32.5lの連続撹拌反応器で構成される。撹拌反応器における最短滞留時間は、20分である。
メチルシクロヘキサン、ブタジエン、スチレンおよびテトラヒドロフルフリルエチルエーテルを、以下の比率に従って:当業者によれば完全に撹拌されると想定される32.5リットルの連続撹拌反応器中に、質量に対するブタジエン流量=2.85kg.時-1、質量に対するスチレン流量=1.25kg.時-1、モノマーの質量に対する濃度=11質量%、60ppmのテトラヒドロフルフリルエチルエーテルを連続して導入する。ライン注入口に存在する異なる成分により導入されるプロトン性不純物を中和するために、n−ブチルリチウム(n−BuLi)を十分な量で導入する。反応器の注入口で、100gのモノマーごとに850μmolのn−BuLiを導入する。
反応器における平均滞留時間を40分にするために、異なる流量を計算する。温度を90℃に維持する。
【0134】
反応器の流出口で取り出した試料で測定した転化率は、92.6%である。
重合反応器の流出口では、官能基化プロセスを特徴付けるために、メチルシクロヘキサン中の溶液中の(3−N,N−ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシランを、異なる量(異なる(3−N,N−ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン/PLiモル比)でリビングポリマー溶液に添加する。この溶液を、Kenics KMR型の36の混合エレメントで構成される静的混合器で混合する、次いで、空のパイプを通過させ、パイプ中の合計滞留時間は3分であり(静的混合器+空のパイプ)、当業者によれば完全に撹拌されると想定される32.5リットルの連続撹拌式反応器を、滞留時間40分で通過させる。続いて、ポリマーに、0.4phrの2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール)および0.2phrのN−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミンを添加して抗酸化処理を施す。
このように処理したポリマーを、水蒸気ストリッピング操作により溶液から分離し、次いで100℃にてオープンミルで乾燥させる。
【0135】
固有粘度上昇(VJ)の測定値は、図3で提示されている。
上記の官能基化の反応速度モデルは、当業者によれば、管状反応器(Kenics静的混合器の代表例)、続いて完全撹拌連続反応器(撹拌官能基化反応器の代表例)のモデルに組み込まれ(参考文献:Villermeaux, J; Genie de la reaction chimique; 1993)、PLi、P、PA、P2AおよびP3A単位の分布を判定することが可能になる。
官能基化の反応速度モデルにより計算される単位PLi、P、PA、P2AおよびP3Aの分布と、官能基化の前後の固有粘度の実験比(VJ)を結び付けるために、VJを以下の等式により理論的に計算する。
【0136】
【数4】

[式中:
wPiAは、単位PiA、PLiおよびPの質量に対する分画であり;
wは、質量平均分子量であり;
aは、MHS(Mark−Houwink−Sakurada)式のパラメータであり、0.75に等しく;
i’は、星型分岐状ポリマーの補正、例えば:
【0137】
【数5】
(式中:
bは、0.58に等しい(著作物:Structure and Rheology of Molten Polymers))である]
滞留時間が無限とされるほど十分な長さと想定することにより、実験のVJ、および計算したVJの差を最小限に抑えることで、速度定数Kの比を評価する。Kの値は、図3で表されている通り101±1である。
管状モデルに組み込まれた反応速度モデルおよび完全撹拌連続反応器により計算される単位の分布から、計算したVJを判定する(図4)。
【0138】
動的性質:
動的性質、詳細にはtanδmaxを、規格ASTM D 5992−96に従って粘度分析器(Metravib VA4000)で測定する。規格ASTM D 1349−99に従って、標準温度条件(23℃)下において10Hzの周波数で、単純な交互正弦せん断応力を施した加硫組成物の試料(厚さ2mmおよび断面79mm2の円筒状試験標本)の反応を記録する。0.1%から50%のピーク−トゥ−ピーク(アウトワードサイクル)、次いで50%から0.1%までのピーク−トゥ−ピーク(リターンサイクル)で、歪み振幅スイープを実行する。より詳細には使用される結果は、損失係数tanδである。リターンサイクルに関しては、tanδmaxで表される、観察されるtanδの最大値が指し示される。この値は、材料のヒステリシスを表し、この場合には転がり抵抗を表し:tanδmaxの値が小さいほど、転がり抵抗は低下する。この例では、動的性質の結果は、ベース100で示される。この数が高いほど、ヒステリシスは高くなる。
【0139】
摩耗
摩耗による質量損失の測定は、Zwick摩耗メータを使用して、標準NF ISO 4659の指示に従って行う、円筒状標本に、P60グレインの研磨布の作用を施し、10Nの接触圧下で40mにわたって回転ドラムの表面に付着させた。測定した値は、摩損後の物質の体積損失(mm3単位)であり;値が小さくなるほど、耐摩耗性は良好になる。結果は、対照に対してベース100で示される。この場合、この値は、トレッドとしてそのような材料を含むタイヤ耐損耗性を表し;値が小さいほど、材料の耐摩耗性は良好になり、ひいてはこの材料をトレッド中に含むタイヤの耐損耗性も良好になる。
【0140】
エラストマー調製の例
ポリマーAの調製:本発明による、鎖の中央における官能基であるSBRアミノアルコキシシラン、Tg−88℃
メチルシクロヘキサン、ブタジエン、スチレンおよびテトラヒドロフルフリルエチルエーテルを以下の比率に従って連続して導入する:当業者によれば完全に撹拌されると想定される、32lの連続供給式撹拌反応器中に、質量に対するブタジエン流量=4.013kg.時−1、質量に対するスチレン流量=0.122kg.時−1、質量に対するモノマーの濃度=9.75質量%、15ppmのテトラヒドロフルフリルエチルエーテル。第1の反応器の注入口に存在する異なる成分により導入されるプロトン性不純物を中和するために、n−ブチルリチウム(n−BuLi)を十分な量で導入する。反応器の注入口で、100gのモノマーごとに850μmolのn−BuLiを導入する。
反応器における平均滞留時間を35分にするために、異なる流量を計算する。温度を95℃に維持する。
【0141】
ポリマー溶液の試料を、重合反応器の流出口で取り出す。このようにして得られたポリマーに、0.4phrの2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール)および0.2phrのN−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミンを添加して抗酸化処理を施す。続いて、このように処理したポリマーを、水蒸気ストリッピング操作により溶液から分離し、次いで100℃にてオープンミルで乾燥させる。測定した「初期」固有粘度は、1.98dl.g-1である。SEC技術により判定される数平均モル質量Mnは、90000g.mol-1であり、多分散指数PIは、1.90である。
【0142】
重合反応器の流出口で、100gのモノマーごとにメチルシクロヘキサン中の溶液中の(3−N,N−ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン(カップリング剤および星型分岐剤CA)440μmolを、リビングポリマーの溶液に添加する(CA/Li=0.52)。
Kenics KMRタイプの36の混合エレメントからなる静的混合器、次いで空のパイプからなるピストンタイプの系中で、この溶液を30秒間混合する。続いて、溶液を、完全に撹拌されると想定されている反応器中で35分間混合し、これらの反応器(ピストンタイプの系+完全に撹拌されると想定される混合器)中の温度は、95℃である。
このようにして得られたポリマーに、0.4phrの2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール)および0.2phrのN−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミンを添加して抗酸化処理を施す。
【0143】
続いて、このように処理したポリマーを、水蒸気ストリッピング操作によりその溶液から分離し、次いで100℃にてオープンミルで乾燥させる。
測定した「最終」固有粘度は、2.52dl.g-1である。前記「最終」粘度と前記「初期」粘度の比と定義される粘度の上昇は、この例では1.27である。
ポリマーAのMooney粘度は70である。
SEC技術により判定される数平均モル質量Mnは、168600g.mol-1であり、多分散指数PIは1.68である。
このポリマーのミクロ構造は、NIR方法により判定される。1,2−単位の含有量は、ブタジエン単位に対して12.7%である。スチレンの質量に対する含有量は、2.1%である。
このポリマーのガラス転移温度は、−88℃である。
官能基化後の単位の分散は、上記のモデリング法で得られる:官能基鎖が86%であり、そのうち77%が鎖の中央における官能基であり、星型分岐状鎖が14%である。
【0144】
ポリマーBの調製:本発明による、鎖の中央における官能基であるBRアミノアルコキシシラン、Tg−91℃
メチルシクロヘキサン、ブタジエンおよびテトラヒドロフルフリルエチルエーテルを以下の比率に従って連続して導入する:当業者によれば完全に撹拌されると想定される、32lの連続供給式撹拌反応器中に、質量に対するブタジエン流量=4.135kg.時-1、質量に対するモノマーの濃度=9.75質量%、15ppmのテトラヒドロフルフリルエチルエーテル。第1の反応器の注入口に存在する異なる成分により導入されるプロトン性不純物を中和するために、n−ブチルリチウム(n−BuLi)を十分な量で導入する。反応器の注入口で、100gのモノマーごとに850μmolのn−BuLiを導入する。
反応器における平均滞留時間を35分にするために、異なる流量を計算する。温度を95℃に維持する。
【0145】
ポリマー溶液の試料を、重合反応器の流出口で取り出す。このようにして得られたポリマーに、0.4phrの2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール)および0.2phrのN−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミンを添加して抗酸化処理を施す。続いて、このように処理したポリマーを、水蒸気ストリッピング操作により溶液から分離し、次いで100℃にてオープンミルで乾燥させる。測定した「初期」固有粘度は、1.97dl.g-1である。SEC技術により判定される数平均モル質量Mnは、88000g.mol-1であり、多分散指数PIは、1.90である。
【0146】
重合反応器の流出口で、100gのモノマーごとにメチルシクロヘキサン中の溶液中の(3−N,N−ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン(カップリング剤および星型分岐剤CA)442μmolを、リビングポリマーの溶液に添加する(CA/Li=0.52)。
Kenics KMRタイプの36の混合エレメントからなる静的混合器、次いで空のパイプからなるピストンタイプの系中で、この溶液を30秒間混合する。続いて、溶液を、完全に撹拌されると想定されている反応器中で35分間混合し、これらの反応器(ピストンタイプの系+完全に撹拌されると想定される混合器)中の温度は、95℃である。
このようにして得られたポリマーに、0.4phrの2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール)および0.2phrのN−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミンを添加して抗酸化処理を施す。
続いて、このように処理したポリマーを、水蒸気ストリッピング操作によりその溶液から分離し、次いで100℃にてオープンミルで乾燥させる。
【0147】
測定した「最終」固有粘度は、2.54dl.g-1である。前記「最終」粘度と前記「初期」粘度の比と定義される粘度の上昇は、この例では1.27である。
ポリマーBのMooney粘度は69である。
SEC技術により判定される数平均モル質量Mnは、170000g.mol-1であり、多分散指数PIは1.70である。
このポリマーのミクロ構造は、NIR方法により判定される。1,2−単位の含有量は、ブタジエン単位に対して12.5%である。
このポリマーのガラス転移温度は、−91℃である。
官能基化後の単位の分布は、上記のモデリング法で得られる:官能基鎖が86%であり、そのうち77%が鎖の中央における官能基であり、星型分岐状鎖が14%である。
【0148】
ポリマーCの調製:対照の、鎖の中央における官能基であるSBRアミノアルコキシシラン、Tg−49℃
メチルシクロヘキサン、ブタジエン、スチレンおよびテトラヒドロフルフリルエチルエーテルを以下の比率に従って連続して導入する:当業者によれば完全に撹拌されると想定される、32lの連続供給式撹拌反応器中に、質量に対するブタジエン流量=2.874kg.時−1、質量に対するスチレン流量=1.204kg.時−1、質量に対するモノマーの濃度=11質量%、60ppmのテトラヒドロフルフリルエチルエーテル。第1の反応器の注入口に存在する異なる成分により導入されるプロトン性不純物を中和するために、n−ブチルリチウム(n−BuLi)を十分な量で導入する。反応器の注入口で、100gのモノマーごとに、870μmolのn−BuLiを導入する。
反応器における平均滞留時間を40分にするために、異なる流量を計算する。温度を90℃に維持する。
【0149】
ポリマー溶液の試料を、重合反応器の流出口で取り出す。このようにして得られたポリマーに、0.4phrの2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール)および0.2phrのN−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミンを添加して抗酸化処理を施す。続いて、このように処理したポリマーを、水蒸気ストリッピング操作により溶液から分離し、次いで100℃にてオープンミルで乾燥させる。測定した「初期」固有粘度は、1.66dl.g-1である。SEC技術により判定される数平均モル質量Mnは、94000g.mol-1であり、多分散指数PIは、1.90である。
【0150】
重合反応器の流出口で、100gのモノマーごとに、メチルシクロヘキサン中の溶液中の(3−N,N−ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン(カップリング剤および星型分岐剤CA)452μmolを、リビングポリマーの溶液に添加する(CA/Li=0.52)。
【0151】
Kenics KMRタイプの36の混合エレメントからなる静的混合器、次いで空のパイプからなるピストンタイプの系中で、この溶液を30秒間混合する。続いて、溶液を、完全に撹拌されると想定されている反応器中で35分間混合し、これらの反応器(ピストンタイプの系+完全に撹拌されると想定される混合器)中の温度は、95℃である。
このようにして得られたポリマーに、0.4phrの2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール)および0.2phrのN−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミンを添加して抗酸化処理を施す。
続いて、このように処理したポリマーを、水蒸気ストリッピング操作によりその溶液から分離し、次いで100℃にてオープンミルで乾燥させる。
測定した「最終」固有粘度は、2.1dl.g-1である。前記「最終」粘度と前記「初期」粘度の比と定義される粘度の上昇は、この例では1.30である。
【0152】
ポリマーCのMooney粘度は67である。
SEC技術により判定される数平均モル質量Mnは、141200g.mol-1であり、多分散指数PIは1.8である。
このポリマーのミクロ構造は、NIR方法により判定される。1,2−単位の含有量は、ブタジエン単位に対して24.2%である。スチレンの質量に対する含有量は、26.4%である。
このポリマーのガラス転移温度は、−49℃である。
官能基化後の単位の分布は、上記のモデリング法で得られる:官能基鎖が86%であり、そのうち77%が鎖の中央における官能基であり、星型分岐状鎖が14%である。
【0153】
ポリマーDの調製:対照の、鎖の中央における官能基であるSBRアミノアルコキシシラン、Tg−88℃
メチルシクロヘキサン、ブタジエン、スチレンおよびテトラヒドロフルフリルエチルエーテルを以下の比率に従って連続して導入する:当業者によれば完全に撹拌されると想定される、32lの連続供給式撹拌反応器中に、質量に対するブタジエン流量=4.013kg.時−1、質量に対するスチレン流量=0.122kg.時−1、質量に対するモノマーの濃度=9.75質量%、15ppmのテトラヒドロフルフリルエチルエーテル。第1の反応器の注入口に存在する異なる成分により導入されるプロトン性不純物を中和するために、n−ブチルリチウム(n−BuLi)を十分な量で導入する。反応器の注入口で、100gのモノマーごとに850μmolのn−BuLiを導入する。
反応器における平均滞留時間を35分にするために、異なる流量を計算する。温度を95℃に維持する。
【0154】
ポリマー溶液の試料を、重合反応器の流出口で取り出す。このようにして得られたポリマーに、0.4phrの2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール)および0.2phrのN−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミンを添加して抗酸化処理を施す。続いて、このように処理したポリマーを、水蒸気ストリッピング操作により溶液から分離し、次いで100℃にてオープンミルで乾燥させる。測定した「初期」固有粘度は、1.98dl.g-1である。SEC技術により判定される数平均モル質量Mnは、90000g.mol-1であり、多分散指数PIは、1.90である。
重合反応器の流出口で、100gのモノマーごとに、メチルシクロヘキサン中の溶液中の(3−N,N−ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン(カップリング剤および星型分岐剤CA)380μmolを、リビングポリマーの溶液に添加する(CA/Li=0.45)。
【0155】
Kenics KMRタイプの36の混合エレメントからなる静的混合器、次いで空のパイプからなるピストンタイプの系中で、この溶液を30秒間混合する。続いて、溶液を、完全に撹拌されると想定されている反応器中で35分間混合し、これらの反応器(ピストンタイプの系+完全に撹拌されると想定される混合器)中の温度は、95℃である。
このようにして得られたポリマーに、0.4phrの2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール)および0.2phrのN−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミンを添加して抗酸化処理を施す。
続いて、このように処理したポリマーを、水蒸気ストリッピング操作によりその溶液から分離し、次いで100℃にてオープンミルで乾燥させる。
【0156】
測定した「最終」固有粘度は、2.67dl.g-1である。前記「最終」粘度と前記「初期」粘度の比と定義される粘度の上昇は、この例では1.35である。
ポリマーDのMooney粘度は77である。
SEC技術により判定される数平均モル質量Mnは、165000g.mol-1であり、多分散指数PIは1.70である。
【0157】
このポリマーのミクロ構造は、NIR方法により判定される。1,2−単位の含有量は、ブタジエン単位に対して12.7%である。スチレンの質量に対する含有量は、2.1%である。
このポリマーのガラス転移温度は、−88℃である。
官能基化後の単位の分布は、上記のモデリング法で得られる:鎖の中央における官能基鎖67%であり、星型分岐状鎖が33%である。
【0158】
ポリマーEの調製:本発明による、鎖の中央における官能基であるSBRアミノアルコキシシラン、Tg−88℃
メチルシクロヘキサン、ブタジエン、スチレンおよびテトラヒドロフルフリルエチルエーテルを以下の比率に従って連続して導入する:当業者によれば完全に撹拌されると想定される、32lの連続供給式撹拌反応器中に、質量に対するブタジエン流量=4.013kg.時−1、質量に対するスチレン流量=0.122kg.時−1、質量に対するモノマーの濃度=9.75質量%、15ppmのテトラヒドロフルフリルエチルエーテル。第1の反応器の注入口に存在する異なる成分により導入されるプロトン性不純物を中和するために、n−ブチルリチウム(n−BuLi)を十分な量で導入する。反応器の注入口で、100gのモノマーごとに850μmolのn−BuLiを導入する。
反応器における平均滞留時間を35分にするために、異なる流量を計算する。温度を95℃に維持する。
【0159】
ポリマー溶液の試料を、重合反応器の流出口で取り出す。このようにして得られたポリマーに、0.4phrの2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール)および0.2phrのN−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミンを添加して抗酸化処理を施す。続いて、このように処理したポリマーを、水蒸気ストリッピング操作により溶液から分離し、次いで100℃にてオープンミルで乾燥させる。測定した「初期」固有粘度は、1.98dl.g-1である。SEC技術により判定される数平均モル質量Mnは、90000g.mol-1であり、多分散指数PIは、1.90である。
重合反応器の流出口で、100gのモノマーごとにメチルシクロヘキサン中の溶液中の(3−N,N−ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン(カップリング剤および星型分岐剤CA)425μmolを、リビングポリマーの溶液に添加する(CA/Li=0.50)。
【0160】
Kenics KMRタイプの36の混合エレメントからなる静的混合器、次いで空のパイプからなるピストンタイプの系中で、この溶液を30秒間混合する。続いて、溶液を、完全に撹拌されると想定されている反応器中で35分間混合し、これらの反応器(ピストンタイプの系+完全に撹拌されると想定される混合器)中の温度は、95℃である。
このようにして得られたポリマーに、0.4phrの2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール)および0.2phrのN−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミンを添加して抗酸化処理を施す。
続いて、このように処理したポリマーを、水蒸気ストリッピング操作によりその溶液から分離し、次いで100℃にてオープンミルで乾燥させる。
【0161】
測定した「最終」固有粘度は、2.54dl.g-1である。前記「最終」粘度と前記「初期」粘度の比と定義される粘度の上昇は、この例では1.30である。
ポリマーEのMooney粘度は71である。
SEC技術により判定される数平均モル質量Mnは、165000g.mol-1であり、多分散指数PIは1.70である。
このポリマーのミクロ構造は、NIR方法により判定される。1,2−単位の含有量は、ブタジエン単位に対して12.7%である。スチレンの質量に対する含有量は、2.1%である。
このポリマーのガラス転移温度は、−88℃である。
官能基化後の単位の分布は、上記のモデリング法で得られる:官能基鎖が83%であり、そのうち76%が鎖の中央における官能基であり、星型分岐状鎖が18%である。
【0162】
ポリマーFの調製:本発明による、鎖の中央における官能基であるSBRエポキシド+アルコキシシラン、Tg−88℃
メチルシクロヘキサン、ブタジエン、スチレンおよびテトラヒドロフルフリルエチルエーテルを以下の比率に従って連続して導入する:当業者によれば完全に撹拌されると想定される、32lの連続供給式撹拌反応器中に、質量に対するブタジエン流量=4.013kg.時−1、質量に対するスチレン流量=0.122kg.時−1、質量に対するモノマーの濃度=9.75質量%、15ppmのテトラヒドロフルフリルエチルエーテル。第1の反応器の注入口に存在する異なる成分により導入されるプロトン性不純物を中和するために、n−ブチルリチウム(n−BuLi)を十分な量で導入する。反応器の注入口で、100gのモノマーごとに850μmolのn−BuLiを導入する。
反応器における平均滞留時間を35分にするために、異なる流量を計算する。温度を95℃に維持する。
【0163】
ポリマー溶液の試料を、重合反応器の流出口で取り出す。このようにして得られたポリマーに、0.4phrの2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール)および0.2phrのN−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミンを添加して抗酸化処理を施す。続いて、このように処理したポリマーを、水蒸気ストリッピング操作により溶液から分離し、次いで100℃にてオープンミルで乾燥させる。測定した「初期」固有粘度は、1.95dl.g-1である。SEC技術により判定される数平均モル質量Mnは、88000g.mol-1であり、多分散指数PIは1.89である。
重合反応器の流出口で、100gのモノマーごとに、メチルシクロヘキサン中の溶液中の(3−グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシラン(カップリング剤および星型分岐剤CA)440μmolを、リビングポリマーの溶液に添加する(CA/Li=0.52)。
Kenics KMRタイプの36の混合エレメントからなる静的混合器、次いで空のパイプからなるピストンタイプの系中で、この溶液を30秒間混合する。続いて、溶液を、完全に撹拌されると想定されている反応器中で35分間混合し、これらの反応器(ピストンタイプの系+完全に撹拌されると想定される混合器)中の温度は、95℃である。
【0164】
このようにして得られたポリマーに、0.4phrの2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール)および0.2phrのN−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミンを添加して抗酸化処理を施す。
続いて、このように処理したポリマーを、水蒸気ストリッピング操作によりその溶液から分離し、次いで100℃にてオープンミルで乾燥させる。
測定した「最終」固有粘度は、2.50dl.g-1である。前記「最終」粘度と前記「初期」粘度の比と定義される粘度の上昇は、この例では1.28である。
ポリマーFのMooney粘度は71である。
SEC技術により判定される数平均モル質量Mnは、170200g.mol-1であり、多分散指数PIは1.66である。
このポリマーのミクロ構造は、NIR方法により判定される。1,2−単位の含有量は、ブタジエン単位に対して12.7%である。スチレンの質量に対する含有量は、2.1%である。
このポリマーのガラス転移温度は、−88℃である。
官能基化後の単位の分布は、上記のモデリング法で得られる:官能基鎖が83%であり、そのうち79%が鎖の中央における官能基であり、星型分岐状鎖が17%である。
【0165】
ポリマーGの調製:本発明による、鎖の中央における官能基であるBRエポキシド+アルコキシシラン、Tg−91℃
メチルシクロヘキサン、ブタジエンおよびテトラヒドロフルフリルエチルエーテルを以下の比率に従って連続して導入する:当業者によれば完全に撹拌されると想定される、32lの連続供給式撹拌反応器中に、質量に対するブタジエン流量=4.135kg.時-1、質量に対するモノマーの濃度=9.75質量%、15ppmのテトラヒドロフルフリルエチルエーテル。第1の反応器の注入口に存在する異なる成分により導入されるプロトン性不純物を中和するために、n−ブチルリチウム(n−BuLi)を十分な量で導入する。反応器の注入口で、100gのモノマーごとに850μmolのn−BuLiを導入する。
反応器における平均滞留時間を35分にするために、異なる流量を計算する。温度を95℃に維持する。
【0166】
ポリマー溶液の試料を、重合反応器の流出口で取り出す。このようにして得られたポリマーに、0.4phrの2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール)および0.2phrのN−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミンを添加して抗酸化処理を施す。続いて、このように処理したポリマーを、水蒸気ストリッピング操作により溶液から分離し、次いで100℃にてオープンミルで乾燥させる。測定した「初期」固有粘度は、1.99dl.g-1である。SEC技術により判定される数平均モル質量Mnは、90000g.mol-1であり、多分散指数PIは1.91である。
重合反応器の流出口で、100gのモノマーごとに、メチルシクロヘキサン中の溶液中の(3−グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシラン(カップリング剤および星型分岐剤CA)440μmolを、リビングポリマーの溶液に添加する(CA/Li=0.52)。
【0167】
Kenics KMRタイプの36の混合エレメントからなる静的混合器、次いで空のパイプからなるピストンタイプの系中で、この溶液を30秒間混合する。続いて、溶液を、完全に撹拌されると想定されている反応器中で35分間混合し、これらの反応器(ピストンタイプの系+完全に撹拌されると想定される混合器)中の温度は、95℃である。
このようにして得られたポリマーに、0.4phrの2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール)および0.2phrのN−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミンを添加して抗酸化処理を施す。
続いて、このように処理したポリマーを、水蒸気ストリッピング操作によりその溶液から分離し、次いで100℃にてオープンミルで乾燥させる。
測定した「最終」固有粘度は、2.55dl.g-1である。前記「最終」粘度と前記「初期」粘度の比と定義される粘度の上昇は、この例では1.28である。
【0168】
ポリマーGのMooney粘度は70である。
SEC技術により判定される数平均モル質量Mnは、173000g.mol-1であり、多分散指数PIは1.71である。
このポリマーのミクロ構造は、NIR方法により判定される。1,2−単位の含有量は、ブタジエン単位に対して12.5%である。
このポリマーのガラス転移温度は、−91℃である。
官能基化後の単位の分布は、上記のモデリング法で得られる:官能基鎖が85%であり、そのうち76%が鎖の中央における官能基であり、星型分岐状鎖が15%である。
【0169】
ポリマーHの調製:対照の、鎖の中央における官能基であるSBRエポキシド+アルコキシシラン、Tg−48℃
メチルシクロヘキサン、ブタジエン、スチレンおよびテトラヒドロフルフリルエチルエーテルを以下の比率に従って連続して導入する:当業者によれば完全に撹拌されると想定される、32lの連続供給式撹拌反応器中に、質量に対するブタジエン流量=2.874kg.時−1、質量に対するスチレン流量=1.204kg.時−1、質量に対するモノマーの濃度=11質量%、60ppmのテトラヒドロフルフリルエチルエーテル。第1の反応器の注入口に存在する異なる成分により導入されるプロトン性不純物を中和するために、n−ブチルリチウム(n−BuLi)を十分な量で導入する。反応器の注入口で、100gのモノマーごとに、870μmolのn−BuLiを導入する。
反応器における平均滞留時間を40分にするために、異なる流量を計算する。温度を90℃に維持する。
【0170】
ポリマー溶液の試料を、重合反応器の流出口で取り出す。このようにして得られたポリマーに、0.4phrの2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール)および0.2phrのN−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミンを添加して抗酸化処理を施す。続いて、このように処理したポリマーを、水蒸気ストリッピング操作により溶液から分離し、次いで100℃にてオープンミルで乾燥させる。測定した「初期」固有粘度は、1.65dl.g-1である。SEC技術により判定される数平均モル質量Mnは、92000g.mol-1であり、多分散指数PIは、1.90である。
【0171】
重合反応器の流出口で、100gのモノマーごとに、メチルシクロヘキサン中の溶液中の(3−グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシラン(カップリング剤および星型分岐剤CA)450μmolを、リビングポリマーの溶液に添加する(CA/Li=0.52)。
Kenics KMRタイプの36の混合エレメントからなる静的混合器、次いで空のパイプからなるピストンタイプの系中で、この溶液を30秒間混合する。続いて、溶液を、完全に撹拌されると想定されている反応器中で35分間混合し、これらの反応器(ピストンタイプの系+完全に撹拌されると想定される混合器)中の温度は、95℃である。
このようにして得られたポリマーに、0.4phrの2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール)および0.2phrのN−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミンを添加して抗酸化処理を施す。
続いて、このように処理したポリマーを、水蒸気ストリッピング操作によりその溶液から分離し、次いで100℃にてオープンミルで乾燥させる。
【0172】
測定した「最終」固有粘度は、2.14dl.g-1である。前記「最終」粘度と前記「初期」粘度の比と定義される粘度の上昇は、この例では1.30である。
ポリマーHのMooney粘度は68である。
SEC技術により判定される数平均モル質量Mnは、143000g.mol-1であり、多分散指数PIは1.75である。
このポリマーのミクロ構造は、NIR方法により判定される。1,2−単位の含有量は、ブタジエン単位に対して24.0%である。スチレンの質量に対する含有量は、27.0%である。
このポリマーのガラス転移温度は、−48℃である。
官能基化後の単位の分布は、上記のモデリング法で得られる:官能基鎖が85%であり、そのうち77%が鎖の中央における官能基であり、星型分岐状鎖が15%である。
【0173】
ポリマーIの調製:本発明による、鎖の中央における官能基であるBRメルカプトアルコキシシラン、Tg−91℃
7.5kgのブタジエン、また、313mlのメチルシクロヘキサン中テトラヒドロフラン0.349mol.l-1溶液を、90リットルの反応器に注入し、43.9kgのメチルシクロヘキサンを含有する約2barの窒素圧力下で維持する。n−ブチルリチウムを添加することにより重合される溶液中の不純物の中和後、1043mlのメチルシクロヘキサン中0.063mol.l-1 n−ブチルリチウムを添加する。重合を50℃にて実行する。
【0174】
95分後、モノマーの転化率は89%に達する。この含有量を、200mmHgの減圧下で140℃にて乾燥させた抽出物を計量することにより、判定する。528mlのメチルシクロヘキサン中3,3−メトキシ−8,8,9,9−テトラメチル−2−オキサ−7−チア−3,8−ジシラデカン0.020mol.l-1溶液を、リビングポリマーの溶液に添加する。50℃にて30分間反応させた後で、528mlのメチルシクロヘキサン中3,3−メトキシ−8,8,9,9−テトラメチル−2−オキサ−7−チア−3,8−ジシラデカン0.030mol.l-1溶液を、続いてこのポリマー溶液に添加する。50℃にて30分間反応させた後で、溶液を、100部のエラストマー(phr)ごとに0.8部の4,4’−メチレンビス(2,6−ジ(tert−ブチル)フェノール)および100部のエラストマー(phr)ごとに0.2部のN−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミンを添加することにより抗酸化する。このように処理したコポリマーを、水蒸気ストリッピング操作によりその溶液から分離し、次いで100℃にてオープンミルで乾燥させる。
【0175】
このコポリマーのミクロ構造は、NIR法により判定される:1,4−trans単位の質量に対する含有量は、49%であり、1,4−cis単位のものは37%であり、1,2−単位のものは14%である。
このコポリマーのガラス転移温度は、−91℃である。
ポリマーEのMooney粘度は42である。
官能基化後の単位の分布は、高分解能SEC法により示される:鎖の中央における官能基鎖70%、非官能基鎖16%、星型分岐状鎖14%。
【0176】
ポリマーJの調製:対照の、鎖の中央における官能基であるSBRメルカプトアルコキシシラン、Tg−48℃
3.0kgのスチレンおよび4.7kgのブタジエン、また、660mlのメチルシクロヘキサン中テトラヒドロフラン0.59mol.l-1溶液を、約2barの窒素圧力下で維持し、44.3kgのメチルシクロヘキサンを含有する90リットル反応器に注入する。n−ブチルリチウムを添加することにより重合される溶液中の不純物の中和後、825mlのメチルシクロヘキサン中n−ブチルリチウム0.063mol.l-1を添加する。重合を50℃にて実行する。
【0177】
45分後、モノマーの転化率は、69%に達する。この含有量を、200mmHgの減圧下で140℃にて乾燥させた抽出物を計量することにより、判定する。412mlのメチルシクロヘキサン中3,3−メトキシ−8,8,9,9−テトラメチル−2−オキサ−7−チア−3,8−ジシラデカン0.020mol.l-1溶液を、リビングポリマーの溶液に添加する。50℃にて30分間反応させた後で、412mlのメチルシクロヘキサン中3,3−メトキシ−8,8,9,9−テトラメチル−2−オキサ−7−チア−3,8−ジシラデカン0.030mol.l-1溶液を、続いてこのポリマー溶液に添加する。50℃にて30分間反応させた後で、溶液を、100部のエラストマー(phr)ごとに0.8部の4,4’−メチレンビス(2,6−ジ(tert−ブチル)フェノール)および100部のエラストマー(phr)ごとに0.2部のN−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミンを添加することにより抗酸化する。このように処理したコポリマーを、水蒸気ストリッピング操作によりその溶液から分離し、次いで100℃にてオープンミルで乾燥させる。
【0178】
このコポリマーのミクロ構造は、NIR法により判定される:1,4−trans単位の質量に対する含有量は、48%であり、1,4−cis単位のものは、28%であり、1,2−単位のものは、24%であり、これら3つの含有量のそれぞれは、ブタジエン単位に対するものである。スチレンの質量に対する含有量は、27.5%である。
このコポリマーのガラス転移温度は、−48℃である。
ポリマーJのMooney粘度は66である。
官能基化後の単位の分布は、高分解能SEC法により示される:鎖の中央における官能基鎖70%、非官能基鎖16%、星型分岐状鎖14%。
【0179】
ポリマーKの調製:対照の、鎖の中央における官能基であるBRメルカプトアルコキシシラン、Tg−91℃
7.5kgのブタジエン、また313mlのメチルシクロヘキサン中テトラヒドロフラン0.349mol.l-1溶液を、約2barの窒素圧下で維持された、43.9kgのメチルシクロヘキサンを含有する90リットルの反応器に注入する。n−ブチルリチウムを添加することにより重合される溶液中の不純物の中和後、1019mlのメチルシクロヘキサン中n−ブチルリチウム0.063mol.l-1を添加する。重合を50℃にて実行する。
【0180】
95分後、モノマーの転化率は、88%に達する。この含有量を、200mmHgの減圧下で140℃にて乾燥させた抽出物を計量することにより、判定する。516mlのメチルシクロヘキサン中MeSiCl3 0.015mol.l-1溶液を、リビングポリマーの溶液に添加する。50℃にて15分間反応させた後で、590mlのメチルシクロヘキサン中3,3−メトキシ−8,8,9,9−テトラメチル−2−オキサ−7−チア−3,8−ジシラデカン0.035mol.l-1溶液を、続いてこのポリマー溶液に添加する。50℃にて30分間反応させた後で、溶液を、100部のエラストマー(phr)ごとに0.8部の4,4’−メチレンビス(2,6−ジ(tert−ブチル)フェノール)および100部のエラストマー(phr)ごとに0.2部のN−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミンを添加することにより抗酸化する。このように処理したコポリマーを、水蒸気ストリッピング操作によりその溶液から分離し、次いで100℃にてオープンミルで乾燥させる。
【0181】
このコポリマーのミクロ構造は、NIR法により判定される:1,4−trans単位の質量に対する含有量は、49%であり、1,4−cis単位のものは、36%であり、1,2−単位のものは、15%である。
このコポリマーのガラス転移温度は、−90℃である。
ポリマーKのMooney粘度は61である。
官能基化後の単位の分布は、高分解能SEC法により示される:鎖の中央における官能基鎖51%、非官能基鎖15%および星型分岐状鎖34%。
【0182】
ゴム組成物:
エラストマーAからEは、トレッドタイプのゴム組成物を調製するために使用し、それぞれ、シリカを強化フィラーとして含む。
以下の組成物はそれぞれ、第1のステップで、熱機械的作業により、次いで、第2の仕上げステップで、機械的作業により生成される。
エラストマー、シリカ、ブラック、カップリング剤および油の3分の2、次いで、約1分後、残りの強化フィラー、樹脂、抗酸化剤、ステアリン酸および抗オゾンワックス、次いで、約2分後、酸化亜鉛を、容量が400cm3で70%まで満たされ、その初期温度が90℃であるBanburyタイプの実験用密閉混合器中に連続して導入した。
熱機械的作業のステップを、最高温度が約160℃に下落するまで4から5分間実行する。
上述の熱機械的作業の第1のステップをこのように実行し、この第1のステップ中のブレードの平均速度は50rpmであることが特定される。
このようにして得られた混合物を回収し、冷却し、次いで、密閉混合器(ホモフィニッシャー)中で、硫黄および促進剤を30℃にて添加し、組み合わせた混合物をさらに3から4分間混合する(上述の機械的作業の第2のステップ)。
【0183】
このようにして得られる組成物は、物理的または機械的性質を測定するために、続いて、ゴムのスラブ(厚さ2から3mmの範囲)もしくは薄シートの形態で、または例えばタイヤ、詳細にはトレッド用の半製品として、望ましい寸法に切った後で、および/もしくは組み立てた後で、直接使用できる形材要素の形態でカレンダ加工する。
架橋を150℃にて40分間実行する。
組成物のそれぞれは、以下の式を有する(phrで表される:100部のエラストマーごとの部):
【0184】
【0185】
【0186】
結果:
以下の表1から3で示されている結果から、本発明によるポリマーを使用すると、損耗の著しい改善、転がり抵抗の改善、良好なレベルのポリマーの流れ抵抗の達成が可能になることが示される。
【0187】
【0188】
【0189】
図1
図2
図3
図4