特許第6883609号(P6883609)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社NTTドコモの特許一覧

<>
  • 特許6883609-ユーザ装置及び送信方法 図000002
  • 特許6883609-ユーザ装置及び送信方法 図000003
  • 特許6883609-ユーザ装置及び送信方法 図000004
  • 特許6883609-ユーザ装置及び送信方法 図000005
  • 特許6883609-ユーザ装置及び送信方法 図000006
  • 特許6883609-ユーザ装置及び送信方法 図000007
  • 特許6883609-ユーザ装置及び送信方法 図000008
  • 特許6883609-ユーザ装置及び送信方法 図000009
  • 特許6883609-ユーザ装置及び送信方法 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6883609
(24)【登録日】2021年5月12日
(45)【発行日】2021年6月9日
(54)【発明の名称】ユーザ装置及び送信方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 16/28 20090101AFI20210531BHJP
   H04W 72/04 20090101ALI20210531BHJP
   H04B 7/0456 20170101ALI20210531BHJP
   H04B 7/06 20060101ALI20210531BHJP
   H04B 7/0426 20170101ALI20210531BHJP
   H04B 7/0413 20170101ALN20210531BHJP
【FI】
   H04W16/28 130
   H04W72/04 136
   H04B7/0456 100
   H04B7/06 984
   H04B7/0426
   !H04B7/0413 310
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-100176(P2019-100176)
(22)【出願日】2019年5月29日
(62)【分割の表示】特願2016-550082(P2016-550082)の分割
【原出願日】2015年9月2日
(65)【公開番号】特開2019-176496(P2019-176496A)
(43)【公開日】2019年10月10日
【審査請求日】2019年5月29日
(31)【優先権主張番号】特願2014-195885(P2014-195885)
(32)【優先日】2014年9月25日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100124844
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 隆治
(72)【発明者】
【氏名】柿島 佑一
(72)【発明者】
【氏名】武田 一樹
(72)【発明者】
【氏名】永田 聡
(72)【発明者】
【氏名】ワン シン
(72)【発明者】
【氏名】ナ スウネイ
(72)【発明者】
【氏名】コウ ギョウリン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ホイリン
【審査官】 阿部 圭子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/020815(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/017477(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/142585(WO,A1)
【文献】 特表2016−515350(JP,A)
【文献】 特表2012−525096(JP,A)
【文献】 CATT, CMCC, RITT,Non-codebook-based Precoding for Uplink transmission[online], 3GPP TSG-RAN WG1#56 R1-090943,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_56/Docs/R1-090943.zip>,2009年 2月 9日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 − 7/26
H04W 4/00 − 99/00
H04B 7/0426
H04B 7/0456
H04B 7/06
H04B 7/0413
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダウンリンクリファレンス信号のために用いられる1以上のプリコーディングマトリクスと同じ1以上のプリコーディングマトリクスを用いてアップリンクリファレンス信号をプリコードする制御部と、
前記プリコードされたアップリンクリファレンス信号を送信する送信部と、を備える
ユーザ装置。
【請求項2】
アップリンク共有チャネルの送信電力とは独立に前記アップリンクリファレンス信号の送信電力を決定する、
請求項1に記載のユーザ装置。
【請求項3】
固定のオフセット値でない値に基づいて前記アップリンクリファレンス信号の送信電力を決定する、
請求項1に記載のユーザ装置。
【請求項4】
前記アップリンクリファレンス信号のための無線リソースはRRCにより通知される、
請求項1に記載のユーザ装置。
【請求項5】
ダウンリンクリファレンス信号のために用いられる1以上のプリコーディングマトリクスと同じ1以上のプリコーディングマトリクスを用いてアップリンクリファレンス信号をプリコードするステップと、
前記プリコードされたアップリンクリファレンス信号を送信するステップと、を備える
送信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
LTE(Long Term Evolution)規格において、複数のアンテナポートを利用するMIMO(Multiple−Input Multiple−Output)技術が高機能化されている。典型的なMIMO通信では、ユーザ装置は、基地局から受信したダウンリンクリファレンス信号に基づきダウンリンクチャネル状態を推定し、推定したダウンリンクチャネル状態をチャネル状態情報(Channel State Information:CSI)として基地局にフィードバックする。基地局は、フィードバックされたチャネル状態情報に基づきダウンリンクのビームフォーミングを制御する。当該アプローチによると、チャネル状態情報をフィードバックするためのフィードバックチャネルが必要となり、ユーザ数やアンテナ数の増加によりフィードバックチャネルのための多くのリソースが確保される必要がある。
【0003】
このようなフィードバックチャネルのためのリソース確保の問題のため、レシプロシティベースプリコーディング(Reciprocity based precoding)が検討されている。レシプロシティベースプリコーディングは、ダウンリンクチャネル状態を測定する代わりに、基地局がアップリンクチャネル状態を測定し、測定したアップリンクチャネル状態に基づきダウンリンクのビームフォーミングを制御するというアプローチである。これは、アップリンクチャネル状態とダウンリンクチャネル状態とはある程度同じになるという仮定に基づくものであり、アップリンクチャネル状態の測定結果が、ダウンリンクチャネル状態の代用として利用されるというものである。アップリンクチャネル状態の測定は、ユーザ装置から送信されるサウンディングリファレンス信号やパイロット信号などのアップリンクリファレンス信号に基づき現在行われている。
【0004】
更なる詳細については、例えば、3GPP TS36.213 V12.2.0(2014−06)を参照されたい。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】3GPP TS36.213 V12.2.0(2014−06)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、アップリンクチャネル状態の測定結果をダウンリンクチャネル状態の代わりに利用する場合、サウンディングリファレンス信号は高頻度により送信される必要がある。各ユーザ装置がこのような高い頻度によりサウンディングリファレンス信号を送信した場合、図1に示されるように、他のセルに在圏するユーザ装置からの干渉の影響が大きくなると予想される。特に、ユーザ数やユーザアンテナ数の増加、多数のアンテナポートを用いた3D MIMOなどのMIMO技術の高機能化などにより、サウンディングリファレンス信号の送信量が増加することによって、サウンディングリファレンス信号のためのリソースを確保することが困難になると考えられる。また、ユーザ装置間のアップリンク信号の干渉も大きくなると考えられる。
【0007】
また、レシプロシティベースプリコーディングによると、基地局は、推定したアップリンクチャネル状態に基づきプリコーダ又はプリコーディングマトリックスインジケータ(PMI)を選択することは可能である。しかしながら、基地局はユーザ装置におけるチャネル品質や干渉状態を推定することはできない。
【0008】
上述した問題点に鑑み、本発明の課題は、レシプロシティベースプリコーディングによるMIMO通信を実現するための技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の一態様は、ダウンリンクリファレンス信号のために用いられる1以上のプリコーディングマトリクスと同じ1以上のプリコーディングマトリクスを用いてアップリンクリファレンス信号をプリコードする制御部と、前記プリコードされたアップリンクリファレンス信号を送信する送信部とを備えるユーザ装置に関する。
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の一態様は、ダウンリンクリファレンス信号のために用いられる1以上のプリコーディングマトリクスと同じ1以上のプリコーディングマトリクスを用いてアップリンクリファレンス信号をプリコードするステップと、前記プリコードされたアップリンクリファレンス信号を送信するステップとを備える送信方法に関する。
【0011】
本発明の他の態様は、基地局との無線通信を制御する通信制御部と、前記基地局から受信したリファレンス信号に基づき、前記基地局との間のチャネル状態を推定し、前記推定したチャネル状態を前記基地局にフィードバックするチャネル状態フィードバック部とを有し、前記通信制御部は、アップリンクサブフレームのアップリンク共有チャネルにおいて前記基地局にアップリンクリファレンス信号を送信するユーザ装置に関する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、レシプロシティベースプリコーディングによるMIMO通信を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、パイロット信号の干渉を示す概略図である。
図2図2は、本発明の一実施例による無線通信システムを示す概略図である。
図3図3は、本発明の一実施例による基地局の構成を示すブロック図である。
図4図4は、本発明の一実施例によるリファレンス信号の多重例を示す図である。
図5図5は、本発明の一実施例によるリファレンス信号の多重例を示す図である。
図6図6は、本発明の一実施例によるリファレンス信号の多重例を示す図である。
図7図7は、本発明の一実施例によるリファレンス信号の多重例を示す図である。
図8図8は、本発明の一実施例によるリファレンス信号の多重例を示す図である。
図9図9は、本発明の一実施例によるユーザ装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0015】
後述される実施例では、アップリンクチャネル状態に基づきダウンリンク信号をプリコードするレシプロシティベースプリコーディングを利用してMIMO通信を実現する基地局及びユーザ装置が開示される。以下の実施例を概略すると、基地局は、レシプロシティベースプリコーディングのアップリンクチャネル推定のためのリファレンス信号用のアップリンクサブフレームを設定し、当該アップリンクサブフレームのアップリンク共有チャネル(Physical Uplink Shared Channel:PUSCH)においてユーザ装置にアップリンクリファレンス信号を送信させる。これにより、基地局は、既存のサウンディングリファレンス信号だけでなく、アップリンク共有チャネルで送信されるアップリンクリファレンス信号も利用して、高精度なアップリンクチャネル推定を行うことが可能であり、当該推定結果を用いてダウンリンクプリコーダを決定する事が可能となる。
【0016】
また、基地局は、例えばレシプロシティにより決定したプリコーダを適用したダウンリンクリファレンス信号(例えばCSI−RSやDM−RS等)をユーザ装置に送信し、ユーザ装置におけるチャネル品質(例えば干渉状態)をフィードバック情報として取得する。これにより、レシプロシティベースプリコーディングでは推定できないユーザ装置における干渉状態を取得することが可能になり、より適切なMIMO通信を実現することが可能になる。
【0017】
まず、図2を参照して、本発明の一実施例による無線通信システムを説明する。図2は、本発明の一実施例による無線通信システムを示す概略図である。
【0018】
図2に示されるように、無線通信システム10は、基地局100及びユーザ装置200を有する。無線通信システム10は、LTEシステム又はLTE−Advanced(LTE−A)システムであるが、これに限定されることなく、MIMO通信をサポートする何れかの無線通信システムであってもよい。
【0019】
基地局100は、ユーザ装置200とのMIMO通信を実現する。基地局100は、特に3D MIMO通信をサポートし、搭載された2次元平面アンテナや3次元アンテナなどの多次元アンテナにおける複数のアンテナを介しユーザ装置200と無線接続する。具体的には、基地局100は、コアネットワーク(図示せず)上に通信接続された上位局やサーバなどのネットワーク装置から受信したダウンリンク(DL)パケットを複数のアンテナポートを介しユーザ装置200に送信すると共に、複数のアンテナポートを介しユーザ装置200から受信したアップリンク(UL)パケットをネットワーク装置に送信する。
【0020】
基地局100は、典型的には、ユーザ装置200との間で無線信号を送受信するためのMIMO用アンテナ、隣接する基地局100と通信するための通信インタフェース(X2インタフェースなど)、コアネットワークと通信するための通信インタフェース(S1インタフェースなど)、ユーザ装置200との送受信信号を処理するためのプロセッサや回路などのハードウェアリソースにより構成される。後述される基地局100の各機能及び処理は、メモリ装置に格納されているデータやプログラムをプロセッサが処理又は実行することによって実現されてもよい。しかしながら、基地局100は、上述したハードウェア構成に限定されず、他の何れか適切なハードウェア構成を有してもよい。一般には、無線通信システム10のサービスエリアをカバーするよう多数の基地局100が配置される。
【0021】
ユーザ装置200は、基地局100とのMIMO通信を実現し、基地局100の複数のアンテナポートを介し基地局100との間で各種データ信号及び制御信号などの無線信号を送受信する。適切なMIMO通信を実現するため、ユーザ装置200は、各アンテナポートとの間のチャネル状態を推定し、推定したチャネル状態をチャネル状態情報(CSI)として基地局100にフィードバックする。当該チャネル状態情報を受信すると、基地局100は、受信したチャネル状態情報に基づきMIMO通信を制御する。
【0022】
ユーザ装置200は、典型的には、スマートフォン、携帯電話、タブレット、モバイルルータ、ウェアラブル端末などの無線通信機能を備えた何れか適切な情報処理装置であってもよい。ユーザ装置200は、プロセッサなどのCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)やフラッシュメモリなどのメモリ装置、基地局100との間で無線信号を送受信するための無線通信装置などから構成される。例えば、後述されるユーザ装置200の各機能及び処理は、メモリ装置に格納されているデータやプログラムをCPUが処理又は実行することによって実現されてもよい。しかしながら、ユーザ装置200は、上述したハードウェア構成に限定されず、後述する処理の1以上を実現する回路などにより構成されてもよい。
【0023】
次に、図3〜8を参照して、本発明の一実施例による基地局を説明する。図3は、本発明の一実施例による基地局の構成を示すブロック図である。
【0024】
図3に示されるように、基地局100は、通信制御部110及びチャネル状態推定部120を有する。基地局100はMIMO通信を実現し、特にレシプロシティベースプリコーディングによる3D MIMO通信に好適である。
【0025】
通信制御部110は、ユーザ装置200とのマルチアンテナ送信を制御する。具体的には、通信制御部110は、マルチアンテナ送信において、ユーザ装置200に対して無線リソースを割り当て、割り当てた無線リソースを用いて複数のアンテナポートを介しユーザ装置200との間で無線信号を送受信する。例えば、通信制御部110は、ユーザ装置200からのアップリンク送信においては、アップリンクサブフレームの無線リソース(サブキャリアやリソースユニットなど)をユーザ装置200に割り当て、当該ユーザ装置200は、割り当てられた無線リソースを用いてアップリンク信号を送信する。また、通信制御部110は、ユーザ装置200へのダウンリンク送信においては、ダウンリンクサブフレームの無線リソース(サブキャリアやリソースユニットなど)をユーザ装置200への送信用に割り当て、割り当てた無線リソースにおいて当該ユーザ装置200にダウンリンク信号を送信する。
【0026】
チャネル状態推定部120は、ユーザ装置200からのアップリンクリファレンス信号に基づき、ユーザ装置200との間のチャネル状態を推定する。具体的には、チャネル状態推定部120は、レシプロシティベースプリコーディングを利用して、受信したアップリンクリファレンス信号に基づきアップリンクチャネル状態を推定し、推定したアップリンクチャネル状態に基づきダウンリンクビームフォーミングを制御する。
【0027】
このようなレシプロシティベースプリコーディングによる適切なMIMO通信を実現するためには、チャネル状態推定部120は、高頻度でアップリンクリファレンス信号を受信し、アップリンクチャネル状態を推定する必要がある。本実施例では、通信制御部110は、アップリンクサブフレームのアップリンク共有チャネルにおいてユーザ装置200にアップリンクリファレンス信号を送信させる。すなわち、アップリンクサブフレームの所定領域に割り当てられる既存のサウンディングリファレンス信号やアップリンク復調用リファレンス信号に加えて、通信制御部110は、アップリンクサブフレームのアップリンク共有チャネル領域においてユーザ装置200にアップリンクリファレンス信号を送信させる。
【0028】
一実施例では、通信制御部110は、時分割多重(TDM)、周波数分割多重(FDM)、符号分割多重(CDM)又は時分割多重、周波数分割多重及び符号分割多重の1つ以上の組み合わせを用いて、アップリンクサブフレームのアップリンク共有チャネルにおいてユーザ装置200にアップリンクリファレンス信号を送信させてもよい。
【0029】
例えば、図4に示されるように、通信制御部110は、所定のアップリンクサブフレームにおいて、時分割多重によりユーザ装置UE1〜UE11をアップリンク共有チャネルに割り当て、割り当てられたアップリンク共有チャネル領域においてアップリンクデータ信号の代わりにアップリンクリファレンス信号を送信させてもよい。図示されるように、アップリンクサブフレームには、所定の時間領域にサウンディングリファレンス信号(SRS)とアップリンク復調用リファレンス信号(DM−RS)が割り当てられ、その他の領域がアップリンクデータ信号を送信するためのアップリンク共有チャネルに割り当てられる。しかしながら、本実施例では、所定のアップリンクサブフレーム全体が、図示されるようにアップリンクリファレンス信号の送信用に割り当てられ、当該アップリンクサブフレームのアップリンク共有チャネル(SRS及びDM−RS以外の領域)が、ユーザ装置UE1〜UE11にアップリンクリファレンス信号を送信させるために割り当てられる。
【0030】
また、図5に示されるように、通信制御部110は、所定のアップリンクサブフレームにおいて、時分割多重と周波数分割多重との組み合わせによりユーザ装置UE1〜UE11をアップリンク共有チャネルに割り当て、割り当てられたアップリンク共有チャネル領域においてアップリンクデータ信号の代わりにアップリンクリファレンス信号を送信させてもよい。図4のスケジューリングと比較すると、各ユーザ装置UE1〜UE12は、各送信時間間隔(TTI)では周波数領域の一部のみでアップリンクリファレンス信号を送信しており、ユーザ装置200の電力制約の観点から、このようなサブバンド送信は好適であると考えられる。
【0031】
また、図6に示されるように、通信制御部110は、所定のアップリンクサブフレームにおいて、時分割多重と周波数分割多重との組み合わせによりユーザ装置UE1〜UE12をアップリンク共有チャネルに割り当て、割り当てられたアップリンク共有チャネル領域においてアップリンクデータ信号の代わりにアップリンクリファレンス信号を送信させてもよい。図5のスケジューリングと比較すると、各ユーザ装置UE1〜UE12は、各送信時間間隔では周波数領域の一部のみでアップリンクリファレンス信号を送信すると共に、時間領域全体では全ての周波数領域でアップリンクリファレンス信号を送信している。一般に、上りリンクは送信電力が不足するケースがあるが、本例では、ユーザ装置100の電力制約の影響を低減しつつ、システム帯域全体をカバーしている。従って、このようなサブバンド送信はより好適であると考えられる。
【0032】
また、図7に示されるように、通信制御部110は、所定のアップリンクサブフレームにおいて、時分割多重、周波数分割多重及び符号分割多重の組み合わせによりユーザ装置UE1〜UE12をアップリンク共有チャネルに割り当て、割り当てられたアップリンク共有チャネル領域においてアップリンクデータ信号の代わりにアップリンクリファレンス信号を送信させてもよい。図6のスケジューリングと比較すると、各ユーザ装置UE1〜UE12は、各送信時間間隔では周波数領域の一部のみでアップリンクリファレンス信号を送信すると共に、時間領域全体では全ての周波数領域でアップリンクリファレンス信号を送信している。さらに、符号分割多重によりユーザ装置の割り当て数を減らすことなく、各ユーザ装置UE1〜UE12は、複数の送信時間でアップリンクリファレンス信号を送信している。一般に、無線装置には時間誤差及び周波数誤差などのRF誤差が生じるため、このような複数の送信時間でアップリンクリファレンス信号を送信することは、このようなRF誤差の影響の推定・低減に好適であると考えられる。同様に、各ユーザ装置UE1〜UE12は、複数の周波数位置でアップリンクリファレンス信号を送信しているが、このような複数の周波数位置でアップリンクリファレンス信号を送信することは、このようなRF誤差の影響の推定・低減に好適であると考えられる。
【0033】
一実施例では、通信制御部110は、アップリンクサブフレームのアップリンク共有チャネルの全体又は一部においてユーザ装置200にアップリンクリファレンス信号を送信させてもよい。図4〜7に示された具体例では、通信制御部110は、所定のアップリンクサブフレームのアップリンク共有チャネル領域の全体においてユーザ装置200にアップリンクリファレンス信号を送信させている。他方、通信制御部110は、図8に示されるように、サウンディングリファレンス信号(SRS)とアップリンク復調用リファレンス信号(DM−RS)の領域以外のアップリンク共有チャネルの一部の領域においてユーザ装置200にアップリンクデータ信号を送信させてもよい。すなわち、アップリンク共有チャネルのその他の領域では、ユーザ装置200は、アップリンクデータ信号を送信するようにしてもよい。
【0034】
また、通信制御部110は、アップリンク共有チャネルだけでなく、サウンディングリファレンス信号やアップリンク復調用リファレンス信号の領域においてもユーザ装置200にアップリンクリファレンス信号を送信させてもよい。特に、アップリンク共有チャネルでアップリンクデータ信号が送信されない場合、アップリンク復調用リファレンス信号を送信する必要性はあまりなく、アップリンク復調用リファレンス信号領域は、アップリンクリファレンス信号の送信に割り当てられてもよい。
【0035】
また、通信制御部110は、アップリンクリファレンス信号のための無線リソースをRRC(Radio Resource Control)及び/又は(e)PDCCH(Physical Downlink Control Channel)により通知してもよい。具体的には、通信制御部110は、時間領域における位置(送信時間間隔やシンボル)、周波数領域における位置(リソースブロックやサブキャリア)、帯域幅、サイクリックシフト(CS)インデックス、タイミングオフセット、周期的な送信における周期などによって、アップリンクリファレンス信号のための無線リソースを指定してもよい。
【0036】
一実施例では、通信制御部110は、アップリンク共有チャネルにおいてユーザ装置200にアップリンクリファレンス信号を送信させるためのアップリンクサブフレームを定期的に割り当ててもよい。図4〜8を参照して上述されたアップリンクリファレンス信号の送信用の所定のアップリンクサブフレームは、定期的に設定されてもよい。例えば、通信制御部110は、当該リファレンス信号用アップリンクサブフレームを20ミリ秒毎に割り当ててもよい。
【0037】
一方で、通信制御部110は、アップリンク共有チャネルにおいてユーザ装置200にアップリンクリファレンス信号を送信させるためのアップリンクサブフレームを非定期的に割り当ててもよい。図4〜8を参照して上述されたアップリンクリファレンス信号の送信用の所定のアップリンクサブフレームは、非定期的に設定されてもよい。例えば、通信制御部110は、当該リファレンス信号送信を(e)PDCCHでトリガしても良い。
【0038】
上述した実施例では、通信制御部110は、アップリンク共有チャネルにおいてユーザ装置200にアップリンクリファレンス信号を送信させることによってアップリンクリファレンス信号の送信量を増加させた。他の実施例では、通信制御部110は、サウンディングリファレンス信号のサンプリングファクタを調整することによって、サウンディングリファレンス信号を送信させるユーザ装置200の個数を調整してもよい。具体的には、既存のサウンディングリファレンス信号は2サブキャリアに1つの周期で挿入されているが、挿入周期をより大きい値とする事が考えられる。これにより、チャネル状態推定部120は、より多くのユーザ装置200からサウンディングリファレンス信号を受信することが可能になり、多数のユーザ装置200から受信したサウンディングリファレンス信号に基づきユーザ装置200との間のアップリンクチャネル状態を推定することが可能になる。
【0039】
更に、サウンディングリファレンス信号は、非周期的(Aperiodic)又は周期的(Periodic)であってもよい。また、サウンディングリファレンス信号を複数のストリームでなく、プリコーディングして1ストリームで送信させるため、通信制御部110は、ユーザ装置200にサウンディングリファレンス信号のためのPMIを通知してもよい。一方、ユーザ装置200が自律的にサウンディングリファレンス信号のためのPMIを選択し、これを基地局100に通知するようにしてもよい。また、サウンディングリファレンス信号のためのPMIは、アップリンク共有チャネルに適用されるものと同じであってもよい。
【0040】
また、サウンディングリファレンス信号の精度を向上させるため、通信制御部110は、サウンディングリファレンス信号の送信電力をユーザ装置200に通知してもよい。現状のLTE規格では、サウンディングリファレンス信号の送信電力は、アップリンクデータチャネルに適用される送信電力からオフセットされた値(PSRS_OFFSET,c(m))に設定されている。レシプロシティベースプリコーディングによるチャネル推定精度を向上させるため、サウンディングリファレンス信号はより高い電力で送信されることが所望される。このため、通信制御部110は、サウンディングリファレンス信号の送信電力を個別に設定してもよい。更に、当該オフセット値は上りリンクのリンク適応制御の為にPUSCHに対して固定のオフセット値を与えているが、レシプロシティの観点では必ずしもオフセットとして規定する必要は無い。更に、基地局が予期しないうちに電力が変わることは望ましくない為、例えば、PUSCHの送信電力制御とは独立に送信電力を規定する事が望ましい。これら送信電力の議論はサウンディング参照信号だけではなく、それ以外の上り参照信号についても適用が可能である。
【0041】
また、通信制御部110は、ダウンリンクチャネル状態を測定するためのダウンリンクリファレンス信号(CSI−RS)をプリコードして送信してもよい。また、通信制御部110は、プリコードされたダウンリンクリファレンス信号のランクを通知してもよい。通信制御部110は、ユーザ間干渉を推定するため、ダウンリンクリファレンス信号を空間多重してもよい。また、通信制御部110は、ダウンリンクリファレンス信号を既存のリファレンス信号領域において送信してもよいし、あるいは、データ領域において送信してもよい。また、サウンディングリファレンス信号とダウンリンクリファレンス信号とは、同一のコードブックによりプリコードされてもよい。
【0042】
次に、図9を参照して、本発明の一実施例によるユーザ装置を説明する。図9は、本発明の一実施例によるユーザ装置の構成を示すブロック図である。
【0043】
図9に示されるように、ユーザ装置200は、通信制御部210及びチャネル状態フィードバック部220を有する。ユーザ装置200はMIMO通信を実現し、特にレシプロシティベースプリコーディングによる3D MIMO通信に好適である。
【0044】
通信制御部210は、基地局100との無線通信を制御する。具体的には、ダウンリンク通信では、通信制御部210は、基地局100の複数のアンテナポートから水平方向や垂直方向などにプリコードされたビームによって送信されたダウンリンク無線信号を受信し、当該ビーム制御に利用されたコードブックを用いて、受信した無線信号を復調する。また、アップリンク通信では、通信制御部110は、当該コードブックを利用して基地局100にアップリンク無線信号を送信する。
【0045】
チャネル状態フィードバック部220は、基地局100から受信したリファレンス信号に基づき、基地局100との間のチャネル状態を推定し、推定したチャネル状態を基地局100にフィードバックする。上述したように、レシプロシティベースプリコーディングによると、基地局100は、推定したアップリンクチャネル状態に基づきコードブック又はプリコーディングマトリックスインジケータ(PMI)を選択することは可能であるが、ユーザ装置200における干渉状態、すなわち、CQIは推定することはできない。このため、適切なMIMO通信を実現するため、チャネル状態フィードバック部220は、基地局から送信されたリファレンス信号に基づきチャネル品質インジケータ(CQI)を推定し、推定したCQIを基地局100にフィードバックしてもよい。すなわち、基地局100は、CQIやランクインジケータ(RI)をフィードバック情報としてユーザ装置200から受信し、ユーザ装置200における干渉状態を把握することができる。
【0046】
本実施例では、通信制御部210は、アップリンクサブフレームのアップリンク共有チャネルにおいて基地局100にアップリンクリファレンス信号を送信する。レシプロシティベースプリコーディングによる適切なMIMO通信を実現するためには、基地局100は、高頻度でアップリンクリファレンス信号を受信し、アップリンクチャネル状態を推定する必要がある。このため、本実施例では、通信制御部210は、アップリンクサブフレームの所定領域に割り当てられる既存のサウンディングリファレンス信号やアップリンク復調用リファレンス信号に加えて、アップリンクサブフレームのアップリンク共有チャネル領域において基地局100にアップリンクリファレンス信号を送信する。例えば、通信制御部210は、基地局100により定期的に割り当てられる所定のリファレンス信号用アップリンクサブフレームのアップリンク共有チャネルにおいてアップリンクリファレンス信号を送信してもよい。
【0047】
一実施例では、チャネル状態フィードバック部220は、プリコードされたCSI−RS又はプリコードされたダウンリンクDM−RSに基づき、基地局100との間のチャネル状態を推定してもよい。従来のMIMO通信では、ユーザ装置200は、基地局100からプリコードされていないCSI−RSを受信し、受信したCSI−RSに基づき適切なコードブックを選択し、選択したコードブックのPMIと共にCQIやRIをチャネル状態情報(CSI)として基地局100にフィードバックする。一方、レシプロシティベースプリコーディングでは、基地局100がアップリンクチャネル状態に基づきコードブック又はPMIを選択し、選択したコードブックによりビーム制御された無線信号をユーザ装置200に送信する。すなわち、ユーザ装置200は、基地局100により選択されたコードブックによりプリコードされたダウンリンクリファレンス信号を基地局100から受信する。
【0048】
なお、レシプロシティベースプリコーディングによると、基地局100は、推定したアップリンクチャネル状態に基づきコードブック又はPMIを選択する。何れのコードブックが選択されたかユーザ装置200は知ることなく、基地局100は、選択したコードブックによりビーム制御された無線信号をユーザ装置200に送信することになる。一般に、ユーザ装置200において測定されるCQIは、ダウンリンクリファレンス信号のビーム制御状態に応じて変化する。このため、ユーザ装置200は、受信したダウンリンクリファレンス信号に何れのコードブックが適用されているか把握していることが好適である。このため、チャネル状態フィードバック部220は、受信したプリコードされたダウンリンクリファレンス信号に適用されているコードブックのPMIを基地局100から取得してもよい。あるいは、ダウンリンクリファレンス信号に適用されるコードブックは、ユーザ装置200により自律的に選択されてもよい。
【0049】
また、ダウンリンクDM−RSに基づき推定されたチャネル状態情報を基地局100にフィードバックする場合、チャネル状態フィードバック部220は、ダウンリンクデータ信号の受信成否を示すACK/NACKと共に、当該チャネル状態情報を基地局100に送信してもよい。
【0050】
一実施例では、通信制御部210は、ユーザ装置200のアンテナの一部を用いて基地局100にサウンディングリファレンス信号を送信してもよい。ここで、基地局100から受信されるリファレンス信号は、基地局100により受信されたサウンディングリファレンス信号に基づきプリコードされてもよい。サウンディングリファレンス信号は、ユーザ装置200のアンテナ全体を用いて送信される必要はなく、オーバヘッドを低減するため、1つのアンテナなど一部のアンテナのみから送信されてもよい。AoD(Angular of Departure)、AoA(Aungular of Arrival)、ZoD(Zenith angle of Departure)、ZoA(Zenith angle of Arrival)などのチャネル特性を推定するには、1つのアンテナのみでしばしば十分である。サウンディングリファレンス信号を送信するアンテナの本数は、基地局100により指定されてもよい。また、複数のアンテナからサウンディングリファレンス信号を送信する場合、各アンテナのゲイン差を補うようにしてもよい。例えば、相対的に低ゲインのアンテナの送信電力が引き上げられてもよい。
【0051】
また、通信制御部210は、プリコードされたサウンディングリファレンス信号を基地局100に送信してもよい。プリコードされたサウンディングリファレンス信号は、プリコードされていないサウンディングリファレンス信号よりも高い受信電力で基地局100により受信され、また、他のユーザ装置200からの干渉の影響も低減されると考えられる。
【0052】
上述した基地局100とユーザ装置200とによると、ユーザ装置200はまず、基地局100により割り当てられた無線リソースにおいてサウンディングリファレンス信号を送信する。基地局100は、受信したサウンディングリファレンス信号に基づき最適なダウンリンクプリコーダ又はコードブックを選択し、選択したダウンリンクプリコーダによりプリコードされたダウンリンクリファレンス信号をユーザ装置200に送信する。ユーザ装置200は、受信したプリコードされたダウンリンクリファレンス信号に基づきCQIをフィードバックする。これにより、基地局100は、レシプロシティベースプリコーディングでは推定できないユーザ装置200における干渉(セル間干渉やユーザ間干渉など)を把握することが可能になる。
【0053】
(第1項)
ダウンリンクリファレンス信号に基づいてアップリンクリファレンス信号をプリコードする制御部と、
前記プリコードされたアップリンクリファレンス信号を送信する送信部と、を備える
ユーザ装置。
(第2項)
アップリンク共有チャネルの送信電力とは独立に前記アップリンクリファレンス信号の送信電力を決定する、
第1項に記載のユーザ装置。
(第3項)
固定のオフセット値でない値に基づいて前記アップリンクリファレンス信号の送信電力を決定する、
第1項に記載のユーザ装置。
(第4項)
前記アップリンクリファレンス信号のための無線リソースはRRCにより通知される、
第1項に記載のユーザ装置。
(第5項)
ダウンリンクリファレンス信号に基づいてアップリンクリファレンス信号をプリコードするステップと、
前記プリコードされたアップリンクリファレンス信号を送信するステップと、を備える
送信方法。
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は上述した特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0054】
10 無線通信システム
100 基地局
200 ユーザ装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9