(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
後述する明細書及び図面の記載から、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0011】
ユーザが保有する未決済の債権を譲渡するための債権譲渡サーバであって、前記ユーザの前記未決済の債権のうち、前記ユーザが譲渡することを決定した譲渡決定債権について、譲渡成立の要求を受信する受信部と、受信した前記譲渡成立の要求に基づいて、前記譲渡決定債権に係る譲渡損と、前記譲渡決定債権に係る未収入金とを計算する計算部と、前記譲渡損及び前記未収入金の情報を前記債権譲渡サーバの外部に送信する送信部とを有することを特徴とする債権譲渡サーバが明らかとなる。このような債権譲渡サーバによれば、未決済の売掛債権の譲渡に関する手続きを容易にすることができる。
【0012】
前記ユーザが利用する外部の会計システムから、前記ユーザの前記未決済の債権の情報を取得する取得部と、前記未決済の債権のうち、譲渡不可債権の情報を抽出する抽出部と、前記譲渡不可債権以外の譲渡可能債権の情報を一覧化して前記ユーザの端末に表示する一覧化部とを有することが望ましい。これにより、未決済の売掛債権の譲渡に関する手続きを容易にすることができる。
【0013】
前記送信部は、前記会計システムに前記譲渡損及び前記未収入金の情報を送信することが望ましい。これにより、未決済の売掛債権の譲渡に関する手続きを容易にすることができる。
【0014】
前記抽出部は、前記未決済の債権の支払期日が、前記譲渡可能債権の情報の一覧化が要求される日以降である前記未決済の債権を、前記譲渡不可債権として抽出することが望ましい。これにより、支払期日が未だ到来していない未決済の債権を譲渡可能債権から除外することができる。
【0015】
前記抽出部は、前記未決済の債権の発生日が、前記譲渡可能債権の情報の一覧化が要求される日よりも前の所定の期間内である前記未決済の債権を、前記譲渡不可債権として抽出することが望ましい。これにより、回収がほぼ不可能である未決済の債権を譲渡可能債権から除外することができる。
【0016】
前記抽出部は、前記債権の決済残額が所定の範囲内である前記未決済の債権を前記譲渡不可債権として抽出することが望ましい。これにより、取り扱い不可能である未決済の債権をあらかじめ譲渡可能債権から除外することができる。
【0017】
ユーザが保有する未決済の債権を譲渡するための債権譲渡システムであって、債権譲渡サーバと、前記ユーザが利用する会計システムとを有し、前記債権譲渡サーバが前記ユーザの前記未決済の債権のうち、前記ユーザが譲渡することを決定した譲渡決定債権について、譲渡成立の要求を受信する受信部と、受信した前記譲渡成立の要求に基づいて、前記譲渡決定債権に係る譲渡損と、前記譲渡決定債権に係る未収入金とを計算する計算部と、前記譲渡損及び前記未収入金の情報を前記会計システムに送信する送信部とを有することを特徴とする債権譲渡システムが明らかとなる。このような債権譲渡システムによれば、未決済の売掛債権の譲渡に関する手続きを容易にすることができる。
【0018】
ユーザの未決済の債権のうち、前記ユーザが譲渡することを決定した譲渡決定債権について、譲渡成立の要求を受信すること、受信した前記譲渡成立の要求に基づいて、前記譲渡決定債権に係る譲渡損と、前記譲渡決定債権に係る未収入金とを計算すること、前記譲渡損及び前記未収入金の情報を前記債権譲渡サーバの外部に送信することを特徴とする債権譲渡方法が明らかとなる。このような債権譲渡方法によれば、未決済の売掛債権の譲渡に関する手続きを容易にすることができる。
【0019】
===本実施形態===
<債権譲渡について>
未決済(未回収)の売掛債権のうち、支払期日が過ぎるなどして回収が困難になった売掛債権は、不良債権と呼ばれることがある。不良債権は、個人又は企業の財務状況を圧迫するため、不良債権をオフバランス化することは、当該個人又は当該企業の課題である。本実施形態の債権譲渡システムは、このような不良債権を第三者へ譲渡し、オフバランス化する処理に関する。
【0020】
不良債権を第三者へ譲渡し、オフバランス化するにあたって、譲渡を希望する者(個人又は企業)は、自身の未回収の売掛債権のうち、どの売掛債権が譲渡可能な売掛債権(後述する「譲渡可能債権」)であるかを把握する手続きが必要である。また、不良債権を第三者へ譲渡する際、譲渡に係る会計処理(手続き)が必要となる。本実施形態の債権譲渡システムは、不良債権を第三者へ譲渡し、オフバランス化するにあたってのこれらの手続きを容易にすることを実現する。
【0021】
本明細書において、売掛債権を、単に「債権」と呼ぶことがある。また、本明細書において、「譲渡不可債権」とは、本実施形態の債権譲渡システムでの譲渡が不可となる債権である。具体的には、本実施形態の債権譲渡システムを利用する際の債権譲渡に係る規約等において譲渡不可とされる債権である。また、本明細書において、「譲渡可能債権」とは、譲渡不可債権以外の債権である。言い換えれば、本実施形態の債権譲渡システムで譲渡が可能な債権である。また、本明細書において、「譲渡決定債権」とは、譲渡可能債権のうち、譲渡されることが決定された債権である。
<債権譲渡システム10の全体構成>
図1は、本実施形態の債権譲渡システム10を含む機能ブロックを示す図である。
【0022】
債権譲渡システム10は、ユーザが保有する未決済の債権を譲渡するためのシステムである。債権譲渡システム10は、債権譲渡サーバ5と、記録部30と、会計システム100とを有する。なお、
図1では、債権譲渡システム10を利用するユーザのユーザ端末1も図示している。
【0023】
債権譲渡サーバ5は、ユーザが保有する未決済の債権を譲渡するためのクライアントアプリケーションを提供するサーバである。債権譲渡サーバ5は、インターネットなどの適宜なネットワークを通じてユーザ端末1及び会計システム100と通信可能に接続されている。
【0024】
債権譲渡サーバ5は、取得部11と、抽出部12と、一覧化部13と、処理部20とを有する。
【0025】
取得部11は、ユーザが利用する会計システム100から、ユーザの未決済の債権の情報を受信(取得)する部位である。
【0026】
抽出部12は、取得部11が取得したユーザの未決済の債権の情報のうち、譲渡不可債権の情報を抽出する部位である。
【0027】
一覧化部13は、抽出部12が抽出した譲渡不可債権の情報を元に生成される譲渡可能債権の情報を一覧化してユーザ端末1に送信(表示)する部位である。
【0028】
処理部20は、ユーザの譲渡成立の要求に基づいて、譲渡成立に係る手続きを行う部位である。処理部20は、受信部21と、計算部22と、送信部23とを有する。受信部21は、ユーザが譲渡することを決定した譲渡決定債権について、譲渡成立の要求を受信する部位である。計算部22は、受信した譲渡成立の要求に基づいて、譲渡決定債権に係る譲渡損と、譲渡決定債権に係る未収入金とを計算する部位である。送信部23は、譲渡損及び未収入金の情報を債権譲渡サーバ5の外部(記録部30、ユーザ端末1及び会計システム100)に送信する部位である。
【0029】
債権譲渡サーバ5は、例えばコンピュータであり、前述の各部位(取得部11、抽出部12、一覧化部13及び処理部20)は、CPU、メモリ、記憶装置、通信装置などで構成されている。CPUは、記憶装置に記憶されているプログラムをメモリに読み出して実行することにより、後述する各種の処理を実行する。記憶装置には、プログラムや各種のデータが記憶されている。通信装置は、ユーザ端末1や会計システム100に接続するために、ネットワークインターフェイスなど適宜な通信装置で構成される。なお、債権譲渡サーバ5には、ディスプレイ(表示装置)やキーボード(入力装置)などが接続された管理者端末(不図示)が通信可能に接続されても良い。
【0030】
記録部30は、譲渡決定債権に係る情報を記録する部位である。記録部30は、譲渡決定債権に係る情報以外の情報も記録することができる。なお、記録部30は、債権譲渡サーバ5と通信可能に接続されたDB(データベース)である。また、債権譲渡サーバ5の内部に記録装置が設けられることにより、記録部30が設けられなくても良い。
【0031】
会計システム100は、ユーザの会計を記録・管理・処理するシステムである。会計システム100は、ユーザの会計に係る帳簿類の出力・管理や税務申告のための機能などを持つ。会計システムは、例えば、freee(登録商標)や、弥生(登録商標)等である。会計システム100は、インターネットなどの適宜なネットワークを通じて前述したユーザ端末1及び債権譲渡サーバ5と通信可能に接続されている。
【0032】
会計システム100は、債権譲渡サーバ5にAPI(Application Programming Interface)を提供するサーバ装置(不図示)を有する。APIは、あるソフトウェアの機能やデータを、他のソフトウェアから呼び出して利用するための規約である。会計システム100のAPIを利用することにより、会計システム100がもつ機能やデータを、ネットワーク経由で呼び出すことができる。APIを利用してネットワーク経由で機能やデータを呼び出す機能を、API連携と呼ぶことがある。債権譲渡サーバ5は、会計システム100とAPI連携するための指令コードを作成し、その指令コードを会計システム100に送信する。債権譲渡サーバ5から指令コードを受信した会計システム100は、指令コードに沿ってAPI連携することで機能やデータを呼び出すことになる。
【0033】
ユーザ端末1は、ユーザ(エンドユーザ)が本実施形態の債権譲渡サーバ5のクライアントアプリケーションを利用するための端末である。また、ユーザ端末1は、ユーザ(エンドユーザ)が会計システム100のクライアントアプリケーションを利用するための端末でもある。ユーザ端末1は、インターネットなどの適宜なネットワークを通じて債権譲渡サーバ5及び会計システム100と通信可能に接続されている。なお、
図1では、ユーザ端末1が1つ配置された構成となっているが、ユーザ端末1が複数配置され、それぞれのユーザ端末1が債権譲渡サーバ5及び会計システム100と通信可能に接続された構成であっても良い。ユーザ端末1は、例えばスマートフォンのような通信デバイスや、インターネットに接続されたパーソナルコンピュータで構成される。
【0034】
ユーザ端末1は、通信部2と、表示部3と、入力部4とを有する。通信部2は、債権譲渡サーバ5や会計システム100へのユーザによる入力操作を送信し、債権譲渡サーバ5や会計システム100からクライアントアプリケーションの画面を受信する部位である。表示部3は、債権譲渡サーバ5や会計システム100のクライアントアプリケーションの画面を表示する部位である。入力部4は、ユーザが入力操作を行う部位である。
【0035】
<債権譲渡方法>
図2は、本実施形態の債権譲渡方法のシーケンスを示す図である。
【0036】
以下で説明する債権譲渡方法に対応する各種の処理は、債権譲渡システム10における債権譲渡サーバ5が実行するプログラムによって実現される。そして、このプログラムは、以下に説明される各種の処理を行うための指令コードから構成されている。以下では、ユーザが保有する未決済の債権を譲渡するための処理のシーケンスについて説明する。
【0037】
まず、ユーザは、債権譲渡システム10を利用するための初期処理を行う(S001)。初期処理として、ユーザは、債権譲渡サーバ5が提供するクライアントアプリケーションを利用するためのID(アカウント名)、パスワード、氏名等のアカウント情報をユーザ端末1から債権譲渡サーバ5に登録する。ID・パスワード等を使用して債権譲渡サーバ5が提供するクライアントアプリケーションにログインすることで、債権譲渡システム10の利用を容易に開始することができる。
【0038】
また、初期処理として、債権の譲渡人となる事業所の情報登録も行う。ここで、事業所とは、法人である場合と、個人事業主である場合との両方を含む。事業所の情報登録では、ユーザは、事業所の法人番号、法人の商号、代表者、所在地、電話番号やメールアドレス等の連絡先を登録する。なお、事業所が個人事業主である場合、法人番号、法人の商号に代えて屋号を登録することになる。
【0039】
本実施形態の債権譲渡システム10では、1つのアカウントに対して複数の事業所を登録することができる。これにより、ユーザは、複数の事業所の債権譲渡を統合的に管理することができる。例えば、ユーザがある法人の経理責任者である場合に、当該法人の子会社等の債権譲渡も、当該ユーザのアカウントで譲渡することが可能となる。なお、初期処理(S001)は、初回利用時に行うことで、次回にログインする際には不要となる。
【0040】
本実施形態の債権譲渡システム10では、前述の事業所の情報登録が完了した際に、債権譲渡サーバ5がAPI連携により、「売上債権譲渡損」の勘定科目を会計システム100に作成する(S002)。これにより、債権の譲渡に係る譲渡損の仕訳(後述)を登録することが可能となる。事業所の情報登録が完了することで、本実施形態の債権譲渡システム10を利用して当該事業所の債権を譲渡する準備が整う。
【0041】
次に、ユーザは、自身が保有する債権のうち、どの債権が譲渡可能債権であるかを把握するために、譲渡可能債権の情報の一覧化を債権譲渡サーバ5に対して要求する(S003)。つまり、ユーザ端末1が、譲渡可能債権の情報の一覧化を要求する指令コードを、債権譲渡サーバ5に送信する。そして、譲渡可能債権の情報の一覧化の要求を受信した債権譲渡サーバ5は、会計システム100に対して、ユーザの未決済の債権に係る情報の取得を要求する(S004)。つまり、債権譲渡サーバ5は、ユーザが保有する未決済の債権を抽出するAPIを利用するための指令コードを作成し、その指令コードを会計システム100に送信する(S004)。
【0042】
ユーザ端末1から譲渡可能債権の情報の一覧化の要求を受信することと、ユーザの未決済の債権に係る情報の取得を会計システム100に要求することとは、債権譲渡サーバ5の取得部11が行っても良いし、取得部11以外の不図示の部位が行っても良い。
【0043】
次に、ユーザの未決済の債権に係る情報の取得の要求を受信した会計システム100は、ユーザの未決済の債権の情報を債権譲渡サーバ5の取得部11に送信する(S005)。
【0044】
図3は、取得部11が取得したユーザの未決済の債権の一覧を示す図である。
図3に示すように、本実施形態では、ユーザの未決済の債権の情報とは、ユーザの未決済の債権に係るデータのうち、発生日、支払期日、勘定科目、金額、品目、合計金額、決済残額及び債務者等を項目に含むテーブル形式のデータである。なお、テーブルのこれらの項目は、後述する
図5に示す譲渡可能債権のテーブルの項目と同じである。但し、譲渡可能債権のテーブルの項目とは別の項目が追加で送信されても良い。また、ユーザの未決済の債権の情報は、テーブル以外のデータ形式であっても良い。なお、ユーザの未決済の債権に係るデータのうち、項目の情報に抜けがある可能性がある。例えば、支払期日や、品目が入力されていないデータが存在する可能性がある。例えば、
図3に示す一覧では、NO.1の債権について品目が入力されていない。また、NO.9〜11、13及び14の債権について支払期日が入力されていない。
【0045】
次に、債権譲渡サーバ5の抽出部12は、取得したユーザの未決済の債権に係るデータから、譲渡不可債権に係るデータを抽出する(S006)。
図3に示すような取得部11で取得したユーザの未決済の債権に係るデータには、譲渡不可債権に係るデータが含まれている。つまり、前述の取得部11で取得したユーザの未決済の債権に係るデータには、本実施形態の債権譲渡システム10で譲渡ができない債権に係るデータも含まれている。このため、まず、抽出部12は、以下の抽出条件(抽出条件1〜抽出条件3)で譲渡不可債権に係るデータを抽出する。
【0046】
・抽出条件1
本実施形態では、抽出部12は、取得部11で取得したユーザの未決済の債権に係るデータのうち、支払期日が、譲渡可能債権の情報の一覧化が要求される日以降である未決済の債権に係るデータを、譲渡不可債権に係るデータとして抽出する。ここで、譲渡可能債権の情報の一覧化が要求される日とは、ユーザが譲渡可能債権の情報の一覧化を債権譲渡サーバ5に対して要求する日であり、債権譲渡サーバ5がユーザ端末1から譲渡可能債権の情報の一覧化を要求する指令コードを受信した日である。言い換えれば、譲渡可能債権の情報の一覧化が要求される日とは、ユーザの操作日である。すなわち、抽出部12は、ユーザの未決済の債権に係るデータのうち、支払期日が未だ到来していない債権に係るデータを譲渡不可債権に係るデータとして抽出する。これにより、支払期日が未だ到来していない未決済の債権を譲渡可能債権から除外することができる。
【0047】
抽出条件1の例示のために、仮にユーザの操作日を2019年8月31日とする。このとき、
図3に示す一覧では、NO.4の債権の支払期日が2019年12月31日である。また、NO.5の債権の支払期日が2020年1月31日である。したがって、これらの債権については支払期日が未だ到来していないため、抽出条件1で抽出される譲渡不可債権となる。
【0048】
・抽出条件2
図4は、債権の発生日を基準とした場合の譲渡不可債権の抽出条件を示す説明図である。
【0049】
ところで、前述したように、取得部11で取得したユーザの未決済の債権に係るデータのうち、支払期日が入力されていない場合がある。そのような場合、抽出部12は、債権の発生日が、譲渡可能債権の情報の一覧化が要求される日よりも前の所定の期間内である未決済の債権に係るデータを、譲渡不可債権に係るデータとして抽出する。本実施形態において、所定の期間とは、例えば、
図4の「譲渡不可債権(期間1)」に示す、債権の発生日が450日前以前の期間である。これにより、回収がほぼ不可能である未決済の債権を譲渡可能債権から除外することができる。また、450日前以前の期間に加えて、
図4の「譲渡不可債権(期間2)」に示す、債権の発生日が90日前以降の期間も所定の期間に含まれる。これにより、支払期日が未だ到来していない債権である可能性が高い未決済の債権を譲渡可能債権から除外することができる。また、所定の期間は、これ以外の期間であっても良い。なお、ユーザの未決済の債権に係るデータの全てに支払期日が入力されている場合は、抽出条件2は適用されない。
【0050】
抽出条件2の例示のために、前述の抽出条件1と同様に、仮にユーザの操作日を2019年8月31日とする。このとき、
図3に示す一覧では、前述したように、NO.9〜11、13及び14の債権について支払期日が入力されていない。そして、このうち、NO.13の債権の発生日が2010年2月12日である。また、NO.14の債権の発生日が2020年8月10日である。したがって、これらの債権については発生日が所定の期間内であるため、抽出条件2で抽出される譲渡不可債権となる。
【0051】
・抽出条件3
また、抽出部12は、取得部11で取得したユーザの未決済の債権に係るデータのうち、債権の決済残額が所定の範囲内である未決済の債権に係るデータを譲渡不可債権に係るデータとして抽出する。決済残額が所定の範囲内とは、例えば、債権の決済残額が1000円未満の範囲である。これにより、本実施形態の債権譲渡システムによるサービスの提供者が任意に設定した取り扱い不可能である未決済の債権をあらかじめ譲渡可能債権から除外することができる。なお、抽出条件3は適用されなくても良い。
【0052】
抽出条件2の例示をすると、
図3に示す一覧では、NO.11及び12の債権の決済残額がいずれも500円である。これらの債権については決済残額が所定の範囲内(1000円未満)であるため、抽出条件3で抽出される譲渡不可債権となる。
【0053】
図5は、ユーザ端末1に表示される譲渡可能債権の一覧の画面の例を示す図である。
【0054】
次に、債権譲渡サーバ5の一覧化部13は、取得部11で取得したユーザの未決済の債権に係るデータのうち、抽出部12で抽出した譲渡不可債権に係るデータを非表示とすることによって譲渡可能債権の一覧化をする(
図2のS007)。そして、これらの譲渡可能債権の一覧をユーザ端末1に表示する(
図2のS008)。つまり、抽出条件1で抽出される譲渡不可債権であるNO.4及び5の債権や、抽出条件2で抽出される譲渡不可債権であるNO.13及び14の債権や、抽出条件3で抽出される譲渡不可債権であるNO.11及び12の債権は、
図5の画面では非表示となっている。これにより、ユーザは自身の未回収の売掛債権のうち、どの債権が譲渡可能な債権(譲渡可能債権)であるかを容易に把握することができる。
【0055】
図5に示す譲渡可能債権の一覧の画面では、「譲渡する」の項目のように、ユーザは、譲渡可能債権の一覧の中から、譲渡を希望する債権を選択することができる。つまり、譲渡可能債権の一覧には、「譲渡する」の項目の欄にチェックボックスが表示されている。ユーザは、譲渡可能債権のうち、譲渡を希望する債権に係るチェックボックスにチェックし(
図2のS009)、その情報を債権譲渡サーバ5に送信する(
図2のS010)。ここで、ユーザが譲渡を希望する債権に係るチェックボックスにチェックした債権が、譲渡決定債権となる。
【0056】
図6は、譲渡成立を要求する際の画面の例を示す図である。
【0057】
図6に示すように、債権譲渡サーバ5は、買取額を含む譲渡決定債権の情報をユーザ端末1に表示する(
図2のS011)。ここで、買取額は、譲渡決定債権の債権額(決済残額)の所定の割合が自動的に計算される。例えば、所定の割合は、0.5%である。但し、所定の割合は、0.5%以外であっても良い。
【0058】
ユーザは、
図6に示す画面において、「上記内容で譲渡を確定する」のボタンを押下することにより、譲渡成立の要求を債権譲渡サーバ5に送信する(
図2のS012)。すなわち、
図6に示す画面は、譲渡決定債権について、譲渡成立を要求する際の最終確認を行う画面である。
【0059】
譲渡決定債権についての譲渡成立の要求は、債権譲渡サーバ5の受信部21が受信する(S012)。そして、債権譲渡サーバ5の計算部22は、譲渡決定債権ごとに、譲渡損及び未収入金を計算する(S013)。
【0060】
前述したように、不良債権を第三者へ譲渡する際、譲渡に係る会計処理が必要となるが、本実施形態では、これらの会計処理を、ユーザ端末1からの譲渡成立の要求(S012)に基づいて行う。譲渡損は、「売上債権譲渡損」とも言い、債権譲渡に係る損金として差し引く勘定科目である。前述した買取額の基準となる所定の割合が0.5%の場合、譲渡決定債権の債権額(決済残額)の95.5%が譲渡損として計算される。また、未収入金は、前述した買取額分の代金を後から受け取るために使用される勘定科目である。ユーザからの譲渡成立の要求に基づいて前述の会計処理に係る計算を行うため、計算部22の計算時には、買取額を未収入金として計上することになる。
【0061】
次に、債権譲渡サーバ5の計算部22で計算した譲渡損及び未収入金の情報を、債権譲渡サーバ5の送信部23が会計システム100へ送信する(S014)。
【0062】
図7Aは、譲渡損及び未収入金の情報が反映される前の会計システム100における仕訳の画面である。
図7Bは、譲渡損及び未収入金の情報が反映された後の会計システム100における仕訳の画面である。
図7Aに示す会計システム100の仕訳の画面では、売掛債権(売掛金)が計上されている。前述した譲渡損及び未収入金の情報を、会計システム100へ送信することにより、
図7Bに示すように、譲渡損(売上債権譲渡損)及び未収入金が計上されることになる。本実施形態の債権譲渡システム10では、これらの譲渡に係る会計処理をユーザ端末1からの譲渡成立の要求に基づいて自動的に行うため、容易に処理をすることができる。
【0063】
また、送信部23は、譲渡決定債権の情報をデータベースに記録する(
図2のS015)。さらに、譲渡成立のメッセージをユーザ端末1に表示する(
図2のS016)。これにより、本実施形態の債権譲渡サーバ5による債権譲渡の手続きが完了する。
【0064】
<債権譲渡システム10を利用したサービスについて>
図8は、本実施形態の債権譲渡システム10を利用したサービスの全体説明図である。
【0065】
本実施形態の債権譲渡システム10を利用したサービスでは、ユーザは、自身が保有する未決済の債権を、SPC(特別目的会社)に譲渡する。SPCへの譲渡手続きについては、ユーザは、前述したように、債権譲渡システム10を利用することで、譲渡可能債権の情報の一覧を容易に把握することができる。また、ユーザは、前述したように、債権譲渡システム10を利用することで、譲渡に係る会計処理を容易に完了することができる。また、
図8に示すように、SPCの委託を受けた弁護士法人が債務者への回収を行う。前述したように、ユーザのSPCへの債権譲渡に関しては、本実施形態の債権譲渡システム10を利用することで、譲渡可能債権の把握や、譲渡に係る会計処理等の譲渡に関する手続きを容易に行うことができる。本サービスでは、債権を譲渡した後の譲渡代金の支払いに関する手続きや、ユーザと弁護士法人との譲渡に関するやり取りも、本実施形態の債権譲渡システム10を利用することができる。すなわち、未決済の債権を譲渡する手続きが、全てオンラインで完結する仕組みとなっている。これにより、未決済の売掛債権の譲渡に関する手続きを容易にすることが可能となる。
【0066】
===その他===
前述の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更・改良され得ると共に、本発明には、その等価物が含まれることは言うまでもない。