特許第6883634号(P6883634)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6883634
(24)【登録日】2021年5月12日
(45)【発行日】2021年6月9日
(54)【発明の名称】車載アンテナ装置
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/32 20060101AFI20210531BHJP
   H01Q 1/52 20060101ALI20210531BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20210531BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20210531BHJP
   G03B 17/56 20210101ALI20210531BHJP
   G03B 17/02 20210101ALI20210531BHJP
   G03B 17/08 20210101ALI20210531BHJP
   H01Q 1/22 20060101ALI20210531BHJP
   H05K 9/00 20060101ALI20210531BHJP
【FI】
   H01Q1/32 Z
   H01Q1/52
   B60R11/02 A
   G03B15/00 V
   G03B17/56 A
   G03B17/02
   G03B17/08
   H01Q1/22 B
   H05K9/00 C
【請求項の数】8
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2019-182443(P2019-182443)
(22)【出願日】2019年10月2日
(62)【分割の表示】特願2017-540454(P2017-540454)の分割
【原出願日】2015年12月18日
(65)【公開番号】特開2020-78059(P2020-78059A)
(43)【公開日】2020年5月21日
【審査請求日】2019年10月31日
(31)【優先権主張番号】62/218,261
(32)【優先日】2015年9月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000006758
【氏名又は名称】株式会社ヨコオ
(74)【代理人】
【識別番号】100079290
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100136375
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 弘実
(72)【発明者】
【氏名】水野 浩年
(72)【発明者】
【氏名】後藤 正幸
(72)【発明者】
【氏名】横田 勇介
【審査官】 鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−299511(JP,A)
【文献】 特開2008−168715(JP,A)
【文献】 特開2009−113784(JP,A)
【文献】 特開2015−154104(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/038271(WO,A1)
【文献】 韓国登録特許第10−1155607(KR,B1)
【文献】 特開平11−327016(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/00−25/04
B60R 9/00−11/06
G03B 15/00−15/035
G03B 15/06−15/16
G03B 17/02−17/17
G03B 17/22
G03B 17/56−17/58
H05K 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の外装に取付けられるケースと、
前記ケース内に配置される少なくとも1つのアンテナと、
前記車体の周囲を撮影するカメラモジュールと、
前記ケース内に設けられるカメラ取付部と、
前記ケース内に設けられ、前記カメラ取付部を有する樹脂製部品と、
前記樹脂製部品が固定されるベースプレート部と、
前記カメラモジュールと前記カメラ取付部との間の隙間を封止する弾性部材のシール部品と、を備え、
前記カメラモジュールの少なくとも一部が、前記ケース及び前記樹脂製部品の間に配置される、
車載アンテナ装置。
【請求項2】
前記ケースは開口部を有し、
前記カメラモジュールの少なくとも一部は、前記開口部に対応する位置に配置される、請求項1に記載の車載アンテナ装置。
【請求項3】
前記開口部は、抜き穴である、又は、透明部材で塞がれている、請求項2に記載の車載アンテナ装置。
【請求項4】
前記カメラモジュールの一部が前記ケースの前記開口部に対応するように位置した際に、前記カメラモジュールは前記ケースと接する、請求項2又は3に記載の車載アンテナ装置。
【請求項5】
前記シール部品は、前記カメラモジュールの少なくとも一部の外周囲と、前記カメラ取付部の外側面の一部を覆うように延在している、
請求項1からのいずれか一項に記載の車載アンテナ装置。
【請求項6】
前記ベースプレート部及び前記カメラモジュールの少なくとも一部の間に介在する弾性材と、をさらに備える、請求項1からのいずれか一項に記載の車載アンテナ装置。
【請求項7】
前記樹脂製部品はインナーケースである
請求項1からいずれか一項に記載の車載アンテナ装置。
【請求項8】
前記インナーケース及び前記ベースプレート部の間に介在する防水シール材をさらに備える、請求項に記載の車載アンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器を内蔵した車載アンテナ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の電子機器は車室内に設置されていたため、防水を考慮する必要はなかった
【0003】
近年、自動運転や運転の補助などに使用される技術として、自動車の周辺状況をセンシングする技術が重要視されはじめており、センシングするための電子機器を車室外に設置することが増えてきた。その際、電子機器(例えばカメラ等)をアンテナ装置のケースと外界との境界近傍に設置することがあり、電子機器等の水密性を確保することが難しいという欠点があった。
【0007】
なお、車輌用カメラ装置を示すものとしては下記特許文献1及び特許文献2がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2014−150496号公報
【特許文献2】特開2007−208171号公報
【0009】
特許文献1はアンテナ装置にカメラを内蔵させたものでありケースとカメラとの間にシール部材を設ける構造であるが、ケース内の水密性を維持することが難しい。特許文献2はデジタルカメラを内蔵する構造であるが、防水については配慮がない
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記した状況を認識してなされたものであり、その目的は、収容空間内の水密性を確保可能な電子機器付の車載アンテナ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のある態様は車載アンテナ装置である。この車載アンテナ装置は、
車体の外装に取付けられるケースと、
前記ケース内に配置される少なくとも1つのアンテナと、
前記車体の周囲を撮影するカメラモジュールと、
前記ケース内に設けられるカメラ取付部と、
前記ケース内に設けられ、前記カメラ取付部を有する樹脂製部品と、
前記樹脂製部品が固定されるベースプレート部と、
前記カメラモジュールと前記カメラ取付部との間の隙間を封止する弾性部材のシール部品と、を備え、
前記カメラモジュールの少なくとも一部が、前記ケース及び前記樹脂製部品の間に配置されることを特徴とする。
【0012】
前記ケースは開口部を有し、前記カメラモジュールの少なくとも一部は、前記開口部に対応する位置に配置されるとよい。
【0013】
前記開口部は、抜き穴である、又は、透明部材で塞がれているとよい。
【0014】
前記カメラモジュールの一部が前記ケースの前記開口部に対応するように位置した際に、前記カメラモジュールは前記ケースと接するとよい。
【0015】
前記シール部品は、前記カメラモジュールの少なくとも一部の外周囲と、前記カメラ取付部の外側面の一部を覆うように延在しているとよい。
【0016】
前記ベースプレート部及び前記カメラモジュールの少なくとも一部の間に介在する弾性材と、をさらに備えるとよい。
【0017】
前記樹脂製部品はインナーケースであるとよい。
【0018】
前記インナーケース及び前記ベースプレート部の間に介在する防水シール材をさらに備えるとよい。
【0025】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法やシステム等の間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る車載アンテナ装置によれば、収容空間内の水密性を確保可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1A】本発明に係る車載アンテナ装置の実施の形態1の要部構成を示す模式的側断面図。
図1B】実施の形態1においてアンテナベース上にカメラモジュールの筐体を設置した斜視図。
図2A】本発明の実施の形態2の要部構成を示す模式的側断面図。
図2B】実施の形態2においてアンテナベース上にカメラモジュールの筐体を設置した斜視図。
図3A】本発明の実施の形態3の要部構成を示す模式的側断面図。
図3B】実施の形態3における接続部材の平面図。
図4】本発明の実施の形態4の要部構成の模式的側断面図。
図5】実施の形態1〜4が適用される車載アンテナ装置の全体構成を示す分解斜視図。
図6】実施の形態1〜4が適用される車載アンテナ装置の側断面図。
図7】同側面図。
図8】同背面図。
図9】実施の形態1〜4が適用される車載アンテナ装置のインナーケース及びアウターケースを省略した側面図。
図10】同背面図。
図11A】本発明の実施の形態5の要部構成を示す模式的側断面図。
図11B】実施の形態5における接続部材の平面図。
図12】本発明の実施の形態6の要部構成の模式的側断面図。
図13】本発明の実施の形態7の要部構成の模式的側断面図。
図14】本発明の実施の形態8の要部構成の模式的側断面図。
図15】本発明の実施の形態9の要部構成の模式的側断面図。
図16】本発明の実施の形態10であって、アンテナベースに対してカメラモジュールを角度調整自在とした車載アンテナ装置のインナーケース及びアウターケースを省略した側面図。
図17】本発明の各実施の形態において、カメラモジュールにノイズフィルタを設けた場合のカメラモジュールの回路構成のブロック図。
図18】前記カメラモジュールの回路構成において用いるノイズフィルタ(ローパスフィルタ;low-pass filter)を示す回路図。
図19A】前記カメラモジュールの回路構成において用いるノイズフィルタの他の例であって、ローパスフィルタを示す回路図。
図19B】前記カメラモジュールの回路構成において用いるノイズフィルタの他の例であって、ローパスフィルタを示す回路図。
図19C】前記カメラモジュールの回路構成において用いるノイズフィルタの他の例であって、バンドエミッションフィルタ(band-emission filter)を示す回路図。
図19D】前記カメラモジュールの回路構成において用いるノイズフィルタの他の例であって、バンドエミッションフィルタ(band-emission filter)を示す回路図。
図19E】前記カメラモジュールの回路構成において用いるノイズフィルタの他の例であって、バンドパスフィルタを示す回路図。
図20】車載アンテナ装置において、電子機器としてのカメラモジュールからのノイズをアンテナエレメントが受信する経路を説明する模式的側面図。
図21】前記カメラモジュール構成及びノイズ放射経路を説明するブロック図。
図22】シールド対策の有無によるAM帯ノイズレベル(dBm/Hz)を比較したノイズスペクトラム。
図23】ノイズフィルタの有無による発振器の放射ノイズ(dBm)を比較したノイズスペクトラム。
図24】ノイズ対策有無によるFM帯ノイズレベル(dBm/Hz)を比較したノイズスペクトラム。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態を詳述する。なお、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は発明を限定するものではなく例示であり、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0029】
図1Aは本発明に係る車載アンテナ装置の実施の形態1の要部構成、図2Aは実施の形態2の要部構成、図3Aは実施の形態3の要部構成、図4は実施の形態4の要部構成であり、いずれもアンテナベース2が導体としての金属で形成された金属ベースプレート部3と取付導体部(プリロック部)4とを有し、取付導体部4に車体ルーフRへの取付手段が設けられている場合を示す。また、図5から図10は実施の形態1〜4が適用される車載アンテナ装置の全体構成を示す。
【0030】
まず、図5から図10を用いて実施の形態1〜4が適用される車載アンテナ装置の全体構成について説明する。これらの図において、車載アンテナ装置1は、ベースプレート部3及び取付導体部(プリロック)4を有するアンテナベース2と、コイル6及び天頂エレメント7を有するアンテナエレメント5と、アンテナエレメント5の受信信号を増幅するアンテナアンプ基板8と、アンテナエレメント5及びアンテナアンプ基板8を内側に収納するインナーケース9と、インナーケース9の背面(車体の後方を向く面)に取り付けられる電子機器としてのカメラモジュール10と、インナーケース9及びカメラモジュール10を覆うアウターケース11(外側のアンテナケースとなる)とを備えている。カメラモジュール10は例えば車体後方の動画及び/又は静止画像を撮影するためのものである。インナーケース9及びアウターケース11は電磁波を透過させる合成樹脂製である。アウターケース11は例えば先端に向かって流線型状に細くなったシャークフィン形状である。
【0031】
尚、アンテナエレメント5のコイル6に替えて他の波長短縮素子を用いても良い。
【0032】
アンテナベース2は金属ベースプレート部3と取付導体部(プリロック)4とを組み合わせたものである。ベースプレート部3は、アンテナアンプ基板8に接続されるアンテナケーブル12及びカメラモジュール10に接続されるモジュールケーブル60を引き出すための穴部3aを有し、穴部3aの一部から露出するように取付ナット15がベースプレート部3に固着一体化されている。取付ナット15は車載アンテナ装置1を車体ルーフRに取り付けるためのアンテナベース側取付手段である。
【0033】
アンテナベース2の取付導体部4は、ベースプレート部3に装着一体化されるもので、車体ルーフRの取付穴を貫通する凸部4aを底面に有する。また、取付導体部4は、アンテナケーブル12及びモジュールケーブル60を引き出すための穴部4bを有するとともに、導体(金属製)の爪付ワッシャ17を締め付けるための導体(金属製)ボルト16を挿通する貫通穴を有している。ボルト16及び爪付ワッシャ17は取付ナット15と共に取付手段を構成する。アンテナ装置1の取付前は、ボルト16は取付導体部4を貫通して緩んだ状態で取付ナット15に螺合している。取付導体部4の底部を囲む(必然的に車体ルーフRの取付穴の周囲を囲む)ように環状のアンテナ取付パッド18(防水シール材)がアンテナベース2底面側に配置される。
【0034】
そして、図6に示す車体ルーフRの取付穴にプリロックとして取付導体部4の底部をルーフ上から嵌め込み、車体ルーフRの内面から爪付ワッシャ17をボルト16に装着して取付導体部4を仮止めする。次いで、図6に示すように、アンテナベース2と車体ルーフRの外面間にアンテナ取付パッド18を配置した状態で、ボルト16をアンテナベース2側の取付ナット15に螺合して、ボルト16をナット15に対して回転し、締め付けることで、アンテナ装置1の車体ルーフRへの取り付けが可能となっている。アンテナベース2の金属ベースプレート部3及び取付導体部4は、導体であるボルト16、及び車体ルーフRの金属面に爪が食い込む爪付ワッシャ17の経路で車体にアース(接地)される。
【0035】
アンテナアンプ基板8は、アンテナエレメント5の受信信号を増幅するアンプ等が組み立てられており、アンテナベース2上に設置され、アンテナアンプ基板8に形成されたアース導体パターン(グランドパターン)はベースプレート部3の金属部分又は取付導体部4に電気的に接続されている。例えば、ベースプレート部3の上面側に突出した凸部に直接はんだ付けされる。
【0036】
アンテナアンプ基板8下側には、絶縁体(合成樹脂成形品)のケーブルホルダ20が重ねて固定され、ケーブルホルダ20内にアンテナケーブル12のアンテナアンプ基板8への接続側部分が収納され、ケーブルホルダ20の上側を覆うようにケーブルカバー21がケーブルホルダ20に固定される。アンテナケーブル12の延長部分はベースプレート部3の穴部3a及び取付導体部4の穴部4bを通して外部(アンテナベース2の底面側)に引き出される。
【0037】
アンテナエレメント5はAMラジオ放送及びFMラジオ放送等を受信可能なものであり、アンテナエレメント5が有するコイル6は、コイル固定ネジ22で天頂エレメントホルダ25に固定され、コイル6の下端は接続導体23を介してアンテナアンプ基板8に電気接続され、コイル6の上端は接続導体24を介して天頂エレメント7に電気接続される。天頂エレメント7は容量エレメントとして働くものであり、コイル6の上側に固定された絶縁体(合成樹脂成形品)の天頂エレメントホルダ25で支持されている。
【0038】
インナーケース9はベースプレート部3上面間にインナーケースパッド26(防水シール材)を介在させた状態で、ベースプレート部3に固定用ネジ27で固定される。アンテナベース2とインナーケース9とで囲まれた水密空間内に、アンテナエレメント5やアンテナアンプ基板8が収容される。
【0039】
図6に示すように、カメラモジュール10はインナーケース9の背面に形成されたカメラ取付穴9aに水密シール部品としてのOリング30を介して水密に嵌合するように、固定用ネジ31でベースプレート部3に取り付けられている。その際、防振用ガスケット(弾性材)35をベースプレート部3とカメラモジュール10間に介在させている。カメラモジュール10に接続されたモジュールケーブル60は、撮影画像信号を外部に取り出すためのデータケーブルであり、インナーケース9内に引き込まれ、ベースプレート部3の穴部3a及び取付導体部4の穴部4bを通して外部(アンテナベース2の底面側)に引き出される。
【0040】
インナーケース9及びカメラモジュール10を覆うようにアウターケース11がアンテナベース2に固定される(被せられる)。従って、アンテナベース2とアウターケース11とで囲まれた内部空間にカメラモジュール10が設けられることになる。図6及び図8に示すように、アウターケース11の背面にはカメラモジュール10のレンズ111の位置に対応する窓部11aが形成されている。窓部11aは抜き穴であっても透明部材で塞がれている構造であってもよい。
【0041】
車載アンテナ装置1の車体ルーフRへの取付手段は、図6の断面図では、取付金具としてボルト16及び特殊形状の爪付ワッシャ17を用いて、アンテナベース側ナット15に螺合するボルト16に対して、爪付ワッシャ17を車体ルーフRの内側から装着してアンテナベース2を車体ルーフRに固定する構造を例示したが、取付導体部4に雄ネジを成形しておき、これに車体ルーフRの内側から取付金具としてのナットを螺合し、締め付ける取付手段を採用することもできる。
【0042】
実施の形態1
図1Aは本発明に係る車載アンテナ装置の実施の形態1の要部構成であり、図5から図10の車載アンテナ装置1におけるノイズ低減のためのシールド構造を示す。この場合、カメラモジュール10が有するカメラモジュール筐体40は、回路基板50を囲んでシールドするシールド導体を兼ねた金属(例えばアルミダイカスト)であり、その背面側にレンズ111が取り付けられ、筐体40内部の突出したボス部(凸部)48に回路基板50が金属の基板取付ネジ49で固定されている。筐体40内に収納された回路基板50には、図17に示すイメージセンサ部112、ビデオ信号出力部113、発振器114、回路部分に電力を供給する電源部115、及びノイズフィルタ130等が搭載されている(ノイズフィルタ130の構成及び作用効果は後述する)。イメージセンサ部112は、発振器114からの所定周波数(例えば27MHz)の電気信号を受けてレンズ111による撮像画像のビデオ信号を生成するものであり、ビデオ信号出力部113はそのビデオ信号を増幅してモジュールケーブル60に含まれる信号線60aに出力するものである。モジュールケーブル60は電源線60b等も有しており、一端が回路基板50に接続され、他端がバッテリ、モニタ、操作盤等の接続対象125に接続される。
【0043】
アンテナベース2は導体としての金属で形成された金属ベースプレート部3とその中央部に位置する取付導体部4とを有し、カメラモジュール10の筐体40は金属ベースプレート部3上に設置されている(この場合、ベースプレート部3と取付導体部4とは別部品であっても一体品であってもよい。)。カメラモジュール10の筐体40は、これと一体に形成されたフランジ部44を導電性ネジ45でベースプレート部3の上面にネジ止めすることで固定される。上記の金属ベースプレート部3と筐体40の電気的接続方法については、金属フランジ部のネジ止め及び/又は半田付けによるものがある。
【0044】
なお、図1Bのように金属ベースプレート部3と筐体40とを導体である金属(例えばアルミダイカスト)で一体品として形成したものを用いることで、アンテナ装置の防水構造が簡素化(ベースプレート部3と筐体40の隙間を埋める部材や埋める作業を削減)することができたり、筐体40をベースプレート部3に固定する固定用部材を削減することができたり、固定用部材の固定作業やベースプレート部3と筐体40とを電気接続する作業の工数を削減することができる効果もある。また、筐体40のアンテナベース2からの高さが低くなり、アンテナベース2の上方に配置されるアンテナエレメント5と筐体40とが相対的に離れるため、筐体40のシールドに関わる導体によるアンテナエレメント5に対するラジオ放送受信への影響を小さくすることができる。
【0045】
取付導体部4は、車体ルーフRの取付穴を貫通する凸部4aに車室側から取付金具(ナット又はワッシャ)65を螺合若しくは係合させることで車体ルーフRに固定されるようになっている。具体的には、取付金具65が導体としての金属で形成された金属製ナットである場合、凸部4aの外周に雄ネジを形成して取付金具65を螺着し、取付金具65がワッシャであれば、図6の断面図のようにボルトを併用してワッシャを取付導体部4に対して締め付け固着する。これによりルーフと取付金具が電気的に接続される。
【0046】
回路基板50は導電性の基板取付ネジ49でボス部48に固定されるが、その際に、回路基板50のアース導体パターン(グランドパターン)をボス部48(ひいてはシールド導体である筐体40)に電気接続することもできる。なお、回路基板50のアース導体パターンを筐体40に直接的に電気接続しない構造にすることもある。
【0047】
筐体40内の回路基板50に接続されたモジュールケーブル60は、筐体40を貫通して取付導体部4の凸部4aの内側に形成された穴部4bからアンテナベース2の底面側(アンテナ装置外部)に引き出される。モジュールケーブル60はシールドケーブルであり、信号線60aや電源線60b等を囲むシールド用外被導体61を有する。シールド用外被導体61は、筐体40に直接的に電気接続されてもよいし、別途接続部材を介して取付導体部4に電気接続する構成としてもよい(図示省略)。
【0048】
なお、モジュールケーブル60は回路基板50のアース導体パターン(グランドパターン)に接続されたグランド線(図示省略)をシールド用外被導体61の内側に有している。シールド用外被導体61の筐体内の端部は、原則として回路基板50のアース導体パターンに接続されているが、回路基板50上では接続されない場合もある。
【0049】
以上の構成により、筐体40及びモジュールケーブル60のシールド用外被導体61は、共に車体ルーフRにアースされ、カメラモジュール10の筐体40及びモジュールケーブル60をシールドすることで、回路基板50から外部に放射されるノイズが抑制される。
【0050】
また、図17のように回路基板50上にノイズフィルタ130を設けている。ノイズフィルタ130は、発振器114の出力側とイメージセンサ部112との間に挿入され、例えば図18の抵抗R1とコンデンサC1とを有するローパスフィルタであり、主に発振器ノイズを抑制するものである。図18のノイズフィルタは、発振器114の周波数が27MHzの時、3倍の高調波(FM受信帯域内の81MHz)を抑制するフィルタの一例である。
【0051】
ノイズフィルタ130は、イメージセンサ部112におけるビデオ信号の生成に必要な周波数信号以外のノイズを除去することで、FM帯(FMラジオ放送の周波数帯域76MHz〜108MHz)でのノイズ抑制を図ることができる。同様に、より高い周波数帯であるテレビ放送の周波数帯域でのノイズ抑制も可能となる。
【0052】
なお、ノイズフィルタ130は電源部115に含まれるスイッチングレギュレータのノイズが発振器114経由でイメージセンサ部112に侵入することも抑制できる。さらに、図示しないが、必要に応じて電源部115の電力供給線路にもノイズフィルタを追加してもよい。
【0053】
図22はシールド対策の有無によるノイズレベル(dBm/Hz)を比較したものであって、AM帯(AMラジオ放送の周波数帯域0.5〜1.7MHz)のノイズスペクトラムを示す。シールド対策無しでは、−90dBm/Hz前後のノイズレベルであるが、シールド対策有り(但しノイズフィルタ無し)では、−120dBm/Hz以下のノイズレベルに抑制できている(カメラモジュールが存在しない場合とほぼ同等になっている)。
【0054】
図23はノイズフィルタの有無による発振器の放射ノイズ(dBm)のノイズスペクトラムであり、実施の形態1によれば、発振器114の出力側にノイズフィルタ130を設けたことで、発振器114の出力に含まれる高調波、とくに3倍高調波を抑制でき、FM帯での受信障害を除去できる。
【0055】
図24はシールド対策後のノイズ対策(ノイズフィルタ)有無によるFM帯ノイズレベル(dBm/Hz)を比較したノイズスペクトラムであり、FM帯でのノイズレベルをカメラモジュールが存在しない場合と同程度に抑制できている。
【0056】
実施の形態1によれば、AM帯及びFM帯共にノイズが抑制され、AM、FMラジオ放送や、テレビ放送の受信に支障を生じないようにすることができる。
【0057】
本実施の形態によれば、下記の効果を奏することができる。
【0058】
(1) カメラモジュール10の外周を囲むカメラモジュール筐体40を、シールド導体として車体ルーフRにアースすることで、カメラモジュール10をシールドでき、カメラモジュール10内のノイズが筐体外部に放射ノイズとして放射されるのを防止できる。
【0059】
(2) カメラモジュール10の回路基板50に接続されたモジュールケーブル60にシールドケーブルを用い、そのシールド用外被導体61を車体ルーフRにアースすることで、モジュールケーブル60からの放射ノイズを低減することができる。
【0060】
(3) カメラモジュール10内の回路基板50にノイズフィルタ130を搭載することで、ノイズ発生源となる発振器114に起因するノイズを抑制できる。
【0061】
(4) 以上の構成により、アンテナ装置内のアンテナエレメントによるAM帯、FM帯、テレビ放送等の受信が、電子機器としてのカメラモジュール10からの電磁ノイズにより悪影響を受けることを防止できる。
【0062】
(5) さらに、金属ベースプレート部3にシールド導体としての筐体40を直接電気接続可能なため、筐体40を車体ルーフRにアースするための部品点数を少なくできる。
【0063】
実施の形態2
図2Aは本発明に係る車載アンテナ装置の実施の形態2の要部構成であり、図5から図10のアンテナ装置1におけるノイズ低減のためのシールド構造を示す。この場合、カメラモジュール10が有するカメラモジュール筐体40Aは、絶縁体41(合成樹脂成形品)の外側全面に導電性塗装、導電性メッキ等でシールド導体42を形成したものである。そして、金属ベースプレート部3上にカメラモジュール10が設置されている。カメラモジュール10の回路基板50は筐体40Aの内側に突出するボス部48に基板取付ネジ49で固定されている。カメラモジュール10の筐体40Aは、絶縁体41の外側全面に導電性塗装、導電性メッキ等でシールド導体42を形成したものであるため、筐体40Aは、図2Bのように、これと一体の導電性フランジ部46を導電性ネジ47でアンテナベース2にネジ止めすることで固定されると同時に電気接続が行われる。フランジ部46の代わりに、又はフランジ部46のネジ止めと併用してシールド導体42を直接はんだ付け等でベースプレート部3に電気接続してもよい。
【0064】
この実施の形態2においては、カメラモジュール10の筐体外側のシールド導体42は、ベースプレート部3、取付導体部4及び取付金具65を介して車体ルーフRにアースされる。金属ベースプレート部3に筐体外側のシールド導体42を電気接続するため、シールド導体42を車体ルーフRにアースするための部品点数を少なくできる。また、カメラモジュール筐体40Aが、絶縁体41の外側全面に導電性塗装、導電性メッキ等でシールド導体42を形成したものであるため、絶縁体41を合成樹脂製とすることで筐体全体を金属で形成する場合に比べて軽量化を図ることができる。その他の構成、作用効果は前述の実施の形態1と同様である。
【0065】
実施の形態3
図3Aは本発明に係る車載アンテナ装置の実施の形態3の要部構成であり、図5から図10のアンテナ装置1におけるノイズ低減のためのシールド構造を示す。この場合、金属ベースプレート部3上にカメラモジュール10が設置され、カメラモジュール10が有するカメラモジュール筐体40Bは、絶縁体41のレンズ部を除く内側全面に導電性塗装、導電性メッキ等でシールド導体43を形成したものである。そして、回路基板50に接続されたモジュールケーブル60のシールド用外被導体61の一方の端部がシールド導体43にはんだ付け等で電気接続され、他方の端部が図3Bの接続部材80を介して、車体ルーフRにアースされる。つまり、接続部材80は導線81の両端に筒状端子82,ワッシャ状端子83をカシメやはんだ付けで設けたものであり、一方の端子82がシールド用外被導体61外周にカシメやはんだ付けで電気接続され、他方のワッシャ状端子83は取付導体部4の凸部4aに嵌められかつ凸部4aに螺合若しくは係合された取付金具65で車体ルーフRに密着するように締め付けられ、取付導体部4及び車体ルーフRに電気接続される。この結果、筐体内側のシールド導体43はモジュールケーブル60のシールド用外被導体61及び接続部材80を介して車体ルーフRにアースされることになる。
【0066】
また、筐体40B内部のボス部48の外面にも導電性塗装、導電性メッキ等でシールド導体43の延長部分43aを形成しておくことで、回路基板50を導電性の基板取付ネジ49でボス部48に固定した際に、回路基板50のアース導体パターンをシールド導体43の延長部分43aに電気接続することもできる。なお、回路基板50のアース導体パターンをシールド導体43に直接的に電気接続しない構造にすることもある。
【0067】
この実施の形態3の場合も、カメラモジュール筐体40Bが、絶縁体41の内側全面に導電性塗装、導電性メッキ等でシールド導体43を形成したものであるため、筐体全体を金属で形成する場合に比べて軽量化を図ることができる。その他の構成、作用効果は前述の実施の形態1と同様である。
【0068】
実施の形態4
図4は本発明に係る車載アンテナ装置の実施の形態4の要部構成であり、図5から図10のアンテナ装置1におけるノイズ低減のためのシールド構造を示す。この場合、金属ベースプレート部3上にカメラモジュール10が設置されているが、筐体40Cは絶縁体(合成樹脂成形品)であり、シールド導体として機能しない。その代わり、筐体40C内のボス部48に固定された回路基板50の両面を覆うように(挟むように)シールド導体90が回路基板50に対して配置、固定されている。そして、回路基板50に接続されたモジュールケーブル60のシールド用外被導体61の一方の端部がシールド導体90に電気接続され、他方の端部は図3Aの実施の形態3と同様に車体ルーフRにアースされる。この結果、回路基板50の上下面を覆うシールド導体90はモジュールケーブル60のシールド用外被導体61及び接続部材80を介して車体ルーフRにアースされることになる。これにより、回路基板50の周囲をシールドして放射ノイズを低減している。その他の構成、作用効果は前述の実施の形態1と同様である。
【0069】
なお、シールド導体90は、回路基板50のアース導体パターン及び/又はシールド用外被導体61と筐体内で直接的に電気接続する構成であればよい。
【0070】
なお、所要のノイズ低減効果が得られれば、回路基板50の片面を覆うようにシールド導体90を配置する構成としてもよい。
【0071】
図5から図10に示した車載アンテナ装置1は金属製のベースプレート部3を用いたが、近年、車輌の燃費向上が重要課題とされ、車輌搭載部品であるアンテナ装置もグラム単位での軽量化を指示されている。その結果、アンテナ装置の構成部品も樹脂化が進んでいてアンテナベースも従来は金属であったが、一部が樹脂で構成されているタイプが設計されている。樹脂を含む軽量化されたアンテナベースは車輌取付部は金属で、残りの周囲(つまりベースプレート部)は樹脂となっている。アンテナベースのベースプレート部が樹脂になると、カメラモジュール筐体は直接金属とは接触できない。車輌取付部に残る小さくなった金属部分(つまり取付導体部4)にカメラモジュール筐体側のアースを接続しなければならない。以下の実施の形態5から9ではそのためのシールド構造を説明する。
【0072】
実施の形態5
図11Aは本発明に係る車載アンテナ装置の実施の形態5の要部構成であり、ノイズ低減のためのシールド構造を示す。この場合、カメラモジュール10が有するカメラモジュール筐体40は、シールド導体を兼ねた金属(例えばアルミダイカスト)であり、その背面側にレンズ111が取り付けられ、筐体40内部の突出したボス部(凸部)48に回路基板50が金属の基板取付ネジ49で固定されている。
【0073】
アンテナベース2は絶縁体(合成樹脂成形品)のベースプレート部3Aとその中央部に位置する取付導体部4とを有し、カメラモジュール10の筐体40はアンテナベース2のベースプレート部3A上に設置されている。このため、図11Bに示す接続部材70を用いて金属である筐体40と取付導体部4とを電気接続する。つまり、接続部材70は導線71の両端に端子72,73をカシメやはんだ付けで設けたものであり、一方の端子72が導電性ネジ74で筐体40の固定され、他方の端子73が導電性ネジ75で取付導体部4に固定される。取付導体部4は、車体ルーフRの取付穴を貫通する凸部4aに車室側から取付金具(ナット又はワッシャ)65を螺合若しくは係合させることで車体ルーフRに固定されるようになっている。
【0074】
回路基板50は導電性の基板取付ネジ49でボス部48に固定した際に、回路基板50のアース導体パターンをボス部48(ひいてはシールド導体である筐体40)に電気接続することもできる。なお、回路基板50のアース導体パターンを筐体40に直接的に電気接続しない構造にすることもある。
【0075】
モジュールケーブル60は、筐体40を貫通して取付導体部4の凸部4aの内側に形成された穴部からアンテナベース2の底面側(アンテナ装置外部)に引き出される。モジュールケーブル60はシールドケーブルであり、信号線や電源線等を囲むシールド用外被導体61を有する。シールド用外被導体61は図3Bに示した接続部材80で車体ルーフRにアースされる。つまり、接続部材80の一方の端子82がシールド用外被導体61にカシメやはんだ付けで電気接続され、他方のワッシャ状端子83は取付導体部4の凸部4aに嵌められかつ凸部4aに螺合若しくは係合された取付金具65で車体ルーフRに密着するように締め付けられ、取付導体部4及び車体ルーフRに電気接続される。なお、モジュールケーブル60は回路基板50のアース導体パターン(グランドパターン)に接続されたグランド線(図示省略)をシールド用外被導体61の内側に有している。シールド用外被導体61の筐体内の端部は、原則として回路基板50のアース導体パターン(グランドパターン)に接続されているが、回路基板50上では接続されない場合もある(図示省略)。シールド用外被導体61は、筐体40に直接的に電気接続されてもよいし、別途接続部材を介して取付導体部4に電気接続する構成としてもよい(図示省略)。
【0076】
以上の構成により、絶縁体のベースプレート部3Aを用いる場合であっても、筐体40及びモジュールケーブル60のシールド用外被導体61は、共に車体ルーフRにアースされ、カメラモジュール10の筐体40及びモジュールケーブル60から外部に出る放射ノイズが抑制される。また、絶縁体のベースプレート部3Aとして合成樹脂成形品を用いることで軽量化及びコスト低減を図ることができる。その他の構成、作用効果は前述の実施の形態1と同様である。
【0077】
実施の形態6
図12は本発明に係る車載アンテナ装置の実施の形態6の要部構成であり、ノイズ低減のためのシールド構造を示す。この場合、カメラモジュール10が有するカメラモジュール筐体40Aは、アンテナベース2の絶縁体のベースプレート部3A上に設置されている。筐体40Aは、絶縁体41の外側全面に導電性塗装、導電性メッキ等でシールド導体42を形成したものである。そして、図11Bに示した接続部材70を用いて筐体外面のシールド導体42と取付導体部4とを電気接続する。図示は省略したがモジュールケーブル60のシールド用外被導体61は図11Aの実施の形態5と同様に車体ルーフRにアースされる。
【0078】
この実施の形態6の場合、カメラモジュール筐体40Aが、絶縁体41の外側全面に導電性塗装、導電性メッキ等でシールド導体42を形成したものであるため、絶縁体41を合成樹脂製とすることで筐体全体を金属で形成する場合に比べて軽量化を図ることができる。その他の構成、作用効果は前述の実施の形態1と同様である。
【0079】
実施の形態7
図13は本発明に係る車載アンテナ装置の実施の形態7の要部構成であり、ノイズ低減のためのシールド構造を示す。この場合、カメラモジュール10が有するカメラモジュール筐体40Aは、アンテナベース2の絶縁体のベースプレート部3A上に設置されている。筐体40Aは、絶縁体41の外側全面に導電性塗装、導電性メッキ等でシールド導体42を形成したものである。そして、回路基板50に接続されたモジュールケーブル60のシールド用外被導体61の一方の端部がシールド導体42にはんだ付け等で電気接続され、他方の端部が図3Bの接続部材80を介して、図11Aの実施の形態5と同様に車体ルーフRにアースされる。この結果、筐体外側のシールド導体42はモジュールケーブル60のシールド用外被導体61及び接続部材80を介して車体ルーフRにアースされることになる。
【0080】
この実施の形態7の場合も、カメラモジュール筐体40Aが、絶縁体41の外側全面に導電性塗装、導電性メッキ等でシールド導体42を形成したものであるため、絶縁体41を合成樹脂製とすることで筐体全体を金属で形成する場合に比べて軽量化を図ることができる。その他の構成、作用効果は前述の実施の形態1と同様である。
【0081】
実施の形態8
図14は本発明に係る車載アンテナ装置の実施の形態8の要部構成であり、ノイズ低減のためのシールド構造を示す。この場合、カメラモジュール10が有するカメラモジュール筐体40Bは、アンテナベース2の絶縁体のベースプレート部3A上に設置されている。筐体40Bは、絶縁体41のレンズ部を除く内側全面に導電性塗装、導電性メッキ等でシールド導体43を形成したものである。そして、回路基板50に接続されたモジュールケーブル60のシールド用外被導体61の一方の端部がシールド導体43にはんだ付け等で電気接続され、他方の端部が図3Bの接続部材80を介して、図11Aの実施の形態5と同様に車体ルーフRにアースされる。この結果、筐体内側のシールド導体43はモジュールケーブル60のシールド用外被導体61及び接続部材80を介して車体ルーフRにアースされることになる。
【0082】
また、筐体40B内部のボス部48の外面にも導電性塗装、導電性メッキ等でシールド導体43の延長部分43aを形成しておくことで、回路基板50を導電性の基板取付ネジ49でボス部48に固定した際に、回路基板50のアース導体パターンをシールド導体43の延長部分43aに電気接続することもできる。なお、回路基板50のアース導体パターンをシールド導体43に直接的に電気接続しない構造にすることもある。
【0083】
この実施の形態8の場合も、カメラモジュール筐体40Bが、絶縁体41の内側全面に導電性塗装、導電性メッキ等でシールド導体43を形成したものであるため、絶縁体41を合成樹脂製とすることで筐体全体を金属で形成する場合に比べて軽量化を図ることができる。その他の構成、作用効果は前述の実施の形態1と同様である。
【0084】
実施の形態9
図15は本発明に係る車載アンテナ装置の実施の形態9の要部構成であり、ノイズ低減のためのシールド構造を示す。この場合、カメラモジュール10が有するカメラモジュール筐体40Cは、アンテナベース2の絶縁体のベースプレート部3A上に設置されている。この場合、筐体40Cは絶縁体(合成樹脂成形品)であり、シールド導体として機能しない。その代わり、筐体40C内のボス部48に固定された回路基板50の両面を覆うように(挟むように)シールド導体90が回路基板50に対して配置、固定されている。そして、回路基板50に接続されたモジュールケーブル60のシールド用外被導体61の一方の端部がシールド導体90に電気接続され、他方の端部は図11Aの実施の形態5と同様に車体ルーフRにアースされる。この結果、回路基板5の上下面を覆うシールド導体90はモジュールケーブル60のシールド用外被導体61及び接続部材80を介して車体ルーフRにアースされることになる。その他の構成、作用効果は前述の実施の形態1と同様である。
【0085】
なお、シールド導体90は、回路基板50のアース導体パターン及び/又はシールド用外被導体61と筐体内で直接的に電気接続する構成であればよい。
【0086】
実施の形態10
図16は本発明の実施の形態10を示す。この場合、車載アンテナ装置のカメラモジュール10が、アンテナベース2の金属ベースプレート部3に固定(若しくは一体に形成)されたブラケット95にピン96で枢支され、これによってアンテナベース2に対する傾斜角度(例えば仰角)が調整自在なように取り付けられている。カメラモジュール10のベースプレート部3への取付構造以外のカメラモジュール自体のシールド構造は、前述の実施の形態1〜4等を適用することができる。また、ブラケット95を導電性とすることで、カメラモジュール10の筐体40,40A(外側が導体面)を、導電性ブラケット95、ベースプレート部3、これに装着(電気接続)された取付導体部4の経路で車体ルーフRにアースすることも可能である。
【0087】
カメラモジュール10の回路基板50に搭載するノイズフィルタ130は、図18の回路に限定されず、例えば図19Aの抵抗R2及びコンデンサC2,C3からなるローパスフィルタ、図19BのコイルL1及びコンデンサC4,C5からなるローパスフィルタ、図19CのコイルL2及びコンデンサC6からなるバンドエミッションフィルタ、図19DのコイルL3及びコンデンサC7からなるバンドエミッションフィルタ、あるいは図19EのコイルL4,L5,L6及びコンデンサC8,C9,C10からなるバンドパスフィルタを用いてもよい。これらのフィルタは発振器114の発振周波数やアンテナ装置の受信帯域に応じて構成や定数を変更することができる。
【0088】
以上、実施の形態を例に本発明を説明したが、実施の形態の各構成要素や各処理プロセスには請求項に記載の範囲で種々の変形が可能であることは当業者に理解されるところである。以下、変形例について触れる。
【0089】
本発明の実施の形態2,3等において、カメラモジュール筐体の外側又は内側の一方にシールド導体を設けたが、外側及び内側の両方にシールド導体を設けてもよい。
【0090】
本発明を適用する車載アンテナ装置として図5から図10の外観がシャークフィン形状のものを例示したが、車載アンテナ装置の外観形状は任意である。また、車体取付位置も車体ルーフに限定されるものではない。
【0091】
車載アンテナ装置に内蔵する電子機器としてカメラモジュールを例示したが、これに限定されず、電磁ノイズを発生する各種機器、例えば人感センサ等を内蔵する場合等にも本発明は適用できる。
【符号の説明】
【0092】
1 車載アンテナ装置、2 アンテナベース、3,3A ベースプレート部、4 取付導体部(プリロック)、5 アンテナエレメント、6 コイル、7 天頂エレメント、8 アンテナアンプ基板、9 インナーケース、10 カメラモジュール、11 アウターケース、11a 窓部、12 アンテナケーブル、15 取付ナット、16 ボルト、17 爪付ワッシャ、18 アンテナ取付パッド、23,24 接続導体、35 防振用ガスケット、40,40A,40B,40C カメラモジュール筐体、41 絶縁体、42,43,90 シールド導体、50 回路基板、60 モジュールケーブル、61 シールド用外被導体、70,80 接続部材、95 ブラケット、111 レンズ、112 イメージセンサ部、113 ビデオ信号出力部、114 発振器、115 電源部、130 ノイズフィルタ、C1〜C10 コンデンサ、L1〜L6 コイル、R1,R2 抵抗、R 車体ルーフ
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19A
図19B
図19C
図19D
図19E
図20
図21
図22
図23
図24