【課題を解決するための手段】
【0012】
この必要性は、本願の独立請求項に係る発明によって満たされる。
【0013】
本発明は、サンプルチャンバアッセンブリ内に収められた溶融金属材料から形成された直接分析サンプルを離型及び分析するための装置を提供する。サンプルチャンバアッセンブリは、少なくともサンプルハウジング、カバープレート及び封鎖手段を備える。
装置は、
内部を規定するキャビネットであって、サンプルハウジングをキャビネットに入れるための少なくとも1つの開口部、及びキャビネットの内部に位置されており、サンプルの分析表面を分析するための分析手段を備えるキャビネットと、
少なくとも封鎖手段を取り外しサンプルの分析表面の少なくとも一部を露出させるように適合された離型手段と、
サンプルハウジングを保持し、少なくともサンプル離型位置とサンプル分析位置との間でサンプルハウジングを移送する移送手段であって、サンプル離型位置は、離型手段によって封鎖手段が取り外される位置であり、サンプル分析位置は、分析手段によってサンプルの分析表面が分析される位置であり、サンプル離型位置及びサンプル分析位置は互いに異なる位置である、移送手段と
を備える。
【0014】
例えば、サンプルチャンバアッセンブリは、特許文献2,3,4及び/又は5で説明されているサンプルチャンバアッセンブリであり得る。
【0015】
サンプルチャンバアッセンブリは、例えば銅又はアルミニウム等の優れた熱伝導率体である材料で作ることができる。蓋とも呼ばれるカバープレートは、サンプルハウジングと同じ材料から作ることができるか、又は溶融シリカや耐火セラミック材料などの異なる材料から作ることができる。カバープレートは、サンプルハウジングと同じ幅及び長さを有することができるとともに、第1側及び反対の第2側を有することができる。カバープレートの第1側は、組み立てられた位置においてサンプルハウジングに面することができる。サンプルチャンバアッセンブリが組み立てられた構成においてサンプルハウジングとカバープレートとの間に位置し気密シールを提供するように、カバープレートの第1面にシール部材を追加することができる。シール部材は、紙、シリコン又は任意の類似のポリマーで形成されたガスケットであり得、サンプルチャンバアッセンブリの組み立てられた構成で隆起部(ridge)を包囲または取り囲むような寸法であり得る。
【0016】
サンプルチャンバアッセンブリの組み立てられた構成において、例えばクランプ、ブレース、スプリング又はクリップ等の封鎖手段によってともに保持されるとき、少なくともカバープレート及びサンプルハウジングが組み合わされてサンプルキャビティをともに形成する。封鎖手段は、サンプルキャビティを充填する前に加えられるパージガスの圧力に耐えるとともに、サンプルハウジング内に流し込まれるとともにサンプルキャビティを満たす溶融金属の力によってサンプルハウジング及びカバープレートが分離しようとする傾向に抵抗するために十分に大きい圧縮力を有している。
【0017】
溶融金属によってサンプルキャビティが満たされるとき、溶融金属はカバープレートの第1面に対して動きを止め、それによって直接分析サンプルの分析表面を形成する。分析表面は、サンプルの離型後に分析される表面である。
【0018】
「キャビネット」との用語は、分析手段を遮蔽するとともに、ほこりや汚染粒子への分析手段の暴露を低減または防止する少なくとも分析手段の囲いを指すために使用されることができる。キャビネットは、メンテナンスを容易にするためのドアを有することができるとともに、例えば冷却及び加熱等の順応手段を有すると予見され得る。また、キャビネットは、移送手段の手段によってキャビネット空間にサンプルハウジングを入れるための開口部を備える。待機操作中、移送手段の少なくとも一部を開口部に配置して、埃や汚染粒子がキャビネットに入るリスクを減らすことができる。
【0019】
サンプルハウジングを保持し移送するように適合された「移送手段」との用語は、好ましくは2つのクランプの間にサンプルハウジングをクランプすることによってサンプルハウジングを保持するとともに、露出された分析表面を分析するためにキャビネットの内部に向けて保持されたサンプルハウジングを移送する機構を指すために使用され得る。なお、「移送手段」は、収容容器内にサンプルハウジングを落とすことができるように、例えば1つ又は両方のクランプを開くことによって、分析後にサンプルハウジングを破棄するように適合することもできる。
【0020】
サンプル離型位置は、封鎖手段が取り外されるとともに、分析表面が露出されるキャビネットの外側の位置であり得る。1つの例において、離型位置は、サンプルハウジングが移送手段に挿入される挿入位置と同じ位置であり得る。別の例では、サンプルチャンバアッセンブリ又は少なくともサンプルハウジングが挿入位置、離型位置及び分析位置の間を移送される場合、離型位置及び挿入位置が異なる位置であり得る。
【0021】
移送手段は、例えば滑走面/トラックまたはスライドカム等のスライダシステムに取り付けられた少なくとも2つのクランプ又はブラケットによって実現され得る。スライダシステムによって、スライダシステムの所定経路に沿ってクランプがスライドすることができる。移送手段は、例えば、サンプルハウジングの存在を検出するためのアクチュエータを備えることができる。アクチュエータは、サンプルハウジングを保持するために、2つのクランプの相対移動を引き起こすスプリング式メカニズム又は電子センサであり得る。移送手段は、サンプルの分析表面の少なくとも一部を露出するための離型中、及び分析表面を分析するために分析手段が位置されたシールされたキャビネットに向けて及びキャビネット内にサンプルハウジングを移送する間、サンプルハウジングを保持することができる。
【0022】
少なくとも封鎖手段を取り外しサンプルの分析表面の少なくとも一部を露出させるように適合された「離型手段」は、封鎖手段を自動的に取り外すように適合された機構を指すために使用することができる。一例において、離型手段は、サンプルチャンバアッセンブリを突き抜く(penetrate)こともできる。例えばサンプルチャンバアッセンブリの材料の一部(例えばカバープレート等)を取り外すか又はずらし、サンプルの分析表面の少なくとも一部を露出させる。例えば、離型手段は、ブレード、ピン、ロッド、ピストン、又は封鎖手段及び/若しくはカバープレートを取り外すために使用することができる何らかの適切な装置によって実現され得る。例えば、離型手段は、支持面をさらに備えることができる。サンプルチャンバアッセンブリのカバープレートが支持面に面するとともに支持面に接触した状態で、支持面の上にサンプルチャンバアッセンブリが配置され得る。例えばクランプ等の封鎖手段が取り外されると、移送手段によってサンプルハウジングが依然として保持されている間、支持手段を後方/前方、側方又は下方に引き込めて、カバープレートが重力により外れ、好ましくは下方に配置された収集容器内にカバープレートが落ちることができるようにすることができる。選択的に又はさらに、離型手段は、カバープレートを機械的に取り外すために他のブレードピン、ロッド、ピストン等をさらに含むこともできる。
【0023】
有利には、カバープレートの取り外しは、分析表面に機械的に接触することなしに行われるが、代わりに、カバープレートを分析表面から持ち上げるか、または封鎖手段が取り外されたらそれ自体を分離させる。従って、カバープレートを取り外しても、サンプルの分析表面に摩耗又は摩擦が生じることはない。
【0024】
一例において、移送手段は、輸送手段は、サンプルハウジングの横方向への移動を妨げるために、好ましくは少なくとも部分的に第2クランプに平行に配置された当接面を含むことができる。
【0025】
例えば、当接面は、強固に配置することができる。当接面と第1及び/又は第2クランプとの間の距離は、サンプルハウジングの幅に一致するように選択できる。有利には、当接面によって、サンプルチャンバアッセンブリは、より容易に装置内に位置され得る。
【0026】
有利には、本発明は、サンプルの分析表面の汚染リスクを大幅に低減しながら、迅速かつ効率的な方法でサンプルを離型及び分析することができる装置を提供する。また、サンプルを採取してからサンプルを分析するまでの時間を、従来技術から知られている技術と比較して大幅に短縮することができる。
【0027】
一例において、離型手段は、離型位置と分析位置とによって形成された軸に関連する少なくとも横方向又は縦方向に配置、好ましくは移動可能に配置された少なくとも1つのブレードを備える。
少なくとも1つのブレードは、
(1)サンプルチャンバアッセンブリの表面上を移動して、サンプルハウジング及びカバープレートを共に保持するサンプルチャンバアッセンブリの封鎖手段(好ましくはクランプ又はブレース)を取り外すか、又は
(2)サンプルチャンバアッセンブリの表面上を移動して封鎖手段を取り外すとともに、好ましくはサンプルハウジングとカバープレートとの間の位置で、サンプルチャンバアッセンブリを突き抜き、サンプルハウジングからカバープレートを取り外し、サンプルの分析表面の少なくとも一部を露出させる
ように適合されている。
【0028】
ここで、「横方向」との用語は、移送手段の移動方向に垂直な方向を指すために使用することができる。移送手段は、少なくともサンプル離型位置とサンプル分析位置との間を移動することができる。「縦方向」との用語は、輸送手段の移動方向におけるサンプル離型位置とサンプル分析位置との間の想像線上の移動方向を指すために使用することができる。
【0029】
離型のために、ブレードは、サンプルハウジングの表面上を直接移動するか、又はブレードとサンプルハウジングの表面との間に距離を置いて移動して、封鎖手段の少なくとも一部を保持し、ブレードの移動中にサンプルハウジングから封鎖手段を取り外すことができる。さらに、ブレードまたはブレードに関連付けられた別のブレードは、サンプルチャンバアッセンブリの材料中を移動してサンプルチャンバアッセンブリの少なくとも一部を分離して分析表面を露出させるなど、サンプルチャンバアッセンブリを突き抜くこともできる。
【0030】
有利には、離型は、オペレータの何らの干渉なしに、自動的に実施され得る。
【0031】
一例において、離型手段は、サンプルが移送手段によって保持されているときに、サンプルチャンバアッセンブリのカバープレートの少なくとも一部を支持する少なくとも1つの支持面を備える。支持面は、重力によりサンプルハウジングからカバープレートが分離することができるように、移動可能に配置されている。
【0032】
支持面は、封鎖手段を取り外すためにサンプルチャンバアッセンブリが保持されるときに、サンプルチャンバアッセンブリが置かれる面であり得る。サンプルチャンバアッセンブリは、サンプルチャンバアッセンブリのカバープレートが支持面上に置かれるように位置され得る。封鎖手段が取り外されると、例えば持ち上げ、スライド又は旋回により支持面を遠ざける等により支持面が取り外されることができ、それによってカバープレートが脱落して分析表面を露出させることができる。従って、移動可能に配置された支持面は、移送手段によって保持されたサンプルチャンバアッセンブリに関連して移動可能に配置されていると理解することができる。
【0033】
一例において、移送手段は、サンプルハウジングを保持するとともに、離型位置及び分析位置の両方から少なくとも前後方向のサンプルハウジングの動きを止めるための第1クランプ及び第2クランプを備え、第1クランプ及び第2クランプは、サンプル離型位置とサンプル分析位置との間のサンプルハウジングの移送のために前後方向に移動可能に配置されており、第2クランプは、少なくとも部分的に第1クランプの反対側に配置されており、好ましくは第1クランプ又は第2クランプは、第1クランプ又は第2クランプとサンプルハウジングとの接触を検出するためのセンサ手段をさらに備える。
【0034】
上述のように、2つのクランプは、スライダシステムの経路に沿ってクランプがスライドすることを可能とする例えば滑走面/トラックまたはスライドカム等のスライダシステムに取り付けられ得る。スライダシステムは、オペレータにより第1クランプと第2クランプとの間の空間にサンプルチャンバアッセンブリが位置され得る例えばサンプルベイ等の挿入位置から、サンプルの分析表面が分析される分析手段まで延在することができる。ここで、「前後方向」との用語は、サンプルベイから分析手段まで延びる軸に沿う前後方向を指すために使用することができる。
【0035】
第1クランプ及び第2クランプは、スライダシステム上で互いに独立して動くことができるか、又は例えば、第1クランプ及び第2クランプが1つの材料から製造されているときなど、一緒に動くことができる。本発明の例において、第1及び第2クランプは、手動、機構、又は例えば電気、空気圧駆動若しくはモーター等の駆動装置により移動され得る。本発明の一例において、第2クランプよりも分析手段の近くに位置された第1クランプは、接触又は近接センサなどのセンサ手段を備え、代替的に、機械的スプリング付勢機構を使用することもできる。センサ手段又は機械的スプリング付勢機構は、第1クランプと第2クランプとの間に位置されたサンプルハウジングを検出することができる。第1クランプと第2クランプとの間のサンプルハウジングを検出すると、少なくとも1つのクランプ又は両方のクランプが互いに近づく方向に動き、サンプルハウジングを保持することができ、及び/又はサンプルハウジングを保持するためにロッキング手段を使用することができる。
【0036】
一例において、第2クランプは、サンプルハウジングがロッキング手段を通過して第1クランプに向かって移動することを可能にするとともに、サンプルハウジングの逆方向の移動を妨げるように適合されたロッキング手段、好ましくはスプリングによって付勢されたラッチを備える。好ましくは、第1クランプは、前後方向のサンプルハウジングの移動を妨げるように適合された他のロッキング手段、好ましくは他のスプリングによって付勢されたラッチを備える。
【0037】
ロッキング手段は、第1クランプに面する第2クランプの側面上に配置され得る。ロッキング手段は、トグルレバー又はロッカーレバー等のラッチを備えることができる。ラッチによって、少なくとも水平面内で第1クランプに向かってサンプルハウジングを移動させることができ、サンプルハウジングがロック手段を通過したとき、サンプルハウジングがロックされて元に戻れないように、ロッキング手段のスプリング又はアクチュエータがレバーを作動させることができる。一例において、アクチュエータが使用されているとき、アクチュエータのトリガー手段は、上述の例において説明されているセンサ手段と結合され得る。第1クランプと第2クランプとの間のサンプルハウジングの存在が検出されると、トリガー手段は、第1クランプと第2クランプとの間でサンプルハウジングがロックされるように、アクチュエータにレバーをロックさせることができる。代替的に、サンプルハウジングがレバーを通過する間にレバーを引き込むことにより圧縮されるスプリングは、第1クランプと第2クランプとの間にサンプルハウジングがロックされるように、レバーを再び動かすために再び拡張されることができる。
【0038】
代替的又は追加的に、ロッキング手段は、各空間方向のサンプルハウジングの移動を妨げるように配置されることもできる。
【0039】
有利には、ロック手段は、サンプルチャンバアッセンブリを装置に容易に装填し、離型および分析中にサンプルハウジングを確実に保持及び移送することを可能にする。
【0040】
他の例において、移送手段は、ロッキング手段を備えるとともにサンプルハウジングを保持する第1クランプ及び第2クランプを分析手段に向かう前方向に移動させることができる少なくとも1つの駆動手段、好ましくは電気モーターを備える。好ましくは、移送手段は、第2クランプから独立して第1クランプを動かすための第1駆動手段と、第1クランプから独立して第2クランプを動かすための第2駆動手段とを備える。
【0041】
電気モーター、手動力で作動可能な機械システム、又は空気圧システム等であり得る駆動手段によって、例えば滑空面/トラック又はスライドカム上を、クランプが移動可能であり得る。
【0042】
一例において、離型手段は、ブレード及び支持面を動かす、好ましくは連続的に動かすための作動手段を備え、作動手段は、第1位置と第2位置との間で、ブレード及び支持面を機械的に動かすためのハンドギア、又は空気圧若しくは電気的にブレード及び支持面を動かすプッシュロッドを備える。
【0043】
他の例において、作動手段は、第1位置と第2位置との間で動かされるように適合されており、第1位置において、サンプルハウジングを装填するために作動手段及びブレードが配置されているとともに、シールされたキャビネットの開口部内に少なくとも第1クランプが少なくとも部分的に配置されており、第2位置において、分析手段によってサンプルを分析するために作動手段及びブレードが配置されているとともに、シールされたキャビネットの開口部内に少なくとも第2クランプが少なくとも部分的に配置されている。
【0044】
作動手段は、第1位置と第2位置との間を移動するように適合され、第1位置において、サンプルハウジングを装填するために作動手段が配置され、シールされたキャビネットの開口部内に少なくとも第1クランプが少なくとも部分的に配置される。第1位置において、第1クランプと第2クランプとの間にサンプルハウジングが配置され得る。
【0045】
作動手段を動かすと、少なくとも離型手段が封鎖手段を取り外す。また、その動きにより、同時又は少し後に支持面が取り外されるか、またその動きにより、サンプルの分析表面の少なくとも一部を露出させるために、好ましくはサンプリングハウジングとカバープレートとの間の位置で、ブレードがサンプルチャンバアッセンブリを突き抜ける。
【0046】
第2位置において、分析手段によってサンプルを分析するために作動手段が配置され、シールされたキャビネットの開口部内に少なくとも第2クランプが少なくとも部分的に位置される。第2位置において、キャビネットの開口部内に少なくとも第2クランプが少なくとも部分的に位置される間、離型されたサンプルハウジングは、第1及び第2クランプによって分析のためにキャビネットの内部に移送され得る。例えば、第1及び第2クランプは、両方ともキャビネットの内部に向かって移動され、第1クランプは分析手段を通過して分析面を分析手段の上に配置し、第1クランプとともにサンプルハウジングを保持する、第2クランプは開口部内に移動される。
【0047】
有利には、2つの位置のいずれかの1つにおいてキャビネットの開口部に第1クランプ又は第2クランプを配置することにより、分析結果を改ざんする虞がある、キャビネットに侵入するほこり等の不要な粒子の数を減らすことができる。
【0048】
別の例において、少なくとも、装置の静的部分に取りつけられた第1ダストカバー、及びブレードか、又はブレードに機械的に関連付けられるとともにブレードとともに動く可動部に取り付けられた第2ダストカバー。第1及び第2ダストカバーの少なくとも一部は、作動手段が第1位置にあるとき、サンプルチャンバアッセンブリの装填を可能とするように離間して配置され、作動手段が第2位置にあるとき、少なくとも部分的に重ねられ、好ましくは、ブラシシール等の少なくとも1つのダストシールが第1及び第2ダストカバーのいずれか一方に配置されて、第1及び第2ダストカバーが重ねられているとき、第1及び第2ダストカバー間の残りのスペースをシールする。
【0049】
有利には、第1及び第2ダストカバーを使用することにより、シールされたキャビネットに侵入するほこり等の不要な粒子の数をさらに減らすことができる。
【0050】
本発明の一例において、第1ダストカバーは、サンプルチャンバアッセンブリを移送手段に挿入するための挿入開口を備え、第2ダストカバーは、作動手段が第2位置にあるとき挿入開口に重なる。
【0051】
別の例において、分析手段は、発光分光計、好ましくは、スパーク発光分光計、より好ましくは、発光分光計の接触電極に対して距離をおいてサンプルの分析表面を保持するためのスプリングを備え、スプリングが圧縮状態である時にサンプルの分析表面との電気的接続を確立するように適合されているトップロード型発光分光計、最も好ましくは、発光分光計の接触電極に対して好ましくは1mm未満の距離をおいてサンプルの分析表面を保持するために100ニュートン未満、好ましくは10ニュートン未満の力を有するスプリングを備えるトップロード型発光分光計を備えている。
【0052】
発光分光法は、組成の知識が望まれるターゲットサンプルの原子を励起し、励起状態から低エネルギー状態への遷移中に原子によって放出される光子の波長を調べることを伴う。周期表の各要素は、その原子が励起状態から低エネルギー状態に戻ると、個別の波長の特性セットを放出する。それらの波長を検出し分析することにより、サンプルの元素組成は検量線に従って決定することができ、これによりスペクトル強度比と標準サンプルの元素濃度との関係が示される。
【0053】
スペクトル光は、レーザーやX線等の電磁放射の照射によって生成されるが、通常、元素組成の知識が望まれるターゲットに入射するスパークジェネレーターによって生成される短いスパークによって発光分光法で生成される。この場合、ターゲットは、サンプル、具体的にはサンプルの分析面である。スパークジェネレーター、その強度、及びそのパルスレジームは、特定の発光分光機器によって異なる。スパークエネルギー入力に関係なく、このような発光分光計の精度及び信頼性は、サンプルから放出される放射線を受け取るために使用される光学系及び検出器の精度と品質、およびサンプル自体の均一性に依存することが知られている。
【0054】
発光分光分析手順は、サンプルの分析面を下向きにした状態で導電性サンプルを分析機器、すなわち発光分光計のステージの所定の領域に配置することから始まる。より具体的には、サンプルは、分光計の分析開口部にまたがって閉じるように配置され、サンプルの分析表面にアノードがほぼ接する。サンプルの望ましい配置及びアノードと分析表面との近接が達成されると、しばしば接触電極と呼ばれるアノードと、分光器ステージに電気的に接続された導電性金属サンプルとの間でスパークが放電される。この接続は、ほとんどの場合、重力と例えばプッシュロッド等の小さな負荷との組み合わせで行われる。光学検出器は、分析面の掘削された材料から放射された光を受け取る。アノードとサンプルとの間の空間によって部分的に形成されるスパークチャンバーは、アルゴン又は他の不活性ガスにより連続的にパージして、誤った分析値につながる空気の侵入を防ぐ。
【0055】
一例において、装置は、緩く付着した粒子を除去するためにサンプルの分析表面にパージガスを吹き付けるための手段を備える。
【0056】
例えば、パージガスを吹き付ける手段は、離型位置と分析位置との間に配置されたガスノズルを備える。一例において、ガスノズルは、キャビネットにサンプルハウジングを入れるための開口部においてキャビネットの内部に配置されるとともに、サンプルハウジングがガスノズルを通過するときに、サンプルの分析表面に短いガスパージを吹き付けて、緩く付着した粒子をサンプルから除去するように配置され得る。
【0057】
本発明は、直接分析サンプルを離型して分析するためのシステムにも関連する。システムは、上述のいずれかのクレームに係る装置、及びサンプルチャンバアッセンブリ内に収められた溶融金属材料により形成されるとともに、少なくともサンプルハウジング、カバープレート及び封鎖手段を含む直接分析サンプルを備え、サンプルハウジング内で固化した溶融金属の質量に対するサンプルハウジングの質量の比は、5より高く、好ましくは9より高い。
【0058】
また、本発明は、サンプルチャンバアッセンブリ内に収められた溶融金属材料により形成されるとともに、少なくともサンプルハウジング、カバープレート及び封鎖手段を含む直接分析サンプルを離型して分析するための方法にも関連する。方法は、
少なくともサンプル離型位置とサンプル分析位置との間でサンプルハウジングを保持するとともに移送するステップであって、サンプル離型位置及びサンプル分析位置が互いに異なる、ステップと、
サンプル離型位置において、封鎖手段を取り外し、サンプルの分析表面の少なくとも一部を露出させるステップと、
キャビネットの開口部を通して離型位置から分析位置にサンプルハウジングが移送された後に、キャビネットの内部に位置された分析手段によって、分析位置のサンプルの分析表面を分析するステップと
を含む。
【0059】
一例において、保持及び移送するステップは、第1クランプと第2クランプとの間にサンプルハウジングを保持して、少なくとも前後方向のサンプルハウジングの動きを止めることを含む。
【0060】
一例において、封鎖手段を取り外すステップは、
第1及び第2クランプに関連して少なくとも横方向又は縦方向に移動可能に配置された少なくとも1つのブレードを移動させることであって、
(1)サンプルチャンバアッセンブリの表面上を移動させて、サンプルハウジング及びカバープレートを共に保持するサンプルチャンバアッセンブリの封鎖手段(好ましくはクランプ又はブレース)を取り外すか、又は
(2)サンプルチャンバアッセンブリの表面上を移動させて封鎖手段を取り外すとともに、好ましくはサンプルハウジングとカバープレートとの間の位置で、サンプルチャンバアッセンブリを突き抜き、サンプルハウジングからカバープレートを取り外し、サンプルの分析表面の少なくとも一部を露出させること、及び
少なくとも横方向に支持面を移動させて、重力によりサンプルハウジングからカバープレートを分離することを可能にすること
を含む。
【0061】
一例において、サンプルハウジングを保持及び移送するステップは、封鎖手段及びカバープレートを取り外した後に、接触、摩耗及び/又は摩擦無しにサンプルの分析表面が保持されて移送されるように、サンプルの分析表面が周囲の物体から離された状態で、サンプルハウジングを保持及び移送することを含む。
【0062】
以下の概略図は、いくつかの例示的な図に関連して本発明の理解を改善するための本発明の態様を示している。