(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
部品を採取可能な複数の採取部材を所定の円周に沿って所定の間隔で保持する正逆回転可能なヘッド本体を有し、前記ヘッド本体を回転させることにより前記複数の採取部材を旋回させるヘッドユニットと、
前記ヘッドユニットを移動させる移動装置と、
前記ヘッド本体とは独立して前記ヘッドユニットに設けられ、前記複数の採取部材のうち前記ヘッドユニットの所定位置に位置する採取部材を昇降させる昇降装置と、
前記所定位置に位置する採取部材に対して部品を供給可能な複数の部品供給装置と、
前記ヘッド本体を回転させる動作と前記ヘッドユニットを移動させる動作を伴いながら、前記所定位置に位置する採取部材が前記部品供給装置によって供給された部品を採取し、採取終了後に各部品を基板に装着するよう、前記ヘッド本体、前記移動装置、前記昇降装置及び前記部品供給装置を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、部品採取時及び部品装着時の少なくとも一方において、前記ヘッド本体の回転方向を反転させる動作及び前記ヘッド本体を前記間隔のn倍(nは2以上の整数)回転させる動作の一方又は両方が行われるように制御し得るものであり、
前記採取部材は、圧力によって部品の吸脱着を行うノズルであり、
前記ヘッド本体は、前記ノズルに供給する圧力の正負を切り替える操作レバーを前記採取部材ごとに備え、
前記ヘッドユニットは、前記操作レバーと係合して前記操作レバーを操作するレバー係合部を前記ヘッド本体と独立して備え、
前記レバー係合部は、正方向に回転している前記ヘッド本体に装備されている部材と干渉したときには前記部材に押される方向へ回転して退避し、逆方向に回転している前記ヘッド本体に装備されている部材と干渉したときには前記部材に押される方向へ回転して退避する、
部品実装機。
前記制御装置は、部品採取時において、前記ヘッド本体が前記間隔ずつ一方向に回転しながら前記採取部材が部品を順次採取する場合よりも有利な採取順がある場合には、前記有利な採取順を採用する、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の部品実装機。
前記制御装置は、部品装着時において、前記ヘッド本体が前記間隔ずつ一方向に回転しながら前記採取部材に採取された部品を前記基板に順次装着する場合よりも有利な装着順がある場合には、前記有利な装着順を採用する、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の部品実装機。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の部品実装機の好適な実施形態について図面を参照しながら以下に説明する。なお、
図1の左右方向がX軸方向であり、前後方向がY軸方向であり、上下方向がZ軸方向である。
【0010】
部品実装機10は、
図1に示すように、部品供給装置20と、基板搬送装置25と、XYロボット30と、ヘッドユニット40と、制御装置80(
図9参照)とを備えている。
【0011】
部品供給装置20は、部品が収容されたテープ21をリール22から引き出してピッチ送りすることで、部品を部品供給位置に供給するテープフィーダとして構成されている。この部品供給装置20は、
図2に示すように、底面にレール部材20aを備え、このレール部材20aを部品実装機10の前側に配置されたフィーダ台23のスロット24に、前から後へスライドさせることによりセットされる。部品供給装置20は、フィーダ台23に左右方向(X軸方向)に並ぶように複数セットされる。なお、部品供給装置20は、部品のサイズによって2以上のスロット24にまたがってセットされることもある。
【0012】
基板搬送装置25は、
図1に示すように、前後に間隔を開けて設けられ左右方向に架け渡された1対のコンベアベルト26,26(
図1では一方のみ図示)を有している。基板Sはこのコンベアベルト26,26により搬送されて所定の取込位置に到達すると、裏面側に多数立設された支持ピン27によって支持される。
【0013】
XYロボット30は、
図1に示すように、前後方向(Y軸方向)に沿って設けられた左右一対のY軸ガイドレール33,33と、左右一対のY軸ガイドレール33,33に架け渡されたY軸スライダ34とを備えている。また、XYロボット30は、Y軸スライダ34の前面に左右方向(X軸方向)に沿って設けられたX軸ガイドレール31,31と、X軸ガイドレール31,31に取り付けられたX軸スライダ32とを備えている。X軸スライダ32は、X軸モータ36(
図9参照)の駆動によってX軸方向に移動可能であり、Y軸スライダ34は、Y軸モータ38(
図9参照)の駆動によってY軸方向に移動可能である。なお、X軸スライダ32は、X軸位置センサ37(
図9参照)によりX軸方向の位置が検知され、Y軸スライダ34は、Y軸位置センサ39(
図9参照)によりY軸方向の位置が検知される。X軸スライダ32にはヘッドユニット40が取り付けられている。ヘッドユニット40は、XYロボット30を駆動制御することにより、XY平面上の任意の位置に移動される。
【0014】
ヘッドユニット40は、
図3に示すように、ヘッド本体41と、弁駆動装置46と、R軸駆動装置50と、Q軸駆動装置60と、Z軸駆動装置70とを備えている。
【0015】
ヘッド本体41は、円柱状の回転体であり、ノズルホルダ42と、ノズル44と、弁操作レバー45とを備えている。ノズルホルダ42は、ヘッド本体41の円周方向に所定間隔で複数(ここでは中心角45°毎に8個)設けられている。ノズル44は、各ノズルホルダ42の先端部に交換可能に取り付けられている。ノズル44は、図示しない圧力調整弁を介して負圧が供給されると部品を吸着し、正圧が供給されると部品を放す。弁操作レバー45は、圧力調整弁を操作するレバーであり、ヘッド本体41の円周に沿ってノズル44ごとに設けられている。弁操作レバー45は、オルタネイト方式のレバーで、ノズル44に負圧を供給する負圧供給位置とノズル44に大気圧を供給する大気圧供給位置とノズル44に正圧を供給する正圧供給位置との間で切り替え可能となっている。
【0016】
弁駆動装置46は、弁操作レバー45の旋回(公転)軌道上の2箇所に設けられ、2箇所において弁操作レバー45を個別に昇降可能なように構成されている。本実施形態では、弁駆動装置46は、ヘッド本体41の中心を挟んで左右に対向するように設けられている。弁駆動装置46は、弁操作レバー45の水平面を上下から挟み込むレバー挟持部46aを備え、レバー挟持部46aを昇降させることにより、弁操作レバー45をいずれかの位置に位置決めする。レバー挟持部46aは、
図4に示すように、バネを介して垂直軸47の周りに回動可能に取り付けられ、通常はヘッド本体41の円柱側面に対して略垂直になる姿勢で保持されている。ここで、
図5に示すように、ヘッド本体41は時計回りCW(正方向)にも反時計回りCCW(逆方向)にも回転可能である。また、レバー挟持部46aは、通常はバネにより
図5の実線で示す位置に保持されている。ヘッド本体41が時計回りCWに回転しているときに、何らかの事情により、ヘッド本体41に取り付けられた部材(例えば弁操作レバー45)がレバー挟持部46aに干渉(接触)すると、レバー挟持部46aはその部材に押されて回転し、第1の退避位置(
図5の1点鎖線参照)に至る。また、ヘッド本体41が反時計回りCCWに回転しているときに、何からの事情により、ヘッド本体41に取り付けられた部材(例えば弁操作レバー45)がレバー挟持部46aに干渉(接触)すると、レバー挟持部46aはその部材に押されて回転し、第2の退避位置(
図5の2点鎖線参照)に至る。レバー挟持部46aは、いずれかの退避位置に至ったあとバネにより通常位置(
図5の実線)に自動復帰する。なお、以下には、ヘッドユニット40の左側に設けられた弁駆動装置46を第1弁駆動装置46A、右側に設けられた弁駆動装置46を第2弁動装置45Bと称することがある。
【0017】
R軸駆動装置50は、
図3に示すように、R軸51と、R軸モータ54と、R軸位置センサ55(
図9参照)とを備えている。R軸51は、上下方向に延び、下端がヘッド本体41の中心軸に取り付けられている。R軸モータ54は、R軸51の上端に設けられたR軸ギヤ52に噛み合うギヤ53を回転駆動する。R軸位置センサ55は、R軸モータ54の回転位置を検知する。R軸駆動装置50は、R軸モータ54によりギヤ53,R軸ギヤ52を介してR軸51を回転駆動することにより、ヘッド本体41に支持された複数のノズルホルダ42を複数のノズル44と共に円周方向に旋回(公転)させる。すなわち、ノズル44は所定間隔毎に間欠回転する。ヘッド本体41は、上からみて時計回りCW(正方向)にも反時計回りCCW(逆方向)にも旋回可能である。本実施形態では、ノズルホルダ42及びノズル44の数が8個であるため、中心角45°毎に間欠回転する。
【0018】
Q軸駆動装置60は、上下2段のQ軸ギヤ61,62と、ギヤ63,64と、Q軸モータ65と、Q軸位置センサ66(
図9参照)とを備えている。上下2段のQ軸ギヤ61,62は、R軸51に対して同軸かつ相対回転可能に挿通されている。ギヤ63は、各ノズルホルダ42の上部に設けられ、下段のQ軸ギヤ61と上下方向にスライド可能に噛み合っている。Q軸モータ65は、上段のQ軸ギヤ62に噛み合うギヤ64を回転駆動する。Q軸位置センサ66は、Q軸モータ65の回転位置を検知する。Q軸駆動装置60は、Q軸モータ65によりQ軸ギヤ61,62を回転駆動することにより、Q軸ギヤ61と噛み合うギヤ63を回転させて、各ノズルホルダ42をその中心軸回りに同一回転方向に同一回転量でもって回転させる。これに伴い、ノズル44も回転(自転)する。
【0019】
Z軸駆動装置70は、ノズルホルダ42の旋回(公転)軌道上の2箇所に設けられ、2箇所においてノズルホルダ42を個別に昇降可能に構成されている。本実施形態では、Z軸駆動装置70は、ヘッド本体41の中心を挟んで左右に対向するように設けられている。Z軸駆動装置70は、Z軸スライダ71と、Z軸モータ73と、Z軸位置センサ74(
図9参照)とを備えている。Z軸スライダ71は、上下方向に延びるボールネジ72に昇降可能に取り付けられている。Z軸スライダ71は、ノズルホルダ42から横向き(ヘッド本体41の円柱側面に対して垂直な方向)に延び出した係合片42aの水平面を挟み込む係合片挟持部71aを備えている(
図6参照)。Z軸モータ73は、ボールネジ72を回転させることによりZ軸スライダ71を昇降させる。Z軸位置センサ74は、Z軸スライダ71の昇降位置を検知する。Z軸駆動装置70は、Z軸モータ73を駆動してZ軸スライダ71をボールネジ72に沿って昇降させることにより、Z軸スライダ71と一体化されたノズルホルダ42及びノズル44を昇降させる。ノズルホルダ42がヘッド本体41と共に回転してZ軸駆動装置70の配置された箇所(昇降位置75、
図3参照)に位置すると、そのノズルホルダ42の係合片42aがZ軸スライダ71の係合片挟持部71aに挟み込まれる。また、ノズルホルダ42が昇降位置75から離れると、そのノズルホルダ42の係合片42aがZ軸スライダ71の係合片挟持部71aから抜け出る。ノズルホルダ42は、上端がギヤ63と接触し下端がヘッド本体41の上面に接触しているスプリング42bに挿通されている。そのため、係合片42aは、係合片挟持部71aに挟み込まれていない状態ではスプリング42bによって上下方向の定位置に位置決めされる。Z軸駆動装置70はノズル昇降装置に相当する。なお、以下には、ヘッドユニット40の左側に設けられたZ軸駆動装置70を第1Z軸駆動装置70A、右側に設けられたZ軸駆動装置70を第2Z軸駆動装置70Bと称することがある。
【0020】
ここで、
図7に示すように、ヘッド本体41は時計回りCW(正方向)にも反時計回りCCW(逆方向)にも回転可能である。また、係合片挟持部71aは、垂直軸71bの周りに回転可能に取り付けられているが、通常はバネ等により
図7の実線で示す姿勢(ヘッド本体41の円柱側面に対して略垂直になる姿勢)に保持されている。ヘッド本体41が時計回りCWに回転しているときに、何らかの事情により、ヘッド本体41に取り付けられた部材(例えば係合片42a)が係合片挟持部71aに干渉(接触)すると、係合片挟持部71aはその部材に押されて回転し、第1の退避位置(
図7の1点鎖線参照)で保持される。また、ヘッド本体41が反時計回りCCWに回転しているときに、何らかの事情により、ヘッド本体41に取り付けられた部材(例えば係合片42a)が係合片挟持部71aに干渉(接触)すると、係合片挟持部71aはその部材に押されて回転し、第2の退避位置(
図7の2点鎖線参照)で保持される。係合片挟持部71aは、第1及び第2の退避位置に保持されているときには、ヘッド本体41が正逆いずれの方向に回転したとしても他の部材と干渉することはない。なお、いずれかの退避位置にある係合片挟持部71aはオペレータが手で操作することにより容易に通常位置(
図7の実線)に戻すことができる。
【0021】
図8に示すヘッド本体41の平面図では、8個のノズル44が等間隔に配置されている。この8個のノズル44を、説明の便宜上、ノズル441〜448と称する。ノズル441とノズル445とはヘッド本体41の中心軸を挟んで互いに対向している。そのため、ノズル441とノズル445を同じ組のノズルと称する。ノズル442とノズル446、ノズル443とノズル447、ノズル444とノズル448も、同様である。また、例えば、ノズル441が第1Z軸駆動装置70Aによって駆動される昇降位置75に配置されると、ノズル445が第2Z軸駆動装置70Bによって駆動される昇降位置75に配置される。そのため、同じ組のノズルは、第1及び第2Z軸駆動装置70A,70Bによって同時に昇降可能である。
【0022】
側面カメラ48は、
図3及び
図8に示すように、ノズル44による吸着動作の実行後に当該ノズル44の部品吸着有無や部品吸着姿勢を判定するために、当該ノズル44の先端部付近を側方から撮像するものである。本実施形態では、側面カメラ48は、第1Z軸駆動装置70Aの近傍の2箇所と、第2Z軸駆動装置70Bの近傍の2箇所に設けられている。以下には、第1Z軸駆動装置70Aの近傍の2つの側面カメラ48を第1側面カメラ48A、第2Z軸駆動装置70Bの近傍の2つの側面カメラ48を第2側面カメラ48Bと称する。ノズル44が第1Z軸駆動装置70Aにより下降されて吸着動作を実行した後、当該ノズル44が時計周りへ1つ先に旋回されたときには一方の第1側面カメラ48Aで当該ノズル44を撮像可能であり、当該ノズル44が反時計周りへ1つ先に旋回されたときには他方の第1側面カメラ48Aで当該ノズル44を撮像可能である。また、ノズル44が第2Z軸駆動装置70Bにより下降されて吸着動作を実行した後、当該ノズル44が時計周りへ1つ先に旋回されたときには一方の第2側面カメラ48Bで当該ノズル44を撮像可能であり、当該ノズル44が反時計周りへ1つ先に旋回されたときには他方の第2側面カメラ48Bで当該ノズル44を撮像可能である。
【0023】
制御装置80は、
図9に示すように、CPU81を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU81の他に、ROM82やHDD83、RAM84、入出力インタフェース85などを備える。これらはバス86を介して接続されている。制御装置80には、XYロボット30(X軸位置センサ37やY軸位置センサ39)からの検知信号やヘッドユニット40(R軸位置センサ55やQ軸位置センサ66、Z軸位置センサ74)からの検知信号、側面カメラ48からの画像信号などが入出力インタフェース85を介して入力される。また、制御装置80からは、部品供給装置20への制御信号や基板搬送装置25への制御信号、XYロボット30(X軸モータ36やY軸モータ38)への制御信号、ヘッドユニット40(R軸モータ54やQ軸モータ65、Z軸モータ73、弁駆動装置46)への制御信号、側面カメラ48への制御信号などが入出力インタフェース85を介して出力される。
【0024】
次に、部品実装機10が部品実装処理を行うときの動作について説明する。制御装置80のCPU81は、図示しない管理装置から受信した生産プログラムに基づいて、部品実装機10の各部を制御して複数の部品が実装された基板Sを生産する。具体的には、CPU81は、部品実装処理ルーチンのプログラムをHDD83から読み出して実行する。
図10は、部品実装処理ルーチンのフローチャートである。
【0025】
まず、CPU81は、XYロボット30を制御してヘッドユニット40をフィーダ台23の上方に移動させ(S110)、順次、ノズル44に部品を吸着させる(S120)。S120では、CPU81は、XYロボット30やヘッドユニット40を制御して、2つのノズル44に同時に部品を吸着させたりヘッド本体41の回転を反転させたりノズル飛ばし(ヘッド本体41を90°以上回転させる動作)を行ったりしながら、順次、部品供給装置20によって供給される部品をノズル44に吸着させる。この点は後で詳述する。続いて、CPU81は、XYロボット30を制御してヘッドユニット40を基板Sの上方に移動させ(S130)、順次、ノズル44に吸着された部品を基板Sの所定位置に装着させる(S140)。S140では、CPU81は、XYロボット30やヘッドユニット40を制御して、ヘッド本体41の回転を反転させたりノズル飛ばしを行ったり第1及び第2Z軸駆動装置70A,70Bの使い分けを行ったりしながら、順次、ノズル44に吸着された部品を基板Sの所定位置に装着させる。この点も後で詳述する。その後、CPU81は、基板Sへ実装すべきすべての部品の装着が完了したか否かを判定し(S150)、完了していなければ再びS110以降の処理を実行し、完了したならば本ルーチンを終了する。
【0026】
次に、上述したS120の具体的な処理の一例について、
図11を用いて詳細に説明する。
図11はノズル441〜448に部品を吸着させる手順の説明図である。
図11では、フィーダ台23の#1〜#8のスロット24のうち、#2のスロット24には部品Aを部品供給位置20pに供給する部品供給装置20がセットされ、#3のスロット24には部品Bを部品供給位置20pに供給する部品供給装置20がセットされている。また、#4〜6のスロット24にまたがるように部品Cを部品供給位置20pに供給する部品供給装置20がセットされ、#7のスロット24には部品Dを部品供給位置20pに供給する部品供給装置20がセットされている。部品Cは他の部品A,B,Dよりもサイズが大きい。
【0027】
まず、CPU81は、2つの昇降位置75に位置するノズル441,445がそれぞれ部品B,Dに対向するようにし、第1及び第2Z軸駆動装置70A,70Bや第1及び第2弁駆動装置46A,46Bを制御してノズル441,445に部品B,Dを同時に吸着させる(
図11A参照)。続いて、CPU81は、ヘッド本体41を時計回りCWに45°回転させて、2つの昇降位置75にノズル442,446が位置し、ノズル442,446がそれぞれ部品B,Dに対向するようにし、その状態で、ノズル442,446に部品B,Dを同時に吸着させる(
図11B参照)。同時に、側面カメラ48A,48Bでノズル441,445を撮像して部品の有無や姿勢をチェックする。続いて、CPU81は、ヘッド本体41を時計回りCWに45°回転させると共にX軸に−1ピッチ移動させて、2つの昇降位置75にノズル443,447が位置し、ノズル443が部品Aに対向するようにし、その状態で第1Z軸駆動装置70A及び第1弁駆動装置46Aを制御してノズル443に部品Aを吸着させる(
図11C参照)。同時に、側面カメラ48A,48Bでノズル442,446を撮像して部品の有無や姿勢をチェックする。なお、X軸に沿って左方向に移動する場合をマイナス、右方向に移動する場合をプラスで表記する。また、X軸の1ピッチは、隣接する2つのスロット24の中心間距離である。続いて、CPU81は、ヘッド本体41を時計回りCWに45°回転させて、2つの昇降位置75にノズル444,448が位置し、ノズル444が部品Aに対向するようにし、その状態で、ノズル444に部品Aを吸着させる(
図11D参照)。同時に、側面カメラ48Aでノズル443を撮像して部品の有無や姿勢をチェックする。続いて、CPU81は、ヘッド本体41を反時計回りCCWに45°回転させると共にX軸に−1ピッチ移動させて、2つの昇降位置75にノズル443,447が位置し、ノズル447が部品Cに対向するようにし、その状態で第2Z軸駆動装置70B及び第2弁駆動装置46Bを制御してノズル447に部品Cを吸着させる(
図11E参照)。同時に、側面カメラ48Aでノズル444を撮像して部品の有無や姿勢をチェックする。続いて、CPU81は、ヘッド本体41を時計回りCWに45°回転させて、2つの昇降位置75にノズル444,448が位置し、ノズル448が部品Cに対向するようにし、その状態で、ノズル448に部品Cを吸着させる(
図11F参照)。同時に、側面カメラBでノズル447を撮像して部品の有無や姿勢をチェックする。最後に、CPU81は、ヘッド本体41を時計回りCWに45°回転させて、側面カメラBでノズル448を撮像して部品の有無や姿勢をチェックする(
図11G参照)。このように、CPU81は、2つのノズル44に同時に部品を吸着させたりヘッド本体41の回転を反転させたりしながら、ノズル441〜448に部品吸着を行わせる。
【0028】
ここで、比較のため、CPU81がヘッド本体41の回転方向を反転させることなくノズル441〜448に部品吸着を行わせる場合の一例を、
図12を用いて以下に説明する。
図12もノズル441〜448に部品を吸着させる手順の説明図である。
図12A〜
図12Dは上述した
図11A〜
図11Dと同じであるため、以下には
図12D以降の手順について説明する。
図12Dの状態から、CPU81は、ヘッド本体41をX軸に−1ピッチ移動させて、2つの昇降位置75にノズル444,448が位置し、ノズル448が部品Cに対向するようにし、その状態で第2Z軸駆動装置70B及び第2弁駆動装置46Bを制御してノズル448に部品Cを吸着させる(
図12E参照)。続いて、CPU81は、ヘッド本体41を時計回りCWに45°回転させて、側面カメラA,Bでノズル444,448を撮像して部品の有無や姿勢をチェックする(
図12F参照)。続いて、CPU81は、ヘッド本体41を時計回りCWに270°回転させて、2つの昇降位置75にノズル443,447が位置し、ノズル447が部品Cに対向するようにし、その状態で、ノズル447に部品Cを吸着させる(
図12G参照)。最後に、CPU81は、ヘッド本体41を時計回りCWに45°回転させて、側面カメラBでノズル447を撮像して部品の有無や姿勢をチェックする(
図12H参照)。このように、
図12の手順では、ヘッド本体41を270°という大きな角度を回転させることになるため、
図11に比べて吸着所要時間が長くかかってしまう。
【0029】
次に、上述したS140の具体的な処理の一例について、
図13を用いて詳細に説明する。
図13はノズル441〜448に吸着された部品を基板Sに装着する手順の説明図である。
図13には、基板Sは、2つの小基板S1,S2に切断し得る2個取りの基板を例示する。小基板S1,S2は同じ位置に同じ部品が装着される基板であり、縦一列に部品A,B,C,Dが配置されるものとする。
図13では、未装着の部品の輪郭を点線で示し、装着済みの部品の輪郭を実線で示した。また、部品吸着完了後のノズル441〜448は
図11Gに示した状態となっており、この状態で基板Sの上方に移動してきたものとする。
【0030】
まず、CPU81は、左側の昇降位置75に位置するノズル445が小基板S1の部品Dの装着位置の直上に位置するようにし、第1Z軸駆動装置70Aや第1弁駆動装置46Aを制御してノズル445による部品Dの吸着を解除し、基板S1に部品Dを装着する(
図13A参照)。続いて、CPU81は、ヘッド本体41を時計回りCWに90°回転させると共にY軸に+1ピッチ移動させて、左側の昇降位置75にノズル447が位置し、そのノズル447が小基板S1の部品Cの装着位置の直上に位置するようにする。なお、Y軸に沿って前方に移動する場合をマイナス、後方に移動する場合をプラスで表記する。また、1ピッチは、前後に隣接する2つの部品位置の中心間距離である。その状態で、CPU81は、第1Z軸駆動装置70Aや第1弁駆動装置46Aを制御してノズル447による部品Cの吸着を解除し、基板S1に部品Cを装着する(
図13B参照)。続いて、CPU81は、ヘッド本体41を時計回りCWに90°回転させると共にY軸に+1ピッチ移動させて、左側の昇降位置75にノズル441が位置し、そのノズル441が小基板S1の部品Bの装着位置の直上に位置するようにする。その状態で、CPU81は、第1Z軸駆動装置70Aや第1弁駆動装置46Aを制御してノズル441による部品Bの吸着を解除し、基板S1に部品Bを装着する(
図13C参照)。続いて、CPU81は、ヘッド本体41を時計回りCWに90°回転させると共にY軸に+1ピッチ移動させて、左側の昇降位置75にノズル443が位置し、そのノズル443が小基板S1の部品Aの装着位置の直上に位置するようにする。その状態で、CPU81は、第1Z軸駆動装置70Aや第1弁駆動装置46Aを制御してノズル443による部品Aの吸着を解除し、基板S1に部品Aを装着する(
図13D参照)。
【0031】
続いて、CPU81は、ヘッド本体41を反時計回りCCWに45°回転させると共にY軸に−3ピッチ、X軸に+1ピッチ移動させて、右側の昇降位置75にノズル446が位置し、そのノズル446が小基板S2の部品Dの装着位置の直上に位置するようにする。その状態で、CPU81は、第2Z軸駆動装置70Bや第2弁駆動装置46Bを制御してノズル446による部品Dの吸着を解除し、基板S2に部品Dを装着する(
図13E参照)。続いて、CPU81は、ヘッド本体41を時計回りCWに90°回転させると共にY軸に+1ピッチ移動させて、右側の昇降位置75にノズル448が位置し、そのノズル448が小基板S2の部品Cの装着位置の直上に位置するようにする。その状態で、CPU81は、第2Z軸駆動装置70Bや第2弁駆動装置46Bを制御してノズル448による部品Cの吸着を解除し、基板S2に部品Cを装着する(
図13F参照)。続いて、CPU81は、ヘッド本体41を時計回りCWに90°回転させると共にY軸に+1ピッチ移動させて、右側の昇降位置75にノズル442が位置し、そのノズル442が小基板S2の部品Bの装着位置の直上に位置するようにする。その状態で、CPU81は、第2Z軸駆動装置70Bや第2弁駆動装置46Bを制御してノズル442による部品Bの吸着を解除し、基板S2に部品Bを装着する(
図13G参照)。続いて、CPU81は、ヘッド本体41を時計回りCWに90°回転させると共にY軸に+1ピッチ移動させて、右側の昇降位置75にノズル444が位置し、そのノズル444が小基板S2の部品Aの装着位置の直上に位置するようにする。その状態で、CPU81は、第2Z軸駆動装置70Bや第2弁駆動装置46Bを制御してノズル444による部品Aの吸着を解除し、基板S2に部品Aを装着する(
図13H参照)。このように、CPU81は、ヘッド本体41を90°(45°の2倍)回転させるというノズル飛ばしを行ったり、ヘッド本体41の回転を反転させたり、第1及び第2Z軸駆動装置70A,70Bを使い分けたりしながら、ノズル441〜448に吸着された部品を基板S上に装着する。このときのヘッド本体41の中心の軌跡を
図14に矢印で示す。
【0032】
ここで、比較のため、ノズル飛ばしやヘッド本体41の反転、第1及び第2Z軸駆動装置70A,70Bの使い分けを行うことなく、ノズル441〜448に吸着された部品を基板S上に装着する場合の一例について、
図15を用いて説明する。
【0033】
まず、CPU81は、左側の昇降位置75に位置するノズル445が小基板S1の部品Dの装着位置の直上に位置するようにし、第1Z軸駆動装置70Aや第1弁駆動装置46Aを制御してノズル445による部品Dの吸着を解除し、基板S1に部品Dを装着する(
図15A参照)。続いて、CPU81は、ヘッド本体41を時計回りCWに45°回転させると共にX軸に+4ピッチ移動させて、左側の昇降位置75にノズル446が位置し、そのノズル446が小基板S2の部品Dの装着位置の直上に位置するようにする。その状態で、CPU81は、第1Z軸駆動装置70Aや第1弁駆動装置46Aを制御してノズル446による部品Dの吸着を解除し、基板S2に部品Dを装着する(
図15B参照)。その後は、
図15C〜
図15Hに示すように、ヘッド本体41を時計回りCWに45°回転させると共に、適宜X軸やY軸に移動させながら、第1Z軸駆動装置70Aと第1弁駆動装置46Aを使って部品装着を行う。このときのヘッド本体41の中心の軌跡を
図16に矢印で示す。
図14と
図16とを比べると、明らかに
図14の方がヘッド本体41の移動距離が少ないこと、ひいては部品装着に要する時間も短いことがわかる。
【0034】
ここで、本実施形態の部品実装機10の構成要素と本開示の部品実装機の構成要素との対応関係を明らかにする。ヘッドユニット40がヘッドユニットに相当し、XYロボット30が移動装置に相当し、第1及び第2Z軸駆動装置70A,70Bが昇降装置に相当し、部品供給装置20が部品供給装置に相当し、制御装置80が制御装置に相当する。また、ノズル44が採取部材に相当し、昇降位置75が所定位置(第1及び第2位置)に相当する。更に、係合片挟持部71aが採取部材係合部に相当し、弁操作レバー45が操作レバーに相当し、レバー係合部に相当する。
【0035】
以上説明した部品実装機10では、ヘッド本体41を回転させる動作とヘッドユニット40を移動させる動作を伴いながら、ヘッドユニット40の所定の昇降位置75に位置するノズル44が部品供給装置20によって供給された部品を採取し、採取終了後に各部品を基板Sに装着する。また、部品採取時及び部品装着時の少なくとも一方において、ヘッド本体41の回転方向を反転させる動作及びヘッド本体41をノズル同士の間隔(45°)のn倍(nは2以上の整数)回転させる動作の一方又は両方が行われるように制御し得る。これにより、従来に比べて部品採取時や部品装着時に要する時間を短くすることができる。
【0036】
また、制御装置80は、部品採取時に2つの昇降位置75に位置するノズル44が同時に部品を採取するように第1及び第2Z軸駆動装置70A,70Bを制御したり、部品装着時にヘッドユニット40の移動距離が短くなるように第1及び第2Z軸駆動装置70A,70Bのいずれかを選択したりすることができる。そのため、部品採取時や部品装着時に要する時間をより短くすることができる。
【0037】
更に、部品吸着時において、ヘッド本体41が45°ずつ一方向に回転しながらノズル44が部品を順次吸着する場合(
図12参照)よりも有利な部品吸着順(
図11参照)を採用することができる。また、部品装着時において、ヘッド本体41が45°ずつ一方向に回転しながらノズル44に採取された部品を基板Sに順次装着する場合(
図15及び
図16参照)よりも有利な装着順(
図13及び
図14参照)を採用することができる。
【0038】
更にまた、万一、第1及び第2Z軸駆動装置70A,70Bの係合片挟持部71aが正回転中又は逆回転中のヘッド本体41に装備されている部材(例えば係合片42a)と干渉したとしても、係合片挟持部71aは押される方向に回転して退避できるため、支障が生じることはない。
【0039】
そしてまた、万一、弁駆動装置46A,46Bのレバー挟持部46aが正回転中又は逆回転中のヘッド本体41に装備されている部材(例えば係合片42a)と干渉したとしても、レバー挟持部46aは押される方向に回転して退避できるため、支障が生じることはない。
【0040】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0041】
例えば、上述した実施形態では、8個のノズル44が所定間隔毎に同一円周上に並んだヘッド本体41を例示したが、ノズル44の数は8個に限定されるものではなく、例えば4個とか12個とか20個とか24個とかであってもよい。
【0042】
上述した実施形態では、ヘッドユニット40に第1及び第2Z軸駆動装置70A,70Bを設けたが、第1及び第2Z軸駆動装置70A,70Bのいずれか一方のみを設けてもよい。この場合、2つの部品を同時に吸着したり2つのZ軸駆動装置を使い分けたりすることはできないが、ヘッド本体41の反転やノズル飛ばしを行うことができるため、従来に比べて部品採取時や部品装着時に要する時間を短くすることができる。
【0043】
上述した実施形態の
図11の部品吸着順では、ヘッド本体41の反転動作を行うようにしたが、これに加えて、ノズル飛ばし(ヘッド本体41を90°以上回転させる動作)を行うようにしてもよい。
【0044】
上述した実施形態では、採取部材としてノズル44を例示したが、特にノズル44に限定されるものではなく、部品を採取可能な部材であればよい。例えば、部品を掴んだり放したりするフィンガー形状のチャックを用いてもよい。
【0045】
上述した実施形態では、第1及び第2昇降位置75をヘッド本体41の回転中心を挟んで互いに向かい合うように設定したが、特にこれに限定されるものではなく、円周上に並んだ複数のノズル44のうちの2つを操作可能な位置であればよい。
【0046】
本開示の部品実装機は、以下のように構成してもよい。
【0047】
本開示の部品実装機において、前記所定位置は、前記所定の円周上に位置する第1位置と第2位置であり、前記昇降装置は、前記第1位置に位置する採取部材を昇降させる装置と前記第2位置に位置する採取部材を昇降させる装置の2つがあるようにしてもよい。こうすれば、部品採取時に2つの採取部材が同時に部品を採取するように2つの昇降装置を制御したり、部品装着時にヘッドユニットの移動距離が短くなるようにいずれかの昇降装置を選択したりすることができる。そのため、部品採取時や部品装着時に要する時間をより短くすることができる。
【0048】
本開示の部品実装機において、前記制御装置は、部品採取時において、前記ヘッド本体が前記間隔ずつ一方向に回転しながら前記採取部材が部品を順次採取する場合よりも有利な採取順がある場合には、前記有利な採取順を採用するようにしてもよい。あるいは、前記制御装置は、部品装着時において、前記ヘッド本体が前記間隔ずつ一方向に回転しながら前記採取部材に採取された部品を前記基板に順次装着する場合よりも有利な装着順がある場合には、前記有利な装着順を採用するようにしてもよい。部品採取時及び部品装着時の少なくとも一方において、ヘッド本体の回転方向を反転させる動作及びヘッド本体を採取部材同士の間隔のn倍(nは2以上の整数)回転させる動作の一方又は両方を行うことにより、こうした有利な採取順や装着順を設計しやすくなる。ここで、「有利な採取順」としては、例えば、部品採取時や部品装着時に要する時間を短縮化できる採取順が挙げられる。具体的には、部品採取時のヘッド回転角度やヘッドユニット移動距離を小さくできる採取順や、部品装着時のヘッド回転角度やヘッドユニット移動距離を小さくできる採取順などがある。
【0049】
本開示の部品実装機において、前記昇降装置は、前記所定位置に位置する採取部材と係合して前記採取部材を昇降させる採取部材係合部を有し、前記採取部材係合部は、正方向に回転している前記ヘッド本体に装備されている部材と干渉したときには前記部材に押される方向へ回転して退避し、逆方向に回転している前記ヘッド本体に装備されている部材と干渉したときには前記部材に押される方向へ回転して退避するようにしてもよい。こうすれば、万一、採取部材係合部が正回転中又は逆回転中のヘッド本体に装備されている部材と干渉したとしても支障が生じることはない。
【0050】
本開示の部品実装機において、前記採取部材は、圧力によって部品の吸脱着を行うノズルであり、前記ヘッド本体は、前記ノズルに供給する圧力の正負を切り替える操作レバーを前記採取部材ごとに備え、前記ヘッドユニットは、前記操作レバーと係合して前記操作レバーを操作するレバー係合部を前記ヘッド本体と独立して備え、前記レバー係合部は、正方向に回転している前記ヘッド本体に装備されている部材と干渉したときには前記部材に押される方向へ回転して退避し、逆方向に回転している前記ヘッド本体に装備されている部材と干渉したときには前記部材に押される方向へ回転して退避するようにしてもよい。こうすれば、万一、レバー係合部が正回転中又は逆回転中のヘッド本体に装備されている部材と干渉したとしても支障が生じることはない。