(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
部品を採取可能に収容する収容部が設けられたパレットを前記収容部の高さに応じて一段または複数段を占有させて収容可能な複数のスロットが設けられた複数のマガジンのうち、一のマガジンから他のマガジンに前記パレットを移動させるパレット移動方法であって、
(a)前記他のマガジンにおける前記パレットの収容情報を取得するステップと、
(b)前記ステップ(a)で取得した前記他のマガジンの前記収容情報に基づく空きスロットのうち移動対象の前記パレットが占有する占有スロット数に応じて移動先を決定し、該決定した移動先に移動対象の前記パレットを移動させるステップと、
を含み、
前記ステップ(b)では、前記他のマガジンの前記収容情報から前記パレットが収容されていない空きスロットの位置情報を抽出し、移動対象の前記パレットの占有スロット数と他のマガジンの空きスロットにおいて上下に連続するスロットの連続数とを比較し、前記連続数が移動対象の前記パレットの占有スロット数に一致する箇所と、前記連続数が移動対象の前記パレットの占有スロット数を超える箇所とが存在する場合、前記連続数が移動対象の前記パレットの占有スロット数に一致する箇所を移動先に決定する
パレット移動方法。
部品を採取可能に収容する収容部が設けられたパレットを前記収容部の高さに応じて一段または複数段を占有させて収容可能な複数のスロットが設けられた複数のマガジンのうち、一のマガジンから他のマガジンに前記パレットを移動させるパレット移動方法であって、
(a)前記他のマガジンにおける前記パレットの収容情報を取得するステップと、
(b)前記ステップ(a)で取得した前記他のマガジンの前記収容情報に基づく空きスロットのうち移動対象の前記パレットが占有する占有スロット数に応じて移動先を決定し、該決定した移動先に移動対象の前記パレットを移動させるステップと、
を含み、
前記ステップ(a)では、前記部品の種類を含む前記収容情報を取得し、
前記ステップ(b)では、前記部品の種類毎の供給順を含む供給情報を取得し、前記他のマガジンの空きスロットに対し上下方向に隣接する隣接スロットのうち前記供給情報に基づく搬出予定時期の遅い前記パレットが収容されている隣接スロットを特定し、該特定した隣接スロット側の前記空スロットを移動先に決定する
パレット移動方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
図1は部品実装システム10の構成の概略を示す構成図(斜視図)である。
図2は部品実装システム10の構成の概略を示す構成図(側面図)である。
図3はマガジン40の構成の概略を示す構成図(正面図)である。
図4は部品実装システム10の制御に関する構成図である。なお、本実施形態において、左右方向(X軸)、前後方向(Y軸)及び上下方向(Z軸)は、
図1に示した通りとする。
【0011】
部品実装システム10は、
図1に示すように、基板Sに部品を実装する部品実装装置20と、実装対象の部品を部品実装装置20へ供給する部品供給装置30と、システム全体を管理する管理装置80とを備える。
【0012】
部品実装装置20は、
図1に示すように、基板SをX方向に搬送する搬送装置22と、部品を吸着する吸着ノズル23が昇降可能に取り付けられたヘッド24と、ヘッド24をXY方向に移動させる移動機構26と、装置全体を制御する実装制御装置28(
図4参照)とを備える。実装制御装置28は、周知のCPUやROM、RAMなどで構成され、搬送装置22やヘッド24(吸着ノズル23)、移動機構26に駆動信号を出力する。
【0013】
部品供給装置30は、
図2に示すように、前方の上段と下段とに扉34a,34bが設けられた本体32を備え、本体32の内部に2つのマガジン40がセットされる。部品供給装置30は、各マガジン40をそれぞれ独立して昇降させる昇降装置50と、マガジン40内からのパレットPの搬出やマガジン40内へのパレットPの搬入とを行う搬出入装置60と、装置全体を制御する供給制御装置38(
図4参照)とを備える。本体32内にセットされる2つのマガジン40のうち、上段の扉34aからセットされる上側の第1マガジン40Aは主に部品供給エリアに払い出すパレットPを収容し、下段の扉34bからセットされる下側の第2マガジン40Bは主に第1マガジン40Aに引き渡す新たなパレットPや第1マガジン40Aから受け入れた使用済みのパレットPを収容する。
【0014】
第1マガジン40Aおよび第2マガジン40Bは、いずれも同じサイズで同様に構成されており、
図3に示すように、前後が開放された直方体形状の筐体42と、筐体42の左右の内壁面に前後方向に延びるように設けられパレットPを支持する複数の支持レール44とを備える。複数の支持レール44は、筐体42内の空間を複数のスロット(
図3中点線参照)に区切っている。複数の支持レール44は一定のピッチで設けられているため、各スロットも一定のピッチとなる。本実施形態の第1マガジン40Aおよび第2マガジン40Bは、それぞれ12段のスロットを有する。
【0015】
パレットPは金属製のプレートであり、
図3に示すように、その上面に一回り小さなトレイTが取り付けられている。トレイTは、複数の部品をそれぞれ収容する収容部として取り付けられる樹脂製の部材である。トレイTに収容された部品は、パレットPが部品供給エリアにある状態で部品実装装置20の吸着ノズル23により上方から採取される。トレイTの高さは、収容する部品の高さによって異なり、低い部品の場合は低いトレイTが用いられ、高い部品の場合は高いトレイTが用いられる。第1マガジン40Aおよび第2マガジン40Bの複数段のスロットは、最も低いトレイTが載置されたパレットPに合わせたピッチとなっている。このため、高いトレイTが載置されたパレットPが第1マガジン40Aや第2マガジン40Bに収容される場合には、上下方向に隣接する複数のスロットを一のパレットPが占有することになる。このように、収容されるパレットPが占有するスロット数、即ちパレットPの収容に必要なスロット数を、占有スロット数という。なお、図示は省略するが、パレットPは、個別の識別情報を示す識別コードが前側に付されており、その識別番号を用いて管理される。また、パレットPは、1枚のトレイTが載置されたものを例示するが、複数枚のトレイTが並べて載置されてもよい。
【0016】
昇降装置50は、
図2に示すように、Z方向に延びる左右一対のボールネジ52aと、ボールネジ52aに取り付けられる上段の保持台54aと、ボールネジ52aを回転させる駆動モータ56aとを備える。昇降装置50は、駆動モータ56aの駆動により左右一対のボールネジ52aを同期をとりながら回転させることによって上段の保持台54aをZ方向に移動させて保持台54aにセットされた上段の第1マガジン40Aを昇降させる。また、昇降装置50は、ボールネジ52aと平行に配置されたボールネジ52bと、ボールネジ52bに取り付けられる下段の保持台54bと、ボールネジ52bを回転させる駆動モータ56bとを備える。昇降装置50は、駆動モータ56bの駆動により左右一対のボールネジ52bを同期をとりながら回転させることによって上段の保持台54aとは独立に下段の保持台54bをZ方向に移動させて保持台54bにセットされた下段の第2マガジン40Bを昇降させる。
【0017】
搬出入装置60は、
図2に示すように、駆動ローラ62及び複数の従動ローラ64に架け渡された左右一対のベルトコンベア66と、ベルトコンベア66と連動するパレット引出部68とを備える。パレットPには引出用のT形のハンドルPhが設けられており、パレット引出部68の前方側にはハンドルPhと連結可能なT形の切欠(図示省略)が形成されている。搬出入装置60は、第1マガジン40Aの載った保持台54aまたは第2マガジン40Bの載った保持台54bが昇降してパレットPが所定の高さ位置にあるときに、ベルトコンベア66の前方に位置するパレット引出部68の切欠にパレットPのハンドルPhが挿入可能となり、パレットPとパレット引出部68とを連結する。搬出入装置60は、パレットPとパレット引出部68とを連結した状態で、ベルトコンベア66を駆動することにより、第1マガジン40Aまたは第2マガジン40BからパレットPを引き出して搬出することができる。なお、上述したように、本実施形態では、主に第1マガジン40Aから搬出したパレットPを部品供給エリアまで移動させるものとしている。また、搬出入装置60は、搬出時とは逆方向にベルトコンベア66を駆動することにより、パレットPを第1マガジン40Aや第2マガジン40B内に収容することができる。搬出入装置60は、これらの搬出動作や搬入動作を行うことにより、第1マガジン40Aから第2マガジン40BにパレットPを移動させたり、第2マガジン40Bから第1マガジン40AにパレットPを移動させたりする。
【0018】
供給制御装置38は、周知のCPUやROM、RAMなどで構成され、昇降装置50や搬出入装置60に駆動信号を出力する。また、供給制御装置38は、RAMなどの記憶部38aに、
図5に示す収容情報を記憶している。収容情報には、図示するように、第1マガジン40Aと第2マガジン40Bの各スロットにおいて部品種と部品数を含む部品の情報が記憶されている。各スロットS1〜S12は、第1マガジン40Aと第2マガジン40Bとにおける12段のスロットのうち上から順に番号を付したものである。各スロットS1〜S12にパレットPが収容されている場合には、パレットP上のトレイTに収容されている部品種および残りの部品数が記憶される。また、各スロットS1〜S12にパレットPが収容されていない場合には、空きスロットであることを示す「空」情報が部品種欄に記憶される。また、複数段のスロットを占有して収容されるパレットPについては、占有されるスロットのうち最も下側のスロットに対応付けて部品種と部品数とが記憶される。複数段のスロットを占有する一例としては、第1マガジン40AのスロットS3,S4に、占有スロット数が値2の部品種B1を搭載したパレットP(トレイT)が収容されている。このように、収容情報は、マガジン40の各スロットS1〜S12において、パレットPが収容されているか否かの情報と、パレットPが収容されている場合の占有スロット数や部品種、部品数の情報とを含むものである。なお、作業者は、部品供給装置30が第1マガジン40Aから部品の供給中であっても、扉34bから第2マガジン40BにパレットPを出し入れすることができる。作業者は、第2マガジン40BにパレットPを出し入れする際に、スロットに対応付けて、そのパレットPに付されている識別コードを図示しないコード読取器で読み取らせる。供給制御装置38は、コード読取器からの読み取り結果が入力され、その読み取り結果に基づいて第2マガジン40Bの収容情報を更新する。
【0019】
管理装置80は、周知のCPUやROM、RAM、HDDなどで構成され、キーボードやマウスなどの入力デバイス82と、LCDなどのディスプレイ84とを備える。管理装置80は、実装制御装置28と供給制御装置38とに通信可能に接続される。なお、実装制御装置28と供給制御装置38も通信可能に接続される。管理装置80は、基板Sの生産プログラムや各パレットPのトレイTに収容されている部品種、各パレットPのトレイTの高さに関する情報などを記憶している。基板Sの生産プログラムは、どの基板Sにどの部品を実装するか、また、そのように実装した基板Sを何枚作製するかなどを定めたプログラムをいう。また、管理装置80は、RAMやHDDなどの記憶部80aに、
図6に示す実装順情報を記憶している。実装順情報には、図示するように、実装順と部品種と部品数とが対応付けて記憶されている。部品供給装置30は、この実装順情報に基づく部品の供給指示を管理装置80から受信して、部品実装装置20に部品を供給する。
【0020】
以下は、こうして構成された部品実装システム10の動作、具体的には、部品供給装置30で第1マガジン40Aから第2マガジン40BにパレットPを移動させる動作の説明である。
図7はパレット移動処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートは供給制御装置38により実行される。なお、部品供給装置30では、例えば、トレイT内の部品が空になった使用済みのパレットPを第2マガジン40Bに移動させたり、基板Sや部品の種類などが切り替わり使用されなくなった部品を搭載したパレットPを第2マガジン40Bに移動させたりする。
図8は、パレットPの移動先を示す説明図である。
【0021】
パレット移動処理では、供給制御装置38は、まず、パレットPを移動させる第2マガジン40Bの収容情報を記憶部38aから取得し(S100)、取得した収容情報からパレットPが収容されていない空きスロットの位置情報を抽出する(S110)。
図8の例では、供給制御装置38は、第2マガジン40Bの空きスロットとしてスロットS2,S3,S5を抽出する。続いて、供給制御装置38は、空きスロットが上下方向に連続する連続数を設定する(S120)。
図8の例では、供給制御装置38は、空きスロットS2,S3の箇所では連続数に値2を設定し、空きスロットS5の箇所では連続数に値1を設定する。
【0022】
次に、供給制御装置38は、移動対象のパレットPの占有スロット数と空きスロットの連続数とを比較して(S130)、空きスロットの連続数が占有スロット数に一致する箇所があるか否か(S140)、空きスロットの連続数が占有スロット数を超える箇所があるか否か(S150)、を順次判定する。供給制御装置38は、S140で空きスロットの連続数が占有スロット数に一致する箇所があると判定すると、連続数が占有スロット数に一致する箇所の空きスロットを移動先に決定する(S160)。そして、供給制御装置38は、決定した移動先にパレットPを移動させるよう昇降装置50と搬出入装置60とを制御し(S170)、収容情報を更新して(S180)、パレット移動処理を終了する。なお、供給制御装置38は、S180では第1マガジン40Aの収容情報から移動対象のパレットPの情報を削除すると共に第2マガジン40Bの収容情報のうちS160で決定した移動先(スロット)に移動対象のパレットPの情報を追加することにより、収容情報を更新する。
【0023】
ここで、
図8の例で部品種A1のパレットPを第2マガジン40Bに移動させる場合、占有スロット数が値1であるから、供給制御装置38は、スロットS2,S3の連続数の値2ではなく、スロットS5の連続数の値1が占有スロット数に一致すると判定して、スロットS5を移動先に決定する。このように、供給制御装置38は、占有スロット数と同数の空きスロットがある場合には、その空きスロットにパレットPを移動させるのである。このため、供給制御装置38は、占有スロット数と同数の空きスロットと、占有スロット数を超えて連続する空きスロットとがある場合に、占有スロット数を超えて連続する空きスロットの箇所にパレットPを移動させることはない。したがって、
図8の例で、供給制御装置38が例えば空きスロットのうち上側から順に移動先に決定するなどにより、部品種A1のパレットPを第2マガジン40BのスロットS2,S3のいずれかに移動させるのを防止することができる。このため、まとまった空きスロットにパレットPが収容されて空きスロットが分散するのを抑制することができる。これにより、供給制御装置38は、次に占有スロット数が値2のパレットP、例えば部品種B1のパレットPを第2マガジンに移動(
図8中の点線の移動)させる際に、その移動ができなくなる事態が生じるのを抑制することができる。
【0024】
また、供給制御装置38は、S140で空きスロットの連続数が占有スロット数に一致する箇所がないと判定し、続くS150で空きスロットの連続数が占有スロット数を超える箇所があると判定すると、その箇所の上側から占有スロット数分の空きスロットを移動先に設定する(S190)。そして、供給制御装置38は、決定した移動先にパレットPを移動させ(S170)、収容情報を更新して(S180)、パレット移動処理を終了する。
図8の例で、第2マガジン40BのスロットS5に部品種A1のパレットPを移動させた後に、再度占有スロット数が値1のパレットPを移動させる場合には、供給制御装置38は、スロットS2,S3のうち上側のスロットS1を移動先に決定してパレットPを移動させる。勿論、供給制御装置38は、スロットS2,S3のうち下側のスロットS3を移動先に決定してもよい。
【0025】
一方、供給制御装置38は、S150で空きスロットの連続数が占有スロット数を超える箇所がないと判定すると、第2マガジン40Bに移動対象のパレットPを収容できるスロットはないから、パレット移動不可のエラーを報知して(S200)、パレット移動処理を終了する。なお、供給制御装置38は、部品供給装置30が図示しないエラー表示灯などを備える場合には、そのエラー表示灯を点灯させることによりエラーを報知する。あるいは、供給制御装置38は、管理装置80にエラー情報を出力することにより、管理装置80のディスプレイ84にエラーを報知させるものなどとしてもよい。なお、上述したように、本実施形態では、パレットPを第2マガジン40Bに移動させることができなくなる事態が生じるのを抑制することができるから、供給制御装置38がS200のエラーの報知処理を行う機会が頻発するのを防止することができる。
【0026】
ここで、本実施形態の構成要素と本開示の部品供給装置の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態の第1マガジン40Aが本開示の第1マガジンに相当し、第2マガジン40Bが第2マガジンに相当し、搬出入装置60が搬出入装置に相当し、記憶部38aが記憶装置に相当し、供給制御装置38が制御装置に相当する。なお、本実施形態では、部品供給装置30の動作を説明することにより本開示のパレット移動方法の一例も明らかにしている。
【0027】
以上説明した実施形態の部品供給装置30は、第1マガジン40Aから第2マガジン40BにパレットPを移動させる場合、第2マガジン40Bの収容情報に基づく空きスロットのうち移動対象のパレットPの占有スロット数に基づいて移動先を決定して、パレットPを移動させる。このため、パレットPの占有スロット数に応じたスロット位置にパレットPを移動させることができる。
【0028】
また、部品供給装置30は、第2マガジン40Bにおいて空きスロットが上下に連続する空きスロットの連続数がパレットPの占有スロット数に一致する箇所と、空きスロットの連続数がパレットPの占有スロット数を超える箇所とが存在する場合、空きスロットの連続数が占有スロット数に一致する箇所を移動先に決定する。このため、パレットPを必要な占有スロット数に応じた箇所に適切に収容することができるから、空きスロットが分散するのを抑制してパレットPの移動をスムーズに行うことができる。したがって、占有スロット数分の空きスロットがないために、パレットPを移動させることができない事態が生じるのを抑制することができる。
【0029】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0030】
例えば、上述した実施形態では、第1マガジン40Aから第2マガジン40BにパレットPを移動させる場合、第2マガジン40Bの収容情報に基づく現在の空きスロットのうち移動対象のパレットPの占有スロット数に基づいて移動先を決定したが、これに限られるものではない。例えば、現在の空きスロットのうち移動対象のパレットPの占有スロット数と今後のスロットの空き状況とに基づいてパレットPの移動先を決定してもよい。
図9は変形例のパレット移動処理を示すフローチャートであり、
図10は変形例のパレットPの移動先を示す説明図である。なお、
図9のフローチャートでは、
図7のフローチャートと同じ処理には同じステップ番号を付して詳細な説明を省略する。
【0031】
この変形例のパレット移動処理では、供給制御装置38は、第1マガジン40Aおよび第2マガジン40Bの収容情報と部品の供給順とを取得して(S100a)、S110以降の処理を実行する。上述したように、管理装置80の記憶部80aには部品の実装順情報が記憶されているから、供給制御装置38は、S100aで管理装置80と通信することにより部品の実装順即ち部品の供給順を取得することができる。なお、部品の供給順には、部品種毎の実装数(供給数)を含む。
【0032】
そして、供給制御装置38は、S150で空きスロットの連続数が移動対象のパレットPの占有スロット数を超えると判定すると、空きスロットの上下に隣接する隣接スロット内に収容されているパレットPが搬出される搬出予定時期を予測する(S185)。
図10の例では、
図10Aに示すように、空きスロットS2,S3の上下に隣接する隣接スロットS1,S4について搬出予定時期が予測される。その場合、供給制御装置38は、隣接スロットS1,S4内の部品種A3,A5について、第1マガジン40Aにおける残部品数と、S100aで取得した供給順と、その供給順に含まれる部品種A3,A5の実装数(供給数)とに基づいて、搬出予定時期を予測する。まず、供給制御装置38は、第1マガジン40Aの収容情報から部品種A3,A5のパレットPが収容されているか否かを確認し、収容されている場合には部品種A3,A5のそれぞれの残り部品数を抽出する。次に、供給制御装置38は、S100aで取得した供給順に含まれる部品種A3,A5の実装数(供給数)が、第1マガジン40Aにおける残り部品数を超えるために、第2マガジン40Bから第1マガジン40AにパレットPを搬出して部品を補給する必要があるか否かを判定する。なお、このような部品の補給は、遅くとも当該部品種の部品の供給中に行われるため、部品の実装順が早い部品種の方が早く行われることになり、パレットPの搬出予定時期も早いことになる。このようにして、供給制御装置38は、隣接スロットS1,S4の搬出予定時期を予測する。なお、
図10の例では、
図5の残り部品数や
図6の実装順などから、供給制御装置38は、部品種A3のパレットPが収容されているスロットS1の方が、部品種A5のパレットPが収容されているスロットS4よりも搬出予定時期が早いと予測することになる。
【0033】
そして、供給制御装置38は、隣接スロットのうち搬出予定時期の遅い側から占有スロット数分を移動先に決定する(S190a)。
図10の例では、供給制御装置38は、隣接スロットS4側から1スロット分のスロットS3を移動先に決定して、部品種A1のパレットPを移動させるものとなる(
図10B)。このように、供給制御装置38は、隣接スロットのうち搬出予定時期の遅い側から移動先を決定し、搬出予定時期の早い側に空きスロットが残るようにする。このため、部品の供給が行われていくうちに搬出予定時期が到来し、部品種A3のパレットPが第1マガジン40Aに移動してスロットS1が空いた場合には、スロットS1,S2が連続した空きスロットとなるのである(
図10C)。なお、仮に空きスロットS2に部品種A1のパレットPを移動させていた場合には、スロットS1,S3が空きスロットとなり、空きスロットが分散してしまうことになる。その場合、供給制御装置38は、占有スロット数が値2のパレットPを移動させることができなくなる。これらのことから、この変形例では、供給制御装置38は、空きスロットに隣接する隣接スロットの今後の空き状況を予測して、空きスロットが分散するのを防止して空きスロットをまとめることが可能となる。したがって、例えば、次に占有スロット数が値2のパレットPが使用済みとなった場合に、占有スロット数分の空きスロットがないために第2マガジン40Bに移動させることができない事態が生じるのを抑制することができる。勿論、2つのスロットが連続して空きスロットとなるため、占有スロット数が値1のパレットPが使用済みとなった場合に適切に受け入れることは可能である。
【0034】
この変形例では、一箇所において連続する連続空きスロットに着目してその上下に隣接する2つの隣接スロットの搬出予定時期を比較するものとしたが、これに限られるものではない。空きスロットの連続数が同じ数となる複数箇所の連続空きスロットがある場合、それぞれの空きスロットの上下に隣接する複数の隣接スロットの搬出予定時期を比較するものなどとしてもよい。例えば、連続空きスロットとして、スロットS2,S3以外に、スロットS7,S8がある場合、スロットS2,S3に隣接する2つの隣接スロットS1,S4と、スロットS7,S8に隣接する2つの隣接スロットS6,S9の搬出予定時期を比較するものなどとしてもよい。このように、2箇所の連続空きスロットの上下に隣接する最大4つの隣接スロット内の各パレットの搬出予定時期を比較し、最も搬出予定時期の遅い隣接スロット側から移動先を決定するものなどとすればよい。また、連続空きスロットに限られず、一の空きスロットが複数ある場合に各空きスロットに隣接する隣接スロットの搬出予定時期を比較し、搬出予定時期の遅い隣接スロットに隣接する空きスロットから移動先を決定するものなどとしてもよい。
【0035】
この変形例では、供給制御装置38は管理装置80から通信により実装順情報を取得して供給順を取得するものとしたが、供給制御装置38が部品の供給順を取得可能であればこれに限られるものではなく、部品実装装置20から通信により取得するものなどとしてもよい。なお、供給制御装置38は、予め記憶部38aに部品の供給順を記憶し、S100aで記憶部38aから供給順を取得してもよい。
【0036】
上述した実施形態では、昇降装置50がマガジン40を昇降させるものとしたが、これに限られず、マガジン40と搬出入装置60とが相対的に昇降するものであればよい。例えば、マガジン40の高さ位置を固定して、搬出入装置60が昇降するものなどとしてもよい。
【0037】
上述した実施形態では、部品供給装置30が第1マガジン40Aと第2マガジン40Bとの2つのマガジンを用いるものとしたが、少なくとも2つのマガジンを用いるものであればよく、3つ以上のマガジンを用いるものとしてもよい。また、第1マガジン40Aから第2マガジン40BへのパレットPの移動に限られず、第2マガジン40Bから第1マガジン40AへのパレットPの移動など、複数のマガジン40のうち一のマガジンから他のマガジンへのパレットPの移動であればよい。
【0038】
上述した実施形態では、パレットPの占有スロット数として1スロットや2スロットを例示したが、これに限られず、占有スロット数が3スロット以上の複数スロットであってもよい。
【0039】
上述した実施形態では、搬出入装置60がマガジン40からパレットPを部品供給エリアまで引き出し、第1マガジン40Aと第2マガジン40Bとの間でパレットPを受け渡すものとしたが、これに限られるものではない。例えば、搬出入装置60がマガジン40からパレットPを部品供給エリアまで引き出すものとし、搬出入装置とは別の装置が第1マガジン40Aと第2マガジン40Bとの間でパレットPを受け渡すものとしてもよい。また、一のパレットPから部品実装装置20に部品を供給している間に、第1マガジン40Aや第2マガジン40Bに収容されている各パレットPの収容位置を変えるものなどとしてもよい。そのようにする場合、例えば、空きスロットが連続するように各パレットPの収容位置を変えるものなどとしてもよい。
【0040】
本開示の部品供給装置は、以下のように構成してもよい。
【0041】
本開示の部品供給装置において、前記制御装置は、前記他のマガジンの空きスロットにおいて上下に連続するスロットの連続数が移動対象の前記パレットの占有スロット数に一致する箇所と、前記連続数が移動対象の前記パレットの占有スロット数を超える箇所とが存在する場合、前記連続数が移動対象の前記パレットの占有スロット数に一致する箇所を移動先に決定するものとしてもよい。こうすれば、マガジン内の空きスロットが分散するのを抑制してパレットを効率よく収容することができるから、占有スロット数分の空きスロットがないために、パレットを移動させることができない事態が生じるのを抑制することができる。
【0042】
本開示の部品供給装置において、前記記憶装置は、前記部品の種類を含む前記収容情報を記憶し、前記制御装置は、前記部品の種類毎の供給順を含む供給情報を取得し、前記他のマガジンの空きスロットに対し上下方向に隣接する隣接スロットのうち前記供給情報に基づく搬出予定時期の遅い前記パレットが収容されている隣接スロットを特定し、該特定した隣接スロット側の前記空スロットを移動先に決定するものとしてもよい。こうすれば、部品の供給に伴ってパレットが搬出された場合に、まとまった空きスロットが生じるようにすることができる。このため、占有スロット数分の空きスロットがないために、パレットを移動させることができなくなる事態が生じるのをより抑制することができる。
【0043】
本開示のパレット移動方法は、部品を採取可能に収容する収容部が設けられたパレットを前記収容部の高さに応じて一段または複数段を占有させて収容可能な複数のスロットが設けられた複数のマガジンのうち、一のマガジンから他のマガジンに前記パレットを移動させるパレット移動方法であって、(a)前記他のマガジンにおける前記パレットの収容情報を取得するステップと、(b)前記ステップ(a)で取得した前記他のマガジンの前記収容情報に基づく空きスロットのうち移動対象の前記パレットが占有する占有スロット数に応じて移動先を決定し、該決定した移動先に移動対象の前記パレットを移動させるステップと、を含むことを要旨とする。
【0044】
本開示のパレット移動方法は、上述した部品供給装置と同様に、パレットの収容に必要な占有スロット数に応じた移動先にパレットを適切に移動させることができるから、空きスロットが分散するのを抑制してマガジン間でのパレットの受け渡しをスムーズに行うことができる。なお、このパレット移動方法において、上述した部品供給装置の種々の態様を採用してもよいし、上述した部品供給装置の各機能を実現するような構成を追加してもよい。