(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6883658
(24)【登録日】2021年5月12日
(45)【発行日】2021年6月9日
(54)【発明の名称】三次元プリント処理の統合
(51)【国際特許分類】
B29C 64/129 20170101AFI20210531BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20210531BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20210531BHJP
B29C 64/393 20170101ALI20210531BHJP
B33Y 50/02 20150101ALI20210531BHJP
B29C 64/245 20170101ALI20210531BHJP
B29C 64/321 20170101ALI20210531BHJP
B33Y 40/00 20200101ALI20210531BHJP
B29C 64/35 20170101ALI20210531BHJP
B29C 64/379 20170101ALI20210531BHJP
B29C 64/188 20170101ALI20210531BHJP
B33Y 40/20 20200101ALI20210531BHJP
【FI】
B29C64/129
B33Y30/00
B33Y10/00
B29C64/393
B33Y50/02
B29C64/245
B29C64/321
B33Y40/00
B29C64/35
B29C64/379
B29C64/188
B33Y40/20
【請求項の数】14
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-540369(P2019-540369)
(86)(22)【出願日】2017年11月8日
(65)【公表番号】特表2020-506085(P2020-506085A)
(43)【公表日】2020年2月27日
(86)【国際出願番号】US2017060634
(87)【国際公開番号】WO2018147914
(87)【国際公開日】20180816
【審査請求日】2019年8月19日
(31)【優先権主張番号】62/457,474
(32)【優先日】2017年2月10日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】597013711
【氏名又は名称】スリーディー システムズ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100139723
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 洋
(72)【発明者】
【氏名】ウイン,ベン
(72)【発明者】
【氏名】エンスロー,アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】キュスター,エヴァン
【審査官】
▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2016/0354981(US,A1)
【文献】
特表2015−522450(JP,A)
【文献】
特開平07−060843(JP,A)
【文献】
特開2000−330468(JP,A)
【文献】
国際公開第2015/142546(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00−64/40
B33Y 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元プリントエンジン、
流体供給源に接続された流体注入ポートを含む流体処理ステーション、
下方表面を画定する下方部分および前記下方表面に接続された第1の流体導管を有する取付具、
搬送機構、および
コントローラ、
を備え、
前記三次元プリントエンジンが、
下端において透明シートを有する光硬化樹脂を含むための容器;
前記透明シートを介して前記光硬化樹脂中にピクセル化された光を上方に伝送するための光エンジン;
移動機構、
を有し、
前記コントローラが、
(a)前記取付具の前記下方表面を前記透明シートと対向関係に位置づけ;
(b)前記光エンジンおよび前記移動機構を備える前記三次元プリントエンジンを作動し、前記取付具の下方表面上に製造対象の三次元物体を形成し、該製造対象の三次元物体は、内部空洞を画定する内表面および前記内部空洞を前記取付具の前記第1の流体導管に接続する入口ポートを有し;
(c)前記搬送機構を作動し、前記取付具を取り付けられた製造対象の三次元物体と共に前記流体処理ステーションに移動し;
(d)前記流体処理ステーションの前記流体注入ポートを、前記取付具の前記第1の流体導管に接続し;
(e)前記流体供給源を作動し、前記第1の流体導管および入口ポートを介して、前記流体注入ポートから、前記内部空洞に流体を注入する、
ように構成されていることを特徴とする、三次元プリントシステム。
【請求項2】
前記注入された流体が、液体洗浄溶媒、乾燥のためのガス、構築材料、エッチャント、内表面をコーティングするためのコーティング剤を含む液体、および内表面を部分的に溶融させるための液体、の1つであることを特徴とする、請求項1に記載の三次元プリントシステム。
【請求項3】
製造対象の三次元物体が、前記内部空洞に接続された出口ポートを画定し、前記内部空洞に注入される流体と同時に前記内部空洞から流体が流出することを可能とすることを特徴とする、請求項1に記載の三次元プリントシステム。
【請求項4】
前記流体処理ステーションが、前記出口ポートを介して前記内部空洞から流出する前記流体を受け取るためのレセプタクルを含むことを特徴とする、請求項3に記載の三次元プリントシステム。
【請求項5】
前記取付具が、前記出口ポートに接続された第2の流体導管を含むことを特徴とする、請求項3に記載の三次元プリントシステム。
【請求項6】
前記流体処理ステーションが、リンスステーションであり、前記注入された流体が、前記内部空洞から未硬化の光硬化樹脂を洗い流すための溶媒であることを特徴とする、請求項1に記載の三次元プリントシステム。
【請求項7】
ガス加圧供給源に接続されたガス注入器を含む乾燥ステーションをさらに備え、
前記コントローラがさらに、
(f)前記搬送機構を作動し、前記取付具を前記リンスステーションから前記乾燥ステーションまで移動させ;
(g)前記ガス注入器を前記第1の流体導管に接続し;かつ
(h)前記ガス加圧供給源を作動し、前記内部空洞にガスを通過させて前記内部空洞から残留溶媒を除去する、
ように構成されている、
ことを特徴とする、請求項6に記載の三次元プリントシステム。
【請求項8】
光硬化樹脂を含む容器、光エンジン、移動機構、流体供給源に接続された注入ポートを有する流体処理ステーション、下方部分および前記下方表面に接続された第1の流体導管を有する取付具、および搬送機構を有する三次元プリントシステムをも強いて三次元物体を製造する方法であって、
(a)前記取付具の前記下方表面を前記樹脂内に位置づける工程;
(b)前記光エンジンおよび前記移動機構を作動する工程であって、前記取付具の下方表面上に製造対象の三次元物体を形成し、該製造対象の三次元物体は、内部空洞を画定する内表面および前記内部空洞を前記取付具の前記第1の流体導管に接続する入口ポートを有する、工程;
(c)前記搬送機構を作動し、前記取付具を取り付けられた製造対象の三次元物体と共に前記流体処理ステーションに移動する工程;
(d)前記流体処理ステーションの前記流体注入ポートを、前記取付具の前記第1の流体導管に接続する工程;
(e)前記流体供給源を作動し、前記第1の流体導管および入口ポートを介して、前記流体注入ポートから、前記内部空洞に流体を注入する工程、
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項9】
前記注入された流体が、液体洗浄溶媒、乾燥のためのガス、構築材料、エッチャント、内表面をコーティングするためのコーティング剤を含む液体、および内表面を部分的に溶融させるための液体、の1つであることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
製造対象の三次元物体が、前記内部空洞に接続された出口ポートを画定し、前記内部空洞に注入される流体と同時に前記内部空洞から流体が流出することを可能とすることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記流体処理ステーションが、前記出口ポートを介して前記内部空洞から流出する前記流体を受け取るためのレセプタクルを含むことを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記取付具が、前記出口ポートに接続された第2の流体導管を含むことを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記流体処理ステーションが、リンスステーションであり、前記注入された流体が、前記内部空洞から未硬化の光硬化樹脂を洗い流すための溶媒であることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記搬送機構を作動し、前記取付具を、前記リンスステーションから、ガス加圧供給源に接続されたガス注入器を含む乾燥ステーションまで移動させる工程;
前記ガス注入器を前記第1の流体導管に接続する工程;および
前記ガス加圧供給源を作動し、前記内部空洞にガスを通過させて前記内部空洞から残留溶媒を除去する工程、
をさらに含むことを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
この非仮特許出願は、U.S.C.119(e)の下でここに参照することによって援用される、2017年2月10日出願のBen Wynne等による「INTEGRATION OF THREE DIMENSIONAL PRINTING PROCESSES」と題された米国仮特許出願第62/457,474号に対する優先権を主張する。
【技術分野】
【0002】
本開示は、三次元物体をデジタル製作するための三次元プリントシステムに関する。より詳細には、本開示は、プリントエンジンおよび後処理を製造作業セル(manufacturing work cell)に統合する効果的な手段に関する。
【背景技術】
【0003】
三次元プリントエンジンは、広範に使用されるようになってきている。三次元プリント技術の例として数例を挙げると、ステレオリソグラフィ、選択的レーザ焼結、熱溶解積層法が含まれる。ステレオリソグラフィベースのプリンタは、製造対象の三次元物体が形成されるまで液状の光硬化樹脂を層ごとの態様で選択的に硬化または固化するために、制御可能な光エンジンを利用している。いくつかの実施形態では、光エンジンは、空間光変調器を照射する光源を含む。
【0004】
プリントエンジンが製造対象の三次元物体を完成した後、未使用の光硬化樹脂を洗い流し、残留
流体を乾燥させ、硬化させるための後処理がある。後処理には、非常に労力と時間がかかりうる。ほとんどの三次元プリントは少量のプロトタイプ製造に使用されてきたので、後処理は許容されてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、製造のためにステレオリソグラフィプリントエンジンを利用する要求が存在する。これは、プリントおよび後処理の自動化を必要とする。存在する場合、後処理は自動化のために設計されていない。後処理は、微細な構成が必要とされる場合にはさらに困難となりうる。三次元プリントシステムのための全ての処理を統合し自動化するためのより良好な解決法を見つけることが必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様において、三次元プリントシステムは、三次元プリントエンジン、
流体処理ステーション、取付具、搬送機構、およびコントローラを備える。三次元プリントエンジンは、下端において透明シートを有する光硬化樹脂を含むための容器、透明シートを介して光硬化樹脂中にピクセル化された光を上方に伝送するための光エンジン、および移動機構を備える。
流体処理ステーションは、
流体供給源に接続された
流体注入ポートを備える。取付具は、下方表面を画定する下方部分および下方表面に接続された第1の
流体導管を有する。コントローラは、以下を行うように構成される:(a)取付具の下方表面を透明シートと対向関係に位置づける。(b)光エンジンおよび移動機構を備える三次元プリントエンジンを作動し、取付具の下方表面上に製造対象の三次元物体を形成し、製造対象の三次元物体は、内部空洞を画定する内表面および内部空洞を取付具の第1の
流体導管に接続する入口ポートを有する。(c)搬送機構を作動し、取付具を取り付けられた製造対象の三次元物体と共に
流体処理ステーションに移動する。(d)
流体処理ステーションの
流体注入ポートを、取付具の第1の
流体導管に接続する。(e)
流体供給源を作動し、第1の
流体導管および入口ポートを介して、
流体注入ポートから、内部空洞に
流体を注入する。
【0007】
1つの実践形態において、光エンジンは、空間光変調器を照射する光源を備える。空間光変調器は、光源からの光を処理し、構築平面上に投影されるピクセル要素のアレイを提供する。1つの実施形態において、空間光変調器は、オン状態とオフ状態との間で傾けることができるマイクロミラーのアレイである。
【0008】
別の実践形態において、
流体処理ステーションは、リンスステーションである。
流体供給源は、液体洗浄溶媒を含む。工程(e)によって、洗浄溶媒が、製造対象の三次元物体の内部空洞から未硬化の光硬化樹脂を洗い流す。
【0009】
さらに別の実践形態において、
流体処理ステーションは、乾燥ステーションである。
流体供給源は、加圧ガスを含む。工程(e)によって、乾燥ガスが、製造対象の三次元物体の内部空洞から樹脂または溶媒を洗い流す。
【0010】
さらなる実践形態において、
流体処理ステーションは、構築材料注入ステーションである。
流体供給源は、構築材料を含む。工程(e)によって、内部空洞が構築材料で充填される。1つの実施形態において、内部空洞は、構築材料のための取外し可能モールドとして機能する。
【0011】
さらなる実践形態において、
流体供給源は、エッチャントを含む。工程(e)は、製造対象の三次元物体の内表面をエッチングする工程を含む。
【0012】
別の実践形態において、
流体供給源は、コーティング剤を含む。工程(e)は、製造対象の三次元物体の内表面を材料層でコーティングする工程を含む。
【0013】
さらに別の実践形態において、工程(e)は、内表面を部分的に溶融する工程を含む。
流体供給源は、加熱されてもよい、および/または、内表面から材料の層を溶解させることができる溶媒を含んでもよい。
【0014】
さらなる実践形態において、内表面は、内部空洞を介して注入された
流体の最適化流動様式を確立する
流体マニホールドを画定する。
【0015】
さらなる実践形態において、製造対象の三次元物体はまた、内部空洞を製造対象の三次元物体の外表面に接続する出口ポートを画定する。出口ポートは、注入された
流体が内部空洞に入る間に
流体が内部空洞から流出することを可能とする。流出する
流体は、置換された
流体および注入された
流体およびそれらの混合物の1つ以上でありうる。第1の実施形態において、
流体処理ステーションは、流出する
流体を受け取るためのレセプタクル(receptacle)を備える。第2の実施形態において、取付具は、出口ポートに接続された第2の
流体導管を備える。
【0016】
別の実践形態において、硬化ステーションは、第1の
流体導管、および、製造対象の三次元物体の放射線硬化を促進するために放射線を内部空洞に伝送するための入口ポートを有する。1つの実施形態において、光学部品は光パイプである。
【0017】
さらに別の実践形態において、コントローラは、情報記憶装置に接続されたプロセッサを備える。情報記憶装置は、命令を保存する非一時的なまたは不揮発性の情報記憶装置を含む。命令は、実行されると、プリントエンジン、
流体処理ステーション、硬化ステーション、または検査ステーションのような三次元プリントシステムの部分を制御する。コントローラは、単一の集積回路に統合されてもよい、または、複数の装置上に存在してもよい。そのような複数の装置は、1つの場所にあるものであってもよいし、三次元プリントシステム内の様々の場所にあるいはさらに互いに離れて分散されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】例示的な三次元プリントシステム2を示す概略ブロック図
【
図3A】製造対象の三次元物体を支持する取付具と係合する
流体処理ステーションの第1の実施形態を示す概念図
【
図3B】製造対象の三次元物体を支持する取付具と係合する
流体処理ステーションの第2の実施形態を示す概念図
【
図5】プリントシステムのための例示的な動作方法を示すフローチャート
【
図6】プリントシステムのための例示的な動作方法を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0019】
本開示において、互いに直交する軸X、YおよびZが用いられる。軸XおよびYは、横方向軸であり、水平方向軸でありうる。軸Zは、垂直方向軸である。概して、+Zの方向は上に向かう方向であり、−Zの方向は下に向かう方向である。しかしながら、軸Zは、重力の基準と必ずしも適合しない。
【0020】
図1は、例示的な三次元プリントシステム2を示す概略ブロック図である。三次元プリントシステム2は、コントローラ6の制御下で作業セル4を含む。コントローラ6は、作業セル4内のステーション(8、10、12、14)およびステーション間の搬送機構16を制御する。1つの実施形態において、コントローラ6は、技術者により作動可能な「基準(standalone)」ワークステーション6である。別の実施形態において、コントローラ6は、他のサーバおよび/またはクライアント装置によって遠隔制御可能なサーバ6である。例示的な実施形態において、コントローラ6は、サーバおよびワークステーションの両方の性質を有する。
【0021】
作業セル4は、プリントエンジン8、
流体処理ステーション10、硬化ステーション12、検査ステーション14、および搬送機構16を備える。プリントエンジン8は、光硬化樹脂を用いるものであり、樹脂のポリマー層を連続的に硬化および固化することにより製造対象の三次元物体を作製できる。例示的なプリントエンジンが、
図2に関して説明される。
【0022】
流体処理ステーション10は、洗浄、乾燥、エッチング、コーティング、または材料注入を提供するために、製造対象の三次元物体中にかつそれを介して、
流体を自動的に注入するよう構成される。例示的な実施形態において、
流体処理ステーション10は、リンスステーション18、乾燥ステーション20、および材料ステーション22を含む。リンスステーション18は、製造対象の三次元物体から残留する未硬化の樹脂を除去するために洗浄溶媒を注入するためのものである。乾燥ステーション20は、洗浄溶媒のような
流体を除去および乾燥させるためのものである。材料ステーション22は、本体材料を製造対象の三次元物体中に注入するためのものである。材料ステーション22によって、製造対象の三次元物体がモールドとして利用されることが可能となる、および/または、2つの異なる材料から作製される製造対象の複合三次元物体が提供される。
【0023】
図示されていない追加の
流体処理ステーション10は、作業セル4の一部でもよい。化学エッチャント、コーティングを残す
流体、または内部を部分的に溶融する
流体のような異なる
流体供給源を用いてもよい。加熱または冷却された
流体を用いてもよい。
【0024】
硬化ステーション12は、製造対象の三次元物体のための放射線および/または熱硬化を提供する。検査ステーション14は、製造対象の三次元物体の臨界寸法および特徴を検査するようプログラムできる。搬送機構16は、ステーション8、10、12、および14の間の自動化搬送を提供する。搬送機構16は、X、YおよびZに沿った三次元における併進運動を有するロボット保持機構を備えてもよい。
【0025】
図2は、プリントエンジン8の例示的な実施形態を示す概略ブロック図である。プリントエンジン8は、光硬化樹脂26を含み、透明シート30を備えた下方部分28を有する、容器24を含む。取付具32は、光硬化樹脂26中で形成される製造対象の三次元物体34を支持する。製造対象の三次元物体34は、透明シート30と対向関係にある下方表面36を有する。移動機構38は、取付具32に接続され、下方表面36の高さH(t)を透明シート30の上にコントロールする。製造対象の三次元物体34の下方表面36の間に、光硬化樹脂26の薄層40が存在する。
【0026】
光エンジン42は、透明シート30を介してピクセル化された放射線を上方に投影するように設置および配置され、製造対象の三次元物体34の下方表面36に近接する構築平面44を選択的に照射する。光エンジン42は、空間光変調器48を照射する光源46を備える。空間光変調器48は、光源46からの「未加工(raw)」または未処理の光を処理するピクセル要素のアレイを含み、構築平面44のピクセル要素を選択的に照射する。
【0027】
プリントエンジン8は、プリントエンジンコントローラ50を備え、これは、プリントエンジン8が製造対象の三次元物体34作製する間に、垂直移動機構38および光エンジン48をコントロールする。プリントエンジンコントローラ50は、作業セルコントローラ6の制御下にある。
【0028】
取付具32は、その上に製造対象の三次元物体34が形成される、下方表面54を画定する下方部分52を含む。下方表面54上に開口58を画定する第1の
流体導管56が、取付具32に形成される。第1の
流体導管56は、取付具32の下方部分52を通る垂直導管として示される。代替的な実施形態において、第1の
流体導管56は、取付具32を通る別の経路を取るが依然として下方表面54上で開口58に接続する。
【0029】
製造対象の三次元物体34は、内部空洞62を画定する内表面60を有する。製造対象の三次元物体34はまた、下方表面54上で開口58と位置合わせして配置され
流体接続される入口ポート64を画定する。したがって、入口ポート64は、
流体導管56を内部空洞62に接続する。製造対象の三次元物体34は、内部空洞62を、製造対象の三次元物体34の外側部分に接続する出口ポート66を画定する。
【0030】
図3Aは、製造対象の三次元物体34を支持する取付具32と係合する
流体処理ステーション10Aの第1の実施形態を示す概略ブロック図である。
流体処理ステーション10Aは、
流体注入ポート68に
流体接続される
流体供給源67および格納レセプタクル70を含む。1つの実施形態において、管69は、
流体供給源67を
流体注入ポート68に接続する。
【0031】
流体注入ポート68は、第1の
流体導管56と密閉して係合する。したがって、
流体処理ステーション10Aは、
流体供給源67から、
流体注入ポート68を介して、第1の
流体導管56を介して、入口ポート64を介して、内部空洞62中に、
流体を注入するよう構成する。置換された
流体に加えて注入された
流体は、出口ポート66を通って格納レセプタクル70中に流出しうる。
【0032】
図示される実施形態において、
流体注入ポート68は、
流体注入ポート68と取付具32の上側表面74との間に端面シール(face seal)を提供するための環状シーリング部材72を含む。1つの実施形態において、シーリング部材72はо−リングである。
【0033】
図3Bは、製造対象の三次元物体34を支持する取付具32と係合する
流体処理ステーション10Bの第2の実施形態を示す概略ブロック図である。
流体処理ステーション10Bは、
流体注入ポート68に
流体接続される
流体供給源67を含む。
流体処理ステーション10Bはまた、
流体レシーバポート76を含む。
【0034】
図3Aと同様に、
流体注入ポート68は、第1の
流体導管56と密閉して係合する。したがって、
流体処理ステーション10Bは、
流体供給源67から、
流体注入ポート68を介して、第1の
流体導管56を介して、入口ポート64を介して、内部空洞62中に、
流体を注入するよう構成する。
【0035】
この実施形態において、取付具32は、製造対象の三次元物体34の
流体出口ポート66と位置合わせされる第2の
流体導管78を含む。
流体レシーバポート76は、第2の
流体導管78と密閉して係合する。したがって、注入された
流体は、出口ポート66を通り、第2の
流体導管78を通って、
流体レシーバポート76中に、流出しうる。図示される実施形態において、
流体注入ポート68および
流体レシーバポート76はいずれも、取付具の上側表面74に密封するためのシーリング部材72を含む。
【0036】
内表面60はまた、製造対象の三次元物体34を通る注入された
流体の最適化流速を促進する構成またはマニホールドを有してもよい。そのような最適化された構成は、
図3Aおよび
図3Bに示されるものを含む様々の実施形態に用いることができる。
【0037】
図4は、製造対象の三次元物体34の硬化を促進するための、導管56および入口ポート64の位置合わせした組合せを用いる硬化ステーション12を示す概略ブロック図である。硬化ステーション12は、製造対象の三次元物体34の内表面60を照射するための硬化光源71を含む。1つの実施形態において、光パイプ73は、光源と内部空洞62との間に光を伝送するために利用される。光パイプは、光源71から、導管56を通り、入口ポート64を通って、内部空洞62中に、通過する。1つの実施形態において、光パイプ73は、光を光源71から導管56へ伝送するための、全反射を利用する上側部分を有する。光パイプ73は、制御されたファセット(facets)を利用するような光放射を引き起こす特徴を有する下側部分77、または、光パイプ73に下側部分77に沿って光を放射させる全反射を「妨げる(frustrates)」材料を有してもよい。
【0038】
図5は、プリントシステム2のための例示的な操作プロセス80を示すフローチャートである。プロセス80は、全ての工程を含まないが、
流体処理ステーション10に関する自動化を強調する工程を含む。プロセス80の工程は、作業セルコントローラ6の制御下で行われ、これは、プリントエンジン8、
流体処理ステーション10、および搬送機構16を制御する。
【0039】
工程82に従って、取付具32は、プリントエンジン8中に配置される。1つの実施形態において、搬送機構16は、スタック(stack)から新しい取付具32をつかんで持ち上げ、次いで、プリントエンジン8中に挿入する。取付具32は、取付具32の下方表面54において開口58を画定する第1の
流体導管56を有する。いくつかの実施形態において、取付具32は、
図3Bに示されるように第2の
流体導管78を含みうる。
【0040】
工程84に従って、垂直移動機構38は、取付具32の下方表面54が光硬化樹脂26に浸漬し透明シート30と対向関係になるまで下方に、取付具32を移動させる。
【0041】
工程86に従って、プリントエンジン8は、光エンジン42および垂直移動機構38を作動し、製造対象の三次元物体34を、取付具32の下方表面54上におよびそこから下方に伸長して形成する。製造対象の三次元物体34は中空であり、したがって、内部空洞62を画定する内表面60を有する。製造対象の三次元物体34は、開口58と位置合わせされて開口58を内部空洞62に接続する入口ポート64を含む。製造対象の三次元物体34はまた、出口ポート66を含む。
【0042】
1つの実施形態において、工程86は、プリントエンジンコントローラ58の制御下で以下のサブ工程含む:(a)光エンジンは、ピクセル化された光で構築平面44を選択的に照射し、取付具32の下方表面54上に光硬化樹脂26の層を選択的に硬化および固化する。これは、製造対象の三次元物体34の第1の層である;(b)垂直移動機構は、製造対象の三次元物体34の下方表面36を再配置する;(c)製造対象の三次元物体34の下方表面36上に光硬化樹脂26の新しい層を固化することを除き、工程aが繰り返される。製造対象の三次元物体34が完全に形成されるまで、工程bおよびcが繰り返される。工程bにおける動作は、上下運動を含んでもよく、工程86中の大きさが変化してもよい。
【0043】
工程88に従って、搬送機構16は、プリントエンジン8から取付具32を取り外し、取付具32を
流体処理ステーション10中に配置する。工程90に従って、
流体処理ステーション10の
流体注入ポート68は、取付具32の第1の
流体導管56と密閉して係合する。
【0044】
工程92に従って、
流体処理ステーション10は、
流体注入ポート68を介して
流体を注入する。注入された
流体は、(1)
流体注入ポート68から、(2)第1の
流体導管56を通り、(3)入口ポート64を通って、かつ、(4)内部空洞62の中に、流れる。
流体はまた、出口ポート66から流出し、流出する
流体は、置換された
流体および注入された
流体の一部を含みうる。
【0045】
図6は、
図2に示される全てのステーションを用いるプリントシステム2を作動する方法94を示すフローチャートである。工程96に従って、取付具32は、プリントエンジンステーション8中に搭載される。工程98に従って、プリントエンジン8は、製造対象の三次元物体34のために作動される。工程98は、
図5の工程84および86に類似してもよい。
【0046】
工程100に従って、取付具32は、リンスステーション18に搬送され、これは次いで、製造対象の三次元物体34を洗浄するよう作動される。工程100は、工程88、90、および92に類似し、ここでは、
流体供給源67が、未硬化の光硬化樹脂26を洗い流すための溶媒である。
【0047】
工程102に従って、取付具32は、乾燥ステーション20に搬送され、これは次いで、製造対象の三次元物体34を乾燥させるよう作動される。工程102は、工程88、90、および92に類似し、ここでは、
流体供給源67が、残留溶媒を追い出すおよび/または乾燥させるためのガスの加圧供給源である。
【0048】
工程104に従って、取付具は、材料注入ステーション22に搬送され、これは次いで、製造対象の三次元物体34の内部空洞62を充填するよう作動される。工程104は、工程88、90、および92に類似し、ここでは、
流体供給源67が、液体および/または流動構築材料である。例示的な実施形態において、製造対象の三次元物体34は、注入された構築材料のためのモールドとして機能する。
【0049】
工程106に従って、取付具は、硬化ステーション12に搬送され、これは次いで、製造対象の三次元物体34および/または内部に注入された材料を硬化するよう作動される。工程108に従って、取付具は次いで、検査ステーション14に搬送され、これは次いで、製造対象の三次元物体34および/または注入された材料の臨界寸法および/または欠陥を検査するよう作動される。
【0050】
処理シーケンス94の他の実施形態が可能である。特定の工程は、スキップまたは再追加されてもよい。1つの実施形態には、工程104を除き全ての工程が含まれる。別の実施形態には、工程106を除き全ての工程が含まれる。さらに他の実施形態では、工程106および108が取り除かれる、または、工程108が取り除かれてもよい。ある実施形態において、硬化工程106は、工程104の前後に行われてもよい。したがって、多くの異なるサブセットおよび順序が、方法94の工程に関して可能である。
【0051】
上記で説明した具体的な実施形態およびそのアプリケーションは、専ら説明目的のためのものであり、特許請求の範囲に包含される変更形態およびバリエーションを、除外するものではない。
【符号の説明】
【0052】
2 三次元プリントシステム
4 作業セル
6 コントローラ
8 プリントエンジン
10
流体処理ステーション
12 硬化ステーション
14 検査ステーション
16 搬送機構
18 リンスステーション
20 乾燥ステーション
22 材料ステーション
26 光硬化樹脂
30 透明シート
32 取付具
34 製造対象の三次元物体
38 移動機構
44 構築平面
48 空間光変調器
50 プリントエンジンコントローラ