(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6883669
(24)【登録日】2021年5月12日
(45)【発行日】2021年6月9日
(54)【発明の名称】外装部材に設けられるスイッチユニット及び内視鏡
(51)【国際特許分類】
H01H 13/81 20060101AFI20210531BHJP
【FI】
H01H13/81
【請求項の数】11
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2019-553701(P2019-553701)
(86)(22)【出願日】2018年8月29日
(86)【国際出願番号】JP2018031931
(87)【国際公開番号】WO2019097805
(87)【国際公開日】20190523
【審査請求日】2020年3月6日
(31)【優先権主張番号】特願2017-220621(P2017-220621)
(32)【優先日】2017年11月16日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】特許業務法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤ヶ崎 将俊
(72)【発明者】
【氏名】谷島 正規
【審査官】
関 信之
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2016/098664(WO,A1)
【文献】
特開2007−252418(JP,A)
【文献】
国際公開第2014/171275(WO,A1)
【文献】
特開2002−025387(JP,A)
【文献】
特開2011−243300(JP,A)
【文献】
実開昭61−167330(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 13/81
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タクタイルスイッチと、
前記タクタイルスイッチの信号を伝達するケーブルと、
外装部材の予め定めた位置に配設される成形部品と、を有し、
前記成形部品は、
第1の端部側に設けられ前記タクタイルスイッチが実装されるスイッチ固定部と、
前記第1の端部とは反対側の第2の端部側に設けられ前記ケーブルが接続されるケーブル固定部と、前記スイッチ固定部と前記ケーブル固定部とを電気的に接続する回路と、
を具備することを特徴とする外装部材に設けられるスイッチユニット。
【請求項2】
さらに、前記成形部品に配設されて前記タクタイルスイッチを覆い、前記成形部品によって前記外装部材に固定されるキートップを具備することを特徴とする請求項1に記載の外装部材に設けられるスイッチユニット。
【請求項3】
前記成形部品は、
前記スイッチ固定部が設けられる第1配設部と、
前記ケーブル固定部が設けられる第2配設部と、を有し、
前記第2配設部は、前記第1配設部の前記スイッチ固定部とは反対側面に直交して設けられる、
ことを特徴とする請求項2に記載の外装部材に設けられるスイッチユニット。
【請求項4】
前記ケーブル固定部に固定される前記ケーブルは、前記スイッチ固定部に固定された前記タクタイルスイッチの操作部の直下から前記成形部品の外方に導出される、
ことを特徴とする請求項3に記載の外装部材に設けられるスイッチユニット。
【請求項5】
前記成形部品は、前記スイッチ固定部が設けられる第1配設部と、前記ケーブル固定部が設けられる第2配設部と、を有し、
前記回路は、前記第1配設部と第2配設部との表面に設けられた箔部である、
ことを特徴とする請求項1に記載の外装部材に設けられるスイッチユニット。
【請求項6】
前記成形部品は、前記スイッチ固定部が設けられる第1配設部と、前記ケーブル固定部が設けられる第2配設部と、を有し、
前記外装部材は、大径部と、前記大径部より小径な小径部とからなる段付き孔を有し、前記第1配設部は前記大径部に配置される、
ことを特徴とする請求項1に記載の外装部材に設けられるスイッチユニット。
【請求項7】
前記タクタイルスイッチは、前記大径部から前記小径部に向かう方向に押下される、
ことを特徴とする請求項6に記載の外装部材に設けられるスイッチユニット。
【請求項8】
前記成形部品は、前記成形部品が外装部材の予め定めた位置に配設されるように設けられた中途部と、を有し、
前記第2の端部は、前記中途部を挟んで前記第1の端部の反対側に設けられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の外装部材に設けられるスイッチユニット。
【請求項9】
前記第1の端部は、前記外装部材の外側に設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の外装部材に設けられるスイッチユニット。
【請求項10】
請求項1に記載された外装部材に設けられるスイッチユニットを内視鏡操作部に設けたことを特徴とする内視鏡。
【請求項11】
挿入部と、
前記挿入部の基端側に設けられた操作部と、
前記操作部の側方に延出されたユニバーサルコードと、
前記操作部に設けられたタクタイルスイッチと、
前記ユニバーサルコードの内部に配置され、前記タクタイルスイッチの信号を伝達するケーブルと、
前記操作部の予め定めた位置に配設される中途部と、前記中途部に対して第1の端部側に設けられ前記タクタイルスイッチが実装されるスイッチ固定部と、前記中途部を挟んで前記第1の端部とは反対側の第2の端部側に設けられ前記ケーブルが接続されるケーブル固定部と、を有する成形部品と、
前記成形部品に設けられ、前記スイッチ固定部と前記ケーブル固定部とを電気的に接続する回路と、
を有することを特徴とする内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡操作部
の外装部材に設けられるスイッチユニット及び該スイッチユニットを備えて構成された操作スイッチを該操作部に設けた内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡は、医療分野及び工業用分野等において利用されている。内視鏡は、被検体内に挿入される細長な挿入部を備えている。一般に、挿入部の先端側に位置する先端部には撮像装置が内蔵されている。また、挿入部の先端側には先端部に連接して湾曲部が設けられている。
【0003】
一方、挿入部の基端側には内視鏡操作部(以下、操作部と記載する)が設けられている。操作部にはユーザーの手元操作によって湾曲ワイヤを牽引弛緩させる操作レバー、内視鏡画像の停止、該画像の記録、照明光の切替等を指示する操作スイッチ、送水ボタン、吸引ボタン等の操作ボタンが設けられている。
【0004】
内視鏡は、医療分野において呼吸器科、耳鼻科、泌尿器科、その他の診療科等で用いられる。従来において内視鏡は、原価低減を実現するため、例えば操作部において、操作部全体の形状、操作レバーの構造及び配置位置、操作スイッチの構造及び配置位置等、基本的な構造を共通化していた。
【0005】
図1Aに示すように内視鏡操作部外装部材(以下、操作部外装と略記する)1には操作スイッチとして例えば2つのリモートスイッチ2が設けられている。リモートスイッチ2は、キートップ3、案内管4、案内管固定部材5、スイッチユニット6、及びユニット固定部材7を主に有する。スイッチユニット6は、操作部内空間1S内に配置される。
【0006】
図1Bに示すように操作部外装1には操作部外部と操作部内空間1Sとに通じる段付孔1hが形成されている。段付き孔1hは、小径孔1aと大径孔1bとを有している。大径孔1bの開口は、外方側開口である。符号1dは大径孔1bの底面である。小径孔1aの開口は、底面開口と空間側開口とである。
【0007】
図1Cを参照してリモートスイッチ2を構成するキートップ3、案内管4、案内管固定部材5、スイッチユニット6、スイッチ固定部材7について説明する。
【0008】
キートップ3は、弾性ゴム部材で所定の形状に形成されている。キートップ3は、主に、指当て部3aと軸部3bと、を有している。符号3cは内フランジ部であって指当て部3aの内部空間側に突出している。指当て部3aは、ボタン部とカバー部材とを兼用する。
【0009】
指当て部3aは、
図1Aに示すように大径孔1b内に収容される。そして、外周面3dが大径孔1bの内周面に密着して配置される。内フランジ部3cの下端面3eは、大径孔1bの底面1d上に配置される。
【0010】
図1Cに示す軸部3bは、指当て部3aの中央から突出している。軸部3bの端面は、操作部内空間1S内に配置されるようにその長さが予め設定されている。
【0011】
案内管4は、外フランジ部4aとパイプ部4b及び軸方向貫通孔である軸部用孔4cと、を有している。外フランジ部4aは、指当て部3aの空間内に配置されて内フランジ部3c上に載置される。パイプ部4bは、外フランジ部4aの一端面から突出して予め定めた長さである。パイプ部4bの中途部には雄ねじ部4mが設けられている。
なお、パイプ部4bの一端面は、操作部内空間1S内に配置される。本実施形態において、パイプ部4の端面からキートップ3の軸部3bが突出するようにその長さが設定されている。
【0012】
案内管固定部材5は、例えば、第1外フランジ部5a、第2外フランジ部5b、逃がし周溝5c、及び段付き孔5dを有している。段付き孔5dは、軸方向貫通孔であり、逃がし孔5e、ねじ孔5f、係入孔5gを備えている。係入孔5g内には3bが係入される。ねじ孔5fの内周面には雌ねじが形成されている。ねじ孔5fの雌ねじは、パイプ部4bの雄ねじ部4mに螺合する。
【0013】
係入孔5gが形成されている第2外フランジ部5bには一対の取付用孔5hが形成されている。取付用孔5hは、取付工具であるいわゆる蟹目レンチの突起が配置される軸方向貫通孔である。
第1外フランジ部5aの端面5iは取付面であって、後述する固定板(
図1Aの符号8)の一面側に配置される。
【0014】
スイッチユニット6は、回路が形成された1つの回路基板6aと、2つのタクタイルスイッチ6bと、各タクタイルスイッチ6bに接続される電気ケーブル6cと、を備えている。回路基板6aの回路中にはスイッチ接点(不図示)とケーブル接点(不図示)とが設けられている。スイッチ接点にはタクタイルスイッチ6bが実装される。ケーブル接点には電気ケーブル6cの一端部が接続される。符号6hは軸方向貫通孔6hであって、回路基板6aに設けられている。
【0015】
ユニット固定部材7は、固定部本体7Aと、ナット7Bと、ねじ部材7Cと、を備えている。固定部本体7Aは、外フランジ部7dと、一端側軸部7eと、他端側軸部7g及び軸方向の貫通孔7hを有している。
一端側軸部7eは、外フランジ部7dの一端面から突出している。他端側軸部7gは、外フランジ部7dの一端面の反対面である他端面から突出している。
【0016】
一端側軸部7eの端面側には雄ねじ部7mが形成されている。雄ねじ部7mには固定部材であるナット7Bの雌ねじ部7fが螺合する。貫通孔7h内には固定部材であるねじ部材7Cの軸部7Caが挿通(遊嵌配置)される。軸部7Caは、雄ねじ部7Cmを有している。軸部7Caの端部は、一端側開口から貫通孔7h内に挿入され、他端側開口から外部に導出さるようにその長さが設定されている。
【0017】
図1Aの符号8は固定板である。固定板8は、操作部外装1の操作部内空間1S側の所定位置に設けられた平面である固定面1fに対して例えば接着固定される。固定板8には案内管挿通孔8a、ねじ用孔8bが形成されている。ねじ用孔8bには固定部材である取付ねじ9Aの雄ねじ部9Amを有する軸部9Aaが挿通配置される。
【0018】
図1A、
図1Cの符号9Bは固定パイプである。固定パイプ9Bには中心軸に沿って、貫通孔であって雌ねじ部を有するねじ孔9f(
図1Aには不図示)が形成されている。固定パイプ9Bは、取付ねじ9Aによって予め固定板8に取付けられている。
【0019】
ここで、リモートスイッチ2の操作部外装1への取付けを説明する。
作業者は、操作部外装1、キートップ3、案内管4、案内管固定部材5、スイッチユニット6、及びユニット固定部材7を用意する。
なお、以下の説明においてはリモートスイッチ2の操作部外装1に設けられた一方の段付き孔1hへの取付けを説明する。
【0020】
作業者は、予め、
図2Aに示すキートップ組10を構成しておく。キートップ組10は、キートップ3と案内管4とを一体的に取付けて構成される。具体的に、作業者は、キートップ3の軸部3bを案内管4のパイプ部4bの軸用孔4cに挿入する一方、該案内管4の外フランジ部4aを指当て部3a内に配置する。
【0021】
また、作業者は、予め、
図2Bに示すスイッチ組11を構成しておく。スイッチ組11は、スイッチユニット6と固定部本体7Aとナット7Bとを一体的に取付けて構成される。具体的に、作業者は、タクタイルスイッチ6bが実装され、且つ、電気ケーブル6cが接続されている回路基板6aの軸方向貫通孔6hに固定部本体7Aの一端側軸部7eを挿通して外フランジ部7dの一面側を該基板6a上に載置させる一方、ナット7Bの雌ねじ部7fを一端側軸部7eの雄ねじ部7mに螺合していく。この結果、回路基板6aが外ランジ部7dとナット7Bとの間に挟持固定される。
【0022】
作業者は、まず、
図2Cに示すようにキートップ組10を構成するキートップ3の軸部3bを小径孔1a内に挿通しつつ、案内管4のパイプ部4bを小径孔1a内に導入すると共に、キートップ3の指当て部3aを大径孔1b内に配置していく。
この結果、
図2Dに示すようにキートップ3の指当て部3aが大径孔1b内に配置され、雄ねじ部4mを含むパイプ部4b及び軸部3bが操作部内空間1Sに配置される。
【0023】
次いで、作業者は、まず、
図2Dに示すように操作部外装1の固定面1fの所定位置に固定板8を配置する。なお、固定板8には取付ねじ9Aを介して固定パイプ9Bが螺合固定されている。また、固定板8には逃がし孔8hが形成されており、該逃がし孔8h内にはパイプ部4b及び軸部3bを挿通配置されている。
【0024】
次に、作業者は、案内管固定部材5を、キートップ組10を構成する操作部内空間1Sに突出する案内管4に取付ける。即ち、案内管固定部材5の雌ねじを有するねじ孔5fを案内管4のパイプ部4bの雄ねじ部4mに螺合していく。すると、棒状部3bがさらに矢印Y2Dに示すように操作部内空間1S内方に移動されていく。
【0025】
この結果、
図2Eに示すように案内管固定部材5の端面5iが固定板8の一面に当接して該固定板8が該端面5iと固定面1fとの間に挟持固定されると共に、キートップ組10が操作部外装1に固設される。このとき、外フランジ部4aが内フランジ部3cを押圧して該内フランジ部3cが弾性変形され、外周面3dが大径孔1bの内周面に密着すると共に、下端面3eが底面1dに密着する。
【0026】
次に、作業者は、
図2Eに示すようにスイッチ組11を、操作部外装1に一体に固定されている固定パイプ9Bに取付ける。すなわち、スイッチ組11を構成する固定部本体7Aの他端側軸部7gの端面を固定パイプ9Bの端面に破線で示すように当接させる。このとき、タクタイルスイッチ6bとキートップ3の軸部3bとを所定の状態に対向させる。
【0027】
この後、作業者は、ねじ部材7Cの軸部7Caを固定部本体7Aの貫通孔7hを介して該パイプ9Bのねじ孔9fに螺合してスイッチ組11を操作部外装1に一体な固定パイプ9Bに対して一体的に取付ける。
このことによって、前記
図1で示されているようリモートスイッチ2が操作部外装1に取付けられた状態になる。
【0028】
なお、日本国特開2007−87012号公報には入力装置が示されている。この入力装置においては、下部ケース内には第2の回路基板が固定状態に設けられており、この第2の回路基板の上面にタクタイルスイッチが配設されている。タクタイルスイッチは、入力決定用のスイッチ要素を構成している。上部カバーの下面にはタクタイルスイッチの操作子に対応させて押圧用凸部が設けられている。圧縮コイルばねにより、上部カバーが上方へ付勢されている。
【0029】
上述の構成の入力装置は、上部カバーが下方へ押圧操作されると、押圧用凸部を介して操作子が押圧操作され、これに基づきタクタイルスイッチがオン操作される。上部カバーに対する押圧力が解除されると、圧縮コイルばねの付勢力により上部カバーが上方へ戻され、これに伴い操作子の押圧が解除されてタクタイルスイッチはオフ状態に戻される。
【0030】
しかしながら、操作部外装において操作スイッチを設けることが可能な範囲は限定されている。加えて、操作スイッチの押圧用凸部直下のスペースが狭く限定されている。このため、日本国特開2007−87012号公報に示すように回路基板の上面に設けたタクタイルスイッチを該スイッチの押圧用凸部直下に配置することが難しい。
【0031】
また、
図1Aで示すようにリモートスイッチ2を操作部外装1に設ける構成においては、回路基板6aを操作部内空間1S内に設けることによってスペースの問題を解消している。しかし、
図1Cで示したようにリモートスイッチ2の部品点数が多い。また、
図2A−
図2Eで示したようにリモートスイッチ2の操作部外装1へ取付けは煩雑であり、原価が高くなる要因になっている。
【0032】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、部品点数の低減による小型化を実現しつつ安価で、且つ、取付け性に優れた
外装部材に設けられるスイッチユニットおよび該スイッチユニットを備えた内視鏡を提供することを目的にしている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0033】
本発明の一態様の外装部材に設けられるスイッチユニットは、タクタイルスイッチと、前記タクタイルスイッチの信号を伝達するケーブルと、外装部材の予め定めた位置に配設される成形部品と、を有し、前記成形部品は、第1の端部側に設けられ前記タクタイルスイッチが実装されるスイッチ固定部と、
前記第1の端部とは反対側の第2の端部側に設けられ前記ケーブルが接続されるケーブル固定部と、前記スイッチ固定部と前記ケーブル固定部とを電気的に接続する回路と、を具備している。
【0034】
本発明の一態様の内視鏡は、内視鏡操作部に
前記スイッチユニットが設けられている。
また、本発明の他態様の内視鏡は、挿入部と、前記挿入部の基端側に設けられた操作部と、前記操作部の側方に延出されたユニバーサルコードと、前記操作部に設けられたタクタイルスイッチと、前記ユニバーサルコードの内部に配置され、前記タクタイルスイッチの信号を伝達するケーブルと、前記操作部の予め定めた位置に配設される中途部と、前記中途部に対して第1の端部側に設けられ前記タクタイルスイッチが実装されるスイッチ固定部と、前記中途部を挟んで前記第1の端部とは反対側の第2の端部側に設けられ前記ケーブルが接続されるケーブル固定部と、を有する成形部品と、前記成形部品に設けられ、前記スイッチ固定部と前記ケーブル固定部とを電気的に接続する回路と、を有している。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1A】操作部外装とリモートスイッチとを説明する図
【
図1B】リモートスイッチが配設される操作部外装を説明する図
【
図1C】リモートスイッチの部品の構成を説明する図
【
図2A】キートップと案内管とで構成されるキートップ組を説明する図
【
図2B】スイッチユニットと固定部本体とナットとで構成されるスイッチ組を説明する図
【
図2C】キートップ組の操作部外装への取付けを説明する図
【
図2D】案内管固定部材によるキートップ組の操作部外装への固定を説明する図
【
図2E】キートップ組が固定された操作部外装へのスイッチ組の取付けを説明する図
【
図3】スイッチユニットが操作部に設けられた内視鏡の一構成例を説明する図
【
図4】スイッチユニットが設けられる操作部外装部材を説明する図
【
図7】タクタイルスイッチを実装し、ケーブルが接続されたスイッチユニットを説明する図
【
図8A】スイッチユニットにキートップを配設した状態を説明する図
【
図8B】キートップが装着されたスイッチユニットを操作部外装部材に配設する状態を説明する図
【
図8C】スイッチユニットに装着されたキートップ及びタクタイルスイッチを実装した第1平板部を段付き孔の大径孔に配置した状態等を説明する図
【
図8D】ナットを操作部内空間に突出する第2平板部の連結部に取り付ける状態を説明する図
【
図8E】ナットを連結部に螺合してキートップが装着されたスイッチユニットを操作部外装部材に固設した状態を説明する図
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
なお、以下の説明に用いる各図において、各構成要素を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、構成要素毎に縮尺を異ならせてあるものもある。即ち、本発明は、これらの図に記載された構成要素の数量、構成要素の形状、構成要素の大きさの比率、及び各構成要素の相対的な位置関係のみに限定されるものではない。
【0037】
近年、内視鏡において、各診療科毎に最適な形状の操作部が望まれている。
図3に示す内視鏡20は、内視鏡挿入部(以下、挿入部と略記する)21と、内視鏡操作部(以下、操作部と略記する)22と、ユニバーサルコード23と、を主に備えている。挿入部21は、細径であって先端側から順に、先端部24と、湾曲部25と、可撓管部26と、を連設して構成されている。
【0038】
先端部24の先端面には観察窓(不図示)、照明窓(不図示)、処置具開口(不図示)等が設けられている。湾曲部25は、挿入部21の中途に設けられ、例えば上下方向に湾曲する構成になっている。可撓管部26は、可撓性を有するチューブ体であって、受動的に湾曲する構成になっている。
【0039】
操作部22は、可撓管部26の基端側に設けられている。操作部22の側部からユニバーサルコード23が延出されている。ユニバーサルコード23の基端部には内視鏡コネクタ(不図示)が設けられている。内視鏡コネクタは、外部機器である光源装置等に着脱自在である。
【0040】
操作部22には、湾曲操作装置27、処置具挿入口28、複数のリモートスイッチ29、吸引口(不図示)等と、が設けられている。
湾曲操作装置27は、例えばL字形状のレバーである。レバーの基端部は、操作部22に対して回動自在に軸支されている。湾曲操作装置27は、ユーザーが湾曲部25を湾曲操作する際に操作される。湾曲部25は、湾曲操作装置27の回動操作に伴って上用、あるいは、下用の牽引ワイヤが牽引、弛緩されて上方向、あるいは、下方向に湾曲する。
【0041】
なお、上述した湾曲部25は、上下方向に湾曲する構成に限定されるものでは無く、上下左右の四方向に湾曲する構成であってもよい。その場合、操作部22には上下用のレバーと左右用のレバーとが設けられる。左右用の操作レバーは、回動操作によって左用、あるいは、右用の牽引ワイヤを牽引、弛緩して、湾曲部25を左方向、あるいは、右方向に湾曲するように構成される。
【0042】
また、湾曲操作装置27は、L字形状のレバーに限定されるものではなく、略円形形状で回動操作される回転ノブ、傾倒操作されるジョイスティック型の棒状レバー、等であってもよい。
【0043】
処置具挿入口28からは各種処置具が挿入される。複数のリモートスイッチ29は、表示装置(不図示)の画面上に表示されている内視鏡画像の停止、あるいは、記録、画像の拡大、照明光の切替、等を行うための操作スイッチである。リモートスイッチ29は、操作部22の操作部外装部材30に設けられている。
【0044】
ここで、
図4−
図8Eを参照してリモートスイッチ29を説明する。
図4に示すように操作部外装部材30には操作部外部と操作部内空間31とに通じる貫通孔である段付孔32が形成されている。段付き孔32は、リモートスイッチ29を配設するための孔であり、小径孔33と大径孔34とを備えている。
【0045】
大径孔34は、外方側開口34aを有している。大径孔34は、底面34bと内周面34cとを備えている。底面34bには小径孔33の一方の開口33aが形成されている。小径孔33の他方の開口33bは空間側開口であって、操作部内空間31に通じている。
【0046】
図5に示すようにスイッチユニット40は、タクタイルスイッチ50と、ケーブル60と、成形部品70と、を備えている。タクタイルスイッチ50は、外装体51、操作部52、複数の接点53等を備えて構成されている。タクタイルスイッチ50、操作部52を押すことによってクリック感を得られて接点機構がオン状態になる例えばモーメンタリースイッチである。
【0047】
ケーブル60は、例えば同軸ケーブルであって、中心側から順に内部導体61と、絶縁体62と、外部導体63と、保護被覆64と、を有する。保護被覆64は、ケーブル60の最外層である。絶縁体62は、中間層であって内部導体61と外部導体63とを絶縁する。
【0048】
成形部品70は、第1配設部71と、第2配設部72と、を有している。第1配設部71は、円板形状である。第2配設部72は、前記第1配設部71の表側面71aとは反対側の面である裏側面71bに直交して設けられている。
【0049】
第1配設部71の表側面71aは、タクタイルスイッチ50が実装されるスイッチ固定部として構成されている。一方、第2配設部72の端部側は、ケーブル60の内部導体61の先端側及び外部導体63の先端側が接続されるケーブル固定部として構成されている。
【0050】
第2配設部72は第1配設部71の裏側面71b側から順に、係入部73と、成形部品連結部(以下、連結部と略記する)74と、ケーブル固定部75と、を備えている。
係入部73は、段付孔32の小径孔33内に配置される。連結部74は、後述するナット(
図8Dの符号90)の雌ねじが螺合する雄ねじ部74mを有している。ケーブル接続部75は、ケーブル60の内部導体61及び絶縁体62の先端側が配置される第1収容部75aと、外部導体63及び保護被覆64の先端側が配置される第2収容部75bと、を有している。
【0051】
符号76は回路である。回路76は、箔部76a、76bを設けて構成されている。回路76は、タクタイルスイッチ50から発生される操作信号をケーブル60に伝達する。
【0052】
図5、
図6Aに示すように第1配設部71の表側面71aには例えば凹面71cが形成されている。凹面71c上には回路76を構成する箔部76a、76bが設けられている。即ち、箔部76a、76bが設けられた凹面71cは、タクタイルスイッチ50が固設されるスイッチ固定部である。タクタイルスイッチ50の各接点53は、凹面71cに設けられたそれぞれの箔部76a、76bに所定の状態で接続される。
【0053】
なお、第1配設部71の箔部76a、76bは、凹面71cに加えて、表側面71a上及び凹面71c上から表側面71a上に至る立上面(不図示)の所定位置にも設けられている。立上面の箔部76a、76bは、凹面71cの箔部76a、76bと、表側面71aの箔部76a、76bと、を接続する。
【0054】
図5、
図6Bに示すように第2配設部72の係入部73、連結部74、及びケーブル固定部75は、円柱形状部の一部に切欠平面73f、74f、75fを設けて形作られている。そして、係入部73の切欠平面73f、連結部74の切欠平面74f、ケーブル接続部75の切欠平面75f及び連結部74の切欠平面74fからケーブル接続部75の切欠平面75fに至る段差面72fには箔部76a、76bが設けられている。段差面72fの箔部76a、76bは、連結部74の箔部76a、76bと、ケーブル接続部75の箔部76a、76bと、を接続している。
【0055】
なお、
図5、
図6Bに示すように第1配設部71の裏側面71bには箔部76a、76bが設けられている。また、第1配設部71の外側面には、表側面71aの箔部76a、76bと、裏側面71bの箔部76a、76bと、を接続する箔部76a、76bが設けられている。さらに、上述した雄ねじ部74mは、連結部74の周面に形成されている。
【0056】
第1収容部75a及び第2収容部75bは、断面が半円形の凹部である。第1収容部75aには絶縁体62の先端面が当接する終端面が設けられている。第1収容部75aに配置された内部導体61の先端側は、第1箔部76aに例えば半田によって接続される。一方、第2収容部75bに配置された外部導体63は、第2箔部76bに例えば半田によって接続される。
【0057】
これらの結果、
図7に示すように成形部品70にタクタイルスイッチ50とケーブル60とが固定されたスイッチユニット40が構成される。
【0058】
スイッチユニット40は、成形部品70の中途部に位置する係入部73を挟んで第1の端部側である第1配設部71に設けられた凹面71cであるスイッチ固定部にタクタイルスイッチ50が実装されている。また、スイッチユニット40は、中途部である係入部73を挟んで凹面71cとは反対側の第2の端部側に設けられたケーブル接続部75に所定の状態でケーブル60が接続され、該ケーブル60は操作部52の直下から成形部品70の外方に延出されている。
【0059】
このように構成されたスイッチユニット40においては、第1の端部側のスイッチ固定部に実装されたタクタイルスイッチ50の操作部52を操作して発生される操作信号は、回路76を介して第2の端部側のケーブル固定部75に接続されたケーブル60に伝達され、該ケーブル60を介して外部機器に伝達される。
【0060】
ここで、操作部外装部材30へのリモートスイッチ29の取付けを説明する。
作業者は、操作部外装部材30、スイッチユニット40、キートップ80、及び成形部品固定部材90を用意する。
なお、本実施形態におけるリモートスイッチ29は、操作部外装部材30に設けられた段付き孔32毎に1つずつ取付けられる。また、
図8Aに示すように本実施形態においては、成形部品70の第1配設部71に、予め、弾性ゴム部材で所定の形状に形成されたキートップ80を配設して、キートップ付スイッチユニット40Aとして構成してある。
したがって、作業者は、リモートスイッチ29の取付の際、操作部外装部材30、キートップ付スイッチユニット40A、及び成形部品固定部材90を用意する。
【0061】
なお、キートップ80は、内フランジ部81を有している。内フランジ部81の一面82は、第1配設部71の裏側面71bに配置されるようになっている。この配置状態において、キートップ80のスイッチ押圧凸部83の端面84はタクタイルスイッチ50の操作部52に対して予め定めた状態で対向配置されている。
【0062】
まず、作業者は、
図8Bに示すように操作部外装部材30に形成された段付孔32の小径孔33内にキートップ付スイッチユニット40Aを構成する成形部品70に固設されて延出されているケーブル60を含む第2配設部72を矢印Y8Bに示すように挿通させていく。
【0063】
そして、作業者は、
図8Cに示すように第2配設部72のケーブル固定部75及び連結部74を小径孔33から導出させて操作部内空間31に配置させる一方、係入部73を小径孔33内に配置させると共に、キートップ80の指当て部85を大径孔34内に配置させる。
【0064】
次に、作業者は、
図8Dに示すように成形部品固定部材90であるナット(以下、成形部品固定部材をナット90と記載する)を、操作部内空間31に突出する連結部74に取付ける。即ち、ナット90の雌ねじ90fを連結部74の雄ねじ部74mに螺合していく。
【0065】
この結果、
図8Eに示すようにナット90の端面91が操作部内空間31の空間平面31fに当接して係入部73がさらに操作部内空間31内方に移動され、成形部品70の係入部73が小径孔33内に配置された状態で操作部外装部材30に固設される。
【0066】
このとき、第1配設部71が内フランジ部81を押圧して該内フランジ部81が弾性変形される。この結果、キートップ80の下端面が底面34bに密着されると共に、キートップ80の外周面86が大径孔34の内周面34cに密着してキートップ80が操作部外装部材30に対して固定される。
このことによって、操作部外装部材30に対してリモートスイッチ29が取付け固定される。
【0067】
このように、成形部品70をスイッチ固定部を備える第1配設部71とケーブル固定部を備える第2配設部72とで構成した上で、第1配設部71及び第2配設部72にスイッチ固定部とケーブル固定部とを接続する回路76を設けている。加えて、スイッチ固定部にタクタイルスイッチ50を予め実装し、スイッチ固定部にケーブル60を予め接続してスイッチユニット40を構成している。
これらの結果、リモートスイッチ29を構成する部品の点数を大幅に削減して安価な構成を実現できる。
【0068】
また、第2配設部72に雄ねじ部74mを有する連結部74を設け、該連結部74の雄ねじ部74mにナット90の雌ねじ部を螺合して、係入部73を小径孔33内に係入配置された状態にして成形部品70を操作部外装部材30に一体に固定している。
【0069】
この結果、キートップ80及びスイッチユニット40を段付き孔32内の所定位置に配設させて操作部外装部材30に対して容易に取付け固定することができる。
【0070】
したがって、安価なスイッチユニット40を操作部外装部材30に容易に取付けられることによって安価な内視鏡を提供できる。
【0071】
また、スイッチユニット40が実装された第1配設部71を段付き孔32の大径孔34に配設することによって、操作部52の直下の操作部内空間31に連結部74、ケーブル固定部75を配設して該空間31内のスペースを有効に活用することができる。
【0072】
なお、上述した実施形態においては、ケーブル60を同軸ケーブルとしている。しかし、ケーブルは、同軸ケーブルに限定されるものでは無く。2つの信号線を内挿した信号ケーブル65であってもよい。この場合、
図9に示すように信号ケーブル65の2つの信号線65a、65bを上述したように箔部76a、76bに半田で接続する。なお、符号77は信号ケーブル挿通部であってケーブル孔77hを有している。ケーブル孔77hには信号ケーブル65が挿通される。
【0073】
また、上述した実施形態においては、凹面71c上の箔部76a、76bと、切欠平面73fの箔部76a、76bと、を表側面71a、第1配設部71の外側面、及び裏側面71bに設けた箔部76a、76bで接続している。しかし、第1配設部71の所定の位置に表側面71aと裏側面71bとを貫通する穴を形成し、その穴の一面に凹面71c上の箔部76a、76bと、切欠平面73fの箔部76a、76bと、を接続する箔部を設けるようにしてもよい。
【0074】
尚、本発明は、以上述べた実施形態のみに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。
【0075】
本発明によれば、部品点数の低減による小型化を実現しつつ安価で、且つ、取付け性に優れたスイッチユニットおよび該スイッチユニットを備えた内視鏡を実現できる。
【0076】
本出願は、2017年11月16日に日本国に出願された特願2017−220621号を優先権主張の基礎として出願するものであり、上記の開示内容は、本願明細書、請求の範囲に引用されるものとする。