特許第6883709号(P6883709)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6883709キャリアテープ搬送装置およびキャリアテープ搬送方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6883709
(24)【登録日】2021年5月12日
(45)【発行日】2021年6月9日
(54)【発明の名称】キャリアテープ搬送装置およびキャリアテープ搬送方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20210531BHJP
【FI】
   H05K13/02 B
【請求項の数】7
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2020-515429(P2020-515429)
(86)(22)【出願日】2018年4月27日
(86)【国際出願番号】JP2018017190
(87)【国際公開番号】WO2019207763
(87)【国際公開日】20191031
【審査請求日】2020年7月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】特許業務法人 共立
(72)【発明者】
【氏名】野々山 知志
(72)【発明者】
【氏名】今西 聡
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 大輔
(72)【発明者】
【氏名】川端 将実
【審査官】 井上 信
(56)【参考文献】
【文献】 特開平9−86745(JP,A)
【文献】 国際公開第2003/071847(WO,A1)
【文献】 特表2005−534165(JP,A)
【文献】 特開2005−26281(JP,A)
【文献】 特開2011−82500(JP,A)
【文献】 特開2015−76586(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に装着する部品を収容するキャリアテープに設けられる複数の送り孔に順に係合して前記キャリアテープをピッチ送りする複数の歯部のうちの少なくとも一つが欠損している欠損部を備えるスプロケットと、
前記スプロケットの前記欠損部を検出する第一検出器と、
前記キャリアテープの前記ピッチ送りを開始する前に、前記第一検出器を用いて前記欠損部を検出させる欠損部検出部と、
前記第一検出器によって前記欠損部が検出されたときの前記スプロケットの回転位置に基づいて、前記キャリアテープの前記ピッチ送りを開始する際の前記スプロケットの回転方向における原点位置を設定する原点位置設定部と、
を具備するキャリアテープ搬送装置。
【請求項2】
前記スプロケットは、一つの前記欠損部を備え、
前記原点位置設定部は、当該欠損部に隣接する一の前記歯部である基準歯部が前記キャリアテープの先頭の前記送り孔と係合するように、前記欠損部が検出されたときの前記スプロケットの前記回転位置から所定角度分、前記スプロケットを回転させて、前記スプロケットが前記所定角度分、回転したときの前記基準歯部を前記原点位置に設定する請求項1に記載のキャリアテープ搬送装置。
【請求項3】
前記原点位置設定部によって設定された前記原点位置を原点とする共通の座標系に基づいて、前記第一検出器を含む複数の検出器の検出方向が設定されている請求項1または請求項2に記載のキャリアテープ搬送装置。
【請求項4】
前記複数の検出器は、前記キャリアテープにおける前記部品の有無を検出する第二検出器、および、前記部品を収容するキャビティの形状に基づいて前記キャリアテープの種類を検出する第三検出器のうちの少なくとも一方、並びに、前記第一検出器である請求項3に記載のキャリアテープ搬送装置。
【請求項5】
前記スプロケットは、前記キャリアテープが前記ピッチ送りされて前記欠損部が前記送り孔に到達したときに、少なくとも一つの前記歯部が当該送り孔に隣接する前記送り孔と係合している請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のキャリアテープ搬送装置。
【請求項6】
前記キャリアテープをテープフィーダに装填するテープ装填装置に用いられる請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のキャリアテープ搬送装置。
【請求項7】
基板に装着する部品を収容するキャリアテープに設けられる複数の送り孔に順に係合して前記キャリアテープをピッチ送りする複数の歯部のうちの少なくとも一つが欠損している欠損部を備えるスプロケットと、
前記スプロケットの前記欠損部を検出する第一検出器と、
を具備するキャリアテープ搬送装置に適用され、
前記キャリアテープの前記ピッチ送りを開始する前に、前記第一検出器を用いて前記欠損部を検出させる欠損部検出工程と、
前記第一検出器によって前記欠損部が検出されたときの前記スプロケットの回転位置に基づいて、前記キャリアテープの前記ピッチ送りを開始する際の前記スプロケットの回転方向における原点位置を設定する原点位置設定工程と、
を具備するキャリアテープ搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、キャリアテープ搬送装置およびキャリアテープ搬送方法に関する技術を開示する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のテープ切断処理装置は、キャリアテープを搬送する搬送装置を備えている。搬送装置は、スプロケットおよび歯検知装置を備えている。スプロケットには、キャリアテープの送り孔と同一ピッチの複数の歯が周方向に沿って形成されている。スプロケットは、複数の歯のうちの最上部に回転してきた歯と、キャリアテープの送り孔とが係合可能に、搬送経路の下方に配置されている。歯検知装置は、スプロケットの側面に付されたマークを読み取ることによって、歯の1つが垂直上向きとなったこと(スプロケットが原位置になったこと)を検知する。
【0003】
また、特許文献2に記載の表面実装機は、スプロケットに設けられる複数の送り歯の各々に対応する送り補正量のテーブルデータを備えている。スプロケットの送り歯は、円錐の先端部が平坦に形成されており、平坦に形成された先端部には、位置検出標識が設けられている。位置検出標識は、送り歯の先端部を六分割するように設けられ、切り欠きの組み合わせからなる。表面実装機は、基板撮像装置によって位置検出標識を撮像し、予め記憶部に記録されている位置検出標識の形状データと、撮像された位置検出標識の画像とを主制御部が照合することにより、撮像された送り歯の歯番号を取得する。これにより、表面実装機は、撮像位置の送り歯を特定し、スプロケットの回転角度位置を検出して、送り補正量を加味したテープ送りを実行しようとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2016/203628号
【特許文献2】特開2009−283525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
キャリアテープの搬送を開始する際に、スプロケットの特定の歯部からキャリアテープの搬送を開始しない場合、スプロケットの加工精度のばらつき、組み付け誤差などによって、キャリアテープの送り精度に、ばらつきが生じる可能性がある。そのため、キャリアテープの位置決め精度を確保するためには、キャリアテープの搬送を開始する際のスプロケットの回転方向における原点位置を設定する必要がある。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のテープ切断処理装置は、スプロケットの側面に付されたマークを読み取ることによって、スプロケットの原位置を検知している。そのため、特許文献1に記載のテープ切断処理装置では、読み取ったマークの画像処理などが必要になる可能性がある。また、特許文献2に記載の表面実装機は、送り歯に設けられる切り欠きの組み合わせによって、撮像位置の送り歯を特定して、スプロケットの回転角度位置を検出している。そのため、特許文献2に記載の表面実装機では、送り歯において、複雑な微小加工が必要になる。また、特許文献2に記載の表面実装機では、撮像された位置検出標識の画像処理などが必要になる。
【0007】
このような事情に鑑みて、本明細書は、キャリアテープの送り精度のばらつきを低減可能なキャリアテープ搬送装置およびキャリアテープ搬送方法を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書は、スプロケットと、第一検出器と、欠損部検出部と、原点位置設定部とを具備するキャリアテープ搬送装置を開示する。前記スプロケットは、基板に装着する部品を収容するキャリアテープに設けられる複数の送り孔に順に係合して前記キャリアテープをピッチ送りする複数の歯部のうちの少なくとも一つが欠損している欠損部を備える。前記第一検出器は、前記スプロケットの前記欠損部を検出する。前記欠損部検出部は、前記キャリアテープの前記ピッチ送りを開始する前に、前記第一検出器を用いて前記欠損部を検出させる。前記原点位置設定部は、前記第一検出器によって前記欠損部が検出されたときの前記スプロケットの回転位置に基づいて、前記キャリアテープの前記ピッチ送りを開始する際の前記スプロケットの回転方向における原点位置を設定する。
【0009】
また、本明細書は、スプロケットと、第一検出器とを具備するキャリアテープ搬送装置に適用されるキャリアテープ搬送方法を開示する。前記キャリアテープ搬送方法は、欠損部検出工程と、原点位置設定工程とを具備する。前記スプロケットは、基板に装着する部品を収容するキャリアテープに設けられる複数の送り孔に順に係合して前記キャリアテープをピッチ送りする複数の歯部のうちの少なくとも一つが欠損している欠損部を備える。前記第一検出器は、前記スプロケットの前記欠損部を検出する。前記欠損部検出工程は、前記キャリアテープの前記ピッチ送りを開始する前に、前記第一検出器を用いて前記欠損部を検出させる。前記原点位置設定工程は、前記第一検出器によって前記欠損部が検出されたときの前記スプロケットの回転位置に基づいて、前記キャリアテープの前記ピッチ送りを開始する際の前記スプロケットの回転方向における原点位置を設定する。
【発明の効果】
【0010】
上記のキャリアテープ搬送装置によれば、原点位置設定部は、第一検出器によって欠損部が検出されたときのスプロケットの回転位置に基づいて、キャリアテープのピッチ送りを開始する際のスプロケットの回転方向における原点位置を設定する。よって、上記のキャリアテープ搬送装置は、スプロケットの特定の歯部から、キャリアテープの搬送(ピッチ送り)を開始することができ、キャリアテープの送り精度のばらつきを低減することができる。キャリアテープ搬送装置について上述したことは、キャリアテープ搬送方法についても同様に言える。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】テープ装填装置1の構成例を示す平面図である。
図2】テープフィーダ90の一例を示す斜視図である。
図3】キャリアテープ2の一例を示す斜視図である。
図4】テープ切断処理装置110の一例を示す斜視図である。
図5】検知位置Ldと切断位置Lcの位置関係の一例を示す模式図である。
図6図4に示す切断装置160およびエアブロー装置180の部分拡大図である。
図7】制御装置100の制御ブロックの一例を示すブロック図である。
図8】制御装置100による制御フローの一例を示すフローチャートである。
図9A】第一検出器125によって欠損部123mが検出された後に、スプロケット123を回転させない場合の原点位置P0の一例を示す図である。
図9B】第一検出器125によって欠損部123mが検出された後に、スプロケット123を回転させる場合の原点位置P0の一例を示す図である。
図9C】スプロケット123によってキャリアテープ2が搬送される様子を模式的に示す図である。
図10】座標系CS1と、第一検出器125、第二検出器150aおよび第三検出器150bの各検出方向との関係の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
1.テープ装填装置1の構成例
本実施形態のキャリアテープ搬送装置120は、キャリアテープ2をテープフィーダ90に装填するテープ装填装置1に用いられると好適である。テープ装填装置1は、図3に示すキャリアテープ2を、図2に示すテープフィーダ90に装填する。具体的には、テープ装填装置1は、テープ切断処理装置110によって、テープリール3に巻回されているキャリアテープ2の先端部を切断処理する。そして、テープ装填装置1は、切断処理されたキャリアテープ2を、図2に示すピッチ送り機構部93にセットするとともに、カバーテープ22を所定の経路で引き回して、カバーテープ送り出し機構部97にセットする。
【0013】
なお、本実施形態では、説明の便宜上、テープリール3から引き出されたキャリアテープ2が搬送されるテープ搬送方向を基準として、座標系CS1が設定されている。具体的には、後述するキャリアテープ搬送装置120の搬送経路121の水平面において、当該テープ搬送方向と直交する方向をX軸方向とし、テープ搬送方向と平行な方向をY軸方向とする。また、X軸方向およびY軸方向の両方と直交する方向をZ軸方向とする。
【0014】
1−1.テープフィーダ90の構成例
図2に示すように、テープフィーダ90は、フィーダ本体91と、リール収容部92と、ピッチ送り機構部93と、テープ送りガイド94と、テープ保持部95と、カバーテープ送り出し機構部97とを備えている。フィーダ本体91の後端側(図2の紙面右側)には、リール収容部92が設けられている。リール収容部92は、キャリアテープ2が巻回されているテープリール3を収容することができる。フィーダ本体91の前端側(図2の紙面左側)の上部には、ピッチ送り機構部93が設けられている。ピッチ送り機構部93は、テープリール3から引き出されたキャリアテープ2をピッチ送りする。ピッチ送り機構部93は、スプロケット93aと、モータ93bとを備えている。モータ93bは、スプロケット93aを回転駆動する。
【0015】
また、フィーダ本体91の上面部において、リール収容部92とピッチ送り機構部93との間には、テープ送りガイド94が設けられている。テープ送りガイド94は、ピッチ送りされるキャリアテープ2を案内する。さらに、ピッチ送り機構部93には、テープ保持部95が設けられている。テープ保持部95は、ピッチ送りされるキャリアテープ2がピッチ送り機構部93から外れないように、キャリアテープ2を保持する。テープ保持部95には、キャリアテープ2に収容されている部品4を部品吸着位置において取り出し可能にする開口部(図示略)が形成されている。テープフィーダ90は、キャリアテープ2をテープ保持部95によって保持しつつ、テープ剥離部(図示略)によってベーステープ21からカバーテープ22を引き剥がすことができる。
【0016】
フィーダ本体91の中央下部には、カバーテープ送り出し機構部97が設けられている。カバーテープ送り出し機構部97は、テープ剥離部によって引き剥がされたカバーテープ22を、反ピッチ送り方向(キャリアテープ2のピッチ送り方向と反対方向)に送り出す。カバーテープ送り出し機構部97は、ギヤ97aと、ギヤ97aを回転駆動するモータ97bとを備えている。また、カバーテープ送り出し機構部97には、テープ保持部98が設けられている。テープ保持部98は、送り出されるカバーテープ22がカバーテープ送り出し機構部97から外れないように、カバーテープ22を保持する。
【0017】
図3に示すように、キャリアテープ2は、ベーステープ21と、カバーテープ22とを備えている。ベーステープ21は、キャビティ24を備え、キャビティ24内に部品4を収容することができる。キャビティ24は、キャリアテープ2の長手方向(ピッチ送り方向)において、所定ピッチで形成されている。カバーテープ22は、ベーステープ21の上面に接着されており、部品4を覆っている。キャリアテープ2の幅方向(ピッチ送り方向と直交する方向)の一端側の縁部には、送り孔23が設けられている。送り孔23は、ピッチ送り機構部93のスプロケット93aと係合可能であり、キャリアテープ2の長手方向(ピッチ送り方向)において、所定のピッチPhで形成されている。キャリアテープ2は、ピッチ送り機構部93のスプロケット93aが回転することによって、スプロケット93aの歯部が送り孔23と順に係合して、キャリアテープ2がピッチ送りされる。
【0018】
また、キャリアテープ2は、テープフィーダ90にセットされる前に、テープ切断処理装置110によって、カバーテープ22の先端部がベーステープ21の先端部より所定の長さ突出するように切断処理される。具体的には、図3に示すように、ベーステープ21は、先端部から先頭の部品4までの距離がd1となるように切断処理され、カバーテープ22は、ベーステープ21から突出する突出部22aの長さがd2となるように切断処理される。
【0019】
1−2.テープ装填装置1の概略構成例
図1に示すように、テープ装填装置1は、フィーダ保持台10と、テープ切断処理装置110と、移載装置170と、テープ移送装置40と、第一開放装置50と、第二開放装置60と、カバーテープ装填装置70と、制御装置100とを備えている。フィーダ保持台10は、テープフィーダ90を保持する。テープ切断処理装置110は、キャリアテープ搬送装置120によって搬送されたキャリアテープ2の先端部を切断処理する。移載装置170は、テープ切断処理装置110によって切断されたキャリアテープ2を、テープ移送装置40に移載する。テープ移送装置40は、移載装置170によって移載されたキャリアテープ2を、テープフィーダ90に移送する。第一開放装置50は、図2に示すテープ保持部95によるキャリアテープ2の保持を開放する。第二開放装置60は、図2に示すテープ保持部98によるキャリアテープ2の保持を開放する。カバーテープ装填装置70は、カバーテープ22を装填する。制御装置100は、上述した各装置の駆動を制御する。
【0020】
移載装置170は、二つのガイド171と、二つの駆動ローラおよび二つの従動ローラ(図示略)と、二つのギヤモータ174と、エアシリンダ176と、台座177と、移動装置178と、を備えている。二つのガイド171は、テープ切断処理装置110によって切断されたキャリアテープ2を案内する。二つの駆動ローラは、キャリアテープ2の搬送方向(Y軸方向)において、互いに離間して配置されている。二つの従動ローラの各々は、対応する駆動ローラの下方に配置されており、付勢部材(図示略)によって対応する駆動ローラ側に付勢されている。二つのギヤモータ174の各々は、対応する駆動ローラを回転駆動する。エアシリンダ176は、ガイド171およびギヤモータ174が支持されている支持板175を昇降する。台座177には、エアシリンダ176が配置され、固定されている。移動装置178は、台座177をX軸方向に移動させる一対のレール178aと、エアシリンダ178bとを備えている。
【0021】
テープ移送装置40は、ガイド41と、二つの駆動ローラ42と、二つのギヤモータ43と、台座44と、一対のレール45と、エアシリンダ46とを備えている。ガイド41は、キャリアテープ2をY軸方向に沿って案内する。二つの駆動ローラ42は、Y軸方向に配置されている。二つのギヤモータ43は、二つの駆動ローラ42を回転駆動する。テープ移送装置40は、支持板(図示略)を介して、台座44に配置され固定されている。台座44は、移載装置170の移動装置178と同様構成のレール45およびエアシリンダ46によって、X軸方向に移動可能である。これにより、テープ移送装置40および移載装置170は、フィーダ保持台10に保持されたテープフィーダ90をX軸方向から挟むようにして、接近させることができる。また、テープ移送装置40および移載装置170は、フィーダ保持台10に保持されたテープフィーダ90をX軸方向から挟むようにして、退避させることができる。フィーダ保持台10にテープフィーダ90が保持され、テープ移送装置40および移載装置170がテープフィーダ90と接近したとき、キャリアテープ2は、移載装置170のガイド171を通って案内される。そして、キャリアテープ2は、テープ移送装置40のガイド41とテープフィーダ90のテープ送りガイド94との間隙を通って案内される。
【0022】
第一開放装置50は、第一リフトレバー51と、支持台52と、エアシリンダ53とを備えている。第一リフトレバー51は、テープ保持部95のレバー(図示略)をZ軸方向に移動可能である。支持台52は、第一リフトレバー51の先端が、テープフィーダ90側に突出するように支持されている。エアシリンダ53は、支持台52をZ軸方向に移動可能にテープ移送装置40の台座44上に支持板(図示略)を介して固定されている。
【0023】
第二開放装置60は、第二リフトレバー61と、支持台62と、エアシリンダ63と、台座64と、一対のレール65とを備えている。第二リフトレバー61は、テープ保持部98のレバー(図示略)をY軸方向に移動可能である。支持台62は、第二リフトレバー61の先端が、テープフィーダ90側に突出するように支持されている。エアシリンダ63は、支持台62をY軸方向に移動可能とする。エアシリンダ63は、台座64に配置され固定されている。台座64は、一対のレール65上において、X軸方向にスライド可能に配置されている。
【0024】
カバーテープ装填装置70は、基台5上に配置されている。カバーテープ装填装置70は、フィーダ保持台10に保持されているテープフィーダ90のカバーテープ送り出し機構部97側に設けられている。カバーテープ装填装置70は、経路成形装置71と、連結装置72と、移載装置(図示略)と、台座74と、一対のレール75と、エアシリンダ76とを備えている。経路成形装置71は、支持板(図示略)を介して、台座74に配置され固定されている。台座74は、一対のレール75上において、X軸方向にスライド可能に配置されており、エアシリンダ76によってX軸方向にスライド可能になっている。一対のレール75は、基台5上において、所定間隔離間してX軸方向に沿って設けられている。
【0025】
経路成形装置71は、仮テープ(図示略)をテープフィーダ90の所定経路に倣った経路に沿って配策して保持する。仮テープは、ベーステープ21から剥離されたカバーテープ22を延長する延長テープであり、カバーテープ22を所定経路に沿って取り回すために、カバーテープ22の先端部と連結される。所定経路は、テープフィーダ90においてテープ保持部95からテープ保持部98までカバーテープ22が送り出される際のカバーテープ22の移動軌跡に相当する。連結装置72は、カバーテープ把持装置(図示略)によって把持されているカバーテープ22の先端部と、経路成形装置71によって保持されている仮テープとを加熱部材によって加熱処理する。具体的には、連結装置72は、カバーテープ22の剥離面に残存している接着剤によって、カバーテープ22の先端部と仮テープとを連結する。そして、移載装置は、連結装置72によって連結された仮テープを、経路成形装置71からテープフィーダ90へ移載する。
【0026】
1−3.テープ切断処理装置110の構成例
図1に示すように、テープ切断処理装置110は、フィーダ保持台10に保持されているテープフィーダ90の後方位置(紙面右側)において、X軸方向に所定量オフセットして基台5上に配置されている。図4および図5に示すように、テープ切断処理装置110は、キャリアテープ搬送装置120と、検知装置150と、剥離部材155と、切断装置160とを備えている。キャリアテープ搬送装置120は、搬送ブロック122に形成されている搬送経路121に沿って、キャリアテープ2を搬送(ピッチ送り)する。検知装置150は、搬送経路121上に設けられる検知位置Ldにおいて、キャリアテープ2に関する種々の検知を行う。剥離部材155は、搬送経路121に沿って搬送されるキャリアテープ2において、ベーステープ21からカバーテープ22を剥離する。切断装置160は、搬送経路121上に設けられる切断位置Lcにおいて、図3に示すベーステープ21の切断箇所Q1と、カバーテープ22の切断箇所Q2とを切断する。
【0027】
図4および図5に示すように、搬送経路121には、搬送ブロック122の挿入口Leから出口まで直線状に延びるガイド溝121aが形成されており、キャリアテープ2は、ガイド溝121aに沿って案内され搬送される。キャリアテープ搬送装置120は、キャリアテープ2を搬送経路121に沿って搬送し、ベーステープ21の切断箇所Q1を切断位置Lcに位置決めする。
【0028】
キャリアテープ搬送装置120は、スプロケット123と、モータ124と、第一検出器125とを備えている。スプロケット123は、搬送ブロック122の搬送経路121の下方に配置されており、キャリアテープ2を搬送(ピッチ送り)する。スプロケット123は、複数の歯部123aを備えており、複数の歯部123aは、図3に示す送り孔23のピッチPhと同一ピッチで、スプロケット123の周方向に沿って形成されている。複数の歯部123aは、キャリアテープ2に設けられる複数の送り孔23に順に係合して、キャリアテープ2を搬送(ピッチ送り)する。なお、キャリアテープ2には、基板に装着する部品4が収容されている。また、図9A図9Cに示すように、スプロケット123は、複数の歯部123aのうちの少なくとも一つ(本実施形態では、一つ)が欠損している欠損部123mを備えている。
【0029】
モータ124は、スプロケット123と接続されており、スプロケット123を回転駆動する。モータ124は、スプロケット123を回転させて、キャリアテープ2を位置決め制御することができれば良く、限定されない。モータ124は、例えば、ステッピングモータを用いることができる。また、第一検出器125は、スプロケット123に近接して配置されており、スプロケット123の欠損部123mを検出する。第一検出器125は、欠損部123mを検出(歯部123aの有無を判別)することができれば良く、限定されない。第一検出器125は、例えば、フォトセンサを用いることができる。なお、第一検出器125による欠損部123mの検出については、後述されている。
【0030】
搬送ブロック122上には、昇降ブロック130が設けられている。昇降ブロック130は、一対の案内軸135,136によって昇降可能に案内される。昇降ブロック130は、固定部に設置されているエアシリンダ133によって、所定量昇降される。昇降ブロック130には、押付け部材131が、上下移動可能かつ傾動可能に保持されている。押付け部材131は、搬送されるキャリアテープ2を搬送経路121の搬送基準面(図示略)に向けて押付ける。押付け部材131は、一対の付勢部材137,138の付勢力によって下方に向けて押付けられる。一対の付勢部材137,138は、例えば、ばね部材を用いることができる。
【0031】
具体的には、昇降ブロック130には、一対のガイドバー139,140が設けられている。押付け部材131は、一対のガイドバー139,140の下部において、昇降可能かつ傾動可能に保持されている。昇降ブロック130と押付け部材131との間には、ガイドバー139に巻かれている付勢部材137と、ガイドバー140に巻かれている付勢部材138とが設けられている。テープ搬送方向(Y軸方向)の上流側に配置されている付勢部材137の付勢力は、テープ搬送方向(Y軸方向)の下流側に配置されている付勢部材138と比べて、大きく設定されている。
【0032】
テープ搬送方向(Y軸方向)の上流側において、押付け部材131の下面には、押付け部(図示略)が設けられている。押付け部は、搬送されるキャリアテープ2を搬送基準面に押付ける。また、図5および図6に示すように、テープ搬送方向(Y軸方向)の下流側において、押付け部材131の下面には、剥離部材155が設けられている。剥離部材155には、スクレーパ155aが形成されており、スクレーパ155aは、ベーステープ21からカバーテープ22を剥離する。
【0033】
押付け部材131には、作業者によって持上げ操作可能な操作レバー141が設けられている。操作レバー141は、キャリアテープ2を搬送ブロック122の挿入口Leから挿入する際に、作業者によって持上げ操作される。これにより、押付け部材131が一対の付勢部材137,138の付勢力に抗して持上げられ、キャリアテープ2を搬送経路121に挿入可能になる。
【0034】
昇降ブロック130と一体的に昇降する部材142には、持上げ部材143が取付けられている。持上げ部材143は、搬送経路121の挿入口Leおよび出口において、キャリアテープ2を搬送経路121から持上げる。持上げ部材143は、昇降ブロック130が下降した状態においては、搬送経路121より下方に配置され、昇降ブロック130が上昇すると、搬送経路121より上方に配置される。これにより、持上げ部材143は、キャリアテープ2のベーステープ21およびカバーテープ22が切断された後に、キャリアテープ2を搬送経路121のガイド溝121aから離脱させることができる。
【0035】
検知装置150は、搬送経路121上に設けられる検知位置Ldにおいて、キャリアテープ2に関する種々の検知を行う。検知装置150は、第二検出器150aおよび第三検出器150bのうちの少なくとも一方を備えていると好適である。第二検出器150aは、キャリアテープ2における部品4の有無を検出する。図5および図6に示すように、第二検出器150aは、例えば、一対のフォトセンサ150a1,150a2を用いることができる。一対のフォトセンサ150a1,150a2は、検知位置Ldにおいて、搬送経路121を挟んで対向して配置されており、第二検出器150aの検出方向は、Z軸方向に沿った方向に設定されている。
【0036】
例えば、フォトセンサ150a1は発光部を備え、フォトセンサ150a2は受光部を備えている。この場合、第二検出器150aは、例えば、一対のフォトセンサ150a1,150a2における光量の変化に基づいて、キャビティ24内の部品4の有無を検出することができる。キャビティ24内に部品4が存在する場合、部品4が存在しない場合と比べて、キャビティ24における光量(透過量)は、低下する。よって、第二検出器150aは、キャビティ24において光量が所定の基準値未満になったときに、部品4の存在を検出することができる。第二検出器150aは、同様にして、キャリアテープ2に設けられている複数の送り孔23を順に検出することもできる。
【0037】
第三検出器150bは、部品4を収容するキャビティ24の形状に基づいて、キャリアテープ2の種類を検出する。第二検出器150aについて上述したことは、第三検出器150bについても、同様に言える。但し、第三検出器150bは、検出方向がX軸方向に沿った方向に設定されている点で、第二検出器150aと異なる。図6に示すように、ベーステープ21が凹凸形状を呈しているキャリアテープ2では、キャビティ24を検出するときと、隣接するキャビティ24間の空隙部を検出するときにおいて、フォトセンサの光量が大きく変動する。具体的には、キャビティ24では、光量(透過量)が低下し、空隙部では、光量が増加する。当該キャリアテープ2では、光量の増減が交互に繰り返される。
【0038】
これに対して、ベーステープ21がフラット形状を呈しているキャリアテープ2では、フォトセンサの光量が変動し難い。よって、第三検出器150bは、フォトセンサの光量の変動パターンから、キャビティ24の形状を知得することができ、キャリアテープ2の種類を検出することができる。なお、ベーステープ21が凹凸形状を呈しているキャリアテープ2は、例えば、エンボステープであり、ベーステープ21がフラット形状を呈しているキャリアテープ2は、例えば、紙テープである。また、第一検出器125、第二検出器150aおよび第三検出器150bの検出方向については、後述されている。
【0039】
図4図6に示すように、搬送経路121の出口側に設けられている切断位置Lcには、切断装置160が設けられている。切断装置160は、カッター161と、カッター161を昇降するエアシリンダ162と、カッター161の刃先が押付けられるカッター受台163と、固定部に昇降可能に支持されたカッター保持体164とを備えている。なお、カッター161は、モータ駆動によって昇降させることもできる。カッター161は、カッター保持体164の上端に着脱可能かつ交換可能に固定されている。カッター受台163は、カッター161の刃先が摩耗しないように樹脂材料などによって形成されている。カッター受台163は、昇降ブロック130と一体的に設けられる支持プレート144の下面において、弾性体(図示略)を介して固定されている。弾性体は、カッター161の押付け力を吸収可能なゴムシートなどを用いることができる。
【0040】
カッター161は、切断位置Lcに位置決めされたベーステープ21の切断箇所Q1と、カバーテープ22の切断箇所Q2とを切断するために、エアシリンダ162により上方に向けて移動される。カッター161は、キャリアテープ2より幅広に設けられる先端部に刃先を備え、カッター受台163に隙間が生じないように押付けられる。これにより、切断装置160は、カバーテープ22が薄肉の樹脂フィルムなどであっても、カバーテープ22を確実に切断することができる。
【0041】
図4に示すように、一対のガイドバー139,140の間には、エアブロー装置180が配置されている。図4および図6に示すように、エアブロー装置180は、エアブロー本体181と、エアシリンダ182と、エアブロー穴183とを備えている。エアブロー本体181は、搬送経路121に対して直交する方向(X軸方向)に進退可能に設けられており、エアシリンダ182によって進退される。エアブロー穴183は、加圧エア供給源(図示略)に接続されており、加圧エアをテープ搬送方向(Y軸方向)の下流側に向かって噴出させる。エアブロー装置180は、剥離部材155によってベーステープ21から剥離されたカバーテープ22を、エアブロー穴183から噴出される加圧エアによって、剥離部材155の上面に沿って押し出すことができる。
【0042】
また、搬送ブロック122の搬送経路121の出口側には、案内部材190が設けられている。案内部材190は、切断装置160によって切断されたベーステープ21およびカバーテープ22の各先端部を廃棄位置(図示略)に案内する。
【0043】
2.キャリアテープ搬送装置120の制御例
図1に示すように、テープ装填装置1は、制御装置100を備えている。制御装置100は、中央演算装置100aと、第一記憶装置100bと、第二記憶装置100cと、インターフェース100dとを備えており、これらは、バス100eを介して、電気的に接続されている。中央演算装置100aは、CPU(Central Processing Unit)であり、種々の演算処理を行うことができる。第一記憶装置100bは、揮発性の記憶装置(RAM:Random Access Memory)であり、電力が供給されている状態において、種々のデータを一時的に記憶することができる。第一記憶装置100bは、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)などの公知の記憶装置を用いることができる。
【0044】
第二記憶装置100cは、不揮発性の記憶装置(ROM:Read Only Memory)であり、電力が供給されていない状態においても、種々のデータを記憶しておくことができる。第二記憶装置100cは、例えば、記憶されているデータを書き換え不可能なマスクROMを用いることができる。また、第二記憶装置100cは、例えば、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)などの記憶されているデータを書き換え可能な記憶装置を用いることもできる。インターフェース100dは、テープ装填装置1の各機器と、制御装置100とを電気的に接続する機器であり、例えば、通信インターフェース、入出力インターフェースなどを用いることができる。制御装置100は、インターフェース100dを介して、テープ装填装置1の各機器と電気的に接続されており、テープ装填装置1の各機器の状態を知得しつつ、テープ装填装置1の各機器を制御することができる。
【0045】
図7に示すように、制御装置100は、制御ブロックとして捉えると、欠損部検出部101および原点位置設定部102を備えている。また、制御装置100は、図8に示すフローチャートに従って、制御を実行する。欠損部検出部101は、ステップS11およびステップS13に示す処理、並びに、ステップS12に示す判断を行う。原点位置設定部102は、ステップS14に示す処理を行う。制御装置100は、テープ装填装置1の電源が投入される毎に、ステップS11〜ステップS14に示す処理および判断を行い、原点位置P0を設定する。また、制御装置100は、キャリアテープ2が切り替わる毎に、ステップS11〜ステップS14に示す処理および判断を行い、原点位置P0を設定する。なお、図7および図8では、原点位置P0を設定する際の制御に関する事項が図示されており、他の事項は、記載が省略されている。
【0046】
2−1.欠損部検出部101
欠損部検出部101は、キャリアテープ2のピッチ送りを開始する前に、第一検出器125を用いて、スプロケット123の欠損部123mを検出させる。既述したように、制御装置100は、インターフェース100dを介して、第一検出器125と電気的に接続されている。欠損部検出部101は、キャリアテープ2のピッチ送りを開始する前に、第一検出器125に対して、欠損部123mを検出させる検出指令を送信する(ステップS11)。検出指令を受信した第一検出器125は、欠損部123mを検出(歯部123aの有無を判別)する。
【0047】
本実施形態の第一検出器125は、例えば、フォトセンサである。検出位置において歯部123aが存在する場合、第一検出器125は、歯部123aを検出し、欠損部123mを検出しない。検出位置において歯部123aが存在しない場合、第一検出器125は、歯部123aの非検出によって、欠損部123mを検出する。第一検出器125は、インターフェース100dを介して、欠損部123mの検出結果を制御装置100(欠損部検出部101)に送信する。
【0048】
なお、第一検出器125の検出位置は、例えば、歯部123aまたは欠損部123mの中心とすることができる。第一検出器125の検出位置が歯部123aまたは欠損部123mの中心にない場合、欠損部検出部101は、歯部123aまたは欠損部123mの中心が第一検出器125の検出位置に配置されるように、図5に示すスプロケット123を回転させるモータ124を駆動制御する。具体的には、欠損部検出部101は、モータ124のドライバ回路(図示略)に対して、所定パルス数の駆動信号を送信して、モータ124を駆動制御する。本実施形態では、モータ124は、永久磁石型またはハイブリッド型のステッピングモータである。また、モータ124には、スプロケット123の回転位置(絶対位置)を検出するエンコーダ(図示略)が設けられている。よって、歯部123aまたは欠損部123mの中心を第一検出器125の検出位置に配置し易い。
【0049】
欠損部検出部101は、第一検出器125が欠損部123mを検出したか否かを判断する(ステップS12)。図9Aに示すように欠損部123mが配置されており、第一検出器125が欠損部123mを検出した場合(Yesの場合)、制御は、ステップS14に示す処理に移行する。第一検出器125が欠損部123mを検出しなかった場合(Noの場合)、欠損部検出部101は、隣接する歯部123aまたは欠損部123mの中心が第一検出器125の検出位置に配置されるように、モータ124を駆動制御する(ステップS13)。この場合の所定パルス数は、複数の歯部123aのピッチ(図3に示す送り孔23のピッチPhと同一ピッチ)分、スプロケット123を回転させるパルス数である。
【0050】
そして、制御は、ステップS11に示す処理に戻る。同様にして、欠損部検出部101は、第一検出器125に対して、欠損部123mを検出させる検出指令を送信する(ステップS11)。第一検出器125は、欠損部123mの検出結果を制御装置100(欠損部検出部101)に送信する。欠損部検出部101は、第一検出器125が欠損部123mを検出したか否かを判断する(ステップS12)。欠損部検出部101は、欠損部123mが検出されるまで、上述した制御を繰り返す。
【0051】
2−2.原点位置設定部102
原点位置設定部102は、第一検出器125によって欠損部123mが検出されたときのスプロケット123の回転位置に基づいて、キャリアテープ2のピッチ送りを開始する際のスプロケット123の回転方向(矢印R1方向)における原点位置P0を設定する。図9Aは、第一検出器125によって欠損部123mが検出された後に、スプロケット123を回転させない場合の原点位置P0の一例を示している。この場合、原点位置設定部102は、第一検出器125によって欠損部123mが検出されてからキャリアテープ2の搬送(ピッチ送り)を開始するまで、スプロケット123を回転させない。
【0052】
原点位置設定部102は、欠損部123mが検出されたときのスプロケット123の回転位置において、スプロケット123の回転方向(矢印R1方向)に所定数(例えば、図9Aに示す例では、15個)分、離間している歯部123a(例えば、中心)を原点位置P0に設定することができる。図9Aは、当該歯部123aがキャリアテープ2の先頭の送り孔23と係合している状態を模式的に示している。当該歯部123aは、スプロケット123の頂部123t(鉛直方向最上部)に位置する歯部123aに隣接する2つの歯部123aのうちのキャリアテープ2が搬入される側の歯部123aである。なお、原点位置設定部102は、スプロケット123の頂部123tに位置する歯部123a(例えば、中心)を原点位置P0に設定することもできる。いずれの場合も、キャリアテープ搬送装置120は、スプロケット123の特定の歯部123aから、キャリアテープ2の搬送(ピッチ送り)を開始することができ、キャリアテープ2の送り精度のばらつきを低減することができる。
【0053】
また、原点位置設定部102は、基準歯部123sがキャリアテープ2の先頭の送り孔23と係合するように、欠損部123mが検出されたときのスプロケット123の回転位置から所定角度θ1分、スプロケット123を回転させると好適である。そして、原点位置設定部102は、スプロケット123が所定角度θ1分、回転したときの基準歯部123s(例えば、中心)を原点位置P0に設定すると好適である。基準歯部123sは、一つの欠損部123mに隣接する一の歯部123aとする。基準歯部123sは、当該欠損部123mに隣接する2つの歯部123aのうちのキャリアテープ2が搬入される側の歯部123aであると好適である。
【0054】
図9Bは、第一検出器125によって欠損部123mが検出された後に、スプロケット123を回転させる場合の原点位置P0の一例を示している。この場合、原点位置設定部102は、欠損部123mが検出されたときのスプロケット123の回転位置から所定角度θ1分、スプロケット123を回転させる。所定角度θ1は、第一検出器125が設けられている位置に応じて、定まる。例えば、図9Bに示す例では、第一検出器125は、スプロケット123の底部(鉛直方向最下部)に設けられており、所定角度θ1は、180°(機械角)になる。原点位置設定部102は、スプロケット123が所定角度θ1分、回転したときの基準歯部123s(例えば、中心)を原点位置P0に設定する(ステップS14)。そして、制御は、一旦、終了する。
【0055】
図9Bは、基準歯部123sがキャリアテープ2の先頭の送り孔23と係合している状態を模式的に示している。この場合も、キャリアテープ搬送装置120は、スプロケット123の特定の歯部123a(基準歯部123s)から、キャリアテープ2の搬送(ピッチ送り)を開始することができ、キャリアテープ2の送り精度のばらつきを低減することができる。さらに、図9Bに示す形態は、スプロケット123の頂部123tに欠損部123mが配置されているので、頂部123tに歯部123aが存在する場合(図9Aに示す形態)と比べて、キャリアテープ2の先端部2tと歯部123aとの干渉を軽減することができる。よって、キャリアテープ搬送装置120は、キャリアテープ2の搬入を容易にしつつ、キャリアテープ2の送り精度のばらつきを低減することができる。
【0056】
2−3.キャリアテープ2の搬送および切断
原点位置設定部102によって原点位置P0が設定された後、制御装置100は、キャリアテープ2の搬送(ピッチ送り)を開始することができる。具体的には、作業者によって、キャリアテープ2が搬送経路121の所定の位置まで挿入されると、テープ検知センサ(図示略)によって、キャリアテープ2の挿入が検知される。制御装置100は、テープ検知センサの検知信号に基づいて、スプロケット123を回転させるモータ124を駆動制御する。これによって、キャリアテープ2が搬送経路121に沿って搬送され、剥離部材155のスクレーパ155aによって、ベーステープ21からカバーテープ22が剥離される。ベーステープ21から剥離されたカバーテープ22は、図6に示す2点鎖線で示すように、剥離されていないカバーテープ22の上面に沿ってテープ搬送方向(Y軸方向)の上流側に折り返される。
【0057】
図3および図5に示すように、キャリアテープ2が搬送経路121に沿って搬送されると、検知位置Ldに設けられる検知装置150によって、先頭の部品4が収容されているキャビティ24が検知される。制御装置100は、ベーステープ21の先端部から先頭の部品4までの距離d1と、検知位置Ldと切断位置Lcとの間の距離Dとに基づいて、ベーステープ21の切断箇所Q1を演算する。制御装置100は、キャリアテープ搬送装置120を用いて、キャリアテープ2の切断箇所Q1を切断位置Lcに位置決めする。
【0058】
既述したように、スプロケット123は、欠損部123mを備えている。そのため、スプロケット123の頂部123tに位置する歯部123aのみが、キャリアテープ2の送り孔23と係合可能であると、キャリアテープ2を搬送(ピッチ送り)することが困難になる。そこで、スプロケット123は、キャリアテープ2がピッチ送りされて欠損部123mが送り孔23に到達したときに、少なくとも一つの歯部123aが当該送り孔23に隣接する送り孔23と係合していると好適である。
【0059】
図9Cは、スプロケット123によってキャリアテープ2が搬送される様子を模式的に示している。同図は、スプロケット123の頂部123tに位置する歯部123aと、当該歯部123aに隣接する2つの歯部123aとが、キャリアテープ2の3つの送り孔23に係合している状態を模式的に示している。この場合、スプロケット123は、キャリアテープ2がピッチ送りされて一つの欠損部123mが送り孔23に到達したときに、2つの歯部123aが当該送り孔23に隣接する送り孔23と係合している。そのため、スプロケット123が欠損部123mを備えていても、キャリアテープ搬送装置120は、キャリアテープ2を確実に搬送(ピッチ送り)することができる。なお、複数の歯部123aのピッチは、図3に示す送り孔23のピッチPhと同一ピッチに設定されるので、上述した条件を満たすように、スプロケット123の直径を設定すると良い。
【0060】
検知装置150によって、先頭の部品4が収容されているキャビティ24が検知されると、エアシリンダ182によってエアブロー装置180のエアブロー本体181が所定量前進される。そして、エアブロー本体181の先端に形成された持上げ部(図示略)が、押付け部材131の下面に形成されている図4に示す係合凹部131aに係合され、押付け部材131が付勢部材137,138の付勢力に抗して持上げられる。
【0061】
テープ搬送方向(Y軸方向)の上流側の付勢部材137の付勢力は、下流側の付勢部材138と比べて大きいため、押付け部材131は、持上げ部と係合凹部131aとの係合点を支点にして、テープ搬送方向(Y軸方向)の上流側が下降するように傾動される。これにより、テープ搬送方向(Y軸方向)の下流側に設けられている剥離部材155が上昇されて、ベーステープ21の上面より離間され、剥離部材155によるカバーテープ22の剥離が行われなくなる。しかしながら、テープ搬送方向(Y軸方向)の上流側に設けられている押付け部132によるベーステープ21の押付けは、維持されている。
【0062】
また、エアシリンダ182によってエアブロー本体181が前進されると、加圧エアがエアブロー穴183からテープ搬送方向(Y軸方向)の下流側に向けて噴出される。図6の実線で示すように、テープ搬送方向(Y軸方向)の上流側に折り返されているカバーテープ22は、加圧エアによってテープ搬送方向(Y軸方向)の下流側に押し出される。これによって、カバーテープ22の先端部は、カバーテープ22が剥離されたベーステープ21の上面に重ね合わされる。この状態で、スプロケット123を回転させるモータ124が駆動制御され、キャリアテープ2が演算された距離D分、搬送される。
【0063】
キャリアテープ2が搬送経路121に沿って搬送されると、カバーテープ22は、剥離部材155によって剥離されることなく、折り返し位置において接着面が互いに対向するように折り返される。そして、カバーテープ22の先端部は、カバーテープ22が剥離されたベーステープ21の上面に重ね合わされる。これにより、直線状のベーステープ21に対して、カバーテープ22には弛みが付与される。このようにして、キャリアテープ搬送装置120によってキャリアテープ2がさらに搬送されることにより、ベーステープ21の切断箇所Q1が切断位置Lcに位置決めされる。
【0064】
ベーステープ21の切断箇所Q1が切断位置Lcに位置決めされると、エアシリンダ162が作動されることにより、切断装置160のカッター161が上昇され、切断位置Lcに位置決めされたベーステープ21の切断箇所Q1が切断される。同時に、ベーステープ21の上面に重ね合わされているカバーテープ22の切断箇所Q2もカッター161によって切断される。
【0065】
3.座標系CS1と各検出器の検出方向の関係
原点位置設定部102によって設定された原点位置P0を原点とする共通の座標系CS1に基づいて、第一検出器125を含む複数の検出器の検出方向が設定されていると好適である。また、複数の検出器は、第二検出器150aおよび第三検出器150bのうちの少なくとも一方、並びに、第一検出器125であると好適である。
【0066】
図10は、座標系CS1と、第一検出器125、第二検出器150aおよび第三検出器150bの各検出方向との関係の一例を示している。既述したように、テープ切断処理装置110は、第一検出器125を用いて、スプロケット123の欠損部123mを検出する。同図に示すように、第一検出器125の検出方向は、X軸方向に沿った方向である。また、テープ切断処理装置110は、第二検出器150aを用いて、キャリアテープ2における部品4の有無を検出する。同図に示すように、第二検出器150aの検出方向は、Z軸方向に沿った方向である。さらに、テープ切断処理装置110は、第三検出器150bを用いて、部品4を収容するキャビティ24の形状に基づいてキャリアテープ2の種類を検出することもできる。同図に示すように、第三検出器150bの検出方向は、X軸方向に沿った方向である。なお、同図では、各検出器の検出方向を示すため、各検出器は、直方体によって模式的に図示さている。
【0067】
このように、本実施形態では、原点位置設定部102によって設定された原点位置P0を原点とする共通の座標系CS1に基づいて、第一検出器125を含む複数の検出器の検出方向が設定されている。よって、第一検出器125を含む複数の検出器の検出精度が確保される。また、本実施形態では、複数の検出器は、第二検出器150aおよび第三検出器150bの両方、並びに、第一検出器125である。よって、キャリアテープ2の搬送に伴って検出する第一検出器125、第二検出器150aおよび第三検出器150bの検出精度が確保される。つまり、キャリアテープ2の送り精度のばらつきが低減されるとともに、部品4の誤検出が低減され、キャリアテープ2の種類の誤検出が低減される。
【0068】
4.その他
上述した実施形態では、スプロケット123は、一つの欠損部123mを備えている。しかしながら、スプロケット123は、複数の欠損部123mを備えることもできる。この場合、欠損部検出部101は、第一検出器125を用いて、複数の欠損部123mのうちの一の欠損部123mを検出させる。当該一の欠損部123mは、予め規定しておくと良い。原点位置設定部102は、第一検出器125によって当該一の欠損部123mが検出されたときのスプロケット123の回転位置に基づいて、キャリアテープ2のピッチ送りを開始する際のスプロケット123の回転方向(矢印R1方向)における原点位置P0を設定する。
【0069】
なお、スプロケット123を回転させるモータ124に設けられているエンコーダが、スプロケット123の相対位置を検出するエンコーダである場合、欠損部検出部101は、第一検出器125によって検出された欠損部123mが上述した一の欠損部123mであるか否かを判断することが困難になる。この場合、複数の欠損部123mは、スプロケット123の周方向において、不均等に設けられていると良い。例えば、スプロケット123が二つの欠損部123mを備える場合を想定する。この場合、一方の欠損部123mから他方の欠損部123mまでスプロケット123を回転させるのに要する駆動信号のパルス数と、他方の欠損部123mから一方の欠損部123mまでスプロケット123を回転させるのに要する駆動信号のパルス数とは、異なる。そこで、欠損部検出部101は、最初に欠損部123mが検出されてから次に欠損部123mが検出されるまでの駆動信号のパルス数をカウントすることにより、上述した一の欠損部123mを識別することができる。
【0070】
5.キャリアテープ搬送方法
キャリアテープ搬送装置120について既述したことは、キャリアテープ搬送方法についても同様に言える。具体的には、キャリアテープ搬送方法は、スプロケット123と、第一検出器125とを具備するキャリアテープ搬送装置120に適用される。また、欠損部検出部101が行う制御は、欠損部検出工程に相当する。原点位置設定部102が行う制御は、原点位置設定工程に相当する。具体的には、欠損部検出工程は、キャリアテープ2のピッチ送りを開始する前に、第一検出器125を用いて欠損部123mを検出させる工程である。原点位置設定工程は、第一検出器125によって欠損部123mが検出されたときのスプロケット123の回転位置に基づいて、キャリアテープ2のピッチ送りを開始する際のスプロケット123の回転方向(矢印R1方向)における原点位置P0を設定する工程である。
【0071】
また、原点位置設定工程は、基準歯部123sがキャリアテープ2の先頭の送り孔23と係合するように、欠損部123mが検出されたときのスプロケット123の回転位置から所定角度θ1分、スプロケット123を回転させる工程であると好適である。そして、原点位置設定工程は、スプロケット123が所定角度θ1分、回転したときの基準歯部123sを原点位置P0に設定する工程であると好適である。
【0072】
6.実施形態の効果の一例
キャリアテープ搬送装置120によれば、原点位置設定部102は、第一検出器125によって欠損部123mが検出されたときのスプロケット123の回転位置に基づいて、キャリアテープ2のピッチ送りを開始する際のスプロケット123の回転方向(矢印R1方向)における原点位置P0を設定する。よって、キャリアテープ搬送装置120は、スプロケット123の特定の歯部123aから、キャリアテープ2の搬送(ピッチ送り)を開始することができ、キャリアテープ2の送り精度のばらつきを低減することができる。キャリアテープ搬送装置120について上述したことは、キャリアテープ搬送方法についても同様に言える。
【符号の説明】
【0073】
1:テープ装填装置、
2:キャリアテープ、23:送り孔、24:キャビティ、
4:部品、90:テープフィーダ、
101:欠損部検出部、102:原点位置設定部、
120:キャリアテープ搬送装置、
123:スプロケット、
123a:歯部、123m:欠損部、123s:基準歯部、
125:第一検出器、150a:第二検出器、150b:第三検出器、
P0:原点位置、θ1:所定角度、CS1:座標系。
図1
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図9A
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図10