(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記処理ユニットは、前記患者位置エラーデータを前記第1座標系から前記第2座標系に変換し、該変換された患者位置エラーデータと前記改善された視野設定とを組み合わせて前記後の視野設定を形成することによって、前記後の視野設定を供給するよう更に構成される、
請求項1に記載の装置。
前記X線システム設定コマンドは、X線源コリメータパラメータデータ、X線源チルトデータ、X線源パンデータ、X線源X移動データ、X線源Y移動データ、X線源Z移動データ、X線検出器X移動データ、X線検出器Y移動データ、X線検出器Z移動データのうちの1つを有する、
請求項5に記載の装置。
【発明の概要】
【0005】
従って、X線取得プロトコル中にX線放射線科の人員及び彼らの患者に対する負担を減らす装置を提供する必要性が存在し得る。
【0006】
本発明の目的は、独立請求項の対象によって解決される。更なる実施形態は、従属請求項において組み込まれる。
【0007】
第1の態様に従って、X線撮像システムの視野を調整する装置であって、
− 入力ユニットと、
− 処理ユニットと
を有する装置が提供される。
【0008】
入力ユニットは、(i)患者位置カメラの第1座標系に基づき患者位置カメラから初期位置での患者の初期患者位置画像データを取得するよう、かつ、(ii)初期視野設定に設定されたX線システムから患者の初期X線画像データを取得するよう構成され、初期患者位置画像データ及び初期X線画像データは、略同時に取得される。
【0009】
処理ユニットは、初期X線画像データ内の患者生体構造のアイテムの一部を検出し、初期X線画像データの第2座標系において患者生体構造のアイテムの強調画像化のための改善された視野設定を予測し、該予測が解剖モデルを用いて供給され、患者位置カメラから後の患者位置画像データを取得し、後の患者位置画像データを初期患者位置画像データと比較することによって患者位置エラーデータを生成し、患者位置エラーデータ及び改善された視野設定に基づいて後の視野設定を供給するよう構成される。
【0010】
従って、同時に取得された患者位置画像データ及び初期X線画像データを組み合わせ、そして、患者位置画像データを取得するために使用されるカメラ及びX線システムの各々の座標系の相違を補正することによって、後のX線患者画像を改善するX線システムに対する視野設定を供給することが提案されている。
【0011】
任意に、処理ユニットは、改善された視野設定を第2座標系から第1座標系に変換するよう更に構成され、後の視野設定は、変換された改善された視野設定に基づく。
【0012】
任意に、処理ユニットは、患者位置エラーデータを第1座標系から第2座標系に変換し、変換された患者位置エラーデータと改善された視野設定とを組み合わせて後の視野設定を形成することによって、後の視野設定を供給するよう更に構成される。
【0013】
従って、患者位置エラーデータを取得するために使用されるカメラは、第2座標系に位置するX線源及び検出器の組のそれとは異なる第1座標系にあってよい。
【0014】
任意に、処理ユニットは、解剖モデル内の要素の境界を示す第2座標系における境界ボックスとして、改善された視野設定を供給するよう更に構成される。
【0015】
従って、X線撮像システムの視野設定の提案される補正は、X線画像の空間領域で計算され得る。
【0016】
任意に、装置は、出力ユニットを更に有する。出力ユニットは、後の視野設定に基づいてX線システム設定コマンドを出力するよう更に構成される。
【0017】
従って、X線システムの視野は、装置によって実行される計算に応じて調整され得る。
【0018】
任意に、X線システム設定コマンドは、X線源コリメータパラメータデータ、X線源チルトデータ、X線源パンデータ、X線源X移動データ、X線源Y移動データ、X線源Z移動データ、X線検出器X移動データ、X線検出器Y移動データ、X線検出器Z移動データのうちの1つ以上を有する。
【0019】
任意に、処理ユニットは、初期X線画像データの第2座標系に対して患者位置カメラの第1座標系を較正するよう更に構成される。
【0020】
従って、患者位置エラーデータの間の精度の改善が観察される。
【0021】
任意に、処理ユニットは、連続して患者位置画像データを取得し、患者位置エラーデータ及び後の視野設定を連続して計算するよう更に構成される。
【0022】
従って、後の視野設定は、最小限のレイテンシで供給され得る。
【0023】
任意に、入力ユニットは、X線試験プロトコルデータを受け取るよう更に構成される。処理ユニットは、X線試験プロトコルデータに基づいて、初期視野設定を生成し、更にX線試験プロトコルデータに基づいて、改善された視野設定の予測を生成するよう更に構成される。
【0024】
第2の態様に従って、
− 患者の関心領域をX線放射にさらすよう構成されるX線源と、
− X線源によって発せられたX線放射を受けて患者のX線画像データを供給するよう構成されるX線検出器と、
− 患者の関心領域の患者位置画像データを取得するよう構成される患者撮像カメラと、
− 第1の態様に従う装置と
を有するX線撮像システムが提供される。
【0025】
装置の入力ユニットは、患者位置カメラから初期位置での患者の初期患者位置画像データを取得し、X線検出器から患者の初期X線画像データを取得するよう構成される。
【0026】
X線源及び/又はX線検出器は、装置によって生成された初期視野設定及び後の視野設定に基づいて初期ビュー状態及び後のビュー状態に設定可能である。
【0027】
任意に、患者撮像カメラは、ビデオカメラ、赤外線カメラ、又は奥行きカメラである。
【0028】
従って、奥行きカメラから取得される3Dデータと、解剖モデルを用いて第1X線画像から取り出される解剖学的データとは、改善された精度を有する後の視野設定を取得するよう組み合わされ得る。
【0029】
任意に、第2の態様に従うシステムは、複数のカメラを有するマルチビューカメラシステムを更に有し、初期患者位置画像データは、マルチビューカメラシステムを用いて供給される。
【0030】
マルチビューカメラシステムは、関心野における患者のより良い空間分解能を提供して、後の視野設定の精度を改善する。
【0031】
任意に、後の視野設定は、初期視野の完全に外にある(初期視野を除く)視野をもたらすよう設定される。
【0032】
任意に、後の視野設定は、初期視野と重なり合う視野をもたらすよう設定される。
【0033】
第3の態様に従って、X線撮像システムの視野を調整する方法であって、
a)患者位置カメラの第1座標系に基づき患者位置カメラから初期位置での患者の初期患者位置画像データを取得することと、
b)初期視野設定に設定されたX線システムから患者の初期X線画像データを取得し、初期患者位置画像データ及び初期X線画像データが略同時に取得される、ことと、
c)初期X線画像データ内の患者生体構造のアイテムの一部を検出することと、
d)初期X線画像データの第2座標系において患者生体構造のアイテムの強調画像化のための改善された視野設定を予測し、予測が解剖モデルを用いて供給される、ことと、
e)患者位置カメラから後の患者位置画像データを取得することと、
f)後の患者位置画像データを初期患者位置画像データと比較することによって患者位置エラーデータを生成することと、
g)患者位置エラーデータ及び改善された視野設定に基づいて後の視野設定を供給することと
を有する方法が提供される。
【0034】
任意に、後の視野設定を供給することは、
g2)患者位置エラーデータを第1座標系から第2座標系に変換することと、
g3)後の視野設定を形成するように、改善された視野設定を、変換された患者位置エラーデータと組み合わせることと
を更に有する。
【0035】
第4の態様に従って、第1及び/又は第2の態様に従う処理ユニット及び/又はシステムを制御するコンピュータプログラム要素であって、処理ユニット及びシステムは、コンピュータプログラム要素が処理ユニット及び/又はシステムによって実行される場合に、第3の態様の方法を実行するよう適応させる、コンピュータプログラム要素が提供される。
【0036】
第5の態様に従って、第4の態様のコンピュータプログラム要素が記憶されているコンピュータ可読媒体が提供される。
【0037】
以下で、「X線撮像システムの視野」との語は、典型的な暴露中にX線画像が捕捉する患者の関心領域の部分を指す。X線撮像システムの視野は、一般的に、X線検出器からのX線源の距離と、X線検出器及びX線源アパーチャの特性とによって、定義される。簡単な場合に、視野は、X線源とX線検出器との間のビーム経路にコリメータ(1以上のシャッターを備えてよい)を置くことによって、調整され得る。視野を調整する他の方法は、X線源及び/又はX線検出器の一方又は両方を互いに対して水平方向及び/又は垂直方向に平行移動することによる。視野を調整する他の方法は、X線源とX線検出器との間の距離分離を増大又は低減させることによる。
【0038】
明らかに、前の段落で話題にされたパラメータの全部又は一部の変化により、X線検出器によって検出される解剖学的特徴は視野の外又は中に移動する。従って、適切な視野でX線システムを設定するのに必要なデータは、「視野データ」と呼ばれる。
【0039】
「視野データ」との語は、例えば、コリメータ部材、あるいは、X線検出器及び/又はX線源のパン、チルト、距離分離、垂直及び水平ポジション、のうちの1つ以上を設定するためのステッピングモータ位置命令を有してよい。
【0040】
以下で、「初期患者位置画像データ」との語は、例えば、初期X線画像が取得される場合にX線システムのターゲット領域に立つ患者の画像又は映像を指す。初期患者位置画像データは、X線撮像システムのX線源及びX線検出器の組の座標系とは異なる第1座標系に位置する患者位置カメラにより取得される。初期患者位置画像データは、例えば、初期X線画像が撮影される1ms、10ms又は100ms内に取得され、本願のために、「略同時に」との語は、このような時間範囲内にある。
【0041】
以下で、「解剖モデル」との語は、通常は処理ユニット(例えば、コンピュータ)で記憶及び実行されるデータ構造を指す。解剖モデルは、通常、患者の共通の解剖学的特徴の場所及び形状を定義する情報を含む。例えば、典型的な解剖モデルは、例えば、肺、肋骨、脊椎などの構造の表現と、特定の解剖学的要素が特定の位置に存在する可能性とを含む。解剖モデルは、通常、臓器の画像の不完全な部分から解剖学的要素が識別されることを可能にするよう設計されている。
【0042】
以下で、「患者位置エラーデータ」との語は、第1座標系に位置する患者位置カメラを用いて、初期患者位置から後に続く患者位置を追跡すること指す。例えば、初期X線画像が取得された後に患者がX線撮像検出器に一歩近づく場合に、患者位置エラーデータは、(第1座標系から第2座標系への変換が行われると、)患者が目下X線検出器に一歩近くなりX線源から一歩遠くなることを同様に反映する。
【0043】
従って、本願の基本的な考えは、第1X線画像が取得される時点で初期患者位置を捕捉することである。患者カメラによる患者の動きの追跡は、関心のある解剖学的部分が正確に撮像されるために必要な視野のリアルタイムの更新の計算を可能にするので、第2X線暴露がより成功することを可能にする。すなわち、初期X線画像が取得されるのと略同時に視野内の患者の位置の画像を取得することが提案される。後のX線画像を、更新された視野設定(例えば、コリメーションパラメータ)で取得する必要がある場合に、第2画像を撮影する時点での患者の動きは、更新された視野設定の準備に織り込まれる。
【0044】
これより、以下の図面を参照して、本発明の例となる実施形態が記載される。
【発明を実施するための形態】
【0046】
放射線透過検査では、X線検出器及びX線源に対して正確に患者を位置付け、それから、システムのジオメトリ設定及びX線システムパラメータを患者の生体構造に適応させる必要がある。一例として、X線源におけるコリメーション窓のサイズ及び形状は、撮像されるべき身体部分のサイズに合うよう適応されるべきである。
【0047】
技師が熟練しているとしても、しばしば、ターゲット組織が最終的なX線画像に完全には含まれない。そのため、重要な解剖学的構造は欠けている。典型的な原因としては、不正確なコリメーション窓設定、X線源及び/又はX線検出器に対する患者のポジショニング、あるいは、画像取得のちょっと前の患者の自発的な又は無意識の動きがあり得る。他の視野エラーは患者動作に起因し得る。
【0048】
診断上重要である解剖学的エリアのあまりに大部分を含まないX線画像が取得される場合に、後のX線画像が撮影される必要がある。現在、X線システムオペレータには、改善された視野(例えば、コリメーション)設定を見つけるようほとんど又は全くフィードバックが与えられない。しばしば、困難な場合には、満足な画像を取得するために複数回の再撮影が必要である。これは、患者が受ける放射線暴露を増やし、患者にとって不快な経験となり、病院プロシージャにおけるより長い検査時間及び遅延を示す。
【0049】
図1は、続く議論の文脈を与えるよう、第2の態様に従う、例となるX線撮像システム10の図解的側面図を表す。なお、X線撮像システムは、本特許請求の範囲の適用範囲の中にあるよう提供され得ることが理解されるだろう。
【0050】
図1で、患者は、臨床放射線撮影における最も一般的な投影ジオメトリの1つである胸部の前後方向のビュー(posterior-anterior view)においてX線画像を撮影してもらうプロセスの中に示されている。
【0051】
X線撮像システム10は、制御装置20、X線検出器30、及びX線源40を有する。患者50は、通常、X線源40とX線検出器30との間にある関心領域に立つ。
【0052】
X線撮像源40は、X線撮像室にある天井レール41に沿ってスライドするよう構成された台車42で支持されている。これは、患者50の方へ又は患者50から離れてX線源40の移動を可能にする(次元YS)。X線撮像40は、支持部材43によって台車42から吊り下げられている。支持部材43は、上下方向(床の方へ又は床から離れて、次元ZS)で移動可能である。任意に、X線撮像源40はまた、支持部材43の軸周りで方位角に回転可能であり(βS)、かつ、傾きを変えることが可能である(αS)。
【0053】
X線撮像源アセンブリ44は、支持部材43に取り付けられており、X線放射器46が内部にある略X線放射封入容器45を有する(通常、X線放射器46は、回転陽極X線放射器である)。なお、容器45は、患者50に向かうX線ビームの放射を可能にするよう構成される。X線容器45はまた、放射されたX線ビームの形状の制御を可能にするモータ駆動式シャッターを備えたコリメーション窓Cを有する。X線撮像源40は、制御装置20からデジタルデータリンク22を介して送られたデータ信号を用いて制御される。
【0054】
X線検出器30は、例えば、X線源40から放射されたX線ビーム47を受けるよう配置されたデジタルフラットパネル検出器32を有してよい。X線検出器30は、デジタルデータリンク34を用いて装置20を制御するようX線画像データを送る。
図1に示されてないが、X線検出器30は、任意に、傾斜、水平移動及び垂直移動を可能にするようサーボモータ作動配置で配置されてもよい。
【0055】
X線撮像室でのX線源40及びX線検出器30の相対的な位置付けと、例えば、コリメーション設定とが、X線システムの全体の視野をもたらす。コリメータCが前後方向のビューにおいて患者の左手側に視野を制限するよう設定され、かつ、患者が自身の左に横に一歩ずれるとの仮定の場合に、それから、患者は、視野内に十分に自身を位置付けし直して、関心のある解剖学的アイテムの正確な撮像を妨げることになる。
【0056】
極端な例として、実質的に下方にαS傾けて天井の近くにX線源容器45を位置付けることは、有意な“キーストーン”(keystone)効果を有する視野をもたらす。
【0057】
図1に表されているX線撮像システム10はまた、患者撮像カメラ12を有する。患者撮像カメラ12は、望ましくは奥行きカメラであるが、標準のビデオカメラ又は赤外線カメラであってもよい。患者撮像カメラ12は、ここでは、天井レール41から患者を撮影するものとして示されている。なお、患者撮像カメラ12は、患者50の遮られないビューを有しながらX線撮像室内の実質的にどこにでも配置されてよいことが理解されるだろう。特に、患者撮像カメラ12は、第1座標系14にあり、この座標系は、X線源40及び検出器30によって画定される第2座標系16とは異なる。例えば、患者撮像カメラ12とX線撮像システム10との間の異なるアライメントの結果として、第1座標系は、第2座標系からある角度でオフセットされる。よって、第1座標系と第2座標系との間の変換は、同じ大きさの対抗オフセット(counter-offset)であってよい。より複雑な座標変換が与えられてもよく、例えば、発散(diverging)座標系(患者撮像カメラの天井取り付けによって引き起こされる発散又は“キーストーン”効果を考慮する)がある。
【0058】
解剖学的スケールでの精度のために、X線源容器45の上に直接及び/又はX線検出器30の上に直接患者撮像カメラ12を置くことは、“有意差がある”座標系をもたらすと依然として考えられ得ることが理解されるだろう。
【0059】
従って、患者撮像カメラ12の如何なる配置のためにも、患者撮像カメラ12の基準系とX線源40及びX線検出器30の基準系との間の座標変換18が存在する。
【0060】
これより、X線撮像システムの視野を調整する装置20を参照すると、X線撮像システムの視野を調整する装置が、第1の態様に従って提供される。装置20は、
− 入力ユニット22と、
− 処理ユニット24と
を有する。
【0061】
入力ユニット22は、(i)患者位置カメラの第1座標系に基づき患者位置カメラから初期位置での患者の初期患者位置画像データを取得するよう、かつ、(ii)初期視野設定に設定されたX線システムから患者の初期X線画像データを取得するよう構成され、初期患者位置画像データ及び初期X線画像データは、略同時に取得される。
【0062】
処理ユニット24は、初期X線画像データ内の患者生体構造のアイテムの一部を検出し、初期X線画像データの第2座標系において患者生体構造のアイテムの強調画像化のための改善された視野設定を予測し、該予測が解剖モデルを用いて供給され、患者位置カメラから後の患者位置画像データを取得し、後の患者位置画像データを初期患者位置画像データと比較することによって患者位置エラーデータを生成し、患者位置エラーデータ及び改善された視野設定に基づいて後の視野設定を供給するよう構成される。
【0063】
図2は、第1の態様に従う装置を概略的に表す。
【0064】
図2に表されている装置20は、入力ユニット22及び処理ユニット24を有する。装置20は、データプロセッサとして機能し、例えば、汎用コンピュータで実行されるソフトウェア、埋め込みマイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ、それらの組み合わせ、又は当業者に知られている代替物として、実装されてよい。
【0065】
これより論じられる具体例は、X線システムの視野がコリメーション設定のみによって定義される実施形態に係るが、視野設定の計算は、当然に、使用されるX線システムの特定のタイプ及びジオメトリに依存して拡張され得る。
【0066】
フラットパネル検出器のようなX線検出器から取得された初期X線画像データ26は、初期患者位置画像データ28と略同時に入力ユニット22によって取得される。X線システムは、この時点では初期ビュー設定に設定されている。実際に、1ms、10ms、又は100ms前後の初期X線画像データ26及び患者位置画像データ28の取得時間のばらつきは、性能の有意な低下なしで許容される。
【0067】
任意に、処理ユニット24は、コントラスト補正及び/又は画像のノイズ除去などの、初期X線画像データ及び/又は初期患者位置画像データ28をフォーマットするための様々な前処理動作を実行してよい。
【0068】
処理ユニット24は、初期X線画像データ26内の患者生体構造のアイテムの部分が識別されることを可能にする画像解析サブルーチンを実行する。例えば、エッジ検出アルゴリズムがX線画像データ26に適用されてよく、それから、解剖モデルとの比較が行われてよい。コリメーションエラーに苦しんでいる初期X線画像データ26内の点は、解剖モデル内の同様の点と比較して、くっきりとした、非解剖学的エッジとして識別されて、初期X線画像データ26内の患者生体構造のアイテムの部分の検出を可能にする。
【0069】
患者生体構造のアイテムの部分の検出は、第2座標系(X線取得システムの座標系)にある初期X線画像データ26に関係がある。
【0070】
その後に、改善された視野設定の予測が求められる。例えば、初期X線画像データ内の患者生体構造のアイテムの検出された部分との解剖モデルの比較が行われてよい。X線画像データ26の第2座標空間における境界ボックスは、解剖学的特徴(例えば、切頭肺(truncated lung))がその全体において識別されることを可能にするよう如何にして視野は更新されるべきかを示すために、解剖モデルを用いて生成されてよい。第2座標空間内の更新された座標の組はこのようにして求められ、改善された視野設定の予測を形成する。
【0071】
初期X線画像データ26が取得された時間から、更新された視野設定で後のX線画像を撮影する時間の間に、患者が動いている可能性がある。よって、境界ボックス座標を(この場合に)コリメーション設定に変換することによって新しい視野設定を簡単に計算することは、良質の最終画像を得るには不十分であることがある。なぜなら、そのようなコリメーション設定は、初期X線画像データ26が取得された後の患者の動きによって引き起こされた追加のエラーを考慮しないからである。
【0072】
従って、改善された視野設定による後のX線画像データの取得に可能な限り近い時点で、後の患者位置画像データは患者位置カメラから取得される。後の患者位置画像の目的は、初期患者位置画像データを取得する時点での患者位置から始まって、改善された視野設定による後のX線画像データの取得に可能な限り近い時点で終わる患者の相対運動を識別することである。
【0073】
多種多様 な画像及び/又はビデオ処理技術が患者位置データを生成するために使用されてよいことが、当業者によって認識されるだろう。例えば、オプティカルフロー、特徴点追跡、ランドマーク検出及び追跡、3D表面モデル(任意に、前の患者撮像スキャンから導出される)のフィッティングがある。
【0074】
特に、患者位置エラーデータは、患者位置カメラの第1座標系において捕捉される。上記の通り、改善された視野設定の予測は、この例では、X線撮像システムの第2座標系に存在する。
【0075】
望ましくは、改善された視野設定(例えば、境界ボックスの座標)の予測は、患者位置カメラの第1座標系に変換され、比較される。特に、患者の更なる動きが境界ボックスと患者との間の対応の欠如をもたらす場合に、患者位置エラーデータ及び改善された視野設定に基づいて、後の視野設定が生成される。
【0076】
適切な変換の簡単な例は回転行列であるが、第1座標系と第2座標系との間の発散(患者に対して急勾配角度での患者撮像カメラ12の位置付けにより生じる“キーストーン”効果に対処するために有用である)などの、多数の他の座標変換技術が、適用されてもよい。
【0077】
他の例では、その第1座標系での患者位置エラーデータは、X線撮像システムの第2座標系に変換されてよい。
【0078】
他の例では、その第1座標系での患者位置エラーデータ、及びその第2座標系での改善された視野設定の両方が、第3座標系に変換されてもよい。特に、患者位置カメラの位置及びX線システムの位置は、第1座標系と第2座標系との間を変換するために必要な座標変換が求められ得るように、使用の前に較正される。
【0079】
任意に、装置20は、後のX線撮像データの取得に備えて、改善された視野設定をX線撮像システムへ送る。
【0080】
任意に、装置20は、改善された視野設定に基づいて後のX線撮像データを取得するようにX線撮像システムに指示する。
【0081】
任意に、装置20は、(例えば、コリメーションパラメータを変更することによって)システムの視野を手動で変更するように、及び/又は極端な場合に、患者を動かすようにオペレータに指示するために、(例えば、X線システムの画面への表示信号を介して)オペレータへ視覚フィードバックを供給する。
【0082】
任意に、患者位置カメラは、更なる患者動作を追跡し、これは、患者の更新された位置を計算するために使用される。コリメーションパラメータは、第1座標系と第2座標系との間の変換に従ってリアルタイムで更新されてよい。
【0083】
従って、初期患者位置画像データ28と初期X線画像データ26から取り出された解剖学的データとの間のフィードバックループを使用する画像取得アプローチが記載された。
【0084】
このアプローチの他の例では、患者位置カメラは、奥行きデータ及び映像データを組み合わせることが可能なStructured-light方式カメラのような、奥行きカメラである。
【0085】
この例では、奥行きカメラは、適切なフレームレートで奥行きデータ及び通常の映像データを供給しながら、最小限の障害物で試験エリアを撮像するように位置付けられる。
【0086】
それから、カメラ位置及び座標が放射線検査システムのジオメトリに対して較正されると、カメラジオメトリにおける点がX線システムジオメトリにマッピングされ得、その逆も同様である。
【0087】
その後に、患者の奥行き画像及び患者位置画像(映像)は、初期X線画像データと略同時に取得される。
【0088】
ターゲット生体構造の位置及び形状は、X線画像内で自動的に検出される。取得されたX線画像(第1コリメーション設定で取得される)において生体構造が見つからない場合には、それらの最もありそうな位置が、先の解剖学的知識に基づいて、例えば、統計的解剖モデルから、予測される。見つけられない生体構造の最適な位置を示す境界ボックスは、初期X線画像データと比較して解剖モデルを用いて取得される。
【0089】
較正ステップで計算された、第1座標系と第2座標系との間の座標変換を用いて、境界ボックスの座標は、患者位置カメラの座標系に変換され、取得された奥行きデータと比較される。
【0090】
それから、最適な視野パラメータ(この場合に、コリメーション設定)が、境界ボックスと取得された奥行きデータとの間の対応から導出される。X線システムコリメータは、これらの設定により更新される。
【0091】
図3は、本発明によって解決される問題を表す。
【0092】
図3a)は、初期X線画像データの取得を示す。この場合に、右肺60は、コリメーション窓62が狭すぎかつ患者が中心に位置していなかったために、切り取られている。
【0093】
図3b)及び3c)は、コリメーションパラメータを再設定することと、患者を再配置することとを含め、最終の
図3c)を取得するために必要な第1及び第2の撮り直しを表す。
【0094】
本態様に従って、内部の生体構造と患者画像データ(例えば、2D画像データ及び/又は3D表面データ)との間の対応は、撮り直しのための最適な位置及び試験パラメータを計算するために、最初の取得の直後に使用され得る。
【0095】
本発明の態様は、患者の動きが画像品質に対するリスクであるところの可変な視野を伴うX線システムに広く適用可能であることが理解されるだろう。技術はまた、例えば、透視X線撮像にも適用可能である。
【0096】
第2の態様に従って、
− 患者の関心領域をX線放射にさらすよう構成されるX線源40と、
− X線源40によって発せられたX線放射を受けて患者のX線画像データを供給するよう構成されるX線検出器30と、
− 患者の関心領域の患者位置画像データを取得するよう構成される患者撮像カメラ12と、
第1の態様に従う装置20と
を有するX線撮像システムが提供される。
【0097】
装置20の入力ユニットは、患者位置カメラから初期位置での患者の初期患者位置画像データを取得し、X線検出器から患者の初期X線画像データを取得するよう構成される。
【0098】
X線源40及び/又はX線検出器30は、装置20によって生成された初期視野設定及び後の視野設定に基づいて初期ビュー状態及び後のビュー状態に設定可能である。
【0099】
任意に、患者撮像カメラは、ビデオカメラ、赤外線カメラ、又は奥行きカメラである。
【0100】
従って、奥行きカメラから取得される3Dデータと、解剖モデルを用いて第1X線画像から取り出される解剖学的データとの間で、比較が行われてよい。これは、後の視野設定の精度を改善する。
【0101】
任意に、第2の態様に従うシステムは、複数のカメラを有するマルチビューカメラシステムを更に有し、初期患者位置画像データは、マルチビューカメラシステムを用いて供給される。
【0102】
マルチビューカメラシステムは、関心野における患者のより良い空間分解能を提供して、後の視野設定の精度を改善する。
【0103】
任意に、第3の態様で、後の視野設定を供給することは、
g1)改善された視野設定を第2座標系から第1座標へ変換することを更に有し、後の視野設定は、変換された改善されたいや設定に基づく。
【0104】
任意に、第3の態様で、改善された視野設定は、解剖モデル内の要素の境界を示す第2座標系における境界ボックスとして供給される。
【0105】
任意に、第3の態様は、後の視野設定に基づいてX線システム設定コマンドを出力することを有する。
【0106】
任意に、第3の態様で、X線システム設定コマンドは、
h1)X線源コリメータパラメータデータ、
h2)X線源チルトデータ、
h3)X線源パンデータ、
h4)X線源X移動データ、
h5)X線源Y移動データ、
h6)X線源Z移動データ、
h7)X線検出器X移動データ、
h8)X線検出器Y移動データ、及び
h9)X線検出器Z移動データ
のうちの1つ又は組み合わせを有する。
【0107】
任意に、第3の態様で、患者位置カメラは、ビデオカメラ、赤外線カメラ、又は奥行きカメラである。
【0108】
任意に、第3の態様で、初期患者位置画像データは、複数のカメラを有するマルチビューカメラシステムを用いて供給される。
【0109】
任意に、第3の態様は、
b1)初期X線画像データの第2座標系に対して患者位置カメラの第1座標系を較正することを更に有する。
【0110】
任意に、第3の態様で、患者位置画像データは、患者位置エラーデータ及び後の視野設定が連続して計算されることを可能にするよう、連続して取得される。
【0111】
任意に、第3の態様は、
a1)X線試験プロトコルをロードすることを更に有し、
ステップa)で、初期視野設定が、X線試験プロトコルに基づき生成され、
ステップd)で、改善された視野設定の予測が、更にX線試験プロトコルに基づき生成される。
【0112】
第4の態様に従うコンピュータプログラム要素は、コンピュータユニットに記憶されてよく、これも、本発明の実施形態であり得る。このコンピュータユニットは、上記の方法のステップを実行するよう又はその実行を引き起こすよう構成されてよい。更に、それは、上記の装置の構成要素を動作させるよう構成されてよい。
【0113】
コンピュータユニットは、自動的に動作するよう及び/又はユーザの命令を実行するよう構成され得る。コンピュータプログラムは、データプロセッサの作業メモリにロードされてよい。データプロセッサは、よって、本発明の方法を実行するよう装備されてよい。
【0114】
本発明のこの例となる実施形態は、最初から本発明がインストールされているコンピュータプログラム、及び更新によって本発明を使用するプログラムへと既存のプログラムを変えるコンピュータプログラムの両方をカバーする。コンピュータプログラムは、他のハードウェアとともに又はその部分として供給される、光学記憶媒体又は固体状態媒体のような適切な媒体で記憶及び/又は分配されてよいが、他の形態でも、例えば、インターネット又は他の有線若しくは無線電気通信システムを介して、分配されてもよい。
【0115】
なお、コンピュータプログラムはまた、ワールド・ワイド・ウェブのようなネットワークを介して提供されてもよく、そのようなネットワークからデータプロセッサの作業メモリにダウンロードされ得る。本発明の更なる例となる実施形態に従って、ダウンロードするためにコンピュータプログラム要素を利用可能にする媒体が提供され、コンピュータプログラム要素は、本発明の上記の実施形態のうちの1つに従う方法を実行するよう配置される。
【0116】
本発明の実施形態は、種々の対象を参照して記載されることが留意されるべきである。特に、いくつかの実施形態は、方法タイプの請求項を参照して記載され、一方、他の実施形態は、デバイスタイプの請求項を参照して記載される。しかし、当業者であれば、上記及び下記の説明から、特段示されない限りは、1つのタイプの態様に属する特徴の任意の組み合わせに加えて、異なる対象に関する特徴どうしの他の組み合わせも本願で開示されていると見なされると分かるだろう。
【0117】
全ての特徴は、特徴の単純な足し合わせよりも大きい相乗効果をもたらすよう組み合わされ得る。
【0118】
本発明は、図面及び上記の説明において詳細に図示及び記載されてきたが、そのような図示及び記載は、実例又は例示であって、限定と見なされるべきではない。本発明は、開示されている実施形態に制限されない。
【0119】
開示されている実施形態に対する他の変形は、請求されている発明を実施する際に、図面、本開示、及び従属請求項の検討から、当業者によって理解及び達成され得る。
【0120】
特許請求の範囲において、語「有する」(comprising)は,他の要素又はステップを除外せず、不定冠詞(a又はan)は、複数を除外しない。単一のプロセッサ又は他のユニットは、特許請求の範囲で挙げられているいくつかのアイテムの機能を満たしてよい。特定の手段が相互に異なる請求項で挙げられているという単なる事実は、それらの手段の組み合わせが有利に使用され得ないことを示すものではない。特許請求の範囲における如何なる参照符号も、適用範囲を制限するものとして解釈されるべきではない。