(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
山岳部や傾斜地などでの人や荷物の輸送、さらには公園や遊園地などの娯楽施設における娯楽用乗物として、高低差のある2つの支点間をワイヤケーブルで結び、このワイヤケーブルに沿って移動する滑車機構を備える吊り下げ装置に人や荷物を吊り下げて、高低差を利用して低地に人や荷物を運ぶケーブル滑走設備がある。
このケーブル滑走設備では、2つの支点間にワイヤケーブルを張る必要があり、メッセンジャーラインを張った後にワイヤケーブルに付け替えて張ることが行われる。
【0003】
このような2つの支点間にワイヤケーブルを張る必要がある代表的なものに、送電ケーブルがあり、例えば、特許文献1には、無人ヘリコプターにメッセンジャーラインを巻き取ったスプールを装置し、無人ヘリコプターを浮上させて巻き取ったメッセンジャーラインの一端を垂らして最初の鉄塔の頂端のアームに掛けた後、スプールのメッセンジャーラインを繰り出しながら次の鉄塔に向けて飛行させ、最後の鉄塔の頂端のアームを通過した後、スプールを切り離してパラシュートで地上に落下させるようにしている。
また、特許文献2には、最初の鉄塔に隣接したドラム場に径の異なる複数のメッセンジャーラインを巻き取ったスプールを設置し、各鉄塔の頂端には、対をなすローラを備えたロープ送出装置を取り付けておき、設定ルートを飛行する自律制御飛行体に最細径のメッセンジャーラインを結んで飛行させ、最初の鉄塔のロープ送出装置に担持させた後、最細径のメッセンジャーラインの基端に次の細径のメッセンジャーラインを連結し、ロープ送出装置での送り出しと飛行体の飛行とを繰り返すことによって1回の飛行で、最大径のメッセンジャーラインまで延線することができるようにしている。
【0004】
一方、遊具として設置される比較的小規模の娯楽用乗物であるケーブル滑走設備では、高低差のある2つの支点間を結ぶワイヤケーブルを延線する場合には、これまでは、人力でメッセンジャーラインを運び、ワイヤケーブルに付け替えることで張るようにしていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、娯楽用乗物であるケーブル滑走設備では、長距離間を滑走できる設備への要求が高まりつつあり、人力によるメッセンジャーラインの延線には、限界がある。
一方、特許文献1,2に開示された延線方法は、比較的規模の小さい娯楽用乗物であるケーブル滑走設備へは、そのまま適用することができない。
すなわち、特許文献1に開示された送電ケーブルに用いるヘリコプターによる延線方法では、スプールをヘリコプターに搭載することから大型のヘリコプターが必要となり、しかも遊園地などでの飛行には、騒音や安全上などの問題が生じる場合がある。
また、特許文献2に開示されたメッセンジャーラインの延線方法では、最初の鉄塔のロープ送出装置に担持させた後は、ロープ送出装置による送り出し力を利用できるものの、ドラム場から最初の鉄塔までは、飛行体だけでスプールからメッセンジャーラインを引き出す必要があり、スプールからメッセンジャーラインを引き出すことができる大型の飛行体を用意しなければならない。
そこで、最初のメッセンジャーラインとして直径が1mm程度の釣り糸として使用されるナイロンロープを用い、ナイロンロープを巻き取ったスプールを2つの支点の一方の地上に置くことで、搭載重量を抑え、小型の飛行体を他方に運んで延線を行うことが考えられる。
ところが、細径のナイロンロープなどをスプールに予め巻き取る場合に、整列状態で巻き取ることが難しく、下の層のナイロンロープの間に挟まれるように巻かれてしまうことがある。このため、スプールからのナイロンロープの巻き出しがスムーズに行われずに引っかかることがあり、少しでも引っかかると小型の飛行体が後方に引かれた状態となって飛行が安定せず、墜落に至る恐れもある。
【0007】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、安定した飛行でメッセンジャーラインを延線することができる延線装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する本発明
の第1の観点にかかる延線装置は、
遠隔操作される飛行体に、スプールに巻かれたメッセンジャーラインの一端部を連結して2つの支点間に延線する延線装置であって、
前記スプールから繰り出される前記メッセンジャーラインが巻掛けられて駆動される駆動プーリと、
前記駆動プーリを駆動して前記メッセンジャーラインの繰り出し速度を調整する速度調整用モータと、
繰り出される前記メッセンジャーラインの張力を検出する張力検出手段と、
前記張力検出手段により検出された張力により前記速度調整用モータの速度を制御する制御手段と、を備え
、
前記メッセンジャーラインの前記一端部と前記飛行体との間に、前記メッセンジャーラインの過大張力により前記飛行体との連結を解除する連結解除手段を設けた、
ことを特徴とする。
【0009】
本発明の第2の観点にかかる延線装置は、
遠隔操作される飛行体に、スプールに巻かれたメッセンジャーラインの一端部を連結して2つの支点間に延線する延線装置であって、
前記スプールから繰り出される前記メッセンジャーラインが巻掛けられて駆動される駆動プーリと、
前記駆動プーリを駆動して前記メッセンジャーラインの繰り出し速度を調整する速度調整用モータと、
繰り出される前記メッセンジャーラインの張力を検出する張力検出手段と、
前記張力検出手段により検出された張力により前記速度調整用モータの速度を制御する制御手段と、を備え、
前記張力検出手段は、前記メッセンジャーラインが巻掛けられる3つのプーリと、
中央の前記プーリに加わる張力を検出する圧力センサと、を備えて構成される、
ことを特徴とする。
【0010】
前記メッセンジャーラインの前記一端部と前記飛行体との間に、前記メッセンジャーラインの過大張力により前記飛行体との連結を解除する連結解除手段を設けた、ことが好ましい。
【0011】
前記連結解除手段は、前記飛行体と前記メッセンジャーラインの前記一端部とのいずれか一方に取り付けられ所定の弾性力で挟持する挟持部材と、いずれか他方に取り付けられ過大な張力で前記挟持部材による挟持が解除される解除板部材と、を備えて構成される、ことが好ましい。
【0012】
前記連結解除手段は、前記飛行体に基端部が開閉可能に支持され先端部間に前記メッセンジャーラインが掛けられる1対の開閉部材と、前記メッセンジャーラインからの過大な張力で1対の前記開閉部材の前記先端部間を解放する弾性力を付与する弾性部材と、を備えて構成される、ことが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、安定した飛行でメッセンジャーラインを延線することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の延線装置の一実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
本発明の延線装置10は、例えば、公園や遊園地などに設けられる娯楽用乗物であるケーブル滑走設備の高低差のある2つの支点間に滑走用のワイヤケーブルを張るためのメッセンジャーラインLの延線に用いられる。
ケーブル滑走設備は、図示省略したが、高低差のある2つの支点間に架設された2本のワイヤケーブルと、2本のワイヤケーブル上に沿って滑走可能とされた滑走用の滑車機構と、この滑走用の滑車機構に吊り下げられて搭乗者を支持するための吊り下げ装置を備えて構成され、一方の支点である高地側に設けたスタート台から他方の支点である低地側に設けたゴール台までを高低差を利用して滑走できるようにしたものである。
【0016】
本実施の形態の延線装置10は、遠隔操作される飛行体11に、スプール12に巻かれたメッセンジャーラインLの一端部を連結して2つの支点間に延線する延線装置10であって、スプール12から繰り出されるメッセンジャーラインLが巻掛けられて駆動される駆動プーリ13と、駆動プーリ13を駆動してメッセンジャーラインLの繰り出し速度を調整する速度調整用モータ14と、繰り出されるメッセンジャーラインLの張力を検出する張力検出手段15と、張力検出手段15により検出された張力により速度調整用モータ14の速度を制御する制御手段16と、を備えて構成される。
【0017】
飛行体11は、無線通信などによって遠隔操作できる小型の飛行体11であり、無線操縦ヘリコプターに比べても小型の、例えばドローンで構成される。
飛行体11には、遠隔操作に必要な無線機器や飛行経路などを撮影するカメラ11aが搭載されている。
【0018】
スプール12は、メッセンジャーラインLを予め巻き取っておき、延線にともなって繰り出すためのもの(糸巻き)である。スプール12は、図示省略したが、装置台板上に回転可能に支持されている。スプール12には、メッセンジャーラインLとなるナイロンロープが、できるだけ整列した多層状態で巻き取られ、スムーズな繰り出しができるようにしておく。
メッセンジャーラインLは、例えば釣り糸として用いられている直径1mm(20号)程度のナイロンロープ(例えば、破断強度が約300kg程度)が最初の延線用として用いられる。メッセンジャーラインLは、延線に必要な2つの支点間の距離に対して余裕のある長さのものが使用される。
なお、延線装置10は、最初のメッセンジャーラインLの延線のために使用される。
最初のメッセンジャーラインLの延線後は、必要に応じて直径の大きいメッセンジャーラインに付け替えて架設し、最後にケーブル滑走設備用のワイヤケーブルに付け替えて架設が完了する。
【0019】
駆動プーリ13は、スプール12から繰り出されるメッセンジャーラインLを所定の速度で繰り出すためのものであり、速度調整用モータ14で駆動される。
駆動プーリ13には、メッセンジャーラインLが滑ることなく繰り出すことができるように巻掛けられ、例えば3〜4回程度巻掛けられている。
【0020】
速度調整用モータ14は、スプール12から繰り出されるメッセンジャーラインLの負荷変動(張力変動)が生じても回転速度を一定に維持することができるように構成されている。速度調整用モータ14は、スピードコントロールモータとして市販されているものを使用することができ、例えばオリエンタルモータのBMUシリーズを挙げることができる。
【0021】
張力検出手段15は、飛行体11に向かうメッセンジャーラインLの張力を検出し、制御手段16を介して速度調整用モータ14に速度制御信号を出力する。
張力検出手段15は、メッセンジャーラインLが巻掛けられる3つのプーリ15a,15b,15cと、中央のプーリ15aに加わる張力を検出する圧力センサ15dと、を備えて構成されている。
中央のプーリ15aは、回転軸15eが上下に移動するシリンダ機構で支持され、シリンダの底部に圧力センサ15dが設けられ、回転軸15eと一体のロッドが圧力センサ15dに接触して設けられている。
中央のプーリ15aの上流側および下流側のプーリ15b,15cは、回転軸が所定の位置に固定された固定プーリとされ、中央のプーリ15aの回転軸15eに対して回転軸が下方に配置されており、2つのプーリ15b,15cの下側に巻掛けられたメッセンジャーラインLを中央のプーリ15aの上側に巻掛けるように配置されている。
これにより、張力検出手段15では、飛行体11に向かうメッセンジャーラインLの張力の変化が中央のプーリ15aの回転軸15eを支持するロッドを介して圧力センサ15dによる圧力変化として検出される。
張力検出手段15で圧力変化として検出されたメッセンジャーラインLの張力は、制御手段16を介して速度調整用モータ14に速度制御信号として出力される。制御手段16は、予め設定した張力に対して張力が大きくなると、速度調整用モータ14に増速するように信号を出力し、設定張力より検出張力が小さくなると、速度調整用モータ14に減速するように信号を出力する。
【0022】
このような延線装置10によれば、飛行体11は、連結されたメッセンジャーラインLの張力が一定に制御され、安定した状態で飛行することができる。
すなわち、メッセンジャーラインLがスプール12で引っ掛かることなどで張力が増大しても速度調整用モータ14が増速され、設定した張力に保持され、飛行体11に引き戻すような力が作用することがなく、安定した状態で安全にメッセンジャーラインLを連結した状態で飛行することができる。
また、延線装置10によれば、飛行体11の飛行状態などによりメッセンジャーラインLの張力が小さくなった場合には、速度調整用モータ14が減速され、設定した張力に保持され、飛行体11の飛行速度が急激に変化することがなく、安定した状態で安全にメッセンジャーラインLを連結した状態で飛行することができる。
【0023】
延線装置10は、メッセンジャーラインLのスプール12からの繰り出しにともなう張力の変化が生じても一定の張力によって繰り出すことができるが、延線現場によっては、立木などにメッセンジャーラインLが引っ掛かるなどの事態が想定される。かかる事態になり離脱できないと、飛行体11の墜落にまで至ることがある。
そこで、延線装置10は、メッセンジャーラインLの一端部と飛行体11との間に、メッセンジャーラインLの過大張力により飛行体11との連結を解除する連結解除手段17が設けてある。なお、メッセンジャーラインLに加わる過大張力は、飛行体11の最大積載量に基づく張力に対して余裕のある張力が設定される。
連結解除手段17は、
図1中に示すように、例えば飛行体11とメッセンジャーラインLの一端部とのいずれか一方(図示例では、飛行体11)に取り付けられ所定の弾性力で挟持する挟持部材17aと、いずれか他方(図示例では、メッセンジャーラインL)に取り付けられ過大な張力で挟持部材17aによる挟持が解除される解除板部材17bと、を備えて構成される。
なお、挟持部材17aをメッセンジャーラインLの一端部に連結し、解除板部材17bを飛行体11に取り付けるようにしても良い。
挟持部材17aは、1対の挟持アーム17cが対向して配置され、中間部で開閉可能に連結され、1対の挟持アーム17cの先端部を閉じるように所定の弾性力(飛行体11の最大積載量に対して余裕のある張力に基づく弾性力)を付与するつる巻ばね17dが介装されている。一方の挟持アーム17cの基端部が飛行体11に連結される。
解除板部材17bは、矩形の板状とされて上端部が、1対の挟持アーム17cの先端部で挟まれて連結され、下端部にメッセンジャーラインLの一端部(先端部)が連結されている。
【0024】
このような連結解除手段17によれば、飛行体11に連結解除手段17の挟持アーム17cで挟持された解除板部材17bを介してメッセンジャーラインLの一端部を連結した状態とする。この状態で、メッセンジャーラインLが立木に引っ掛かるなどでつる巻ばね17dに設定した挟持力を越えると、挟持力に抗して解除板部材17bが挟持アーム17cから離脱し、メッセンジャーラインLが切り離される。これにより、飛行体11は、墜落が回避され、飛行体11を安全に回収することができる。
この連結解除手段17によるメッセンジャーラインLの連結解除は、飛行体11の飛行中に自動的に行われる場合のほか、メッセンジャーラインLが立木などに引っ掛かったことが分かった時点で、遠隔操縦による手動で、飛行体11を上昇させてメッセンジャーラインLの張力を大きくすることで切り離すようにすることもできる。
【0025】
延線装置10の連結解除手段18は、
図2に示すように、飛行体11に基端部が開閉可能に支持され先端部間にメッセンジャーラインLが掛けられる1対の開閉部材18aと、メッセンジャーラインLからの過大な張力で1対の開閉部材18aの先端部間を解放する弾性力を付与する弾性部材18bと、を備えて構成される。
連結解除手段18は、1対のアーム本体18cを備えている。1対のアーム本体18cは、上端部が所定の角度をなして固定され、下端部には、所定の間隔が空けられている。
1対の開閉部材18aは、1対のアーム本体18cの下端部間に対向して配置される。各開閉部材18aは、外側端部が回動可能にアーム本体18cに取り付けられ、内側先端部同士が重なるような長さとされている。各開閉部材18aは、それぞれ上方への回動が規制されるように、図示しないストッパが設けられており、各開閉部材18aがストッパに接触した状態では、略水平に両側から突き出すようになっている。
なお、ストッパは、アーム本体18cの下端部に設ける開閉部材18aの取り付け部を彫り込むようにして一体に形成したり、別体のものを取り付けるようにして形成される。
弾性部材18bは、各開閉部材18aの外側端部とアーム本体18cとの間に介装され、例えばつる巻ばねで構成される。弾性部材18bは、設定した張力が加わるまで下方への回動(開く方向への回動)を規制し、設定した張力を越えると下方への回動を許容するようにしてある。
飛行体11には、アーム本体18cの上端部が連結され、メッセンジャーラインLの一端部が1対の開閉部材18aの先端部に巻掛けるようにして連結される。
【0026】
このような連結解除手段18によれば、飛行体11に連結解除手段18のアーム本体18cの上端部が連結され、メッセンジャーラインLの一端部が1対の開閉部材18aの先端部に巻掛けるようにして連結した状態とされる。この状態で、メッセンジャーラインLが立木に引っ掛かるなどで弾性部材18bに設定した弾性力を越えると、開閉部材18aが弾性力に抗して下方に開くように回動され、メッセンジャーラインLの一端部が外れる。これにより、飛行体11は、墜落が回避され、飛行体11を安全に回収することができる。
この連結解除手段18によるメッセンジャーラインLの連結解除は、飛行体11の飛行中に自動的に行われる場合のほか、メッセンジャーラインLが立木などに引っ掛かったことが分かった時点で、遠隔操縦による手動で、飛行体11を上昇させてメッセンジャーラインLの張力を大きくすることで切り離すようにすることもできる。
【0027】
以上、実施の形態とともに具体的に説明したように、本発明の延線装置10によれば、遠隔操作される飛行体11に、スプール12に巻かれたメッセンジャーラインLの一端部を連結して2つの支点間に延線する延線装置10であって、スプール12から繰り出されるメッセンジャーラインLが巻掛けられて駆動される駆動プーリ13と、駆動プーリ13を駆動してメッセンジャーラインLの繰り出し速度を調整する速度調整用モータ14と、繰り出されるメッセンジャーラインLの張力を検出する張力検出手段15と、張力検出手段15により検出された張力により速度調整用モータ14の速度を制御する制御手段16と、を備え
、メッセンジャーラインLの一端部と飛行体11との間に、メッセンジャーラインLの過大張力により飛行体11との連結を解除する連結解除手段17,18を設けたので、スプール12から繰り出されるメッセンジャーラインLの張力が変化しても張力検出手段15で張力変化が検出され、制御手段16を介して速度調整用モータ14の回転速度が制御され、一定の張力で繰り出すことができる。
これにより、スプール12から繰り出されるメッセンジャーラインLを飛行体に連結して安定した飛行でメッセンジャーラインを延線することができる。また、飛行体11の最大積載量が小さいもので延線することができ、ドローンを用いて延線することが可能となる。
さらに、延線中にメッセンジャーラインLが立木などに引っ掛かるようなことがあっても、設定した張力を越えた場合に、メッセンジャーラインLを飛行体11から切り離すことができ、飛行体11の墜落を回避して安全に延線することができる。
【0028】
本発明の延線装置10によれば、
遠隔操作される飛行体11に、スプール12に巻かれたメッセンジャーラインLの一端部を連結して2つの支点間に延線する延線装置10であって、スプール12から繰り出されるメッセンジャーラインLが巻掛けられて駆動される駆動プーリ13と、駆動プーリ13を駆動してメッセンジャーラインLの繰り出し速度を調整する速度調整用モータ14と、繰り出されるメッセンジャーラインLの張力を検出する張力検出手段15と、張力検出手段15により検出された張力により速度調整用モータ14の速度を制御する制御手段16と、を備え、張力検出手段15は、メッセンジャーラインLが巻掛けられる3つのプーリ15a〜15cと、中央のプーリ15aに加わる張力を検出する圧力センサ15dと、を備えて構成されているので、スプール12から繰り出されるメッセンジャーラインLの張力が変化しても張力検出手段15で張力変化が検出され、制御手段16を介して速度調整用モータ14の回転速度が制御され、一定の張力で繰り出すことができる。
これにより、スプール12から繰り出されるメッセンジャーラインLを飛行体に連結して安定した飛行でメッセンジャーラインを延線することができる。また、飛行体11の最大積載量が小さいもので延線することができ、ドローンを用いて延線することが可能となる。さらに、メッセンジャーラインLの張力の変化を圧力センサ15dで検出することができ、検出結果に基づきスプール12の回転速度を制御することで、一定の張力で繰り出すことができる。
【0029】
本発明の延線装置10によれば、
メッセンジャーラインLの一端部と飛行体11との間に、メッセンジャーラインLの過大張力により飛行体11との連結を解除する連結解除手段17,18を設けて構成されているので、
延線中にメッセンジャーラインLが立木などに引っ掛かるようなことがあっても、設定した張力を越えた場合に、メッセンジャーラインLを飛行体11から切り離すことができ、飛行体11の墜落を回避して安全に延線することができる。
【0030】
本発明の延線装置10によれば、連結解除手段17は、飛行体11とメッセンジャーラインLの一端部とのいずれか一方に取り付けられ所定の弾性力で挟持する挟持部材17aと、いずれか他方に取り付けられ過大な張力で挟持部材17aによる挟持が解除される解除板部材17bと、を備えて構成されているので、挟持部材17aによる挟持力を越えてメッセンジャーラインLに張力が加わると、解除板部材17bの挟持が解放されてメッセンジャーラインLを飛行体から切り離すことができ、飛行体11の墜落を回避して安全に延線することができる。
【0031】
本発明の延線装置10によれば、連結解除手段18は、飛行体11に基端部が開閉可能に支持され先端部間にメッセンジャーラインLが掛けられる1対の開閉部材18aと、メッセンジャーラインLからの過大な張力で1対の開閉部材18aの先端部間を解放する弾性力を付与する弾性部材18bと、を備えて構成されているので、開閉部材18aを挟持する弾性部材18bの挟持力を越えてメッセンジャーラインLに張力が加わると、開閉部材18aが開いて解放され、メッセンジャーラインLを飛行体から切り離すことで、飛行体11の墜落を回避して安全に延線することができる。
【0032】
なお、上記の実施の形態では、ケーブル滑走設備を公園や遊園地などの娯楽用乗物を例に説明したが、山岳部や傾斜地などの荷物の輸送用のケーブル滑走設備のメッセンジャーラインLの延線に利用することもできる。
さらに、飛行体、速度制動用モータ、張力検出手段、連結解除手段の具体的な構成は上記実施の形態で説明したものに限定するものでなく、同一の機能をなすものであれば良いことは言うまでもない。