(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、実施形態における多方弁および弁装置について説明する。なお、以下の実施形態の説明において、同一の機能を有する部位、部材については同一の符号を付し、同一の符号が付された部位、部材についての繰り返しとなる説明は省略する。
【0018】
(方向の定義)
本明細書において、弁体4が第1弁座22に向かう方向を「+Z」方向と定義し、弁体4が第2弁座24に向かう方向を「−Z」方向と定義する。なお、本明細書において、+Z方向は、遠位方向と呼ばれることがあり、−Z方向は、近位方向と呼ばれることがある。
【0019】
(第1の実施形態)
図1および
図2を参照して、第1の実施形態における多方弁1Aについて説明する。
図1および
図2は、第1の実施形態における多方弁1Aの概略縦断面図である。
図3は、弁体4の近位面B4および弁体の遠位面B2について説明するための模式図である。なお、
図1は、弁体4が第1位置にある状態を示し、
図2は、弁体4が第2位置にある状態を示す。
【0020】
第1の実施形態における多方弁1Aは、三方弁である。多方弁1Aは、弁室SPを規定する筒状部材2と、第1弁座22と、第2弁座24と、弁体4と、筒状部材2の側部(換言すれば、側壁25)に接続された第1パイプ90とを具備する。
【0021】
筒状部材2は、側壁25と、第1端部20aと、第2端部20bとを有し、全体として筒形状(より具体的には、円筒形状)を有する。また、筒状部材2の第1端部20aには、第1開口21aが形成され、筒状部材2の第2端部20bには、第2開口21bが形成されている。なお、
図1に記載の例では、筒状部材2が、筒形状を有する第1部材2−1と、リング形状を有する第2部材2−2とによって構成され、第1部材2−1と第2部材2−2とが互いに固着されている。代替的に、筒状部材2は、1個の部材によって構成されてもよいし、3個以上の部材の組み合わせによって構成されてもよい。筒状部材2の材質は、例えば、ステンレス鋼等の金属である。
【0022】
第1弁座22は、筒状部材2の第1端部20aに配置される。第1弁座22と弁体4とが接触するとき、第1開口21aは、弁体4によって閉塞される。この時、弁室SPの内部と、弁室SPの外部とは、第2開口21bを介して連通する。よって、第1パイプ90から導入された流体は、弁室SPを通って、第2開口21bから放出される。代替的に、第2開口21bから導入された流体が、弁室SPを通って、第1パイプ90に供給されてもよい。
【0023】
第2弁座24は、筒状部材2の第2端部20bに配置される。第2弁座24と弁体4とが接触するとき、第2開口21bは、弁体4によって閉塞される。この時、弁室SPの内部と、弁室SPの外部とは、第1開口21aを介して連通する。よって、第1パイプ90から導入された流体は、弁室SPを通って、第1開口21aから放出される。代替的に、第1開口21aから導入された流体が、弁室SPを通って、第1パイプ90に供給されてもよい。
【0024】
弁室SPは、筒状部材2内の空間であって、第1弁座22よりも近位方向に位置し、かつ、第2弁座24よりも遠位方向に位置する空間である。
図1に記載の例では、弁室SPと、第1パイプ90内の流路とは、常時連通している。
【0025】
弁体4は、筒状部材2内(換言すれば、弁室SP内)に配置され、弁室SP内を移動可能である。より具体的には、弁体4は、第1弁座22に接触する第1位置と、第2弁座24に接触する第2位置との間で移動可能である。弁体4の移動は、例えば、弁体4に接続された駆動シャフト5に力を付与することにより行われる。
【0026】
弁体4は、第1弁座22に接触可能な第1面42と、第2弁座24に接触可能な第2面44とを備える。なお、弁体4のうち弁座(22、24)に接触する部分の材質は、例えば、樹脂である。
【0027】
図3を参照して、第1面42は、第1弁座22に接触可能な面(すなわち、接触面B1)を意味する。遠位面B2は、弁体4の遠位側に位置する面である。遠位面B2は、弁体4の遠位側に位置する面であって、接触面B1によって囲まれた面を意味していてもよい。
図3に記載の例では、遠位面B2は、略円形状を有する。
【0028】
第2面44は、第2弁座24に接触可能な面(すなわち、接触面B3)を意味する。近位面B4は、弁体4の近位側に位置する面である。近位面B4は、弁体4の近位側に位置する面であって、接触面B3によって囲まれた面を意味していてもよい。
図3に記載の例では、近位面B4は、略リング形状を有する。
【0029】
第1の実施形態では、弁体4が第1位置(
図1に示される位置)にあるとき、近位面B4は、第1パイプ90の中心軸AXよりも第1弁座22側に退避した位置にある。換言すれば、弁体4が第1位置にあるとき、近位面B4と第1弁座22との間の距離L1は、第1パイプ90の中心軸AXと第1弁座22との間の距離L2よりも短い。このため、第1パイプ90から導入される流体の主流(流路の中心を通り、流速の最も速い部分)が、弁体4に衝突することが抑制される。その結果、第1パイプ90から第2開口21bに向かう流体の圧力損失を小さくすることが可能である。
【0030】
また、第1の実施形態では、弁体4が第2位置(
図2に示される位置)にあるとき、遠位面B2は、第1パイプ90の中心軸AXよりも第2弁座24側に退避した位置にある。換言すれば、弁体4が第2位置にあるとき、遠位面B2と第2弁座24との間の距離L3は、第1パイプ90の中心軸AXと第2弁座24との間の距離L4よりも短い。このため、第1パイプ90から導入される流体の主流(流路の中心を通り、流速の最も速い部分)が、弁体4に衝突することが抑制される。その結果、第1パイプ90から第1開口21aに向かう流体の圧力損失を小さくすることが可能である。
【0031】
なお、流体の圧力損失をより小さくするとの観点からは、流路の中心を通る流れに加えて、流路の中心付近を流れる流れも弁体4に衝突しないようにすることが好ましい。この観点から、第1パイプ90の出口断面を、駆動シャフト5に垂直な第1仮想面V1と、第2仮想面V2とによって、3等分する(断面積を3等分する)。そして、3等分された出口断面のうちの中央の断面を通って弁室SP内に導入される流体が、弁体4に衝突しないようにすると、流体の圧力損失がより一層低減される。よって、弁体4が第1位置(
図1に示される位置)にあるとき、近位面B4は、第1仮想面V1よりも第1弁座22側に退避した位置にあることが好ましい。また、弁体4が第2位置(
図2に示される位置)にあるとき、遠位面B2は、第2仮想面V2よりも第2弁座24側に退避した位置にあることが好ましい。なお、第1仮想面V1は、第2仮想面V2よりも、第1弁座22に近い仮想面である。
【0032】
(駆動シャフトの支持)
第1の実施形態において、多方弁1Aは、弁体4を駆動する駆動シャフト5を備え、弁体4は、駆動シャフト5の第1端部5aに接続され、かつ、駆動シャフト5は、弁体4の遠位面B2よりも近位側のみで支持されてもよい(構成例1)。
【0033】
図1に記載の例では、駆動シャフト5の第2端部5bが、支持部材3によって支持されている。支持部材3は、シリンダ内を移動するピストンであってもよいし、他の部材であってもよい。
【0034】
構成例1では、駆動シャフト5が弁体4の遠位面B2よりも近位側のみで支持されている。このため、
図2に示される状態において、弁室SPを流れる流体が、駆動シャフト5と干渉することがない。その結果、流体の圧力損失が低減される。また、駆動シャフト5が弁体4の遠位面B2よりも近位側のみで支持される場合には、駆動シャフト5が弁体4の両側で支持される場合と比較して、部品点数の削減および重量の低減が可能である。
【0035】
(第2の実施形態)
図4乃至
図6を参照して、第2の実施形態における多方弁1Bについて説明する。
図4および
図5は、第2の実施形態における多方弁1Bの概略縦断面図である。
図6は、パイロット電磁弁8について説明するための模式図である。なお、
図4は、弁体4が第1位置にある状態を示し、
図5は、弁体4が第2位置にある状態を示す。
【0036】
第2の実施形態における多方弁1Bの筒状部材2、第1弁座22、第2弁座24、弁体4、第1パイプ90、および、駆動シャフト5は、第1の実施形態における多方弁1Aの筒状部材2、第1弁座22、第2弁座24、弁体4、第1パイプ90、および、駆動シャフト5と同様である。よって、第2の実施形態では、筒状部材2、第1弁座22、第2弁座24、弁体4、第1パイプ90、および、駆動シャフト5以外の構成を中心に説明し、筒状部材2、第1弁座22、第2弁座24、弁体4、第1パイプ90、および、駆動シャフト5についての繰り返しとなる説明は省略する。
【0037】
第2の実施形態における多方弁1Bは、駆動シャフト5の第2端部5bに接続されたピストン50と、当該ピストンを摺動自在に案内するシリンダ52とを備える。
図4に記載の例では、ピストン50およびピストン50に装着されたシール部材としてのOリング51が、駆動シャフト5の第2端部5bを支持する支持部材3として機能する。
【0038】
図4に記載の例では、シリンダ52のシリンダ室Cに高圧流体を導入することにより、ピストン50を+Z方向に移動させることが可能である。そして、ピストン50が+Z方向に移動すると、ピストン50に連結された駆動シャフト5、および、駆動シャフト5に連結された弁体4が+Z方向に移動する。こうして、弁体4を第1弁座22に着座させることができる。他方、シリンダ室C内の圧力を下げると、スプリング60の力によって、ピストン50が、−Z方向に移動する。そして、ピストン50が−Z方向に移動すると、ピストン50に連結された駆動シャフト5、および、駆動シャフト5に連結された弁体4が−Z方向に移動する。こうして、弁体4を第2弁座24に着座させることができる。
【0039】
(ガイド部)
第2の実施形態において、多方弁1Bは、駆動シャフト5を摺動自在にガイドするガイド部6を備える。第2の実施形態では、スプリング受け62が、ガイド部6として機能する(換言すれば、スプリング受け62が、ガイド部6を含む)。
【0040】
図4に記載の例では、スプリング受け62は、シリンダ52の遠位側に配置される。そして、スプリング受け62とピストン50との間にスプリング60が配置される。スプリング60は、圧縮ばねであり、ピストン50を近位方向(−Z方向)に向けて付勢する。多方弁1Bが、スプリング60を含まない場合、ピストン50の遠位面に作用する流体圧とピストン50の近位面に作用する流体圧との差圧のみによってピストンを駆動する必要がある。これに対し、多方弁1Bが、スプリング60を含む場合には、流体圧の差圧を厳密に制御することなく、ピストン50および弁体4をホームポジション(−Z方向側の位置)に戻すことが可能である。その結果、流体圧の制御アルゴリズムが簡素化され、かつ、シリンダ室C内の圧力を低減させる機構が簡素化される。
【0041】
加えて、スプリング受け62は、金属製(より具体的には、例えば、真鍮)であり、駆動シャフト5を摺動自在にガイドするガイド部6としても機能する。
図4に記載の例では、スプリング受け62の遠位端部62aが、ガイド部6であり、駆動シャフト5と接触する。駆動シャフト5の近位端部(第2端部5b)をピストン50等の支持部材3によって支持させ、かつ、駆動シャフト5の中間部分を、スプリング受け62によって支持させているため、駆動シャフト5の長手中心軸を筒状部材2の長手中心軸に一致させる(駆動シャフト5の心出しをする)ことができる。その結果、弁体4を弁座(22、24)に対して確実に着座させることができる。
【0042】
すなわち、第2の実施形態でのスプリング受け62は、スプリング60を支持する機能と、駆動シャフト5をガイドする機能という2つの異なる機能を有する。
【0043】
上述のように、第2の実施形態では、スプリング受け62が、駆動シャフト5をガイドする機能を有するため、駆動シャフト5をガイドする専用のガイド部材を設ける必要がない。このため、多方弁1Bの部品点数が削減される。
【0044】
図4に記載の例では、スプリング受け62の近位端部62bは、フランジ部を備え、当該フランジ部が、蓋部材95の内向きフランジによって支持されている。しかし、スプリング受け62の支持機構は、
図4に記載の例に限定されず任意である。
【0045】
(マニホールド)
第2の実施形態において、多方弁1Bは、第1パイプ90、第2パイプ91、第3パイプ92が連結されたマニホールド9を備えていてもよい。
図4に記載の例では、マニホールド9は、全体として、筒形状(より具体的には、円筒形状)を有する。
【0046】
筒状部材2とマニホールド9が別体として用意される場合の利点について説明する。マニホールド9に第1パイプ90、第2パイプ91、および、第3パイプ92を接続する場合(例えば、溶接等により接続する場合)、マニホールド9に作用する熱または応力によって、マニホールド9が変形する。このため、マニホールド9の内面に直接弁座を設けると、弁座がゆがむおそれがある。マニホールド9の壁厚を厚くすることも考えられるが、壁厚を厚くすると重量が増加する。そこで、
図4に記載の例では、高い寸法精度が要求される弁室SPおよび弁座(22、24)を、筒状部材2によって構成し、筒状部材2をマニホールド9に取り付けている。なお、筒状部材2のマニホールド9に対する取り付けは、ろう付けによる取り付けであってもよい。
図4に記載の例では、筒状部材2は、矢印Dで示される部分において、マニホールド9にろう付けされている。
【0047】
なお、
図4に記載の例では、筒状部材2は、第2パイプ91と第3パイプ92との間に配置されている。また、マニホールド9の第1端部(第1開口部)は、第1の蓋部材94によって閉塞され、マニホールド9の第2端部(第2開口部)は、第2の蓋部材95によって閉塞されている。マニホールド9が、2つの蓋部材(94、95)を備える場合には、弁体4、駆動シャフト5等によって構成される移動部材の一部を第1開口部から挿入し、移動部材の他の一部を第2開口部から挿入することが可能である。このため、マニホールド9内で、移動部材を組み立てる作業(例えば、弁体4と駆動シャフト5とを連結する作業)を容易に行うことができる。
【0048】
なお、第1の蓋部材94と筒状部材2との間には、遠位側の流体室Saが形成され、第2の蓋部材95と筒状部材2との間には、近位側の流体室Sbが形成されている。そして、流体室Saと第3パイプ92内の流路とは、常時連通し、流体室Sbと第2パイプ91内の流路とは、常時連通している。
【0049】
(パイロット電磁弁)
図4乃至
図6を参照して、パイロット電磁弁8の動作の一例について説明する。
図4に記載の例では、シリンダ室C内は、ピストン50の遠位側の領域よりも高圧である。この場合、シリンダ室Cには、配管82を介して高圧流体が供給される必要がある。例えば、
図6に記載の例では、パイロット電磁弁8の弁体80を移動させて、配管82と高圧配管84とを連通させることにより、配管82に高圧流体が供給される。
図5に記載の例では、シリンダ室C内は相対的に低圧である。この場合、シリンダ室Cから、配管82を介して、流体が排出される。例えば、
図6に記載の例では、パイロット電磁弁8の弁体80を移動させて、配管82と低圧配管86とを連通させることにより、配管82内の流体が低圧配管86に向けて誘導される。
【0050】
なお、パイロット電磁弁8の構成は、
図4乃至
図6に記載の例に限定されず任意である。第2の実施形態では、駆動シャフト5が、流体圧によって作動するアクチュエータ(ピストン)によって、駆動される例について説明された。代替的に、駆動シャフト5は、電動アクチュエータによって駆動されてもよい。この場合、上述の説明において、ピストンは、電動アクチュエータの出力部材(例えば、出力ロッド)に読み替えられる。
【0051】
第2の実施形態は、第1の実施形態と同様の効果を奏する。加えて、第2の実施形態では、スプリング受け62が、駆動シャフト5をガイドする機能を有する。このため、駆動シャフト5の心出しが効果的に行われる。
【0052】
なお、第2の実施形態では、多方弁1Bが三方弁である例について説明された。代替的に、多方弁1Bは、N方弁(Nは、4以上の整数)であってもよい。この場合、マニホールド9内に、2個以上の弁室SPを配置すればよい。
【0053】
(第3の実施形態)
図7および
図8を参照して、第3の実施形態における多方弁1Cについて説明する。
図7および
図8は、第3の実施形態における多方弁1Cの概略縦断面図である。なお、
図7は、弁体4が第1位置にある状態を示し、
図8は、弁体4が第2位置にある状態を示す。
【0054】
第3の実施形態における多方弁1Cと、第2の実施形態における多方弁1Bとは、ガイド部の具体的構成が異なる。その他の点では、第3の実施形態における多方弁1Cは、第2の実施形態における多方弁1Bと同様である。よって、第3の実施形態では、ガイド部6Cの具体的構成について説明し、その他の構成についての繰り返しとなる説明は省略する。
【0055】
第3の実施形態における多方弁1Cでは、筒状部材2の側壁25(より具体的には、側壁25の内面)が、弁体4を摺動自在にガイドするガイド部6Cとして機能する。換言すれば、筒状部材2の側壁25が、ガイド部6Cを含む。
【0056】
図7に記載の例では、弁体4は、弁体4の径外方向に向かって突出する突出部46を備える。そして、突出部46がガイド部6Cに接触し、突出部46がガイド部6Cに対して摺動する。突出部46の材質は、弁体4のうち弁座(22、24)に接触する部分(例えば、
図3における接触面B1および接触面B3を構成する部分)とは、異なる材質であってもよい。突出部46の材質は、例えば、真鍮であり、さらに、滑らかな表面に仕上げた硬質メッキ(摺動メッキ)を真鍮の表面に施してもよい。
【0057】
なお、
図7に記載の例では、突出部46は、弁体4のうち弁座に接触する樹脂部47が、弁体4から脱落しないように、樹脂部47を保持する機能を備えていてもよい。この場合、突出部46は、ガイド部6Cに接触して弁体4を心出しする機能と、弁体4のうち弁座に接触する部分(樹脂部47)を保持する機能という2つの異なる機能を有することとなる。
【0058】
なお、突出部46が、+Z方向または−Z方向に移動する際に、突出部46が、側壁25に設けられた孔部26のエッジ26aに引っ掛かるおそれがある。よって、突出部46の近位端部は、近位方向に向かうにつれて側壁25からの距離が増加するテーパ面あるいは曲面を有することが好ましい。同様に、突出部46の遠位端部は、遠位方向に向かうにつれて側壁25からの距離が増加するテーパ面あるいは曲面を有することが好ましい。
【0059】
第3の実施形態は、第1の実施形態と同様の効果を奏する。加えて、第3の実施形態では、筒状部材2が、弁体4を摺動自在にガイドするガイド部6Cとして機能する。このため、第3の実施形態では、部品点数を増加させることなく効果的に弁体4の心出しを行うことが可能である。
【0060】
また、
図7に記載の例では、駆動シャフト5に接続された弁体4がガイド部6Cによってガイドされ、かつ、駆動シャフト5に接続されたピストン50が、シリンダ52によってガイドされる。このため、駆動シャフト5の長手中心軸が、筒状部材2の長手中心軸からずれることがなく、ピストン50、駆動シャフト5、および、弁体4に、駆動シャフト5が傾くことに起因して発生する力が作用することがない。よって、ピストン50、駆動シャフト5、および、弁体4の故障リスクが低減される。また、第3の実施形態における多方弁1Cでは、スプリング60およびスプリング受け62の構成が省略されているため、第2の実施形態における多方弁1Bと比較して、重量が低減される。なお、第3の実施形態における多方弁1Cにおいて、付加的に、スプリング60およびスプリング受け62の構成が採用されてもよい。
【0061】
第3の実施形態では、多方弁1Cが三方弁である例について説明された。代替的に、多方弁1Cは、N方弁(Nは、4以上の整数)であってもよい。この場合、マニホールド9内に、2個以上の弁室SPを配置すればよい。
【0062】
(第4の実施形態)
図9を参照して、第4の実施形態における弁装置1Dについて説明する。
図9は、第4の実施形態における弁装置1Dの概略縦断面図である。
【0063】
第4の実施形態における弁装置1Dは、多方弁(より具体的には、三方弁)を2個組み合わせることによって形成された四方弁である。換言すれば、弁装置1Dは、多方弁1Bと、多方弁1B’とを含む。多方弁1Bは、第2の実施形態における多方弁1Bと同一である。このため、多方弁1Bについての繰り返しとなる説明は省略する。
【0064】
多方弁1B’は、第4パイプ97、および、第5パイプ98を備える点で、多方弁1Bとは異なる。その他の点では、多方弁1B’は、多方弁1Bと同様である。よって、第4パイプ97、および、第5パイプ98以外の構成についての繰り返しとなる説明は省略する。
【0065】
図9に記載の例において、第4パイプ97および第2パイプ91は、筒状部材2よりも近位側に配置され、マニホールド9に接続されている。そして、第4パイプ97内の流路は、第2パイプ91内の流路と、常時、連通している。また、第5パイプ98および第3パイプ92は、筒状部材2よりも遠位側に配置され、マニホールド9に接続されている。そして、第5パイプ98内の流路は、第3パイプ92内の流路と、常時、連通している。
【0066】
図9に記載の例では、多方弁1Bと、多方弁1B’とは、第2パイプ91を介して接続されている。換言すれば、多方弁1Bの第2パイプ91と、多方弁1B’の第2パイプ91とは同一の部材(共通の部材)である。また、多方弁1Bと、多方弁1B’とは、第3パイプ92を介して接続されている。換言すれば、多方弁1Bの第3パイプ92と、多方弁1B’の第3パイプ92とは同一の部材(共通の部材)である。
【0067】
図9に記載の例において、多方弁1Bの弁体4は、第1位置にあり、多方弁1B’の弁体4は、第2位置にある。このため、多方弁1Bの第1パイプ90内の流路と、多方弁1B’の第4パイプ97内の流路とが、連通している。換言すれば、多方弁1Bの第1パイプ90から導入された流体は、多方弁1B’の第4パイプ97に供給される(あるいは、多方弁1B’の第4パイプ97から導入された流体は、多方弁1Bの第1パイプ90に供給される)。また、多方弁1B’の第1パイプ90内の流路と、多方弁1B’の第5パイプ98内の流路とが、連通している。換言すれば、多方弁1B’の第1パイプ90から導入された流体は、多方弁1B’の第5パイプ98に供給される(あるいは、多方弁1B’の第5パイプ98から導入された流体は、多方弁1B’の第1パイプ90に供給される)。
【0068】
第4の実施形態は、第2の実施形態と同様の効果を奏する。加えて、第4の実施形態の弁装置1Dでは、多方弁(例えば、三方弁)を2個組み合わせることにより、容易に四方弁等を形成することが可能である。特に、
図9に記載の例では、多方弁1Bと多方弁1B’とは、多方弁1B’が第4パイプ97および第5パイプ98を備える点を除き、同一である。よって、多方弁1Bの部品と、多方弁1B’の部品とを互いに共通化することができる。その結果、四方弁等の製造コストが低減される。第4の実施形態における弁装置1D(四方弁等)は、空気調和器における流路切換弁等に使用することが可能である。
【0069】
(第5の実施形態)
図10を参照して、第5の実施形態における弁装置1Eについて説明する。
図10は、第5の実施形態における弁装置1Eの概略縦断面図である。
【0070】
第5の実施形態における弁装置1Eは、多方弁(より具体的には、三方弁)を2個組み合わせることによって形成された四方弁である。換言すれば、弁装置1Eは、多方弁1Cと、多方弁1C’とを含む。多方弁1Cは、第3の実施形態における多方弁1Cと同一である。このため、多方弁1Cについての繰り返しとなる説明は省略する。
【0071】
多方弁1C’は、第4パイプ97、および、第5パイプ98を備える点で、多方弁1Cとは異なる。その他の点では、多方弁1C’は、多方弁1Cと同様である。よって、第4パイプ97、および、第5パイプ98以外の構成についての繰り返しとなる説明は省略する。
【0072】
図10に記載の例において、第4パイプ97および第2パイプ91は、筒状部材2よりも近位側に配置され、マニホールド9に接続されている。そして、第4パイプ97内の流路は、第2パイプ91内の流路と、常時、連通している。また、第5パイプ98および第3パイプ92は、筒状部材2よりも遠位側に配置され、マニホールド9に接続されている。そして、第5パイプ98内の流路は、第3パイプ92内の流路と、常時、連通している。
【0073】
図10に記載の例では、多方弁1Cと、多方弁1C’とは、第2パイプ91を介して接続されている。換言すれば、多方弁1Cの第2パイプ91と、多方弁1C’の第2パイプ91とは同一の部材(共通の部材)である。また、多方弁1Cと、多方弁1C’とは、第3パイプ92を介して接続されている。換言すれば、多方弁1Cの第3パイプ92と、多方弁1C’の第3パイプ92とは同一の部材(共通の部材)である。
【0074】
第5の実施形態は、第3の実施形態と同様の効果を奏する。加えて、第5の実施形態の弁装置1Eでは、多方弁(より具体的には、三方弁)を2個組み合わせることにより、容易に四方弁等を形成することが可能である。特に、
図10に記載の例では、多方弁1Cと多方弁1C’とは、多方弁1C’が第4パイプ97および第5パイプ98を備える点を除き、同一である。よって、多方弁1Cの部品と、多方弁1C’の部品とを互いに共通化することができる。その結果、四方弁等の製造コストが低減される。第5の実施形態における弁装置1E(四方弁等)は、空気調和器における流路切換弁等に使用することが可能である。
【0075】
なお、第5の実施形態では、多方弁1Cと多方弁1C’とを組み合わせることにより、四方弁が形成されている。代替的に、多方弁1Cと多方弁1B’とを組み合わせることにより、四方弁が形成されてもよい(または、多方弁1Bと多方弁1C’とを組み合わせることにより、四方弁が形成されてもよい)。更に代替的に、多方弁(1A、1B、1C)を3個組み合わせることにより六方弁等が形成されてもよい。
【0076】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されない。本発明の範囲内において、上述の各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。