(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記したとおり、毛髪の乾燥を自動的に行えることが望ましいが、乾燥の度合いを調整することが、さらに望ましい。すなわち、毛髪を完全に乾燥させる場合の他、毛髪に僅かに湿気を保たせた状態に乾燥させる場合もあるため、この状態まで自動的に毛髪を乾燥させることが望ましい。
【0008】
本開示は、上記の実情に鑑みて提案されたものである。すなわち、自動的に、かつ、所望の度合いに毛髪を乾燥させることができる毛髪処理装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本開示に係る毛髪処理装置は、被施術者の毛髪に照射される赤外線を放射する赤外線放射部と、弧状に湾曲した形状であって、凹面側に配置された前記赤外線
放射部からの赤外線を毛髪に向けて反射させる反射部と、前記反射部の凸面側に配置されて前記反射部を冷却した風を、前記反射部の側方に配置された吹出し口から毛髪に向けて送風する送風部と、が備えられた長手の施術本体部と、前記施術本体部の一方の端部を支持して当該施術本体部を被施術者の頭部の近傍に配置させると共に被施術者の頭部の周囲を回転させる支持部と、を有し、前記赤外線
放射部と前記反射部の頂部とが、前記施術本体部の回転軸を通って長手方向に伸びる線から側方にずれて配置され、前記吹出し口が、前記線に対して前記赤外線
放射部と反対側に配置された、ことを特徴とする。また、毛髪処理装置は、前記反射部において、前記吹出し口と隣接した端部である一端部が、前記頂部に対して前記一端部と反対側の端部である他端部よりも短く形成され、前記吹出し口からの風が、前記反射部の正面寄りに向けられた、ことを特徴とする。なお、毛髪処理装置は、被施術者の毛髪に照射される赤外線を放射する赤外線放射部と、赤外線を毛髪に向けて反射させる反射部と、前記反射部を冷却した風を吹出し口から毛髪に向けて送風する送風部と、が備えられた施術本体部と、前記施術本体部を支持して被施術者の頭部の近傍に配置させる支持部と、を有する構成であってもよい。
【0010】
毛髪処理装置は、前記反射部が、弧状に湾曲した形状であり、凹面側に前記赤外線放射部が配置され、凸面側に前記送風部が配置され、前記送風部から送風された風が前記凸面に当たることで、前記反射部が冷却される構成であってもよい。
【0011】
毛髪処理装置は、前記吹出し口が前記反射部に隣接して備えられ、前記吹出し口に整流器を有する構成であってもよい。
【0012】
毛髪処理装置は、前記施術本体部が、開口部が形成された本体カバー部を有し、前記開口部に、前記凹面側が外側に向けられた前記反射部、および、前記吹出し口が備えられ、前記本体カバー部の内側に、前記送風部が備えられた構成であってもよい。
【0013】
毛髪処理装置は、前記施術本体部が、前記支持部に対して被施術者の頭部の周囲を回転する構成であってもよい。
【0014】
毛髪処理装置は、前記施術本体部が長手であり、この施術本体部の一方の端部が前記支持部に連結された構成であってもよい。
【0015】
毛髪処理装置は、前記反射部に、前記送風部から送風された風が通る通風孔が形成された構成であってもよい。
【0016】
毛髪処理装置は、前記送風部から送風された風が通る通風孔が、前記一方の端部における前記反射部に形成された構成であってもよい。
【0017】
毛髪処理装置は、回転した前記施術本体部が、停止する直前で減速する構成であってもよい。
【0018】
毛髪処理装置は、前記施術本体部の回転中心から、この回転中心から最も離れた端部までの前記施術本体部の全長の向きが、横向きとなる位置で停止する直前で減速する構成であってもよい。
【発明の効果】
【0019】
本開示に係る毛髪処理装置は、自動的に、かつ、所望の度合いに毛髪を乾燥させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
毛髪処理装置は、被施術者の毛髪に照射される赤外線を放射する赤外線放射部と、赤外線を毛髪に向けて反射させる反射部と、反射部を冷却した風を吹出し口から毛髪に向けて送風する送風部とが備えられた施術本体部と、この施術本体部を支持して被施術者の頭部の近傍に配置させる支持部とを有している。すなわち、被施術者の毛髪は、赤外線による熱と送風とで乾かされる。その際、赤外線が、反射部によって反射することによって、毛髪に対して間接的に照射され、また、風が、熱源である赤外線放射部を冷却しつつ送風される。そのため、温度と風量とを調節することで、毛髪処理装置は、所望の度合いに毛髪を乾燥させることができる。また、毛髪処理装置は、施術本体部が支持部によって被施術者の頭部の近傍に配置されるため、施術者に頼らず、自動的に毛髪を乾燥させることができる。
【0022】
毛髪処理装置は、反射部が、弧状に湾曲した形状であり、凹面側に赤外線放射部が配置され、凸面側に送風部が配置され、送風部から送風された風が、凸面に当たることで、反射部が冷却される。すなわち、赤外線は、反射部の凹面で反射することによって、毛髪に向けられ、また、風が、凸面に当たることで冷却される。そのため、熱と風とで適度な温度に調節することができる。
【0023】
毛髪処理装置は、吹出し口が反射部に隣接して備えられ、吹出し口に整流器を有している。この構成によって、整流された風が、強く直線的に放出する。そのため、強く直線的な風は、頭髪の表面だけでなく、密集した頭髪をかき分けて、内部の毛髪に届く。そのため、毛髪処理装置は、毛髪をふわりと、かつ、斑なく乾燥させることができる。
【0024】
毛髪処理装置は、施術本体部が、開口部が形成された本体カバー部を有し、開口部に、凹面側が外側に向けられた反射部、および、吹出し口が備えられ、本体カバー部の内側に、送風部が備えられている。この構成によって、反射部で反射した赤外線と、カバー部の内側で反射部を冷却した風とが、共通の排出口である開口部を通って放出される。そのため、毛髪処理装置は、赤外線と風とを別々に一か所から毛髪に向けて放出することができる。
【0025】
毛髪処理装置は、施術本体部が、支持部に対して被施術者の頭部の周囲を回転する。そのため、毛髪処理装置は、頭髪の全体を斑なく乾燥させることができる。
【0026】
毛髪処理装置は、施術本体部が長手であり、この施術本体部の一方の端部が支持部に連結されている。そのため、毛髪処理装置は、長髪を斑なく乾燥させることができる。
【0027】
毛髪処理装置は、反射部に、送風部から送風された風が通る通風孔が形成されている。すなわち、通風孔を風が通過することによって、反射部が冷却される。そのため、毛髪処理装置は、高温による反射部の変形を抑止することができる。
【0028】
毛髪処理装置は、送風部から送風された風が通る通風孔が、一方の端部における反射部に形成されている。毛髪は、分け目がある頭頂部と比較して、後頭部の方に密集しており、このことは、特に長髪の場合に顕著である。そのため、頭髪の全体を斑なく乾燥させる場合、頭頂部と比較して、後頭部や長髪を乾燥させる時間の方が長い。すなわち、施術本体部は、回転中心から下側で半円形の軌道を往復することが多い。この場合、施術本体部は、一方の端部が上、他方の端部が下に配置されることが多いため、反射部は上方側が高温となり、また、反射部の凸面側の空気も、上方側が高温となる。しかし、比較的に高温となる上方側に、通風孔が形成されたことで、反射部の上方側の近傍の温度が下がり、上方側と下方側とで温度が均される。そのため、毛髪処理装置は、反射部、および、反射部の周辺部の熱変形を抑止することができる。
【0029】
毛髪処理装置は、回転した施術本体部が、停止する直前で減速する。この構成により、施術本体部がゆっくりと停止する。そのため、施術本体部の滑らかな動作が実現し、高級な雰囲気が実現する。なお、仮に、減速せずに施術本体部が急停止した場合、停止した際の衝撃が毛髪処理装置全体に伝わって、毛髪処理装置が振動する場合がある。
【0030】
毛髪処理装置は、施術本体部の回転中心から、この回転中心から最も離れた端部までの施術本体部の全長の向きが、横向きとなる位置で停止する直前で減速する。施術の手法によっては、被施術者の顔の横の毛髪(いわゆるサイドやフェイスライン)を、完全に乾燥させる場合や、適度に濡れた状態にする場合がある。前者の場合、サイドやフェイスラインに熱と風が当たる位置として、施術本体部を横向きとなる位置に配置させる。その際、停止する直前で施術本体部を減速させることによって、施術本体部の滑らかな動作が実現し、高級な雰囲気が実現する。
【0031】
以下は、本開示の第一実施形態に係る毛髪処理装置の説明である。
図1A,B,C、
図2A,Bおよび
図3A,Bは、毛髪処理装置1の外観が示されている。以下の説明では、設置面に対して垂直な方向である鉛直方向が、上下方向であり、被施術者(図示省略)に向けられる側が正面方向であり、その反対側が背面方向である。
【0032】
図1A,B,C、
図2A,Bおよび
図3A,Bに示されているとおり、毛髪処理装置1は、設置面に自立する支持部2と、この支持部2の上端部に連結されて支持された施術本体部15とを有している。
【0033】
支持部2は、上下方向に縦長であり、上方部が鈍角に折れ曲がって傾斜している。支持部2は、複数のキャスター3a〜dが取り付けられた支持脚部4と、この支持脚部4が下端部に接続された支持本体部8と、この支持本体部8の上端部に接続された支持連結部11とを有している。
【0034】
支持脚部4は、ほぼ水平方向に広がった“X”字状の水平脚部5の各先端にキャスター3a〜dが取り付けられ、水平脚部5の中心から垂直脚部6が上方に伸びている。水平脚部5は、中心の下部に、ペダル7が備えられている。
【0035】
支持本体部8は、上下方向に長手の筐体に、電源部(図示省略)、制御部(図示省略)、ピストンシリンダー(図示省略)などが内蔵されている。ピストンシリンダーは、例えばガス式、油圧式などであり、支持脚部4のペダル7と連結されている。筐体は、正面側に電源スイッチ9が備えられ、背面側の上端部に、操作部10が形成されている。
【0036】
支持連結部11は、上下方向に長手の垂直連結部12と、この垂直連結部12の上端部から、斜め上方かつ前方に向けて伸びた傾斜連結部13と、この傾斜連結部13の先端部に取り付けられた連結本体部14とを有している。連結本体部14は、筐体に例えばギアモーター(図示省略)が内蔵されている。支持連結部11は、支持脚部4のペダル7が操作されることによって、支持本体部8のピストンシリンダーが稼働し、支持本体部8に対して上昇する。支持連結部11は、任意の高さで止められる。
【0037】
施術本体部15は、上下方向に長手のほぼ直方体であり、一方の端部である上端部に連結腕部16を有している。連結腕部16は、連結本体部14に連結され、支持連結部11のギアモーターに接続されている。すなわち、施術本体部15は、ギアモーターを介して、連結本体部14に対して回転する。施術本体部15の回転軸Xは、垂直方向に対して傾斜し、垂直方向の軸と回転軸Xとは鈍角である。なお、施術本体部15の長さは、任意である。例えば、施術本体部15は、上端部が被施術者の頭頂部の近傍に配置され、回転軸X上に頭部が配置された場合に、施術本体部15の他方の端部である下端部が、後頭部、首、肩、背中の近傍に配置される程度の長さである。
【0038】
以下は、施術本体部15についての詳細な説明である。
図4は、施術本体部15の外観が示され、
図5は、施術本体部15の一部が拡大されて示され、
図6は、施術本体部15の断面が示されている。
【0039】
図4、
図5および
図6に示されているとおり、施術本体部15は、正面側に開口部18が形成された本体カバー部17と、この本体カバー部17の内側に収容された送風部20と、開口部18に取り付けられた赤外線放射部21、反射部22および吹出し口26と、この吹出し口26の近傍に配置されて風向きを制御する風向板27と、開口部18を覆う格子状のガードカバー28とを有している。
【0040】
本体カバー部17は、上下方向に長手のほぼ直方体であり、側面に吸気孔19が形成されている(
図3A参照)。開口部18も、本体カバー部17の長手方向に沿って上下方向に長手である。ガードカバー28は、開口部18の長さに対応して上下方向に長手である。
【0041】
反射部22および吹出し口26は、開口部18におけるガードカバー28よりも内側において、互いに隣接して取り付けられている。反射部22は、開口部18の長さに対応して上下方向に長手であり、断面が、放物線状に弧状に湾曲した形状である。反射部22の凹面23は、施術本体部15の外側に向けられ、凸面24は、施術本体部15の内側に向けられている。反射部22は、施術本体部15の上端部側であって、反射部22において中心よりも吹出し口26に近い側の近傍に、通風孔25が形成されている。なお、通風孔25の形状および数は任意である。吹出し口26は、開口部18の長さに対応して上下方向に長手であり、例えば、ハニカム構造などによる整流器を有している。風向板27は、開口部18の長さに対応して上下方向に長手であり、吹出し口26に対して反射部22と反対側に取り付けられている。
【0042】
赤外線放射部21は、棒状のカーボンヒーターであり、開口部18の長さに対応して上下方向に長手である。赤外線放射部21は、反射部22の凹面23側における中心に配置されている。赤外線の放射方向は、凹面23側である。
【0043】
送風部20は、例えばクロスフローファンであり、開口部18の長さに対応して上下方向に長手である。送風部20は、反射部22の凸面24側において、本体カバー部17の内側に配置されている。なお、羽の形状や数は任意である。
【0044】
以上のとおり、毛髪処理装置1が構成されている。以下は、毛髪処理装置1の動作の説明である。
【0045】
例えば、
図1Aにおいて、毛髪処理装置1は、被施術者の背面に設置され、連結腕部16が被施術者の頭部の近傍に配置される。回転軸X上に頭部が配置され、施術本体部15が被施術者の後頭部の近傍に配置される。その際、施術本体部15は、支持脚部4のペダル7が操作されることによって、支持本体部8のピストンシリンダーが稼働し、支持本体部8に対して支持連結部11と共に昇降する。電源スイッチ9が入れられると、
図6において、赤外線放射部21から赤外線が放射される。赤外線は、反射部22の凹面23に向けられているため、凹面23で毛髪に向けて反射する。同時に、送風部20が稼働すると、吸気孔19から吸気され(流路29a)、風が反射部22の凸面24に送られる(流路29b)。風の一部は、反射部22の通風孔25から放出され(流路29c)、また、凸面24に当たることで反射部22を冷却する(流路29d)。凸面24に当たった風は、反射部22の熱で僅かに加温され、風向板27に当たって吹出し口26から放出される(流路29e)。毛髪は、反射部22で反射した赤外線によって乾燥し、同時に、風が当たることで乾燥する。
【0046】
また、
図3Bに示されているとおり、施術本体部15は、支持本体部8の操作部10で選択された動作モードに従って、支持部2に対して被施術者の頭部の周囲を回転する。例えば、施術本体部15のうち、回転中心から最も離れた下端部が、鉛直方向における下端に配置された状態(
図1B参照)の回転角を0度とした場合、施術本体部15は360度回転することができる。
【0047】
以下は、施術本体部15が回転する様子の説明である。
図7は、施術本体部15が回転する様子が模式的に示されている。
【0048】
施術本体部15は、予め設定されたプログラムに基づいて動作する。例えば、
図7に示されているとおり、右回りをプラスとした場合、施術本体部15は、プログラムに基づいて、回転角が90度の位置、180度の位置などで停止し、また、0度を中心として、回転中心から、この回転中心から最も離れた下端部までの施術本体部15の全長の向きが、横向きとなる位置であるプラス90度および90度前後の位置と、マイナス90度および90度前後の位置とを往復する。また、施術本体部15は、例えば、90度、180度、270度、360度、450度、540度などの位置で停止し、停止した位置から逆向きに同じ回転角の位置で停止し、往復運動を繰り返す。なお、プログラムは任意であるため、施術本体部15が停止する回転角も任意である。また、施術本体部15は、回転運動や往復運動をせずに、任意の回転角の位置で停止することもできる。
【0049】
停止した施術本体部15は、加速しながら回転し始め、一定の速度で回転する。また、回転した施術本体部15は、停止する直前で減速する。施術本体部15は、あらゆる回転角における位置で停止する際にも減速する。一方、例えば、施術本体部15は、プラス90度および90度前後の位置と、マイナス90度および90度前後の位置とにおいて、停止する直前で減速する。
【0050】
次に、毛髪処理装置1の効果を説明する。
【0051】
上記したとおり、毛髪処理装置1の施術本体部15は、正面側に開口部18が形成された本体カバー部17と、この本体カバー部17の内側に収容された送風部20と、開口部18に取り付けられた赤外線放射部21、反射部22および吹出し口26と、風向きを制御する風向板27とを有している(
図6参照)。赤外線放射部21から放射された赤外線は、反射部22の凹面23で毛髪に向けて反射する。同時に、風の一部は、反射部22の通風孔25から放出され、また、凸面24に当たることで反射部22を冷却する。風は、風向板27に当たって吹出し口26から放出される。すなわち、毛髪は、反射部22で反射した赤外線によって乾燥し、同時に、風が当たることで乾燥する。その際、赤外線が、反射部22によって反射することによって、毛髪に対して間接的に照射され、また、風が、熱源である赤外線放射部21を冷却しつつ送風される。そのため、温度と風量とを調節することで、毛髪処理装置1は、所望の度合いに毛髪を乾燥させることができる。
【0052】
また、毛髪処理装置1の施術本体部15は、自立した支持部2によって被施術者の頭部の近傍に配置されるため(
図3A参照)、施術者に頼らず、自動的に毛髪を乾燥させることができる。
【0053】
毛髪処理装置1における施術本体部15の吹出し口26は、ハニカム構造である。この構成によって、整流された風が、強く直線的に放出する。そのため、強く直線的な風は、頭髪の表面だけでなく、密集した頭髪をかき分けて、内部の毛髪に届く。そのため、毛髪処理装置1は、毛髪をふわりと、かつ、斑なく乾燥させることができる。
【0054】
毛髪処理装置1の施術本体部15は、支持連結部11のギアモーターを介して、連結本体部14に対して、被施術者の頭部の周囲を回転する。そのため、毛髪処理装置1は、頭髪の全体を斑なく乾燥させることができる。
【0055】
毛髪処理装置1の施術本体部15は、上下方向に長手であり、この施術本体部15の上端部の連結腕部16が、支持部2の連結本体部14に連結されている(
図3A参照)。そのため、毛髪処理装置1は、長髪を斑なく乾燥させることができる。
【0056】
毛髪処理装置1の反射部22は、回転軸Xに近い施術本体部15の上端部側であって、反射部22において中心よりも、吹出し口26に近い側の近傍に、通風孔25が形成されている(
図4および
図5参照)。毛髪は、分け目がある頭頂部と比較して、後頭部の方に密集しており、このことは、特に長髪の場合に顕著である。そのため、頭髪の全体を斑なく乾燥させる場合、頭頂部と比較して、後頭部や長髪を乾燥させる時間の方が長い。すなわち、施術本体部15は、回転中心から下側で半円形の軌道を往復することが多く、この場合、施術本体部15は、上端部が上、下端部が下に配置されることになる。そこで、施術本体部15の上端部側に形成された通風孔25を、送風部20によって吸気された風の一部が通過することによって、反射部22が冷却されて温度が均一となる。そのため、毛髪処理装置1は、高温による反射部22の熱変形を抑止することができる。
【0057】
また、上記したとおり、施術本体部15は、回転中心から下側で半円形の軌道を往復することが多く、この場合、施術本体部15は、上端部が上、下端部が下に配置される。施術本体部15は長手であるため、この配置では、反射部22は上方側が高温となり、また、反射部22の凸面24側の空気も、上方側が高温となる。しかし、比較的に高温となる上方に、通風孔25が形成されたことで、反射部22の上方側の近傍の温度が下がり、上方側と下方側とで温度が均される。そのため、毛髪処理装置1は、施術本体部15の上端部側に熱がこもることが抑止され、反射部22、本体カバー部17、開口部18などの熱変形を抑止することができる。
【0058】
また、施術の手法によっては、いわゆるサイド、フェイスラインの毛髪を、完全に乾燥させる場合や、適度に濡れた状態にする場合がある。前者の場合、サイドやフェイスラインの毛髪に熱と風が当たる位置に、施術本体部15を配置させる必要がある。すなわち、施術本体部15の全長の向きが横向きとなる位置であり、例えば、プラス90度および90度前後の位置、および、マイナス90度および90度前後の位置である。そこで、この間を往復する施術本体部15が、プラス90度および90度前後の位置と、マイナス90度および90度前後の位置とにおいて停止する直前で減速することによって、施術本体部15はゆっくりと停止する。そのため、施術本体部15の滑らかな動作が実現し、高級な雰囲気が実現する。
【0060】
第二実施形態に係る毛髪処理装置(図示省略)は、支持部が、例えば、理美容施設の天井に取り付けられ、施術本体部が天井から吊り下げられている。第三実施形態に係る毛髪処理装置(図示省略)は、支持部が、例えば、理美容施設の壁や棚などに着脱される。第四実施形態に係る毛髪処理装置(図示省略)は、施術本体部の上下方向の長さが、例えば第一実施形態に係る毛髪処理装置1の半分程度である。第五実施形態に係る毛髪処理装置(図示省略)は、通風孔が、反射部における任意の位置に形成されている。なお、第二実施形態、第三実施形態、第四実施形態および第五実施形態に係る毛髪処理装置の他の構成は、第一実施形態に係る毛髪処理装置1と同一である。
【0061】
以下は、他の毛髪処理装置(図示省略)の説明である。他の毛髪処理装置は、施術本体部の構成が、第一実施形態に係る毛髪処理装置と異なる。以下は、主に、第一実施形態に係る毛髪処理装置と異なる構成の説明であり、第一実施形態に係る毛髪処理装置や、各実施形態に係る毛髪処理装置と同様の構成は説明が省略されている。
【0062】
他の第一の毛髪処理装置における施術本体部は、反射部の断面が、放物線状に弧状に湾曲した形状ではなく、任意である。すなわち、例えば、反射部は、二枚の反射板が対面し、断面が“V”字状であり、または、三枚以上の反射板が、90度以上の角度で対面して連結されている。反射部は、施術本体部の上端部側の任意の位置に、通風孔が形成されている。すなわち、例えば、通風孔の位置は、反射部における中心、中心よりも吹出し口に近い側、中心よりも吹出し口から遠い側などのいずれか、または、すべてに配置されている。換言すれば、通風孔の位置は、反射部の上端部側であれば任意である。
【0063】
他の第二の毛髪処理装置における施術本体部は、上下方向に長手であり、上端部の連結腕部が、支持部の連結本体部に連結されている。なお、赤外線放射部、送風部および反射部の形状や配置は、任意である。風や熱で毛髪を乾燥させる毛髪処理手段が備えられた仕様であれば、他の第二の毛髪処理装置は、送風部のみから構成され、または、赤外線放射部のみから構成されたものも含まれる。また、吹出し口は、ハニカム構造に限定されない。
【0064】
以上、本開示の実施形態を詳述したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではない。そして本開示は、特許請求の範囲に記載された事項を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことが可能である。