特許第6883899号(P6883899)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6883899血液凝固検査試薬、および血液凝固検査方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6883899
(24)【登録日】2021年5月13日
(45)【発行日】2021年6月9日
(54)【発明の名称】血液凝固検査試薬、および血液凝固検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/86 20060101AFI20210531BHJP
   C07K 14/745 20060101ALN20210531BHJP
【FI】
   G01N33/86
   !C07K14/745
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2020-202843(P2020-202843)
(22)【出願日】2020年12月7日
【審査請求日】2021年2月10日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520475827
【氏名又は名称】株式会社血栓トランスレーショナルリサーチラボ
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(72)【発明者】
【氏名】神窪 勇一
【審査官】 三木 隆
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/050926(WO,A1)
【文献】 特表2019−521324(JP,A)
【文献】 特表2011−526691(JP,A)
【文献】 特開2021−21737(JP,A)
【文献】 特開2017−186340(JP,A)
【文献】 特表2017−523411(JP,A)
【文献】 特表2017−501409(JP,A)
【文献】 特表2017−500027(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0321218(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0376634(US,A1)
【文献】 Kenichi Ogiwara,A modified thrombin generation assay to evaluate the plasma coagulation potential in the presence of emicizumab, the bispecific antibody to factors IXa/X,International Journal of Hematology,2020年 8月 3日,Vol.112 No.5,Page.621-630
【文献】 Yuichi Kamikubo,Selective factor VIII activation by the tissue factor-factor VIIa-factor Xa complex,BLOOD,2017年10月 5日,Vol.130 No.14,Page.1661-1670
【文献】 von dem Borne P A,Feedback Activation of Factor XI by Thrombin in Plasma Results in Additional Formation of Thrombin That Protects Fibrin Clots From Fibrinolysis,Blood,1995年10月15日,Vol.86 No.8,Page.3035-3042
【文献】 Grigoris T. Gerotziafas,Optimisation of the assays for the measurement of clotting factor activity in the presence of rivaroxaban,Thrombosis Research,2012年,Vol.129 No.1,Page.101-103
【文献】 Luuk J. J. Scheres,Measurement of coagulation factors during rivaroxaban and apixaban treatment: Results from two crossover trials,Res Pract Thromb Haemost,2018年10月,Vol.2 No.4,Page.689-695
【文献】 抗血栓薬のオーダーメイド治療を可能にする新たな体外血液検査法の開発,URL,https://www.smrj.go.jp/incubation/kdri/companylist/report/favgos0000002lwf-att/kdri_trl.pdf
【文献】 森下英理子,抗凝固薬の最近の話題,臨床血液,2018年,Vol.59 No.6,Page.774-783
【文献】 綾部健吾,静脈血栓予防における血液凝固第XI因子阻害の可能性,Current Therapy,2019年 3月 1日,Vol.37 No.3,Page.60-63
【文献】 藤森祐多,直接型Xa阻害薬が凝固因子活性測定に与える影響,臨床病理,2015年10月20日,Vol.63 補冊,Page.261
【文献】 Anetta Undas,Active tissue factor and activated factor XI in patients with acute ischemic cerebrovascular events,European Journal of Clinical Investigation,2012年 2月,Vol.42 No.2,Page.123-129
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/86
C07K 14/745
C12Q 1/56
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性型の血液凝固第XI因子(FXIa)と、組織因子(tissue factor, TF)と、を含む血液凝固検査試薬。
【請求項2】
前記血液凝固第XI因子を、0.5pM〜1,000pM、
前記組織因子を、1fM〜1,000fM含み、
前記血液凝固第XI因子と、前記組織因子との比率(血液凝固第XI因子/組織因子)が、30〜10,000である、請求項1記載の血液凝固検査試薬。
【請求項3】
血液凝固活性の低下によって引き起こされる出血性の疾患に関する指標を検査するためのものである、請求項1または2に記載の血液凝固検査試薬
【請求項4】
被験検体である生体試料と、0.5pM〜1,000pMの活性型の血液凝固第XI因子と、1fM〜1,000fMの組織因子とを含む検査試薬と、を反応させることで形成するトロンビンの量を測定する工程を有する血液凝固検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液凝固検査試薬に関する。また、血液凝固検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
血栓は、血液が血管内から血管外へ流失するのを防ぐ(止血)重要な生体防御機能を果たしている。血栓は、血液凝固因子の一つであるトロンビンが、繊維性の血液凝固因子であるフィブリノーゲンをフィブリンに変換するとともに血小板を活性化して形成する。
【0003】
トロンビンは、酵素活性をもつ血液凝固因子が関与する血液凝固カスケード反応によって形成するが、そのカスケード反応は主に二つの異なる反応相から成り立っている。一つは、微量のトロンビンを形成するための開始相であり、他方は大量のトロンビンを形成する(トロンビンバーストと呼ばれる)ために必要な増幅相である(図1)。開始相で生成した微量のトロンビンがフィードバックによって次のトロンビン増幅相を引き起こすと考えられている。
【0004】
トロンビン開始相において、活性型の血液凝固第VII因子(FVIIa)が組織因子(tissue factor、TF)と複合体を形成して血液凝固第X因子(FX)を活性化し、活性型のFX(FXa)を作り出す。生成したFXaは活性型の血液凝固第V因子(FVa)に結合してプロトロンビナーゼ複合体を形成し、最終的にその複合体がプロトロンビンを活性化して、トロンビンを産生する。しかしこのトロンビン産生は、FVIIa−TFに対する特異的な阻害因子である組織因子経路インヒビター(tissue factor pathway inhibitor (TFPI))によって制御されている。
【0005】
TFPIによる制御を回避して増幅相の開始に必要なトロンビンを形成するためには、活性型の血液凝固第IX(FIXa)と、活性型の血液凝固第VIII(FVIIIa)によるFXの活性化が重要である。その反応に必要なFIXaは、FVIIa−TF複合体がFIXを活性化することで生じる。一方、FVIIIaに関してはその活性化機構が長い間不明であった。
【0006】
しかし最近の研究から、FVIIa−TFによって形成したFXaがFVIIa−TFに結合した状態、つまりFXa−FVIIa−TFの三量体が、FVIIIを活性化することが明らかとなった(非特許文献1)。
【0007】
血栓症は、トロンビンが血管内で過剰に形成することで血栓が血管を完全に塞ぎ血流を遮断する疾患である。今日、血栓症は心筋梗塞や脳梗塞などに代表されるように最も深刻な疾患の一つであり、実際に世界中で年間約1,500万人が血栓症によって死亡している(世界保健機構統計データ2016年)。その数は急速な高齢化の進展に伴い、さらに増加すると予想されている。
【0008】
血栓症は主に、血液凝固反応を抑制することで過剰なトロンビン形成を防止する抗凝固薬によって治療される。近年、FXaをターゲットにしてトロンビン形成を阻害する直接経口抗凝固薬(Direct Oral Anticoagulants:DOACs)が開発され、脳梗塞患者などを対象にして広く使用されるようになった。従来のワーファリンやヘパリンを用いた治療の場合には、出血や血栓症の再発などの副作用の出現を最小限にするために、投薬後に薬の効果を血液凝固検査によってモニタリングし、得られる検査結果をもとに投与量を最適化してきた。
【0009】
実際にワーファリン治療の場合にはプロトロンビン時間検査(PT−INR)、ヘパリン治療においては活性化部分トロンボプラスチン時間検査(APTT)が用いられている。一方DOACsの場合は、当初、投薬後の薬の血液中の半減期が短くコントロールしやすいこと、また副作用の少ない安全な薬と考えられていたことから、モニタリング検査は行われていなかった。
【0010】
しかし、DOACsを服用する患者が増加するに伴い、高齢者や腎機能の低下した患者を中心にして投薬後に過剰な出血を引き起こす例が多数報告されるようになった。こうした出血は患者の生活の質を低下させ、最悪死に至らしめるだけでなく、医療経済上も大きな費用負担となる。出血リスクを低減させたより安全なDOACs治療の開発が喫緊の課題となっている。
【0011】
抗血栓療法等に関するものとして、例えば、特許文献1は、血液試料中で生成されたトロンビン(TG)を測定するための高感度で迅速なアッセイであって、前記血液試料を組織因子(TF)、FIXa、およびCaCl2と共に5分間までインキュベーションすること;ならびにH−D−シクロヘキシル−アルギニル−アラニル−アルギニル−アミドメチルクマリン(AMC)および/またはブチルオキシカルボニル−バリル−プロリニル−アルギニル−AMC(V−P−R−AMC)を使用することによって、前記血液試料中のTGを測定することを含むアッセイ等を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特表2019−521324号公報
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Blood. 130(14):1661−1670, 2017
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
現在の治療ガイドラインにおいては、同じ血栓症の患者は同一量のDOACsで治療される。従って、薬に対する患者の感受性や反応性の違いは考慮されない。出血した患者においては、薬が効きすぎて血液凝固活性が著しく低下し、止血機能を失った可能性が考えられる。
【0015】
このように、DOACsを用いた治療においても薬の効果をモニタリングし、患者毎に薬の使用量を適正化する個別化治療が望まれている。しかし現状では、プロトロンビン(PT−INR)や活性化部分トロンボプラスチン時間検査(APTT)などの従来の血液凝固検査は、その検出感度が低く、DOACsの効果を正確に評価できないことから、未だその実現には至っていない。係る状況下、本発明者らは、様々な出血性疾患の治療を行うにあたって、出血のリスクの正確な判定や評価に適した高感度の血液凝固検査法を鋭意検討した。
【0016】
本発明は、新たな血液凝固検査試薬や血液凝固検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、下記の発明が上記目的に合致することを見出し、本発明に至った。すなわち、本発明は、以下の発明に係るものである。
【0018】
<1> 活性型の血液凝固第XI因子(FXIa)と、組織因子(tissue factor, TF)と、を含む血液凝固検査試薬。
<2> 前記血液凝固第XI因子を、0.5pM〜1,000pM、前記組織因子を、1fM〜1,000fM含み、前記血液凝固第XI因子と、前記組織因子との比率(血液凝固第XI因子/組織因子)が、30〜10,000である、前記<1>記載の血液凝固検査試薬。
<3> 血液凝固活性の低下によって引き起こされる出血性の疾患に関する指標を検査するためのものである、前記<1>または<2>に記載の血液凝固検査試薬
<4> 被験検体である生体試料と、0.5pM〜1,000pMの活性型の血液凝固第XI因子と、1fM〜1,000fMの組織因子とを含む検査試薬と、を反応させることで形成するトロンビンの量を測定する工程を有する、血液凝固検査方法。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、血液凝固を検査することができる。本発明は、DOACs等による出血のリスクの正確な判定や評価にも適している。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】血液凝固カスケード反応機構を示す図である。
図2】コントロール血漿に添加したDOACsのトロンビン形成抑制作用を示す図である。
図3】患者由来の血漿に添加したapixabanのトロンビン形成抑制作用を示す図である。
図4】Apixaban服用後の血漿中のトロンビン形成の経時変化を示す図である。
図5】Apixaban服用後ピーク時に採血して得た血漿中の血液凝固パラメーターと出血イベントとの関連を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を変更しない限り、以下の内容に限定されない。なお、本明細書において「〜」という表現を用いる場合、その前後の数値を含む表現として用いる。
【0022】
[本発明の血液凝固検査試薬]
本発明の血液凝固検査試薬は、活性型の血液凝固第XI因子(FXIa)と、組織因子(tissue factor, TF)と、を含む。本発明の血液凝固検査試薬を、以下、単に、本発明の検査試薬と呼ぶ。
【0023】
[本発明の血液凝固検査方法]
本発明の血液凝固検査方法は、被験検体である生体試料と、0.5pM〜1,000pMの活性型の血液凝固第XI因子と、1fM〜1,000fMの組織因子とを含む検査試薬と、を反応させることで形成するトロンビンの量を測定する工程を有する。このトロンビンの形成量から、被験検体や、反応条件における血液凝固を検査することができる。本発明の血液凝固検査方法を、以下、単に、本発明の検査方法と呼ぶ。
【0024】
なお、本願において本発明の検査試薬を用いて本発明の検査方法を行うこともでき、本願においてそれぞれに対応する構成は相互に利用することができる。
【0025】
本願は、血液凝固開始因子である組織因子と、活性型の血液凝固第XI因子を主たる成分として含有する血液凝固検査試薬に関する。また、その検査試薬を用いて行う体外での血液凝固検査方法に関するものである。
【0026】
図1は、血液凝固カスケード反応機構を示す図である。血液凝固のカスケード反応は、微量のトロンビンを形成するための開始相と大量のトロンビンを形成するために必要な増幅相から構成される。TF−FVIIaによって生成したFXaを介して産生したトロンビンがフィードバックによってFXIを活性化することで、トロンビン形成が増幅される。
【0027】
本発明者らは、FXa−FVIIa−TFの三量体が、FVIIIを活性化することに着目した。これを考察すると、FIXa−FVIIIaの作用を介して形成するFXaが増幅相を惹起するためのトロンビンを形成すると考えられる。開始相で生成したトロンビンは、フィードバックによって血液凝固第XI因子(FXI)を活性化して活性型のFXIaを形成させる。形成したFXIaは、FIXを活性型のFIXaに変換することでFIXaの形成量を高める。この事がFIXa−FVIIIaによるFXaの形成をさらに促進させ、最終的にトロンビン形成を増幅させる。このことに着目して、検討等をおこなった結果、TFとFXIaを主たる成分として含有する血液凝固検査試薬とその検査薬を用いて行うトロンビン形成試験を創出した。本発明は係る知見に基づく。
【0028】
本発明の検査試薬や本発明の検査方法は、活性型の血液凝固第IX因子(FIXa)を用いる場合よりも、高感度な検査ができる。このため、使用する試薬量も、少量で行うことができる。活性型の血液凝固第XI因子や組織因子は、生体由来等で大量製造が難しいことから、少量でも試験ができる本発明は有用である。また、繰り返し試験なども行いやすいため、試験回数の増加にも適している。
【0029】
また、血栓症を防ぐためにFIXaを低下させる治療法や、FIXが欠落している血友病Bなどのように、FIXaによる検査が適さないような場合も、本発明による検査は可能であり、本発明は、血液凝固の検査手法の多様化にも貢献する。
【0030】
本発明の検査試薬や本発明の検査方法は、血液凝固反応機構にFXIaを有している哺乳類を対象とすることができる。例えば、ヒトの血液凝固を検査することができる。また、例えば、サルや、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、ウマ、ラット、マウス、モルモットなどを対象とすることができる。また、哺乳類の愛玩動物や、家畜動物、実験動物などを対象とすることができる。
【0031】
本発明の検査試薬や本発明の検査方法は、活性型の血液凝固第XI因子や、組織因子などを用いる。これらは、検査の対象とする生物と同種の生物由来のものを用いてもよいし、その生物への検査に転用可能な他の生物由来のものを用いてもよい。また、活性型の血液凝固第XI因子と同一性または相同性が90%以上や95%以上、98%以上などの、活性型の血液凝固第XI因子の機能を有する遺伝子組み換え等により製造したものを用いてもよい。また、組織因子と同一性や相同性が90%以上や95%以上、98%以上などの、活性型の血液凝固第XI因子の機能を有する遺伝子組み換え等により製造したものを用いてもよい。
【0032】
[活性型の血液凝固第XI因子(FXIa)]
本発明の検査試薬は、活性型の血液凝固第XI因子(FXIa)を含む。本願において、活性型の血液凝固第XI因子は、単に「FXIa」と記載する場合がある。
【0033】
本発明の検査試薬は、FXIaの濃度が、0.5pM〜1,000pMであることが好ましい。なお、本願において、濃度の説明にあたって、Mは、mol/Lの濃度の略として記載する場合がある。また、mMは、m(10-3)・mol/Lの略である。また、μMは、μ(10-9)・mol/Lの略である。また、pMは、p(10-12)・mol/Lの略である。また、fMは、f(10-15)・mol/Lの略である。
【0034】
検査試薬のFXIaが、0.1pM未満の場合、血液凝固試験時に、十分な反応が生じずに、トロンビンの量を測定しようとするとき検出下限以下となり、評価ができない場合がある。検査試薬のFXIaが、1,000pMを超えても、試験に必要な量を超えて反応が飽和し、過剰となる場合がある。
【0035】
検査試薬のFXIaの下限は、0.5pM以上が好ましく、1pM以上がより好ましい。検査試薬の濃度が高いほど、トロンビン形成のために必要な量として適した量となり、安定した検査ができる。
【0036】
検査試薬のFXIaの上限は、500pM以下が好ましく、200pM以下がより好ましく、100pM以下がさらに好ましい。検査に必要な量であれば足ることから、検査条件に合わせて使用すればよく、過剰な原料を使用しなくともよい。
【0037】
[組織因子(TF)]
本発明の検査試薬は、組織因子(tissue factor, TF)を含む。本願において、組織因子は、単に「TF」と記載する場合がある。
【0038】
検査試薬のTFが、1fM未満の場合、血液凝固試験時に、十分な反応が生じずに、トロンビンの量を測定しようとするとき検出下限以下となり、評価ができない場合がある。検査試薬のTFが、1,000fMを超えても、試験に必要な量を超えて反応が飽和し、過剰となる場合がある。
【0039】
検査試薬のTFの下限は、2fM以上が好ましく、3fM以上がより好ましい。検査試薬の濃度が高いほど、トロンビン形成のために必要な量として適した量となり、安定した検査ができる。
【0040】
検査試薬のTFの上限は、500fM以下が好ましく、200fM以下がより好ましく、100fM以下がさらに好ましい。検査に必要な量であれば足ることから、検査条件に合わせて使用すればよく、過剰な原料を使用しなくともよい。
【0041】
[血液凝固第XI因子/組織因子(FXIa/TF)
本発明の検査試薬は、血液凝固第XI因子と、組織因子との比率(血液凝固第XI因子/組織因子)が、30〜10,000であることが好ましい。「血液凝固第XI因子/組織因子の比」を、単に、「FXIa/TF」と記載する場合がある。FXIa/TFは、検査試薬におけるモル濃度比である。FXIa/TFが、上記範囲内のとき、検査に必要な量成分が適した量となり、安定して検査ができる。FXIa/TFは、60〜5,000であることがより好ましく、150〜2,000であることがさらに好ましい。
【0042】
本発明の検査試薬は、FXIaやTF以外の成分を含むものとすることができる。検査試薬は、通常、水を主たる成分とする場で反応させる検査に用いられる。このため検査試薬の媒質は水を主たる成分とすることができる。また、FXIaやTFなどのタンパク質等の吸着阻害剤や保護剤、pH調整剤、ミネラル調整剤等を含むものとすることができる。例えば、血清アルブミンや、緩衝液、合成リン脂質、塩化カルシウムなどを含むものとすることができる。
【0043】
本発明の検査試薬を用いて本発明の検査方法を行うことができる。本発明の検査試薬を、生体試料に反応させることで形成するトロンビンの量を測定することで血液凝固の検査を行うことができる。トロンビン量が少ない場合、血液凝固が生じにくく、トロンビン量が多い場合、血液凝固が生じやすいことが確認できる。これらの試験を行うとき、他の試験対象を併存させることで、その試験対象を併用したときの血液凝固の程度を試験管内(in vitro)で評価することができる。
【0044】
本発明の検査方法は、生体試料と、検査試薬とを反応させる工程を有する。この反応により形成するトロンビンの量を測定することで、血液凝固の検査ができる。
【0045】
この検査は、血液凝固活性の低下によって引き起こされる様々な出血性の疾患の指標の検査に用いることができる。生体試料は、被験検体である血液、血漿、あるいは尿などを対象とすることができる。
【0046】
本発明の検査方法を行うとき、検査試薬は、0.5pMから1,000pMの濃度範囲の活性型の血液凝固第XI因子(FXIa)と、1fMから1,000fMの濃度範囲の組織因子(tissue factor, TF)と、を含むものを用いることができる。
【0047】
この工程は、生体試料と、トロンビン形成開始試薬としての検査試薬とを混合して、一定時間、静置や振蕩することで、反応させる。また、被験検体には、生体試料や検査試薬のほかにも、検査対象や、反応条件の管理等に用いられる成分や試薬等を含むものを用いてもよい。
【0048】
反応時の温度は、これらのタンパク質等による反応が生じる25〜45℃程度とすることができ、好ましくは30〜40℃、さらに好ましくは35〜40℃であり、37〜38℃とすることが特に好ましい。反応時間は1分〜30分程度とすることができ、1〜15分や、2〜5分程度とすることができる。反応を停止させるときは、各種反応停止薬を混合して停止させることができる。例えば、反応停止薬としては、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)などがあげられる。
【0049】
反応させることで、その生体試料の性質や、反応条件に応じたトロンビンが形成される。なお、これらの反応にあたっては、特許文献1(特表2019−52134号公報)を参照して、そのアッセイに準じて、活性型の血液凝固第IX因子(FIXa)に代えて、活性型の血液凝固第XI因子を用いることで、行うことができる。なお、FIXaよりも、FXIaのほうが反応性が高いため、FXIa濃度を、特許文献1のFIXa濃度に対する比(FIXa/FIXa)として、1/10〜1/100や、1/20〜1/50として行うことができる。
【0050】
本発明に係る血液凝固検査は、先天的あるいは後天的に起こる出血性の疾患(出血症)の予防と治療を支援することを目的として実施することができる。例えば、抗血栓薬を用いた血栓症(脳梗塞や心筋梗塞など)の治療において当該検査を実施することで、投薬による出血のリスクを評価、判定し、患者毎に薬の種類と量を適正化することで、過剰な出血を防いだ安全な治療を実現するために行う。
【0051】
また、血友病に代表される先天性の出血性疾患を持つ患者のスクリーニングやそれらの患者に対する治療薬の効果の判定などにも用いることができる。
【0052】
さらに、その検査がDOACsによって引き起こされる出血リスクの判定においても非常に有用である。トロンビン形成試験は、被験検体である血液や血漿にカルシウムを含むトロンビン形成試薬を添加した後、一定時間反応させることで形成するトロンビンを定量する血液凝固活性測定法である。
【0053】
この検査はプロトロンビナーゼ複合体がトロンビンを生成させることから、血液中のプロトロンビナーゼ複合体の活性量を測定する検査法である。これまでトロンビン形成試験に用いる検査試薬や検査法が検討されてきたが、DOACsによって引き起こされる出血リスクを評価、判定できる試験は開発されていない。
【0054】
本発明者らは、トロンビン形成試験に用いる検査試薬を改良することで、新たな性能を持つ画期的なトロンビン形成試験を発明した。当該のトロンビン形成試験は、DOACs治療において副作用を低減させたより安全な個別化治療の実現に貢献すると考える。
【実施例】
【0055】
以下に示した患者血漿検体を用いた臨床性能研究での実施例を通して、当該のトロンビン形成試験が、DOACs投薬によって引き起こされる出血のリスクの判定において有用である事を実証する。本発明は、その要旨を変更しない限り以下の実施例に限定されるものではない。
【0056】
[1]方法
1)臨床性能研究の対象患者と血漿検体の調製
臨床性能研究は北海道医療大学の倫理審査委員会の承認を得た後、非弁膜症性心房細動と診断され心原性脳塞栓症予防のためにDOAC療法を行なっている患者を対象として実施した。血液検体を採取する際には、担当医から患者に口頭及び文書による説明を行い、その上で同意書への署名を得て採取した。DOAC服用に関連して生じた出血は、International Society on Thrombosis and Haemostasis(国際血栓止血学会)及びROCKET AF出血基準に従って定義し、該当する患者を出血患者とみなした。
【0057】
試験に用いる血漿検体は、抗凝固剤であるクエン酸を用いて採血した血液を遠心分離する事によって調製した。なお血漿検体は試験開始まで−80℃において凍結保存し、試験直前に37℃で解凍して使用した。
【0058】
2)FIXa−FVIIIa依存的に形成するトロンビンの試験
以下の(1)〜(3)にて、FIXa−FVIIIa依存的に形成するトロンビンの試験を行った。
【0059】
(1) トロンビン形成試験に用いるトロンビン形成開始試薬の調製
トロンビン形成開始試薬は、以下のものを混合することで調整した。なお、適宜、0.5%ウシ血清アルブミン(富士フィルム和光純薬から購入)および0.15M塩化ナトリウム(富士フィルム和光純薬から購入)を含む、50mMトリス緩衝液(BSA/TBS、pH7.4)によって希釈した。
・ヒトTF(Dade Innovin、シスメックスから購入)溶液
・ヒトFXIa(フナコシから購入)溶液
・合成リン脂質(Haematexから購入)溶液
・塩化カルシウム(富士フィルム和光純薬から購入)溶液
【0060】
(2) トロンビン検出試薬の調製
トロンビン検出試薬は、トロンビン蛍光基質(Pefafluor TH:D−cyclohexylalanine−alanine−arginine−amido−methylcoumarin、DSM Nutritional Productsから購入)溶液とエチレンジアミン四酢酸(EDTA、東京化成から購入)溶液を混合して調製した。
代表的な実施例として、50μMトロンビン蛍光基質と10mM EDTAを用いた。
【0061】
(3) 試験方法
まず、被験の血漿検体を96ウエルのマイクロタイタープレート(サーモフィッシャーから購入)のウエルに分注した。最初の反応として、トロンビン形成開始試薬を血漿検体に添加して37℃で2.5分間インキューベーションし、トロンビンを形成させた。
【0062】
次に、形成したトロンビンを定量するために、反応停止試薬のEDTAを含むトロンビン検出試薬を血漿に添加して、37℃で1分間インキューベーションした。インキューベーションの間にトロンビンが、トロンビン蛍光基質を加水分解することによって蛍光を発するので、蛍光プレートリーダー(励起波長:355nm、蛍光波長:460nm)を用いてその蛍光強度を測定した。測定された蛍光強度は、トロンビン標準物(Technothrombin TGA calibrator、コスモバイオから購入)を用いて作成した標準曲線をもとに、トロンビン濃度へ変換した。なお、血漿中のトロンビン形成はコントロール血漿(Simens 血液凝固試験用コントロール血漿N、シスメックスから購入)に対する相対比(%)で表示した。
【0063】
3)血液凝固検査
血液凝固検査としてAPTTとPT−INRの検査法を用いて被験血漿検体の凝固活性を試験した。両方法とも血液凝固の開始試薬を血漿検体に添加して血漿が凝固する時間を測定することで凝固活性を調べる。血漿中のDOAC濃度は血漿にFXaを添加した後、FXa活性に対する阻害活性をもとに決定した。
【0064】
4)DOACを添加した血漿中のトロンビン形成:DOACスパイク試験
トロンビン形成に対するDOACsの抑制作用は、血漿にリバーロキサンバン(rivaroxaban)、アピキサバン(apixaban)、あるいはエドキサバン(edoxaban)を添加(スパイク)した被験検体を調製し、それらの血漿のトロンビン形成を調べる事で評価した。
【0065】
5)統計解析
2群間の有意差の検定は統計解析ソフトのGraphpad Prism 8(GraphPad Softwareから購入)を用いて行った。
【0066】
[2]結果
1)実施例1:コントロール血漿の血液凝固活性に対するDOACsの影響
コントロール血漿の血液凝固活性に対するDOACsの影響を調べる目的で、コントロール血漿に3種のDOACs(rivaroxaban、apixaban、edoxaban)をそれぞれ18.5ng/mL〜500ng/mLで添加し、トロンビン形成を調べた。
【0067】
トロンビンは、血漿に、TFを50fM、FXIaを1.6pM、合成リン脂質を20μM、さらに塩化カルシウムを6.8mM含む開始試薬を添加することで形成させた。血漿と開始試薬の混合比率は、35μLの血漿に10μLの開始試薬を加える方法、または、血漿をより希釈して検査する必要がある場合には、20μLの血漿に60μLの開始試薬を加える方法で行った。
なお、試験に用いたDOACsの濃度範囲は、患者が薬を服用した後、血漿中に検出されるDOAC濃度の範囲とほぼ同一である。
【0068】
3種のDOACsは添加濃度依存的にトロンビン形成を抑制し、特にrivaroxabanの抑制作用が最も強かった(図2)。これらの結果から、当該のトロンビン形成試験は、DOACsの血液凝固抑制作用を高感度に検出できる事が明らかとなった。
【0069】
図2は、コントロール血漿に添加したDOACsのトロンビン形成抑制作用を示す図である。コントロール血漿のトロンビン形成に対するDOACsの影響を調べる目的で、血漿に3種のDOACs(rivaroxaban、apixaban、edoxaban)を18.5ng/mL〜500ng/mLで添加しトロンビン形成を調べた。
【0070】
トロンビンは、血漿に、TFを50fM、FXIaを1.6pM、合成リン脂質を20μM、塩化カルシウムを6.8mM含む開始試薬を添加することで形成させた。
図中の値は二回の実験の平均値と標準偏差値を示している。
【0071】
2)実施例2:DOACのトロンビン形成抑制作用における個人差の検証
DOACのトロンビン形成抑制作用における個人差を明らかにするために、3名の患者(ID#:001,002,003)から得た血漿に125、250、500ng/mLになるようにapixabanを添加して、血漿のトロンビン形成に対するapixabanの抑制作用を調べた。
【0072】
トロンビンは、TFを150fM、FXIaを12.5pM、合成リン脂質を20μM、さらに塩化カルシウムを16mM含む開始試薬を添加することで形成させた。
【0073】
患者血漿はapixabanを服用する前に採血し、血液を遠心分離して調製した。apixabanの添加は、患者血漿のトロンビン形成を濃度依存的に抑制したが、その抑制作用には個人差が見られた。実際に、患者#001と#002のトロンビン形成は、apixabanの添加によってコントロール血漿の5%以下に低下したが、患者#003では25%は保持されていた(図3)。この事はDOACに対する患者の感受性、反応性には個人差が存在することを示唆している。
【0074】
図3は、患者由来の血漿に添加したapixabanのトロンビン形成抑制作用を示す図である。患者血漿のトロンビン形成に対するDOACの抑制作用を調べる目的で、血漿にapixabanを125、250、500ng/mLで添加し、トロンビン形成を調べた。患者血漿は3名の患者(ID#:001、002、003)からapixabanを服用する前に採血し、血液を遠心分離して調製した。
【0075】
トロンビンは、血漿に、TFを150fM、FXIaを12.5pM、合成リン脂質を20μM、塩化カルシウムを16mMから成る開始試薬を添加することで形成させた。
【0076】
3)実施例3:血漿中のトロンビン形成のapixaban服用後の経時変化
10mgのapixabanを服用した2人の患者(ID#:004と005)において、服用開始直後から経時的に採血して血漿中のapixaban濃度、トロンビン形成、APTT及びPT−INRによる血液凝固活性の経時変化を調べた。その結果、apixaban濃度は開始後2時間から4時間でピークに達し、その後血液中からのクリアランスによって濃度が低下した(図4のパネルAとC)。
【0077】
トロンビン形成は、患者#004(パネルA)と#005(パネルC)においてapixaban濃度の上昇に伴い低下し、2時間から4時間後に最も低い値を示した。一方、APTT及びPT−INRによって測定した血液凝固活性は、apixaban服用後もほとんど変化しなかった(図4のパネルBとD)。これらの結果は、当該のトロンビン形成試験が従来の凝固検査に比較して、より高感度にapixabanの抗凝固作用を評価できることを示していた。
【0078】
図4は、Apixaban服用後の血漿中のトロンビン形成の経時変化を示す図である。10mgのapixabanを服用した2名の患者(ID#:004と005)において、服用開始直後から経時的に採血して血漿中のapixaban濃度、トロンビン形成、APTT及びPT−INRによる血液凝固活性の経時変化を調べた。トロンビン形成を開始させる混合試薬は図3と同じ試薬を用いた。
A.患者#004からの血漿のapixaban濃度とトロンビン形成の測定値。
B.患者#004からの血漿のAPTT及びPT−INRで測定した血液凝固活性値。
C.患者#005からの血漿のapixaban濃度とトロンビン形成の測定値。
D.患者#005からの血漿のAPTT及びPT−INRで測定した血液凝固活性値。
【0079】
4)実施例4:apixabanの服用後ピーク時に採血して得た血漿中のトロンビン形成と出血イベントとの関連
トロンビン形成と出血イベントとの関連を調べるために、apixabanを服用した患者を出血した患者群(検体数:6)と非出血患者群(検体数:83)に分けて、本発明による検査試薬を用いて血漿中のトロンビン形成を比較した。トロンビン形成を開始させる混合試薬は図3と同じ試薬を用いた。加えて、特表2019−521324号公報に記載の混合開始薬(TFを150fM、FIXaを100pM、合成リン脂質を20μM、塩化カルシウムを16mM)を用いて血漿中のトロンビン形成を比較した。その他、血漿中のapixaban濃度、APTT及びPT−INRで測定した凝固活性値についても同様に比較した。血漿検体はapixabanを服用後1時間から4時間の間(ピーク時)に採血して調製した。
【0080】
本発明によって得られた検査結果において、出血した患者群から調製した血漿中のトロンビン形成は非出血群に比べて有意に低かった(図5のパネルA。Mann−Whitney統計解析によりp<0.05)。対照的に、特表2019−521324号公報に記載のTFとFIXaを用いたトロンビン形成結果(図5のパネルB)、apixaban濃度(図5のパネルC)、APTT(図5のパネルD)及びPT−INR(図5のパネルE)による凝固活性値は、両群間に有意な差は見られなかった。以上の結果は、当該のトロンビン形成試験のみがapixabanの服用によって引き起こされる出血のリスクを判定できることを示していた。
【0081】
図5は、Apixaban服用後ピーク時に採血して得た血漿中の血液凝固パラメーターと出血イベントとの関連を示す図である。Apixabanを服用した患者を出血した患者群(n=6)と非出血患者群(n=83)に分けて血漿中の血液凝固パラメーターを比較した。血漿検体はapixabanを服用後1時間から4時間の間(ピーク時)に採血して調製した。トロンビン形成を開始させる混合試薬は図3と同じ試薬を用いた。
A.本発明によるトロンビン形成値。
B.特表2019−521324号公報に記載のTFとFIXaを用いた検査によるトロンビン形成値
C.apixaban濃度。
D.APTTによる血液凝固活性値。
E.PT−INRによる血液凝固活性値。測定値は対数値に変換した後、中央値、最小値、最大値を示すBox&Whiskerでプロットした。2群間の差はMann−Whitney試験により判定し、p<0.05を有意とした。NS:not significant。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明の血液凝固検査試薬は、血液凝固の検査に利用することができる物であり、産業上の利用可能性を有する。また、本発明の血液凝固検査方法は、人間から採取したものを分析して各種データを収集する方法であり、医師が人間に対して行う医療行為ではなく、人間を手術、治療又は診断する方法に該当せず、産業上の利用可能性を有する。
【要約】
【課題】出血性疾患における接経口抗凝固薬(Direct Oral Anticoagulants:DOACs)などの出血のリスクを正確に判定、評価できる高感度の血液凝固検査試薬等を提供する。
【解決手段】活性型の血液凝固第XI因子(FXIa)と、組織因子(tissue factor, TF)と、を含む血液凝固検査試薬。被験検体である生体試料と、0.5pM〜1,000pMの活性型の血液凝固第XI因子と、1fM〜1,000fMの組織因子とを含む検査試薬と、を反応させることで形成するトロンビンの量を測定する工程を有する、血液凝固検査方法。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5