(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記シミュレーションプログラムはCAE(Computer Aided Engineering)プログラムである、請求項2に記載のロボットの安全性向上方法。
前記シミュレーションプログラムはCAE(Computer Aided Engineering)プログラムである、請求項10に記載のロボットの安全性向上方法。
前記シミュレーションプログラムはCAE(Computer Aided Engineering)プログラムである、請求項16に記載のロボットの安全性評価方法。
前記衝突圧力及び衝突力の大きさが前記最大衝突圧力及び最大衝突力の大きさ以上であると、前記被衝突体に加えられる衝突圧力及び衝突力が前記最大衝突圧力及び最大衝突力の大きさ未満になるように前記テストロボットの速度を制御する、請求項15に記載のロボットの安全性評価方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、テストロボットの形状を考慮して各部位別移動速度及び移動経路によって作業者に加えられる衝突圧力及び衝突力を算出し、算出された値が国際標準化機構(ISO)規格を満足するようにテストロボットの速度及び姿勢を制御するロボットの安全性向上方法を提供することにある。
【0011】
また、本発明の課題は、テストロボットの形状を考慮した各部位別移動速度及び移動経路によって作業者に加えられる衝突圧力及び衝突力を算出し、算出された値が国際標準化機構(ISO)規格内に該当するかどうかを判断し、安全性評価の正確度が向上したロボットの安全性評価方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を達成するための本発明に係るロボットの安全性向上方法は、テストロボットの3次元形状を獲得する段階と、テストロボットの移動時間及び移動経路を設定する段階と、一定時間ごとにロボットの安全性を評価する段階と、衝突圧力及び衝突力の大きさが既に設定された許容安全基準値内に該当するテストロボットの最大速度を算出する段階と、テストロボットの移動時間及び移動経路を再設定する段階とを含む。テストロボットの3次元形状を獲得する段階は、実際のロボットの形状情報を含むテストロボットの3次元映像又は3次元模型を獲得する。テストロボットの移動時間及び移動経路を設定する段階は、テストロボットの移動時間情報及び移動経路情報を含むプロファイル情報を入力し、テストロボットの移動時間及び移動経路を設定する。一定時間ごとにロボットの安全性を評価する段階は、テストロボットの傷害誘発危険部位に対する形状、有効質量、移動速度、及び方向を考慮して被衝突体に加えられる衝突圧力及び衝突力を一定時間ごとに獲得し、一定時間ごとに獲得した衝突圧力及び衝突力の大きさが既に設定された最大衝突圧力及び最大衝突力の大きさ内に該当するかどうかを判断し、ロボットの安全性を評価する。衝突圧力及び衝突力の大きさが既に設定された許容安全基準値内に該当するテストロボットの最大速度を算出する段階は、衝突圧力及び衝突力の大きさが既に設定された最大衝突圧力及び最大衝突力の大きさより大きいと、衝突圧力及び衝突力の大きさが最大衝突圧力及び最大衝突力の大きさを満足する最大速度を算出する。テストロボットの移動時間及び移動経路を再設定する段階は、テストロボットが算出された最大速度で動けるようにプロファイル情報を修正し、テストロボットの移動時間及び移動経路を再設定する。
【0013】
一実施形態によると、テストロボットは、シミュレーションプログラムにロボットの形状情報を入力して形成された3次元映像であるか、又は3次元計測センサを通じて形成された3次元模型である。ここで、シミュレーションプログラムは、CAE(Computer Aided Engineering)プログラムからなり得る。
【0014】
一実施形態によると、最大衝突圧力及び最大衝突力の大きさは、国際標準化機構(ISO)規格によって決定される。
【0015】
一実施形態によると、テストロボットは、少なくとも1自由度を有するマニピュレータに形成される。
【0016】
一実施形態によると、テストロボットは、ジョイントを介して連結された少なくとも2個のリンク部と、リンク部のうち一つに連結されたエンドエフェクタ(End−effector)とを含む。そして、傷害誘発危険部位は、リンク部及びエンドエフェクタから選ばれた一つ又は二つ以上である。
【0017】
一実施形態によると、ロボットの安全性を評価する段階は、テストロボットのジョイント角度を調節し、リンク部及びエンドエフェクタの姿勢を変化させる段階と、姿勢の変化に従って被衝突体に加えられる最小衝突圧力及び最小衝突力を一定時間ごとに獲得する段階と、最小衝突圧力及び最小衝突力に対応する角度でジョイント角度を一定時間ごとに変化させながらテストロボットを移動させる段階とをさらに含む。
【0018】
一実施形態によると、ロボットの安全性を評価する段階は、テストロボットの各部位別形状によって被衝突体に加えられる接触圧力を算出し、算出された接触圧力値を通じてテストロボットに対する少なくとも一つの傷害誘発危険部位を設定する段階をさらに含む。
【0019】
本発明に係るロボットの安全性向上方法は、テストマニピュレータの3次元形状を獲得する段階と、テストマニピュレータの移動時間及び移動経路を設定する段階と、マニピュレータの傷害誘発危険部位を設定する段階と、一定時間ごとにマニピュレータの安全性を評価する段階と、衝突圧力及び衝突力の大きさが既に設定された許容安全基準値内に該当するテストマニピュレータの最大速度を算出する段階と、テストマニピュレータの移動時間及び移動経路を再設定する段階とを含む。テストマニピュレータの3次元形状を獲得する段階は、実際のマニピュレータの形状情報を含み、少なくとも1自由度を有するテストマニピュレータの3次元映像又は3次元模型を獲得する。テストマニピュレータの移動時間及び移動経路を設定する段階は、テストマニピュレータの移動時間情報及び移動経路情報を含むプロファイル情報を入力し、テストマニピュレータの移動時間及び移動経路を設定する。テストマニピュレータの傷害誘発危険部位を設定する段階は、テストマニピュレータの各部位別形状によって被衝突体に加えられる接触圧力を算出し、算出された接触圧力値を通じてテストマニピュレータに対する少なくとも一つの傷害誘発危険部位を設定する。一定時間ごとにマニピュレータの安全性を評価する段階は、テストマニピュレータの傷害誘発危険部位に対する有効質量、移動速度、及び方向を考慮して被衝突体に加えられる衝突圧力及び衝突力を一定時間ごとに獲得し、衝突圧力及び衝突力の大きさが既に設定された最大衝突圧力及び最大衝突力の大きさ内に該当するかどうかを判断し、マニピュレータの安全性を評価する。衝突圧力及び衝突力の大きさが既に設定された許容安全基準値内に該当するテストマニピュレータの最大速度を算出する段階は、衝突圧力及び衝突力の大きさが既に設定された最大衝突圧力及び最大衝突力の大きさより大きいと、衝突圧力及び衝突力の大きさが最大衝突圧力及び最大衝突力の大きさ内に該当する移動方向別最大速度を算出する。テストマニピュレータの移動時間及び移動経路を再設定する段階は、テストマニピュレータが算出された最大速度で動けるようにプロファイル情報を修正し、テストマニピュレータの移動時間及び移動経路を再設定する。
【0020】
一実施形態によると、テストマニピュレータは、シミュレーションプログラムにマニピュレータの形状情報を入力して形成された3次元映像あるか、又は3次元計測センサを通じて形成された3次元模型である。ここで、シミュレーションプログラムは、CAE(Computer Aided Engineering)プログラムからなり得る。
【0021】
一実施形態によると、最大衝突圧力及び最大衝突力の大きさは、国際標準化機構(ISO)規格によって決定される。
【0022】
一実施形態によると、テストマニピュレータは、ジョイントを介して連結された少なくとも2個のリンク部と、リンク部のうち一つに連結されたエンドエフェクタとを含む。そして、傷害誘発危険部位は、リンク部及びエンドエフェクタから選ばれた一つ又は二つ以上である。
【0023】
一実施形態によると、マニピュレータの安全性を評価する段階は、テストマニピュレータのジョイント角度を調節し、リンク部及びエンドエフェクタの姿勢を変化させる段階と、姿勢の変化に従って被衝突体に加えられる最小衝突圧力及び最小衝突力を一定時間ごとに獲得する段階と、最小衝突圧力及び最小衝突力に対応する角度でジョイント角度を一定時間ごとに変化させながらテストマニピュレータを移動させる段階とをさらに含む。
【0024】
また、前記課題を達成するための本発明に係るロボットの安全性評価方法は、テストロボットの3次元形状を獲得する段階と、テストロボットの移動時間及び移動経路を設定する段階と、テストロボットによって被衝突体に加えられる衝突圧力及び衝突力を算出する段階と、ロボットの安全性を評価する段階とを含む。テストロボットの3次元形状を獲得する段階は、実際のロボットの形状情報を含むテストロボットの3次元映像又は3次元模型を獲得する。テストロボットの移動時間及び移動経路を設定する段階は、テストロボットの移動時間情報及び移動経路情報を含むプロファイル情報を入力し、テストロボットの移動時間及び移動経路を設定する。テストロボットによって被衝突体に加えられる衝突圧力及び衝突力を算出する段階は、テストロボットの傷害誘発危険部位に対する形状、有効質量、移動速度、及び方向を考慮して被衝突体に加えられる衝突圧力及び衝突力を算出する。ロボットの安全性を評価する段階は、算出された衝突圧力及び衝突力の大きさが既に設定された最大衝突圧力及び最大衝突力の大きさ内に該当するかどうかを判断し、ロボットの安全性を評価する。
【0025】
一実施形態によると、テストロボットは、シミュレーションプログラムにロボットの形状情報を入力して形成された3次元映像であるか、又は3次元計測センサを通じて形成された3次元模型である。そして、前記シミュレーションプログラムは、CAE(Computer Aided Engineering)プログラムからなり得る。
【0026】
一実施形態によると、衝突圧力及び衝突力の大きさが最大衝突圧力及び最大衝突力の大きさ以上であると、被衝突体に加えられる衝突圧力及び衝突力が最大衝突圧力及び最大衝突力の大きさ未満になるようにテストロボットの速度を制御する。
【0027】
一実施形態によると、最大衝突圧力及び最大衝突力の大きさは、国際標準化機構(ISO)規格によって決定される。
【0028】
一実施形態によると、テストロボットは、1自由度以上のマニピュレータに形成される。
【0029】
一実施形態によると、テストロボットは、ジョイントを介して連結された少なくとも2個のリンク部と、リンク部のうち一つに連結されたエンドエフェクタとを含む。そして、傷害誘発危険部位は、リンク部及びエンドエフェクタから選ばれた一つ又は二つ以上である。
【0030】
一実施形態によると、テストロボットによって被衝突体に加えられる衝突圧力及び衝突力を算出する段階は、テストロボットのジョイント角度を調節することによってリンク部及びエンドエフェクタの姿勢を変化させ、姿勢の変化に従ってテストロボットの傷害誘発危険部位によって被衝突体に加えられる衝突圧力及び衝突力を算出する段階をさらに含む。
【0031】
一実施形態によると、テストロボットによって被衝突体に加えられる衝突圧力及び衝突力を算出する段階は、テストロボットの各部位別面積によって被衝突体に加えられる接触圧力を算出し、算出された接触圧力値を通じてテストロボットに対する少なくとも一つの傷害誘発危険部位を設定する段階をさらに含む。
【0032】
一実施形態によると、テストロボットによって被衝突体に加えられる衝突圧力及び衝突力を算出する段階は、一定時間単位別に被衝突体に加えられる衝突圧力及び衝突力を算出する。
【0033】
本発明に係るロボットの安全性評価方法は、テストマニピュレータの3次元形状を獲得する段階と、テストマニピュレータの移動時間及び移動経路を設定する段階と、テストマニピュレータの傷害誘発危険部位を設定する段階と、テストマニピュレータによって被衝突体に加えられる衝突圧力及び衝突力を算出する段階と、マニピュレータの安全性を評価する段階とを含む。マニピュレータの3次元形状を獲得する段階は、実際のマニピュレータの形状情報を含み、少なくとも1自由度を有するテストマニピュレータの3次元映像又は3次元模型を獲得する。テストマニピュレータの移動時間及び移動経路を設定する段階は、テストマニピュレータの移動時間情報及び移動経路情報を含むプロファイル情報を入力し、テストマニピュレータの移動時間及び移動経路を設定する。テストマニピュレータの傷害誘発危険部位を設定する段階は、テストマニピュレータの各部位別形状によって被衝突体に加えられる接触圧力を算出し、算出された接触圧力値を通じてテストマニピュレータに対する少なくとも一つの傷害誘発危険部位を設定する。テストマニピュレータによって被衝突体に加えられる衝突圧力及び衝突力を算出する段階は、テストマニピュレータの傷害誘発危険部位に対する有効質量、移動速度、及び方向を考慮して被衝突体に加えられる衝突圧力及び衝突力を算出する。マニピュレータの安全性を評価する段階は、算出された衝突圧力及び衝突力の大きさが既に設定された最大衝突圧力及び最大衝突力の大きさ内に該当するかどうかを判断し、マニピュレータの安全性を評価する。
【0034】
一実施形態によると、マニピュレータによって被衝突体に加えられる衝突圧力及び衝突力を算出する段階は、一定時間単位別に被衝突体に加えられる衝突圧力及び衝突力を算出する。
【0035】
一実施形態によると、衝突圧力及び衝突力の大きさが最大衝突圧力及び最大衝突力の大きさ以上であると、被衝突体に加えられる衝突圧力及び衝突力が最大衝突圧力及び最大衝突力の大きさ未満になるようにマニピュレータの速度を制御する。
【0036】
一実施形態によると、最大衝突圧力及び最大衝突力の大きさは、国際標準化機構(ISO)規格によって決定される。
【0037】
一実施形態によると、テストマニピュレータは、ジョイントを介して連結された少なくとも2個のリンク部と、リンク部のうち一つに連結されたエンドエフェクタとを含む。そして、傷害誘発危険部位は、リンク部及びエンドエフェクタから選ばれた一つ又は二つ以上である。
【0038】
一実施形態によると、テストマニピュレータによって被衝突体に加えられる衝突圧力及び衝突力を算出する段階は、テストマニピュレータのジョイント角度を調節することによってリンク部及びエンドエフェクタの姿勢を変化させ、姿勢の変化に従ってテストマニピュレータの傷害誘発危険部位によって被衝突体に加えられる衝突圧力及び衝突力を算出する段階をさらに含む。
【発明の効果】
【0039】
本発明によると、衝突体と被衝突体との間の衝突圧力及び衝突力の大きさをシミュレーションを通じて獲得し、獲得した衝突圧力及び衝突力が国際標準化機構(ISO)の基準を満足するようにロボットの速度を調節したり、姿勢を変えることによって、作業者の安全を保障しながらも生産性を最大化できるようになる。
【0040】
このようなテストロボットは、実際のロボットと類似する形状及び駆動動作を有する3次元模型ロボット又は3次元映像ロボットに形成されるので、3次元形状を考慮してロボットの各部位別形状によって被衝突体に加えられる接触圧力を算出することによって傷害誘発危険部位を選択し、選択された傷害誘発危険部位で被衝突体に加えられる衝突圧力及び衝突力を算出するので、ロボットの形状に対応する衝突圧力及び衝突力を求めることができる。テストロボットの部位別形状によって被衝突体に加えられる接触圧力を算出し、この値を通じて傷害誘発危険部位を選択すると、テストロボットの衝突部位の形状に対応する衝突圧力及び衝突力を求めることができ、その正確度が向上する。
【0041】
また、被衝突体に加えられる衝撃圧力及び衝突力の大きさがテストロボットの安全性評価の基準を満足しない場合、衝突圧力及び衝突力の大きさが安全性評価基準を満足するようにロボットの速度を制御するので、ロボットの安全性を向上できるようになる。
【0042】
併せて、テストロボットの姿勢の変化に従って被衝突体に加えられる最小衝突圧力及び最小衝突力の大きさを求めて格納した後、これに基づいてテストロボットの姿勢を一定時間ごとに制御するので、テストロボットは、同じ移動速度で同じ移動経路に沿って移動したとしても被衝突体に最小限の衝撃が加えられる姿勢を具現できるようになる。
【0043】
また、本発明によると、テストロボットによって被衝突体に加えられる衝突圧力及び衝突力の大きさをCAE(Computer Aided Engineering)プログラムなどからなるコンピュータープログラムを用いてシミュレーションを通じて求めたり、計算アルゴリズムをテストロボットシステムに適用することによってリアルタイムで衝突圧力及び衝突力を算出することができ、テストロボットの安全性をリアルタイムで評価することができる。これによって、テストロボットに作用する衝突圧力、衝突力、移動速度などを求めるための別途の装置を備えなくてもよいので、低廉な費用で安全性評価を行えるようになる。
【0044】
また、テストロボットの各部位別形状によって被衝突体に加えられる接触圧力を算出することによって傷害誘発危険部位を選択し、選択された傷害誘発危険部位で被衝突体に加えられる衝突圧力及び衝突力を算出できるようになる。
【0045】
併せて、テストロボットの姿勢によって衝突圧力及び衝突力を求めることができ、被衝突体に最小限の衝撃が加えられる姿勢を具現できるようになる。よって、テストロボットが具現された姿勢を通じて移動すると、衝突圧力が最大圧力を超えない状態で最大の速度で移動できるようになる。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、添付の図面を参照して、好ましい実施形態に係るロボットの安全性向上方法及び安全性評価方法に対して詳細に説明する。ここで、同一の構成に対しては同一の符号を付し、繰り返される説明、発明の要旨を不明瞭にし得る公知機能及び構成に対する詳細な説明は省略する。発明の実施形態は、当業界で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。よって、図面における各要素の形状及び大きさなどは、より明確な説明のために誇張する場合がある。
【0048】
図1は、本発明の一実施形態に係るロボットの安全性向上方法に対するブロック図で、
図2は、
図1において、テストロボットの移動時間及び移動経路を設定する段階に対する詳細な過程を説明するためのブロック図である。そして、
図3は、実際のロボットと被衝突体が衝突する状態を概略的に示した図で、
図4は、
図3において、実際のロボットと衝突する被衝突体の表面変化を示した図である。そして、
図5は、
図1において、テストロボットの3次元形状を示した図である。
【0049】
図1〜
図5に示したように、ロボットの安全性向上方法(S100)は、テストロボットの3次元形状を獲得する段階(S110)と、テストロボットの移動時間及び移動経路を設定する段階(S120)と、一定時間ごとにロボットの安全性を評価する段階(S130)と、衝突圧力及び衝突力の大きさが既に設定された許容安全基準値内に該当するテストロボットの最大速度を算出する段階(S140)と、テストロボットの移動時間及び移動経路を再設定する段階(S150)とを含む。
【0050】
テストロボットの3次元形状を獲得する段階(S110)は、実際のロボットRの形状情報を含むテストロボット10の3次元映像又は3次元模型を獲得する。具体的に、テストロボット10は、シミュレーションプログラムにロボットRの形状情報を入力して形成された3次元映像からなるか、又は3次元計測センサを通じて形成された3次元模型からなり得る。すなわち、テストロボット10は、CAE(Computer Aided Engineering)プログラムなどのシミュレーションプログラムに実際のロボットRの形状情報を入力して形成された3次元映像からなるか、3次元計測センサを通じて具現され、実際のロボットRと同一に駆動及び制御される3次元模型からなり得る。
【0051】
3DモデリングされるロボットRの種類は限定されないが、一定の作業空間で共同に業務を処理する協働ロボットであり得る。このような協働ロボッは、先端にメカニカルハンド(mechanical hand)を備えることによって特定物体を把持及び移送したり、特定作業を行えるように形成されたマニピュレータ(Manipulator)に形成され得る。そして、テストロボット10は、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向、ピッチ方向、ヨー方向、及びロール方向のうち少なくとも一方向に移動可能な自由度を有するように形成され得る。すなわち、テストロボット10は、少なくとも1自由度を有するマニピュレータに形成され得る。
【0052】
具体的に、テストロボット10は、ジョイント11を介して連結された少なくとも2個のリンク部12と、リンク部12のうち一つに連結されたエンドエフェクタ13とを含むマニピュレータに形成され得る。ここで、エンドエフェクタは、テストロボット10が作業するときに作業対象に直接作用する機能を有する部分であって、例えば、マニピュレータのメカニカルハンドであり得る。
【0053】
テストロボットの移動時間及び移動経路を設定する段階(S120)は、テストロボット10の移動時間情報及び移動経路情報を含むプロファイル情報を入力し、テストロボット10の移動時間及び移動経路を設定する。例えば、テストロボット10が3次元映像である場合は、シミュレーションプログラムに移動時間情報及び移動経路情報を含むプロファイル情報を入力し、テストロボット10の移動時間及び移動経路を設定する。そして、テストロボット10が3次元模型である場合は、テストロボット10の制御システムに移動時間情報及び移動経路情報を含むプロファイル情報を入力し、テストロボット10の移動時間及び移動経路を設定する。ここで、シミュレーションプログラム及びロボットの制御システムを通じてテストロボット10の駆動を制御する方法は既に公知となった技術であるので、これに対する説明は省略する。
【0054】
一定時間ごとにロボットの安全性を評価する段階(S130)は、テストロボット10の傷害誘発危険部位に対する形状、有効質量、移動速度、及び方向を考慮して被衝突体20に加えられる衝突圧力(P)及び衝突力(force、F
C)を一定時間ごとに獲得し、一定時間ごとに獲得した衝突圧力及び衝突力の大きさが既に設定された最大衝突圧力(P
MAX)及び最大衝突力(F
MAX)の大きさ内に該当するかどうかを判断し、ロボットRの安全性を評価する。
【0055】
ここで、既に設定された最大衝突圧力(P
MAX)及び最大衝突力(F
MAX)の大きさは、国際標準化機構(ISO)規格による大きさからなり得る。国際標準化機構(ISO)には、人の身体部位別に耐えられる最大許容圧力及び許容力に対して開示されているので、これを基準にして最大衝突圧力(P
MAX)及び最大衝突力(F
MAX)の大きさを設定すると、ロボットRの安全性を一層向上できるようになる。
【0056】
被衝突体20に加えられる衝突圧力(P)及び衝突力(F
C)を一定時間単位に分けて獲得する理由は、衝突圧力(P)及び衝突力(F
C)を算出するためのデータの量を減少させることによって計算の速度を向上させ、負荷がかからないようにするためである。ここで、一定時間単位はテストロボット10の形状によって変わり得る。すなわち、テストロボット10の形状が複雑であるほど時間単位は短くなり得る。
【0057】
具体的に、被衝突体20に加えられる衝突力(F
C)は、下記の数式1を通じて具現可能である。ここで、被衝突体20は人であり得る。また、テストロボットの衝突部位に対する有効質量(M
i)は、機構学的理論によって算出され、被衝突体の衝突部位に対する有効質量(M
h)は、ユーザによって入力されることによって予め定められ得る。テストロボットの衝突部位の変位(y
i)及び被衝突体の衝突部位の変位(y
h)はCAEシステムを通じて求めることができる。
【0059】
M
i:テストロボットの衝突部位に対する有効質量
【0060】
M
h:被衝突体の衝突部位に対する有効質量
【0062】
y
i:テストロボットの衝突部位の変位
【0064】
そして、被衝突体20に加えられる衝突圧力(P)は、下記の数式2を通じて具現可能である。ここで、被衝突体の皮膚弾性(K)及び被衝突体の皮膚厚さ(h)は、CAEシステムを通じてユーザによって入力されることによって予め格納され得る。
【0067】
α:テストロボットと被衝突体との間の衝突角
【0069】
K:被衝突体の皮膚弾性 h:被衝突体の皮膚厚さ
【0071】
テストロボットの移動時間及び移動経路を設定する段階(S120)は、テストロボットの傷害誘発危険部位を設定する段階(S121)と、テストロボットの姿勢を変化させ、被衝突体に加えられる衝突圧力及び衝突力をそれぞれ算出する段階(S122)と、被衝突体に加えられる最小衝突圧力及び最小衝突力を選択及び格納する段階(S123)と、ジョイント角度を変化させながらテストロボットを移動させる段階(S124)とをさらに含んでもよい。
【0072】
テストロボットの傷害誘発危険部位を設定する段階(S121)は、テストロボット10の各部位別形状によって被衝突体20に加えられる接触圧力を算出し、算出された接触圧力値を通じてテストロボット10に対する少なくとも一つの傷害誘発危険部位を設定する。
【0073】
例えば、テストロボット10が円柱状からなる場合、傷害誘発危険部位を設定するためのテストロボット10の各部位は、周面、上部面、下部面、上部コーナー、及び下部コーナーになり得る。そして、それぞれの部位別形状によって被衝突体20に加えられる接触圧力を算出する。ここで、接触圧力を算出する方法は、P=F/A(P:圧力、F:力、A:面積)の関係式を通じて計算可能である。
【0074】
このような過程を通じてテストロボット10の各部位に対する接触圧力が算出されると、接触圧力のうち最も大きい値を有する部位又は接触圧力が既に設定された値を超える部位の全てを傷害誘発危険部位として選択することができる。
【0075】
一方、テストロボット10の傷害誘発危険部位は、ユーザの選択によって一つ又は二つ以上に定められてもよい。具体的に、テストロボット10の傷害誘発危険部位は、リンク部12及びエンドエフェクタ13から選ばれた一つ又は二つ以上であり得る。このようにテストロボット10の傷害誘発危険部位がユーザによって予め設定された場合は、テストロボットの傷害誘発危険部位を設定する段階(S121)を省略してもよい。
【0076】
テストロボットの姿勢を変化させ、被衝突体に加えられる衝突圧力及び衝突力をそれぞれ算出する段階(S122)は、テストロボット10のジョイント角度を調節することによってリンク部12及びエンドエフェクタ13の姿勢を変化させ、姿勢の変化に従って傷害誘発危険部位によって被衝突体20に加えられる衝突圧力(P)及び衝突力(F
C)をそれぞれ算出する。
【0077】
このようにテストロボット10の姿勢を変化させ、被衝突体20に加えられる衝突圧力(P)及び衝突力(F
C)を算出する理由は、リンク部12及びエンドエフェクタ13の姿勢の変化に従って被衝突体20とテストロボット10との距離及び接触部位が変わり、これによって、被衝突体20に加えられる衝突圧力(P)及び衝突力(F
C)の大きさも変わるためである。
【0078】
被衝突体に加えられる最小衝突圧力及び最小衝突力を選択及び格納する段階(S123)は、前記段階(S122)で獲得した衝突圧力(P)及び衝突力(F
C)のうち最も小さい値(以下、「最小衝突圧力(P
MIN)及び最小衝突力(F
MIN)」という。)を選択及び格納する。このとき、獲得した最小衝突圧力(P
MIN)及び最小衝突力(F
MIN)は、一定時間ごとに選択されて格納され得る。
【0079】
ジョイント角度を変化させながらテストロボットを移動させる段階(S124)は、最小衝突圧力(P
MIN)及び最小衝突力(F
MIN)に対応する角度でジョイント11の角度を一定時間ごとに変化させながらテストロボット10を移動させる。
【0080】
このようにテストロボット10の姿勢の変化に従って被衝突体20に加えられる最小衝突圧力(P
MIN)及び最小衝突力(F
MIN)の大きさを求めて格納した後、これに基づいてテストロボット10の姿勢を一定時間ごとに制御すると、テストロボット10は、同じ移動速度で同じ移動経路に沿って移動したとしても被衝突体20に最小限の衝撃が加えられる姿勢を具現できるようになる。
【0081】
衝突圧力及び衝突力の大きさが既に設定された許容安全基準値内に該当するようにテストロボットの最大速度を算出する段階(S140)は、衝突圧力(P)及び衝突力(F
C)の大きさが既に設定された最大衝突圧力(P
MAX)及び最大衝突力(F
MAX)の大きさより大きいと、衝突圧力(P)及び衝突力(F
C)の大きさが最大衝突圧力(P
MAX)及び最大衝突力(F
MAX)の大きさを満足する最大速度を算出する。すなわち、ロボットRの安全性が確保されないと、衝突圧力(P)及び衝突力(F
C)の大きさが最大衝突圧力(P
MAX)及び最大衝突力(F
MAX)の大きさ内に該当するように最大速度を算出する。
【0082】
テストロボットの移動時間及び移動経路を再設定する段階(S150)は、テストロボット10が前段階(S140)で算出された最大速度で動けるようにプロファイル情報を修正し、テストロボット10の移動時間及び移動経路を再設定する。
【0083】
これは、テストロボット10の速度によって被衝突体20に加えられる力が変わるためである。すなわち、移動速度を減少させると被衝突体20に加えられる力が減少し、このように被衝突体20に加えられる力が減少すると圧力も減少するので、前段階(S140)で算出された最大速度でテストロボット10が動けるようにプロファイル情報を修正した場合、テストロボット10は、最大速度を出しながらも人体に傷害を与えないロボットに具現可能になる。
【0084】
上述したように、ロボットの安全性向上方法は、テストロボットによって被衝突体に加えられる衝突圧力及び衝突力の大きさをシミュレーションを通じて獲得できるようになる。このようなテストロボットは、実際のロボットと類似する形状及び駆動動作を有する3次元模型ロボット又は3次元映像ロボットに形成されるので、従来のように、実際のロボットに作用する衝突圧力、衝突力、移動速度などを求めるための別途の装置を備えなくてもよく、低廉な費用で安全性評価を行えるようになる。
【0085】
また、テストロボットの各部位別形状によって被衝突体に加えられる接触圧力を算出することによって傷害誘発危険部位を選択し、選択された傷害誘発危険部位で被衝突体に加えられる衝突圧力及び衝突力を算出するので、テストロボットの形状に対応する衝突圧力及び衝突力を求めることができる。すなわち、従来は、ロボットの形状と関係なく接触圧力を一定に適用することによって被衝突体に加えられる衝突圧力及び衝突力を算出するので、算出された値の正確度が低いという短所があった。しかし、本発明のように、テストロボットの部位別形状によって被衝突体に加えられる接触圧力を算出し、この値を通じて傷害誘発危険部位を選択すると、テストロボットの衝突部位の形状に対応する衝突圧力及び衝突力を求めることができ、その正確度が向上し得る。
【0086】
また、被衝突体に加えられる衝撃圧力及び衝突力の大きさがテストロボットの安全性評価の基準を満足しない場合、衝突圧力及び衝突力の大きさが安全性評価基準を満足するようにテストロボットの姿勢を一定時間ごとに制御するので、ロボットの安全性を向上できるようになる。
【0087】
併せて、被衝突体に加えられる衝撃圧力及び衝突力の大きさがテストロボットの安全性評価の基準を満足しない場合、衝突圧力及び衝突力の大きさが安全性評価基準を満足するようにテストロボットの速度を最大に制御するので、ロボットは、安全性が向上しながらも同一の移動経路を最大速度で移動できるようになる。
【0088】
図6は、本発明の一実施形態に係るロボットの安全性評価方法に対するブロック図で、
図7は、
図6において、テストロボットによって被衝突体に加えられる衝突圧力及び衝突力を算出する段階に対する詳細な過程を説明するためのブロック図である。
【0089】
図3〜
図7を参考にして説明すると、ロボットの安全性評価方法(S200)は、テストロボットの3次元形状を獲得する段階(S210)と、テストロボットの移動時間及び移動経路を設定する段階(S220)と、テストロボットによって被衝突体に加えられる衝突圧力及び衝突力を算出する段階(S230)と、ロボットの安全性を評価する段階(S240)とを含む。
【0090】
テストロボットの3次元形状を獲得する段階(S210)とテストロボットの移動時間及び移動経路を設定する段階(S220)は、
図1を説明する過程で既に言及した通りであるので、上述した内容を援用することにする。
【0091】
テストロボットによって被衝突体に加えられる衝突圧力及び衝突力を算出する段階(S230)は、テストロボット10の傷害誘発危険部位に対する形状、有効質量、移動速度、及び方向を考慮して被衝突体20に加えられる衝突圧力(P)及び衝突力(F
C)を算出する。
【0092】
具体的に、被衝突体20に加えられる衝突力(F
C)は、上述した数式1を通じて具現可能である。ここで、被衝突体20は人であり得る。また、テストロボットの衝突部位に対する有効質量(M
i)は、機構学的理論によって算出され、被衝突体の衝突部位に対する有効質量(M
h)は、ユーザによって入力されることによって予め定められ得る。テストロボットの衝突部位の変位(y
i)及び被衝突体の衝突部位の変位(y
h)はCAEシステムを通じて求めることができる。
【0093】
そして、被衝突体20に加えられる衝突圧力(P)は、上述した数式2を通じて具現可能である。ここで、被衝突体の皮膚弾性(K)及び被衝突体の皮膚厚さ(h)は、CAEシステムを通じてユーザによって入力されることによって予め格納され得る。
【0094】
テストロボットによって被衝突体に加えられる衝突圧力及び衝突力を算出する段階(S230)は、一定時間単位別に被衝突体20に加えられる衝突圧力(P)及び衝突力(F
C)を算出することができる。これは、衝突圧力(P)及び衝突力(F
C)を算出するためのデータの量を減少させることによって計算の速度を向上させ、負荷がかからないようにするためである。ここで、一定時間単位はテストロボット10の形状によって変わり得る。すなわち、テストロボット10の形状が複雑であるほど時間単位は短くなり得る。
【0095】
テストロボットによって被衝突体に加えられる衝突圧力及び衝突力を算出する段階(S230)は、テストロボットの傷害誘発危険部位を設定する段階(S231)をさらに含んでもよい。
【0096】
テストロボットの傷害誘発危険部位を設定する段階(S231)は、テストロボット10の各部位別面積によって被衝突体20に加えられる接触圧力を算出し、算出された接触圧力値を通じてテストロボット10に対する少なくとも一つの傷害誘発危険部位を設定する。
【0097】
例えば、テストロボット10が円柱状からなる場合、傷害誘発危険部位を設定するためのテストロボット10の各部位は、周面、上部面、下部面、上部コーナー、及び下部コーナーになり得る。そして、それぞれの部位別面積によって被衝突体20に加えられる接触圧力を算出する。ここで、接触圧力を算出する方法は、P=F/A(P:圧力、F:力、A:面積)の関係式を通じて計算可能である。
【0098】
このような過程を通じてテストロボット10の各部位に対する接触圧力が算出されると、接触圧力のうち最も大きい値を有する部位又は接触圧力が既に設定された値を超える部位の全てを傷害誘発危険部位として選択することができる。
【0099】
一方、テストロボット10の傷害誘発危険部位は、ユーザの選択によって一つ又は二つ以上に定められ得る。具体的に、テストロボット10の傷害誘発危険部位は、リンク部12及びエンドエフェクタ13から選ばれた一つ又は二つ以上であり得る。このようにテストロボット10の傷害誘発危険部位がユーザによって予め設定された場合は、テストロボットの傷害誘発危険部位を設定する段階(S231)を省略してもよい。
【0100】
テストロボットの安全性を評価する段階(S240)は、テストロボットによって被衝突体に加えられる衝突圧力及び衝突力を算出する段階(S230)で獲得した衝突圧力(P)及び衝突力(F
C)の大きさが既に設定された最大衝突圧力(P
MAX)及び最大衝突力(F
MAX)の大きさ内に該当するかどうかを判断する。
【0101】
ロボットの安全性を評価する段階(S240)で被衝突体20に加えられる衝突圧力(P)及び衝突力(F
C)の大きさが既に設定された最大衝突圧力(P
MAX)及び最大衝突力(F
MAX)の大きさ内に該当すると、テストロボット10は安全であると判断する。その一方で、衝突圧力(P)及び衝突力(F
C)の大きさが最大衝突圧力(P
MAX)及び最大衝突力(F
MAX)の大きさ以上であると、テストロボット10は安全でないと判断する。
【0102】
ロボットの安全性を評価する段階(S240)で衝突圧力(P)及び衝突力(F
C)の大きさが最大衝突圧力(P
MAX)及び最大衝突力(F
MAX)の大きさ以上であると、被衝突体20に加えられる衝突圧力(P)及び衝突力(F
C)が最大衝突圧力(P
MAX)及び最大衝突力(F
MAX)の大きさ未満になるようにテストロボット10の移動速度を制御することができる。これは、テストロボット10の移動速度を減少させると、被衝突体20に加えられる力が減少するためである。このように被衝突体20に加えられる力が減少すると圧力も減少するので、テストロボット10の移動速度を適宜調節すると、最大速度を出しながらも人体に傷害を与えないロボットRを具現できるようになる。
【0103】
ロボットの安全性を評価する段階(S240)で既に設定された最大衝突圧力(P
MAX)及び最大衝突力(F
MAX)の大きさは、国際標準化機構(ISO)、より具体的には、TS 15066規格による大きさからなり得る。国際標準化機構(ISO)のTS 15066には、人の身体部位別に耐えられる最大許容圧力及び許容力に対して開示されているので、これを基準にして最大衝突圧力(P
MAX)及び最大衝突力(F
MAX)の大きさを設定すると、ロボットRの安全性を一層向上できるようになる。
【0104】
一方、テストロボットによって被衝突体に加えられる衝突圧力及び衝突力を算出する段階(S230)は、テストロボットの姿勢の変化に従って被衝突体に加えられる衝突圧力及び衝突力を算出する段階(S232)をさらに含んでもよい。
【0105】
テストロボットの姿勢の変化に従って被衝突体に加えられる衝突圧力及び衝突力を算出する段階(S232)は、テストロボット10のジョイント11の角度を調節することによってリンク部12及びエンドエフェクタ13の姿勢を変化させ、姿勢の変化に従って傷害誘発危険部位によって被衝突体20に加えられる衝突圧力(P)及び衝突力(F
C)を算出する。
【0106】
このようにテストロボット10の姿勢を変化させ、被衝突体20に加えられる衝突圧力(P)及び衝突力(F
C)を算出する理由は、リンク部12及びエンドエフェクタ13の姿勢の変化に従って被衝突体20とテストロボット10との距離及び接触部位が変わるためである。そして、被衝突体20とテストロボット10との距離及び接触部位が変わると、被衝突体20に加えられる衝突圧力(P)及び衝突力(F
C)の大きさも変わるようになる。
【0107】
したがって、姿勢の変化に従って被衝突体20に加えられる衝突圧力(P)及び衝突力(F
C)の大きさを求めると、ロボットRが同じ移動速度で同じ移動経路に沿って移動したとしても被衝突体20に最小限の衝撃が加えられる姿勢を具現できるようになる。
【0108】
上述したように、ロボットの安全性評価方法は、テストロボットによって被衝突体に加えられる衝突圧力及び衝突力の大きさをシミュレーションを通じて獲得できるようになる。このようなテストロボットは、実際のロボットと類似する形状及び駆動動作を有する3次元模型ロボット又は3次元映像ロボットに形成されるので、従来のように、実際のロボットに作用する衝突圧力、衝突力、移動速度などを求めるための別途の装置を備えなくてもよく、低廉な費用で安全性評価を行えるようになる。
【0109】
また、テストロボットの各部位別面積によって被衝突体に加えられる接触圧力を算出することによって傷害誘発危険部位を選択し、選択された傷害誘発危険部位で被衝突体に加えられる衝突圧力及び衝突力を算出するので、テストロボットの形状に対応する衝突圧力及び衝突力を求めることができる。すなわち、従来は、ロボットの形状と関係なく接触圧力を一定に適用することによって被衝突体に加えられる衝突圧力及び衝突力を算出するので、算出された値の正確度が低いという短所があった。しかし、本発明のように、テストロボットの部位別面積によって被衝突体に加えられる接触圧力を算出し、この値を通じて傷害誘発危険部位を選択すると、テストロボットの衝突部位の形状に対応する衝突圧力及び衝突力を求めることができ、その正確度が向上し得る。
【0110】
併せて、テストロボットの姿勢を変化させながら衝突圧力及び衝突力を求めるので、被衝突体に最小限の衝撃が加えられる姿勢を具現できるようになる。よって、テストロボットが具現された姿勢を通じて移動すると、同じ移動経路に沿って移動しながらも最大の速度で移動できるようになる。
【0111】
図8は、テストロボットの部位別形状によって被衝突体に加えられる接触圧力の大きさを示した図である。そして、
図9は、3Dモデリングプログラムを通じて獲得した衝突圧力及び衝突力の値を示した図である。
【0112】
以下、
図1〜
図9を参照してロボットの安全性向上方法及び安全性評価方法の過程を説明する。
【0113】
まず、ユーザがシミュレーションプログラムに実際のロボットRの形状情報を入力することによって3次元映像テストロボットを獲得したり、3次元計測センサを通じて3次元模型テストロボットを獲得する。ここで、テストロボット10は、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向、ピッチ方向、ヨー方向、及びロール方向のうち一つの方向に移動可能なマニピュレータからなり得る。すなわち、テストロボット10は、1自由度以上を有するマニピュレータであり得る。
【0114】
そして、シミュレーションプログラム又はテストロボットシステムに移動時間情報及び移動経路情報を含むプロファイル情報を入力し、テストロボット10の移動時間及び移動経路を設定する。これによって、テストロボット10は、一定時間の間、定められた移動経路に沿って移動するシミュレーションを進めるようになる。
【0115】
そして、テストロボット10の各部位別形状によって被衝突体20に加えられる接触圧力を算出し、算出された接触圧力値を通じてテストロボット10に対する少なくとも一つの傷害誘発危険部位を設定する。これは、
図8に示したように、テストロボットの部位別形状によって被衝突体20に加えられる接触圧力の大きさが変わるためである。
【0116】
ここで、傷害誘発危険部位は、算出された接触圧力のうち最も大きい値を有する部位又は接触圧力が既に設定された値を超える部位の全てになり得るが、本実施形態では、エンドエフェクタ13及びリンク部12を傷害誘発危険部位として説明する。
【0117】
このようにテストロボット10の傷害誘発危険部位が設定されると、テストロボット10の傷害誘発危険部位に対する有効質量、移動速度、及び方向を考慮して被衝突体20に加えられる衝突圧力(P)及び衝突力(F
C)を算出する。ここで、傷害誘発危険部位であるエンドエフェクタ13及びリンク部12から被衝突体20に加えられる衝突圧力(P)及び衝突力(F
C)の値は
図9に示した通りであり、衝突圧力(P)及び衝突力(F
C)の値を算出する方法は上述した通りであるので、これに対する説明は省略する。
【0118】
このように衝突圧力(P)及び衝突力(F
C)の大きさが決定されると、決定された衝突圧力(P)及び衝突力(F
C)の大きさが既に設定された最大衝突圧力(F
MAX)及び最大衝突力(F
MAX)の大きさ内に該当するかどうかを判断する。すなわち、衝突圧力(P)及び衝突力(F
C)の大きさが既に設定された最大衝突圧力(P
MAX)及び最大衝突力(F
MAX)の大きさ内に該当すると、ロボットRは安全であると判断する。その一方で、衝突圧力(P)及び衝突力(F
C)の大きさが最大衝突圧力(P
MAX)及び最大衝突力(F
MAX)の大きさ以上であると、ロボットRは安全でないと判断する。ここで、既に設定された最大衝突圧力(P
MAX)及び最大衝突力(F
MAX)の大きさは、国際標準化機構(ISO)規格による大きさからなり得る。
【0119】
図10は、速度制御を通じて生産性及び安全性を最大に具現したロボットの制御状態を示した図で、
図11は、安全性を最大に高めるためにジョイント角度を設定し、経路を修正した状態を示した図である。
【0120】
以下、
図1〜
図11を参照してロボットの安全性向上方法の過程を説明する。
【0121】
ロボットRが安全でないと判断されると、
図11に示したように、テストロボット10の衝突圧力(P)及び衝突力(F
C)の大きさが既に設定された最大衝突圧力(P
MAX)及び最大衝突力(F
MAX)の大きさ内に該当するようにテストロボット10のジョイント角度を調節し、リンク部12及びエンドエフェクタ13の姿勢を変化させる。
【0122】
そして、ロボットRが安全であると判断されると、テストロボット10の衝突圧力(P)及び衝突力(F
C)の大きさが既に設定された最大衝突圧力(P
MAX)及び最大衝突力(F
MAX)の大きさ内に該当するテストロボット10の最大速度を算出し、算出された最大速度をプロファイルに再入力することによってテストロボット10の速度を制御することができる。
【0123】
本発明は、添付の図面に示した一実施形態を参考にして説明したが、これは例示的なものに過ぎなく、当該技術分野で通常の知識を有する者であれば、これから多様な変形及び均等な他の実施形態が可能であることを理解できるだろう。よって、本発明の真の保護範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ定められるべきであろう。