特許第6883921号(P6883921)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6883921
(24)【登録日】2021年5月13日
(45)【発行日】2021年6月9日
(54)【発明の名称】ハーネス配索構造
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/30 20060101AFI20210531BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20210531BHJP
【FI】
   H02G3/30
   B60R16/02 620A
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-188052(P2017-188052)
(22)【出願日】2017年9月28日
(65)【公開番号】特開2019-62715(P2019-62715A)
(43)【公開日】2019年4月18日
【審査請求日】2020年8月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100147
【弁理士】
【氏名又は名称】山野 宏
(72)【発明者】
【氏名】諏訪 幸功
(72)【発明者】
【氏名】高下 槙司
【審査官】 鈴木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】 特開2018−103891(JP,A)
【文献】 特開平7−322447(JP,A)
【文献】 特開2014−223885(JP,A)
【文献】 特開2016−112899(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/045754(WO,A1)
【文献】 特開2001−187550(JP,A)
【文献】 特開2011−20553(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
H02G 3/00−3/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車幅方向の中央付近であって、側面視でフロントクロスメンバの直上近傍に設けられる電気接続箱と、
フロアパネルにおいて前記フロントクロスメンバよりも後方、かつ、後面視で前記電気接続箱のほぼ直下に設けられた開口部から引き出され、前記電気接続箱に接続されるワイヤーハーネスとを備え、
前記ワイヤーハーネスは、
前記開口部から前方に向かって、前記フロアパネルに沿って延びる延線部と、
前記フロントクロスメンバよりも前方位置で、前記延線部から前記電気接続箱に向かって立ち上がる屈曲部とを備え、
上面視で直線状に配置されるハーネス配索構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に設けられるワイヤーハーネスと電気接続箱とを備えるハーネス配索構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のインストルメントパネル内等に備えられる電装品と、エンジン近くに配置される電源とをワイヤーハーネスで接続することがなされている。電装品と電源との間には、ヒューズやリレー等を含む電気回路を備える電気接続箱や、リレーやヒューズをそれぞれ集積したリレーボックス、ヒューズボックス等が設けられる。電気接続箱やリレーボックス等は、代表的には、助手席のグローブボックスの上(例、特許文献1[0025]、図1図2)やグローブボックスの前等、グローブボックス近傍に配置される。
【0003】
キャブオーバー型トラック等の自動車では、フロアパネルにおけるフロントクロスメンバよりも車両後方からワイヤーハーネスを引き出し(例、特許文献2、図2)、電気接続箱等に接続することがなされている。ワイヤーハーネスをクロスメンバよりも車両後方に配置することで、正面衝突時にワイヤーハーネスの断線を回避できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017−077795号公報
【特許文献2】特開2015−193342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述のように電気接続箱等を車幅方向の側方に位置するグローブボックス近傍に設け、かつフロアパネルにおけるワイヤーハーネスの引出口を車幅方向の中央付近に設けると(特許文献2、図2)、上記引出口から電気接続箱までの配線経路が長いという問題がある。そのため、正面衝突時の断線を防止しつつ、ワイヤーハーネスの配線経路をより短くすることが望まれる。
【0006】
また、電気接続箱等をグローブボックス近傍に設けると、グローブボックスの容量が減るという問題もある。更に、グローブボックスの奥に電気接続箱等がある場合には、ヒューズの交換時等にグローブボックスを外す必要があり、作業性の改善が望まれる。
【0007】
そこで、本発明の目的の一つは、正面衝突時の断線を防止できつつ、配線経路を短くできるハーネス配索構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係るハーネス配索構造は、
車幅方向の中央付近であって、側面視でフロントクロスメンバの直上近傍に設けられる電気接続箱と、
フロアパネルにおいて前記フロントクロスメンバよりも後方、かつ、後面視で前記電気接続箱のほぼ直下に設けられた開口部から引き出され、前記電気接続箱に接続されるワイヤーハーネスとを備え、
前記ワイヤーハーネスは、
前記開口部から前方に向かって、前記フロアパネルに沿って延びる延線部と、
前記フロントクロスメンバよりも前方位置で、前記延線部から前記電気接続箱に向かって立ち上がる屈曲部とを備え、
上面視で直線状に配置される。
【発明の効果】
【0009】
上記のハーネス配索構造では、後面視でフロアパネルの開口部が電気接続箱のほぼ直下にあることから、電気接続箱と上記開口部とはいずれも車幅方向の中央付近に位置して、両者の配置位置が近いといえる。かつ、上記のハーネス配索構造では、上面視でワイヤーハーネスが直線状に配置されることから、ワイヤーハーネスは車幅方向に沿って配置される部分が非常に少ないといえる。従って、上記のハーネス配索構造では、電気接続箱がグローブボックス近傍に配置される場合に比較して、フロアパネルの開口部から電気接続箱までの配線経路が短い。
【0010】
また、上記のハーネス配索構造では、ワイヤーハーネスがフロントクロスメンバ(以下、FCメンバと呼ぶことがある)よりも車両後方から引き出されるものの、FCメンバよりも車両前方で立ち上がって電気接続箱に接続される。即ち、ワイヤーハーネスの屈曲部が概ね、FCメンバよりも車両前方に配置される。そのため、正面衝突時(以下、前突時と呼ぶ)、ダッシュパネルが車両後方に進入すると、上記屈曲部は、FCメンバよりも先にダッシュパネルに接触して押し上げられる。しかし、上記屈曲部は、形状変形が可能であるため、形状変形することで断線を防止できる。従って、上記のハーネス配索構造では、ワイヤーハーネスの一部にFCメンバよりも車両前方に配置される部分を含むものの、前突時の断線を防止できる。
【0011】
更に、上記のハーネス配索構造では、電気接続箱を車幅方向の中央付近に配置するため、助手席のグローブボックスの容量を増加できる上に、ヒューズ等の交換時にグローブボックスを外す必要もない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態1のハーネス配索構造の概略を示す左側面図である。
図2】実施形態1のハーネス配索構造の概略を示す上面図である。
図3】実施形態1のハーネス配索構造の概略を示す後面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明のハーネス配索構造を具体的に説明する。図面において、同一符号は同一名称物を示す。
【0014】
[実施形態1]
図1図3を参照して、実施形態1のハーネス配索構造1を説明する。
図1図3は、自動車において、車幅方向の中央付近であって、車両前方に備えられるダッシュパネル7近く、かつ車両下方に備えられるフロアパネル5近くの領域を部分的に示す。
図1図2において、車両前方をFr、車両後方をRrとし、矢印で示す。
図1では紙面垂直方向、図2では紙面上下方向、図3では紙面左右方向を車幅方向とする。図1及び図3では紙面上下方向、図2では紙面垂直方向を車両上下方向とする。
【0015】
(全体構成)
実施形態1のハーネス配索構造1は、ワイヤーハーネス2と、ワイヤーハーネス2が接続される電気接続箱3とを備える。このハーネス配索構造1は、代表的には自動車のインストルメントパネル(以下、インパネと呼ぶ)6内に備えられる電装品(図示せず)と、エンジン等のパワーユニット近くに配置される電源(同)との間に設けられて、電装品への電力供給や電力遮断等に利用される。特に、実施形態1のハーネス配索構造1は、パワーユニットがキャビン下に設けられるキャブオーバー型の自動車(例、トラックやバン等)やピックアップトラック等に好適に利用できる。この例では、ハーネス配索構造1がキャブオーバー型の自動車に設置される場合を説明する。
【0016】
詳細は図示しないが、キャブオーバー型の自動車は、代表的には、車体フレームをなす左右のサイドメンバと、左右のサイドメンバ間を接続し、車両前後方向に離間して配置される二つのFCメンバ8,80とを有する。トラックでは車体フレームの車両前方にキャビンが設けられ、車両後方に荷台が設けられる。キャビンの下方にパワーユニットが設けられる。また、キャビンの下方にフロアパネル5を有し、フロアパネル5の前方端部にダッシュパネル7が車両上下方向に立設される。ダッシュパネル7の主に上方にインパネ6が設けられる。図1図3では、インパネ6、ダッシュパネル7を二点鎖線で仮想的に示す。
【0017】
実施形態1のハーネス配索構造1では、電気接続箱3の配置位置を車幅方向の側方であるグローブボックス近傍とせず、車幅方向の中央付近とし、ワイヤーハーネス2の引出位置(後述の開口部50)を後面視で電気接続箱3のほぼ直下とする(図3)。かつ、電気接続箱3の配置位置をFCメンバ8の直上近傍とし(図1)、ワイヤーハーネス2の引出位置をFCメンバ8よりも車両後方とする(図1)。更に、引出位置から電気接続箱3までのワイヤーハーネス2の配線経路が上面視で直線状をなすと共に(図2)、FCメンバ8よりも車両前方に突出する部分(後述の屈曲部2b)を有する(図2)。実施形態1のハーネス配索構造1は、ワイヤーハーネス2の引出位置及び電気接続箱3の配置位置、及びワイヤーハーネス2の配線経路を上述の特定のものとする。
【0018】
以下、まず、ワイヤーハーネス2及び電気接続箱3を簡単に説明し、次にワイヤーハーネス2及び電気接続箱3の配置位置、ワイヤーハーネス2の配線経路を詳細に説明する。
【0019】
(ワイヤーハーネス)
ワイヤーハーネス2は、両端部にコネクタ(図示せず)が取り付けられた1本以上の電線、代表的には複数の電線20を束ねた電線束を備えるものである。各電線20は、銅等の金属からなる導体線と、導体線の外周に設けられた絶縁被覆とを備える。ここでは、電線束の端部を除いて、概ねの領域を収納する保護チューブ21を備えるワイヤーハーネス2を例示するが、保護チューブ21を省略してもよい。
【0020】
(電気接続箱)
電気接続箱3は、代表的には、ヒューズやリレー等を含む電気回路を集積した回路集合体と、上述の電線20のコネクタが接続されるコネクタ部と、回路集合体及びコネクタ部をまとめて収納するケースと、を備えるものであり(詳細は図示せず)、ワイヤーハーネス2の分岐接続等に利用される。図3では、回路集合体(図3では左側の大矩形部分)と、コネクタ部の一部(図3では右側の小矩形部分)とが車幅方向に並んでケースに収納されるものを例示する。
【0021】
(配置位置)
電気接続箱3は、車幅方向の中央付近であって、図1に示すように側面視でFCメンバ8の直上近傍に設けられる。「車幅方向の中央付近」とは、車幅方向の中心を含み、インパネ6において空調装置の操作パネルやラジオ等のオーディオ機器等が設けられる領域が挙げられる。「FCメンバ8の直上近傍に設けられる」とは、以下の(1)〜(3)が挙げられる。
(1)図2に示すように上面視で電気接続箱3の外形の少なくとも一部がFCメンバ8の平面外形に重複するように設けられる。図2では、電気接続箱3の外形がFCメンバ8を車両前後方向に跨ぐように設けられて、FCメンバ8の平面外形のうち、車幅方向の中央付近の領域全体に重複する場合を例示する。
(2)上面視で電気接続箱3の前端面がFCメンバ8の後端面よりも若干(例えば、電気接続箱3における車両前後方向の厚さ以下程度)、車両後方に位置するように設けられる。
(3)この例のように車両前後方向に離間して二つのFCメンバ8,80を備える場合には、電気接続箱3の後端面が車両後方側のFCメンバ80の前端面よりも車両前方に位置するように設けられる。より具体的な例として、側面視で電気接続箱3の後端面と開口部50の後端縁とが同一面上に位置するように電気接続箱3を設けることが挙げられる。
【0022】
フロアパネル5には、FCメンバ8よりも車両後方(図1図2)、かつ図3に示すように後面視で電気接続箱3のほぼ直下に開口部50が設けられている。「電気接続箱3のほぼ直下に設けられる」とは、後面視で、開口部50における車幅方向の配置範囲の少なくとも一部が電気接続箱3(特に、上述のケースの外形)における車幅方向の配置範囲に含まれるように設けられることが挙げられる。図3では、開口部50における車幅方向の配置範囲の全域が電気接続箱3における車幅方向の配置範囲に含まれる場合を例示する。このように後面視で電気接続箱3のほぼ直下に位置する開口部50は、車幅方向の中央付近に位置するといえる。そのため、電気接続箱3と開口部50との間の車幅方向に沿った距離は短いといえ、この点で、両者の配置位置は近い。
【0023】
なお、この例では、ワイヤーハーネス2に密着するように装着されたグロメット51がフロアパネル5の開口部50の周縁に嵌め込まれている。また、この例では、開口部50から引き出されたワイヤーハーネス2の引出箇所を覆う保護部材52が設けられる(図2では図示せず)。この例の保護部材52は、図3に示すように後面視、及び車幅方向に沿った平面で切断した断面視で台形状であり、上面視で長方形状である。この保護部材52は、グロメット51の上方を覆う上面部と、上面部の周縁からフロアパネル5に向かって車両下方かつ車両側方に向かって傾斜する一対の傾斜面部とを備える。傾斜面部にはフランジ部が延設されて、フロアパネル5にボルト等(図示せず)で固定される。保護部材52の形状、大きさは、上記引出箇所を保護可能な範囲で適宜選択できる。図1では、保護部材52の車両前後方向の大きさが、車両前方のFCメンバ8よりも車両後方から、車両後方のFCメンバ80の前方端に重なる大きさである場合を例示するが、適宜変更できる。保護部材52を省略することもできる。
【0024】
ワイヤーハーネス2は、その一端が上述のパワーユニット近くに配置される電源に接続され、キャビン下方を経て、フロアパネル5の開口部50から引き出され、その他端が電気接続箱3に接続される。ワイヤーハーネス2の引出位置は、上述した開口部50の形成位置に相当する。
【0025】
(配索経路)
フロアパネル5の開口部50から引き出されたワイヤーハーネス2は、開口部50から電気接続箱3に向かって、車両前方かつ車両上方に配置される。具体的には、ワイヤーハーネス2は、図1に示すように開口部50から車両前方に向かって、フロアパネル5に沿って延びる延線部2aと、FCメンバ8よりも前方位置で、延線部2aから電気接続箱3に向かって立ち上がる屈曲部2bとを備え、L字状に配置される。延線部2aの車両前方端、即ち屈曲部2bの車両下方端がFCメンバ8よりも車両前方に突出し、屈曲部2bの概ねの領域は、図1図2に示すように、FCメンバ8よりも車両前方に配置される。この例では、電気接続箱3における電線20との接続箇所を車両後方に備える。そのため、図1に示すように、屈曲部2bにおける電気接続箱3側の端部、ここでは保護チューブ21から露出される各電線20の端部は、車両前方から車両後方に取り回されて配置される。
【0026】
更に、ワイヤーハーネス2は、図2に示すように上面視で直線状に配置される。「直線状に配置される」とは、ワイヤーハーネス2の配線経路(この例では、特に保護チューブ21に収納された部分の配線経路)における車幅方向の大きさLがワイヤーハーネス2の外径R(この例では保護チューブ21の外径)に実質的に等しいように配置されることが挙げられる。定量的には、配線経路の車幅方向の大きさLがワイヤーハーネス2の外径Rの2倍未満、好ましくは1倍以上1.8倍以下であることが挙げられる。このようなワイヤーハーネス2の配線経路は、FCメンバ8を跨ぎ、車両前後方向に概ね沿った直線状に配置されて、車幅方向に沿って配置される部分が非常に少ないといえる(図3も参照)。
【0027】
(主要な効果)
実施形態1のハーネス配索構造1では、電気接続箱3の配置位置及びワイヤーハーネス2の引出位置(開口部50の形成位置)とが車幅方向の中央付近であり、両者の位置が近い上に、上面視でワイヤーハーネス2が直線状に配置される。そのため、実施形態1のハーネス配索構造1では、電気接続箱3がグローブボックス近傍に配置される場合に比較して、開口部50から電気接続箱3までの配線経路が短い。好ましくは最短である。
【0028】
また、実施形態1のハーネス配索構造1では、ワイヤーハーネス2がFCメンバ8よりも車両後方から引き出されるものの、屈曲部2bが概ねFCメンバよりも車両前方に配置される。そのため、前突時にダッシュパネル7が車両後方に進入すると、ダッシュパネル7は、FCメンバ8よりも先に屈曲部2bに接触して、屈曲部2bを押し上げる。押し上げられた屈曲部2bは押上げ動作に追従して変形できる。従って、実施形態1のハーネス配索構造1では、ワイヤーハーネス2をFCメンバ8よりも車両後方から引き出し、かつFCメンバ8よりも車両前方に屈曲部2bを含むことで、屈曲部2bの形状変形によって前突時の断線を防止できる。ひいては、断線に起因するファイアハザードを未然に防ぐことができる。
【0029】
実施形態1のハーネス配索構造1では、以下の点から、前突時にワイヤーハーネス2がダッシュパネル7と周囲部材との間に挟まれて断線することも防止できる。
(1)上述のように上面視でワイヤーハーネス2が車両前後方向に沿って直線状に配置されることで、屈曲部2bが形状変形した際に車幅方向に広がるように崩れ難い点。
(2)上面視でFCメンバ8とダッシュパネル7との間の空間において、屈曲部2bの周囲には、ワイヤーハーネス2を立ち上げるように折り曲げ、更に各電線20の端部を電気接続箱3に接続するという作業を行う関係上、実質的に部材を介在させない点。ダッシュパネル7と屈曲部2bとの間に介在部材が無いことで、ダッシュパネル7と介在部材との間に挟まれることによる断線を防止できる。
【0030】
更に、実施形態1のハーネス配索構造1では、電気接続箱3を車幅方向の中央付近に配置するため、助手席のグローブボックスの容量を増加できる。また、ヒューズ等の交換時にグローブボックスを外す必要もなく、交換作業性に優れる。電気接続箱3に備えられるケースにおいて車両後面に開閉可能又は着脱可能な蓋部(図示せず)を設けておき、インパネ6から蓋部の開閉又は着脱が行える構成とすると、乗員がヒューズ等の交換を容易に行える。
【0031】
実施形態1のハーネス配索構造1は、例えば、以下の変更が可能である。
電気接続箱3の上部に庇部9を設ける(図3では仮想的に示す二点鎖線参照)。
ハーネス配索構造1では、電気接続箱3を車幅方向の中央付近であって、フロアパネル5に近い車両下方に設ける。そのため、庇部9を備える形態は、空調装置のダクトなどからの結露水が滴下して電気接続箱3内に浸入することを防止できる。図3に示す庇部9は、電気接続箱3の上面を覆う天面部と、天面部の縁から車両下方に向かって傾斜する傾斜面部とを備え、車両後方に突出して、各電線20と電気接続箱3との接続箇所の上方を覆うものを例示するが、庇部9の形状、大きさ等は適宜変更できる。
【符号の説明】
【0032】
1 ハーネス配索構造
2 ワイヤーハーネス、2a 延線部、2b 屈曲部、20 電線、21 保護チューブ
3 電気接続箱
5 フロアパネル、50 開口部、51 グロメット、52 保護部材
6 インストルメントパネル(インパネ)
7 ダッシュパネル
8,80 フロントクロスメンバ(FCメンバ)
9 庇部
図1
図2
図3