【実施例】
【0032】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は実施例に限定して解釈されるものではない。
【0033】
(実施例1)
実施例1の忌避成分は、シトロネロールを2重量%、ゲラニオールを4重量%、ジフェニールオキサイドを25重量%、β−フェニールエチルアルコールを17重量%、その他溶媒成分等を52重量%含んでおり、この忌避成分をゼオライトにしみ込ませて実施例1の動物忌避剤としている。このとき、実施例1の忌避成分を2重量%とし、ゼオライトを98重量%としている。
【0034】
(実施例2)
実施例2の忌避成分は、実施例1の忌避成分からβ−フェニールエチルアルコールを抜いた配合になっている。実施例2の忌避成分を2重量%とし、ゼオライトを98重量%として、忌避成分をゼオライトにしみ込ませて実施例2の動物忌避剤としている。
【0035】
(実施例3)
実施例3の動物忌避剤は、実施例1の動物忌避剤に、サリチル酸メチル及びペッパーオイルを加えている。実施例3では、実施例1の忌避成分を2重量%とし、サリチル酸メチルを5重量%とし、ペッパーオイルを0.075重量%とし、ゼオライトを92.925重量%として、実施例1の忌避成分、サリチル酸メチル及びペッパーオイルをゼオライトにしみ込ませて動物忌避剤としている。この実施例3の動物忌避剤の香りは、バラの香りがメインであって、サリチル酸メチル及びペッパーオイルの香り(シトロネロール、ゲラニオール、ジフェニールオキサイド及びβ−フェニールエチルアルコール)によってマスキングされており、人間にとって不快な香りではない。
【0036】
尚、上記実施例1〜3の各成分含有量は例示であり、上記成分含有量以外の量にすることもできる。また、忌避対象動物に応じて各成分の含有量を調整するようにしてもよい。また、一般の使用環境(屋外)で人間が嗅いだときにバラの香りに近い香りになるように各成分の含有量を調整すればよく、バラの香りと全く同じでなくてもよい。
【0037】
(比較例)
比較例は、特開2013−49636号公報の表1に開示されている成分からなる動物忌避剤である。すなわち、シンナミックアルデヒド、イソトリデシルアルコール、リモネン、シトロネリルニトリル、α−アミンシンナミックアルデヒド、ジプロピレングリコール、酢酸イソブチル及び酢酸エチルからなる混合忌避成分と、サリチル酸メチルと、ペッパーオイルとを配合してなるものであり、これら成分をゼオライトにしみ込ませている。混合忌避成分は10g、サリチル酸メチルは20g、ペッパーオイルは0.3g、ゼオライトは369.7gである。
【0038】
なお、この比較例の動物忌避剤については、優れた忌避効果を有していることが本願出願人によって確認済みである(詳しくは特開2013−49636号の明細書を参照のこと)。そこで、この比較例の動物忌避剤と同等以上の忌避効果が得られれば、十分な効果を有する動物忌避剤として認めることができる。
【0039】
(忌避効力試験方法)
忌避効力の試験方法は以下のとおりである。樹脂等からなる餌かごを2つ準備し、それぞれに市販されている一般的な猫用の餌を200gずつ入れる。第1の餌かごの餌の上には、動物忌避剤をしみ込ませたゼオライト10gをメッシュ状の袋に入れたものを置く(忌避剤あり)。第2の餌かごの餌の上には、何もしみ込ませていないゼオライト10gをメッシュ状の袋に入れたものを置く(ブランク)。
【0040】
上記のようにして準備した第1の餌かご及び第2の餌かごを屋外(広島県廿日市市)に設置し、一晩放置しておく。試験対象動物は猫である。
【0041】
翌朝、各餌かごの重量を測定して猫による喫食量を得て、下記の計算式によって忌避率を算出する。すなわち、喫食量が少ないということは猫がその餌かごを忌避したということで、この考え方に基づいて忌避率を得ている。
忌避率(%)=(1−第1の餌かごの喫食量/(第1の餌かごの喫食量+第2の餌かごの喫食量))×100
【0042】
実施例1のゼオライト10gをメッシュ状の袋に入れて第1の餌かごの餌の上に置いた場合には、3回の平均忌避率が86%であった。
【0043】
実施例2のゼオライト10gをメッシュ状の袋に入れて第1の餌かごの餌の上に置いた場合には、3回の平均忌避率が85%であった。
【0044】
実施例3のゼオライト10gをメッシュ状の袋に入れて第1の餌かごの餌の上に置いた場合には、3回の平均忌避率が89%であった。
【0045】
比較例のゼオライト10gをメッシュ状の袋に入れて第1の餌かごの餌の上に置いた場合には、3回の平均忌避率が85%であった。
【0046】
以上のように、フェニールエチルアルコールを含まない実施例2は平均忌避率が85%と非常に高い値であったので、十分な忌避効果を有していることが分かる。この場合、動物忌避剤はバラのような香りとなるので、人間にとって好ましい香りとなる。
【0047】
また、フェニールエチルアルコールを含む実施例1は実施例2のものよりもバラらしい香りになるので、人間にとってより好ましい香りとなっている。なお前述のように、フェニールエチルアルコールは単独では猫の誘引成分として知られている。しかしながら、このフェニールエチルアルコールを含む実施例1の平均忌避率は86%であり、フェニールエチルアルコールを含まない実施例2のものと殆ど変わらない程度の十分な忌避効果を有している。
【0048】
また、サリチル酸メチル及びペッパーオイルを含む実施例3は平均忌避率が89%であり、実施例1、2のものよりも更に高い忌避率を得ることができるとともに、サリチル酸メチル等の特有の臭いがシトロネロール、ゲラニオール等によってマスキングされて使用感は良好である。
【0049】
さらに、比較例では平均忌避率が85%であった。つまり、比較例も十分な忌避効果を有している。実施例1〜3では比較例のものとは異なるバラのような香りを持ちながらも比較例と同等もしくはそれ以上の十分な忌避効果を得ていることが分かる。
【0050】
以上説明したように、本発明によれば、人間にとって好ましいバラ様の香りで、動物に対しては高い忌避効果を発揮できる動物忌避剤を提供できる。
【0051】
また、フェニールエチルアルコールを追加することにより、動物に対する忌避効果を低下させることなく、人間にとってはよりバラらしい香りにすることができ、使用感を良好にすることができる。
【0052】
また、サリチル酸メチルとペッパーオイルを追加することで、忌避効果を長期にわたって持続することができる。また、シトロネロール、ゲラニオール等によってサリチル酸メチル等の特有の臭いをある程度マスキングすることができ、人間にとって不快ではない香りの動物忌避剤とすることができる。
【0053】
さらに、本発明の実施形態に係る動物忌避剤と、特開2013−49636号公報に開示されている動物忌避剤とを準備しておき、これらを交互に使用することもできる。すなわち、バラのような香りを持った動物忌避剤と、これとは異なる香りを持った動物忌避剤とを交互に使用することで、動物の臭い慣れによる忌避効果の低下を抑制することができる。本発明の実施形態に係る動物忌避剤と、特開2013−49636号公報に開示されている動物忌避剤とは、例えば1週間から10日ごとに変えて使用するのが好ましい。これにより、両動物忌避剤による高い忌避効果を継続して得ることができる。
【0054】
また、本発明に係る動物忌避剤は、猫だけでなく、犬等に対しても十分な忌避効果を得ることができる。
【0055】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。