(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および結果(効果)は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能である。また、本発明によれば、構成によって得られる種々の効果(派生的な効果も含む)のうち少なくとも一つを得ることが可能である。なお、本明細書において、序数は、部品や、部位、位置、方向等を区別するために便宜上付与されており、優先順位や順番を示すものではない。
【0013】
図1〜3は、車両用のシート10の側面図であって、
図1は、スライドモードでのシート10の動作を示す図、
図2は、リクライニングモードでのシート10の動作を示す図、また、
図3はウォークインモードでのシート10の動作を示す図である。
【0014】
各図中には、便宜上、方向が示されている。Xは、車幅方向の右方、Yは、車両前後方向の前方、また、Zは、車両上下方向の上方を示している。
【0015】
図1に示されるように、車両用のシート10は、前方位置Psfと後方位置Psbとの間でスライド可能に構成されるとともに、前方位置Psfと後方位置Psbとの間の複数の位置のうちのいずれかに固定可能に構成されている。本実施形態では、シート10は、車両前後方向に沿って延びたレール13に沿って移動可能に支持されている。スライドロック機構(不図示)は、シート10をスライド不能とするロック状態と、シート10をスライド可能とするアンロック状態との間で、切り替わる。なお、以下では、スライドロック機構のロック状態をスライドロック状態と称し、スライドロック機構のアンロック状態をスライドアンロック状態と称する。
【0016】
シート10は、シートクッション11とシートバック12とを有する。
図2に示されるように、シートバック12は、前傾位置Pifと後傾位置Pibとの間で移動可能に構成されるとともに、前傾位置Pifと後傾位置Pibとの間の複数の位置のうちのいずれかに固定可能に構成されている。前傾位置Pifは折り畳み位置とも称され、後傾位置Pibは展開位置とも称されうる。本実施形態では、シートバック12は、当該シートバック12の下部に位置され車幅方向に沿って延びた回動中心Ase回りに回動可能に設けられ、シートバック12の傾斜角度が、可変に設定されうる。リクライニングロック機構20(
図4等参照)は、シートバック12をシートクッション11に対して移動不能とするロック状態と、シートバック12をシートクッション11に対して移動可能とするアンロック状態との間で、切り替わる。なお、以下では、リクライニングロック機構20のロック状態をリクライニングロック状態と称し、リクライニングロック機構20のアンロック状態をリクライニングアンロック状態と称する。
【0017】
本実施形態では、シート10は、シート10のスライドおよびリクライニングに関する以下の(1)〜(3)の三つのモードで作動することができる。
【0018】
(1)スライドモード(
図1)
スライドモードでは、シート10はレール13に沿ってスライドする。例えばシートクッション11の下方かつ前方に設けられたスライドリリースレバー14の乗員による操作に応じて、スライドロック機構は、スライドロック状態からスライドアンロック状態に切り替わる。また、乗員によるスライドリリースレバー14の操作の解除に応じて、スライドロック機構は、スライドアンロック状態からスライドロック状態に切り替わる。
【0019】
(2)リクライニングモード(
図2)
リクライニングモードでは、シートバック12は回動中心Ase回りに回動する。例えば、シートクッション11の側方に設けられたリクライニングリリースレバー15の乗員による所定操作に応じて、リクライニングロック機構20は、リクライニングロック状態からリクライニングアンロック状態に切り替わる。また、乗員によるリクライニングリリースレバー15の所定操作の解除に応じて、リクライニングロック機構20は、リクライニングアンロック状態からリクライニングロック状態に切り替わる。リクライニングリリースレバー15は、第二の操作部材の一例である。
【0020】
(3)ウォークインモード(
図3)
ウォークインモードでは、シートバック12が所定角度で前傾した状態で、シート10が車両前方にスライドする。例えばシートバック12の上部に設けられたウォークインレバー16の乗員による所定操作に応じて、リクライニングロック機構20は、リクライニングロック状態からリクライニングアンロック状態に切り替わるとともに、スライドロック機構は、スライドロック状態からスライドアンロック状態に切り替わる。ただし、ウォークインモードでは、後述する切替機構30により、シートバック12が、所定角度で前傾した状態で維持される。なお、シート10は、付勢部材の付勢力によって車両前方へスライドしてもよいし、乗員によって押されることにより車両前方へスライドしてもよい。ウォークインレバー16は、第一の操作部材の一例である。
【0021】
(切替機構30の構成)
図4は、切替機構30の分解斜視図、
図5は、切替機構30の車幅方向外方から見た側面図であって各部材や各部品が初期位置にある状態を示す図、
図6は、切替機構30の車幅方向内方から見た側面図であって各部材や各部品が初期位置にある状態を示す図である。また、
図7は、切替機構30の車幅方向外方から見た側面図であってリクライニングリリースレバー15が操作された状態を示す図、
図8は、切替機構30の車幅方向外方から見た側面図であってウォークインレバー16が操作された状態を示す図である。切替機構30は、リクライニングリリースレバー15の操作に応じた上記(2)のモードでのシート10の作動と、ウォークインレバー16の操作に応じた上記(3)のモードでのシート10の作動と、を実現する。切替機構30は、ロック解除装置の一例である。
【0022】
(支持プレート31)
図4〜6に示されるように、切替機構30は、支持プレート31を有する。支持プレート31は、切替機構30の各部品を支持する。支持プレート31は、車両上下方向および車両前後方向に略沿って延びており、車幅方向外方に面した外面31aと、車幅方向内方に面した内面31bと、を有している。支持プレート31は、シートクッション11と固定されている。
【0023】
(リクライニングロック機構20)
図4に示されるように、リクライニングロック機構20は、支持プレート31に設けられた貫通孔31cに挿入された状態で、支持プレート31に固定されている。リクライニングロック機構20は、支持プレート31の外面31a側および内面31b側の双方に露出している。
【0024】
リクライニングロック機構20は、ベース部21、回動部22、結合部(不図示)、操作部23、および作動機構(不図示)を有する。ベース部21は、支持プレート31ひいてはシートクッション11と固定されている。回動部22は、回動中心Ase回りに回動可能に設けられ、シートバック12と固定されている。結合部は、回動部22をベース部21に結合する結合位置とベース部21から遮断する遮断位置との間で移動する。操作部23は、回動中心Ase回りに回動可能に設けられている。作動機構は、例えばカム機構や付勢部材等(不図示)を含んでおり、操作部23が回動中心Ase回りに
図4中の方向Cw1に回動された場合にあっては結合部を遮断位置に動かし、操作部23が
図4中の方向Ccw1(方向Cw1の反対方向)に回動された場合にあっては結合部を結合位置に動かす。結合部によって回動部22がベース部21と結合された状態が、リクライニングロック状態であり、結合部によって回動部22がベース部21と結合されていない状態、すなわち、回動部22が回動中心Ase回りに回動可能な状態が、リクライニングアンロック状態である。
【0025】
(スパイラルスプリング18)
図6に示されるように、シートバック12は、スパイラルスプリング18によって、前傾方向に付勢されている。よって、リクライニングアンロック状態では、乗員等がシートバック12を後傾方向に押さない場合にあっては、シートバック12は、回動中心Ase回りに方向Cw1に移動する。スパイラルスプリング18は、付勢部材とも称されうる。
【0026】
(押圧部材24)
図4,6に示されるように、押圧部材24は、シートバック12およびリクライニングロック機構20の回動部22と固定され、シートバック12および回動部22と一体に回動中心Ase回りに回動する。押圧部材24は、回動中心Aseの径方向外方に向けて扇状に突出した当接アーム24aを有する。シートバック12の回動に伴う当接アーム24aの移動経路Ptは、回動中心Aseを中心とした円弧状である。押圧部材24は、押圧部材の一例である。当接アーム24aは、第一の押圧部の一例である。
【0027】
(操作レバー33)
図4に示されるように、操作レバー33は、リクライニングロック機構20を貫通するシャフト32を介して、操作部23と接続されている。
図5に示されるように、操作レバー33は、回動中心Aseの径方向外方、例えば、略車両前方に向けて、延びている。シャフト32および操作レバー33は、操作部23と一体に、回動中心Ase回りを回転する。トーションスプリング34は、操作部23、シャフト32、および操作レバー33を、初期位置に戻す方向、すなわち回動中心Ase回りに方向Ccw1に、付勢している。操作レバー33は、リリース部材の一例である。
【0028】
(リクライニングリリースレバー15)
図5に示されるように、リクライニングリリースレバー15は、シートクッション11に、回動中心Are回りに回動可能に支持されている。リクライニングリリースレバー15は、回動中心Areの径方向外方、例えば略車両前方に向けて、細長く延びている。回動中心Areは、車幅方向に略沿っている。なお、リクライニングリリースレバー15は、トーションスプリングやコイルスプリング等の付勢部材(不図示)によって、初期位置に戻る方向に、例えば、回動中心Are回りに方向Cw4に、付勢されている。
【0029】
(リンク部材35)
図4,5に示されるように、リンク部材35は、操作レバー33とリクライニングリリースレバー15との間に亘って延びている。リンク部材35は、略一定幅で車両上下方向に略沿って細長く延びている。リンク部材35は、板状である。リンク部材35は、操作レバー33と、回動中心Aseから径方向外方、例えば車両前方に離れた接続点Plで、接続されている。リンク部材35は、操作レバー33およびリクライニングリリースレバー15の双方に、回動可能に接続されている。リンク部材35と操作レバー33との回動支点(接続点Pl)は、リンク部材35の長手方向の一端部、例えば上端部に位置され、リンク部材35とリクライニングリリースレバー15との回動支点は、リンク部材35の長手方向の他端部、例えば下端部に位置されている。リンク部材35は、伝達部材の一例である。
【0030】
図5に示されるように、リクライニングリリースレバー15の回動中心Areから径方向外方、例えば車両前方に離れた位置には、乗員によって操作される操作部位15aが設けられている。リンク部材35は、回動中心Areを挟んで操作部位15aとは反対側、例えば回動中心Areよりも車両後方で、リンク部材35と接続されている。
【0031】
また、リンク部材35は、回動中心Areと略平行な突起35aを有している。突起35aは、ねじ等の結合具35cによって、リンク部材35に結合されている。突起35aは、第二の当接部の一例である。
【0032】
(ウォークインワイヤ36)
図5に示されるように、ウォークインワイヤ36は、回動中心Aseから径方向外方、例えば車両前方に離れた接続点Pwwで、操作レバー33と接続されている。ウォークインワイヤ36は、芯線36aと、当該芯線36aを覆うカバー36bと、を有している。カバー36bは、シートクッション11やシートバック12等に固定されている。また、カバー36bは、芯線36aをその長手方向にスライド可能に支持している。芯線36aは、接続点Pwwで操作レバー33と接続されている。
【0033】
ここで、操作レバー33とウォークインワイヤ36との接続点Pwwは、操作レバー33とリンク部材35との接続点Plよりも回動中心Aseから離れている。よって、ウォークインレバー16が比較的小さく、操作力のモーメントアームが長く設定され難い場合にあっても、乗員が比較的小さい操作力によってウォークインレバー16を操作することが、可能である。接続点Pwwは、第一の接続箇所の一例である。接続点Plは、第二の接続箇所の一例である。
【0034】
(一方向接続部40)
また、
図4,5に示されるように、操作レバー33とリンク部材35とは、一方向接続部40を介して接続されている。具体的に、リンク部材35の上端部には、長穴35bが設けられるとともに、操作レバー33には、長穴35bを貫通する突起33aが設けられている。突起33aは、操作レバー33およびリンク部材35が
図5に示される初期位置に位置されている状態では、長穴35bの上端に位置している。ここで、
図7に示されるように、リクライニングリリースレバー15の操作に応じてリンク部材35が方向D3へ移動すると、長穴35bの上側の縁によって突起33aが下方に押され、操作レバー33は回動中心Ase回りに方向Cw1へ回動する。すなわち、操作レバー33は、リンク部材35の初期位置から方向D3への移動に連動する。なお、突起33aは、ねじ等の結合具33bによって、操作レバー33に結合されうる。突起33aは、スライダとも称され、長穴35bは、ガイドレールとも称されうる。方向D3は、第三の方向の一例である。
【0035】
他方、操作レバー33およびリンク部材35が
図5に示される初期位置に位置されている状態で、
図8に示されるように、ウォークインレバー16の操作に応じてウォークインワイヤ36の芯線36aに引かれた操作レバー33が、回動中心Ase回りに方向Cw1へ回動すると、突起33aは、長穴35bに沿って方向D3へ移動する。よって、この場合には、リンク部材35は、操作レバー33の動きには連動せず、
図5と同じ初期位置に留まる。したがって、ウォークインレバー16の操作によっては、リクライニングリリースレバー15は動かない。
【0036】
(切替部材37)
図4〜6に示されるように、切替部材37は、リンク部材35の移動経路から外れた回動中心Asw回りに回動可能に支持されている。本実施形態では、一例として、回動中心Aswは、リンク部材35から車両後方に離れて位置されている。回動中心Aswは、車幅方向に略沿っている。切替部材37は、
図5,6に示される初期位置から、方向Ccw2および方向Cw2に回動可能である。方向Ccw2は、第二の方向の一例である。方向Cw2は、第二の方向の反対方向の一例である。回動中心Aswは、第一の回動中心の一例である。
【0037】
(切替部材37の追従アーム37a)
図4,5に示されるように、切替部材37は、回動中心Aswから径方向外方、例えば略車両前方に延びた追従アーム37aを有している。追従アーム37aは、突起35aよりも上方に位置されている。また、追従アーム37aは、トーションスプリング38によって、回動中心Asw回りに方向Cw2に付勢されている。これにより、追従アーム37aは、リンク部材35の突起35aに上方から接触している。なお、トーションスプリング38によって追従アーム37aを介してリンク部材35に作用する方向D3の力は、付勢部材(不図示)によって
図5の初期位置に向けて付勢されたリクライニングリリースレバー15からリンク部材35に作用する方向D3の反対方向の力よりも小さい。トーションスプリング38は、付勢部材の一例である。
【0038】
(切替部材37の操作アーム37b)
図4,6に示されるように、切替部材37は、回動中心Aswから径方向外方に延びた操作アーム37bを有している。スライドリリースワイヤ39は、接続点Pwsで操作アーム37bと接続されている。操作アーム37bは、回動中心Asw回りに、追従アーム37aと一体に回動する。
【0039】
図6に示されるように、スライドリリースワイヤ39は、芯線39aと、当該芯線39aを覆うカバー39bと、を有している。カバー39bは、シートクッション11等に固定されている。また、カバー39bは、芯線39aをその長手方向にスライド可能に支持している。芯線39aは、接続点Pwsで操作アーム37bと接続されている。回動中心Asw回りに方向Ccw2に回動する操作アーム37bによって接続点Pwsを介して芯線39aが引かれると、スライドロック機構がスライドロック状態からスライドアンロック状態に切り替わる。芯線39a(スライドリリースワイヤ39)は、可動部材の一例である。接続点Pwsは、接続部の一例である。
【0040】
(切替部材37の干渉アーム37c)
図4,6に示されるように、切替部材37は、回動中心Aswの径方向外方に延びた干渉アーム37cを有する。干渉アーム37cには、突起37dが設けられている。突起37dは、例えば、ねじ等の結合具37eによって、干渉アーム37cに結合されている。突起37dは、第一の当接部の一例である。
【0041】
(切替部材37の構成および切替部材37における各部の配置)
図4に示されるように、追従アーム37aは、支持プレート31の外面31aと面し、操作アーム37bおよび干渉アーム37cは、支持プレート31の内面31bと面している。すなわち、追従アーム37aと、操作アーム37bおよび干渉アーム37cとは、支持プレート31を挟んで互いに反対側に位置されている。支持プレート31には貫通孔31eが設けられている。追従アーム37a、操作アーム37b、および干渉アーム37cは、貫通孔31eを貫通したシャフト37gによって、一体化されている。このような構成により、追従アーム37aと関わるリンク部材35と、操作アーム37bおよび干渉アーム37cと関わるウォークインワイヤ36や押圧部材24とを、互いの干渉を避けながらより効率良く配置することができる。
【0042】
追従アーム37a、操作アーム37bの接続点Pws、および干渉アーム37cの突起37dは、それぞれ回動中心Aswを中心とした円弧状の移動経路で、回動中心Asw回りに一体に回動する。なお、本実施形態では、一例として、操作アーム37bと干渉アーム37cとは、略V字状の一つの部品37fとして構成されている。
【0043】
(切替部材37の移動範囲)
図4,6に示されるように、突起37dは、支持プレート31に設けられたガイドスリット31dに挿入されている。ガイドスリット31dは、切替部材37の回動中心Aswを中心とした円弧状に設けられており、突起37dは、ガイドスリット31dに沿って移動することができる。突起37dの移動範囲、ひいては、切替部材37の移動範囲は、ガイドスリット31dの長手方向(周方向)の両側の端縁によって制限されている。また、
図6に示されるように、ガイドスリット31dの両端間で突起37dの
図6に示される初期位置とは異なる位置には、ガイドスリット31dの幅広部31fが設けられている。突起37dのヘッド部の直径は、ガイドスリット31dの一般部の幅よりも大きく、幅広部31fの幅(直径)よりも小さい。よって、突起37dのヘッド部は、ガイドスリット31d内に、幅広部31fから挿入されうる。
【0044】
(切替機構30の作動)
図9は、切替機構30の車幅方向内方から見た側面図であって、ウォークインレバー16を操作した場合における切替機構30の状態を示す図である。
図10は、切替機構30の車幅方向内方から見た側面図であって、
図7と同じ状態における図、
図11は、切替機構30の車幅方向内方から見た側面図であって、シートバック12が大きく前傾した状態を示す図である。また、
図12は、追従アーム37a、突起35a、および突起37dの動作を示す車幅方向外方から見た側面図である。
【0045】
(ウォークインレバー16の操作に応じたリクライニングロック機構20のアンロック)
乗員がウォークインレバー16の操作を行うと、
図8に示されるように、芯線36aがカバー36bに対してスライドして、接続点Pwwを介して操作レバー33を回動中心Ase回りにリリース方向(方向Cw1)に回動させる。これにより、リクライニングロック機構20が、リクライニングロック状態からリクライニングアンロック状態に切り替わる。
【0046】
(ウォークインレバー16の操作に応じたスライドロック機構のアンロックおよびシートバック12の前傾の維持)
ウォークインレバー16の操作に応じてリクライニングロック機構20がリクライニングロック状態からリクライニングアンロック状態に切り替わると、シートバック12は、スパイラルスプリング18によって前傾方向に付勢されているため、押圧部材24の当接アーム24aは、方向Cw1に回動する。方向Cw1は、第一の方向の一例である。
【0047】
ここで、
図6に示されるように、切替部材37が、初期位置に位置された状態では、突起37dは、押圧部材24の当接アーム24aの移動経路Pt上に位置されている。
【0048】
したがって、
図9に示されるように、方向Cw1に回動する当接アーム24aに押された突起37dひいては切替部材37は、回動中心Asw回りに方向Ccw2に回動する。
【0049】
切替部材37が方向Ccw2に回動すると、切替部材37に含まれる操作アーム37bが方向Ccw2に回動し、スライドリリースワイヤ39の芯線39aを引っ張る。これにより、スライドロック機構がスライドロック状態からスライドアンロック状態に切り替わる。
【0050】
ここで、切替部材37の回動範囲は、ガイドスリット31dによって制限されている。よって、切替部材37は、突起37dがガイドスリット31dの方向Ccw2の端縁(
図9では右側の端縁)と当接した
図9に示される位置で止まる。スパイラルスプリング18によって方向Cw1に付勢された押圧部材24の当接アーム24aも、突起37dの停止に伴って
図9に示される位置で停止し、押圧部材24ひいてはシートバック12は、前傾姿勢で維持される。
【0051】
(リクライニングリリースレバー15の操作に応じたリクライニングロック機構20のアンロック)
図7に示されるように、乗員がリクライニングリリースレバー15の操作部位15aを車両上方へ引き上げる、すなわち乗員がリクライニングリリースレバー15を操作すると、当該リクライニングリリースレバー15は、回動中心Are回りに方向Ccw4に回動し、リンク部材35を初期位置から方向D3に動かす。これにより、当該リンク部材35と接続点Plで接続された操作レバー33が回動中心Ase回りにリリース方向(方向Cw1)に回動し、リクライニングロック機構20が、リクライニングロック状態からリクライニングアンロック状態に切り替わる。
【0052】
(リクライニングリリースレバー15の操作に応じたシートバック12の作動)
トーションスプリング38によって方向Cw2に付勢されることにより、切替部材37の追従アーム37aは、リンク部材35の突起35aに追従する。すなわち、リクライニングリリースレバー15の操作によって、リンク部材35が、
図5に示される初期位置から、
図7に示されるように方向D3へ移動すると、切替部材37はリンク部材35の突起35aに追従して回動中心Asw回りに方向Cw2に回動する。これにより、突起37dは、
図10に示されるように、当接アーム24aの移動経路Ptから外れる。
【0053】
したがって、リクライニングリリースレバー15の操作によって、リクライニングロック機構20がリクライニングロック状態からリクライニングアンロック状態に切り替わった場合にあっては、
図11に示されるように、当接アーム24aは、回動中心Ase回りに回動しても突起37dとは当接しない。よって、シートバック12は、
図2に示されるように、前傾位置Pifと後傾位置Pibとの間で、すなわち、回動可能な範囲の全域で移動することができる。
【0054】
(切替部材37の追従アーム37aとリンク部材35との突起35aとの接触および離間)
切替部材37の可動範囲は、ガイドスリット31dによって定まっている。
図12に示されるように、追従アーム37aは、初期位置P0(
図5)と、初期位置P0から方向Ccw2に離れた第一の位置P1と、初期位置P0から方向Cw2に離れた第二の位置P2(
図7)との間で移動することができる。
【0055】
追従アーム37aは、初期位置P0と第二の位置P2との間で、トーションスプリング38の付勢力によって弾性的に突起35aに押し付けられ、突起35aに追従して動く。よって、上述したように、リクライニングリリースレバー15の操作によって、リンク部材35が、
図5に示される初期位置から、
図7に示されるように方向D3へ移動すると、切替部材37は当該リンク部材35に追従して回動中心Asw回りに方向Cw2に回動する。これにより、突起37dは、
図10に示されるように、当接アーム24aの移動経路Ptから外れる。
【0056】
また、追従アーム37aは、初期位置P0と第一の位置P1との間では、突起35aから離間する。よって、上述したように、
図9に示されるように方向Cw1に回動する押圧部材24の当接アーム24aに切替部材37の突起37dが押され、切替部材37が回動中心Asw回りに方向Ccw2に回動した場合、
図12に示されるように、追従アーム37aは、突起35aから離間する。
【0057】
また、
図12に示されるように、突起35aは、第二の位置P2に位置された追従アーム37aから、リンク部材35の方向D3への動きに伴って、当該方向D3へ離間する。
【0058】
このように、追従アーム37aと突起35aとは、互いに離間することができ、互いの移動区間のうちの特定の範囲のみにおいて、互いに接触しながら移動する。仮に、追従アーム37aおよび突起35a、すなわち切替部材37およびリンク部材35が、離間不能に構成されている場合、リクライニングリリースレバー15やリンク部材35の可動範囲と、切替部材37の可動範囲とを両立するのが難しくなったり、切替部材37の可動範囲と押圧部材24の可動範囲とを両立するのが難しくなったり、切替部材37とリンク部材35との間に構成や動きが複雑な結合機構が必要となったりする虞がある。この点、本実施形態によれば、トーションスプリング38、追従アーム37a、および突起35aを含む比較的簡素な構成によって、リクライニングリリースレバー15やリンク部材35の可動範囲と、切替部材37の可動範囲とを、より好適な範囲に設定しやすくなる。
【0059】
また、仮に、追従アーム37aが、方向D3へ動くリンク部材35の突起35aに第二の位置P2を超えて追従した場合、切替部材37の操作アーム37bの移動範囲が拡大し、例えば、スライドリリースワイヤ39の弛み(座屈による屈曲)が増大する虞がある。この点、本実施形態では、追従アーム37aが突起35aから離間することができるため、スライドリリースワイヤ39の弛みによる不都合な事象、例えば、スライドリリースワイヤ39の他の部品との干渉や、大きな弛みの繰り返しによるスライドリリースワイヤ39の信頼性の低下等を、回避することができる。
【0060】
以上、説明したように、本実施形態では、トーションスプリング38(付勢部材)が、切替部材37の追従アーム37a(第二の押圧部)が方向D3(第三の方向)に動くリンク部材35の突起35a(第二の当接部)に追従するよう、切替部材37を付勢する。よって、本実施形態によれば、切替部材37とリンク部材35とが機械的に連結されることにより切替部材37がリンク部材35に連動する構成、例えば、切替部材37がリンク部材35に引かれることにより方向Cw2に動くような構成と比べて、切替部材37とリンク部材35とが接続される部分の構成、ひいては切替機構30(ロック解除装置)の構成が、より簡素化されやすい。
【0061】
また、本実施形態では、追従アーム37aは、初期位置P0と第一の位置P1との間では突起35aから離間し、初期位置P0と第二の位置P2との間では突起35aと接触する。すなわち、本実施形態では、突起37d(第一の当接部)が押圧部材24に押されて切替部材37が方向Ccw2(第二の方向)に動く場合には、追従アーム37aは突起35aから離間することができる。よって、本実施形態によれば、例えば、追従アーム37aと突起35aとが機械的に連結された構成と比較して、切替機構30の構成が、より簡素化されやすい。
【0062】
また、本実施形態では、追従アーム37aは、初期位置P0と第二の位置P2との間では突起35aと接触し、突起35aは、第二の位置P2に位置された追従アーム37aから、リンク部材35の方向D3(第三の方向)への動きに伴って、方向D3に離間する。よって、本実施形態によれば、例えば、追従アーム37aと突起35aとが機械的に連結された構成と比較して、切替機構30の構成が、より簡素化されやすい。また、スライドリリースワイヤ39の過度な弛みを防止できる。
【0063】
また、本実施形態では、突起37d、追従アーム37a、および接続点Pwsは、それぞれ回動中心Asw(第一の回動中心)を中心とした円弧状の移動経路で、当該回動中心Asw回りに一体に回動する。よって、本実施形態によれば、例えば、切替部材37を比較的簡素に構成することができる。また、突起37d、追従アーム37a、および接続点Pwsが複雑な動きをせず、比較的スムーズに動きやすい。
【0064】
また、本実施形態では、操作レバー33(リリース部材)における接続点Pww、すなわちウォークインレバー16(第一の操作部材)の操作に基づく力を受ける第一の接続箇所が、操作レバー33における接続点Pl、すなわちリクライニングリリースレバー15(第二の操作部材)の操作に基づく力を受ける第二の接続箇所よりも、回動中心Ase(第二の回動中心)から遠くに位置されている。よって、本実施形態によれば、例えば、ウォークインレバー16は、リクライニングレバー15を操作する操作力よりも小さい操作力で、操作することが可能である。このため、例えば、ウォークインレバー16が比較的小さく、操作力のモーメントアームが長く設定され難い場合にあっても、乗員が比較的小さい操作力によってウォークインレバー16を操作することが、可能である。
【0065】
以上、本発明の実施形態を例示したが、上記実施形態は一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。本発明は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。これら様々な形態や変形された形態は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、各構成や形状等のスペック(構造や、種類、方向、形状、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。
【0066】
例えば、付勢部材はトーションスプリングには限定されず、他の形態のスプリングや弾性部材等であってもよい。また、切替部材は、支持プレートにスライド可能に案内されてもよい。また、一方向接続部は、リリース部材に設けられたガイドレールと、伝達部材に設けられガイドレールに沿って動くスライダとを有した構成であってもよい。また、一方向接続部は、長穴とピンとを有した構成には限定されない。なお、第一の方向、第二の方向、および第三の方向は、各部材の動く方向を示すものであり、各方向について関係性は無い。