(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
A.粘着テープの全体構成
図1(a)は、本発明の1つの実施形態による粘着テープの概略平面図であり、
図1(b)は、本発明の1つの実施形態による粘着テープの概略断面図である。粘着テープ100は、第1の基材10と、粘着剤層21とを備える。粘着剤層21は、第1の基材10上に剥離可能に形成されている。また、粘着剤層21は、第1の基材10上でパターン化して形成されている。なお、「剥離可能」とは、粘着剤層21が、被着体(例えば、ポリプロピレンフィルム)に転写され得ることを意味する。図示していないが、本発明の粘着テープは、使用に供するまでの間、粘着面を保護する目的で、粘着剤層の外側に剥離ライナーが設けられていてもよい。
【0009】
図2は、本発明の別の実施形態による粘着テープの概略断面図である。粘着テープ200は、第1の基材10と、第1の基材上に剥離可能に形成された粘着積層体20とを備える。粘着積層体20は、第2の基材22と、第2の基材22の両側に形成された粘着剤層21、21’を含む。この粘着テープ200においても、粘着剤層は、パターン化して形成されている。また、図示していないが、使用に供するまでの間、粘着面を保護する目的で、粘着剤層の外側に剥離ライナーが設けられていてもよい。
【0010】
本発明の粘着テープは、2つの被着体を貼り合せるために用いられ得る。より具体的には、上記粘着テープを一方の被着体(例えば、セパレーター)に貼着した後、第1の基材を剥離することにより、粘着剤層を該被着体に転写する。このようにして転写された粘着剤層に他方の被着体(例えば、電極)を積層して、2つの被着体を貼り合せる。1つの実施形態においては、本発明の粘着テープは、2次電池(例えば、非水系2次電池)製造時に、セパレーター(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等から構成されるセパレーター)に貼着して用いられ、これにより、該セパレーターと電極(例えば、非水系電池用正極、負極等)とを貼り合せることができる。本発明の粘着テープによれば、粘着剤のコーティングによらずに被着体を貼り合せることができ、貼り合せ工程の簡略化が可能となる。
【0011】
上記のとおり、本発明の粘着テープにおいては、粘着剤層がパターン化されている。電池に用いられるセパレーターは、イオンの移動が可能なように多孔質化されているが、セパレーターと電極とを貼り合せる際、粘着剤層がパターン化された本願発明の粘着テープを用いれば、セパレーターの孔の閉塞が防止されて、セパレーターに対する電解液の浸透性が維持される。また、粘着剤層の形成位置が所定の箇所(例えば、端部)に偏ることもないため、セパレーターと電極とを良好に固定することができる。さらに、電池使用時のセパレーターの収縮も有効に防止し得る。
【0012】
上記粘着テープにおいて、粘着剤層から第1の基材を剥離する際の23℃における剥離力は、好ましくは2.00N/50mm以下であり、より好ましくは0.01〜1.00N/50mmである。このような範囲であれば、セパレーターまたは電極に対して、良好に転写し得る粘着テープを得ることができる。「粘着剤層から第1の基材を剥離する際の23℃における剥離力」は、(株)島津製作所製のオートグラフAG−Iなどの既存の引張試験機により測定することができ、引張速度:300mm/min、剥離角度:180°の条件で測定される。
【0013】
本発明の粘着テープを構成する粘着剤層(パターン化された粘着剤層)により、非水系電池の電極シートと多孔質フィルムとを貼り合せた際の25℃におけるせん断粘着力は、好ましくは1.85N/cm
2以上であり、より好ましくは2.00N/cm
2以上である。当該せん断粘着力が、1.85N/cm
2未満の場合、非水系電池製造工程中で、セパレーターと電極とがズレる、これらの部材が剥離する等の問題が生じるおそれがある。当該せん断粘着力は、高いほど好ましいが、その上限値は、例えば、500N/cm
2である。本発明においては、パターン化することにより粘着剤層が偏りなく形成されているため、該粘着剤層はせん断粘着力に優れる。せん断粘着力は、(株)島津製作所製のオートグラフAG−Iなどの既存の引張試験機により測定することができる。
【0014】
非水系電池には、セパレーターとして多孔質フィルムが用いられ、一般にその気孔率は30〜80%である。上記粘着テープの第1の基材から、当該多孔質フィルムに、粘着剤層を転写した際、該多孔質シートの気孔率変化(転写前の気孔率(%)−転写後の気孔率(%))は、好ましくは50%以下であり、より好ましくは0%〜30%である。本発明においては、パターン化された粘着剤層が形成されていることにより、セパレーター(多孔質フィルム)の通気性を維持することができる。
【0015】
B.粘着剤層
上記のとおり、粘着剤層は、パターン化されて形成される。パターン形状としては、第1の基材の一部のみが覆われるようにして粘着剤層が形成される限り、任意の適切な形状をとり得る。粘着剤層のパターン形状としては、例えば、ドット状(
図3(a)〜(e))、ストライプ状(
図3(f))、格子状(
図3(g))、ヘアライン状、これらの組み合わせ等が挙げられる。パターン形状の構成要素(例えば、ドット形状を形成するドット、ストライプ形状または格子形状を形成するライン)は、第1の基材上の全域に分布していることが好ましい。1つの実施形態において、粘着剤層は、ドット状に形成され得る。このような粘着剤層パターンは、例えば、粘着剤をスプレー塗布して形成することができる。ドット状にパターンを形成した場合、ドットとドットとの間隔は、例えば、0.1〜100mmであり、好ましくは1〜50mmである。このような範囲であれば、セパレーターに粘着剤層を転写した際に、セパレーターの孔の閉塞がより有効に防止されて、セパレーターに対する電解液の浸透性を高くすることができる。本発明においては、粘着剤層をパターン化することにより粘着剤層が偏りなく形成されているため、セパレーターの収縮を防止することができる。
【0016】
平面視において、粘着剤層の面積割合は、第1の基材の面積に対して、好ましくは5%〜90%であり、より好ましくは10%〜80%であり、さらに好ましくは20%〜50%である。このような範囲であれば、セパレーターに粘着剤層を転写した際に、セパレーターの孔の閉塞が防止されて、セパレーターに対する電解液の浸透性が維持される。
【0017】
粘着剤層の厚みは、好ましくは1μm〜30μmであり、より好ましくは3μm〜10μmである。このような範囲であれば、電極およびセパレーターに対する粘着力に優れる粘着剤層を形成することができる。
【0018】
本発明の粘着テープを構成する上記粘着剤層の25℃におけるタック値は、好ましくは10N以下であり、より好ましくは8N以下であり、特に好ましくは5N以下である。当該タック値が、10Nを超えると、非水系電池製造工程中でのハンドリング性が悪くなるおそれがある。当該タック値は小さいほど好ましく、その下限値は、例えば、0Nである。なお、上記タック値は、プローブタック法により、(株)レスタ社製のタッキング試験機を使用して、測定される。
【0019】
1つの実施形態においては、上記粘着剤層は、熱溶着型粘着剤を含む。熱溶着型粘着剤を含む粘着剤層は、常温では粘着性を示さず、加熱することにより(例えば、40℃〜150℃での加熱により)粘着性を発現する。このような粘着剤層を用いれば、電池製造工程上でのハンドリング性に優れる粘着テープを得ることができる。また、別の実施形態においては、上記粘着剤層は、感圧型粘着剤を含み得る。
【0020】
上記熱溶着型粘着剤は、本発明の効果が得られる限りにおいて、任意の適切なベースポリマーを含む。熱溶着型粘着剤に含まれるベースポリマーとしては、例えば、熱可塑性エラストマーが挙げられる。
【0021】
上記熱溶着型粘着剤において、熱可塑性エラストマーの含有割合は、熱溶着型粘着剤中のベースポリマー100重量部に対して、好ましくは80重量部〜100重量部であり、より好ましくは90重量部〜100重量部であり、さらに好ましくは95重量部〜100重量部である。このような範囲であれば、粘着性に優れ、電解液中においても被着体保持性に優れる粘着テープを得ることができる。
【0022】
熱可塑性エラストマーの軟化点は、好ましくは100℃以下であり、より好ましくは30℃〜100℃であり、さらに好ましくは50℃〜95℃であり、特に好ましくは60℃〜95℃である。このような範囲であれば、貼着時の加熱による被着体へのダメージを低減し得、かつ、作業性に優れる粘着テープを得ることができる。軟化点は、環球式測定法や熱機械分析法(TMA)などにより測定することができる。
【0023】
熱可塑性エラストマーを形成するモノマー成分としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン等の炭素数2〜10の程度(好ましくは、炭素数2〜4)のα−オレフィン;スチレン等を挙げることができる。熱可塑性エラストマーとしては、例えば、上記モノマー成分の単独重合体;上記モノマー成分から選択される2種類以上のモノマー成分のランダム重合体またはブロック重合体;上記モノマー成分とその他のモノマー成分とのランダム、ブロック、又はグラフト重合体;これらの混合物等が挙げられる。
【0024】
1つの実施形態においては、上記熱可塑性エラストマーは、α−オレフィンおよび/またはスチレンから構成されるランダム重合体またはブロック重合体である。このような熱可塑性エラストマーとしては、例えば、直鎖状短鎖分岐ポリエチレン(LLDPE)、エチレン−プロピレン共重合体、プロペン−ブテン共重合体、エチレン−スチレン共重合体、エチレン−ブテン−スチレン共重合体、エチレン−プロピレン−スチレン共重合体等が挙げられる。このような熱可塑性エラストマーを用いれば、粘着性に優れる粘着テープを得ることができる。
【0025】
上記熱可塑性エラストマーとして、市販品を用いてもよい。熱可塑性エラストマーの市販品としては、例えば、東亜合成社製の商品名「アロンメルト PPET1600」;クレイトンポリマージャパン社製の商品名「クレイトンポリマーFG1924GT」、「クレイトンポリマーFG1901X」;旭化成ケミカルズ社製の商品名「タフテックM1913」、「タフテックM1943」;東洋紡績社製の商品名「トーヨータック PMA-L」等が挙げられる。
【0026】
1つの実施形態においては、熱可塑性エラストマーとして、酸変性熱可塑性エラストマー、カルボニル変性熱可塑性エラストマー、水酸基変性熱可塑性エラストマー、アミン変性熱可塑性エラストマー等が用いられる。なかでも、酸変性熱可塑性エラストマーが好ましく用いられる。
【0027】
上記酸変性熱可塑性エラストマーは、熱可塑性エラストマーに不飽和カルボン酸および/またはその酸無水物をグラフト重合して得られ得る。より詳細には、酸変性熱可塑性エラストマーは、例えば、主鎖となる熱可塑性エラストマーに、側鎖としての不飽和カルボン酸および/またはその酸無水物が結合して形成され得る。
【0028】
上記酸変性熱可塑性エラストマーのグラフト率は、公知の溶融混練方法により適宜調整することができる。酸変性熱可塑性エラストマーのグラフト率は、例えば、グラフトされる熱可塑性エラストマーに対して0.05重量%〜10重量%であり、好ましくは0.1重量%〜5重量%である。このような範囲であれば、セパレーターと電極とを貼り合せる粘着剤層として適度な粘着力を有する粘着剤層を形成することができる。
【0029】
上記熱溶着型粘着剤は、粘着付与剤をさらに含んでいてもよい。粘着付与剤としては、例えば、ロジン誘導体樹脂、ポリテルペン樹脂、石油樹脂、油溶性フェノール樹脂等を挙げることができる。なかでも好ましくは、石油樹脂(芳香族系石油樹脂、脂肪族系石油樹脂等)である。特に、電解液成分との反応性が低く、電解液の劣化を引き起こしにくい点で、水素添加石油樹脂(飽和脂肪族炭化水素樹脂または芳香族炭化水素樹脂)が好ましい。
【0030】
上記粘着付与剤の軟化点は、好ましくは100℃〜150℃であり、より好ましくは110℃〜140℃であり、さらに好ましくは115℃〜135℃である。
【0031】
上記熱溶着型粘着剤において、上記粘着付与剤の含有割合は、熱溶着型粘着剤中のベースポリマー100重量部に対して、好ましくは5重量部〜50重量部であり、より好ましくは10重量部〜30重量部であり、さらに好ましくは15重量部〜30重量部である。このような範囲であれば、比較的低温(例えば、50℃〜150℃)での加熱であっても、粘着性を示し得る粘着テープを得ることができる。
【0032】
上記感圧型粘着剤は、本発明の効果が得られる限りにおいて、任意の適切な粘着性ベースポリマーを含む。感圧型粘着剤に含まれるベースポリマーとしては、例えば、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、シリコーン系樹脂等が挙げられる。
【0033】
上記アクリル系樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含むモノマー成分を重合して得られるアクリル系樹脂が挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシルなどのアルキル基の炭素数が4〜20の直鎖または分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル等を挙げることができる。これらの中でも、被着体に対する接着性や貼り合せ作業性の観点から、アルキル基の炭素数が5〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、より好ましくは、アクリル酸n−ブチルまたはアクリル酸2−エチルヘキシル(2EHA)である。
【0034】
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有割合は、アクリル系樹脂の重合に用いるモノマー成分100重量部に対して、好ましくは50重量部〜100重量部であり、より好ましくは70重量部〜100重量部である。
【0035】
上記アクリル系樹脂は、凝集力、耐熱性、架橋性等の改質を目的として、必要に応じて、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な他のモノマー由来の構成単位を含んでいてもよい。このような他のモノマーとして、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、カルボキシエチルアクリレートなどのカルボキシル基含有モノマー;無水マレイン酸、無水イコタン酸などの酸無水物基含有モノマー;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチルなどのヒドロキシル基含有モノマー;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミドなどのアミド系モノマー;ビニルエステル系モノマー;スチレン系モノマー;ビニルエーテル系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアノアクリレート系モノマー;(メタ)アクリル酸グリシジルなどのエポキシ基含有アクリル系モノマー;オレフィン系モノマー;ジエン系モノマー;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチルなどのアミノ基含有モノマー;(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;N−ビニルピロリドン、N−メチルビニルピロリドン、N−ビニルピリジン、N−ビニルピペリドンなどの窒素原子含有環を有するモノマー;N−ビニルカルボン酸アミド類;スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸などのスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートなどのリン酸基含有モノマー;マレイミド系モノマー;イタコンイミド系モノマー;N−(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクルロイル−6−オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−8−オキシオクタメチレンスクシンイミドなどのスクシンイミド系モノマー;グリコール系アクリルエステルモノマー;(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルなどの酸素原子含有複素環を有するモノマー;フッ素系(メタ)アクリレートなどのフッ素原子を含有するアクリル酸エステル系モノマー;シリコーン系(メタ)アクリレートなどのケイ素原子を含有するアクリル酸エステル系モノマー;ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、多官能エポキシアクリレート、多官能ポリエステルアクリレート、多官能ポリウレタンアクリレート、ジビニルベンゼン、ブチルジ(メタ)アクリレート、ヘキシルジ(メタ)アクリレートなどの多官能モノマー等が挙げられる。これらの単量体成分は、単独で、または2種以上組み合わせて用いてもよい。なかでも、ヒドロキシル基またはカルボキシル基含有モノマーが好ましく用いられ、より好ましくは、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル又はアクリル酸(AA)である。
【0036】
上記ヒドロキシル基含有モノマーの含有割合は、アクリル系樹脂の重合に用いるモノマー成分100重量部に対して、好ましくは10重量部未満であり、より好ましくは5重量部以下であり、さらに好ましくは2重量部以下である。上記カルボキシル基含有モノマーの含有割合は、アクリル系樹脂の重合に用いるモノマー成分100重量部に対して、好ましくは20重量部未満であり、より好ましくは5重量部以下である。
【0037】
上記アクリル系樹脂の重量平均分子量は、好ましくは5万〜500万であり、より好ましくは10万〜200万、さらに好ましくは20万〜150万である。重量平均分子量が5万未満の場合、粘着剤成分が非水系電解液中に溶出するおそれがある。また、重量平均分子量が500万を超える場合、十分な接着性を発現できなくなるおそれがある。上記重量平均分子量は、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)により測定される。測定条件は下記の通りである。なお、重量平均分子量はポリスチレン換算により算出した。
測定装置:HLC−8120GPC(製品名、東ソー社製)
カラム:TSKgel GMH−H(S)×2(品番、東ソー社製)
流量:0.5ml/min
注入量:100μl
カラム温度:40℃
溶離液:THF
注入試料濃度:0.1重量%
検出器:示差屈折計
【0038】
上記ゴム系樹脂としては、天然ゴム系樹脂;イソプレンゴム、ポリイソブチレンゴム、ブチルゴム、エチレン・プロピレンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、スチレン・イソプレンゴム、スチレン・エチレン・プロピレン・スチレンゴム、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレンブロック共重合体、スチレン・エチレン・プロピレン・スチレンブロック共重合体、スチレン・エチレン・プロピレンブロック共重合体、再生ゴムや、これらの変性体等の合成ゴム系樹脂(ブロック共重合体、及びランダム共重合体を含む)等を挙げることができる。これらのゴム系樹脂は、単独で、または2種以上組み合わせて用いてもよい。なかでも、電解液成分との反応性が低く、電解液の劣化を引き起こしにくいという点で、ブチルゴム又はポリイソブチレンゴムが好ましい。
【0039】
上記シリコーン系樹脂としては、例えば、オルガノポリシロキサンを主成分とするシリコーンゴムやシリコーンレジン、または、これらにシロキサン系架橋剤、過酸化物系架橋剤などの架橋剤を添加して架橋・重合したもの等が挙げられる。
【0040】
1つの実施形態においては、上記粘着剤層を構成する粘着剤として、電解液(例えば、電解質としてLiPF
6および/またはLiBF
4を含み、溶媒としてエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の環状炭酸エステル、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートなどの鎖状炭酸エステルを任意の適切な割合で混合して得られた溶媒を含む電解液)に膨潤し得る粘着剤が用いられる。電解液に膨潤し得る粘着剤を用いてセパレーターと電極とから構成される電極部材を形成すれば、該電極部材は、電池に用いられた際、粘着剤層が電解液中で膨潤することにより、制振性に優れる。このような効果は、パターン化された粘着剤層を被着体に転写する形態、すなわち、被着体面の全面には粘着剤層を形成しない形態において、特に有用である。電解液に膨潤し得る粘着剤としては、例えば、側鎖に炭素数4以下のアルキル基を持つアクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤等の非水系電解液と親和性が高い粘着剤が挙げられる。
【0041】
電解液に膨潤し得る粘着剤は、非水系電解液に対する膨潤度が、5〜200%であることが好ましく、10〜100%であることがより好ましく、30〜150%であることがさらに好ましい。なお、本明細書において、膨潤度とは、1.4モル濃度のLiPF
6を含むエチレンカーボネート/ジエチルカーボネート混合溶媒[エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート(体積比)=1/1]を用い、液温60℃、浸漬時間8時間における粘着剤の厚み変化を意味する。
【0042】
上記粘着剤層は、必要に応じて、任意の適切な添加剤を含み得る。該添加剤としては、例えば、架橋剤、粘着付与剤、可塑剤(例えば、トリメリット酸エステル系可塑剤、ピロメリット酸エステル系可塑剤)、顔料、染料、充填剤、老化防止剤、導電材、紫外線吸収剤、光安定剤、剥離調整剤、軟化剤、界面活性剤、難燃剤、酸化防止剤、溶剤等が挙げられる。
【0043】
C.第1の基材
上記第1の基材は、上記粘着剤層が剥離可能に形成され得る限りにおいて、任意の適切な材料から構成され得る。第1の基材としては、例えば、織布、不織布等の繊維系基材;紙系基材;樹脂フィルム等のプラスチック系基材等が挙げられる。また、発泡シート等の発泡体を基材として用いてもよい。さらに、複層構成の基材であってもよい。基材が複層の形態を有する場合、各層は同一の基材であってもよく、異なる基材を組み合わせてもよい。
【0044】
上記第1の基材の厚みは、好ましくは25μm〜75μmである。このような範囲であれば、被着体に粘着剤層を転写する際の作業性に優れる粘着テープを得ることができる。
【0045】
D.第2の基材
上記第2の基材を構成する材料としては、任意の適切な材料が用いられ得る。第2の基材としては、例えば、織布、不織布等の繊維系基材;紙系基材;樹脂フィルム等のプラスチック系基材等が挙げられる。なかでも、電解液に溶解しにくく、電解液の劣化を引き起こしにくい点でプラスチック系基材を用いることが好ましく、特に、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイド、またはポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン等)から形成されるプラスチック系基材を用いることが好ましい。また、安価である点で、ポリプロピレンから形成されるプラスチック系基材を用いることが好ましい。第2の基材は、複層構成の基材であってもよい。基材が複層の形態を有する場合、各層は同一の基材であってもよく、異なる基材を組み合わせてもよい。
【0046】
上記第2の基材の厚みは、例えば、10〜50μmである。
【0047】
E.粘着テープの製造方法
上記粘着テープは、任意の適切な方法により製造され得る。例えば、上記粘着テープは、第1の基材上に、粘着剤層形成用組成物を塗工して得ることができる。また、第2の基材の両面に、粘着剤層形成用組成物を塗工して、粘着剤層を形成し、一方の粘着剤層と第1の基材を貼り合わせることにより、粘着テープを製造してもよい。粘着剤層形成用組成物は、上記粘着剤、および任意の適切な添加剤を含む。
【0048】
粘着剤層形成用組成物の塗工方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。例えば、スクリーン印刷、スプレー塗工、グラビア塗工、フレキソ塗工、ダイコーター等の方法により、粘着剤層形成用組成物を塗工して、パターン化された粘着剤層が形成される。
【実施例】
【0049】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。実施例における評価方法は以下のとおりである。また、実施例において、特に明記しない限り、「部」および「%」は重量基準である。
【0050】
[実施例1]
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた四つ口フラスコにアクリル酸2−エチルヘキシル/アクリル酸(95重量部/5重量部)、開始剤として過酸化ベンゾイル0.2重量部、酢酸エチル120重量部を仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入し、フラスコ内の液温を60℃付近に保って約6時間重合反応を行い、重量平均分子量130万のアクリル系共重合体(1)を得た。
アクリル系共重合体(1)100重量部を含む樹脂組成物(2)に、イソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン社製、商品名「コロネートL」)2重量部、酢酸エチルを添加し、固形分10%の粘着剤(1)を調整した。
粘着剤組成物(1)をポリエステル樹脂から構成される第1の基材(東レフィルム加工(株)社製、商品名「セラピールMD」、厚み:38μm)に、上記粘着剤(1)をドット状に塗布した。その後、塗布層を乾燥させて、第1の基材と、該第1の基材上でドット状にパターン化して形成された粘着剤層(厚み:5μm、第1の基材の面積に対する粘着剤層の合計面積の割合(以下、粘着剤層の面積割合ともいう):25%、ドットの間隔:30mm)とを備える粘着テープ(1)を得た。
【0051】
[実施例2]
粘着剤層の厚みを30μmとしたこと以外は、実施例1と同様にして、粘着テープ(2)を得た。
【0052】
[実施例3]
水添スチレン系熱可塑性エラストマー(旭化成ケミカルズ(株)社製、商品名「タフテックM1913」重量平均分子量:11万)100重量部に、脂環族飽和炭化水素樹脂(荒川化学工業(株)社製、商品名「アルコンP125」)30重量部、トルエンを添加して、固形分10%の熱溶着型粘着剤(1)を得た。
ポリエステル樹脂から構成される第1の基材東レフィルム加工(株)社製、商品名「セラピールMD」、厚み:38μm)に、上記熱溶着型粘着剤(1)をドット状に塗布した。その後、塗布層を乾燥させて、第1の基材と、該第1の基材上でドット状にパターン化して形成された粘着剤層(厚み:1μm、粘着剤層の面積割合:50%、ドットの間隔:5mm)とを備える粘着テープ(3)を得た。
【0053】
[実施例4]
粘着剤層の厚みを3μmとし、第1の基材の面積に対するドットの合計面積の割合を30%としたこと以外は、実施例4と同様にして、粘着テープ(4)を得た。
【0054】
[実施例5]
ポリオレフィン系粘着剤(東洋紡社製、商品名「トーヨータック PMA−L」重量平均分子量8万)100重量部に、脂環族飽和炭化水素樹脂(荒川化学工業(株)社製、商品名「アルコンP125」)30重量部とトルエンを添加して、固形分10%の熱溶着型粘着剤(2)を得た。
ポリエステル樹脂から構成される第1の基材(東レフィルム加工(株)社製、商品名「セラピール」、厚み:38μm)に、上記熱溶着型粘着剤をドット状に塗布した。その後、塗布層を乾燥させて、第1の基材と、該第1の基材上でドット状にパターン化して形成された粘着剤層(厚み:1μm、粘着剤層の面積割合:50%、ドットの間隔:50mm)とを備える粘着テープ(5)を得た。
【0055】
[実施例6]
粘着剤層の厚みを3μmとしたこと以外は、実施例5と同様にして、粘着テープ(6)を得た。
【0056】
[実施例7]
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた四つ口フラスコに2−エチルヘキシルアクリレート/エチルアクリレート/2−ヒドロキシエチルアクリレート/N−フェニルマレイミド=30重量部:70重量部:4重量部:10重量部)開始剤として過酸化ベンゾイル0.2重量部、トルエン200重量部とを加え、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入し、フラスコ内の液温を60℃付近に保って約6時間重合反応を行い、重量平均分子量50万のアクリル系共重合体(2)を得た。アクリル系共重合体(2)100重量部に、ポリイソシアネート系化合物(日本ポリウレタン社製、商品名「コロネートL」)2重量部、粘着付与樹脂スミライトレジン12603N(住友ベークライト(株)製)20重量部、トルエンを添加して、固形分10%の熱溶着型粘着剤(3)を得た。
ポリエステル樹脂から構成される第1の基材(三菱樹脂(株)社製、商品名「ダイアホイルMRF」、厚み:38μm)に、上記熱溶着型粘着剤(3)を、ドット状に塗布した。その後、塗布層を乾燥させて、第1の基材と、該第1の基材上でドット状にパターン化して形成された粘着剤層(厚み:3μm、粘着剤層の面積割合:60%、ドットの間隔:2mm)とを備える粘着テープ(7)を得た。
【0057】
[実施例8]
ゴム系粘着剤(BASFジャパン(株)製 商品名オパノールB80 重量平均分子量75万)100重量部に低分子量成分として(BASFジャパン(株)製 商品名オパノールB12SFN 重量平均分子量5万)30重量部とトルエンを添加して、固形分10%の粘着剤(2)を得た。
ポリエステル樹脂から構成される第1の基材(三菱樹脂(株)社製、商品名「ダイアホイルMRF」、厚み:38μm)に、上記粘着剤(2)を、ストライプ状に塗布した。その後、塗布層を乾燥させて、第1の基材と、該第1の基材上でストライプ状にパターン化して形成された粘着剤層(厚み:25μm、粘着剤層の面積の割合:70%、ストライプの間隔:100mm)とを備える粘着テープ(8)を得た。
【0058】
[実施例9]
ゴム系粘着剤(BASFジャパン(株)製 商品名オパノールB50 重量平均分子量34万)100重量部に脂環族飽和炭化水素樹脂(荒川化学工業(株)社製、商品名「アルコンP125」)30重量部、トルエンを添加して、固形分15%の粘着剤(3)を得た。
ポリエステル樹脂から構成される第1の基材(三菱樹脂(株)社製、商品名「ダイアホイルMRF」、厚み:38μm)に、上記粘着剤(3)を、ドット状に塗布した。その後、塗布層を乾燥させて、第1の基材と、該第1の基材上でストライプ状にパターン化して形成された粘着剤層(厚み:10μm、粘着剤層の面積割合:40%、ストライプの間隔:20mm)とを備える粘着テープ(9)を得た。
【0059】
[実施例10]
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた四つ口フラスコにブチルアクリレート/エチルアクリレート/メタクリル酸メチル/アクリル酸=100重量部/25重量部/5重量部/4重量部)開始剤として2,2-アゾジイソブチロニトリル0.2重量部、酢酸エチル150重量部とを加え、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入し、フラスコ内の液温を60℃付近に保って約6時間重合反応を行い、重量平均分子量110万のアクリル系共重合体(3)を得た。アクリル系共重合体(3)100重量部に、ポリイソシアネート系化合物(日本ポリウレタン社製、商品名「コロネートL」)2重量部、酢酸エチルを添加して、固形分10%の粘着剤(4)を得た。
ポリエステル樹脂から構成される第1の基材(東レフィルム加工(株)社製、商品名「セラピールMD」、厚み:38μm)に、上記粘着剤(4)をドット状に塗布した。その後、塗布層を乾燥させて、第1の基材と、該第1の基材上でドット状にパターン化して形成された粘着剤層(厚み:3μm、粘着剤層の面積割合:10%、ドットの間隔:10mm)とを備える粘着テープ(10)を得た。
【0060】
[実施例11]
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた四つ口フラスコにブチルアクリレート/アクリル酸=95重量部/5重量部)開始剤として2,2-アゾジイソブチロニトリル0.2重量部、酢酸エチル150重量部とを加え、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入し、フラスコ内の液温を60℃付近に保って約6時間重合反応を行い、重量平均分子量120万のアクリル系共重合体(4)を得た。アクリル系共重合体(4)100重量部に、ポリイソシアネート系化合物(日本ポリウレタン社製、商品名「コロネートL」)2重量部、酢酸エチルを添加して、固形分10%の粘着剤(5)を得た。
ポリエステル樹脂から構成される第1の基材(東レフィルム加工(株)社製、商品名「セラピールMD」、厚み:38μm)に、上記粘着剤(4)をドット状に塗布した。その後、塗布層を乾燥させて、第1の基材と、該第1の基材上でドット状にパターン化して形成された粘着剤層(厚み:1μm、粘着剤層の面積割合:50%、ドットの間隔:5mm)とを備える粘着テープ(11)を得た。
【0061】
[実施例12]
粘着剤層の厚みを3μmとしたこと以外は、実施例11と同様にして、粘着テープ(12)を得た。
【0062】
[実施例13]
アクリル系粘着剤(クラレ(株)製 商品名クラリティLA2140 重量平均分子量8万)100重量部に酢酸エチルを添加して、固形分15%の熱溶着型粘着剤(4)を得た。
ポリエステル樹脂から構成される第1の基材(三菱樹脂(株)社製、商品名「ダイアホイルMRF」、厚み:38μm)に、熱溶着型粘着剤(4)を、ドット状に塗布した。その後、塗布層を乾燥させて、第1の基材と、該第1の基材上でストライプ状にパターン化して形成された粘着剤層(厚み:5μm、粘着剤層の面積割合:30%、ストライプの間隔:5mm)とを備える粘着テープ(13)を得た。
【0063】
[実施例14]
粘着剤層の厚みを50μmとしたこと以外は、実施例1と同様にして、粘着テープ(14)を得た。
【0064】
[実施例15]
ドットの面積割合を2%としたこと以外は、実施例1同様にして、粘着テープ(15)を得た。
【0065】
[比較例1]
ドットの面積割合を100%としたこと以外は、実施例1と同様にして、粘着テープ(16)を得た。
【0066】
[参考例1]
粘着剤層の厚みを0.2μmとし、ドットの面積割合を50%としたこと以外は、実施例1と同様にして、粘着テープ(17)を得た。
【0067】
<評価>
実施例、比較例および参考例で得られた粘着テープを用いて下記の試験体を作製し、該試験体を下記の評価に供した。結果を表1に示す。
【0068】
(I)試験体aの作製
実施例及び比較例で得られた粘着テープの粘着剤層側を、セパレーター(非水系電池用多孔質膜、ポリプロピレンセパレーター、Celgard社製、商品名「Celgard」、厚み25μm、空孔率41%)の表面に貼着し、粘着テープとセパレーターとから構成される試験体a(第1の基材/粘着剤層/セパレーター)を得た。なお、熱溶着型粘着剤で構成される粘着剤層を用いた実施例および比較例は70℃で、セパレーターと粘着テープとを圧着し、それ以外の実施例および比較例は25℃で圧着した。
(II)試験体Aの作製
上記試験体aから第1の基材を剥離し、露出した粘着剤層面に、非水系電池用電正極箔(パイオトレック(株)製、活物質:LiNiCoMnO
2(1.5mAh/cm
2))を貼着し、0.4MPaの圧力を2秒間負荷して、試験体A(正極箔/粘着剤層/セパレーター)を得た。なお、熱溶着型粘着剤で構成される粘着剤層を用いた実施例および比較例は70℃で圧着し、それ以外の実施例および比較例は25℃で圧着した。
(III)試験体Bの作製
非水系電池用電正極箔に代えて、活物質がグラファイト(1.6mAh/cm
2)である負極箔を用い、上記(II)と同様の方法により試験体B(負極箔/粘着剤層/セパレーター)を作製した。
【0069】
(1)セパレーターの閉塞
上記試験体aから第1の基材を剥離し、セパレーター表面を目視により確認した。電池に適用した際に、セパレーターの機能を阻害し、電池性能に悪影響がでるほどにセパレーターの孔が閉塞されている場合を不合格(表1中、×)、セパレーターとしての機能を有しつつ粘着剤層が形成されている場合を合格(表1中、〇)とした。
【0070】
(2)タック値
上記試験体aから第1の基材を剥離し、露出した粘着剤層表面について、プローブタック法により、タック値を測定した。なお、タック値は、タッキング試験機((株)レスカ製)を使用して、下記条件下で測定した。
<測定条件>
温度:25℃
プローブ材質:SUS
プローブ形状:円柱状(5mmφ)
加圧(圧縮)速度:30mm/min
測定(離脱)速度:30mm/min
プリロード:100gf
加圧(圧縮)時間:1秒
【0071】
(3)膨潤度
1.4モル濃度のLiPF
6含み、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの混合溶媒(体積比=1:1)からなる電解液を調製した。
上記試験体Aを、該電解液(温度:60℃)に、8時間浸漬し、下記式により浸漬前後の厚み変化率から粘着剤層の膨潤度を算出した。
膨潤度(厚み変化率(%))={(T2−T1)/T1}×100
T1:浸漬前の粘着剤層厚み
T2:浸漬後の粘着剤層厚み
【0072】
(4)第1の基材の剥離力
上記試験体aから第1の基材を剥離する際の剥離力を、精密万能試験機((株)島津製作所製、商品名「オートグラフAG−I」)を使用し、温度25℃、引張速度300mm/min、引張角度180°の条件で、測定した。
【0073】
(5)せん断粘着力
上記試験体Aについて、精密万能試験機((株)島津製作所製、商品名「オートグラフAG−I」を使用し、温度25℃、引張速度300mm/minの条件で、せん断粘着力(正極/セパレーター)を測定した。
また、試験体Bについて、上記と同様の方法により、せん断粘着力(負極/セパレーター)を測定した。
なお、表1においては、単位粘着面積当たりのせん断粘着力を示している(N/cm
2)。
【0074】
(6)ハンドリング性
上記試験体Aおよび試験体Bを、手で持ち上げて軽く振った際に、電極箔とセパレーターがずれるかどうかを、以下の基準で評価した。
〇:電極箔とセパレーターとがずれない
△:電極箔とセパレーターとがずれるものの、実用上許容可能である
×:電極箔とセパレーターとが著しくずれ、実用上許容不可である
【0075】
【表1】
【0076】
表1から明らかなように、本発明の粘着テープを用いれば、セパレーターの閉塞を防止してセパレーターに対する電解液の浸透性を維持させつつ、セパレーターと電極とを良好に固定し得る粘着テープを得ることができる。なお、参考例1の粘着テープは、粘着剤層が、第1の基材上で剥離可能に形成されておらず、電池製造用途には不適であった。