(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
底壁部と、前記底壁部の幅方向の両端のそれぞれから車両上方に突出した二つの外壁部と、前記外壁部のそれぞれの上端と接続された二つの頂部と、前記頂部の前記幅方向の内方端と接続され車両下方に突出した二つの第1内壁部と、を有し、前記幅方向および車両上下方向と交差した第1方向に延びたレールと、
前記レールの前記第1方向の一端に上方から取り付けられ、天面を有するとともに前記頂部を車両上方から覆う天壁部と、前記天壁部から対向する前記二つの第1内壁部の間に挿入可能で車両下方に突出した突出部と、前記突出部に設けられ前記天面と繋がり前記レールの前記第1方向の他端に向かって前記底壁部に近付くように延びた傾斜面と、を有したキャップと、
を備えた、車両用スライドレール構造。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、一つの実施形態について、
図1乃至
図13を参照して説明する。なお、本明細書において、実施形態に係る構成要素及び当該要素の説明について、複数の表現が記載されることがある。複数の表現がされた構成要素及び説明は、記載されていない他の表現がされても良い。さらに、複数の表現がされない構成要素及び説明も、記載されていない他の表現がされても良い。
【0014】
図1は、一つの実施形態に係る車両1の一部の一例を示す斜視図である。
図1に示すように、車両1の内部に、フロア11と、シート12と、二つのロングスライドレール13とが設けられる。ロングスライドレール13は、車両用スライドレール構造の一例である。
図1は、二つのロングスライドレール13のうち一方を示す。
【0015】
シート12は、二つのロングスライドレール13を介して、フロア11に設置される。
図1に示されるシート12は、例えば、車両1の助手席として用いられるシートである。シート12はこの例に限らず、例えば、複数の乗員が着席可能な後部座席であっても良い。
【0016】
図2は、一つの実施形態のロングスライドレール13の一例を示す斜視図である。
図2は、二つのロングスライドレール13のうち一方を示す。二つのロングスライドレール13は、
図2に示される共通の構造を有するが、互いに異なる構造を有しても良い。
【0017】
なお、以下の説明において、各図面に示されるように、互いに直交する三方向が定義されている。X方向は、ロングスライドレール13の幅に沿う。Y方向は、ロングスライドレール13の長さ(長手方向)に沿う。Z方向は、ロングスライドレール13の高さに沿う。X方向は、幅方向の一例である。Y方向は、第1方向の一例である。Z方向は、車両上方に相当する。
【0018】
また、以下の説明では、X方向(右方向)及びその反対方向(左方向)は、横方向とも称される。また、Y方向(前方向)及びその反対方向(後方向)は、前後方向又は長手方向とも称される。また、Z方向(上方向)及びその反対方向(下方向)は、縦方向又は上下方向とも称される。
【0019】
図2に示すように、ロングスライドレール13は、アッパレール21と、ロアレール22と、二つのエンドキャップ23とを有する。ロアレール22は、レールの一例である。エンドキャップ23は、キャップの一例である。アッパレール21及びロアレール22はそれぞれ、前後方向に延びる。前後方向において、アッパレール21は、ロアレール22よりも短い。
【0020】
二つのアッパレール21は、
図1に示すシート12のシートクッション12aの、横方向における両側に取り付けられる。例えば、アッパレール21は、シートクッション12aのクッションを支持するフレームに、ボルトによって取り付けられる。
【0021】
二つのロアレール22は、フロア11に取り付けられる。ロアレール22にアッパレール21が嵌め込まれることで、ロアレール22は、前後方向に相対的に移動可能にアッパレール21を支持する。
【0022】
図3は、一つの実施形態のアッパレール21の一例を示す斜視図である。
図4は、一つの実施形態のアッパレール21の一例を示す側面図である。
図5は、一つの実施形態のアッパレール21の一例を分解して示す斜視図である。
【0023】
図5に示すように、アッパレール21に、ロック部25と、複数の転動ユニット26とが設けられる。本実施形態では、アッパレール21に四つの転動ユニット26が設けられる。転動ユニット26の数はこの例に限らない。
【0024】
図6は、一つの実施形態のロングスライドレール13の一例を
図4のF6-F6線に沿って示す断面図である。
図7は、一つの実施形態のロングスライドレール13の一例を
図4のF7‐F7線に沿って示す断面図である。
【0025】
図6及び
図7に示すように、アッパレール21は、例えば、曲げ加工された一つの板金によって作られる。なお、アッパレール21はこの例に限らない。アッパレール21は、上壁部21aと、二つの第1側部21bと、二つの第1連結部21cと、二つの第2側部21dと、二つの曲部21eと、二つの第3側部21fと、二つの第2連結部21gと、二つの第4側部21hと、二つの第3連結部21iと、二つの第5側部21jと、を有する。
【0026】
上壁部21aは、X‐Y平面上に広がる板状の部分である。第1側部21bは、横方向における上壁部21aの両端部から下方向に延びる。第1連結部21cは、第1側部21bの下方向の端部から互いに近づくように延びる。
【0027】
アッパレール21に、上壁部21a、二つの第1側部21b、及び二つの第1連結部21cを有するシート取付部31が設けられる。シート取付部31は、略四角形の枠状の断面を有し、例えばナットが取り付けられる。当該ナットに、シート12のシートクッション12aがボルト締めにより固定される。
【0028】
第2側部21dは、第1連結部21cの横方向内側の端部から下方向に延びる。二つの第2側部21dは、横方向に互いに離間する。曲部21eは、横方向外側に凸の略円弧状の断面を有し、第2側部21dの下方向の端部から延びる。二つの曲部21eは、横方向に互いに離間する。
【0029】
アッパレール21に、二つの曲部21eを有する膨出部32が設けられる。膨出部32は、前後方向に延びる略円筒状に形成される。膨出部32に、支持孔32aが設けられる。支持孔32aは、二つの曲部21eの間に形成され、略円形の断面を有する隙間である。支持孔32aは、前後方向に延びる。
【0030】
第3側部21fは、曲部21eの下方向の端部から下方向に延びる。第3側部21fは、横方向に互いに離間する。第2連結部21gは、第3側部21fの下方向の端部から互いに近づくように斜め下方向に延びる。第4側部21hは、第2連結部21gの下方向の端部から下方向に延びる。二つの第4側部21hは、互いに接触し、例えば溶接によって固定される。
【0031】
アッパレール21に、二つの第3側部21f、二つの第2連結部21g、及び二つの第4側部21hを有する挿通部33が設けられる。挿通部33は、膨出部32から下方向に突出し、前後方向に延びる。横方向において、挿通部33の幅は、膨出部32の幅よりも小さい。
【0032】
第3連結部21iは、第4側部21hの下方向の端部から、横方向外側に延びる。第5側部21jは、第3連結部21iの横方向外側の端部から、上方向に延びる。第5側部21jは、第4側部21hから横方向に離間する。
【0033】
ロアレール22は、例えば、曲げ加工された一つの板金によって作られる。なお、ロアレール22はこの例に限らない。ロアレール22は、底壁部22aと、二つの第1連結部22bと、二つの第1側部22cと、二つの第1斜部22dと、二つの第2連結部22eと、二つの第2斜部22fと、二つの第2側部22gと、を有する。
【0034】
底壁部22aは、X‐Y平面上に広がる板状の部分である。第1連結部22bは、例えば上方向に凸の曲線状の断面を有し、横方向における底壁部22aの両端から横方向外側に延びる。このため、二つの第1連結部22bの間に凹部34が設けられる。凹部34は、前後方向に延びる。
【0035】
第1側部22cは、第1連結部22bの横方向外側の端部から上方向に延びる。第1斜部22dは、第1側部22cの上方向の端部から、互いに近付くように斜め上方向に延びる。
【0036】
第2連結部22eは、第1斜部22dの上方向の端部から、互いに近付くように横方向に延びる。第2斜部22fは、第2連結部22eの横方向内側の端部から、互いに近付くように斜め下方向に延びる。第2側部22gは、第2斜部22fの下方向の端部から、下方向に延びる。第2側部22gは、第1側部22cから横方向に離間する。
【0037】
二つの第2側部22gは、横方向に互いに離間する。このため、二つの第2側部22gの間に、挿通口35が形成される。挿通口35は、二つの第2側部22gの間の隙間であり、前後方向に延びる。横方向において、挿通口35の幅(二つの第2側部22gの間の距離)は、凹部34の幅よりも狭い。挿通口35は、ロアレール22の内部空間28と繋がっている。
【0038】
ボルト37が、ロアレール22の底壁部22aに設けられた孔38に挿通される。ボルト37は、
図1に示すフロア11に、ロアレール22を固定する。横方向において、ボルト37の頭37aの幅は、挿通口35の幅よりも大きい。ロアレール22は、ボルト37が孔38に挿通された状態で曲げ加工され、上述の形状に成形される。
【0039】
ロアレール22の挿通口35に、アッパレール21の挿通部33が通される。アッパレール21の第3側部21f、第2連結部21g、及び第4側部21hと、ロアレール22の第2側部22gとは、隙間を介して対向する。さらに、アッパレール21の第5側部21jと、ロアレール22の第2側部22gとは、隙間を介して対向する。このように、アッパレール21とロアレール22とは互いに嵌り合う。
【0040】
図8は、一つの実施形態の前後方向の端部におけるロングスライドレール13の一例を示す側面図である。
図8に示すように、ロアレール22に、複数のストッパ部41が設けられる。ストッパ部41は、ロアレール22の第2連結部22e、第2斜部22f、及び第2側部22gが下方向にさらに曲げられた部分である。
【0041】
ストッパ部41は、アッパレール21の第5側部21jと、前後方向に重なるよう延びる。このため、アッパレール21がストッパ部41に到達すると、第5側部21jがストッパ部41に当接する。これにより、ストッパ部41は、アッパレール21がさらに前後方向に移動することを制限する。
【0042】
図2に示すように、ロアレール22の前方向の端部22pに二つのストッパ部41が設けられ、ロアレール22の後方向の端部22pに二つのストッパ部41が設けられる。さらに、ロアレール22に、ストッパ部41に隣接する複数の切欠き42が設けられる。
【0043】
切欠き42は、ストッパ部41と、第2連結部22e、第2斜部22f、及び第2側部22gとを切り離す。しかし、ストッパ部41は、第2連結部22e、第2斜部22f、及び第2側部22gに連続しても良い。
【0044】
ロック部25は、アッパレール21とロアレール22との、前後方向における相対的な位置をロックする。
図5に示すように、ロック部25は、ロック部材51と、二つの軸部材52と、コイルスプリング53とを有する。
【0045】
図6に示すように、ロック部材51は、略C字型の断面を有する。
図5に示すように、ロック部材51は、基部51aと、二つの軸受部51bと、レバー部51cと、複数の歯51dとを有する。
【0046】
基部51aは、前後方向に延びる板状に形成される。軸受部51bは、基部51aの前後方向の両端部から略横方向に突出する略円環状の部分である。レバー部51cは、基部51aの略上方向の端部から略横方向に突出する。複数の歯51dは、基部51aの略下方向の端部から略横方向に突出する。複数の歯51dは、前後方向に隙間を介して配置される。軸受部51bと、レバー部51cと、複数の歯51dとは、おおよそ同一方向(例えば、略左方向)に突出する。
【0047】
アッパレール21に、二つの第1貫通孔55と、第2貫通孔56と、複数の第3貫通孔57とが設けられる。前後方向において、第2貫通孔56及び複数の第3貫通孔57は、二つの第1貫通孔55の間に位置する。
【0048】
第1貫通孔55は、アッパレール21の二つの第1側部21b、二つの第1連結部21c、二つの第2側部21d、二つの曲部21e、及び二つの第3側部21fに跨って設けられ、アッパレール21を横方向に貫通する。第2貫通孔56は、アッパレール21の二つの第1側部21b、二つの第1連結部21c、及び二つの第2側部21dに跨って設けられ、アッパレール21を横方向に貫通する。
【0049】
複数の第3貫通孔57は、第2貫通孔56の下方向に位置し、前後方向に間隔を介して配置される。第3貫通孔57は、アッパレール21の二つの第3側部21f、二つの第2連結部21g、二つの第4側部21h、二つの第3連結部21i、及び一方の第5側部21jに跨って設けられる。
【0050】
ロック部材51の二つの軸受部51bは、二つの第1貫通孔55を通される。レバー部51cは、第2貫通孔56を通される。複数の歯51dは、複数の第3貫通孔57を通される。
【0051】
軸部材52は、第1貫通孔55の縁に開口する支持孔32aと、略円環状の軸受部51bの内側とに通される。ロック部材51は、軸部材52によって、回動可能にアッパレール21に支持される。
【0052】
コイルスプリング53は、アッパレール21に固定されるとともに、ロック部材51を付勢する。ロック部材51は、コイルスプリング53により、所定の回転方向(
図6における反時計回り方向)に回動するよう付勢される。
【0053】
図6に示すように、ロアレール22の第2側部22gに、複数の係合溝59が設けられる。複数の係合溝59は、前後方向に間隔を介して配置される。コイルスプリング53に付勢されたロック部材51の歯51dは、第3貫通孔57を通り、ロアレール22の係合溝59に入り込む。これにより、歯51dと係合溝59とが係合し、アッパレール21とロアレール22との相対的な位置がロックされる。言い換えると、ロック部25が、アッパレール21とロアレール22との前後方向における相対的な移動を制限する。
【0054】
レバー部51cが押し下げられると、ロック部材51が回動し、複数の歯51dが係合溝59から抜け出る。これにより、歯51dと係合溝59との係合が解除され、アッパレール21とロアレール22とが前後方向に相対的に移動可能となる。
【0055】
図7に示すように、転動ユニット26は、アッパレール21に取り付けられ、アッパレール21とロアレール22との間に介在する。アッパレール21は、転動ユニット26を介してロアレール22に相対的に移動可能に支持される。転動ユニット26は、複数の転動体61と、ガイド62と、を有する。ガイド62は、例えば、ホルダ、中間部品、又はケースとも称され得る。
【0056】
複数の転動体61は、例えば、金属製の球体である。なお、転動体61の材料及び形状はこの例に限らない。さらに、複数の転動体61は、例えば、材料及び形状が互いに異なる複数種類の転動体61を含んでも良い。
【0057】
図5に示すように、アッパレール21に複数の取付部64が設けられる。転動ユニット26のガイド62は、取付部64に取り付けられる。言い換えると、ガイド62は、アッパレール21に設けられる。例えば、ガイド62の部品の一部が、アッパレール21と一体に形成されても良い。
【0058】
取付部64は、例えば、アッパレール21の一部を打ち抜き及び曲げ加工することによって形成される。一対の取付部64がアッパレール21の横方向の両側に設けられるとともに、当該一対の取付部64と他の一対の取付部64とが前後方向に間隔を介して配置される。
【0059】
図7に示すように、ガイド62は、アッパレール21とロアレール22との間に位置するように複数の転動体61を保持する。ガイド62に、二つの循環路66と、二つの開口67とが設けられる。二つの循環路66はそれぞれ、複数の転動体61が循環可能な閉路状に形成される。本実施形態において、循環路66は、前後方向に延びる長円状に形成される。
【0060】
循環路66に、複数の転動体61が収容される。複数の転動体61は、環状に配置され、循環路66を転動しながら循環可能である。このため、複数の転動体61は、循環路66に沿った閉路状の軌道で循環可能である。
【0061】
二つの開口67はそれぞれ、対応する循環路66に連通する。開口67は、循環路66に収容された転動体61の一部を露出させる。転動体61は、開口67を通じて、ガイド62の外部に突出する。
【0062】
一方の開口67は、ロアレール22の第1連結部22bと第1側部22cとの角部に設けられた第1作動面68に面する。第1作動面68は、ロアレール22の内面の一部であり、転動体61の曲率半径より大きい曲面である。
【0063】
他方の開口67は、ロアレール22の第2連結部22eと第2斜部22fとの角部に設けられた第2作動面69に面する。第2作動面69は、ロアレール22の内面の一部であり、転動体61の曲率半径より大きい曲面である。
【0064】
一方の開口67から露出する転動体61は、ロアレール22の第1作動面68に接触する。他方の開口67から露出する転動体61は、ロアレール22の第2作動面69に接触する。このように、転動体61は、ロアレール22と、ガイド62の循環路66の内面と、に接触し、アッパレール21には接触しない。なお、転動体61はこの例に限らない。
【0065】
ロック部材51によるロックが解除され、アッパレール21及びロアレール22が前後方向に相対的に移動すると、当該移動に伴って、開口67から露出された転動体61が、第1作動面68又は第2作動面69に接触しながら転動する。これにより、複数の転動体61が循環路66を転動しながら閉路状の軌道で循環する。複数の転動体61が転動しながら循環することで、アッパレール21及びロアレール22は、滑らかに相対的に移動できる。
【0066】
図2に示すように、ロアレール22の前後方向の両側の端部22pには、エンドキャップ23が取り付けられる。ロアレール22の切欠き42よりも端部22p側の部位には、折り曲げ加工が施され、エンドキャップ23を支持する支持部43が設けられている。
図8に示すように、支持部43は、幅方向両側のそれぞれに、外壁部22r、頂部22s、および内壁部22tを有している。
【0067】
外壁部22rは、切欠き42の反対側、すなわちロアレール22の前後方向の中間部と同じ形状を有している。よって、外壁部22rは、第1側部22cと、第1斜部22dと、を含む。
【0068】
外壁部22rのそれぞれには、ガイド面22vが設けられる。ガイド面22vは、第1斜部22dの表面である。二つのガイド面22vは、頂部22sに向かうにつれて互いに近付くように傾斜している。ガイド面22vは、第1ガイド面の一例である。
【0069】
また、外壁部22rのそれぞれには、
図2に示す開口部22yが設けられる。開口部22yは、例えば、外壁部22rを横方向に貫通した貫通孔である。開口部22yは、正面視(X方向の視線)では、四角形状に構成されている。開口部22yは、外壁部22rのうちの第1側部22cに設けられている。開口部22yは、第2開口部の一例である。
【0070】
図8に示すように、頂部22sは、外壁部22rの上端と内壁部22tの上端とを連結した比較的幅の狭い区間である。頂部22sは、屈曲部とも称されうる。
【0071】
内壁部22tは、頂部22s(上端部)よりも幅方向内方において、前後方向の中間部と異なる形状を有している。すなわち、支持部43は、内壁部22tとして、頂部22sから下方に向かうにつれて幅方向内方に向かう第1内側斜部22t1と、第1内側斜部22t1の下方かつ幅方向内方に隣接し、下方に向かうにつれて幅方向内方に向かう第2内側斜部22t2と、第2内側斜部22t2の下方に隣接し下方に向かうにつれて幅方向外方へ向かう第3内側斜部22t3と、を有している。第1内側斜部22t1は、頂部22sの幅方向の内方端と接続されている。内壁部22tは、第1内壁部の一例である。
【0072】
なお、第1内側斜部22t1は、折り曲げ加工を施す前の第2連結部22eであった部位の一部であり、第2内側斜部22t2は、折り曲げ加工を施す前の第2斜部22fであった部位であり、第3内側斜部22t3は、折り曲げ加工を施す前の第2側部22gであった部位である。切欠き42の端部22pとは反対側、すなわちロアレール22の切欠き42よりも前後方向の中間部側の内壁部22zは、第2内壁部の一例である。内壁部22zは、第2側部22gと、第2斜部22fと、を含む。内壁部22zの幅方向の最小離間距離は、内壁部22tの幅方向の最小離間距離よりも小さい。
【0073】
内壁部22tのそれぞれには、ガイド面22wが設けられる。ガイド面22wは、第1内側斜部22t1および第2内側斜部22t2の表面である。ガイド面22wは、幅方向内方に向かうにつれて底壁部22aに近付くように傾斜している。ガイド面22wは、第2ガイド面の一例である。
【0074】
また、ロアレール22の底壁部22aには、開口部22x(
図10参照)が設けられる。開口部22xは、例えば、底壁部22aを上下方向に貫通し、前後方向に延びた長穴である。開口部22xは、第1開口部の一例である。
【0075】
次に、エンドキャップ23についてより詳しく説明する。
図9は、一つの実施形態のエンドキャップ23の一例を示す斜視図である。
図10は、一つの実施形態のエンドキャップ23の一例を示す側面図である。
図11は、一つの実施形態のエンドキャップ23の一例を示す断面図であって、ロアレール22に取り付けられた状態の図である。
図12は、一つの実施形態のエンドキャップ23の一例を示す断面図であって、ロアレール22に取り付けられる前の状態の図である。
図13は、一つの実施形態のエンドキャップ23の一例を示す断面図であって、
図11と
図12との間の状態の図である。
【0076】
エンドキャップ23は、例えば、ゴムや合成樹脂材料等の弾性(可撓性)を有した材料で構成される。なお、エンドキャップ23はこの例に限らない。
【0077】
図2及び
図10に示すように、エンドキャップ23は、ロアレール22の前後方向の両側の端部22pに、上方向から取り付けられる。エンドキャップ23は、例えば、ロアレール22の前後方向の両側の端部22pと、フロア11との間に形成される隙間15を覆う。
【0078】
図9に示すように、エンドキャップ23は、例えば、天壁部23aと、突出部23bと、二つの取付片23cと、を有する。天壁部23aは、覆部等とも称されうる。
【0079】
天壁部23aは、X‐Y平面上に広がる板状に構成される。天壁部23aは、幅方向に互いに離間した二つの第1部分23a1と、ロアレール22の端部22p側で二つの第1部分23a1と繋がった第2部分23a2と、を有する。
【0080】
天壁部23aは、第1部分23a1および第2部分23a2によって、平面視(Z方向の視線)では、ロアレール22の前後方向の中間部側に向けて開放された略U字状に構成されている。天壁部23aは、上方向を向く天面23a3を有する。
【0081】
図2に示すように、二つのエンドキャップ23のうち一方の天壁部23aは、ロアレール22の前方向の支持部43の二つの頂部22sを上方向から覆う。エンドキャップ23の他方の天壁部23aは、ロアレール22の後方向の支持部43の二つの頂部22sを上方向から覆う。
【0082】
また、天壁部23aは、エンドキャップ23がロアレール22に取り付けられた状態で、切欠き42よりも前後方向の中間部側の二つの第2連結部22e(頂部)の少なくとも一部を上方向から覆う。
【0083】
図9及び
図11に示すように、取付片23cは、天壁部23aの第1部分23a1から下方向に突出し、前後方向に延びている。二つの取付片23cは、幅方向に互いに離間する。二つの取付片23cの間に、ロアレール22が取り付けられる。二つの取付片23cの間の幅は、ロアレール22の幅と略同じか僅かに大きい。
【0084】
取付片23cのそれぞれには、爪23fが設けられる。爪23fは、取付片23cの下方向の端部から幅方向の内側に突出している。爪23fは、上方向を向く引掛面23f1を有する。引掛面23f1は、エンドキャップ23がロアレール22に装着された状態では、開口部22yの上側の縁部と接する。
【0085】
突出部23bは、例えば、傾斜部23dと、突起23eと、ガイド壁部23gと、を有する。突出部23bは、天壁部23aから下方向に突出している。突出部23bは、ロアレール22の二つの内壁部22tの間に挿入される。
【0086】
ガイド壁部23gは、天壁部23aの第1部分23a1の内側の端部から、下方向に突出し、前後方向に延びている。二つのガイド壁部23gは、幅方向に互いに離間する。二つのガイド壁部23gの間に、傾斜部23dが設けられる。
【0087】
図8及び
図11に示すように、二つのガイド壁部23gの幅方向の離間距離は、二つの内壁部22zの幅方向の離間距離と同じである。二つのガイド壁部23gは、エンドキャップ23がロアレール22に装着された状態では、二つの内壁部22zと前後方向に並ぶ。さらに、ガイド壁部23gの幅方向の内側を向いた面と、二つの内壁部22zの幅方向の内側を向いた面とが、前後方向に面一の状態で並ぶ。
【0088】
図10に示すように、傾斜部23dは、天壁部23aの第2部分23a2からロアレール22の前後方向の中間部側に向かって斜め下方向に突出している。傾斜部23dは、ロアレール22の内部空間28に挿入される。
【0089】
そして、傾斜部23dには、傾斜面23d1が設けられる。傾斜面23d1は、ロアレール22の前後方向の両側の端部22pに近付くにつれて天壁部23aに近付くように傾斜している。傾斜面23d1は、天壁部23aの天面23a3と繋がっている。換言すると、傾斜面23d1は、天面23a3から前後方向の中間部側に向かって底壁部22aに近付くように延びている。これにより、内部空間28に落下した落下物を、傾斜面23d1から天面23a3、ひいてはロアレール22の外側にガイドすることができる。
【0090】
突起23eは、傾斜部23dの下面23d2から前後方向及び幅方向の4箇所に分かれて下方向に突出している。突起23eの先端部、すなわち下方向の端部には、爪23e1が設けられている。突起23eと二つの取付片23cとは、上方向から見て幅方向に沿って並んでいる。
【0091】
図11乃至
図13に示すように、本実施形態では、エンドキャップ23がロアレール22に上方向から取り付けられる。まず、突起23eが、開口部22xに対して前後方向および幅方向に位置合わせされて開口部22xに挿入される。そして、傾斜部23dの下面23d2と底壁部22aとが互いに近づくようにエンドキャップ23が下方向に押し込まれ、取付片23cの爪23fが開口部22yに係合される。これにより、エンドキャップ23がロアレール22に装着される。このように、本実施形態では、突起23eと取付片23cの爪23fとによって二段階の取付構造となっている。突起23eの爪23e1は、先端側が先細りとなるテーパ状に構成されるため、開口部22xへの挿入性が向上しやすい。
【0092】
また、本実施形態では、
図12の状態から
図11の状態となるまでの間に、ガイド面22vと爪23fとの接触によって爪23f(取付片23c)が幅方向に広げられつつ案内されて開口部22yに向かう。さらに、挿入が進むとガイド面22wとガイド壁部23gとの接触によってガイド壁部23gが幅方向に案内されつつ二つの内壁部22tの間に挿入される。このような構成により、上方向からエンドキャップ23を、より容易に、より円滑に、あるいはより迅速に、ロアレール22に取り付けることができる。
【0093】
エンドキャップ23は、例えば、傾斜部23dが弾性的に圧縮され底壁部22aに押し付けられた状態で、取付片23cの爪23fが開口部22yに引っ掛かるよう、構成されうる。これにより、傾斜部23dが底壁部22aから浮いた状態、すなわち傾斜部23dと底壁部22aとの間に隙間が生じた状態でエンドキャップ23がロアレール22に取り付けられるのを抑制できる。なお、エンドキャップ23は、この例に限らず、例えば、傾斜部23dの下面23d2に、隙間防止用の弾性(可撓性)を有した介在部材が設けられてもよい。
【0094】
以上のように、本実施形態では、例えば、エンドキャップ23(キャップ)は、天壁部23aからロアレール22(レール)の内部空間28に突出した傾斜面23d1を有する。よって、本実施形態によれば、例えば、内部空間28に物が落下した場合に、落下物を傾斜面23d1によってエンドキャップ23の天面23a3側にガイドできる。よって、例えば、落下物がロアレール22の外側に出やすくなる。
【0095】
また、本実施形態では、例えば、エンドキャップ23は、突出部23bからさらに下方向に突出した突起23eを有し、底壁部22aには、突起23eが挿入される開口部22x(第1開口部)が設けられる。よって、本実施形態によれば、例えば、突起23eと開口部22xとの位置合わせにより、エンドキャップ23を、より容易に、より円滑に、あるいはより迅速に、ロアレール22に位置決めして取り付けることができる。また、落下物を傾斜面23d1を上らせて取り出す際に、突出部23bが落下物に押された場合にあっても突出部23bが底壁部22aにより強固に支持されるため、落下物が取り出しやすくなるという利点もある。
【0096】
また、本実施形態では、例えば、エンドキャップ23は、突出部23bの幅方向(X方向)の両側のそれぞれに位置し、天壁部23aから下方向に突出し、爪23fが設けられた二つの取付片23cを有し、二つの外壁部22rのそれぞれには、爪23fが外壁部22rの幅方向の外側から係合される開口部22y(第2開口部)が設けられる。よって、本実施形態によれば、例えば、ロアレール22は、開口部22xにより突起23eを支持する1箇所と、開口部22yにより取付片23cの爪23fを支持する2箇所の合計3箇所で、エンドキャップ23をより強固に支持することができる。よって、エンドキャップ23がロアレール22に取り付けられた状態からより一層外れ難くなる。
【0097】
また、本実施形態では、例えば、二つの取付片23cと突起23eとが上方向から見て幅方向(X方向)に沿って並んでいる。よって、本実施形態によれば、例えば、取付片23cと突起23eとが上方向から見て幅方向に並ばずに前後方向(Y方向、第1方向)にずれて位置された場合と比べて、より小さい力で取り付けることができ、以て、上方向からのエンドキャップ23のロアレール22に対する取付性が向上しやすい。
【0098】
また、本実施形態では、例えば、底壁部22aには、下方向(Z方向の反対方向、車両下方)に向けて凹み突出部23bと接する凹部34が設けられている。よって、本実施形態によれば、例えば、ロアレール22の内部空間28に落下した落下物が凹部34に集まりやすくなり、ひいては傾斜面23d1を利用して、より容易に落下物をロアレール22の外側に出すことができる場合がある。
【0099】
また、本実施形態では、例えば、ロアレール22は、二つの内壁部22t(第1内壁部)よりも前後方向(第1方向)の他端側に位置され、第2連結部22e(頂部)の幅方向の内方端と接続され車両下方に突出した二つの内壁部22z(第2内壁部)を有し、二つの内壁部22zは、二つの内壁部22tよりも幅方向の内方に位置し、突出部23bは、幅方向に互いに離間し、二つの内壁部22zと前後方向に並ぶ二つのガイド壁部23gを有する。よって、本実施形態によれば、例えば、二つガイド壁部23gによって、エンドキャップ23と二つの内壁部22zとの間に幅方向の段差が生じるのが抑制され、ひいては二つの内壁部22zの間に落下した落下物を、よりスムーズにロアレール22の外側に出すことができる。
【0100】
また、本実施形態では、例えば、二つの外壁部22rに頂部22sに向かうにつれて互いに近付くように傾斜し取付片23cをガイドするガイド面22v(第1ガイド面)が設けられている。よって、本実施形態によれば、例えば、ガイド面22vによって、上方向からエンドキャップ23を、より容易に、より円滑に、あるいはより迅速に、ロアレール22に取り付けることができる。
【0101】
また、本実施形態では、例えば、エンドキャップ23は、天壁部23aから下方向に突出し二つの内壁部22tにガイドされるガイド壁部23gを備えた突出部23bを有する。よって、本実施形態によれば、例えば、突出部23bによって、エンドキャップ23がロアレール22の幅方向にずれ難くなる。
【0102】
また、本実施形態では、例えば、二つの内壁部22tのそれぞれは、互いに幅方向(X方向)に面し下方向に向かうにつれて幅方向の内方に向かうガイド面22w(第2ガイド面)を有する。よって、本実施形態によれば、例えば、ガイド面22wによって、上方向からエンドキャップ23を、より一層容易にロアレール22に取り付けることができる。
【0103】
以上、本発明の実施形態を例示したが、上記実施形態はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。上記実施形態は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。本発明は、上記実施形態に開示される構成以外によっても実現可能であるとともに、基本的な構成(技術的特徴)によって得られる種々の効果(派生的な効果も含む)を得ることが可能である。また、各構成要素のスペック(構造や、種類、方向、形状、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。