(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6883977
(24)【登録日】2021年5月13日
(45)【発行日】2021年6月9日
(54)【発明の名称】時計カレンダーシステム
(51)【国際特許分類】
G04B 19/253 20060101AFI20210531BHJP
【FI】
G04B19/253 E
【請求項の数】17
【外国語出願】
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-228491(P2016-228491)
(22)【出願日】2016年11月25日
(65)【公開番号】特開2017-116533(P2017-116533A)
(43)【公開日】2017年6月29日
【審査請求日】2019年10月29日
(31)【優先権主張番号】15196611.6
(32)【優先日】2015年11月26日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】599091346
【氏名又は名称】ロレックス・ソシエテ・アノニム
【氏名又は名称原語表記】ROLEX SA
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】特許業務法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラ チナ, マルコ
(72)【発明者】
【氏名】レモスケ, ヴァンサン
【審査官】
細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−101896(JP,A)
【文献】
特開2012−173292(JP,A)
【文献】
特開2006−162611(JP,A)
【文献】
米国特許第06108278(US,A)
【文献】
独国特許出願公開第102005010602(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 19/253
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
日付モバイル(1)と、
前記日付モバイルの位置を割り出すための第1割出装置(3)と、
前記日付モバイルの位置を割り出すための第2割出装置(4)と、
前記第1及び第2割出装置の少なくとも1つを起動及び停止するための要素(70、3b、4b、40)と、
を含む、時計カレンダーシステム(100)であって、
前記日付モバイルが小の月から翌月に日付が通過するときは、前記第1割出装置の停止と、前記第2割出装置の起動とを行い、前記日付モバイルが大の月から翌月に日付が通過するときは、前記第1割出装置の起動と、前記第2割出装置の停止とを行う、
時計カレンダーシステム(100)。
【請求項2】
前記起動及び停止要素は、
前記第1割出装置を停止するための第1停止装置(70、3b、4b)と、
前記第2割出装置を起動するための第2起動装置(70、40)と、
を含み、
前記日付モバイルが駆動され小の月から翌月に通過するときに、前記第1停止装置(70、3b、4b)は前記第1割出装置を停止させ、前記第2起動装置(70、40)は前記第2割出装置を起動させる、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
小の月から翌月へ通過する前の1日、または2日間、または3日間、前記第1停止装置(70、3b、4b)は前記第1割出装置を停止するよう配置され、前記第2起動装置(70、40)は前記第2割出装置を起動するよう配置される、及びまたは、前記小の月から翌月に通過する以外の期間は、前記第1停止装置(70、3b、4b)は前記第1割出装置を起動するよう配置され、前記第2起動装置(70、40)は前記第2割出装置を停止するよう配置される、
請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記システムは、前記日付モバイルを駆動するための駆動要素(2)を含み、前記第1割出装置(3)は前記駆動要素の各動作により前記日付モバイルを1ステップ移動させ、前記第2割出装置(4)は小の月の30日目の終わりに発生する前記駆動要素の各動作により前記日付モバイルを2ステップ移動させる、
請求項2または3に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1割出装置を停止するための前記第1停止装置(70、3b、4)は、制御カム(70)を含み、及びまたは、前記第2割出装置を起動するための前記第2起動装置(70、40)は、前記制御カム(70)を含む、
請求項2から4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記第2割出装置は、前記制御カム(70)と、協働するよう適合される、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1割出装置を停止するための前記第1停止装置(70、4)は、前記第1割出装置を前記日付モバイルと協働する位置から離れるよう移動させるため、前記第2割出装置上の側面(4b)と前記第1割出装置上の側面(3b)が協働するように構成される、
請求項2から6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1割出装置は、ジャンパー(3)と、第1戻りばね(30)とを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記ジャンパー(3)は、前記第1戻りばね(30)の効果により、前記日付モバイルの第1歯列(1a)と協働するよう適合される、
請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記第2割出装置は、ローラー(4a)を有するレバー(4)と、第2戻りばね(40)とを含む、
請求項1から9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記レバー(4)は、前記第1戻りばね(30)及びまたは前記第2戻りばね(40)の効果により、前記日付モバイルの第2歯列(1b)と協働するよう適合される、
請求項8又は9を引用する請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記第2歯列(1b)は、前記ローラー(4a)が前記日付モバイルを、前記日付モバイルの2ステップにわたり駆動可能にするためのカム表面(10b*)を有する、
請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1及び第2割出装置は同一の軸(P)周りに回転可能であり、前記軸(P)周りの前記第2割出装置にかかる戻りトルクは、前記軸(P)周りの前記第1割出装置の戻りトルクよりも小さい、
請求項1から12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
前記システムは、瞬時ジャンプ型である、
請求項1から13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載のシステム(100)を含む、時計ムーブメント(110)。
【請求項16】
請求項1から14のいずれか一項に記載のシステム(100)、または請求項15に記載の時計ムーブメント(110)を含む、時計(120)。
【請求項17】
日付モバイル(1)と、
前記日付モバイルの位置を割り出すための第1割出装置(3)と、
前記日付モバイルの位置を割り出すための第2割出装置(4)と、
前記第1及び第2割出装置の少なくとも1つを起動及び停止するための要素と、
を含む時計カレンダーシステム(100)の作動方法であって、
前記方法は、小の月から翌月に日付が通過するときに、前記第1割出装置の停止と、前記第2割出装置の起動とを行うことと、大の月から翌月に日付が通過するときに、前記第1割出装置の起動を維持し、前記第2割出装置の非活動を維持することを含む、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時計カレンダーシステム、特に年間または万年時計カレンダーシステムに関する。本発明はまた、当該システムを含む時計ムーブメントに関する。本発明はまた、当該システムまたは当該ムーブメントを含む時計、特に腕時計に関する。本発明は最後に、当該時計カレンダーシステム、当該ムーブメント、または当該時計の作動方法に関する。
【0002】
特許文献1から、日車を駆動するための2つの運動学的システムを含む年間カレンダー機構が知られている。第1カレンダー駆動モバイルは、毎日、日車の第1ジャンプを可能とする。修正モバイルと呼ばれる第2カレンダー駆動モバイルは、30日からなる月の月末に日車の追加ジャンプを可能とする。後者は、レバー上を旋回し、その角度位置は月カム及び戻りばねにより制御される。このような種類の構造は、多数の部品、特にばね及びレバーを必要とし、大量のエネルギーを消費する。更に、このような機構の作動の順序付けが理由で、小の月の月末におけるカレンダーの高品質な瞬時日付ジャンプを達成することは非常に難しい。
【0003】
特許文献2から、30日からなる各月の月末に、従来のカレンダー駆動モバイルと連結して作動する、日車を駆動するためのレバーを採用する年間カレンダー機構が知られている。駆動レバー上に設置されたローラーは、日車の外周のカムと常時協働するよう適合される。月の間中、レバーはカムのプロファイルを介してばねを充填可能にすることで、追加日付ジャンプに必要なエネルギーを蓄積する。プロファイルは、ばねが生成する力の効果により、レバーとそのローラーが日車を追加のステップ分前進することが可能なように、急な傾斜で終わっている。ここでばねの大きさは、従来の割出ジャンパーが提供する日車の保持トルクを乗り越え可能な大きさであり、これはエネルギー消費の点で、最適よりも小さい。更に、ばねの効果のため、レバーのローラーは常時日車に重みをかけており、このためカレンダーの簡単な調整を可能にするためには、ばねの力を調整する補助装置が推奨されている。
【0004】
特許文献3から、局地的に日車に作用する特徴を有する、駆動レバーを含む年間カレンダー機構が知られている。各月の月末において、日車のジャンプの回数は、レバーが実施すべき角度移動の関数である。このため、レバーは、日車の駆動に必要なエネルギーを貯蔵するよう適合されたカレンダーカムと、レバーの角度移動の振幅を定義するよう適合された年間カムとの両方で制御される。駆動レバーの作動用ばねは、日車の2つの角度ステップにわたり日車を保持するトルクを乗り越え可能な大きさであり、これはエネルギーの観点から好ましくない。更に、レバーが日車の歯列と相互作用中にカレンダーの調整を可能にするため、日車と日車を駆動するレバーとの間の解放機構が必要である。
【0005】
特許文献4から、日車のその位置への保持を補助する装置が知られている。この文献は、日車を駆動していないときは、二重日付ジャンプの危険性を全て防止するために日車割出ジャンパーに作用する固定部材を開示する。
【0006】
最後に、特許文献5から、日車のその位置への保持を補助する装置が知られている。この文献は、日付の調整時の抵抗トルクを最小限にするための補助修正機構によって作動可能な、日車の割出ジャンパーを固定する部材を開示する。
【0007】
このように、既知の先行技術の年間カレンダーは、伝統的に、月補助車またはカムと協働するよう適合される1つまたは2つのカレンダー駆動モバイルが備えられる。当該要素は、場合によっては追加レバー及びばねによって、各小の月の月末に二重日付ジャンプ機構を制御する。この種類の構成は、特に繊細な作動の連続を引き起こしかねない。30日からなる月の月末の二重日付ジャンプは、日車を駆動する2つの異なる運動学的システムの作動の順序付けと、このようなジャンパーが必要とする追加エネルギーから、問題となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0987609号
【特許文献2】欧州特許出願公開第1335253号
【特許文献3】スイス特許出願公開第706799号
【特許文献4】欧州特許出願公開第1962152号
【特許文献5】欧州特許出願公開第2180383号
【特許文献6】欧州特許出願公開第2428855号
【特許文献7】欧州特許出願公開第2428856号
【特許文献8】欧州特許出願公開第2624075号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、上述の欠点を除去し、既知の先行技術の時計カレンダーシステムの向上を可能とする、時計カレンダーシステムを提供することである。特に、本発明は、エネルギー消費が最小限の、信頼性の高い年間時計カレンダーシステムを提供する。
【0010】
本発明に係る時計カレンダーシステムは、請求項1に定義される。
【0011】
システムの様々な実施形態は、従属請求項2から14に定義される。
【0012】
本発明に係るムーブメントは、請求項15に定義される。
【0013】
本発明に係る時計は、請求項16に定義される。
【0014】
本発明に係る作動方法は、請求項17に定義される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明に係るカレンダーシステムの、特に年間カレンダーシステムの一実施形態を例として図示する。
【
図2】
図2は、本発明に係るカレンダーシステムの、特に年間カレンダーシステムの一実施形態を例として図示する。
【
図3】
図3は、本発明に係るカレンダーシステムの、特に年間カレンダーシステムの一実施形態を例として図示する。
【
図4】
図4は、本発明に係るカレンダーシステムの、特に年間カレンダーシステムの一実施形態を例として図示する。
【
図5】
図5は、本発明に係るカレンダーシステムの、特に年間カレンダーシステムの一実施形態を例として図示する。
【
図6】
図6は、本発明に係るカレンダーシステムの、特に年間カレンダーシステムの一実施形態を例として図示する。
【
図7】
図7は、本発明に係るカレンダーシステムの、特に年間カレンダーシステムの一実施形態を例として図示する。
【
図8】
図8は、本発明に係るカレンダーシステムの、特に年間カレンダーシステムの一実施形態を例として図示する。
【
図9】
図9は、本発明に係るカレンダーシステムの、特に年間カレンダーシステムの一実施形態を例として図示する。
【
図10】
図10は、本発明に係るカレンダーシステムの、特に年間カレンダーシステムの一実施形態を例として図示する。
【
図11】
図11は、本発明に係るカレンダーシステムの、特に年間カレンダーシステムの一実施形態を例として図示する。
【
図12】
図12は、本発明に係るカレンダーシステムの、特に年間カレンダーシステムの一実施形態を例として図示する。
【
図13】
図13は、本発明に係るカレンダーシステムの、特に年間カレンダーシステムの一実施形態を例として図示する。
【
図14】
図14は、本発明に係るカレンダーシステムの、特に年間カレンダーシステムの一実施形態を例として図示する。
【
図15】
図15は、本発明に係るカレンダーシステムの、特に年間カレンダーシステムの一実施形態を例として図示する。
【
図16】
図16は、本発明に係るカレンダーシステムの、特に年間カレンダーシステムの一実施形態を例として図示する。
【
図17】
図17は、本発明に係るカレンダーシステムの、特に年間カレンダーシステムの一実施形態を例として図示する。
【
図18】
図18は、本発明に係るカレンダーシステムの、特に年間カレンダーシステムの一実施形態を例として図示する。
【
図19】
図19は、本発明に係るカレンダーシステムの、特に年間カレンダーシステムの一実施形態を例として図示する。
【
図20】
図20は、本発明に係るカレンダーシステムの、特に年間カレンダーシステムの一実施形態を例として図示する。
【
図21】
図21は、本発明に係るカレンダーシステムの、特に年間カレンダーシステムの一実施形態を例として図示する。
【0017】
本発明に係る時計120の一実施形態を、
図1を参照して以下に説明する。時計は、とりわけ腕時計であってよい。時計はムーブメント110を、好ましくは機械式ムーブメントを含む。
【0018】
図1に示すムーブメント110の実施形態は、時計カレンダーシステム100、特に年間カレンダーシステムを含む。
【0019】
図1から21に示す時計カレンダーシステム100の実施形態は、有利には、
―日付モバイル1、
―日付モバイルの位置を割り出すための、第1装置3、
―日付モバイルの位置を割り出すための、第2装置4、および
―第1及び第2割出装置の少なくとも1つを起動及び停止するための要素70、4b
を含む。
【0020】
日付表示モバイルは、例えば日付表示盤または日車である。
【0021】
第1及び第2割出装置のいずれか一方による日付モバイル1の割り出しは、好ましくは互いに排他的である。換言すれば、日付モバイル1は、第1及び第2割出装置の少なくとも1つを起動または停止するための要素の状態に応じて、第1及び第2割出装置の一方または他方により割り出される。この目的で、起動及び停止要素は、第1及び第2割出装置を互いに排他的に起動または停止するための要素であってもよい。このため、時計カレンダーシステムは、他方の割出装置が起動中に、一方の割出装置を停止する手段を含む。一方の割出装置を停止する手段は、ピンまたはスタッドまたはその他の斜面であってもよい。
【0022】
このため、カレンダーは、年間または万年カレンダーを製作するために、30日からなる月と、30日より少ない日からなる月と、31日からなる月とを認識できるように適合される。
【0023】
このため、カレンダーシステム100は、
図1及び2に特に表示されるように、日付表示板の第1割出装置3または第2割出装置4のいずれかにより角度的に位置決めまたは割り出し可能な日付表示盤1の使用により、区別される。上述のように、第1及び第2割出装置のいずれか一方による日車の割り出しは、相互に排他的である。換言すれば、第1割出装置3が日付表示盤1の角度位置を割り出すときには第2割出装置4は日付表示盤1の角度位置を割り出さず、第2割出装置4が日付表示盤1の角度位置を割り出すときには第1割出装置3は日付表示盤1の角度位置を割り出さない。
【0024】
第1割出装置は、有利にはジャンパー3、特にジャンパーヘッド3aと、戻りばね30とを含む。ジャンパー3、特にジャンパー3のヘッド3aは、戻りばね30の効果により、日車の第1歯列1aと協働、特に接触により協働するよう適合される。
【0025】
第2割出装置は、有利にはヘッド4a、特に第1ローラー4aを有するレバー4と、戻りばね40とを含む。レバー4、特にヘッド4aは、日車の第2歯列1bと協働、特に接触により協働するよう適合される。第2歯列1bは、第2割出装置が、特にローラー4aによって、日車の2ステップにわたり日車を駆動可能にするため、カム表面10b*を有する。
【0026】
このように、盤1は、2つの別個の歯列1a、1bを有する。第1歯列1aは、歯10aを31本含む。歯10aは、一方では日車の駆動用要素2と、他方ではジャンパー3と、協働、特に相互の干渉により協働するよう適合される。第2歯列1bは、特にレバー4と協働するよう適合される歯を少なくとも1本、特に歯10bを3本含む。第1割出装置、特にジャンパー3、及び第2割出装置、特にレバー4は、例えば回転運動可能、特に同一の旋回軸P周りに回転運動可能である。レバー4は、有利には、以下に
図3を参照してより詳細に説明するように、手段3b、3c、4b、40経由で歯列1aと接触することを防止するために、ジャンパー3を制御可能である。
【0027】
カレンダーシステムの従来の、または初期設定の操作において、日付表示盤1の角度位置は、2つの連続する歯10aと協働するように一致されるジャンパー3のヘッドまたはくちばし3aにより定義される。このため、ジャンパー3のばね30は、
図1、
図2に示すように、軸P周りの抵抗トルクMを発生し、盤1が駆動要素により負荷がかけられていないときにくちばし3aを歯10aに対して配置できるように、ムーブメントのフレームに固定されるピンGにより充填されるように適合される、ばね腕30の形状を取る。
【0028】
駆動要素2は、
図4に示すように、完全に従来の構造であってもよい。駆動要素2は、歯10aを日車1の角度ステップにわたり駆動するように適合される、駆動爪2aを含む。駆動要素2はまた、24時間毎に完全に一周し、基本ムーブメントの車6に接続されるカレンダー車5と、駆動爪2aが真夜中丁度に盤1を瞬時に駆動できるよう、エネルギー蓄積器8、8a、9と協働するよう適合されるカム7とを含む。蓄積器は、ローラー8aを有するレバー8を含む。ばね9は、ローラー8aがカム7に重みをかけるよう、レバー8を付勢するように適合される。カム7は、駆動爪2aに固定される。車5とカム7との間の解放手段は、例えばカム7に打ち込まれるピン7aと協働するよう形づけられた、車5のプレート上の楕円形の切欠き5aなど、従来の手段で実施されても良い。代替的に、解放手段は、出願人の特許出願である特許文献6に開示するような、クリッピングシステムで代替されても良い。
【0029】
一日を通じて、車5はカム7を駆動し、ばね9をカム7のプロファイルとレバー8とで充填することで、爪2aが瞬時にジャンプするのに必要なエネルギーを蓄積する。日付が移行する直前、ローラー8aはカム7のプロファイルの頂点に到達する。日付の移行は、レバー8とそのローラー8a経由で、カム7と爪2aへ急な回転運動を伝えるために、ばね9が蓄積したエネルギーを出力することにより、一秒未満で実行される。爪2aはこれにより、
図5に示すように、少なくともくちばし3aが歯の頂点10aを通過するまで、盤1の少なくとも角度の半ステップ分にわたり、維持トルクMを乗り越える。歯の頂点を超えると、
図6に示すように、ばね腕30はエネルギーを出力し、盤1を次の日に位置変更する。
【0030】
カレンダー機構の従来の操作において、特に31日の月の月末において、レバー4はジャンパー3になんら影響を与えない。このため、第1割出装置が起動し、第2割出装置が停止する。
【0031】
ばね腕40の形状を取るばね40は、
図7に示すように、軸P周りに抵抗トルクM’を発生させ、それによりムーブメントのフレームに固定される斜面Bに対してレバー4の明確な位置決めを可能とするため、ジャンパー3のピン3cにより、特にくちばし3aのスペーサー3cにより、予め応力を与えられる。ばね腕40は、トルクM’がトルクMより著しく低く、歯列1aに対するくちばし3aの位置決めと移動になんら影響しないというものである。例えば、トルクM’は、トルクMより10倍低い。
【0032】
当該構成において、レバー4の第1端部に配置されるローラー4aは、
図7に示すように、歯列1bに届かない。このため、31日からなる月の月末において、
図4から6に示すように、日付ジャンプは従来通り実行される。
【0033】
起動及び停止要素は、好ましくは第1割出装置を停止するための第1装置70、3b、4bと、第2割出装置を起動するための第2装置40、70とを含む。日車が小の月から翌月に移行するために駆動されるとき、第1停止装置70、3b、4bは第1割出装置を停止するものであり、第2停止装置は第2割出装置を起動するものである。
【0034】
小の月から翌月への移行の前の1日、または2日間、または3日間、第1停止装置70、3b、4bは好ましくは第1割出装置を停止するように配置され、第2起動装置70は好ましくは第2割出装置を起動するように配置される。
【0035】
これに加えまたはこれに代えて、第1停止装置70、3b、4bは、既定では第1割出装置が起動されるように配置され、第2起動装置40、70は、様々な月で、特に小の月から翌月へ移行する前の日々を除き、大の月から翌月へ移行する前の日々に停止されるように配置される。
【0036】
第1割出装置を停止するための第1装置70、3b、4bは、制御カム70を含んでもよい。第1割出装置を停止するための第1装置70、3b、4bは、第1割出装置を日車と協働する位置から移動させ、第2割出装置が日車と協働するときに第1割出装置の第1戻りばね30のトルクを第2割出装置に供するために、第1割出装置上に、第2割出装置上の第2傾斜4bと協働する第1傾斜3bを含んでもよい。
【0037】
初期状態において、 第1割出装置は、第1ばね30の効果で起動される。その後、第1割出装置を停止するための第1装置は、第1ばね30の効果により、ジャンパー3と日車1との協働を阻止することができる。
【0038】
第2割出装置を起動するための第2装置40、70は、制御カム70を含んでもよい。第2割出装置は、カム70と、特にレバー4上の第2ローラー4c経由で、協働するよう適合されてもよい。第2割出装置を起動するための第2装置はこのため、ローラー4aが歯列1bと協働可能なように、第2ばね40を抑制することができる。
【0039】
その後、30日からなる月の月末に、特に28日目から29日目への移行にあたり、レバー4上のローラー4aは、歯列1bの第1歯10bにより作動されるように位置決めされる。このため、レバー4は、以下に
図8を参照して説明するように、例えば車1c、60、70cを介して、日車1に運動学的に連結される年間カム70により位置決めされてもよい。当該構成の場合、レバー4の第2端部に配置されるローラー4cは、第2ばね40の効果により、カム70の外側周囲70aに重みをかける。
【0040】
小の月または30日からなる月の月末の、例えば4月末の日付ジャンプを、以下に説明する。
図8は、4月28日から29日への日付ジャンプ直前の、4月28日の年間カレンダー機構を示す。当該構成において、レバー4上のローラー4aは、歯列1bの第1歯10bにより駆動されるように、位置決めされる。
【0041】
図9に図示するように、4月28日から29日に日付が移行するとき、第1歯10bがローラー4aに作用し、これによりレバー4の軸P周りの回転が誘発される。レバー4の移動に伴い、レバー4は、くちばし3aが歯列1aから解放されるよう、ジャンパー3の側面3bと協働するよう適合されたピン4bを介してジャンパー3を作動する。
図10に示すように、日付ジャンプが実行されると、日付表示盤1の角度位置は、2つの連続する歯10bと協働するよう一致された、レバー4のローラー4aにより定義される。
【0042】
歯列1bは、レバー4により、28日から30日に日付が移行するにつれ、ばね腕30が小の月の月末に盤1の追加ジャンプを可能とするために必要なエネルギーを蓄積するように構成される。更に詳しくは、歯列1bは、歯列1aに対するくちばし3aの作動を防止するのと同時に、ばね腕30の補足的な充填を可能にするよう適合される。歯列1bは、好ましくは、ジャンパー3とレバー4の組み合わせが軸P周りに少なくともMに等しい抵抗トルクを発生し、これにより日車1が駆動爪2aにより負荷がかけられていないときに日車1の角度位置を適切に維持することを可能にするよう、一致される。歯列1bがローラー4aにより割り出されているときに日付ジャンプを実行するためにエネルギー蓄積器8、8a、9が必要とするエネルギーは、有利には、歯列1aがくちばし3aにより割り出されているときの日付ジャンプを実施するのに必要なエネルギーよりも小さい。このため、部品の寸法、特に歯列1bの寸法と、素材の選択は、摩擦による損失を減少させるよう最適化される。例えば、ローラー4aは、レバー4の端部に旋回可能に搭載される石4aの形状をとってもよい。
【0043】
図11は、4月30日のカレンダー機構を示す。当該構成において、レバー4のローラー4aは、歯列1bの最後の連続する2本の歯10bに押しつけられる。歯列1bは、ジャンパー3のばね腕30が出力しピン4bを介してレバーに作用する力の効果で、レバー4とそのローラー4aが日車を追加ステップ分、または2ステップ分前進させることが可能なように、急勾配の側面10b*で終わるという特徴を有している。
【0044】
図12から
図14に示すように、日付が4月30日から5月1日に移行するとき、駆動爪2aは最初に盤1を、
図12に示すように最後の歯10bが少なくともローラー4によって超えられるまで、日車の半角度ステップ分の少なくとも1つにわたり駆動する。追加の日付ジャンプは、
図15に示すように、次の日に盤1を再位置決め可能にするためにくちばし3aが歯列1aと少なくとも再度接触するまで、
図13、
図14に示すように、ローラー4aと急勾配の側面10b*の協働による第2ステップで実行される。
【0045】
図15は、5月1日のカレンダー機構を示す。当該構成において、ローラー4aは歯列1bから解放され、本実施形態においてローラー4cは、ばね腕40の効果により、カム70の外周70aに重みをかけ続ける。当該カムは当月中、例えば
図16に示すように第1日から第2日への移行中、回転移動可能である。このために、盤1はここでは盤1の外周の1本の歯10cの形を取る第3歯列1cを有する。当該歯は、設定車60c、70c経由でカム70に運動学的に連結するモバイル60の設定車60aと協働するよう適合される。カレンダー機構の初期設定の操作において、カム70の角度位置は、歯のバックラッシュを除き、マルタ十字の原理に基づき動作する角度固定部材60bと協働するよう適合される、盤1の外周1dにより、保証される。このような種類の連結は、出願人による特許文献7や特許文献8に開示される連結に類似する。
【0046】
図16は、5月1日から2日への移行における日付ジャンプを示す。ばね腕40が生成する力の影響を理由として、カム70の回転が、レバー4の動きを、ムーブメントの枠に固定された斜面Bに達するまで、引き起こす。当該構成において、ローラー4aは歯列1bに到達せず、カム70の周囲70aによりレバー4が再度移動されるまでその状態を維持する。このため、レバー4は31日からなる月の月末では動作不能である。ジャンパー3のくちばし3aのみが、日車の角度位置を割り出すよう適合されており、これにより1日のみの日付ジャンプを可能とする。例示として、
図18から21は、5月28日から5月31日の期間のカレンダー機構を示す。
【0047】
本実施形態において、歯列1bは、28日目から29日目への移行が起こるや否やレバー4に作用可能となる。換言すれば、追加の日付ジャンプに必要なエネルギーは、日車の3回のジャンプにわたり蓄積される。このため、
図16に示すように、盤1の回転軸を中心とする円の半径であり最初の2つの連続する歯10の底の間の隙間を通過する半径R1は、盤1の回転軸を中心とする円の半径であり最後の2つの連続する歯10の底の間の隙間を通過する半径R2よりも大きい。同様に、
図15に示すように、盤1の回転軸を中心とする円の半径であり最初の歯10の上部を通過する半径R3は、盤1の回転軸を中心とする円の半径であり2番目の歯10の上部を通過する半径R4よりも大きく、半径R4は盤1の回転軸を中心とする円の半径であり最後の歯10の上部を通過する半径R5よりも大きい。もちろん、日車の異なる回数のジャンプによりエネルギーを蓄積するよう、歯列1bを適合してもよい。
【0048】
このように、第1割出装置3は日車が駆動要素の各作動により1ステップずつ移動されるよう、第2割出装置4は日車が小の月または30日からなる月の30日目の最後に行われる駆動要素の作動により2ステップ移動されるよう、構成される。
【0049】
本発明の方法の実施モードの1つを、以下に説明する。当該方法は、例えば上述のカレンダーシステムの作動を管理するもので、以下のものを含む。
− 日車1、
− 日車の位置を割り出すための第1装置3、
− 日車の位置を割り出すための第2装置4、および
− 第1及び第2割出装置の少なくとも1つを起動及び停止するための要素。
【0050】
当該方法は、同様にムーブメントまたは時計の作動を管理してもよい。
【0051】
当該方法は、小の月から翌月への日付の移行のために第1割出装置を停止し第2割出装置を起動することを含む。
【0052】
このように、第1及び第2割出装置は、月末から翌月への移行にあたり、選択的に起動される。この起動は、好ましくは互いに選択的であり、即ち割出装置の一方が起動されるときに他方は起動されない。このように、日車1は、第1及び第2割出装置の少なくとも1つを起動または停止するための要素の状態に応じて、第1及び第2割出装置の一方又は他方により割り出される。
【0053】
第1割出装置は、好ましくは初期状態で、特に大の月の途中及び月末において、起動される。他方、第2割出装置は小の月の月末のみ、即ち小の月前の最後の日または最後の数日間、特に最後の2日間または最後の3日間、起動される。特に第2割出装置は好ましくは2月、4月、6月、9月、及び11月の最後の日または最後の数日起動される。
【0054】
もちろん、割出装置は、一旦、割出装置が1日目において第1の日付に実際に日車をその位置に割出し、割出装置が1日目の直後に訪れる2日目において第2の日付に実際に日車をその位置に割出した時点で、日付変更の過渡期においても起動されることが理解されなければならない。
【0055】
上述のカレンダーシステムは、ジャンパー3を抑制可能に適合されたレバー4を提案するという主たる利点を有する。このため、追加の日付ジャンプの瞬間に乗り越えなければならないジャンパー3が発生する抵抗トルクは存在しない。更に、出願人の研究によれば、ローラー4aにより歯列1bが割り出されているときに日付ジャンプを可能とするためにエネルギー蓄積器8、8a、9が必要とするエネルギーは、歯列1aがくちばし3aにより割り出されているときに日付ジャンプを可能とするために必要なエネルギーよりも小さいことが判明した。このため、上述の年間カレンダーシステムは、単純なカレンダーシステムと同等のエネルギー消費を有する。
【0056】
上述のシステムの実施形態において、駆動要素2は瞬時ジャンプ型である。代替的に、駆動要素2は、半瞬時ジャンプまたは引きずり型駆動要素の形態をとってもよい。エネルギー蓄積器8、8a、9は、歯10aに対して駆動爪を直接作動させるよう適合されたばねの形態をとってもよい。
【0057】
上述のシステムの実施形態において、盤1は内部歯列1a、1bを有する。代替的に、歯列1a及び1bは外部歯列であってもよい。当該代替的構成において、盤1は例えば日付表示を表示するポインタを上部に搭載する車の形態を取ってもよい。代替的に、盤1は「ラージデイト」を表示する機構を作動するよう適合されてもよい。
【0058】
上述のシステムの実施形態において、レバー4はカム70により直接作動される。もちろん、レバー4は追加駆動レバーを介して駆動されてもよい。カム70は、月の表示を表示するよう適合されてもよく、月表示部材を構成してもよい。当該実施形態において、カム70は月の間は日車1により作動される。もちろん、カム70は、31日目から翌月の1日目への移行にあたり作動されても良い。このため、レバー4または当てはまる場合には駆動レバーは、補助駆動装置により作動されてもよい。代替的に、月は、例えば日付表示盤と運動学的に連結される月表示盤を介して、例えば特許文献7及び特許文献8に開示する装置により表示されてもよい。
【0059】
上述のカレンダーシステムの実施形態は、このため、瞬時ジャンプ型の従来のカレンダー駆動要素と連動して、30日からなる各月の月末に動作するカレンダー駆動レバーを使用する。当該実施形態のレバーは、日車の角度割出を可能とするよう適合されている点で異なる。このような構成は、エネルギー消費が最低限の、完全に瞬時の年間カレンダー装置の使用を可能とする。万年カレンダーは、例えば日車の追加駆動要素を介して、このような構成に基づき製造が可能である。
【0060】
上述の実施形態において、日車の駆動レバーは、局地的に日車に作用するという特徴を有する。カレンダーシステムのいくつかの構成において、駆動レバーは日車の角度位置を割り出すよう適合されており、このため従来の日付ジャンパーを引き継ぐよう適合されている。追加ステップ分日車を移動させるために必要なトルクは、好ましくは、日車を割り出すためのジャンパーによって生成される。駆動レバーの移動を可能とするトルクは、このため日車を割り出すために必要なトルクに付加されない。更に、カレンダー駆動要素は、日車を1角度ステップのみジャンプ可能に適合された、単純なカレンダーのカレンダー駆動要素と同様のサイズであってもよい。このような構成は、エネルギーと開発の意味で特に好ましい。
【符号の説明】
【0061】
1 日付モバイル
3 第1割出装置
4 第2割出装置
5 カレンダー車
7 カム
8 レバー
9 ばね
30 戻りばね
40 戻りばね
70 カム
100 時計カレンダーシステム
110 ムーブメント
120 時計