特許第6883978号(P6883978)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6883978
(24)【登録日】2021年5月13日
(45)【発行日】2021年6月9日
(54)【発明の名称】電気製品
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/14 20060101AFI20210531BHJP
   H05K 3/36 20060101ALI20210531BHJP
   H05K 7/14 20060101ALI20210531BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20210531BHJP
【FI】
   H05K1/14 E
   H05K3/36 Z
   H05K7/14 G
   H05K1/02 A
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-228898(P2016-228898)
(22)【出願日】2016年11月25日
(65)【公開番号】特開2018-85477(P2018-85477A)
(43)【公開日】2018年5月31日
【審査請求日】2019年10月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105795
【弁理士】
【氏名又は名称】名塚 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100105131
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 満
(72)【発明者】
【氏名】田 頭 毅
【審査官】 齊藤 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−138070(JP,A)
【文献】 特開2007−280839(JP,A)
【文献】 実開昭59−96888(JP,U)
【文献】 実開平1−104796(JP,U)
【文献】 実開平4−85589(JP,U)
【文献】 実開平6−26297(JP,U)
【文献】 特開2011−198917(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0206151(US,A1)
【文献】 特開昭63−84097(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K1/00―7/20,13/00―13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面および裏面の少なくとも一方に電子部品を実装した複数の電子回路基板を積層して構成された基板積層体を備える電気製品であって、
前記複数の電子回路基板は、互いに隣接する2つの前記電子回路基板のうちの一方の電子回路基板と、他方の電子回路基板と、を含み、
前記基板積層体は、前記一方の電子回路基板と前記他方の電子回路基板とを互いに積層する際に、前記一方の電子回路基板と前記他方の電子回路基板とを互いに位置決めするための位置決め手段を有し、
前記一方の電子回路基板が、前記他方の電子回路基板に先端を向けて設けられた位置決めピンと、電気コネクタの一方のコネクタ端子と、を有し、
前記他方の電子回路基板が、前記位置決めピンが嵌合する嵌合穴と、前記一方の電子回路基板に先端を向けて設けられ、前記一方のコネクタ端子と接続する他方のコネクタ端子と、を有し、
前記裏面に前記他方のコネクタ端子を有する電子回路基板が、前記他方のコネクタ端子に対応する前記表面の部分に、前記基板積層体の組立時または分解時にロボットにより把持される把持部を有する、電気製品。
【請求項2】
表面および裏面の少なくとも一方に電子部品を実装した複数の電子回路基板を積層して構成された基板積層体を備える電気製品であって、
前記複数の電子回路基板は、互いに隣接する2つの前記電子回路基板のうちの一方の電子回路基板と、他方の電子回路基板と、を含み、
前記基板積層体は、前記一方の電子回路基板と前記他方の電子回路基板とを互いに積層する際に、前記一方の電子回路基板と前記他方の電子回路基板とを互いに位置決めするための位置決め手段を有し、
前記一方の電子回路基板が、電気コネクタの一方のコネクタ端子を有し、
前記他方の電子回路基板が、前記一方のコネクタ端子と接続する他方のコネクタ端子を有し、
前記一方のコネクタ端子および前記他方のコネクタ端子は、前記一方の電子回路基板と前記他方の電子回路基板とを互いに積層する際に、前記一方の電子回路基板と前記他方の電子回路基板とを互いに位置決めする機能を有し、
前記裏面に前記他方のコネクタ端子を有する電子回路基板が、前記他方のコネクタ端子に対応する前記表面の部分に、前記基板積層体の組立時または分解時にロボットにより把持される把持部を有する、電気製品。
【請求項3】
前記一方のコネクタ端子および前記他方のコネクタ端子が、オス端子およびメス端子であり、或いはプラグおよびレセプタクルである、請求項1または2に記載の電気製品。
【請求項4】
前記基板積層体の最下層の電子回路基板を取り付ける取付部を備え、
前記取付部が、前記最下層の電子回路基板に先端を向けて設けられた位置決めピンを有し、
前記最下層の電子回路基板が、前記取付部の前記位置決めピンが嵌合する嵌合穴を有する、請求項1乃至のいずれか一項に記載の電気製品。
【請求項5】
前記取付部が、前記基板積層体を収納する容器と一体に成形されたものである、請求項記載の電気製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品を実装した複数の電子回路基板を積層した基板積層体を備えた電気製品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子回路の集約化や小型化が進み、特にプリント基板においては、集積回路を含む多数の電子部品が実装されたプリント基板が、電気製品、例えば制御装置において多数使用されている。またスペースの有効活用のため、多数の電子部品が実装された複数プリント基板が積層された基板積層体が搭載されるようになっている。
【0003】
また、プリント基板においては、印刷技術等の進歩により自動化が進み、またプリント基板への電子部品の実装についても、自動化されることが多くなっている。
【0004】
ただし、特に基板積層体については、従来、基板間の配線等は、多数の電線を束ねたハーネス(ワイヤハーネスまたはケーブルハーネス)を使用して、電気製品(制御装置等)の筐体内を引き回し、コネクタ(端子)間の接続を行っていた。このため、筐体の小型化に制約があり、コネクタ接続は自動化が困難であり、手作業により行われていた。このため、電気製品の製造に多数の労力、時間を要していたという問題があった。
【0005】
このような従来技術の問題に対して、例えば、特許文献1においては、2つのプリント基板をロボットにより連結する提案がなされている。すなわち、特許文献1は、実装基板6を基板ハンドリング用ロボット18で把持し、バッテリー基板5上に押し付けて、バッテリー基板5のコネクタ10aと実装基板6のコネクタ10bとを嵌合して基板5と6とを結合する方法が提案されている(例えば、段落[0012])。
【0006】
ここで、ロボット18によりコネクタ10aと実装基板6のコネクタ10bとを嵌合するためには、嵌合する相手方であるバッテリー基板5が正確に位置決めされている必要があるため、コネクタ10aと10bの接続を確実に行うために、ロボット18とは別に独立した基板位置決め装置15が準備されており、またロボット18によるコネクタ10aと10bの接続の前に基板位置決め装置15によりバッテリー基板5が正確に位置決めされている(例えば、段落[0011]後段ないし[0012]前段)。
【0007】
したがって、特許文献1による方法では、コネクタ10aと10bの接続を確実に行うために、新たに専用の位置決め装置が必要となり、かつ位置決めのための工程も増加し、費用、労力、時間が増加する。また、特許文献1による方法は、2つの基板を接続することのみを対象としており、3つ以上の多数の基板積層体を対象とはしていない。
【0008】
以上のとおり、従来は、複数の電子回路基板を積層する積層体を搭載した電気製品、例えば制御装置について、ロボットを使用して簡易に効率よく製造することが困難であるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平4−280497号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上述した従来技術の問題点に鑑みなされたものであって、複数の電子回路基板を積層する積層体を搭載した電気製品であって、ロボットを使用して簡易に効率よく製造することができる電気製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するために、本発明の第1の態様は、表面および裏面の少なくとも一方に電子部品を実装した複数の電子回路基板を積層して構成された基板積層体を備える電気製品であって、前記複数の電子回路基板は、互いに隣接する2つの前記電子回路基板のうちの一方の電子回路基板と、他方の電子回路基板と、を含み、前記基板積層体は、前記一方の電子回路基板と前記他方の電子回路基板とを互いに積層する際に、前記一方の電子回路基板と前記他方の電子回路基板とを互いに位置決めするための位置決め手段を有する、ことを特徴とする。
【0012】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記一方の電子回路基板が、前記他方の電子回路基板に先端を向けて設けられた位置決めピンと、電気コネクタの一方のコネクタ端子と、を有し、前記他方の電子回路基板が、前記位置決めピンが嵌合する嵌合穴と、前記一方の電子回路基板に先端を向けて設けられ、前記一方のコネクタ端子と接続する他方のコネクタ端子と、を有する、ことを特徴とする。
【0013】
本発明の第3の態様は、第1の態様において、前記一方の電子回路基板が、電気コネクタの一方のコネクタ端子を有し、前記他方の電子回路基板が、前記一方のコネクタ端子と接続する他方のコネクタ端子を有し、前記一方のコネクタ端子および前記他方のコネクタ端子は、前記一方の電子回路基板と前記他方の電子回路基板とを互いに積層する際に、前記一方の電子回路基板と前記他方の電子回路基板とを互いに位置決めする機能を有する、ことを特徴とする。
【0014】
本発明の第4の態様は、第2または第3の態様において、前記裏面に前記他方のコネクタ端子を有する電子回路基板が、前記他方のコネクタ端子に対応する前記表面の部分に、前記基板積層体の組立時または分解時にロボットにより把持される把持部を有する、ことを特徴とする。
【0015】
本発明の第5の態様は、第2乃至第4のいずれかの態様において、前記一方のコネクタ端子および前記他方のコネクタ端子が、オス端子およびメス端子であり、或いはプラグおよびレセプタクルである、ことを特徴とする。
【0016】
本発明の第6の態様は、第1乃至第5のいずれかの態様において、前記基板積層体の最下層の電子回路基板を取り付ける取付部を備え、前記取付部が、前記最下層の電子回路基板に先端を向けて設けられた位置決めピンを有し、前記最下層の電子回路基板が、前記取付部の前記位置決めピンが嵌合する嵌合穴を有する、ことを特徴とする。
【0017】
本発明の第7の態様は、第6の態様において、前記取付部が、前記基板積層体を収納する容器と一体に成形されたものである、ことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係る電気製品の一実施形態における基板積層体(4層)の斜め上方からの分解斜視図である。
図2】本発明に係る電気製品の一実施形態における基板積層体(4層)の斜め下方からの分解斜視図である。
図3】本発明に係る電気製品の一実施形態における基板積層体(4層)の第2層と第3層の基板の斜め上方からの分解斜視図である。
図4】本発明に係る電気製品の一実施形態における基板積層体(4層)の第2層と第3層の基板の斜め下方からの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係る電気製品の一実施形態について、以下、図面を参照しつつ説明する。
【0020】
本実施形態による電気製品は、図1乃至図4に示したように、表面に電子部品10を実装した4つ(4層)の電子回路基板(以下、単に「基板」ということがある。)1−i(i=1、2、3、4)を積層する基板積層体8と、最下層(第1層)の基板1−1の裏面を取り付ける載置台(取付部)7と、基板積層体8および載置台7を内部に収納する筐体(図示省略)を備えている。
【0021】
なお、基板1−iは、載置台7に取り付けられる最下層を第1層1−1(i=1)とし、上方に向かって順に第2層1−2(i=2)、第3層1−3(i=3)、第4層1−4(i=4)と呼ぶ。また、基板1−iを総称して単に基板1と呼ぶこともある。また、各基板1−iは、下方側(載置台7の側)にある面を裏面、上方側(載置台7と反対側)にある面を表面という。また、下記に説明する本実施形態においては、電子部品10は、基板1の表面に実装することとしているが、裏面または表裏両面に実装することとしてもよい。
【0022】
載置台7は、筐体と一体で成形されていることが好ましい。基板1がパワー半導体のように発熱量の大きい電子部品を実装している場合に、高い放熱性能を確保することができるからである。
【0023】
先ず、基板積層体8の中間層(本実施形態においては、最下層である第1層および最上層である第4層を除く第2層および第3層)の基板1−2、1−3の構造について、基板1−3を中心に説明する。
【0024】
第2層の基板1−2の表面において電子部品10が実装されていない部分には、第3層の基板1−3に配設された電気配線用のコネクタ端子(オスまたはプラグ)3と接続するためのコネクタ端子(メスまたはレセプタクル)2が先端を第3層の基板1−3(の裏面)に向けて配設され、またコネクタ端子2を挟んだ両側に先端を第3層の基板1−3の裏面に向けた一対の位置決めピン(位置決め手段)4が配設され、さらに第2層の基板1−2を第1層の基板1−1と接続または分離するためにロボットハンドが把持する把持部であるバー6が配設されている。
【0025】
また、第2層の基板1−2の裏面には、バー6の対応する位置に先端を第1層の基板1−1の表面に向けて電気配線用のコネクタ端子(メスまたはレセプタクル)2と接続するためのコネクタ端子(オスまたはプラグ)3が配設されている。
【0026】
さらに、第2層の基板1−2には、先端を第2層の基板1−2に向けて第1層の基板1−1の表面に配設された位置決めピン4が嵌合する嵌合穴(位置決め手段)5が配設されている。
【0027】
同様に、第3層の基板1−3の表面において電子部品10が実装されていない部分には、第4層の基板1−4に配設された電気配線用のコネクタ端子(オスまたはプラグ)3と接続するためのコネクタ端子(メスまたはレセプタクル)2が先端を第4層の基板1−4の裏面に向けて配設され、またコネクタ端子2を挟んだ両側に先端を第4層の基板1−4の裏面に向けた一対の位置決めピン4が配設され、さらに第3層の基板1−3を第2層の基板1−2と接続または分離するためにロボットが把持する把持部であるバー6が配設されている。
【0028】
また、第3層の基板1−3の裏面には、バー6の対応する位置に先端を第2層の基板1−2の表面に向けて電気配線用のコネクタ端子(メスまたはレセプタクル)2と接続するためのコネクタ端子(オスまたはプラグ)3が配設されており、さらに、第3層の基板1−3には、先端を第3層の基板1−3に向けて第2層の基板1−1の表面に配設された位置決めピン4が嵌合する嵌合穴5が配設されている。
【0029】
基板1−1、1−2および1−3に配設された位置決めピン4は、ロボットによるコネクタ端子2とコネクタ端子3を接合する際に位置決めが実行できるように、先端を略円錐形状とし本体部を円形断面の棒状部材で形成されており、円形断面部分の実効長さが、隣接する各基板1−i間の間隔より長く設定されている。
【0030】
また、ロボットにより基板1−iの所定の把持部を所定の精度で把持できるように、基板1−iには所定のマーキング部9にシルク印刷等によりマーキングがされている。
【0031】
次に、以上の構造を有する基板積層体8について、例えば、基板1−1、1−2まで組み立てられた状態で、基板1−3を組み立てる方法について説明する。
【0032】
ワークエリアに搬入された基板1−3を、TVカメラ等を使用した視覚装置等によりマーキング部の位置を計測し、基板1−3の位置姿勢を検出し、ロボットにより所定の把持部を把持して基板1−3を基板1−2の鉛直上方位置に移送した後、基板1−3の嵌合穴5内に基板1−2の位置決めピン4が嵌合するように下降させて、基板1−3のコネクタ端子3を基板1−2のコネクタ端子2に接続する。なお、基板1−3の嵌合穴5の内面が基板1−2の位置決めピン4の先端部の略円錐形に倣って水平面内で位置決めできるように、ロボットハンドにコプライアンス機構等の機械的倣い機構を備えておくか、ソフト的な倣い制御を付加しても良い。
【0033】
なお、基板1−3のコネクタ端子3の基板1−2のコネクタ端子2への接続を確実にするために、必要に応じ、ロボットハンドにより適切な押し付け力によりバー6を下方に押し付ける。
【0034】
前記と逆に、基板1−3を基板1−2から分離する場合には、バー6をロボットまたは人手により把持して、基板1−3のコネクタ端子3を基板1−2のコネクタ端子から分離する。
【0035】
コネクタ端子2および3は、数十ないし100以上の多極/多心であることが多いので、その着脱には相当な力を要することが少なくない一方、基板1は合成樹脂等で製造され、十分な強度を有していないことがあるため、基板1の端部等を把持してコネクタ端子2およびコネクタ端子3の着脱を行うと基板1が損傷を受けるおそれがある。
【0036】
そこで、本実施形態においては、裏面に配設したコネクタ端子2に対応する表面の位置に配設されたバー6を把持して操作(押し付けまたは引き離し)することにより、コネクタ端子2とコネクタ端子3との着脱の際の基板1の損傷等の防止を図っている。
【0037】
次に、基板積層体8の最下層の基板1である第1層の基板1−1および最上層の基板1である第4層の基板1−4の構造について説明する。
【0038】
第1層の基板1−1は、その下方に接続すべき基板1が存在しないので、コネクタ端子3は配設されていない。
【0039】
また、基板1−1には、コネクタ3が配設されていないので、基板1−1を載置台7から分離する際は、基板1−1の嵌合穴を載置台7の位置決めピン4から引き抜くだけなので、大きな力を必要とせず、基板1−1の端部を把持して操作しても基板1−1を損傷等させるおそれが低いため、バー6を必ずしも配設する必要はない。
【0040】
また、最上層の基板1である第4層の基板1−4は、その上方の接続すべき基板1が存在しないので、コネクタ端子2および位置決めピン4が配設されていない。
【0041】
なお、本実施形態においては、隣接する上下層の基板1(例えば基板1−2と1−3)の間においては、下層の基板1(例えば基板1−2)にコネクタ端子(メスまたはレセプタクル)2が配設され、上層の基板1(例えば基板1−3)にコネクタ端子(オスまたはプラグ)3が配設されることとしているが、逆に、下層の基板1(例えば基板1−2)にコネクタ端子(オスまたはプラグ)3が配設され、上層の基板1(例えば基板1−3)にコネクタ端子(メスまたはレセプタクル)2が配設されることとしてもよい。さらに、コネクタ端子(オスまたはプラグ)3とコネクタ端子(メスまたはレセプタクル)2とが接続される限り、どちらが上層または下層の基板に配設されてもよい。
【0042】
なお、本実施形態においては、4層の基板積層体について説明したが、本発明は2層以上の積層体であればよい。
【0043】
2層の基板積層体の場合には、本実施形態における4層の基板積層体において、中間層(第2層および第3層)を除く最下層(第1層)および最上層(第4層)のみの構成となり、3層以上の積層体の場合には、同様な構造の中間層が増加する構成となる。
【0044】
本実施形態においては、適切な構造のコネクタ端子(オスまたはプラグ)3とコネクタ端子(メスまたはレセプタクル)2とを組み合わせることにより、コネクタ端子3とコネクタ端子2との小さな位置ずれに対しては、コネクタ端子3またはコネクタ端子2の一方を相手方の押し込むことにより先端部の形状に倣って両者を有効に接続することができる。
【0045】
したがって、本実施形態による基板積層体8おいては、特別ないし専用の位置決め装置を必要とすることなく、組立の相手方である電気製品や載置台7等の位置決めに誤差等があり、またロボットハンドで基板1を正確な位置や姿勢で把持することができない場合であっても、所定の大きな位置ずれに対しては位置決めピンによりコネクタ端子3とコネクタ端子2との接続可能な範囲に位置決めでき、小さな位置ずれに対しては本来のコネクタ端子3とコネクタ端子2による接続許容範囲内の位置ずれとして、コネクタ端子3とコネクタ端子2とを接続できる。
【0046】
また、隣接する基板1の間を、電気配線をコネクタ端子2とコネクタ端子3で接続することから、筐体内のハーネスの引き回し、ハーネスコネクタの接続が不要となるため、筐体の小型化、ロボットによる基板積層体の自動組立が可能となり、コストの低減および製作の合理化が達成できる。
【0047】
また、本実施形態による基板積層体8は、バー6を把持してコネクタ端子3とコネクタ端子の着脱を行うため、基板1を損傷することがない。
【0048】
上述した実施形態においては、一方の電子回路基板と他方の電子回路基板とを互いに積層する際に、一方の電子回路基板と他方の電子回路基板とを互いに位置決めするための位置決め手段が、位置決めピン4および嵌合穴5によって構成されている。
【0049】
本発明の他の実施形態としては、上述した位置決めピン4および嵌合穴5によって構成する位置決め手段に代えて、一方のコネクタ端子および他方のコネクタ端子が、一方の電子回路基板と他方の電子回路基板とを互いに積層する際に、一方の電子回路基板と他方の電子回路基板とを互いに位置決めする機能を有するように構成することもできる。
【0050】
この実施形態においては、位置決め手段が一方のコネクタ端子および他方のコネクタ端子によって構成されているので、構成を簡素化することができる。
【符号の説明】
【0051】
1 電子回路基板
1−1 電子回路基板(第1層)
1−2 電子回路基板(第2層)
1−3 電子回路基板(第3層)
1−4 電子回路基板(第4層)
2 コネクタ端子(メスまたはレセプタクル)
3 コネクタ端子(オスまたはプラグ)
4 位置決めピン(位置決め手段)
5 嵌合穴(位置決め手段)
6 バー
7 載置台(取付部)
8 基板積層体
9 マーキング部
10 電子部品
図1
図2
図3
図4