【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成28年12月1日総務省消防庁予防課及び東京消防庁予防部予防課消防設備係において防災用表示灯のパンフレットを配布
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成28年12月22日自社ウェブサイト(http://www.nittan.com/)において防災用表示灯について公開
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記導光板部の内面における前記凹部寄りの第一領域にある環状溝は、間隔をあけて同心状に設けられた断面逆V字形状を呈する環状の凸部の間に形成され、その環状の凸部の間には、前記導光板部の外面と平行な平面部が設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の防災用表示灯。
前記導光板部の内面における外周側の第二領域にある環状溝は、間隔をあけずに同心状に設けられた断面V字形状を呈する環状の溝によって形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の防災用表示灯。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の表示灯の場合、取り付けられた壁面からグローブが前方へドーム状に突出しているので、そのグローブ上に埃などが積もって付着してしまうことがある。
そのため、定期的な清掃を行ってグローブに付着した埃などの汚れを拭き取るようにしなければ、表示灯の明るさが低減してしまうという問題があった。
特に、近時一般的に用いられている砲弾型(卵形半球状)の表示灯のように壁面からの突出量が多いものだと、移動する人間や機器が接触する虞があるという問題があった。
【0005】
また、社会的要請(通行・運搬時の障害になり難いことや、空間デザイン上での美観の向上など)で、防災用表示灯としての必須用件(設置基準など)を満たしつつ、突出量が極めて少ないものが求められていることに加え、極めて少ない突出量であっても視認範囲がより広角な(より壁際の側方においても視認性のよい)防災用表示灯の実現が求められている。
【0006】
本発明の目的は、前方への突出量が少なく、且つ視認性よく光を放出することができる防災用表示灯を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
所定の壁面に設置される透光性を有するグローブと、発光部が配設されている基板と、を備えた防災用表示灯であって、
前記グローブは、外面が平坦な形状あるいは外面が緩やかな曲面の皿状に隆起した形状に形成された導光板部を有し、
前記導光板部の内面には凹部
と、前記凹部を中心にした同心状の複数の環状溝が形成されており、
前記環状溝は、前記凹部側に向かって溝底から上る傾斜面と、前記凹部から遠ざかる外側に向かって溝底から上る傾斜面とを有しており、
前記基板は、前記発光部の少なくとも一部を前記凹部に挿し入れた状態で前記導光板部に取り付けられており、
前記グローブは、少なくとも前記導光板部を視認可能に前記壁面に取り付けられることを特徴とする。
【0008】
上記構成の防災用表示灯であれば、導光板部の凹部において発光部が発光した光を、透光性を有する材料からなる導光板部の内面の境界で反射させるなどして、導光板部の中心側から外周側に向かって導光しつつ、導光板部の外面から出射するようにして、視認性よく光を放出することができる。
特に、グローブの導光板部は、外面がほぼ平坦な形状を有しているので、そのグローブの導光板部を壁面から視認可能に露出させた状態に取り付けることで、前方への突出量が少なく、導光板部の外面に埃などが積もり難くなるので、従来技術の表示灯のようにグローブに付着する埃などの汚れによって表示灯の発光面の明るさが低減してしまうことは殆どなく、好適に光を放出することができる。
また、透光性を有する材料からなる導光板部が壁面に視認可能に取り付けられていれば、導光した光を導光板部の外面および外周側から出射するので、防災用表示灯の正面と側面の両方から視認可能となり、一方の側面から正面、その正面から他方の側面に亘る広い範囲で発光を視認することができるので、極めて少ない突出量であっても視認範囲がより広角な(より壁際の側方においても視認性のよい)防災用表示灯を実現することができる。
【0010】
また、上記構成によれば、導光板部の凹部において発光部が発光した光を同心状の複数の環状溝で反射させるなどして、導光板部の中心側から外周側に向かって導光しつつ、導光板部の外面から出射するようにして、視認性よく光を放出することができる。
【0011】
請求項
2に記載の発明は、請求項
1に記載の防災用表示灯において、
前記導光板部の内面に反射面を向けた反射シートが配設されていることを特徴とする。
【0012】
上記構成によれば、導光板部の凹部において発光部が発光した光を導光板部で導光したり、反射シートの反射面で反射させたりするなどして、導光板部の中心側から外周側に向かって導光しつつ、導光板部の外面から出射するようにして、視認性よく光を放出することができる。
【0013】
請求項
3に記載の発明は、請求項
1又は2に記載の防災用表示灯において、
前記凹部の底面には、前記基板の表面に反射面を向けた反射部が設けられており、
前記基板の表面には、白色系の色を呈する層又は鏡面状を呈する層が設けられていることを特徴とする。
【0014】
上記構成によれば、発光部から出射された光が、凹部の底面を抜けて直接導光板部の外面から出射しないようになっている。
そして、反射部の反射面で反射された光や、基板の表面で反射された光は、凹部の内周面から導光板部に入射して、導光板部の中心側から外周側に向かって導光されるようになる。
【0015】
請求項
4に記載の発明は、請求項
3に記載の防災用表示灯において、
前記反射部は、前記発光部と接することなく、正面視した際に前記発光部を隠す配置に設けられていることを特徴とする。
【0016】
上記構成によれば、導光板部の外面から正面側への直射光を放出させないようにして、正面視の光の強さを和らげるとともに、導光板部の外周側へ光が伝達され易くなる。
【0017】
請求項
5に記載の発明は、請求項
1〜4のいずれか一項に記載の防災用表示灯において、
前記凹部は、その凹部の縁から、該凹部の底面に向かって下る傾斜面を有していることを特徴とする。
【0018】
上記構成によれば、凹部の内周面が導光板部の内面に向かって広がる傾斜面となっているので、その傾斜面から入射した光が、導光板部の中心側から外周側に向かって伝達され易くなっている。
【0019】
請求項
6に記載の発明は、請求項
1〜5のいずれか一項に記載の防災用表示灯において、
前記導光板部の内面における前記凹部寄りの第一領域にある環状溝は、間隔をあけて同心状に設けられた断面逆V字形状(断面山状)を呈する環状の凸部の間に形成され、その環状の凸部の間には、前記導光板部の外面と平行な平面部が設けられていることを特徴とする。
【0020】
上記構成によれば、導光板部の内面における凹部寄りの第一領域にある環状溝には、導光板部の外面と平行な平面部が設けられており、導光板部を導光されて平面部に向かった光の一部は、その平面部での境界(具体的には、導光板部と空気との境界)で反射して導光板部の外面に向かうようになるので、導光板部の第一領域では、導光板部の外周側に向かって光が伝達され易くなっている。
【0021】
請求項
7に記載の発明は、請求項
1〜6のいずれか一項に記載の防災用表示灯において、
前記導光板部の内面における外周側の第二領域にある環状溝は、間隔をあけずに同心状に設けられた断面V字形状(断面谷状)を呈する環状の溝によって形成されていることを特徴とする。
【0022】
上記構成によれば、導光板部の内面における外周側の第二領域にある環状溝では、光が乱反射され易く、導光板部の外面から光が出射され易くなっている。
【0023】
請求項
8に記載の発明は、請求項
1〜7のいずれか一項に記載の防災用表示灯において、
前記導光板部の外面側の周縁の角は、面取り加工又はR加工されていることを特徴とする。
【0024】
上記構成によれば、導光板部の外面側において面取り加工又はR加工された面から出射される光は、防災用表示灯の正面と側面の両方から視認可能となる。
【0025】
請求項
9に記載の発明は、請求項
1〜8のいずれか一項に記載の防災用表示灯において、
当該防災用表示灯は、前記グローブが取り付けられるベース体を備え、
前記ベース体は、内周面に雌ネジが形成されている円筒部を有し、
前記グローブは、前記導光板部の外縁よりも内側に位置するように前記導光板部の内面に立設され、その外周面に雄ネジが形成されている円筒部を有しており、
前記壁面を構成する壁材に形成された開口に対応させて前記壁材の裏側に配置された前記ベース体の円筒部に、前記開口から挿し入れられた前記グローブの円筒部が螺着されて、前記ベース体の円筒部の縁と前記グローブの前記導光板部とで前記壁材を挟み込んだ状態で、当該防災用表示灯が前記壁面に取り付けられることと、
前記壁面の表側に固定された前記ベース体の円筒部に、前記グローブの円筒部が螺着された状態で、当該防災用表示灯が前記壁面に取り付けられることが、選択可能とされていることを特徴とする。
【0026】
上記構成によれば、ベース体を壁面の裏側に設置する第1の様式と、ベース体を壁面の表側に設置する第2の様式の、2つの様式のいずれかを選択して防災用表示灯を壁面に取り付けることができる。つまり、この防災用表示灯は、1製品で2通りの取り付け方法を有している。
特に、第1の様式で防災用表示灯を壁面に取り付けた場合、グローブの導光板部のみが壁面から視認可能に露出された状態であって、防災用表示灯が壁面から突き出ない状態に取り付けることができるので、防災用表示灯に側方から人や物がぶつかり難くすることができる。
その結果、防災用表示灯が通行の妨げになったり、防災用表示灯に側方から人や物がぶつかったりして破損してしまうのを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、前方への突出量が少なく、且つ視認性よく光を放出することができる防災用表示灯が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して、本発明に係る防災用表示灯の実施形態について詳細に説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
防災用表示灯は、防災設備の場所を示すために、防災設備やその近傍に取り付けて使用される灯具である。
【0030】
本実施形態の防災用表示灯100は、
図1に示すように、所定の壁面に設置されるグローブ10と、グローブ10が取り付けられるベース体20と、発光部31が配設されている基板30と、グローブ10に配設される円環状の反射シート40と小円状の反射シート50等を備えている。
【0031】
グローブ10は、例えば、ポリカーボネート製の部材であり、透光性(光透過性)を有している。特に、防災用表示灯に用いるグローブ10であるので、赤色に着色されたポリカーボネート材料を用いている。また、このグローブ10には、ポリカーボネート製品に光拡散性を付与する光拡散材(例えば、帝人株式会社製、難燃光拡散グレード)が含有されている。
グローブ10は、
図1、
図2(a)(b)(c)、
図4に示すように、平板状の導光板部11と、導光板部11の外縁よりも内側に位置するように導光板部11の内面に立設されている円筒部12を有している。
円筒部12の外周面には、後述するベース体20の円筒部22の雌ネジ22aと螺着する雄ネジ12aが形成されている。
【0032】
導光板部11は、円盤形状を呈しており、外面は平坦に形成されている。
この導光板部11の外面側には、その周縁の角が面取りされてなるテーパ面1が設けられている。
なお、導光板部11の外面とテーパ面1とがなす角度は、例えば45°である。
【0033】
この導光板部11の内面には、凹部13と、その凹部13を中心にして同心状に形成された複数の環状溝としてのリング溝14が設けられている。
具体的には、導光板部11の内面には、円形を呈する凹部13と、その凹部13を中心にした円環状の複数のリング溝14(14a、14b)が同心円状に形成されている。
凹部13は、その凹部の縁よりも小さな底面13aに向かって下る傾斜面13bを有している。この傾斜面13bと導光板部11の外面とがなす角度は、例えば45°である。
各リング溝14(14a、14b)は、中心の凹部13側に向かって溝底から上る傾斜面と、凹部13から遠ざかる外側に向かって溝底から上る傾斜面とを有している。これら傾斜面と導光板部11の外面とがなす角度は、例えば45°である。
【0034】
ここで、導光板部11の内面において、円筒部12の内側の領域が第一領域、円筒部12の外側の領域が第二領域とされている。
そして、第一領域にある第一リング溝14aは、間隔をあけて同心円状に設けられた断面逆V字形状を呈する環状の凸部2の間に形成されており、環状の凸部2の間には導光板部11の外面と平行な平面部3が設けられている。
また、第二領域にある第二リング溝14bは、間隔をあけずに同心円状に設けられた断面V字形状を呈する環状の溝4によって形成されている。
なお、環状の凸部2は、導光板部11の内面の基準面から隆起した形状に形成されており、環状の溝4は、導光板部11の内面の基準面から窪んだ形状に形成されている。
換言すれば、環状の溝4は、平面部3と略同じ高さの面から窪むように形成されており、環状の溝4の境目の頂部が平面部3と略同じ高さになっている。
【0035】
また、導光板部11の内面の第一領域には、基板30を取り付けるための円環状の枠部15が設けられている。
枠部15の内周面には、基板30を嵌合させるためのリブ15aが設けられている。
【0036】
ベース体20は、
図1、
図3(a)(b)(c)、
図4に示すように、底部21と、底部21の周縁から立設されている円筒部22を有している。
円筒部22の内周面には、グローブ10の円筒部12の雄ネジ12aと螺着する雌ネジ22aが形成されている。
底部21の中央には、基板30に接続されている配線33などが通される中央孔21aが形成されている。
また、底部21には、ベース体20を壁面に固定する際に、ネジやボルトを通すための複数の小孔21bが形成されている。
このベース体20は、グローブ10と同じ材料(例えば、ポリカーボネート)からなる部材である。
【0037】
図1、
図5に示すように、基板30の表面30aには、発光部31としてのLED(light emitting diode)が実装されている。
また、
図5に示すように、基板30の裏面には、電源IC32が実装され、また配線33が接続されている。
なお、防災用表示灯100などの防災設備は、DC24V電源を用いて24時間監視を行うため、低消費電力にて実現することが好ましく、さらに防災設備の表示灯として十分な視認性を有することが好ましいので、発光部31としてLEDを採用した。このLEDは直列接続にて最大8個程度実装可能である。本実施形態では、4つのLED(発光部31)を実装した。
【0038】
そして、
図5に示すように、基板30は、発光部31を凹部13に向けて枠部15に嵌め込まれ、導光板部11の内面に取り付けられている。具体的には、発光部31の発光部位の先端側が凹部13内に挿し入れられた状態となるように取り付けられている。
特に、凹部13の底面13aには、基板30の表面30aに反射面50aを向けた反射部としての反射シート50が配設されており、基板30の表面30aは、光の反射率を高めるように白色系の色に着色されている。
こうすることで、基板30の発光部31から出射された光が、凹部13の底面13aを抜けて直接導光板部11の外面から出射しないようになっている。
なお、基板30の表面30aに白色系の色を呈する層が設けられていることに限らず、基板30の表面30aには、鏡面状を呈する層が設けられていてもよい。鏡面状を呈する層は、例えば、クロムメッキによって形成することができる。
【0039】
そして、反射シート50の反射面50aで反射された光や、基板30の表面30aで反射された光は、凹部13の傾斜面13bから導光板部11に入射するようになる。
また、枠部15の内側において導光板部11の内面から出射した光は、基板30の表面30aで反射されて導光板部11に戻るようになっている。
なお、反射シート50は、発光部31と接することなく、正面視した際に発光部31を隠す配置に設けられている。こうすることで、導光板部11の外面から正面側への直射光を放出させないようにして、正面視の光の強さを和らげるとともに、導光板部11の外周側へ光が伝達され易くなる。
【0040】
また、
図5に示すように、導光板部11の内面の第一領域であって、枠部15と円筒部12の間の領域には、複数の第一リング溝14aを覆うように、導光板部11の内面に反射面40aを向けた反射シート40が配設されている。
反射シート40には、中央開口41が形成されており、その中央開口41に枠部15を通して、反射シート40が導光板部11の内面に配設されている。
この反射シート40の反射面40aが導光板部11の内面に向けて配設されているので、枠部15と円筒部12の間において導光板部11の内面から出射した光は、反射シート40の反射面40aで反射されて導光板部11に戻るようになっている。
【0041】
次に、本実施形態の防災用表示灯100の光学的な機能について説明する。
【0042】
図5に示したように、グローブ10の導光板部11の内面には、円環状の反射シート40および小円状の反射シート50と、発光部31が配設されている基板30とが取り付けられている。
導光板部11の内面に取り付けられている基板30の発光部31を発光させると、
図6に示すように、発光部31から出射された光は、凹部13の傾斜面13bから導光板部11に入射する。
また、発光部31から直接傾斜面13bに向かわなかった光は、反射シート50の反射面50aで反射したり、基板30の表面30aで反射したりするなどして、傾斜面13bから導光板部11に入射するようになる。
【0043】
そして、グローブ10は光透過性を有する材料から成るので、傾斜面13bから導光板部11に入射した光は、導光板部11の中心側から外周側に向かって導光され、伝達されていく。
特に、凹部13の内周面が導光板部11の内面に向かって広がる傾斜面13bとなっているので、傾斜面13bから入射した光が、導光板部11の中心側から外周側に向かって伝達され易くなっている。
この光の伝達過程で導光板部11の外面から出射した光が、防災用表示灯100の照射光として認識されるようになる。
【0044】
例えば、
図6に示すように、傾斜面13bから導光板部11に入射した光の一部が、導光板部11の外面から出射されるようになる。
また、
図6に示すように、導光板部11の外面側(具体的には、導光板部11と空気との境界)で内面に向かって反射した光は、基板30の表面30aや反射シート40の反射面40aで反射され、導光板部11の外面のより外周側から出射されるようになる。
【0045】
また、導光板部11の外面境界での反射光のうち、第一リング溝14aの平面部3に向かった光の一部は、平面部3での境界(導光板部11と空気との境界)で反射して導光板部11の外面に向かうようになるので、第一リング溝14aが形成されている導光板部11の第一領域では、導光板部11の外周側に向かって光が伝達され易くなっている。
【0046】
また、導光板部11の外面境界での反射光のうち、第二リング溝14bに向かった光は、その境界(導光板部11と空気との境界)で反射され、導光板部11の外面から出射されるようになる。
特に、第二リング溝14bは、間隔をあけずに同心円状に設けられた断面略V字形状を呈する環状の溝4によって形成されているため、その凹凸で光が乱反射され易く、導光板部11の外面から光が出射され易くなっている。
【0047】
また、導光板部11の外面の外周縁には、周縁の角が面取り加工されてなるテーパ面1が設けられているので、そのテーパ面1からも光が出射される。このテーパ面1から出射される光は、防災用表示灯100の正面と側面の両方から視認可能となる。
また、導光板部11の外周面からも光が出射され、防災用表示灯100の側面から視認可能となる。
なお、導光板部11の外面側の周縁の角は、R加工されていてもよい。R加工されてなるR面から出射される光も、防災用表示灯100の正面と側面の両方から視認可能となる。
【0048】
こうして、導光板部11中を導光された光は、導光板部11の外面の各部から出射される。
なお、上記した反射以外にも、導光板部11の各部(境界部分)で光は反射されているが、その説明は割愛する。
また、
図6の説明図では、光の屈折に関しては無いものとして図示しており、その光の屈折についての説明も割愛する。
【0049】
このように、防災用表示灯100は、発光部31から出射された光をグローブ10の導光板部11で導光しつつ、導光板部11の外面や外周面から出射するようにして、視認性よく光を放出して灯すことができる。
【0050】
次に、本実施形態の防災用表示灯100を壁面に取り付ける方法について説明する。
本実施形態の防災用表示灯100を壁面に取り付ける方法には2つの様式がある。
【0051】
まず、第1の様式について説明する。
防災用表示灯100を取り付ける壁面Wを構成する壁材には、グローブ10の円筒部12の外径サイズに相当する円形の開口Hを形成しておく。
そして、壁面Wに形成された開口Hに対応させて壁材の裏側にベース体20を配置し、その開口Hからグローブ10の円筒部12を挿し入れ、ベース体20の円筒部22にグローブ10の円筒部12を螺着する。
そして、
図7(a)に示すように、ベース体20の円筒部22の縁とグローブ10の導光板部11の外縁部とで壁材を挟み込んだ状態にすることで、防災用表示灯100を壁面Wに簡単に取り付けることができる。
【0052】
次に、第2の様式について説明する。
防災用表示灯100を取り付ける壁面W(壁材)に対し、ベース体20をネジNで固定する。
そして、
図7(b)に示すように、壁面Wの表側に固定されたベース体20の円筒部22に、グローブ10の円筒部12を螺着することで、防災用表示灯100を壁面Wに取り付けることができる。
【0053】
このように、本実施形態の防災用表示灯100は、
図7(a)に示す第1の様式と
図7(b)に示す第2の様式のいずれかの様式で壁面Wに取り付けることができるので、その取り付け箇所に適した様式や、ユーザーが所望する様式を選択して、防災用表示灯100を壁面Wに設置することができる。
【0054】
例えば、防災用表示灯100を新設する箇所では、壁面Wに形成した円形の開口Hにグローブ10の円筒部12を挿し入れる第1の様式によって、防災用表示灯100を壁面Wに簡単に取り付けることができる。
また、既存の表示灯(例えば、砲弾型の表示灯)を、防災用表示灯100に付け替える箇所では、既存の表示灯が設置されていた壁面Wの既存の取り付け用ネジ穴を利用して、または新規にネジ穴を空けてベース体20をネジNで固定する第2の様式によって、防災用表示灯100を壁面Wに取り付けることができる。
このように、防災用表示灯100の1製品を、2つの取り付け様式で壁面Wに取り付けることができる。
なお、グローブ10の雄ネジ12aの径とピッチは、従来の砲弾型の表示灯のベースの雌ネジと適合するように形成されているので、従来の表示灯のベースにグローブ10のみを取り付けることも可能である。
【0055】
そして、いずれの取り付け様式であっても、グローブ10の導光板部11の外面を壁面Wと平行に設置することができるので、防災用表示灯100の発光面となる導光板部11の外面には埃などが積もり難くなっている。
【0056】
以上のように、本実施形態の防災用表示灯100を壁面Wに取り付けて使用すれば、防災用表示灯100の発光面となる導光板部11の外面から好適に光を出射するようにして、視認性よく光を放出することができる。
特に、壁面Wと平行となる導光板部11の外面には埃などが積もり難くなっているので、従来技術の表示灯のようにグローブに付着する埃などの汚れによって、発光面の明るさが低減してしまうことは殆どなく、好適に光を放出することができる。
【0057】
また、この防災用表示灯100は、ベース体20を壁面Wの裏側に設置する第1の様式と、ベース体20を壁面Wの表側に設置する第2の様式の、2つの様式のいずれかを選択して壁面Wに取る付けることができる。
いずれの様式であっても、導光板部11の平坦な外面を壁面Wと平行となるように設置すれば、前方への突出量を少なくすることができる。
特に、ベース体20を壁面Wの裏側に設置する第1の様式で防災用表示灯100を壁面Wに取り付けた場合、グローブ10の導光板部11のみが壁面Wから視認可能に露出された状態であって、防災用表示灯100が壁面Wから突き出ない状態に取り付けることができるので、防災用表示灯100に側方から人や物がぶつかり難くすることができる。
つまり、防災用表示灯100が通行の妨げになったり、防災用表示灯100に側方から人や物がぶつかったりして破損してしまうのを防ぐことができる。
【0058】
例えば、近時一般的に用いられている砲弾型(卵形半球状)の表示灯は、壁面から約60mm突出して取り付けられている。また、ドアノブやインターホンなどの壁面からの突出量も約60mmである。
これに対し、第1の様式で防災用表示灯100を壁面Wに取り付けた場合、防災用表示灯100は、壁面Wから約3mm突出するようになっている(
図4、5、6、7(a)、8、9、10、13。なお、
図11、12では3〜8mm突出する)。
また、第2の様式で防災用表示灯100を壁面Wに取り付けた場合、防災用表示灯100は、壁面Wから約22mm突出するようになっている(
図7(b)。なお、
図11、12の場合は全体で約22〜30mm突出する)。
このように、いずれの取り付け様式であっても、防災用表示灯100の壁面Wからの突出量を低減することができる。
【0059】
なお、この防災用表示灯100は、その取り付け位置から壁面Wに沿って約10m離れ、壁面Wに対し15°の角度を成して防災用表示灯100を見た際に、防災用表示灯100(導光板部11)の四分の一以上の面積が光っているように視認できるようになっている。
第1の様式で防災用表示灯100を壁面Wに取り付けた場合、グローブ10の導光板部11のみが壁面Wから視認可能に露出された状態であるが、上記した視認性を有している。
これは、導光板部11の外面の外周縁にテーパ面1を設けたことに加え、基板30に4つのLED(発光部31)を実装したことによる。
基板30に4つ以上のLED(発光部31)を設けるようにすれば、防災用表示灯100を側方から視認した際の明るさが、LED(発光部31)の実装箇所によらず安定するようになる。
【0060】
また、防災用表示灯100は、導光板部11の内面に形成されている複数のリング溝14に起因する同心円状の縞模様が、発光面となる導光板部11に現れるようになっている。
そして、既存の砲弾型の表示灯を、防災用表示灯100に付け替えた場合、防災用表示灯100の導光板部11に現れる同心円状の縞模様によって、平面状の導光板部11が砲弾型の表示灯のように視認され易くなっている。
つまり、従来見慣れていた砲弾型の表示灯が防災用表示灯100に付け替えられても、防災設備の場所を示す防災用表示灯100として認識されるので、既存の砲弾型の表示灯を防災用表示灯100に付け替えても違和感なく受け入れられ易いというメリットがある。
【0061】
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではない。
例えば、
図8に示すように、導光板部11の内面に凹部13を中心にした複数のリング溝14(14a、14b)が形成されていなくてもよい。つまり、導光板部11の内面はフラットな面であって、その平坦状の内面に凹部13と枠部15が形成されているものでもよい。
グローブ10に、ポリカーボネート製品に光拡散性を付与する光拡散材が含有されていれば、導光板部11の内面で光を反射させ、その反射した光を導光板部11の外面から出射させることができる。
また、凹部13の内周面は傾斜面でなく、導光板部11の外面に対し垂直な面であってもよい。
【0062】
また、
図9に示すように、基板30と反射シート40が一体に繋がれた構造であってもよい。
また、
図10に示すように、その表面30aが白色系の色に着色された基板30が、グローブ10の内面の略全域を覆う構造であってもよい。
【0063】
また、
図11に示すように、グローブ10の導光板部11の外面は、緩やかな曲面の皿状に中央側が隆起した形状に形成された構造であってもよい。
また、凹部13の内周面は傾斜面でなく、凹部13の底面13aに対し垂直な面であってもよい。
なお、この導光板部11における「外面が緩やかな曲面の皿状に隆起した形状」とは、導光板部11の直径に対する壁面からの突出率が15%以下の曲面形状に相当し、砲弾型や半球型とは異なるドーム形状であって、比較的平坦な曲面を有するドーム形状のことである。
【0064】
また、
図12に示すように、グローブ10の導光板部11の外面は、緩やかな曲面の皿状に中央側が隆起した形状に形成された構造であって、導光板部11自体が皿状に湾曲した形状を有する構造であってもよい。
【0065】
また、
図13に示すように、導光板部11の凹部13は、導光板部11に形成した貫通穴13cの一端を封止部材16で塞いで設けたものでもよい。封止部材16は、導光板部11の外面に貼付されており、導光板部11の貫通穴13cを塞いでいる。
この封止部材16は、透光性を有するものでも、遮光性を有するものでもよい。
また、封止部材16における基板30の表面30aと対向する面は、鏡面(反射面)に形成されていてもよい。
なお、円筒状の貫通穴13cを図示して説明したが、すり鉢状の貫通穴であってもよい。
【0066】
また、導光板部11の内面に同心円状に形成されている複数のリング溝14(14a、14b)は、円環状に形成された溝であることに限らず、例えば、
図14(a)(b)に示すように、断続的に形成された円弧状の溝が連なって円環状を呈するリング溝14(14a、14b)であってもよい。
また、断続的に形成された円弧状の溝が連なって円環状を呈するリング溝14(14a、14b)ではなく、断続的に形成された短尺な直線状の溝が連なって略円環状を呈するリング溝14(14a、14b)であってもよい。
【0067】
なお、以上の実施の形態においては、導光板部11の内面の中央に形成された凹部13を中心にして、同心円状の複数のリング溝14が設けられているものを例に説明したが、導光板部11の内面の複数箇所に凹部13が形成され、各凹部13を中心にしてそれぞれ同心円状の複数のリング溝14が設けられているものであってもよい。
また、導光板部11の内面の任意の位置(例えば中央からずれた位置)に形成された凹部13の周囲に、偏心した複数のリング溝14が設けられているものであってもよい。
【0068】
また、以上の実施の形態においては、導光板部11の内面に形成された円形を呈する凹部13を中心にして、同心円状の複数のリング溝14が設けられているものを例に説明したが、凹部13は円形であることに限らず、多角形形状を呈する凹部13であってもよく、その凹部13を中心にして、多角形形状を呈する複数の環状溝が同心状に形成されているものであってもよい。
【0069】
また、複数のリング溝14は、断面逆V字形状を呈する環状の凸部2の間に形成されているものや、断面V字形状を呈する環状の溝4によって形成されているものに限らず、断面逆U字形状を呈する環状の凸部の間に形成されているものや、断面U字形状を呈する環状の溝によって形成されているものであってもよく、その溝形状は任意である。
【0070】
また、以上の実施の形態においては、導光板部11の内面の第一領域に形成されている複数の第一リング溝14aを覆うように反射シート40を配設したが、本発明はこれに限定されるものではなく、導光板部11の内面の第二領域に形成されている複数の第二リング溝14bを覆う反射シートを配設するようにしてもよい。
【0071】
また、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。