(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の加熱調理器においては、調理メニューに対応して定める自動調理用加熱条件が、加熱部を継続して燃焼させる条件に定められるものであるから、例えば、被加熱物を加熱する単位時間当たりの加熱量を十分に小さくして、被加熱物を低温状態に加熱する調理メニュー等、多様の調理メニューを設定することができない不都合があった。
【0008】
つまり、ガス燃焼式の加熱部は、適切な燃焼を行わせることができる最低燃焼量が存在するため、加熱部の加熱力を最低燃焼量よりも小さな値にすることができないため、被加熱物を加熱する単位時間当たりの加熱量を十分に小さくすることができないものとなるのである。
その結果、調理メニューに対応して定める自動調理用加熱条件を、加熱部を継続して燃焼させる条件に定めるようにすると、被加熱物を低温状態に加熱する調理メニューを設定することができない等、多様の調理メニューを設定することができないものとなる。
【0009】
ちなみに、被加熱物を低温状態に加熱する加熱調理メニューとしては、例えば、一次発酵させたパン生地を収納した蓋付きの調理容器を被加熱物として、パン生地を発酵(二次発酵)させる調理メニューや、肉類を収納した蓋付きの調理容器を被加熱物として、肉類を低温加熱する調理メニュー等が考えられる。
そして、パン生地を発酵(二次発酵)させる際には、一次発酵が完了したパン生地を、設定時間(例えば、40分程度)の間、例えば、35〜38℃程度に加熱した状態に維持させることが考えられ、肉類を低温加熱する際は、例えば、60℃程度に加熱した状態に維持させることが考えられる。
【0010】
本発明は、上記実状に鑑みて為されたものであって、その目的は、多様の調理メニューを設定することが可能となり、しかも、換気運転を良好に行うことができる換気制御機能付加熱調理器を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の換気制御機能付加熱調理器は、グリル庫と、前記グリル庫の内部に収納された被加熱物を加熱するガス燃焼式の加熱部と、前記加熱部の運転を制御する運転制御部とが設けられ、
前記運転制御部が、前記加熱部の作動状態に基づいて換気が必要であるか否かを判別して、換気装置に対して換気運転を開始する換気指令及び前記換気運転を停止する停止指令を指令するように構成されたものであって、その特徴構成は、
前記グリル庫で実行する調理メニューとして、自動調理用加熱条件が前記加熱部を点火状態と消火状態とを繰り返す状態で燃焼させる条件に設定された間欠燃焼調理メニューが定められ、
前記運転制御部が、前記間欠燃焼調理メニューの調理運転の開始が指令されると、前記自動調理用加熱条件に基づいて前記加熱部を前記点火状態と前記消火状態とを繰り返す状態で燃焼させ、且つ、前記間欠燃焼調理メニューの調理運転を開始してから少なくとも終了するまでの間は、継続して前記換気運転を行わせるべく、前記換気指令及び停止指令を指令するように構成され
、
前記運転制御部が、前記間欠燃焼調理メニューの調理運転を開始してから終了するまでの間において、前記点火状態にあるとき及び前記消火状態に切換えてから追加設定時間が経過するまでの間の換気風量よりも、前記消火状態に切換えてから前記追加設定時間が経過した後の換気風量を少なくするように、換気風量指令を前記換気装置に対して指令するように構成されている点にある。
【0012】
すなわち、調理メニューとして、自動調理用加熱条件が、加熱部を点火状態と消火状態とを繰り返す状態で燃焼させる条件に定めた間欠燃焼調理メニューを設定して、被加熱物を間欠的に加熱しながら、加熱することが可能となる。
つまり、間欠燃焼調理メニューによって、例えば、被加熱物としての肉類や魚類を加熱調理する際に、最初に加熱部を点火状態にして被加熱物を加熱したのち、加熱部を消火状態にして、被加熱物の表面の熱を被加熱物の内部に行き渡らせるようにし、その後、再び加熱部を点火状態にして、被加熱物の全体を焼き上げる等の調理を行わせることが可能となる。
【0013】
しかも、運転制御部が、間欠燃焼調理メニューの調理運転を開始してから少なくとも終了するまでの間は、継続して換気運転を行わせるべく、換気指令及び停止指令を指令するものであるから、間欠燃焼調理メニューの調理運転を行う間の換気運転を良好に行うことができる。
【0014】
つまり、間欠燃焼調理メニューの調理運転を行う間において、加熱部が点火状態になると、換気指令を指令し、かつ、加熱部が消火状態になると、直ちに又は設定時間が経過した後に停止指令を指令するようにして、換気装置を間欠運転することが考えられるが、この場合、換気装置が間欠運転することにより、使用者に違和感を与える不都合が発生する虞があるが、間欠燃焼調理メニューの調理運転を行う間は換気運転を継続して行わせることにより、使用者に違和感を与えることを回避できる。
【0015】
要するに、本発明の換気制御機能付加熱調理器の特徴構成によれば、多様の調理メニューを設定することが可能となり、しかも、換気運転を良好に行うことができる。
【0017】
また、間欠燃焼調理メニューの調理運転を行うときに、加熱部が点火状態にあるとき及び前記消火状態に切換えてから追加設定時間が経過するまでの間においては、多量の調理排気がグリル庫から排出されるものの、加熱部を消火状態に切換えてから追加設定時間が経過した後は、グリル庫からは調理排気が排出されない又は排出されるとしても調理排気の量が少量となる。
【0018】
このような状況に鑑みて、加熱部が点火状態にあるとき及び消火状態に切換えてから追加設定時間が経過するまでの間の換気風量よりも、加熱部を消火状態に切換えてから追加設定時間が経過した後の換気風量を少なくするように、換気風量指令を換気装置に対して指令することにより、グリル庫から排出される調理排気を適切に排出させるようにしながらも、省エネを図りながら換気装置を運転することができる。
【0019】
つまり、間欠燃焼調理メニューの調理運転を行うときには、常に、換気装置を大きな換気風量で運転することを考えられるが、その場合、加熱部を消火状態に切換えてから追加設定時間が経過した後においても、換気装置を必要以上の換気風量で運転することになり、換気装置の運転に要するエネルギが無駄になる不都合がある。
【0020】
要するに、本発明の換気制御機能付加熱調理器
の特徴構成によれば、グリル庫から排出される調理排気を適切に排出させるようにしながらも、省エネを図りながら換気装置を運転することができる。
【0021】
本発明の換気制御機能付加熱調理器の更なる特徴構成は、前記間欠燃焼調理メニューが、被調理物を収納した蓋付きの調理容器を前記被加熱物とし、前記自動調理用加熱条件が前記加熱部を点火状態と消火状態とを繰り返す状態で燃焼させる条件に定められた低温加熱調理メニューである点にある。
【0022】
すなわち、間欠燃焼調理メニューとして、自動調理用加熱条件を、加熱部を点火状態と消火状態とを繰り返す状態で燃焼させる条件に定めた低温加熱調理メニューを設定して、被加熱物を低温状態で加熱する低温加熱調理メニューを実行できるようにする。
つまり、加熱部の点火状態では被加熱物を加熱することになるものの、加熱部の消火状態では、グリル庫が蓄えた熱量にて被加熱物を加熱するようにして、被加熱物を低温状態で適切に加熱することができる。
【0023】
しかも、被調理物を収納した蓋付きの調理容器を被加熱物とするものであるから、加熱部の火炎からの熱が被調理物に直接作用することがないため、被調理物を適切に低温状態で加熱することができる。
ちなみに、加熱部の消火状態では、加熱部の燃焼状態において加熱される調理容器が蓄えた熱量をも利用しながら被調理物が加熱されることになる。
【0024】
要するに、本発明の換気制御機能付加熱調理器の更なる特徴構成によれば、加熱物を低温状態に加熱する低温加熱調理メニューを実行することができる。
【0025】
本発明の換気制御機能付加熱調理器の更なる特徴構成は、前記加熱部が、前記被加熱物の底部及び上部を加熱するように構成され、
前記低温加熱調理メニューとして、パン生地を収納した前記調理容器を前記被加熱物として加熱してパン生地を発酵させるパン生地発酵モードが設定され、前記自動調理用加熱条件として、前記調理容器に収納したパン生地の温度を発酵用設定温度に加熱するパン生地発酵用加熱条件が、前記加熱部を前記点火状態と前記消火状態とを繰り返す状態で燃焼させる条件に定められ、
前記運転制御部が、前記パン生地発酵モードが指令されると、前記パン生地発酵用加熱条件に基づいて、前記加熱部を前記点火状態と前記消火状態とを繰り返す状態で燃焼させるように構成されている点にある。
【0026】
すなわち、蓋付きの調理容器にパン生地を収納して、調理メニューとして、パン生地を発酵させるパン生地発酵モードを指令することにより、運転制御部が、調理容器に収納したパン生地の温度を発酵用設定温度に加熱するパン生地発酵用加熱条件に基づいて、加熱部の運転を制御して、パン生地を発酵させることになる。
そして、パン生地発酵用加熱条件が、加熱部を点火状態と消火状態とを繰り返す状態で燃焼させる条件に定められているから、調理容器に収納したパン生地を、発酵用設定温度に適切に加熱することができる。
【0027】
ちなみに、一次発酵が完了したパン生地を二次発酵させる際には、調理容器に収納したパン生地を、発酵用設定温度として、例えば、35〜38℃程度に加熱し、また、パン生地を一次発酵させる際には、調理容器に収納したパン生地を、発酵用設定温度として、例えば27〜30℃に加熱することになる。
【0028】
要するに、本発明の換気制御機能付加熱調理器の更なる特徴構成によれば、パン生地の発酵を行うことができる。
【0029】
本発明の換気制御機能付加熱調理器の更なる特徴構成は、前記調理容器の底部温度を検出する容器温度検出部が設けられ、
前記パン生地発酵用加熱条件が、調理開始時には、前記底部温度が設定目標温度になるまで、前記加熱部を初期加熱力にて加熱作動させる初期加熱条件にて加熱作動し、その後は、前記底部温度が設定下限温度になるごとに前記設定目標温度になるまで前記加熱部を設定継続加熱力にて加熱作動させる継続加熱条件にて加熱作動し、且つ、設定調理時間が経過すると加熱作動を停止する条件に定められている点にある。
【0030】
すなわち、調理容器の底部温度を検出する容器温度検出部の検出情報に基づいて、調理開始時や、底部温度が設定下限温度になった際に、調理容器の底部温度を設定目標温度になるように加熱するものであるから、調理容器に収納したパン生地の温度との相関が高い調理容器の底部温度を設定目標温度に近い温度に維持させて、調理容器に収納したパン生地の温度を発酵用設定温度に適切に加熱することができる。
【0031】
要するに本発明の換気制御機能付加熱調理器の更なる特徴構成によれば、容器温度検出部にて検出される調理容器の底部温度に基づいて、調理容器に収納したパン生地の温度を発酵用設定温度に適切に加熱することができる。
【0032】
本発明の換気制御機能付加熱調理器の更なる特徴構成は、前記調理容器の底部温度を検出する容器温度検出部が設けられ、
前記パン生地発酵用加熱条件が、調理開始時には、設定初期加熱時間が経過するまで前記加熱部を初期加熱力にて加熱作動させる初期加熱条件にて加熱作動し、その後は、前記底部温度が設定下限温度になるごとに設定継続経過時間が経過するまで前記加熱部を設定継続加熱力にて加熱作動させる継続加熱条件にて加熱作動し、且つ、設定調理時間が経過すると加熱作動を停止する条件に定められている点にある。
【0033】
すなわち、調理開始時には、設定初期加熱時間が経過するまで加熱部を初期加熱力にて加熱作動させ、その後、容器温度検出部にて検出される底部温度が設定下限温度になるごとに設定継続経過時間が経過するまで加熱部を設定継続加熱力にて加熱作動させることによって、調理容器に収納したパン生地の温度を発酵用設定温度に加熱することになる。
【0034】
調理開始時や、底部温度が設定下限温度になった際に、加熱部による加熱時間を制御するものであるから、容器温度検出部の検出温度が、ガス燃焼式の加熱部の加熱作動により不安定になるような場合においても、調理容器に収納したパン生地の温度を発酵用設定温度に加熱させ易いものとなる。
つまり、調理容器の底部をも加熱するガス燃焼式の加熱部が加熱作動すると、容器温度検出部が加熱作動する加熱部にて加熱される等により、容器温度検出部の検出温度が不安定になる虞があるが、調理開始時や、底部温度が設定下限温度になった際に、加熱部による加熱時間を制御することにより、容器温度検出部の検出温度が不安定になっても、調理容器に収納したパン生地の温度を発酵用設定温度に加熱させ易いものとなる。
【0035】
要するに本発明の換気制御機能付加熱調理器の更なる特徴構成によれば、容器温度検出部の検出温度が不安定になっても、調理容器に収納したパン生地の温度を発酵用設定温度に適切に加熱させ易い。
【0036】
本発明の換気制御機能付加熱調理器の更なる特徴構成は、前記調理メニューのうちに、パン生地を発酵させ且つパン生地を焼成するパン生地発酵焼成モードが備えられ、かつ、前記パン生地発酵焼成モードに対する自動調理用加熱条件として、前記パン生地発酵用加熱条件と、このパン生地発酵用加熱条件に続いて、前記加熱部を連続的に燃料させてパン生地を焼成するパン生地焼成用加熱条件とを備えるパン生地発酵焼成用加熱条件が定められ、
前記運転制御部が、前記パン生地発酵焼成モードが指令されると、前記パン生地発酵焼成用加熱条件に基づいて、前記加熱部を燃焼させ、且つ、前記パン生地発酵焼成モードの調理運転を開始してから少なくとも終了するまでの間は、前記換気装置にて継続して前記換気運転を行わせるべく、前記前記換気指令及び停止指令を指令するように構成されている点にある。
尚、このパン生地発酵焼成モードにおいては、パン生地とは、一次発酵が完了したパン生地を意味し、パン生地の発酵とは、一次発酵が完了したパン生地を二次発酵させることを意味する。
【0037】
すなわち、一次発酵が完了したパン生地を調理容器に収納して、パン生地発酵焼成モードを指令することにより、パン生地を発酵(二次発酵)させ且つパン生地を焼成することができる。
このように、パン生地の発酵(二次発酵)及び焼成を連続して行えることができるため、パンの調理(製作)を一層良好に行うことができる。
【0038】
しかも、パン生地発酵焼成モードの調理運転を開始してから少なくとも終了するまでの間は、換気装置にて継続して換気運転を行わせるものであるから、パン生地を二次発酵させる際に排出される調理排気や、二次発酵させたパン生地を焼成する際に排出される調理排気を良好に排出することができる。
【0039】
要するに、本発明の換気制御機能付加熱調理器の更なる特徴構成によれば、パン生地の発酵及び焼成を連続して行いながら、パンの調理(製作)を良好に行うことができ、しかも、その際に排出される調理排気を良好に排出することができる。
【発明を実施するための形態】
【0041】
〔実施形態〕
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(ガスコンロの全体構成)
図1に示すように、換気制御機能付加熱調理器としてのビルトイン式のガスコンロGCが、コンロ本体Hの上面部に、コンロバーナ1として、標準火力バーナ1A、小火力バーナ1B及び大火力バーナ1Cを備え、且つ、コンロ本体Hの横幅方向中央部に、グリルG(
図3参照)を備える形態に構成されている。
【0042】
図6及び
図7に示すように、ビルトイン式のガスコンロGCは、台所におけるキッチンカウンターCKに埋め込まれる状態で設置されている。
ガスコンロGCの上方側には、換気装置としてのレンジフードRFが設けられ、ガスコンロGCが発生する調理排気を外部に排出するように構成されている。
レンジフードRFの詳細は後述する。
【0043】
図1に示すように、コンロ本体Hは、上部が開口された箱状の金属製のケーシング2を主要部として構成され、コンロ本体Hの上部には、ガラス製の天板3が配置され、コンロ本体Hの上面部の後部側には、グリルGの調理排気を排気するためのグリル排気口4が形成されている。
【0044】
天板3の上部には、コンロバーナ1にて加熱される鍋等の被加熱物を載置するための五徳5が、3つのコンロバーナ1の夫々に対応して設けられている。
コンロバーナ1の中央部には、鍋等の被加熱物の存在及び被加熱物の底壁温度を検出するコンロバーナセンサ1Sが設けられている。
【0045】
ケーシング2の内部には、
図3に示すように、グリルGを構成する加熱調理室としてのグリル庫6が設けられ、グリル庫6には、ガス燃焼式の加熱部を構成するグリルバーナ7として、グリル庫6の天井部に設けられる上部バーナ7Uと、グリル庫6の底部に設けられる下部バーナ7Sとが設けられている。
【0046】
図1に示すように、天板3の手前側の左右中央箇所には、コンロバーナ1やグリルバーナ7の運転に関する情報を表示画面に表示する液晶式の表示部Dが設けられている。この表示部Dの表示内容については、後述する。
ちなみに、本実施形態では、表示部Dが白黒式で表示するように構成されているが、カラー表示式に構成してもよい。
【0047】
(グリルの詳細)
図3に示すように、グリルGには、上述したグリル庫6が設けられている。このグリル庫6は、前部及び後部が開口する筒状に形成され、グリル庫6の後方側には、グリルバーナ7の燃焼排ガスや被加熱物からでる水蒸気等の調理排気を排気する排気路Eを形成する排気筒6Aが上方側に延びる状態で連設され、その排気路Eにて調理排気を上述のグリル排気口4に導くように構成されている。
【0048】
図3及び
図4に示すように、被加熱物としての調理容器Kを支持する調理容器支持部Lが、グリル庫6に対して出退自在に設けられている。
本実施形態においては、調理容器Kとして、被調理物の載置面が平坦状に形成されたプレートパン9A(
図3及び
図4参照)、被調理物の載置面が波型に形成された波型プレートパン(図示せず)、及び、被調理物を収納する蓋付きの調理容器である調理鍋(キャセロール容器など)9C(
図5参照)の3種類が存在するものとする。
【0049】
図4に示すように、調理容器支持部Lは、グリル庫6の内部に設けた固定レールに対して出退自在に案内される左右の可動レールLaと、調理容器Kの前縁部及び後縁部を載置支持する形態に棒状部材を曲げ加工して形成される支持枠Lb(
図5参照)とを備える形態に構成されている。
そして、プレートパン9A、波型プレートパン、及び、調理鍋9Cが、調理容器支持部Lにおける支持枠Lbに対して、付け替え自在に装着されるように構成されている。
【0050】
図4に示すように、左右の可動レールLaの先端部に、グリル庫6の前部に形成された前開口部6fを開閉するグリル扉8(
図1参照)を取付ける扉支持体8Aが設けられ、支持枠Lbの先端部が扉支持体8Aに係止連結されている。
尚、図示は省略するが、支持枠Lbの後端部が、グリル庫6の内部に設けた載置案内体にて、摺動自在に載置支持されている。
【0051】
図3に示すように、グリルバーナ7が、グリル庫6の内部に収納された調理容器Kの上部を上部バーナ7Uにて加熱し、グリル庫6の内部に収納された調理容器Kの底部を下部バーナ7Sにて加熱するように構成されている。
つまり、下部バーナ7Sが、グリル庫6内に収納された調理容器Kを下方から加熱し、グリル庫6の天井部に設けた上部バーナ7Uが、グリル庫6内に収納された調理容器Kを上方から加熱するように構成されている。
【0052】
下部バーナ7Sは、円筒状のバーナ本体部10Aと、そのバーナ本体部10Aに接続されるバーナ混合管部10Bとを備え、バーナ本体部10Aには、周方向に沿って炎孔Fが形成されている。つまり、下部バーナ7Sは、炎孔Fを環状に備える形態に構成されている。
ちなみに、このような構成の下部バーナ7Sは、コンロバーナ1の構成と同様であり、コンロバーナ1を転用して構成されている。
上部バーナ7Uは、下向きの平板状の火炎を形成する輻射式バーナであり、詳細な説明は省略するが、平板状の上バーナ本体部やその上バーナ本体部に接続される上バーナ混合管部を備え、上バーナ本体部の下面部に燃焼炎形成部が形成されている。
【0053】
尚、
図2に示すように、下部バーナ7S及び上部バーナ7Uの夫々に対して、点火装置としての点火プラグP、及び、着火状態検出装置として、熱電対等を用いて構成される着火センサRが装備され、コンロバーナ1についても、同様に、点火プラグP及び着火センサRが装備されている。
【0054】
図3に示すように、下部バーナ7Sの内部には、調理容器Kの底部温度Tsを検出する容器温度検出部として、調理容器Kの底壁部に接触して底部温度Tsを検出する容器温度検出センサ11Aが装備されている。
また、排気筒6Aには、グリル庫6の内部と連通する排気路Eの内部温度をグリル庫6の庫内温度Tnとして検出する庫内温度検出部として、庫内温度検出センサ11Bが設けられている。
【0055】
(ガス燃料の供給構成)
図2に示すように、都市ガス供給管等のガス供給源に接続される元ガス供給路12に、電磁操作式の元ガス弁13が設けられ、元ガス供給路12からは、標準火力バーナ用分岐路14a、小火力バーナ用分岐路14b、大火力バーナ用分岐路14c及びグリルバーナ用分岐路15の4系統のガス流路が分岐されている。
【0056】
グリルバーナ用分岐路15に、下部バーナ7S及び上部バーナ7Uに対するガス燃料の供給圧力を設定圧に調整するガバナ16が設けられ、ガバナ16にて設定圧に調整されたガス燃料を下部バーナ7Sに導く下部バーナ用供給路17S、及び、ガバナ16にて設定圧に調整されたガス燃料を上部バーナ7Uに導く上部バーナ用供給路17Uが、グリルバーナ用分岐路15から分岐されている。
【0057】
標準火力バーナ用分岐路14a、小火力バーナ用分岐路14b及び大火力バーナ用分岐路14cの夫々には、ステッピングモータの駆動によって燃料ガスの流量を調整して加熱量(火力)を調整するためのコンロ用ガス量調整弁18が備えられている。
また、下部バーナ用供給路17S及び上部バーナ用供給路17Uの夫々には、ステッピングモータの駆動によって燃料ガスの流量を調整して加熱量(火力)を調整するためのグリル用ガス量調整弁19が備えられている。
このように、グリルバーナ7における下部バーナ7S及び上部バーナ7Uの火力は、グリル用ガス量調整弁19にて変更されることになるが、本実施形態においては、下部バーナ7S及び上部バーナ7Uの夫々の火力が、「強」「中」「弱」の3段階に変更されるものとする。
【0058】
(ガスコンロの操作構成)
図1に示すように、コンロ本体Hの前側面におけるグリルGの右側の上方箇所には、標準火力バーナ1A、小火力バーナ1B及び大火力バーナ1Cの夫々に対して各別に点火及び消火や火力調節を指令するための3つのコンロ操作具20が設けられている。
コンロ操作具20は、押し操作されるごとに、点火指令と消火指令を交互に指令し、また、回転操作することにより、火力調節指令を指令するように構成されている。
【0059】
コンロ本体Hの前側面におけるグリルGの右側の下方箇所には、コンロバーナ1による自動調理の設定を行うコンロバーナ用設定操作部21が、下端側を支点にした前後揺動により開閉自在に設けられている。
コンロバーナ用設定操作部21の上面部には、標準火力バーナ1A、小火力バーナ1B及び大火力バーナ1Cの夫々に対する設定を行うコンロ用操作パネル21Pが設けられている。
本実施形態においては、コンロバーナ用設定操作部21の詳細やコンロバーナ用設定操作部21にて設定するコンロバーナ用自動調理の説明は省略する。
【0060】
コンロ本体Hの前側面におけるグリルGの左側の下方箇所には、グリルバーナ7に対する設定を行うグリル用設定操作部22が、下端側を支点にした前後揺動により開閉自在に設けられている。
グリル用設定操作部22の上面部には、調理メニューの選択や、その調理メニューを開始するための点火指令、火力調節指令、加熱調理時間調節指令等の種々の情報を指令するグリル用操作パネル22Pが設けられている。
【0061】
そして、表示部Dにて調理メニューを設定するための各種の情報を表示しながら、グリル用操作パネル22Pの操作により、調理メニューの選択(指令)や、その調理メニューを開始するための点火指令、火力調節指令、加熱時間調節指令等の種々の情報を指令するように構成されている。
【0062】
(ガスコンロの制御構成)
図8に示すように、ガスコンロGCの運転制御部Bが、表示部Dの表示作動を制御する表示制御部BDとグリルバーナ7及びコンロバーナ1の運転を制御する加熱制御部BUとから構成されている。
尚、
図8においては、グリルバーナ7及びコンロバーナ1のうちのグリルバーナ7を示して、コンロバーナ1の記載を省略し、それに合わせて、グリル用ガス量調整弁19を示して、コンロ用ガス量調整弁18の記載を省略する。
【0063】
表示制御部BDが、コンロバーナ1に対する自動調理運転の情報を、コンロバーナ用設定操作部21の操作に基づいて表示部Dに表示するように構成されている。
また、表示制御部BDが、グリルGについての複数の調理メニューのうちから実行する調理メニューを指令(選択)するための情報を、グリル用設定操作部22の操作に基づいて表示部Dに表示するように構成されている。
【0064】
そして、加熱制御部BUが、コンロ操作具20による点火指令や消火指令によって、コンロバーナ1に対する点火処理や消火処理及び火力調節処理を行い、また、コンロバーナ用設定操作部21の設定情報に基づいて、コンロバーナ1に対する自動調理運転を実行するように構成されている。
【0065】
また、加熱制御部BUが、グリル用設定操作部22の設定情報に基づいて、グリルバーナ7に対する点火処理や消火処理及び火力調節処理を行ないながら、複数の調理メニューのうちの指令(選択)された調理メニューについての加熱調理を実行するように構成されている。
【0066】
(加熱制御部の制御の詳細について)
加熱制御部BUは、マイクロコンピュータを備える形態に構成されて、コンロバーナ1及びグリルバーナ7に対する運転(燃焼)を制御するものであるが、コンロバーナ1に対する燃焼制御とグリルバーナ7に対する燃焼制御は同様であるから、以下の説明においては、グリルバーナ7に対する燃焼制御を説明して、コンロバーナ1に対する燃焼制御は省略する。
【0067】
加熱制御部BUは、
図8に示すように、上述したグリル用設定操作部22からの指令情報に基づいて、下部バーナ7S及び上部バーナ7Uに対する燃焼を制御する。
そして、加熱制御部BUは、調理メニューに対する調理運転を実行する際には、グリル用設定操作部22で指令(選択)された調理メニューについて、指令された調理メニューに応じて定めた自動調理用加熱条件で調理運転を実行するように構成されている。
【0068】
すなわち、加熱制御部BUは、表示部Dの表示されている複数の調理メニューのうちから、グリル用設定操作部22にてひとつの調理メニューが指令(選択)されたのち、グリル用設定操作部22にて点火指令が指令されると、元ガス弁13、グリル用ガス量調整弁19を操作して、下部バーナ7S及び上部バーナ7Uに燃料ガスを供給する状態とし、加えて、下部バーナ7S及び上部バーナ7Uに対する点火プラグPを作動させかつ着火センサRにて着火を検出する点火処理を実行することになる。
尚、調理メニューの加熱調理を中断する等の目的により、グリル用設定操作部22にて消火指令が指令されると、元ガス弁13、グリル用ガス量調整弁19を閉状態に操作して、下部バーナ7S及び上部バーナ7Uを消火する消火処理を実行することになる。
【0069】
下部バーナ7S及び上部バーナ7Uの燃焼状態において、下部バーナ7Sに対するグリル用ガス量調整弁19及び上部バーナ7Uに対するグリル用ガス量調整弁19を操作して、下部バーナ7S及び上部バーナ7Uの火力を、調理メニューごとに設定された火力に変更調節する火力調節処理を実行することになる。
また、調理メニューを実行しているときに、加熱調理を開始してからの経過時間が設定されている設定調理時間に達する等により、消火条件が満たされると、上述した消火処理を実行して、下部バーナ7S及び上部バーナ7Uを自動的に消火することになる。
【0070】
(グリルの調理メニューの詳細)
グリルG(グリル庫6)に対して設定する複数の調理メニューが、使用する調理容器Kに応じて分類され、かつ、複数の分類メニューに振り分ける形態に設定されている。
また、複数の調理メニューとしては、本実施形態においては、食品種別としての「食品名」として設定される場合と、「ハンバーグステーキ」等の料理名として設定される場合と、「焼く」「煮る」等の加熱調理形態として設定される場合とを含むものである。
【0071】
本実施形態においては、調理鍋9Cに設定されている調理メニューを説明して、プレートパン9A及び波型プレートパンに設定されている調理メニューの説明を省略する。
【0072】
調理鍋9Cについての分類メニューとしては、「オートメニュー」「調理モード」「おすすめメニュー」の3つが設けられている。
調理鍋9Cの「オートメニュー」は、「ごはん」「もっちりごはん」「炊きこみごはん」が設定されている。
【0073】
また、調理鍋9Cの「調理モード」として、「発酵(二次)」「発酵(二次)→焼成」「焼成」「煮る」「蒸す」が設定されている。
また、調理鍋9Cの「おすすめメニュー」として、「かれいの煮つけ」「スティックチーズケーキ」「なめらかプリン」等が設定されている。
ちなみに、「発酵(二次)」の調理メニューは、「パン生地発酵モード」に相当し、「発酵(二次)→焼成」の調理メニューは、「パン生地発酵焼成モード」に相当することになり、以下の記載において、「発酵(二次)」の調理メニューを「パン生地発酵モード」と呼称し、「発酵(二次)→焼成」の調理メニューを「パン生地発酵焼成モード」と呼称する場合がある。
【0074】
そして、「オートメニュー」「調理モード」「おすすめメニュー」に分類された複数の調理メニューについての自動調理用加熱条件が、グリルバーナ7の火力や加熱調理を実行する調理時間等の組合せとして設定されることになるが、本実施形態においては、調理鍋9Cの「調理モード」に振り分けられた「発酵(二次)」(パン生地発酵モード)、「発酵(二次)→焼成」(パン生地発酵焼成モード)、及び、「焼成」についての自動調理用加熱条件を後述し、その他の調理メニューについての自動調理用加熱条件の説明を省略する。
【0075】
(パン生地発酵モードの詳細)
パン生地発酵モード(「発酵(二次)」)に対する自動調理用加熱条件が、調理鍋9Cに収納したパン生地の温度を発酵用設定温度に加熱するパン生地発酵用加熱条件として定められている。
本実施形態のパン生地発酵モードは、一次発酵が完了したパン生地を二次発酵させる調理メニューであり、発酵用設定温度が、例えば、35〜38℃である。
【0076】
具体的には、パン生地発酵用加熱条件が、調理開始時には、調理鍋9Cの底部温度Tsが設定目標温度(例えば、38℃)になるまで、グリルバーナ7を初期加熱力にて加熱作動させる初期加熱条件にて加熱作動させ、その後は、調理鍋9Cの底部温度Tsが設定下限温度(例えば、35℃)になるごとに設定目標温度(例えば、38℃)になるまでグリルバーナ7を設定継続加熱力にて加熱作動させる継続加熱条件にて加熱作動させ、且つ、設定調理時間(発酵時間:例えば、40分)が経過すると加熱作動を停止する条件に定められている(
図10参照)。
【0077】
パン生地発酵用加熱条件は、換言すれば、グリルバーナ7を点火状態と消火状態とを繰り返す状態で燃焼させる条件であり、パン生地発酵モードは、間欠燃焼調理メニューであり、しかも、パン生地発酵モードは、一次発酵させたパン生地を低温に加熱するものであるから、低温加熱調理メニューに相当することになる。
そして、本実施形態では、初期加熱力として、グリルバーナ7の下部バーナ7Sの火力を「弱」、上部バーナ7Uの火力を「強」にする火力が設定され、また、設定継続加熱力として、グリルバーナ7の下部バーナ7Sの火力及び上部バーナ7Uの火力を「弱」にする火力が設定されている。
【0078】
運転制御部B(加熱制御部BU)は、パン生地発酵モードが指令されると、パン生地発酵用加熱条件に基づいて、自動調理運転を実行するように構成されている。つまり、パン生地発酵モードが指令された状態で点消火スイッチ34にて点火が指令されると、パン生地発酵用加熱条件に基づいて、グリルバーナ7の燃焼を制御するように構成されている。
【0079】
(パン生地発酵焼成モードの詳細)
パン生地発酵焼成モード(「発酵(二次)→焼成」)に対する自動調理用加熱条件として、上述したパン生地発酵用加熱条件に続いてパン生地を焼成するパン生地焼成用加熱条件を備えるパン生地発酵焼成用加熱条件が定められている。
【0080】
パン生地焼成用加熱条件は、下部バーナ7Sの火力及び上部バーナ7Uの火力を「強」にする状態で、焼成時間(例えば、15分)の間だけグリルバーナ7を燃焼させ、その後、グリルバーナ7の燃焼を停止させた状態で、焼成余熱時間(例えば、2分)の間だけグリル庫6が保有する熱量にて余熱する条件に定められている。
尚、調理メニューとしてパン生地発酵焼成モード(「発酵(二次)→焼成」)を指令した際に、「加熱時間調節画面」を表示して、焼成時間や焼成余熱時間を変更設定できるように構成してもよい。
【0081】
(焼成モードの詳細)
二次発酵させたパン生地を焼成する焼成モードに対する自動調理用加熱条件として、上述のパン生地焼成用加熱条件が定められている。
このパン生地焼成用加熱条件は、上述の如く、下部バーナ7Sの火力及び上部バーナ7Uの火力を「強」にする状態で、焼成時間(例えば、15分)の間だけグリルバーナ7を燃焼させ、その後、グリルバーナ7の燃焼を停止させた状態で、焼成余熱時間(例えば、2分)の間だけグリル庫6が保有する熱量にて余熱する条件に定められている。
【0082】
(レンジフードの詳細)
図6及び
図7に示すように、レンジフードRFは、ガスコンロGCにて発生する調理排気を吸気して外部に排出する換気ファン23と、レンジフードRFの下方側を照明する照明ランプ24と、換気ファン23及び照明ランプ24の作動を制御する換気制御部25と、手動操作にて運転を指令するための手動操作部26とが備えられている。
換気ファン23は区画形成された吸気室Q1内に備えられ、排気フィルター27を通して調理排気を吸気室Q1内に吸気して排気ダクト28を通して外部に排出するように構成されている。
【0083】
換気制御部25は、吸気室Q1とは別に設けられた収納空間Q2に収納されている。
換気制御部25は、換気ファン23による換気風量を「強」「中」「弱」の3段階に切り換えるように構成され、手動操作部26には、換気運転の停止を指令する切スイッチ、換気風量を選択する風量スイッチ、及び、照明ランプ24の点灯及び消灯を指令するための照明スイッチが備えられている。
【0084】
換気制御部25は、手動操作部26の指令に基づいて換気運転を実行するが、手動操作部26による指令以外にも、ガスコンロGCの運転制御部Bからの換気指令及び停止指令並びに換気風量指令に基づいて、換気運転を実行するように構成されている。尚、運転制御部Bからの換気指令及び停止指令並びに換気風量指令の詳細は、後述する。
すなわち、
図8にも示すように、レンジフードRFには、赤外線等の無線信号を受信する受信部29が設けられ、ガスコンロGCには、運転制御部Bからの指令を赤外線等の無線信号にて通信する通信部30が設けられている。
【0085】
ちなみに、換気制御部25は、手動操作部26による指令を、運転制御部Bからの指令よりも優先して換気運転を実行するように構成されている。
つまり、例えば、運転制御部Bからの換気指令により換気運転を実行しているときに、手動操作部26にて停止指令が指令されると、換気運転を停止する等、手動操作部26による指令を、運転制御部Bからの指令よりも優先するように構成されている。
【0086】
(運転制御部の換気制御の詳細)
運転制御部Bは、コンロバーナ1やグリルバーナ7のいずれかを点火状態にすると、換気指令示す情報を通信部30から送信し、また、コンロバーナ1及びグリルバーナ7の全てを消火状態にした後、継続設定時間(例えば、3分)が経過すると、停止指令を示す情報を通信部30から送信するように構成されている。
ちなみに、運転制御部Bは、上述した「焼成モード」の調理運転を行う際に、グリルバーナ7を点火状態にすると、換気指令示す情報を通信部30から送信し、また、グリルバーナ7を消火状態にした後、継続設定時間(例えば、3分)が経過すると、停止指令を示す情報を通信部30から送信することになる。
【0087】
したがって、上述の如く、換気制御部25が、運転制御部Bの換気指令及び停止指令に基づいて、換気運転を実行することになる。
ちなみに、運転制御部Bは、換気風量を「中」にする状態で換気指令を指令することを基本とするが、後述の如く、換気風量を「弱」にする状態で換気運転を指令することがある。
そして、換気制御部25が、指令された換気風量にて換気運転を行うように構成されている。
【0088】
また、運転制御部Bが、間欠燃焼調理メニューの一例である「パン生地発酵モード」の調理運転を行う際には、調理運転を開始してから少なくとも終了するまでの間は、継続して換気運転を行わせるべく、換気指令及び停止指令を指令するように構成されている。
本実施形態では、調理運転を開始すべく、グリルバーナ7を点火状態にすると、換気指令示す情報を通信部30から送信し、また、調理運転を終了すべく、グリルバーナ7を消火状態にした後、継続設定時間(例えば、3分)が経過すると、停止指令を示す情報を通信部30から送信するように構成されている。
【0089】
また、運転制御部Bが、「パン生地発酵モード」の調理運転を開始してから終了するまでの間において、グリルバーナ7が点火状態にあるとき及びグリルバーナ7を消火状態に切換えてから追加設定時間(例えば、3分)が経過するまでの間の換気風量よりも、消火状態に切換えてから追加設定時間(例えば、3分)が経過した後の換気風量を少なくするように、換気風量指令をレンジフードRFに対して指令するように構成されている。
【0090】
具体的には、運転制御部Bが、グリルバーナ7が点火状態にあるとき及びグリルバーナ7を消火状態に切換えてから追加設定時間(例えば、3分)が経過するまでの間の換気風量として、換気風量の「中」を指令し、グリルバーナ7を消火状態に切換えてから追加設定時間(例えば、3分)が経過した後の換気風量として、換気風量の「弱」を指令するように構成されている。
【0091】
また、運転制御部Bが、「パン生地発酵焼成モード」が指令されると、パン生地発酵焼成モードの調理運転を開始してから少なくとも終了するまでの間は、レンジフードRFにて継続して換気運転を行わせるべく、換気指令及び停止指令を指令するように構成されている。
そして、パン生地発酵焼成モードの調理運転において、「パン生地発酵モード」に相当する調理運転を行う際には、上述の如く、グリルバーナ7が点火状態にあるとき及びグリルバーナ7を消火状態に切換えてから追加設定時間(例えば、3分)が経過するまでの間の換気風量として、換気風量の「中」を指令し、グリルバーナ7を消火状態に切換えてから追加設定時間(例えば、3分)が経過した後の換気風量として、換気風量の「弱」を指令するように構成されている。
【0092】
(パン生地発酵焼成モードの制御作動の詳細)
次に、運転制御部B(加熱制御部BU)が実行するパン生地発酵焼成モード(「発酵(二次)→焼成」)における制御作動を、
図9のフローチャートに基づいて説明する。
パン生地発酵モードが指令された状態で、点消火スイッチ34の操作により点火指令が指令されると(#1)、調理タイマーの計時の開始(#2)、換気風量を「中」とする換気指令の指令(#3)を順次行い、次に、初期加熱条件にてグリルバーナ7を加熱作動させる加熱処理を実行する(#4)。
【0093】
つまり、調理鍋9Cの底部温度Tsが設定目標温度(例えば、38℃)以上になるまで(#5)、グリルバーナ7を初期加熱力にて加熱作動させる初期加熱条件にて加熱作動させ、調理鍋9Cの底部温度Tsが設定目標温度(例えば、38℃)になると、グリルバーナ7を消火する消火処理を実行する(#6)。
【0094】
#6の消火処理を実行した後は、調理タイマーの計測時間に基づいて、発酵時間、つまり、パン生地発酵用加熱条件における設定調理時間(例えば、40分)が経過したか否かを判定する(#7)。
【0095】
#7にて、設定調理時間(例えば、40分)が経過していないと判別したときには、続いて、#6の消火処理や後述する#15の消火処理を実行してから追加設定時間(例えば、3分)が経過しているか否かを判別し(#8)、追加設定時間(例えば、3分)が経過している場合には、換気風量を「弱」にする換気指令を指令する(#9)
【0096】
#9にて、換気風量を「弱」にする換気指令を指令したときや、#8にて、追加設定時間(例えば、3分)が経過していないと判別した場合には、続いて、グリルバーナ7が燃焼中であるか否かを判定し(#10)、燃焼中でないと判定した場合には、続いて、底部温度Tsが設定下限温度(例えば、35℃)以下であるか否かを判定する(#11)。
そして、底部温度Tsが設定下限温度(例えば、35℃)以下である場合には、換気風量の「中」の換気指令を指令し(#12)、続いて、グリルバーナ7を設定継続加熱力にて加熱作動させる加熱処理を開始する(#13)。
【0097】
#13の加熱処理を開始したのち、及び、#10にてグリルバーナ7が燃焼中であると判定した場合には、底部温度Tsが設定目標温度(例えば、38℃)以上であるか否かを判別し(#14)、底部温度Tsが設定目標温度(例えば、38℃)以上である場合には、グリルバーナ7を消火させる消火処理を実行する(#15)。
【0098】
#11にて底部温度Tsが設定下限温度(例えば、35℃)以下でないと判別した場合、及び、#14にて底部温度Tsが設定目標温度(例えば、38℃)以上でないと判別した場合には、#7の処理に移行することになり、同様に、#15の消火処理を実行した際にも、#7の処理に移行することになる。
【0099】
#7にて、発酵時間(パン生地発酵用加熱条件における設定調理時間(例えば、40分))が経過していると判別した場合には、グリルバーナ7が燃焼中であるか否かを判別して(#16)、燃焼中でないと判別したときには、換気風量の「中」の換気指令を指令する(#17)。
#17の処理を実行した後、または、#16にて燃焼中であると判定したときには、続いて、下部バーナ7Sの火力及び上部バーナ7Uの火力を「強」にする状態でグリルバーナ7を燃焼させる焼成用加熱処理を実行する(#18)。
【0100】
#18の焼成用加熱処理を開始した後は、焼成時間(例えば、15分)が経過したか否かを判定し(#19)、焼成時間(例えば、15分)が経過するまでの間は、#18の焼成用加熱処理を継続し、焼成時間(例えば、15分)が経過すると、グリルバーナ7を消火する消火処理を実行する(#20)。
【0101】
#20の消火処理を実行した後は、焼成余熱時間(例えば、2分)が経過したか否かを判定し(#21)、焼成余熱時間(例えば、2分)が経過すると、パン生地発酵焼成モード(「発酵(二次)→焼成」)の自動調理運転を終了が終了したと判定する(#22)。
尚、パン生地発酵焼成モード(「発酵(二次)→焼成」)の自動調理運転が終了すると、表示制御部BDが、調理が終了したことを示す情報を表示部Dに表示することになるので、使用者は、自動調理運転の終了を認識することができる。
【0102】
その後、#20にてグリルバーナ7を消火から継続設定時間(例えば、3分)が経過すると、換気運転を停止する停止指令を指令することになる(#24)。
【0103】
ちなみに、パン生地発酵モード(「発酵(二次)」)の制御作動は、上記したパン生地発酵焼成モード(「発酵(二次)→焼成」)における#1〜#15に相当する制御作動を行うものであり、重複する説明を省くために、パン生地発酵モード(「発酵(二次)」)の制御作動についての説明を省略する。
【0104】
尚、発酵時間が経過したときに、グリルバーナ7が燃焼中である場合には、グリルバーナ7を消火した後、継続設定時間(例えば、3分)が経過するまで、換気運転を行わせるようにすることになる。
また、発酵時間が経過したときに、グリルバーナ7が消火中である場合には、グリルバーナ7を消火してからの時間が継続設定時間(例えば、3分)を経過していれば、直ちに、換気運転を停止する停止指令を指令し、かつ、グリルバーナ7を消火してからの時間が継続設定時間(例えば、3分)を経過していなければ、グリルバーナ7を消火してからの時間が継続設定時間(例えば、3分)を経過したときに、換気運転を停止する停止指令を指令するように構成する。
【0105】
また、焼成モードの制御作動は、上記したパン生地発酵焼成モード(「発酵(二次)→焼成」)における#17〜#24に相当する制御作動を行うものであり、重複する説明を省くために、焼成モードの制御作動についての説明を省略する。
【0106】
〔別実施形態〕
次に、別実施形態を説明するが、この別実施形態はパン生地発酵用加熱条件の別実施形態を示すものであって、その他の構成は上記実施形態と同様であるから、重複する説明を省略するために、以下の説明においては、上記実施形態とは異なる構成について説明し、上記実施形態と同様な構成については説明を省略する。
【0107】
この別実施形態では、パン生地発酵用加熱条件として、
図11に示すように、調理開始時には、設定初期加熱時間(例えば、10秒)が経過するまでグリルバーナ7を初期加熱力にて加熱作動させる初期加熱条件にて加熱作動し、その後は、底部温度Tsが設定下限温度(例えば、35℃)になるごとに設定継続経過時間(例えば、5秒)が経過するまでグリルバーナ7を設定継続加熱力にて加熱作動させる継続加熱条件にて加熱作動し、且つ、設定調理時間(例えば、40分)が経過すると加熱作動を停止する条件に定められている。
【0108】
そして、この別実施形態では、初期加熱力として、下部バーナ7Sの火力及び上部バーナ7Uの火力を「強」にする火力が設定され、また、設定継続加熱力として、下部バーナ7Sの火力を「弱」、上部バーナ7Uの火力を「強」にする火力が設定されている。
【0109】
〔その他の別実施形態〕
次に、その他の別実施形態を列記する。
(1)上記実施形態では、間欠調理メニューとして、低温加熱調理メニューである「パン生地発酵モード」を例示したが、間欠調理メニューとしては、例えば、プレートパン9Aに載置した被調理物(例えば、魚類等)を高温で加熱する際に、グリルバーナ7を点火状態と消火状態とを繰り返す状態で燃焼させる調理メニュー等、各種の調理メニューを設定することができる。
【0110】
(2)上記実施形態では、調理容器Kとして、プレートパン9A、波型プレートパン、及び、調理鍋9Cを備える場合を例示したが、調理容器Kとして、調理鍋9Cのみを備える形態で実施してもよく、また、複数種の調理容器Kを備えさせる場合において、少なくも調理鍋9Cを備えさせれば、他の調理容器Kとして、どのような形態のものを備えさせてもよい。
【0111】
(3)上記実施形態では、グリル用操作パネル22Pを用いながら、表示部Dに表示される調理メニューを選択操作するように構成する場合を例示したが、表示部Dをタッチパネル式に構成して、表示部Dの表示面のタッチ操作によって調理メニューを選択操作できるように構成してもよく、さらには、音声入力装置設けて、音声入力にて、調理メニューを選択操作できるように構成してもよい。
さらには、外部装置(外部情報端末)で調理メニューを選択操作できるようにし、通信部を通じて受信するようにしてもよい。
【0112】
(4)上記実施形態では、初期加熱条件や継続加熱条件における加熱形態として、上部バーナ7Uと下部バーナ7Sとの両者が燃焼される場合を例示したが、例えば、上部バーナ7Uの燃焼を停止して、下部バーナ7Sのみを燃焼させる下方側加熱形態にする等、初期加熱条件や継続加熱条件における加熱形態は種々変更できる。
【0113】
(5)上記実施形態では、換気制御機能付加熱調理器として、グリルGを備えるガスコンロGCを例示したが、換気制御機能付加熱調理器としては、グリル単体として構成されるものであってもよい。
【0114】
(6)上記実施形態では、容器温度検出センサ11Aとして、接触式の温度センサを設ける場合を例示したが、非接触式の温度センサを設けるようにしてもよい。
【0115】
(7)上記実施形態では、運転制御部Bを、表示制御部BDと加熱制御部BUとから構成する場合を例示したが、表示制御部BDと加熱制御部BUを1つの制御部とする形態で運転制御部Bを構成してもよい。
【0116】
(8)上記実施形態では、パン生地発酵モードにおいて、一次発酵か完了したパン生地を二次発酵させる場合について例示したが、パン生地を一次発酵させる場合においても、同様に実施できるものである。
この場合、一次発酵させる発酵用設定温度が、例えば、27〜30℃等、二次発酵させる発酵用設定温度(例えば、35〜38℃)と異なる場合には、パン生地発酵モードとして、一次発酵モードと二次発酵モードとを選択自在に備えさせる形態で実施するとよい。
また、一次発酵させる発酵用設定温度と二次発酵させる発酵用設定温度とが、例えば、27〜30℃等、同じである場合には、パン生地発酵モードは、一次発酵モードと二次発酵モードとに兼用することができる。
この場合、調理鍋9Cの「調理モード」として、「発酵」を設定し、選択できるようにするとよい。
【0117】
(9)上記実施形態では、低温調理メニューとして、パン生地発酵モードパン生地発酵焼成モードを例示したが、例えば、調理鍋9Cに収納した肉類を設定加熱温度(例えば、60℃)に加熱する低温式肉類加熱モードを、低温調理メニューとして備えさせるようにする等、低温調理メニューの具体構成は種々変更できる。
【0118】
(10)上記実施形態では、パン生地発酵モード(「発酵(二次)」)において、発酵時間が経過したときに、グリルバーナ7が燃焼中である場合には、グリルバーナ7を消火した後、継続設定時間(例えば、3分)が経過するまで、換気運転を行わせるようにし、発酵時間が経過したときに、グリルバーナ7が消火中である場合には、グリルバーナ7を消火してからの時間が継続設定時間(例えば、3分)を経過していれば、直ちに、換気運転を停止する停止指令を指令し、かつ、グリルバーナ7を消火してからの時間が継続設定時間(例えば、3分)を経過していなければ、グリルバーナ7を消火してからの時間が継続設定時間(例えば、3分)を経過したときに、換気運転を停止する停止指令を指令するように構成する場合を例示した。
これに代えて、発酵時間が経過したときには、無条件に、レンジフードRFを設定時間の間作動させるようにする等、発酵時間が経過したときにおいてレンジフードRFの運転を制御する構成は、各種変更できるが、要は、パン生地発酵モード(「発酵(二次)」)を開始してから少なくとも終了するまでは、換気運転を継続して行わせればよい。
【0119】
(11)上記実施形態では、換気装置として、レンジフードRFを例示したが、換気装置としては、フードを備えない換気扇等、種々の形態のものを適用できる。
【0120】
なお、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。