(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記第2発光素子は、上記第1発光素子よりも上記リフレクタから離れる方向に変位した状態で配置されている、ことを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の車両用灯具。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
対向車線側へカーブした曲線路をロービームで走行する際の前方視認性を高めるためには、ロービーム用配光パターンにおける対向車線側のカットオフラインの下方近傍領域の明るさを増大させることが望まれる。
【0007】
上記「特許文献1」に記載された車両用灯具において、第1発光素子の点灯によりロービーム用配光パターンの一部を構成する配光パターンを形成する際、リフレクタの反射面の一部を、対向車線側のカットオフラインの下方近傍領域の明るさを増大させるための専用領域として用いることが考えられる。
【0008】
その際、リフレクタの反射面において第1発光素子の発光面の面直方向に位置する反射領域を用いるようにすれば、対向車線側のカットオフラインの下方近傍領域の明るさを増大させるための配光パターンを明るい配光パターンとして形成することが可能となる。
【0009】
しかしながら、この反射領域は第1発光素子から比較的近い位置にあるので、その反射光によって形成される光源像は大きなものとなり、配光パターンも上下幅の大きなものとなってしまう。このため、対向車線側のカットオフラインの下方近傍領域の明るさを増大させるための配光パターンを上下幅の小さい配光パターンとして形成することは困難であり、また、その形成位置を細かく制御することも困難である。したがって、対向車ドライバにグレアを与えてしまうことなく、対向車線側へカーブした曲線路を走行する際の前方視認性を高めることは困難である。
【0010】
一方、リフレクタの反射面においてその前端縁近傍に位置する反射領域を用いるようにすれば、この反射領域は第1発光素子から最も離れた位置にあるので、その反射光によって形成される光源像を小さなものとすることが可能となる。したがって、対向車線側のカットオフラインの下方近傍領域の明るさを増大させるための配光パターンを上下幅の小さい配光パターンとして形成することが可能となる。
【0011】
しかしながら、この反射領域は第1発光素子の発光面の面直方向から大きく外れた位置にあり、十分な反射光量を得ることができないので、やはり対向車線側へカーブした曲線路を走行する際の前方視認性を高めることは困難である。
【0012】
本願発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、光源からの出射光をリフレクタによって灯具前方へ向けて反射させることによりロービーム用配光パターンを形成するように構成された車両用灯具において、対向車線側へカーブした曲線路を走行する際の前方視認性を高めることができる車両用灯具を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願発明は、第1および第2発光素子を備えた構成とした上で、その配置およびリフレクタの構成に工夫を施すことにより、上記目的達成を図るようにしたものである。
【0014】
すなわち、本願発明に係る車両用灯具は、
光源からの出射光をリフレクタによって灯具前方へ向けて反射させることによりロービーム用配光パターンを形成するように構成された車両用灯具において、
上記光源として、第1発光素子とこの第1発光素子の灯具前方側に配置された第2発光素子とを備えており、
上記リフレクタは、上記第1発光素子からの出射光を反射させることにより上記ロービーム用配光パターンの少なくとも一部を構成する第1配光パターンを形成する第1反射面と、上記第2発光素子からの出射光を反射させることにより上記ロービーム用配光パターンにおける対向車線側のカットオフラインの下方近傍領域の明るさを増大させるための第2配光パターンを形成する第2反射面とを備えており、
上記第2反射面は、上記第1反射面の灯具前方側において上記第2発光素子の発光面の面直方向に位置するように配置されている、ことを特徴とするものである。
【0015】
上記「第1および第2発光素子」の各々の種類は特に限定されるものではなく、例えば発光ダイオードやレーザダイオード等が採用可能である。
【0016】
上記「第2発光素子」は、第1発光素子の灯具前方側に配置されていれば、第1発光素子との具体的な位置関係は特に限定されるものではない。
【0017】
上記「第1および第2反射面」の各々の具体的な大きさやその反射面形状等は特に限定されるものではない。
【0018】
上記「第2反射面」の構成として「上記第2発光素子の発光面の面直方向に位置するように配置されている」とは、該「第2反射面」上に第2発光素子の発光面の面直方向に位置する点が含まれていることを意味するものである。
【0019】
上記「第1配光パターン」は、該「第1配光パターン」に対して第2配光パターンが重畳されることによってロービーム用配光パターンが形成される配光パターンであってもよいし、該「第1配光パターン」に対して第2配光パターンおよび他の配光パターンが重畳されることによってロービーム用配光パターンが形成される配光パターンであってもよい。
【発明の効果】
【0020】
本願発明に係る車両用灯具は、その光源として第1発光素子とその灯具前方側に配置された第2発光素子とを備えており、また、そのリフレクタとして、第1発光素子からの出射光を反射させることによりロービーム用配光パターンの少なくとも一部を構成する第1配光パターンを形成する第1反射面と、第2発光素子からの出射光を反射させることによりロービーム用配光パターンにおける対向車線側のカットオフラインの下方近傍領域の明るさを増大させるための第2配光パターンを形成する第2反射面とを備えており、その際、第2反射面は第1反射面の灯具前方側において第2発光素子の発光面の面直方向に位置するように配置されているので、次のような作用効果を得ることができる。
【0021】
すなわち、第2発光素子の発光面の面直方向に第2反射面が配置されていることにより、第2配光パターンを明るい配光パターンとして形成することができる。その際、第2反射面は、第1反射面の灯具前方側に位置しており、第2発光素子から離れた位置にあるので、第2配光パターンを上下幅の小さい配光パターンとして形成することができる。
【0022】
そして、このように第2配光パターンを明るくて上下幅の小さい配光パターンとして形成することにより、対向車線側へカーブした曲線路を走行する際の前方視認性を高めることができる。
【0023】
このように本願発明によれば、光源からの出射光をリフレクタによって灯具前方へ向けて反射させることによりロービーム用配光パターンを形成するように構成された車両用灯具において、対向車線側へカーブした曲線路を走行する際の前方視認性を高めることができる。
【0024】
上記構成において、第2発光素子からの出射光が第1反射面に入射しないようにするための第1遮光部材を備えた構成とすれば、第2発光素子からの出射光の一部が第1反射面で反射してグレアや配光ムラの原因となる迷光を発生させてしまうおそれをなくすことができる。
【0025】
上記構成において、第1発光素子からの出射光が第2反射面に入射しないようにするための第2遮光部材を備えた構成とすれば、第1発光素子からの出射光の一部が第2反射面で反射してグレアや配光ムラの原因となる迷光を発生させてしまうおそれをなくすことができる。
【0026】
上記構成において、第2発光素子が第1発光素子よりもリフレクタから離れる方向に変位した状態で配置された構成とすれば、第2発光素子から第2反射面までの距離をより長く確保することができるので、第2配光パターンを上下幅の小さい配光パターンとして形成することが一層容易に可能となり、これにより対向車線側へカーブした曲線路を走行する際の前方視認性を一層高めることができる。
【0027】
上記構成において、第1および第2反射面の構成として、いずれも放物面を基準面として形成され、かつ、第2反射面が第1反射面よりも焦点距離が長い放物面を基準面として形成された構成とすれば、第1反射面による第1発光素子からの出射光の反射制御および第2反射面による第2発光素子からの出射光の反射制御を精度良く行うことが可能となり、かつ、第2反射面からの反射光によって第2配光パターンを上下幅の小さい配光パターンとして位置精度良く形成することが容易に可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を用いて、本願発明の実施の形態について説明する。
【0030】
図1は、本願発明の一実施形態に係る車両用灯具10を示す側断面図であり、
図2は、その正面図である。
【0031】
これらの図に示すように、本実施形態に係る車両用灯具10は、ランプボディ12とこのランプボディ12の前端開口部に取り付けられた素通し状の透光カバー14とで形成される灯室内に、灯具ユニット20が組み込まれた構成となっている。
【0032】
なお、これらの図において、Xで示す方向が灯具としての「前方」(車両としても「前方」)であり、Yで示す方向が「右方向」であり、Zで示す方向が「上方向」である。
【0033】
灯具ユニット20は、第1発光素子22Aと、この第1発光素子22Aの前方側に配置された第2発光素子22Bと、これら第1および第2発光素子22A、22Bからの出射光を前方へ向けて反射させるリフレクタ24とを備えた構成となっている。
【0034】
第1および第2発光素子22A、22Bは、いずれも白色発光ダイオードであって、横長矩形状の発光面22Aa、22Baを有している。
【0035】
その際、第1および第2発光素子22A、22Bは、その発光面22Aa、22Baを真下の方向に向けた状態で、同じ高さ位置において共通の基板26の下面に支持されている。この基板26はヒートシンクとしての機能を有しており、ランプボディ12に支持されている。
【0036】
リフレクタ24は、第1および第2発光素子22A、22Bの下方側に配置されており、その後部上端縁に形成された水平フランジ部24bにおいて基板26の下面に支持されている。なお、基板26の下面は、水平フランジ部24bを支持する部分が他の部分よりも段下がりで形成されている。
【0037】
リフレクタ24は、第1反射面24a1と、この第1反射面24a1の前方側に位置する第2反射面24a2とを備えている。
【0038】
その際、第1反射面24a1は、第1発光素子22Aの発光面22Aaの面直方向Naに位置するように配置されており、第2反射面24a2は、第2発光素子22Bの発光面22Baの面直方向Nbに位置するように配置されている。
【0039】
リフレクタ24は、灯具正面視において正方形に近い矩形状の外形形状を有しており、その上下方向の中間位置(具体的には上下方向の略中央位置)において第1反射面24a1の下端縁と第2反射面24a2の上端縁とが接続された構成となっている。
【0040】
第1反射面24a1は、灯具正面視において縦横格子状に区分けされた複数のセグメントの各々に反射素子24s1が割り付けられた構成となっている。各反射素子24s1は、第1発光素子22Aの発光中心を焦点とするとともに灯具前後方向に延びる軸線を中心軸とする回転放物面Paを基準面とする凹曲面で構成されている。
【0041】
そして、この第1反射面24a1は、各反射素子24s1において第1発光素子22Aからの光を反射制御することによりロービーム用配光パターン(これについては後述する)の主要部を構成する第1配光パターン(これについても後述する)を形成するようになっている。
【0042】
一方、第2反射面24a2は、灯具正面視において縦横格子状に区分けされた複数のセグメントの各々に反射素子24s2が割り付けられた構成となっている。各反射素子24s2は、第2発光素子22Aの発光中心を焦点とするとともに灯具前後方向に延びる軸線を中心軸とする回転放物面Pbを基準面とする凹曲面で構成されている。
【0043】
その際、この第2反射面24a2の基準面となる回転放物面Pbは、第1反射面24a1の基準面となる回転放物面Paよりも焦点距離が長い値(例えば2倍以上の値)に設定されている
そして、この第2反射面24a2は、各反射素子24s2において第2発光素子22Bからの光を反射制御することによりロービーム用配光パターンにおける対向車線側のカットオフラインの下方近傍領域の明るさを増大させるための第2配光パターン(これについても後述する)を形成するようになっている。
【0044】
第2発光素子22Bの後方近傍には、該第2発光素子22Bからの出射光が第1反射面24a1に入射しないようにするための第1遮光部材32が配置されている。この第1遮光部材32は、第2発光素子22Bを後方側から覆うように配置された状態で、基板26の下面に支持されている。
【0045】
一方、第1発光素子22Aの前方近傍には、該第1発光素子22Aからの出射光が第2反射面24a2に入射しないようにするための第2遮光部材34が配置されている。この第2遮光部材34は、第1発光素子22Aを前方側から覆うように配置された状態で、基板26の下面に支持されている。
【0046】
図3は、車両用灯具10からの照射光によって車両前方25mの位置に配置された仮想鉛直スクリーン上に形成されるロービーム用配光パターンPLを透視的に示す図である。
【0047】
図3(a)は、直線路Rsを走行しているときの様子を示しており、
図3(b)は、対向車線側(すなわち右側)へカーブした曲線路Rcを走行しているときの様子を示している。
【0048】
ロービーム用配光パターンPLは、上端縁にカットオフラインCL1、CL2を有する左配光のロービーム用配光パターンとして形成されている。
【0049】
このロービーム用配光パターンPLは、第1反射面24a1からの反射光によって形成される第1配光パターンPL1と、第2反射面24a2からの反射光によって形成される第2配光パターンPL2との合成配光パターンとして形成されている。
【0050】
カットオフラインCL1、CL2は、灯具正面方向の消点であるH−Vを鉛直方向に通るV−V線を境にして左右段違いで水平方向に延びており、V−V線よりも右側の対向車線側部分が下段カットオフラインCL1として形成されるとともに、V−V線よりも左側の自車線側部分が、この下段カットオフラインCL1から傾斜部を介して段上がりになった上段カットオフラインCL2として形成されている。
【0051】
このロービーム用配光パターンPLにおいて、下段カットオフラインCL1とV−V線との交点であるエルボ点Eは、H−Vの0.5〜0.6°程度下方に位置している。そして、このロービーム用配光パターンPLにおいてエルボ点Eをやや左寄りに囲む横長の領域は高光度領域HZとして形成されている。
【0052】
第1配光パターンPL1は、ロービーム用配光パターンPLの主要部を構成する配光パターンであって、カットオフラインCL1、CL2はこの第1配光パターンPL1によって形成されている。
【0053】
一方、第2配光パターンPL2は、ロービーム用配光パターンPLにおける対向車線側の下段カットオフラインCL1の下方近傍領域の明るさを増大させるための配光パターンとして形成されている。
【0054】
第1配光パターンPL1は、下段カットオフラインCL1を構成している部分の一部が凹部PL1aとして形成されている。この凹部PL1aは、高光度領域HZの右側近傍において下段カットオフラインCL1に対して略台形状に凹むように形成されている。
【0055】
第2配光パターンPL2は、下段カットオフラインCL1の下方近傍において水平方向に延びる明るくて上下幅の小さい配光パターンとして形成されている。その際、この第2配光パターンPL2は、その左端部において高光度領域HZと部分的に重複した状態で、その左端部近傍において第1配光パターンPL1の凹部PL1aを塞ぐように形成されている。これによりロービーム用配光パターンPLは、その下段カットオフラインCL1の下方近傍領域が凹部PL1aの部分を除いて明るい配光パターンとして形成されている。
【0056】
そして、ロービーム用配光パターンPLは、
図3(a)に示すように、自車が直線路Rsを走行しているときには、自車が多少ピッチングしたような場合であっても、凹部PL1aの存在により対向車2のドライバに大きなグレアを与えてしまわないようにした上で、
図3(b)に示すように、自車が対向車線側(すなわち右側)へカーブした曲線路Rcを走行する際の前方視認性を十分に確保するようになっている。
【0057】
図4(a)は、ロービーム用配光パターンPLを上方から見て示す図である。
【0058】
なお、
図4(a)においては直線路Rsと曲線路Rcとを重ねて示している。
【0059】
図4(a)に示すように、ロービーム用配光パターンPLは、その主要部を構成する第1配光パターンPL1に対して第2配光パターンPL2が右前方へ大きく張り出して延びるように形成されている。
【0060】
一方、
図4(b)は、
図5に示す従来の車両用灯具10´からの照射光によって形成される2種類のロービーム用配光パターンPLA´、PLB´を示す、
図4(a)と同様の図である。
【0061】
図5に示す従来の車両用灯具10´は、第1発光素子22A´からの出射光をリフレクタ24´によって灯具前方へ向けて反射させることによりロービーム用配光パターンPLA´、PLB´を形成する構成となっている。
【0062】
図6は、2種類のロービーム用配光パターンPLA´、PLB´を別々に示す、
図3と同様の図である。
【0063】
図4(b)および
図6において、2点鎖線で示す配光パターンPL2A´および破線で示す配光パターンPL2B´は、いずれも本実施形態の第2配光パターンPL2に対応すべき配光パターンである。
【0064】
配光パターンPL2A´は、リフレクタ24´の反射面24a´において第1発光素子22A´の発光面22Aa´の面直方向Naに位置する反射領域(図中2点鎖線で囲んで示す反射領域Z1)を、対向車線側のカットオフラインCL1の下方近傍領域の明るさを増大させるための専用領域として用いるようにした場合に形成される配光パターンである。
【0065】
この配光パターンPL2A´は、本実施形態の第1配光パターンPL1に対応する配光パターンPL1´に対して右前方へ張り出して延びるように形成されるが、その左右幅は本実施形態の第2配光パターンPL2の場合に比してかなり小さいものとなっている。
【0066】
これは、反射領域Z1からの反射光によって形成される配光パターンPL2A´はその上下幅が大きいものとなってしまうので、その形成位置を細かく制御することが容易でなく、このため凹部PL1a´の部分において下段カットオフラインCL1よりも上方へ光が照射されることによって対向車2のドライバにグレアを与えてしまわないような位置に配光パターンPL2A´を形成する必要があるためである。
【0067】
一方、配光パターンPL2B´は、リフレクタ24´の反射面24a´においてその前端縁近傍に位置する反射領域(図中破線で囲んで示す反射領域Z2)を、対向車線側のカットオフラインCL1の下方近傍領域の明るさを増大させるための専用領域として用いるようにした場合に形成される配光パターンである。
【0068】
この配光パターンPL2B´は、配光パターンPL1´に対して右前方へ張り出して延びるように形成されるが、その前方への張出し量は本実施形態の第2配光パターンPL2の場合に比してかなり小さいものとなっている。
【0069】
これは、反射領域Z2からは十分な反射光量を得ることができないので、配光パターンPL2B´を明るい配光パターンとして形成することができないことによるものである。
【0070】
次に本実施形態の作用効果について説明する。
【0071】
本実施形態に係る車両用灯具10は、その光源として第1発光素子22Aとその灯具前方側に配置された第2発光素子22Bとを備えており、また、そのリフレクタ24として、第1発光素子22Aからの出射光を反射させることによりロービーム用配光パターンPLの主要部(すなわち少なくとも一部)を構成する第1配光パターンPL1を形成する第1反射面24a1と、第2発光素子22Bからの出射光を反射させることによりロービーム用配光パターンPLの下段カットオフラインCL1(すなわち対向車線側のカットオフライン)の下方近傍領域の明るさを増大させるための第2配光パターンPL2を形成する第2反射面24a2とを備えており、その際、第2反射面24a2は第1反射面24a1の灯具前方側において第2発光素子22Bの発光面22Baの面直方向Nbに位置するように配置されているので、次のような作用効果を得ることができる。
【0072】
すなわち、第2発光素子22Bの発光面22Baの面直方向Nbに第2反射面24a2が配置されていることにより、第2配光パターンPL2を明るい配光パターンとして形成することができる。その際、第2反射面24a2は、第1反射面24a1の灯具前方側に位置しており、第2発光素子22Bから離れた位置にあるので、第2配光パターンPL2を上下幅の小さい配光パターンとして形成することができる。
【0073】
そして、このように第2配光パターンPL2を明るくて上下幅の小さい配光パターンとして形成することにより、対向車線側へカーブした曲線路Rcを走行する際の前方視認性を高めることができる。
【0074】
このように本実施形態によれば、光源からの出射光をリフレクタ24によって灯具前方へ向けて反射させることによりロービーム用配光パターンPLを形成するように構成された車両用灯具10において、対向車線側へカーブした曲線路Rcを走行する際の前方視認性を高めることができる。
【0075】
その際、本実施形態に係る車両用灯具10は、第2発光素子22Bからの出射光が第1反射面24a1に入射しないようにするための第1遮光部材32を備えているので、第2発光素子22Bからの出射光の一部が(
図1において2点鎖線で示すように)第1反射面24a1で反射してグレアや配光ムラの原因となる迷光を発生させてしまうおそれをなくすことができる。
【0076】
また本実施形態に係る車両用灯具10は、第1発光素子22Aからの出射光が第2反射面24a2に入射しないようにするための第2遮光部材34を備えているので、第1発光素子22Aからの出射光の一部が(
図1において2点鎖線で示すように)第2反射面24a2で反射してグレアや配光ムラの原因となる迷光を発生させてしまうおそれをなくすことができる。
【0077】
本実施形態のリフレクタ24は、第1および第2反射面24a1、24a2がいずれも放物面を基準面として形成されており、かつ、第2反射面24a2が第1反射面24a1よりも焦点距離が長い放物面を基準面として形成されているので、第1反射面24a1による第1発光素子22Aからの出射光の反射制御および第2反射面24a2による第2発光素子22Bからの出射光の反射制御を精度良く行うことが可能となり、かつ、第2反射面24a2からの反射光によって第2配光パターンPL2を上下幅の小さい配光パターンとして位置精度良く形成することが容易に可能となる。
【0078】
本実施形態においては、第1配光パターンPL1が、その下段カットオフラインCL1の部分に凹部PL1aを有する配光パターンとして形成されているので、自車が多少ピッチングしたような場合であっても、凹部PL1aの存在により対向車2のドライバに大きなグレアを与えてしまわないようにすることができる。
【0079】
なお、第1配光パターンPL1として、その下段カットオフラインCL1の部分に凹部PL1aを有していない配光パターンを形成する構成とすることも可能である。
【0080】
上記実施形態においては、リフレクタ24として第1反射面24a1を構成している部分と第2反射面24a2を構成している部分とが一体で形成されているものとして説明したが、両者が別体で形成された構成とすることも可能である。
【0081】
上記実施形態に係る車両用灯具10は、単一の灯具ユニット20からの照射光によりロービーム用配光パターンPLを形成する構成となっているが、複数の灯具ユニットからの照射光によりロービーム用配光パターンPLを形成する構成とすることも可能であり、その際、一部または全部の灯具ユニットからの照射光によって第2配光パターンPL2と同様の配光パターンを形成する構成とすることが可能である。
【0082】
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
【0083】
まず、上記実施形態の第1変形例について説明する。
【0084】
図7は、本変形例に係る車両用灯具110を示す、
図1と同様の図である。
【0085】
同図に示すように、この車両用灯具110の基本的な構成は上記実施形態に係る車両用灯具10と同様であるが、灯具ユニット120に上記実施形態のような第2遮光部材34が配置されておらず、一方、灯具ユニット120の前方近傍にリフレクタ24および基板26の外周縁部を囲むように形成されたエクステンション部材130が配置されている点で、上記実施形態の場合と異なっている。
【0086】
本変形例においては、第1発光素子22Aからの出射光の一部が第2反射面24a2に入射してしまうこととなるが、この第2反射面24a2からの反射光はエクステンション部材130の後方空間へ向かう光となるので、グレアや配光ムラの原因となる迷光を発生させてしまうおそれをなくすことができる。
【0087】
したがって、本変形例の構成を採用した場合においても上記実施形態の場合と同様の作用効果を得ることができる。
【0088】
次に、上記実施形態の第2変形例について説明する。
【0089】
図8は、本変形例に係る車両用灯具210を示す、
図1と同様の図である。
【0090】
同図に示すように、この車両用灯具210の基本的な構成は上記第1変形例に係る車両用灯具110と同様であるが、灯具ユニット220の第2発光素子22Bが、その発光面22Baを真下の方向に対して前方側に多少傾斜した方向へ向けた状態で配置されている点で、上記第1変形例の場合と異なっている。
【0091】
これに伴い、本変形例の基板226はその下面の前端部が斜面状に形成されている。
【0092】
本変形例においては、第2発光素子22Bの発光面22Baの面直方向Nbが真下の方向に対して前方側へ傾斜しているので、第1反射面224a1に関しては上記第1変形例と同様の構成に維持した上で、第2発光素子22Bからの出射光をより多く第2反射面224a2に入射させることができる。
【0093】
したがって、本変形例の構成を採用することにより、第2配光パターンPL2をより明るい配光パターンとして形成することができる。
【0094】
次に、上記実施形態の第3変形例について説明する。
【0095】
図9は、本変形例に係る車両用灯具310を示す、
図1と同様の図である。
【0096】
同図に示すように、この車両用灯具310の基本的な構成は上記第1変形例に係る車両用灯具110と同様であるが、灯具ユニット320の第2発光素子22Bが第1発光素子22Aよりもリフレクタ324から離れる方向(すなわち上方側)に変位した状態で配置されている点で、上記第1変形例の場合と異なっている。
【0097】
具体的には、上記第1変形例の場合と比較して、第2発光素子22Bの位置は同一であるが、第1発光素子22Aの位置が下方に変位している。
【0098】
これに伴い、本変形例の基板226は、その前端部以外は上記第1変形例の基板26よりも厚肉で形成されている。
【0099】
また本変形例においては、第2発光素子22Bからの出射光が第1反射面324a1に入射しないようにするための第1遮光部材332が、基板326の下面から下方へ突出した突出部として基板326と一体的に形成されている。
【0100】
さらに本変形例においては、リフレクタ324の第2反射面324a2の基準面を構成する回転放物面Pbの焦点距離が上記第1変形例の場合よりも大きい値に設定されており、これにより第2発光素子22Bの発光面22Baから第2反射面324a2までの距離が上記第1変形例の場合よりも長くなっている。
【0101】
その際、本変形例においては第1発光素子22Aが第2発光素子22Bに対して下方に変位しているので、回転放物面Pbの焦点距離が上記第1変形例の場合よりも大きい値に設定されているにもかかわらず、第1反射面324a1に関しては上記第1変形例と同様の構成に維持することができる。
【0102】
本変形例のように、第2発光素子22Bの発光面22Baから第2反射面324a2までの距離を長くすることにより、第2配光パターンPL2を上下幅の小さい配光パターンとして形成することが一層容易に可能となる。
【0103】
また本変形例のように、第1遮光部材332を基板326と一体的に形成することにより、部品点数を削減することができる。
【0104】
なお、上記実施形態およびその変形例において諸元として示した数値は一例にすぎず、これらを適宜異なる値に設定してもよいことはもちろんである。
【0105】
また本願発明は、上記実施形態およびその変形例に記載された構成に限定されるものではなく、これ以外の種々の変更を加えた構成が採用可能である。