(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
内部に中空状のセルを有する板状のハニカム体と、前記ハニカム体の前記セルの開口を塞ぐように設けられた面材と、前記ハニカム体の前記中空状のセル内部に充填された熱硬化性樹脂と、前記熱硬化性樹脂が充填されたハニカム体の一部が押し潰されることで形成されたヒンジ部と、前記面材の外側に前記ヒンジ部に跨って設けられたヒンジシートと、前記ヒンジシートに開けられた開口部と、を有し、
前記ヒンジシートが、可撓性を有する基材樹脂シートと、前記基材樹脂シートの前記面材と接触している面に設けられた、前記面材に接着するための接着用不織布と、前記基材樹脂シートの前記面材と接触している面の反対側の面に設けられた断熱用不織布と、を有する
車両用ボード構造体。
熱硬化性樹脂を含浸させた裏側面材と、内部に中空状のセルを有する板状のハニカム体と、熱硬化性樹脂を含浸させた表側面材と、開口部が設けられたヒンジシートを、この順番で重ね合わせて配置する工程と、
前記表側面材及び前記裏側面材を加熱して、前記表側面材および前記裏側面材に含浸させた前記熱硬化性樹脂を発泡させて前記ハニカム体の前記中空部に充填させる工程と、
前記ヒンジシートが配置された部分の前記ハニカム体を前記裏側面材側から前記表側面材に向かって圧潰加工することで前記表側面材と前記裏側面材を接合してヒンジ部を形成する工程と、を含み、
前記熱硬化性樹脂を発泡させて前記ハニカム体の前記中空部に充填させる工程において、前記熱硬化性樹脂から発生したガスを前記開口部から外部に放出させることを特徴とする、車両用ボード構造体の製造方法。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両の内装には、フロアカーペットやインストルメント・パネルなど様々な内装部品が配置されている。これら種々の内装部品は、設計仕様として、一定の値以上の剛性を有することが求められる。したがって、内装部品の高い剛性を確保するために各内装部品の厚さや幅等の寸法等を大きくするか、あるいは、金属等の高剛性の材料を補強材として使用する必要がある。しかし、これらの方法は、材料の使用量の増加や、補強材の追加により自動車内装部品の重量増加につながり、さらには、車両自体の重量増加にもつながる。
【0003】
車両の重量増加は、自動車の燃費の低下や排気ガスの排出量の増加につながるため、近年の低燃費化や排気ガスの削減を求める社会動向と一致していない。言い換えると、社会では、低燃費かつ低排気ガス車両が求められているため、軽量かつ高剛性な自動車内装部品を使用することが望ましい。軽量で高剛性な自動車内装部品の関連技術として、特許文献1に記載された発泡性熱硬化性樹脂を用いた自動車内装部品が知られている。
【0004】
自動車内装部品の1つとして車両用ボード構造体がある。車両用ボード構造体の一例としては、スペアタイヤなどを収納するための収納用凹部を有する荷室フロアに配設されるデッキボードや、ラゲージルームを覆うトノカバーが挙げられる。収納用凹部やラゲージルームへ容易にアクセスできるようにするために、デッキボードやトノカバーにはヒンジ機構が設けられ、ヒンジ機構を介して開閉自在であることが好ましい。しかし、特許文献1に記載された自動車内装部品はヒンジ機構を有しておらず、容易に開閉できるデッキボードやトノカバーを構成できるものではない。
【0005】
ここで、ヒンジ機構を有するデッキボードやトノカバーとしては、特許文献2に記載された車両用ボード構造体が知られている。特許文献2に記載された車両用ボード構造体は、ハニカム体、表側面材及び裏側面材、ハニカム体の中空部に充填された熱硬化性樹脂、並びにヒンジシートから構成されている。特許文献2に記載された車両用ボード構造体は、ヒンジ部とヒンジシートによって、良好なヒンジ特性と高剛性及び耐久性を実現している。これにより、車両用ボード構造体は、一部がヒンジ部を回動軸として良好に回動可能な構成となる。この車両用ボードをデッキボードやトノカバーとして用いることにより、荷物フロアへの良好なアクセス性が実現する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2において、車両用ボード構造体は、主に表皮材、ヒンジシート、表側面材、セルを有するハニカム体、裏側面材から構成されている。表側面材及び裏側面材には発泡性の熱硬化性樹脂が含浸され、発泡した熱硬化性樹脂は、ハニカム体のセル内に充填されている。この車両用ボード構造体は、上記各部材を積層した後に加熱及び加圧することで製造される。この加熱加圧工程によって、表皮材、ヒンジシート、表側面材、ハニカム体及び裏側面材は、それぞれの接触面が互いに接着され、一体となった車両用ボードが成形される。
【0008】
加熱加圧工程において、発泡性の熱硬化性樹脂は、加熱されることでガスを発生する。このため、加熱に伴って発生したガスがヒンジシートと表側面材の間に溜まる場合がある。特にヒンジシートの面積が大きいほど、ヒンジシートと表側面材の間に溜まるガスの量は多い。そして、ヒンジシートと表側面材の間に溜まるガスが原因となって、ヒンジシートと表側面材の接着不良の問題が発生し易い。
【0009】
そこで、本願発明の目的は、車両用ボード構造体の加熱加圧工程で発生するガスがヒンジシートと表側面材の間に溜まることを抑止し、あわせてこれに起因するヒンジシートと表側面材の接着不良の問題の発生を抑止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明に係る車両用ボード構造体は、内部に中空状のセルを有する板状のハニカム体と、前記ハニカム体の前記セルの開口を塞ぐように設けられた面材と、前記ハニカム体の前記中空状のセル内部に充填された熱硬化性樹脂と、前記熱硬化性樹脂が充填されたハニカム体の一部が押し潰されることで形成されたヒンジ部と、前記面材の外側に前記ヒンジ部に跨って設けられたヒンジシートと、前記ヒンジシートに開けられた開口部と、を有
し、前記ヒンジシートが、可撓性を有する基材樹脂シートと、前記基材樹脂シートの前記面材と接触している面に設けられた、前記面材に接着するための接着用不織布と、前記基材樹脂シートの前記面材と接触している面の反対側の面に設けられた断熱用不織布と、を有する。
【0012】
本願発明に係る車両用ボード構造体の製造方法は
、熱硬化性樹脂を含浸させた裏側面材と、内部に中空状のセルを有する板状のハニカム体と、熱硬化性樹脂を含浸させた表側面材と、開口部が設けられたヒンジシートを、この順番で重ね合わせて配置
する工程と、前記表側面材及び前記裏側面材を加熱
して、前記表側面材及び前記裏側面材に含浸させた前記熱硬化性樹脂を
発泡させて前記ハニカム体の前記中空部
に充填させる
工程と、前記ヒンジシートが配置された部分の前記ハニカム体を前記裏側面材側から前記表側面材に向かって圧潰加工することで前記表側面材と前記裏側面材を接合してヒンジ部を形成する
工程と、を含み、前記熱硬化性樹脂を発泡させて前記ハニカム体の前記中空部に充填させる工程において、前記熱硬化性樹脂から発生したガスを前記開口部から外部に放出させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
上記構成により本願発明は、車両用ボード構造体の加熱加圧工程で発生するガスがヒンジシートと表側面材の間に溜まることを抑止し、あわせてこれに起因するヒンジシートと表側面材の接着不良の問題の発生を抑止することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本願発明に係る車両用ボード構造体の一実施形態である、ヒンジシートを有するデッキボードの斜視図(表皮材を省略)である。
【
図3】
図2に示すデッキボードをA−A線の位置で切断した断面図である。
【
図4】
図1から3に示すデッキボードのハニカム体の構成を示す平面図である。
【
図5】
図1から3に示すデッキボードのヒンジシートを示す側面図である。
【
図7】
図1から3に示すデッキボードの構成を示す分解断面図である。
【
図8】
図1から3に示すデッキボードの成形状態のヒンジ部近傍を拡大して示す断面図である。
【
図9】従来の問題点であった表側面材とヒンジシートの接着不良を表す側面図(表皮材を省略)である。
【
図10】従来の問題点であったヒンジシートにおける基材樹脂シートと断熱用不織布の剥離を表す側面図(表皮材を省略)である。
【
図11】
図1から3に示すデッキボードの開口部よりヒンジシート上部にあふれ出た熱硬化樹脂を表す側面図(表皮材を省略)である。
【
図12】
図6に示すヒンジシートの開口部の詳細図(表皮材を省略)である。
【
図13】参考例であるヒンジシート(開口部がスリット形状である場合)の平面図である。
【
図14】本願発明に係るヒンジシート(開口部の開口長さが長い場合)のバリエーションを示す平面図である。
【
図15】本願発明に係るヒンジシート(開口部の形状が三角形、丸型又は星型の形状である場合)のバリエーションを示す平面図である。
【
図16】本願発明に係るヒンジシート(開口部が整列されている場合)のバリエーションを示す平面図である。
【
図17】本願発明に係るヒンジシート(開口部の輪郭が凹凸形状である場合)のバリエーションを示す平面図である。
【
図18】ハニカム体の構成例のバリエーションを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本願発明に係る車両用ボード構造体の一実施形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本願発明を限定するものではなく、本願発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。
【0016】
図1は、本願発明に係る車両用ボード構造体の一例であるデッキボード1(トランクボード)の斜視図である。また、
図2は、デッキボード1の平面図である。まず、デッキボード1の使用態様について説明する。デッキボード1は、車両の荷室フロアの下方に設けられた凹型の形状の収納部の開口を覆い、荷室フロアと収納部を分離するものである。車両において、デッキボード1が収納部の開口を塞ぎ平坦面を構成することにより、デッキボード1上に荷物を載置可能となる。また、デッキボード1には、ヒンジ部11が設けられている。デッキボード1は、2つのヒンジ部11を介して前方ボード1a、中継ぎボード1b、及び後方ボード1cに分割されている。以上の構成により、後方ボード1cは、ヒンジ部11を回転中心として、開閉することが可能である。この時、中継ぎボード1bが、もう一つのヒンジ部11を回転中心として前方ボード1aに対して折れ曲がることにより、後方ボード1cの開閉が円滑に行われる。したがって、デッキボード1を全て取り外すことなく、作業者は、荷室フロアの下方に設けられた収納部へアクセス可能となる。また、デッキボード1の平面形状は、自動車における敷設位置となる荷室フロアの外形形状にほぼ沿った形状である。
【0017】
次にデッキボード1の構成について説明する。
図3は、
図2のA―A線の位置でデッキボード1を切断した場合の断面図である。
【0018】
図3に示されているように、デッキボード1は、表皮材10、ヒンジシート12、表側面材13、ハニカム体14、裏側面材15が上面からこの順番に配置され、これらが互いに接着されることで構成されている。また、ハニカム体14は、
図4に示すように、六角形状のセルが連なった構成である。このハニカム体14のセル部分には、熱硬化性樹脂16が充填されている。
【0019】
デッキボード1の構成部材の1つであるヒンジシート12の側面図を
図5に示す。ヒンジシート12は、基材樹脂シート17を断熱用不織布18と接着用不織布19とで挟み込んだ構造である。
【0020】
基材樹脂シート17は、例えばポリプロピレンやポリエチレンなどの可撓性を有する熱可塑性樹脂からなる。
【0021】
断熱用不織布18は、例えばPETスパンボンド不織布からなる。断熱用不織布18は、後述するデッキボード1の成形時に加熱されて基材樹脂シート17の温度が上昇し溶融しても、基材樹脂シート17と成形型3aが接着することを防止する効果がある。
【0022】
接着用不織布19は、例えばPETスパンボンド不織布からなる。接着用不織布19は、ヒンジシート12と表側面材13を接着する効果がある。熱可塑性樹脂からなる基材樹脂シート17と、熱硬化性樹脂16が含浸されている表側面材13とは接着性が乏しい。したがって、基材樹脂シート17は、表側面材13に直接接着することができない。このため、ヒンジシート12は、基材樹脂シート17の表側面材13側に接着用不織布19を有する。これにより、接着用不織布19によるアンカー効果を利用して、ヒンジシート12は、表側面材13に対し十分な接着性を確保することが可能となる。
【0023】
図6は、ヒンジシート12の平面図である。ヒンジシート12には、
図6に示すような複数の開口部20が設けられている。複数の開口部20は、後述する加熱時に熱硬化性樹脂16から発生するガスを外部に放出させて、ヒンジシート12と表側面材13の間に溜まるのを防止する。これにより、開口部20が設けられているヒンジシート12は、ガスが溜まることに起因するヒンジシート12と表側面材13の接着不良の防止を図ることができる。
【0024】
表皮材10は、例えばポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維やポリエチレン繊維などの各種熱可塑性樹脂繊維からなるニードルパンチ不織布である。
【0025】
表側面材13及び裏側面材15は、例えばガラス繊維マット又は植物繊維マットなどの天然繊維マットである各種繊維マットからなる。また、表側面材13及び裏側面材15は、後述する成形機による加熱加圧工程の前処理として、発泡性の熱硬化性樹脂16が塗布や浸漬など公知の各種含浸方法を用いて含浸されているものである。発泡性の熱硬化性樹脂16は、例えばウレタン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂又はユリア樹脂など各種の熱硬化性樹脂16からなる。
【0026】
ハニカム体14は、内部が多数のセルに区切られている。ハニカム体14は、具体的には、ペーパーハニカム、ポリプロピレン等のプラスチックハニカム、又はアルミニウム等で形成された金属製ハニカムなどからなる。
図4に示されているようにハニカム体14は、六角形状のセルが連なって構成されている。表皮材10、表側面材13、ハニカム体14、及び裏側面材15は、ほぼ等しい面積を有している。他方、ヒンジシート12は、表皮材10等と等しい面積としてもよいが、ヒンジ機構を設ける位置のみに配置してもよい。ヒンジ機構を設ける位置のみにヒンジシート12を配置することは、ヒンジシート12の節約につながるからである。本実施形態では、
図6で示されている小型のヒンジシート12を使用する。
【0027】
次にデッキボード1の製造方法について説明する。
【0028】
図7は、デッキボード1の成形加工前における各部材の積層状態を示したものである。
【0029】
デッキボード1は、下側から裏側面材15、ハニカム体14、表側面材13、ヒンジシート12、及び表皮材10の順に積層される。
【0030】
その後、
図8に示されているように積層された部材は、成形機の成形型3a、3bにセットされ、加熱及び加圧される。隔壁によって多数のセルに仕切られたハニカム体14のセルの開口面を、熱硬化性樹脂16が含浸されている表側面材13と裏側面材15とで挟み込んだ状態で、表側面材13及び裏側面材15が加熱加圧される。このとき、表側面材13と裏側面材15に含浸された熱硬化性樹脂16は加熱されて、発泡して、ハニカム体14のセルの中空部内に充填される。その後、ハニカム体14のセルの中空部内に充填された、発泡した熱硬化性樹脂16は、引続き、成形型3a,3bによって加熱され続けることによって硬化する。これによって、表側面材13とハニカム体14、及び裏側面材15とハニカム体14は、それぞれ接着される。
【0031】
デッキボード1のヒンジ部11は、この成形機による加熱加圧工程のときに成形される。成形機の下側の成形型3bの一部分は、山形の凸形状4を有している。成形機による加圧加工時に成形型3bの山形の凸形状4は、裏側面材15及びハニカム体14を圧縮し押し潰す。これにより、裏側面材15と表側面材13とが直接接合されて部分的に薄くなることでヒンジ部11が形成される。
【0032】
この成形機による加熱加圧において熱硬化性樹脂16からガスが発生する。ヒンジシート12に開口部20がない場合、
図9に示すように表側面材13とヒンジシート12の間に熱硬化樹脂16から発生したガスが溜まり、この表側面材13とヒンジシート12の接触面積が小さくなるため、接着不良が発生する。しかし、本実施形態で使用されているヒンジシート12(
図6参照)のように、ヒンジシート12に充分な開口部20が設けられていれば、発生したガスは、この開口部20から外部に放出されるため、表側面材13とヒンジシート12の間にガスがあまり溜まらず、ヒンジシート12と表側面材13の接触面積が十分に確保できるため接着不良を防止することができる。
【0033】
加熱により熱硬化性樹脂16が充分に硬化され、デッキボード1の各層が充分に接着された後、成形型3a、3bが開き、デッキボード1が排出される。この時、ヒンジシート12に開口部20が設けられていなかった場合、ヒンジシート12の断熱用不織布18が上部成形型3aにへばり付いて引っ張られ、ヒンジシート12の断熱用不織布18が基材樹脂シート17から剥離してしまう不具合が発生する場合があった。具体的には、
図10に示すように、断熱用不織布18と基材樹脂シート17の接着面に空間ができるように部分的に剥離する。しかし、本願発明に係るヒンジシート12には、開口部20が設けられている。これにより、加熱加圧のときに、
図11に示すように熱硬化性樹脂16がヒンジシート12の開口部20よりあふれ出る。あふれ出た熱硬化性樹脂16が
図12に示すようにヒンジシート12の開口部20の周辺部を覆った状態で固化する。このため、固化した熱硬化性樹脂16によってヒンジシート12の開口部20の端部が固定されている。したがって、ヒンジシート12の各層(断熱用不織布18、基材樹脂シート17、及び接着用不織布19)がヒンジシート12の開口部20を含む端部の全てにわたり、あふれ出た熱硬化性樹脂16で固定される。これにより、ヒンジシート12の断熱用不織布18が上部成形型3aにへばり付いて引っ張られた場合であっても、ヒンジシート12を構成する断熱用不織布18と基材樹脂シート17が剥離してしまう不具合の発生を抑えることができる。
【0034】
さらに、ヒンジシート12に開口部20が設けられているため、上部の成形型3aの接触面の多くが、ヒンジシート12の開口部20から表側面材13に直接接触できる。すなわち、成形型3aの接触面の多くは、断熱用不織布18を含むヒンジシート12を介さずに直接的に表側面材13に接触する。これにより、成形型3aの温度をあまり高温にしなくても、ヒンジシート12に接触している表側面材13の部分に含浸された熱硬化性樹脂16を発泡させ、硬化させることが可能となる。これに伴い、成形型3aの温度を従来の設定温度より低い温度に設定することができるので、ヒンジシート12の無い部分において、成形型3aが高温であるために熱硬化性樹脂16が発泡する前に硬化するという成形不良(欠肉)の防止を図ることが可能となる。
【0035】
ヒンジシート12に開口部20が開けられたことで、ヒンジシート12と表側面材13の接着不良の問題、及びヒンジシート12における断熱用不織布18と基材樹脂シート17の剥離の問題が解消された。さらに、ヒンジシート12に開口部20があることで、デッキボード1を従来よりも低温の成形型3aで成形することが可能となり、デッキボード1の成形不良(欠肉)を減らすことも可能となった。
【0036】
このようにして製作されたデッキボード1では、加熱することにより発泡した熱硬化性樹脂16がハニカム体14のセル内部空間や表側面材13等の繊維の内部にまで入り込んで固化している。このため、表側面材13、裏側面材15及び表皮材10等は、ハニカム体14の両面に強力に接着される。
【0037】
ハニカム体14のセル内部空間を満たす発泡した熱硬化性樹脂16は、中空部分が多く極めて軽量である。したがって、デッキボード1の重量は、板厚を厚くして剛性を高めた場合でも、さほど増加しない。すなわち、このデッキボード1は、極めて高剛性で軽量な自動車内装部品である。
【0038】
また、デッキボード1のヒンジ部11は、ヒンジシート12によりヒンジ機能が補強されているため、良好なヒンジ機能を有する。
【0039】
さらに、本実施形態に係るヒンジシート12は、熱硬化性樹脂16が発生するガスを放出する開口部20を有しているため、ヒンジシート12と表側面材13の間にガスが溜まらず接着不良が発生しない。ここでヒンジシート12の開口部20は、熱硬化性樹脂16が発生するガスを充分に放出することができる面積であることが好ましい。特に開口部20の開口率は、17%以上がよい。開口率が17%より著しく低い場合は、成形時に熱硬化性樹脂16から発生するガスが充分に抜け切れず、ヒンジシート12と表側面材13の間にガスが溜まり、ヒンジシート12と表側面材13の間で接着不良をおこす場合があるからである。なお、製造においては、開口率が21.5%±3.0%程度が好ましい。開口率が21.5%±3.0%であれば、開効率は、前述した17%を超えているので、前述したように接着不良を起こす可能性は小さい。また、開口率が高すぎる場合は、ヒンジシート12自体の剛性が低下し、ヒンジシート12の成形機へのセット性が低下してしまうので好ましくない。これらを考慮すると、ヒンジシート12の開口率を前述した適切な範囲に設定することが好ましい。なお、ここでの開口率とは、開口部20の面積をヒンジシート12の全体の面積で割ったものに100を乗じたものである。
【0040】
ヒンジシート12の開口部20の形状に、
図13に示された開口部20のような開口幅が極端に短いスリット形状は適さない。スリット形状のように開口部20の開口幅が極端に短い場合は、加熱成形時に熱硬化性樹脂16がスリット形状部分の内部に侵入し、スリット形状部分をふさいでしまう場合がある。したがって、開口部20からのガスの放出が困難になるおそれがあるためヒンジシート12の開口部20の形状にスリット形状は適さない。特にヒンジシート12の開口部20の開口幅は、10mm以上がよい。開口部20の開口幅が10mm以上の場合は、加熱成形時に熱硬化性樹脂16がヒンジシート12の開口部20の内部に侵入しても、開口部20をふさいでしまう不具合が発生しにくい。
【0041】
ヒンジシート12の開口部20の開口長さは、
図6に示す構成のように比較的短くてもよいが、
図14に示すヒンジシート12の開口部20の開口長さのように長くてもよい。ヒンジシート12の開口部20の開口長さは、ヒンジシート12の長さより短ければ制限されない。しかし、ヒンジシート12の開口部20の開口長さは、250mm以下が特によい。ヒンジシート12の開口部20の開口長さが250mmより長い場合、ヒンジシート12の剛性が不足してしまう。このため、成形時にヒンジシート12を成形型3a、3bに配置する作業がヒンジシート12の剛性不足によって、困難になる場合がある。
【0042】
ヒンジシート12の開口部20により、成形機の加熱加圧時に熱硬化性樹脂16がヒンジシート12の開口部20よりあふれ出し開口部20周辺に接着するため、ヒンジシート12の断熱用不織布18と基材樹脂シート17の間においても接着不良が発生しにくい。
【0043】
なお、デッキボード1の車室内への設置環境等に合わせて、加圧時に成形機によりデッキボード1の中でハニカム体14が特に薄くつぶされるように成形される位置には、ヒンジシート12の開口部20を重点的に配置することが望ましい。特に薄くつぶされる位置は、熱硬化性樹脂16からのガスの発生が多くガスがヒンジシート12と表側面材13の間にたまりやすい。このため、ヒンジシート12と表側面材13の間にガスがたまらないように、多量のガスを開口から外部に放出させる必要があるからである。
【0044】
また、ヒンジシート12の開口部20の形状は、
図6に示すように丸型や四角型でもよいが、
図15に示すように三角形、丸型又は星型の形状でもよく、限定されない。また、ヒンジシート12に、
図16に示すように丸型や四角型の開口部20を整列して並ぶように配置してもかまわない。
【0045】
ヒンジシート12の開口部20の形状は限定されないが、開口部20の外周長さが長くなるように、
図17に示すように開口部20の輪郭がギザギザ状(凹凸形状)とする方がよい。成形加工時にあふれ出た熱硬化性樹脂16により、ヒンジシート12を表側面材13に接着する面積が増加するため、断熱用不織布18と基材樹脂シート17の接着がより強固になるためである。ただし、製造において、開口部20の輪郭をギザギザ状(凹凸形状)に加工するには、工数や手間を要する場合がある。したがって、ヒンジシート12における断熱用不織布18と基材樹脂シート17の剥離問題が発生しない場合、開口部20の輪郭をギザギザ状(凹凸形状)に加工する必要はない。
【0046】
なお、ハニカム体14は、
図4に示されているように正六角柱を隙間なく並べた構成のもの(ハニカム体14a)を使用してもよいが、
図18に示されているように複数の平板状仕切壁と複数の波形状仕切壁とが交互に重ねられ一定間隔をあけた平板状仕切壁同士の間で波形状仕切壁が蛇行してなるような構成のもの(ハニカム体14b)を使用してもよい。また、ハニカム体14の形状は、ハニカム体14a、14bのような正六角柱を隙間なく並べた構成からなる形状や平板状仕切壁同士の間で波形状仕切壁が蛇行してなる形状に限定されるものではない。このような内部に多数のセルが形成されるように仕切られたハニカム構造を有するものであって、板状のハニカム体14の両面(上面および下面)のそれぞれにおいて、セルが外部に開口している構造であれば、他の形状のハニカム体14と代替可能である。
【0047】
なお、発泡して、充填される熱硬化性樹脂16は、ハニカム体14のセルの中空部内を必ずしも完全に埋め尽くすまで発泡させる必要は無い。すなわち、表側面材13および裏側面材15がハニカム体14に接着され、熱硬化性樹脂16がハニカム体14のセルの各隔壁を部分的に被覆するのに十分な発泡量が確保されればよく、本願発明の効果が同様に得られる。
【0048】
デッキボード1の構成は、表皮材10が含まれているものでもよいが、必要に応じて表皮材10を含まない構成でもかまわない。また、表皮材10は、デッキボード1の成形機での加熱加圧後に別途貼り付けてもかまわない。
【0049】
なお、本願発明に係る車両用ボード構造体は、上述したデッキボード1に限定されるものでなく、トノカバーやラッゲージマットなどのあらゆる車両の内装部品に使用できる。特に本願発明に係る車両用ボード構造体は、ヒンジ部11を有するため、折れ曲がる機構をもつ車両の内装部品に好適に使用できる。