(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1および第2の線状データの各々は、前記膜の前記第1の線状領域の画像を表す画像データの各画素の値を膜の厚さに変換することにより得られたデータであり、前記第1の線状領域の各位置に対応する厚さを示す値を含み、
前記面状データは、前記膜の画像を表す画像データの各画素の値を膜の厚さに変換することにより得られたデータであり、前記膜の各位置に対応する厚さを示す値を含み、
前記複数の帯状データは、前記膜の前記複数の帯状領域の厚さを表すデータであり、
前記膜厚データは、前記膜の各位置の厚さに対応する値として前記膜の各位置に対応する厚さを示す値を含む、請求項1記載の膜厚測定装置。
前記補正情報算出部は、前記第1の線状領域の複数の位置の各々に対応する前記第1の線状データの値と前記第2の線状データの値との差分を算出し、前記第1の線状領域の前記複数の位置に対応して算出された複数の差分の値について重回帰分析により前記補正情報を算出する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の膜厚測定装置。
前記補正情報算出部は、前記第1の線状領域の複数の位置の各々に対応する前記第1の線状データの値と前記第2の線状データの値との差分を算出し、前記第1の線状領域の前記複数の位置に対応して算出された複数の差分の値について重回帰分析により前記補正情報を算出する、請求項6または7記載の基板検査装置。
膜が形成された基板を保持する保持部と、第1の方向に並ぶ複数の画素を有するラインセンサを含む撮像部と、前記第1の方向に直交する第2の方向において前記撮像部と前記保持部とを相対的に移動させる移動部とを用いて、前記基板上に形成された前記膜の厚さを測定する膜厚測定方法であって、
前記膜の厚さの補正に用いられる補正情報を生成するステップと、
前記膜の厚さを測定するステップと、
前記測定するステップにより測定された厚さを前記補正情報を用いて補正するステップとを含み、
前記保持部により前記基板が第1の向きで保持された状態で前記基板上の前記膜に前記第1の方向と直交する直径方向に延びる第1の線状領域が定義され、
前記第1の線状領域は、前記保持部により前記基板が前記第1の向きと90度異なる第2の向きで保持された状態で前記第2の方向と直交し、
前記補正情報を生成するステップは、
前記保持部により前記基板が前記第1の向きで保持された状態で、前記移動部により前記撮像部と前記保持部とが相対的に移動するときに前記ラインセンサから出力される検出信号に基づいて前記膜の前記第1の線状領域の厚さに対応する第1の線状データを生成するステップと、
前記保持部により前記基板が前記第2の向きで保持された状態で、前記ラインセンサから出力される検出信号に基づいて前記膜の前記第1の線状領域の厚さに対応する第2の線状データを生成するステップと、
前記第1の線状データと前記第2の線状データとの差分を示す情報を前記補正情報として算出するステップとを含み、
前記第1の線状データ、前記第2の線状データおよび前記補正情報は、前記第1の線状領域の複数の位置に対応する複数の値をそれぞれ含み、
前記保持部により前記基板が保持された状態で前記基板上の前記膜に前記第1の方向と直交する直径方向に延びる第2の線状領域が定義されるとともに、前記第2の線状領域に直交する複数の帯状領域が定義され、
前記膜の厚さを測定するステップは、
前記保持部により前記基板が保持された状態で、前記移動部により前記撮像部と前記保持部とが相対的に移動するときに前記ラインセンサから出力される検出信号に基づいて前記基板上の前記膜の厚さに対応する面状データを生成するステップを含み、
前記測定された厚さを補正するステップは、
生成された面状データから、前記膜の前記複数の帯状領域の厚さに対応する複数の帯状データを生成するステップと、
前記補正情報に基づいて各帯状データを補正することにより前記膜の各位置の厚さに対応する値を含む膜厚データを算出するステップとを含む、膜厚測定方法。
一面を有する基板を保持する保持部と、第1の方向に並ぶ複数の画素を有するラインセンサを含む撮像部と、前記第1の方向に直交する第2の方向において前記撮像部と前記保持部とを相対的に移動させる移動部とを用いて、前記基板の外観検査を行う基板検査方法であって、
前記基板の前記一面の画像の補正に用いられる補正情報を生成するステップと、
前記基板の前記一面の画像を取得するステップと、
前記取得するステップにより取得された画像を前記補正情報を用いて補正するステップと、
判定するステップとを含み、
前記保持部により前記基板が第1の向きで保持された状態で前記基板の前記一面に前記第1の方向と直交する直径方向に延びる第1の線状領域が定義され、
前記第1の線状領域は、前記保持部により前記基板が前記第1の向きと90度異なる第2の向きで保持された状態で前記第2の方向と直交し、
前記補正情報を生成するステップは、
前記保持部により前記基板が前記第1の向きで保持された状態で、前記移動部により前記撮像部と前記保持部とが相対的に移動するときに前記ラインセンサから出力される検出信号に基づいて前記第1の線状領域の画像を表す第1の線状データを生成するステップと、
前記保持部により前記基板が前記第2の向きで保持された状態で、前記ラインセンサから出力される検出信号に基づいて前記第1の線状領域の画像を表す第2の線状データを生成するステップと、
前記第1の線状データと前記第2の線状データとの差分を示す情報を前記補正情報として算出するステップとを含み、
前記第1の線状データ、前記第2の線状データおよび前記補正情報は、前記第1の線状領域の複数の位置に対応する複数の値をそれぞれ含み、
前記保持部により前記基板が保持された状態で前記基板の前記一面に前記第1の方向と直交する直径方向に延びる第2の線状領域が定義されるとともに、前記第2の線状領域に直交する複数の帯状領域が定義され、
前記画像を取得するステップは、
前記保持部により前記基板が保持された状態で、前記移動部により前記撮像部と前記保持部とが相対的に移動するときに前記ラインセンサから出力される検出信号に基づいて前記基板の前記一面の画像を表す面状データを生成するステップを含み、
前記取得された画像を補正するステップは、
生成された面状データから、前記一面の前記複数の帯状領域の画像を表す複数の帯状データを生成するステップと、
前記補正情報に基づいて各帯状データを補正することにより前記一面の各位置の画像を表す値を含む判定画像データを算出するステップとを含み、
前記判定するステップは、前記判定画像データに基づいて前記基板の表面状態の欠陥の有無を判定することを含む、基板検査方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
基板の表面に形成された膜の厚さを従来よりも高い精度で測定することができれば、基板に対するより精密な処理が可能になる。また、基板の表面状態の欠陥の有無を従来よりも高い精度で判定することができれば、基板の処理不良および歩留まりの低下を抑制することができる。
【0006】
本発明の目的は、基板の表面に形成された膜の厚さを高い精度で測定可能な膜厚測定装置および膜厚測定方法を提供することである。
【0007】
本発明の他の目的は、基板の表面状態の欠陥の有無を高い精度で判定可能な基板検査装置および基板検査方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)第1の発明に係る膜厚測定装置は、基板上に形成された膜の厚さを測定する膜厚測定装置であって、基板を互いに90度異なる第1および第2の向きで保持する保持部と、第1の方向に並ぶ複数の画素を有するラインセンサを含む撮像部と、第1の方向に直交する第2の方向において撮像部と保持部とを相対的に移動させる移動部と、補正情報生成動作時に、膜の厚さの補正に用いられる補正情報を生成する補正情報生成部と、膜厚測定動作時に、膜の厚さを測定する膜厚測定部と、膜厚測定部により測定された厚さを補正情報を用いて補正する膜厚補正部とを備え、保持部により基板が第1の向きで保持された状態で基板上の膜に第1の方向と直交する直径方向に延びる第1の線状領域が定義され、第1の線状領域は、保持部により基板が第2の向きで保持された状態で第
2の方向と直交し、補正情報生成部は、保持部により基板が第1の向きで保持された状態で、移動部により撮像部と保持部とが相対的に移動するときにラインセンサから出力される検出信号に基づいて膜の第1の線状領域の厚さに対応する第1の線状データを生成する第1の線状データ生成部と、保持部により基板が第2の向きで保持された状態で、ラインセンサから出力される検出信号に基づいて膜の第1の線状領域の厚さに対応する第2の線状データを生成する第2の線状データ生成部と、第1の線状データと第2の線状データとの差分を示す情報を補正情報として算出する補正情報算出部とを含み、第1の線状データ、第2の線状データおよび補正情報は、第1の線状領域の複数の位置に対応する複数の値をそれぞれ含み、保持部により基板が保持された状態で基板上の膜に第1の方向と直交する直径方向に延びる第2の線状領域が定義されるとともに、第2の線状領域に直交する複数の帯状領域が定義され、膜厚測定部は、保持部により基板が保持された状態で、移動部により撮像部と保持部とが相対的に移動するときにラインセンサから出力される検出信号に基づいて基板上の膜の厚さに対応する面状データを生成する面状データ生成部を含み、膜厚補正部は、面状データ生成部により生成された面状データから、膜の複数の帯状領域の厚さに対応する複数の帯状データを生成する帯状データ生成部と、補正情報に基づいて各帯状データを補正することにより膜の各位置の厚さに対応する値を含む膜厚データを算出する帯状データ補正部とを含む。
【0009】
その膜厚測定装置においては、膜の厚さの補正に用いられる補正情報を生成するために、基板上の膜の第1の線状領域の厚さに対応する第1および第2の線状データが生成される。第1の線状データは、保持部により基板が第1の向きで保持された状態で、撮像部と保持部とが相対的に移動するときにラインセンサから出力される検出信号に基づいて生成される。第2の線状データは、保持部により基板が第2の向きで保持された状態で、ラインセンサから出力される検出信号に基づいて生成される。第1の線状データと第2の線状データとの差分を示す情報が補正情報として算出される。
【0010】
ここで、基板が第1の向きで保持された状態で、基板上の膜の第1の線状領域の端部からラインセンサに入射する光の入射角と第1の線状領域の中央部からラインセンサに入射する光の入射角とは異なる。そのため、ラインセンサから出力される検出信号に基づいて算出される厚さに対応する値は、ラインセンサに平行な方向における位置に依存して異なる。一方、基板が第2の向きで保持された状態で、基板上の膜の第1の線状領域の端部からラインセンサに入射する光の入射角と第1の線状領域の中央部からラインセンサに入射する光の入射角とは略等しい。そのため、ラインセンサから出力される検出信号に基づいて算出される厚さに対応する値は、ラインセンサに直交する方向における位置にほとんど依存しない。補正情報は、ラインセンサに直交する方向における位置にほとんど依存しない値とラインセンサに平行な方向における位置に依存する値との差分を表す。したがって、補正情報を用いてラインセンサに平行な方向における位置に依存して異なる値をラインセンサに平行な方向における位置に依存しない値に補正することができる。
【0011】
膜の厚さを測定する際には、保持部により基板が保持された状態で、撮像部と保持部とが相対的に移動するときにラインセンサから出力される検出信号に基づいて基板上の膜の厚さに対応する面状データが生成される。生成された面状データから、膜の複数の帯状領域の厚さに対応する複数の帯状データが生成される。
【0012】
補正情報に基づいて各帯状データが補正される。それにより、補正後の各帯状データにおける各位置に対応する値は、ラインセンサに平行な方向における位置に依存した変動分を有しない。したがって、膜の各位置の厚さに対応する値を含む膜厚データが正確に算出される。その結果、算出された膜厚データに基づいて基板の表面に形成された膜の厚さを高い精度で測定することが可能になる。
【0013】
(2)第1および第2の線状データの各々は、膜の第1の線状領域の画像を表す画像データの各画素の値を膜の厚さに変換することにより得られたデータであり、第1の線状領域の各位置に対応する厚さを示す値を含み、面状データは、膜の画像を表す画像データの各画素の値を膜の厚さに変換することにより得られたデータであり、膜の各位置に対応する厚さを示す値を含み、複数の帯状データは、膜の複数の帯状領域の厚さを表すデータであり、膜厚データは、膜の各位置の厚さに対応する値として膜の各位置に対応する厚さを示す値を含んでもよい。
【0014】
この場合、膜厚データに基づいて、基板上に形成された膜の各位置に対応する厚さを容易に取得することができる。
【0015】
(3)第1および第2の線状データの各々は、膜の第1の線状領域の画像を表すデータであり、面状データは、膜の各位置の画像を表すデータであり、複数の帯状データは、膜の複数の帯状領域の画像を表すデータであり、膜厚データは、膜の各位置の厚さに対応する値として膜の各位置の画像を示す値を含んでもよい。
【0016】
この場合、ラインセンサから出力される検出信号に基づいて第1の線状データ、第2の線状データおよび面状データを容易に生成することができる。また、面状データから複数の帯状データを容易に生成することができる。さらに、膜厚データに基づいて、基板上に形成された膜の画像を取得することが可能になる。
【0017】
(4)補正情報の複数の値は、基板が第2の向きで保持されるときの第1の線状領域の第1の方向における複数の位置に対応付けられ、帯状データ補正部は、各帯状領域の複数の部分の各々について、当該部分の厚さに対応する帯状データの値に、当該部分の第1の方向の位置に対応する差分情報の値を加算することにより各帯状データを補正してもよい。
【0018】
これにより、簡単な処理で各帯状データを補正することができる。
【0019】
(5)補正情報算出部は、第1の線状領域の複数の位置の各々に対応する第1の線状データの値と第2の線状データの値との差分を算出し、第1の線状領域の複数の位置に対応して算出された複数の差分の値について重回帰分析により補正情報を算出してもよい。
【0020】
これにより、複数の帯状データの補正に適切な補正情報が取得される。
【0021】
(6)第2の発明に係る基板検査装置は、一面を有する基板の外観検査を行う基板検査装置であって、基板を互いに90度異なる第1および第2の向きで保持する保持部と、第1の方向に並ぶ複数の画素を有するラインセンサを含む撮像部と、第1の方向に直交する第2の方向において撮像部と保持部とを相対的に移動させる移動部と、補正情報生成動作時に、基板の一面の画像の補正に用いられる補正情報を生成する補正情報生成部と、画像取得動作時に、基板の一面の画像を取得する画像取得部と、画像取得部により取得された画像を補正情報を用いて補正する画像補正部と、判定部とを備え、保持部により基板が第1の向きで保持された状態で基板の一面に第1の方向と直交する直径方向に延びる第1の線状領域が定義され、第1の線状領域は、保持部により基板が第2の向きで保持された状態で第
2の方向と直交し、補正情報生成部は、保持部により基板が第1の向きで保持された状態で、移動部により撮像部と保持部とが相対的に移動するときにラインセンサから出力される検出信号に基づいて第1の線状領域の画像を表す第1の線状データを生成する第1の線状データ生成部と、保持部により基板が第2の向きで保持された状態で、ラインセンサから出力される検出信号に基づいて第1の線状領域の画像を表す第2の線状データを生成する第2の線状データ生成部と、第1の線状データと第2の線状データとの差分を示す情報を補正情報として算出する補正情報算出部とを含み、第1の線状データ、第2の線状データおよび補正情報は、第1の線状領域の複数の位置に対応する複数の値をそれぞれ含み、保持部により基板が保持された状態で基板の一面に第1の方向と直交する直径方向に延びる第2の線状領域が定義されるとともに、第2の線状領域に直交する複数の帯状領域が定義され、画像取得部は、保持部により基板が保持された状態で、移動部により撮像部と保持部とが相対的に移動するときにラインセンサから出力される検出信号に基づいて基板の一面の画像を表す面状データを生成する面状データ生成部を含み、画像補正部は、面状データ生成部により生成された面状データから、一面の複数の帯状領域の画像を表す複数の帯状データを生成する帯状データ生成部と、補正情報に基づいて各帯状データを補正することにより一面の各位置の画像を表す値を含む判定画像データを算出する帯状データ補正部とを含み、判定部は、判定画像データに基づいて基板の表面状態の欠陥の有無を判定する。
【0022】
その基板検査装置においては、基板の一面の画像の補正に用いられる補正情報を生成するために、基板の一面の第1の線状領域の画像を表す第1および第2の線状データが生成される。第1の線状データは、保持部により基板が第1の向きで保持された状態で、撮像部と保持部とが相対的に移動するときにラインセンサから出力される検出信号に基づいて生成される。第2の線状データは、保持部により基板が第2の向きで保持された状態で、ラインセンサから出力される検出信号に基づいて生成される。第1の線状データと第2の線状データとの差分を示す情報が補正情報として算出される。
【0023】
ここで、基板が第1の向きで保持された状態で、基板の一面の第1の線状領域の端部からラインセンサに入射する光の入射角と第1の線状領域の中央部からラインセンサに入射する光の入射角とは異なる。そのため、ラインセンサから出力される検出信号に基づいて算出される画像の値は、ラインセンサに平行な方向における位置に依存して異なる。一方、基板が第2の向きで保持された状態で、基板の一面の第1の線状領域の端部からラインセンサに入射する光の入射角と第1の線状領域の中央部からラインセンサに入射する光の入射角とは略等しい。そのため、ラインセンサから出力される検出信号に基づいて算出される画像の値は、ラインセンサに直交する方向における位置にほとんど依存しない。補正情報は、ラインセンサに直交する方向における位置にほとんど依存しない値とラインセンサに平行な方向における位置に依存する値との差分を表す。したがって、補正情報を用いてラインセンサに平行な方向における位置に依存して異なる値をラインセンサに平行な方向における位置に依存しない値に補正することができる。
【0024】
基板の一面の画像を取得する際には、保持部により基板が保持された状態で、撮像部と保持部とが相対的に移動するときにラインセンサから出力される検出信号に基づいて基板の一面の画像を表す面状データが生成される。生成された面状データから、基板の一面上の複数の帯状領域の画像を表す複数の帯状データが生成される。
【0025】
補正情報に基づいて各帯状データが補正される。それにより、補正後の各帯状データにおける各位置に対応する値は、ラインセンサに平行な方向における位置に依存した変動分を有しない。したがって、基板の一面上の各位置の画像を表す判定画像データが正確に算出される。その結果、算出された判定画像データに基づいて基板の表面状態の欠陥の有無を高い精度で判定することが可能になる。
【0026】
(7)補正情報の複数の値は、基板が第2の向きで保持されるときの第1の線状領域の第1の方向における複数の位置に対応付けられ、帯状データ補正部は、各帯状領域の複数の部分の各々について、当該部分の画像を示す帯状データの値に、当該部分の第1の方向の位置に対応する差分情報の値を加算することにより各帯状データを補正してもよい。
【0027】
これにより、簡単な処理で各帯状データを補正することができる。
【0028】
(8)補正情報算出部は、第1の線状領域の複数の位置の各々に対応する第1の線状データの値と第2の線状データの値との差分を算出し、第1の線状領域の複数の位置に対応して算出された複数の差分の値について重回帰分析により補正情報を算出してもよい。
【0029】
これにより、複数の帯状データの補正に適切な補正情報が取得される。
【0030】
(9)第3の発明に係る膜厚測定方法は、膜が形成された基板を保持する保持部と、第1の方向に並ぶ複数の画素を有するラインセンサを含む撮像部と、第1の方向に直交する第2の方向において撮像部と保持部とを相対的に移動させる移動部とを用いて、基板上に形成された膜の厚さを測定する膜厚測定方法であって、膜の厚さの補正に用いられる補正情報を生成するステップと、膜の厚さを測定するステップと、測定するステップにより測定された厚さを補正情報を用いて補正するステップとを含み、保持部により基板が第1の向きで保持された状態で基板上の膜に第1の方向と直交する直径方向に延びる第1の線状領域が定義され、第1の線状領域は、保持部により基板が第1の向きと90度異なる第2の向きで保持された状態で第
2の方向と直交し、補正情報を生成するステップは、保持部により基板が第1の向きで保持された状態で、移動部により撮像部と保持部とが相対的に移動するときにラインセンサから出力される検出信号に基づいて膜の第1の線状領域の厚さに対応する第1の線状データを生成するステップと、保持部により基板が第2の向きで保持された状態で、ラインセンサから出力される検出信号に基づいて膜の第1の線状領域の厚さに対応する第2の線状データを生成するステップと、第1の線状データと第2の線状データとの差分を示す情報を補正情報として算出するステップとを含み、第1の線状データ、第2の線状データおよび補正情報は、第1の線状領域の複数の位置に対応する複数の値をそれぞれ含み、保持部により基板が保持された状態で基板上の膜に第1の方向と直交する直径方向に延びる第2の線状領域が定義されるとともに、第2の線状領域に直交する複数の帯状領域が定義され、膜の厚さを測定するステップは、保持部により基板が保持された状態で、移動部により撮像部と保持部とが相対的に移動するときにラインセンサから出力される検出信号に基づいて基板上の膜の厚さに対応する面状データを生成するステップを含み、測定された厚さを補正するステップは、生成された面状データから、膜の複数の帯状領域の厚さに対応する複数の帯状データを生成するステップと、補正情報に基づいて各帯状データを補正することにより膜の各位置の厚さに対応する値を含む膜厚データを算出するステップとを含む。
【0031】
その膜厚測定方法においては、膜の厚さの補正に用いられる補正情報を生成するために、基板上の膜の第1の線状領域の厚さに対応する第1および第2の線状データが生成される。第1の線状データは、保持部により基板が第1の向きで保持された状態で、撮像部と保持部とが相対的に移動するときにラインセンサから出力される検出信号に基づいて生成される。第2の線状データは、保持部により基板が第2の向きで保持された状態で、ラインセンサから出力される検出信号に基づいて生成される。第1の線状データと第2の線状データとの差分を示す情報が補正情報として算出される。
【0032】
ここで、補正情報は、ラインセンサに直交する方向における位置にほとんど依存しない値とラインセンサに平行な方向における位置に依存する値との差分を表す。したがって、補正情報を用いてラインセンサに平行な方向における位置に依存して異なる値をラインセンサに平行な方向における位置に依存しない値に補正することができる。
【0033】
膜の厚さを測定する際には、保持部により基板が保持された状態で、撮像部と保持部とが相対的に移動するときにラインセンサから出力される検出信号に基づいて基板上の膜の厚さに対応する面状データが生成される。生成された面状データから、膜の複数の帯状領域の厚さに対応する複数の帯状データが生成される。
【0034】
補正情報に基づいて各帯状データが補正される。それにより、補正後の各帯状データにおける各位置に対応する値は、ラインセンサに平行な方向における位置に依存した変動分を有しない。したがって、膜の各位置の厚さに対応する値を含む膜厚データが正確に算出される。その結果、算出された膜厚データに基づいて基板の表面に形成された膜の厚さを高い精度で測定することが可能になる。
【0035】
(10)第4の発明に係る基板検査方法は、一面を有する基板を保持する保持部と、第1の方向に並ぶ複数の画素を有するラインセンサを含む撮像部と、第1の方向に直交する第2の方向において撮像部と保持部とを相対的に移動させる移動部とを用いて、基板の外観検査を行う基板検査方法であって、基板の一面の画像の補正に用いられる補正情報を生成するステップと、基板の一面の画像を取得するステップと、取得するステップにより取得された画像を補正情報を用いて補正するステップと、判定するステップとを含み、保持部により基板が第1の向きで保持された状態で基板の一面に第1の方向と直交する直径方向に延びる第1の線状領域が定義され、第1の線状領域は、保持部により基板が第1の向きと90度異なる第2の向きで保持された状態で第
2の方向と直交し、補正情報を生成するステップは、保持部により基板が第1の向きで保持された状態で、移動部により撮像部と保持部とが相対的に移動するときにラインセンサから出力される検出信号に基づいて第1の線状領域の画像を表す第1の線状データを生成するステップと、保持部により基板が第2の向きで保持された状態で、ラインセンサから出力される検出信号に基づいて第1の線状領域の画像を表す第2の線状データを生成するステップと、第1の線状データと第2の線状データとの差分を示す情報を補正情報として算出するステップとを含み、第1の線状データ、第2の線状データおよび補正情報は、第1の線状領域の複数の位置に対応する複数の値をそれぞれ含み、保持部により基板が保持された状態で基板の一面に第1の方向と直交する直径方向に延びる第2の線状領域が定義されるとともに、第2の線状領域に直交する複数の帯状領域が定義され、画像を取得するステップは、保持部により基板が保持された状態で、移動部により撮像部と保持部とが相対的に移動するときにラインセンサから出力される検出信号に基づいて基板の一面の画像を表す面状データを生成するステップを含み、取得された画像を補正するステップは、生成された面状データから、一面の複数の帯状領域の画像を表す複数の帯状データを生成するステップと、補正情報に基づいて各帯状データを補正することにより一面の各位置の画像を表す値を含む判定画像データを算出するステップとを含み、判定するステップは、判定画像データに基づいて基板の表面状態の欠陥の有無を判定することを含む。
【0036】
その基板検査方法においては、基板の一面の画像の補正に用いられる補正情報を生成するために、基板の一面の第1の線状領域の画像を表す第1および第2の線状データが生成される。第1の線状データは、保持部により基板が第1の向きで保持された状態で、撮像部と保持部とが相対的に移動するときにラインセンサから出力される検出信号に基づいて生成される。第2の線状データは、保持部により基板が第2の向きで保持された状態で、ラインセンサから出力される検出信号に基づいて生成される。第1の線状データと第2の線状データとの差分を示す情報が補正情報として算出される。
【0037】
ここで、補正情報は、ラインセンサに直交する方向における位置にほとんど依存しない値とラインセンサに平行な方向における位置に依存する値との差分を表す。したがって、補正情報を用いてラインセンサに平行な方向における位置に依存して異なる値をラインセンサに平行な方向における位置に依存しない値に補正することができる。
【0038】
基板の一面の画像を取得する際には、保持部により基板が保持された状態で、撮像部と保持部とが相対的に移動するときにラインセンサから出力される検出信号に基づいて基板の一面の画像を表す面状データが生成される。生成された面状データから、基板の一面上の複数の帯状領域の画像を表す複数の帯状データが生成される。
【0039】
補正情報に基づいて各帯状データが補正される。それにより、補正後の各帯状データにおける各位置に対応する値は、ラインセンサに平行な方向における位置に依存した変動分を有しない。したがって、基板の一面上の各位置の画像を表す判定画像データが正確に算出される。その結果、算出された判定画像データに基づいて基板の表面状態の欠陥の有無を高い精度で判定することが可能になる。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、基板の表面に形成された膜の厚さを高い精度で測定することが可能になる。また、本発明によれば、基板の表面状態の欠陥の有無を高い精度で判定することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明の実施の形態に係る膜厚測定装置、基板検査装置、膜厚測定方法および基板検査方法について図面を用いて説明する。以下の説明において、基板とは、半導体基板、液晶表示装置もしくは有機EL(Electro Luminescence)表示装置等のFPD(Flat Panel Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板または太陽電池用基板等をいう。
【0043】
[1]第1の実施の形態
本実施の形態では、膜厚測定装置および膜厚測定方法を説明する。第1の実施の形態に係る膜厚測定装置は、基板上に形成された膜の厚さを測定する。したがって、本実施の形態において測定対象として用いられる基板の主面には膜が形成されている。基板上に形成される膜としては、例えばレジスト膜、反射防止膜、レジストカバー膜等が挙げられる。
【0044】
(1)膜厚測定装置の構成
図1は第1の実施の形態に係る膜厚測定装置の外観斜視図であり、
図2は
図1の膜厚測定装置200の内部の構成を示す模式的側面図であり、
図3は
図1の膜厚測定装置200の内部の構成を示す模式的平面図である。
図1に示すように、膜厚測定装置200は筐体部210を有する。筐体部210は、矩形状の底面部211および矩形状の4つの側面部212〜215を含む。側面部212,214は底面部211の長手方向における両端部にそれぞれ位置し、側面部213,215は底面部211の短手方向(幅方向)における両端部にそれぞれ位置する。筐体部210は、略矩形状の上部開口を有する。筐体部210は、上部開口を閉塞する上面部をさらに含んでもよい。
【0045】
以下、底面部211の短手方向を左右方向と呼び、底面部211の長手方向を前後方向と呼ぶ。また、左右方向において、側面部215から側面部213に向かう方向を右方と定義し、その逆方向を左方と定義する。さらに、前後方向において、側面部214から側面部212に向かう方向を前方と定義し、その逆方向を後方と定義する。側面部212から側面部213の前部に至る部分には、筐体部210の外部と内部との間で基板Wを搬送するためのスリット状の開口部216が形成されている。
【0046】
筐体部210内には、投光部220、反射部230、撮像部240、基板保持装置250、移動部260およびノッチ検出部270が収容されている。
【0047】
投光部220は、例えば1または複数の光源を含み、左右方向に延びるように筐体部210の側面部213,215の内面に取り付けられる。反射部230は、例えばミラーを含み、投光部220の後方でかつ左右方向に延びるように筐体部210の側面部213,215の内面に取り付けられる。
【0048】
撮像部240は、反射部230よりも後方の位置で筐体部210の底面部211上に取り付けられる。撮像部240は、複数の画素が左右方向に延びるように線状に配列された画素を有するラインセンサ241と1または複数の集光レンズとを含む。本例のラインセンサ241は、カラーのCCD(電荷結合素子)ラインセンサである。なお、ラインセンサ241としては、カラーのCMOS(相補性金属酸化膜半導体)ラインセンサを用いることもできる。あるいは、ラインセンサ241としては、カラーに限らず、単一の波長領域の光を受光する複数の画素のみで構成されるラインセンサを用いてもよい。
【0049】
反射部230は斜め下後方に向く反射面を有し、撮像部240の前方に配置されている。反射部230の反射面により、投光部220および反射部230の下方に撮像部240の撮像領域が形成される。撮像部240の撮像領域は、左右方向に線状に延びる。
【0050】
後述するように、開口部216から筐体部210内に基板Wが搬入され、搬入された基板Wが投光部220の下方を通過する。投光部220は、左右方向に基板Wの直径よりも長く延びる断面線状の光を斜め下後方に出射する。
図2に示すように、投光部220から斜め下後方に出射された光の一部は、撮像部240の撮像領域で基板Wの上面により斜め上後方に反射され、反射部230により後方に向かって水平に反射され、撮像部240により受光される。
【0051】
基板保持装置250は、例えばスピンチャックであり、駆動装置251および回転保持部252を含む。駆動装置251は、例えば電動モータであり、回転軸251aを有する。駆動装置251には、図示しないエンコーダが設けられる。回転保持部252は、駆動装置251の回転軸251aの先端に取り付けられ、基板Wを保持した状態で鉛直軸の周りで回転駆動される。
【0052】
図3に示すように、移動部260は、複数(本例では2つ)のガイド部材261および移動保持部262を含む。複数のガイド部材261は、左右方向に並ぶようにかつ前後方向に延びるように筐体部210の底面部211に取り付けられる。移動保持部262は、基板保持装置250を保持しつつ複数のガイド部材261に沿って前後方向に移動可能に構成される。基板保持装置250が基板Wを保持する状態で移動保持部262が前後方向に移動することにより、基板Wが投光部220の下方を通過する。
【0053】
ノッチ検出部270は、例えば投光素子および受光素子を含む反射型光電センサであり、筐体部210の側面部215における内面の前上部に取り付けられる。基板Wの周縁部がノッチ検出部270の下方に位置するときに、ノッチ検出部270は、下方に光を出射するとともに基板Wからの反射光を受光する。ここで、ノッチ検出部270の下方に位置する基板Wの部分にノッチが形成されている場合には、ノッチ検出部270の受光量が低下する。ノッチ検出部270は、基板保持装置250により回転される基板Wからの反射光の受光量に基づいて基板Wのノッチの有無を検出する。なお、ノッチ検出部270として透過型光電センサが用いられてもよい。
【0054】
図1に示すように、筐体部210の外部に制御装置400および表示部280が設けられている。制御装置400は、投光部220、撮像部240、基板保持装置250、移動部260、ノッチ検出部270および表示部280を制御する。表示部280は、基板W上の膜の厚さの測定結果等を表示する。制御装置400の詳細は後述する。なお、
図2および
図3では、制御装置400および表示部280の図示を省略している。
【0055】
上記の膜厚測定装置200においては、例えば基板W上の膜の厚さの測定時にその基板W上の膜の全体が撮像される。この撮像時の動作について説明する。初期状態では、
図1に示すように、基板保持装置250が筐体部210内における前部に位置する。この状態で、基板Wが開口部216を通して筐体部210内に搬入され、基板保持装置250により保持される。
【0056】
次に、基板保持装置250により基板Wが1回転されつつノッチ検出部270により基板Wの周縁部に光が出射され、その反射光がノッチ検出部270により受光される。これにより、基板Wのノッチが検出され、基板Wの向きが判定される。その後、基板Wが特定の方向を向くように、基板保持装置250により基板Wが回転される。
【0057】
次に、投光部220から光が出射された状態で、移動部260により基板Wが後方に移動される。このとき、基板Wが投光部220の下方を通過することにより、基板W上の膜の全体に左右方向に延びる断面線状の光が照射される。上記のように、撮像部240の撮像領域で基板Wから反射される光は反射部230によりさらに反射されて撮像部240に導かれる。撮像部240のラインセンサ241は、基板Wからの光を所定のサンプリング周期で受光することにより、基板W上の膜の前後方向における複数の部分を順次撮像する。ラインセンサ241を構成する各画素は受光量に応じた値を示す検出信号を出力する。これにより、撮像部240から順次出力される検出信号に基づいて、基板W上の膜の全体の画像を表す画像データが生成される。
【0058】
画像データの各画素の値は、基板W上の膜の厚さに対して略一定の相関関係を有する。この相関関係は、ラインセンサ241を構成する画素の種類および基板W上に形成される膜の種類によって異なる。したがって、測定対象となる膜の厚さと撮像に用いられる画素の値との間の相関関係を予め実験またはシミュレーション等により求めておくことにより、求められた相関関係に基づいて画像データの各画素の値を、当該画素に対応する基板W上の位置の膜の厚さに変換することができる。それにより、画像データに基づいて基板W上の膜の厚さを測定することができる。本実施の形態では、撮像部240から出力される検出信号に基づいて画像データが生成されるごとに、当該画像データを構成する画素の値が膜の厚さに変換される。以下の説明では、上記のように、画像データに含まれる画素の値を膜の厚さを示す値に変換する処理を厚さ変換処理と呼ぶ。
【0059】
なお、本実施の形態では、ラインセンサ241にカラーのCCDラインセンサが用いられる。この場合、ラインセンサ241の各画素は、複数の波長領域にそれぞれ対応するR画素、G画素およびB画素で構成される。そのため、厚さ変換処理では、R画素、G画素およびB画素のうちいずれか1つの種類の画素の値が厚さを示す値に変換される。
【0060】
上記のように画像データが生成された後、投光部220による光の出射が停止され、移動部260により基板Wが反射部230よりも後方の位置から投光部220よりも前方の位置まで移動される。膜の厚さが測定された基板Wは、開口部216を通して筐体部210の外部に搬出される。
【0061】
(2)ラインセンサ241に入射する光の入射角と検出信号との関係
図4は、
図1の膜厚測定装置200において撮像部240により基板W上の膜を撮像する状態を示す模式的平面図である。
図4に示すように、撮像部240は、ラインセンサ241の中心が基板保持装置250(
図1)により保持される基板Wの中心WCを通って前後方向に延びかつ基板Wに直交する仮想面VS上に位置するように配置される。
【0062】
基板W上の膜の一部分からラインセンサ241に入射する光の強さは、当該一部分からラインセンサ241に入射する光の入射角が変化することにより変動する。本例の入射角は、ラインセンサ241に向かう光の進行方向とラインセンサ241が延びる方向に直交する仮想面VSとの間の角度を意味する。上記の変動の程度は、基板W上に形成される膜の特性(膜の種類、光の屈折率、透過率および反射率等)あるいは基板Wの表面の形状等によって異なる。
【0063】
入射角による光の強さの変動について具体例を説明する。ここで、
図4に示される基板W上の膜に直径方向に延びる線状領域LA0を定義する。
図4に示される基板W上の膜は全体に渡って均一な厚みおよび表面状態を有するものとする。
【0064】
図4に二点鎖線で示すように、線状領域LA0がラインセンサ241に平行な左右方向に延びるように基板Wが保持された状態を仮定する。この場合、基板W上の膜の線状領域LA0の端部からラインセンサ241に入射する光の入射角と線状領域LA0の中央部からラインセンサ241に入射する光の入射角とは異なる。そのため、ラインセンサ241から出力される検出信号が示す画素の値は、ラインセンサ241に平行な左右方向における位置に依存して異なる。
【0065】
一方、
図4に点線で示すように、線状領域LA0がラインセンサ241に直交する前後方向に延びるように基板Wが保持された状態を仮定する。この場合、基板W上の膜の線状領域LA0の端部からラインセンサ241に入射する光の入射角と線状領域LA0の中央部からラインセンサ241に入射する光の入射角とは略等しい。そのため、ラインセンサ241から出力される検出信号が示す画素の値は、ラインセンサ241に直交する前後方向における位置にほとんど依存しない。
【0066】
そこで、本実施の形態では、基板W上の膜の厚さの測定時に、左右方向における位置に依存した変動分が含まれないように、後述する補正情報を用いて画像データが補正される。それにより、測定結果として高い精度で基板W上の膜の各部の厚さを示す膜厚データが生成される。
【0067】
(3)基板W上の膜の厚さの測定
(a)補正情報の生成
上記のように、基板W上の膜の厚さの測定時には、補正情報を用いて画像データが補正される。そこで、本実施の形態に係る膜厚測定装置200においては、測定対象となる基板Wの膜の厚さを測定する前に、補正情報を生成する必要がある。
【0068】
図5および
図6は、補正情報の生成方法を説明するための図である。補正情報を生成するために、測定対象となる膜が形成された基板Wを用意する。また、用意した基板W上の膜に直径方向に延びる第1の線状領域LA1を定義する。本例では、第1の線状領域LA1は、基板WのノッチNと基板Wの中心WCとを結ぶ直線に対して直交する。
【0069】
図5(a)に示すように、基板Wを基板保持装置250(
図1)に保持させる。また、基板保持装置250の回転保持部252(
図2)を回転させることにより、第1の線状領域LA1がラインセンサ241に直交する前後方向に延びるように基板Wの向きを調整する。このときの基板Wの向きを第1の向きと呼ぶ。
図5(a)および後述する
図5(b)では、点線の矢印で示すように、第1の線状領域LA1における一端部から他端部までの複数の部分が符号p1〜pk(kは左右方向に並ぶラインセンサ241の画素数)で示される。
【0070】
その後、基板Wの向きが第1の向きに保持された状態で、基板W上の膜の全体を撮像する。具体的には、基板Wが投光部220の下方を前後方向に移動するときにラインセンサ241から出力される検出信号に基づいて基板W上の膜の全体の画像を表す画像データを生成する。また、その画像データから第1の線状領域LA1を表す画素の値を抽出し、抽出された複数の値を含む画像データを第1の線状データとして生成する。さらに、生成された第1の線状データについて厚さ変換処理を行う。それにより、第1の線状領域LA1の各部分p1〜pkの厚さを示す第1の線状データが生成される。
【0071】
続いて、
図5(b)に示すように、基板保持装置250の回転保持部252(
図2)を回転させることにより、第1の線状領域LA1がラインセンサ241に平行な左右方向に延びるように基板Wの向きを調整する。このときの基板Wの向きを第2の向きと呼ぶ。第1の向きと第2の向きとは互いに90度異なる。
【0072】
その後、基板Wの向きが第2の向きに保持された状態で、基板W上の膜の全体を撮像する。撮像により生成された画像データから第1の線状領域LA1を表す画素の値を抽出し、抽出された複数の値を含む画像データを第2の線状データとして生成する。さらに、生成された第2の線状データについて厚さ変換処理を行う。それにより、第1の線状領域LA1の各部分p1〜pkの厚さを示す第2の線状データが生成される。
【0073】
図6(a)に第1の線状データおよび第2の線状データの一例が示される。
図6(a)では、縦軸が膜の厚さを示し、横軸が第1の線状領域LA1内の複数の部分p1〜pkの位置を示す。第1の線状データが点線で示され、第2の線状データが実線で示される。
【0074】
図6(a)に示すように、第1および第2の線状データは、基板Wの中心WCに重なる部分p(k/2)およびその周辺部で略等しい。一方、第1および第2の線状データは、第1の線状領域LA1の両端部の部分p1,pkに近いほど大きく異なる。
【0075】
ここで、第1の向きで保持された基板Wを撮像する際には、第1の線状領域LA1の複数の部分p1〜pkがラインセンサ241に直交する前後方向に並ぶので、第1の線状領域LA1の複数の部分からラインセンサ241に向かう光の入射角は略等しい。したがって、第1の線状データが示す膜の厚さは、左右方向における位置に依存していない値であるといえる。一方、第2の向きで保持された基板Wを撮像する際には、第1の線状領域LA1の複数の部分p1〜pkがラインセンサ241に平行な左右方向に並ぶので、第1の線状領域LA1の複数の部分p1〜pkからラインセンサ241に向かう光の入射角が互いに異なる。したがって、第2の線状データが示す膜の厚さは、左右方向における位置に依存する変動成分を有するといえる。
【0076】
そこで、第1の線状領域LA1の各部分p1〜pkごとに、第1の線状データと第2の線状データとの差分を算出することにより実差分データを生成する。また、生成された実差分データを重回帰分析により二次関数に近似することにより補正情報を生成する。
【0077】
図6(b)に
図6(a)の第1および第2の線状データから算出される実差分データおよび補正情報が示される。
図6(b)では、縦軸が差分を示し、横軸が第1の線状領域LA1内の部分p1〜pkの位置を示す。さらに、実差分データが一点鎖線で示され、補正情報が実線で示される。
【0078】
第1の線状領域LA1内の複数の部分p1〜pkについてそれぞれ生成される複数の補正情報の値は、基板Wが第2の向きで保持されるときの第1の線状領域LA1の左右方向における複数の部分p1〜pkの位置に対応付けられる。
【0079】
補正情報は、ラインセンサ241に直交する前後方向における位置にほとんど依存しない値とラインセンサ241に平行な左右方向における位置に依存する値との差分を表す。したがって、補正情報を用いてラインセンサ241に平行な左右方向における位置に依存して異なる値をラインセンサ241に平行な左右方向における位置に依存しない値に補正することができる。
【0080】
上記のように、本実施の形態では、実差分データを重回帰分析を用いて二次関数に近似することにより補正情報を生成している。それにより、ノイズ等の成分が低減された補正に適切な補正情報を取得することができる。なお、実差分データを補正情報として用いてもよい。
【0081】
(b)膜の厚さの測定および補正
補正情報が取得された後、基板Wの膜の厚さを測定する際には、その対象となる基板Wを基板保持装置250(
図1)に保持させる。また、基板Wの向きを予め定められた向きに調整する。ここで、基板W上の膜にラインセンサ241に直交する直径方向に延びる第2の線状領域を定義する。また、基板W上の膜に第2の線状領域に直交する複数の帯状領域を定義する。
【0082】
図7は、膜の厚さの測定時に基板W上の膜に定義される第2の線状領域および複数の帯状領域の一例を示す平面図である。
図7に示すように、本例の第2の線状領域LA2は仮想面VS上に位置する。
図7では、点線の矢印で示すように、第2の線状領域LA2における一端部から他端部までの複数の部分が符号q1〜qk(kは左右方向に並ぶラインセンサ241の画素数)で示される。複数の帯状領域BAの各々は、第2の線状領域LA2の各部分q1〜qkから左右方向に延びる。
【0083】
次に、基板Wが予め定められた向きに保持された状態で、基板W上の膜の全体を撮像することにより基板W上の膜の全体の画像を表す画像データを面状データとして生成する。さらに、生成された面状データについて厚さ変換処理を行う。それにより、基板W上の膜の全体の厚さを示す面状データが生成される。
【0084】
その後、生成された面状データから、基板W上の膜の複数の帯状領域BAの厚さを表す複数の帯状データを生成する。また、生成された各帯状データを上記の補正情報により補正する。この補正は、各帯状領域BAの複数の部分の各々について、当該部分の厚さを示す帯状データの値に、当該部分の左右方向の位置に対応する差分情報を加算することにより行う。それにより、簡単な処理で各帯状データを補正することができる。
【0085】
図8は、一の帯状データの補正例を示す図である。
図8では、縦軸が膜の厚さを示し、横軸が帯状データに対応する帯状領域BAにおける複数の部分の位置を示す。また、補正前の帯状データが一点鎖線で示され、補正後の帯状データが実線で示される。さらに、一の帯状データに対応しかつ左右方向における位置に依存しない非依存データを点線で表す。本例の非依存データは、一の帯状データに対応する帯状領域BAを仮想面VSに沿うように配置して撮像し、撮像により得られる画像データについて厚さ変換処理を行うことにより生成されたものである。
【0086】
図8によれば、補正前の帯状データの大部分は非依存データから大きく乖離している。一方、補正後の帯状データは非依存データに略等しい。したがって、補正後の各帯状データにおける各位置に対応する値は、ラインセンサ241に平行な左右方向における位置に依存した変動分をほとんど有しないことがわかる。
【0087】
最後に、補正後の複数の帯状データを合成することにより、測定結果として基板W上の膜の各部の厚さを示す膜厚データを生成する。膜厚データに基づく基板W上の膜の厚さの測定結果は、例えば表示部280に表示される。
【0088】
(4)膜厚測定装置200の制御系
図9は、第1の実施の形態に係る膜厚測定装置200の制御系を示すブロック図である。第1の実施の形態に係る制御装置400は、CPU(中央演算処理装置)、RAM(ランダムアクセスメモリ)およびROM(リードオンリメモリ)により構成され、
図9に示すように、制御部401、補正情報生成部410、膜厚測定部420および膜厚補正部430を有する。また、補正情報生成部410は、第1の線状データ生成部411、第2の線状データ生成部412および補正情報算出部413を含む。さらに、膜厚測定部420は面状データ生成部421を含み、膜厚補正部430は帯状データ補正部431および帯状データ生成部432を含む。
【0089】
制御装置400においては、CPUがROMまたは他の記憶媒体に記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより、上記の各機能部が実現される。なお、制御装置400の機能的な構成要素の一部または全てが電子回路等のハードウェアにより実現されてもよい。
【0090】
基板保持装置250およびノッチ検出部270に関して、制御部401は、基板保持装置250の駆動装置251(
図2)のエンコーダから出力信号を取得して駆動装置251の回転角度(基板Wの回転角度)を検出するとともに、ノッチ検出部270によるノッチの検出結果を取得する。制御部401は、ノッチが検出されたときの駆動装置251の回転角度に基づいて基板Wの向きを判定し、判定結果に基づいて基板保持装置250の動作を制御する。
【0091】
投光部220、移動部260および撮像部240に関して、制御部401は、基板保持装置250に保持される基板W上の膜の全体が撮像されるように、投光部220、移動部260および撮像部240を制御する。
【0092】
補正情報生成部410は、補正情報の生成時に動作する。補正情報生成部410においては、第1の線状データ生成部411は、基板Wが第1の向きで保持された状態で撮像部240から出力される検出信号に基づいて第1の線状データを生成し、第1の線状データについて厚さ変換処理を行う。
【0093】
第2の線状データ生成部412は、基板Wが第2の向きで保持された状態で撮像部240から出力される検出信号に基づいて第2の線状データを生成し、第2の線状データについて厚さ変換処理を行う。
【0094】
補正情報算出部413は、生成された第1の線状データと第2の線状データとの差分を算出することにより実差分データを生成し、実差分データに基づいて補正情報を生成する。生成された補正情報は、膜厚補正部430の帯状データ補正部431に与えられる。
【0095】
膜厚測定部420は、基板W上の膜の厚さを測定する際に動作する。膜厚測定部420においては、面状データ生成部421は、基板Wが所定の向きで保持された状態で撮像部240から出力される検出信号に基づいて面状データを生成し、面状データについて厚さ変換処理を行う。
【0096】
膜厚補正部430は、膜厚測定部420により生成された面状データを補正する際に動作する。膜厚補正部430においては、帯状データ補正部431は、補正情報算出部413から与えられる補正情報を記憶する。帯状データ生成部432は、面状データ生成部421により生成された面状データから複数の帯状データを生成する。帯状データ補正部431は、記憶された補正情報に基づいて各帯状データを補正する。また、帯状データ補正部431は、補正後の複数の帯状データを合成することにより膜厚データを生成し、生成された膜厚データを記憶する。帯状データ補正部431に記憶された膜厚データに基づく膜の厚さの測定結果が表示部280に表示される。
【0097】
(5)膜厚測定処理
上記のように、膜厚測定装置200においては、膜厚データを生成するための補正情報が生成された後、膜の厚さの測定および補正が行われる。これらの一連の処理を膜厚測定処理と呼ぶ。
図10は、膜厚測定処理のフローチャートである。
【0098】
膜厚測定処理が開始されると、
図9の補正情報生成部410は、帯状データ補正部431に補正情報が記憶されているか否かを判定する(ステップS11)。帯状データ補正部431に補正情報が記憶されている場合、補正情報生成部410は後述するステップS15の処理に進む。一方、帯状データ補正部431に補正情報が存在しない場合、
図9の制御部401および第1の線状データ生成部411は、投光部220、撮像部240、基板保持装置250および移動部260を制御し、基板Wを第1の向きで保持しつつ基板W上の膜の全体を撮像することにより第1の線状データを生成し、第1の線状データについて厚さ変換処理を行う(ステップS12)。
【0099】
次に、
図9の制御部401および第2の線状データ生成部412は、投光部220、撮像部240、基板保持装置250および移動部260を制御し、基板Wを第2の向きで保持しつつ基板W上の膜の全体を撮像することにより第2の線状データを生成し、第2の線状データについて厚さ変換処理を行う(ステップS13)。
【0100】
次に、
図9の補正情報算出部413は、生成された第1の線状データと第2の線状データとの差分に基づいて補正情報を生成し、生成された補正情報を帯状データ補正部431に記憶させる(ステップS14)。
【0101】
次に、
図9の制御部401および面状データ生成部421は、投光部220、撮像部240、基板保持装置250および移動部260を制御し、基板Wを所定の向きで保持しつつ基板W上の膜の全体を撮像することにより面状データを生成し、面状データについて厚さ変換処理を行う(ステップS15)。また、
図9の帯状データ生成部432は、面状データ生成部421により生成された面状データから複数の帯状データを生成する(ステップS16)。
【0102】
次に、
図9の帯状データ補正部431は、記憶された補正情報に基づいて生成された各帯状データを補正し、補正後の複数の帯状データを合成することにより膜厚データを生成し、生成された膜厚データを記憶する(ステップS17)。
【0103】
最後に、帯状データ補正部431は、膜厚データに基づく膜の厚さの測定結果を表示部280に表示させる(ステップS18)。これにより、膜厚測定処理が終了する。
【0104】
(6)第1の実施の形態の効果
(a)上記の膜厚測定装置200においては、膜の厚さの補正に用いられる補正情報を生成するために、基板W上の膜の第1の線状領域LA1の厚さに対応する第1および第2の線状データが生成される。第1の線状データは、基板Wが第1の向きで保持された状態で、投光部220の下方を基板保持装置250が前後方向に移動するときにラインセンサ241から出力される検出信号に基づいて生成される。第2の線状データは、基板Wが第2の向きで保持された状態で、投光部220の下方を基板保持装置250が前後方向に移動するときにラインセンサ241から出力される検出信号に基づいて生成される。第1の線状データと第2の線状データとの差分を示す情報が補正情報として算出される。
【0105】
算出された補正情報は、ラインセンサ241に直交する前後方向における位置にほとんど依存しない値とラインセンサ241に平行な左右方向における位置に依存する値との差分を表す。したがって、補正情報を用いて左右方向における位置に依存して異なる値を前後方向における位置に依存しない値に補正することができる。
【0106】
膜の厚さを測定する際には、基板保持装置250により基板Wが保持された状態で、投光部220の下方を基板保持装置250が前後方向に移動するときにラインセンサ241から出力される検出信号に基づいて基板W上の膜の厚さに対応する面状データが生成される。生成された面状データから、膜の複数の帯状領域BAの厚さに対応する複数の帯状データが生成される。
【0107】
補正情報に基づいて各帯状データが補正される。それにより、補正後の各帯状データにおける各位置に対応する値は、ラインセンサ241に平行な左右方向における位置に依存した変動分を有しない。したがって、膜の各位置の厚さに対応する値を含む膜厚データが正確に算出される。その結果、算出された膜厚データに基づいて基板Wの表面に形成された膜の厚さを高い精度で測定することが可能になる。
【0108】
(b)上記の膜厚測定装置200においては、撮像部240の出力に基づいて画像データが生成されるごとに当該画像データについて厚さ変換処理が行われる。すなわち、第1の線状データ、第2の線状データおよび面状データの生成時に各データについて厚さ変換処理が行われる。それにより、膜厚データは基板W上の膜の各位置の厚さを示す値を含む。したがって、膜厚データに基づいて、基板W上の膜の各位置に対応する厚さを容易に取得することができる。
【0109】
[2]第2の実施の形態
本実施の形態では、基板検査装置および基板検査方法を説明する。第2の実施の形態に係る基板検査装置は、基板の一面における表面状態の欠陥の有無を判定する。本実施の形態においては、基板の一面には、膜および配線等が形成されていない未処理の基板の主面、膜および配線等が形成された表面構造を有する基板の主面が含まれる。
【0110】
(1)基板検査装置の構成および基本動作
第2の実施の形態に係る基板検査装置は、第1の実施の形態に係る
図1の膜厚測定装置200に対して基本的に同じ構成を有する。基板検査装置においては、欠陥がないサンプルの基板Wの一面が撮像され、そのサンプルの基板Wの一面の画像を表す判定画像データが生成される。また、検査対象の基板Wの一面が撮像され、その基板Wの一面の画像を表す判定画像データが生成される。その後、サンプルの基板Wの判定画像データおよび検査対象の基板Wの判定画像データに基づいて、検査対象の基板Wの表面状態の欠陥の有無が判定される。ここで、本実施の形態に係る判定画像データは、基板Wの一面上の各位置の画像を表す値を含むデータである。
【0111】
サンプルの基板Wおよび検査対象の基板Wの各々の判定画像データは、厚さ変換処理が行われない点を除いて第1の実施の形態に係る膜厚データと同様の方法で生成される。
【0112】
(2)基板検査装置の制御系
図11は、第2の実施の形態に係る基板検査装置の制御系を示すブロック図である。
図11に示すように、第2の実施の形態に係る基板検査装置300の制御系は、制御装置400の機能的な構成を除いて第1の実施の形態に係る
図9の膜厚測定装置200の制御系と同じ構成を有する。本実施の形態に係る制御装置400は、制御部401、補正情報生成部450、画像取得部460、画像補正部470および判定部480を有する。また、補正情報生成部450は、第1の線状データ生成部451、第2の線状データ生成部452および補正情報算出部453を含む。さらに、画像取得部460は面状データ生成部461を含み、画像補正部470は帯状データ補正部471および帯状データ生成部472を含む。
【0113】
図11の制御部401は、第1の実施の形態に係る
図9の制御部401と同様に、投光部220、撮像部240、基板保持装置250および移動部260の動作を制御する。また、制御部401は、基板保持装置250の駆動装置251(
図2)のエンコーダから出力信号を取得するとともに、ノッチ検出部270からノッチの検出結果を取得する。
【0114】
補正情報生成部450は、判定画像データの生成に用いる補正情報の生成時に動作する。補正情報生成部450においては、第1の線状データ生成部451は、基板Wが第1の向きで保持された状態で撮像部240から出力される検出信号に基づいて第1の線状データを生成する。本実施の形態では、第1の線状データ生成部451は、第1の線状データについて厚さ変換処理は行わない。
【0115】
第2の線状データ生成部452は、基板Wが第2の向きで保持された状態で撮像部240から出力される検出信号に基づいて第2の線状データを生成する。本実施の形態では、第2の線状データ生成部452は、第2の線状データについて厚さ変換処理を行わない。
【0116】
補正情報算出部453は、生成された第1の線状データと第2の線状データとの差分を算出することにより実差分データを生成し、実差分データに基づいて補正情報を生成する。生成された補正情報は、画像補正部470の帯状データ補正部471に与えられる。
【0117】
画像取得部460は、基板Wの一面の画像の取得時に動作する。画像取得部460においては、面状データ生成部461は、基板Wが所定の向きで保持された状態で撮像部240から出力される検出信号に基づいて面状データを生成する。面状データ生成部461は、面状データについて厚さ変換処理を行わない。
【0118】
画像補正部470は、面状データ生成部461により生成された面状データを補正する際に動作する。画像補正部470においては、帯状データ補正部471は、補正情報算出部453から与えられる補正情報を記憶する。帯状データ生成部472は、面状データ生成部461により生成された面状データから複数の帯状データを生成する。帯状データ補正部471は、記憶された補正情報に基づいて各帯状データを補正する。また、帯状データ補正部471は、補正後の複数の帯状データを合成することにより判定画像データを生成し、生成された判定画像データを記憶する。
【0119】
判定部480は、サンプルの基板Wの判定画像データおよび検査対象の基板Wの判定画像データに基づいて検査対象の基板Wの表面状態の欠陥の有無を判定する。具体的には、判定部480は、サンプルの基板Wの判定画像データと検査対象の基板Wの判定画像データとの画素ごとの差分を算出し、算出された差分が予め定められた許容範囲内にあるか否かに基づいて欠陥の有無を判定する。欠陥の判定結果が表示部280に表示される。
【0120】
(3)欠陥判定処理
図12は、第2の実施の形態に係る欠陥判定処理のフローチャートである。欠陥判定処理においては、
図11の制御装置400は、まず欠陥がないサンプルの基板Wの判定画像データを生成する(ステップS21)。次に、制御装置400は、検査対象の基板Wの判定画像データを生成する(ステップS22)。
【0121】
その後、制御装置400は、サンプルの基板Wの判定画像データおよび検査対象の基板Wの判定画像データに基づいて、検査対象の基板Wの表面状態の欠陥の有無を判定する(ステップS23)。最後に、制御装置400は、判定結果を表示部280に表示し、欠陥判定処理を終了する。ステップS23の処理で欠陥があると判定された基板Wは、精密検査または再生処理の対象となる。
【0122】
上記のステップS21,
S22において、サンプルの基板Wおよび検査対象の基板Wの各々の判定画像データは、以下に説明する判定画像データ生成処理により生成される。
【0123】
図13は、判定画像データ生成処理のフローチャートである。判定画像データ生成処理が開始されると、
図11の補正情報生成部450は、帯状データ補正部471に補正情報が記憶されているか否かを判定する(ステップS31)。帯状データ補正部471に補正情報が記憶されている場合、補正情報生成部450は後述するステップS35の処理に進む。一方、帯状データ補正部471に補正情報が存在しない場合、
図11の制御部401および第1の線状データ生成部451は、投光部220、撮像部240、基板保持装置250および移動部260を制御し、基板Wを第1の向きで保持しつつ基板W上の膜の全体を撮像することにより第1の線状データを生成する(ステップS32)。
【0124】
次に、
図11の制御部401および第2の線状データ生成部452は、投光部220、撮像部240、基板保持装置250および移動部260を制御し、基板Wを第2の向きで保持しつつ基板W上の膜の全体を撮像することにより第2の線状データを生成する(ステップS33)。
【0125】
次に、
図11の補正情報算出部453は、生成された第1の線状データと第2の線状データとの差分に基づいて補正情報を生成し、生成された補正情報を帯状データ補正部471に記憶させる(ステップS34)。
【0126】
次に、
図11の制御部401および面状データ生成部461は、投光部220、撮像部240、基板保持装置250および移動部260を制御し、基板Wを所定の向きで保持しつつ基板W上の膜の全体を撮像することにより面状データを生成する(ステップS35)。また、
図11の帯状データ生成部472は、面状データ生成部461により生成された面状データから複数の帯状データを生成する(ステップS36)。
【0127】
次に、
図11の帯状データ補正部471は、記憶された補正情報に基づいて生成された各帯状データを補正し、補正後の複数の帯状データを合成することにより判定画像データを生成し、生成された判定画像データを記憶する(ステップS37)。それにより、判定画像データ生成処理が終了する。
【0128】
(4)第2の実施の形態の効果
上記の基板検査装置300においては、サンプルの基板Wおよび検査対象の基板Wについて、それぞれ判定画像データが生成される。判定画像データの生成時には、基板Wの一面の画像の補正に用いられる補正情報を生成するために、基板Wの一面の第1の線状領域LA1の画像を表す第1および第2の線状データが生成される。第1の線状データと第2の線状データとの差分を示す情報が補正情報として算出される。
【0129】
面状データの生成時には、基板保持装置250により基板Wが保持された状態で、投光部220の下方を基板保持装置250が前後方向に移動するときにラインセンサ241から出力される検出信号に基づいて基板Wの一面の画像を表す面状データが生成される。生成された面状データから、膜の複数の帯状領域BAの画像を表す複数の帯状データが生成される。
【0130】
補正情報に基づいて各帯状データが補正される。それにより、補正後の各帯状データにおける各位置に対応する値は、ラインセンサ241に平行な左右方向における位置に依存した変動分を有しない。したがって、基板Wの一面上の各位置の画像を表す判定画像データが正確に算出される。その結果、算出された判定画像データに基づいて基板Wの表面状態の欠陥の有無を高い精度で判定することが可能になる。
【0131】
[3]第3の実施の形態
第3の実施の形態に係る基板処理装置は、第1の実施の形態に係る膜厚測定装置200および第2の実施の形態に係る基板検査装置300を備える。
図14は、第3の実施の形態に係る基板処理装置の全体構成を示す模式的ブロック図である。
図14に示すように、基板処理装置100は、露光装置900に隣接して設けられ、第1の実施の形態に係る膜厚測定装置200および第2の実施の形態に係る基板検査装置300を備えるとともに、制御装置110、搬送装置120、塗布処理部130、現像処理部140および熱処理部150を備える。
【0132】
制御装置110は、例えばCPUおよびメモリ、またはマイクロコンピュータを含み、搬送装置120、塗布処理部130、現像処理部140および熱処理部150の動作を制御する。また、制御装置110は、基板W上の膜の厚さを測定するための指令を膜厚測定装置200に与える。さらに、制御装置110は、基板Wの一面の表面状態を検査するための指令を基板検査装置300に与える。
【0133】
搬送装置120は、基板Wを塗布処理部130、現像処理部140、熱処理部150、膜厚測定装置200、基板検査装置300および露光装置900の間で搬送する。
【0134】
塗布処理部130は複数の処理ユニットPUを含む。処理ユニットPUには、スピンチャック131により回転される基板Wにレジスト膜を形成するための処理液を供給する処理液ノズル132が設けられる。各処理ユニットPUは、未処理の基板Wの一面上にレジスト膜を形成する(塗布処理)。レジスト膜が形成された塗布処理後の基板Wには、露光装置900において露光処理が行われる。
【0135】
現像処理部140は、露光装置900による露光処理後の基板Wに現像液を供給することにより、基板Wの現像処理を行う。熱処理部150は、塗布処理部130による塗布処理、現像処理部140による現像処理、および露光装置900による露光処理の前後に基板Wの熱処理を行う。
【0136】
膜厚測定装置200は、塗布処理部130により基板W上のレジスト膜の厚さを測定(膜厚測定処理)する。例えば、膜厚測定装置200は、塗布処理部130による塗布処理後かつ露光装置900による露光処理前の基板Wについて、基板W上のレジスト膜の厚さを測定する。
【0137】
基板検査装置300は、塗布処理部130によりレジスト膜が形成された後の基板Wの検査(欠陥判定処理)を行う。例えば、基板検査装置300は、塗布処理部130による塗布処理後かつ露光装置900による露光処理前の基板Wの検査を行う。
【0138】
搬送装置120は、欠陥がないと判定された基板Wを露光装置900に搬送する。一方、搬送装置120は、欠陥があると判定された基板Wを露光装置900に搬送しない。それにより、欠陥が存在する基板Wに露光処理が行われることが防止される。
【0139】
なお、基板検査装置300は、塗布処理部130による塗布処理後かつ露光装置900による露光処理後かつ現像処理部140による現像処理後の基板Wの検査を行ってもよい。あるいは、基板検査装置300は、塗布処理部130による塗布処理後かつ露光装置900による露光処理後かつ現像処理部140による現像処理前の基板Wの検査を行ってもよい。
【0140】
上記の基板処理装置100においては、塗布処理部130には、基板Wに反射防止膜を形成する処理ユニットが設けられてもよい。この場合、熱処理部150は、基板Wと反射防止膜との密着性を向上させるための密着強化処理を行ってもよい。また、塗布処理部130には、基板W上のレジスト膜を保護するためのレジストカバー膜を形成する処理ユニットが設けられてもよい。
【0141】
基板Wの一面に上記の反射防止膜およびレジストカバー膜が形成される場合には、各膜の形成の後に膜厚測定装置200により当該膜の厚さが測定されてもよい。また、各膜の形成の後に基板検査装置300により基板Wの検査が行われてもよい。
【0142】
本実施の形態に係る基板処理装置100は、第1の実施の形態に係る膜厚測定装置200を備えるので、基板W上のレジスト膜、反射防止膜、レジストカバー膜等の膜の厚さを高い精度で測定することが可能である。それにより、測定結果に基づいて基板Wに対するより精密な処理を行うことが可能になる。
【0143】
また、基板処理装置100は、第2の実施の形態に係る基板検査装置300を備えるので、基板Wの表面状態の欠陥の有無を高い精度で判定することが可能である。それにより、判定結果に基づいて基板Wの処理不良および歩留まりの低下を抑制することができる。
【0144】
[4]他の実施の形態
(1)第1の実施の形態に係る膜厚測定装置200においては、撮像部240の出力に基づいて画像データが生成されるごとに当該画像データについて厚さ変換処理が行われるが、本発明はこれに限定されない。第1の線状データ、第2の線状データおよび面状データの生成時に各データについて厚さ変換処理を行わなくてもよい。この場合、膜厚データは基板W上の膜の各位置の厚さに対応する値として膜の各位置の画像を示す値を含むことになる。
【0145】
上記のように、厚さ変換処理を行わないことにより、ラインセンサ241から出力される検出信号に基づいて、第1の線状データ、第2の線状データおよび面状データを容易に生成することができる。さらに、膜厚データに基づいて、基板W上の膜の画像を表示部280に表示させることも可能になる。
【0146】
なお、膜厚測定装置200においては、膜厚データの生成時にのみ当該膜厚データについて厚さ変換処理が行われてもよい。
【0147】
(2)第2の実施の形態に係る基板検査装置300においては、検査対象の基板Wについて欠陥判定処理が行われるごとにサンプルの基板Wの判定画像データが生成されるが、本発明はこれに限定されない。共通の表面構造を有する複数の検査対象の基板Wについて欠陥判定処理を行う場合には、予めサンプルの基板Wの判定画像データを生成し、生成された判定画像データを制御装置400内に記憶してもよい。あるいは、サンプルの基板Wの判定画像データとして予め定められた設計データを制御装置400内に記憶してもよい。この場合、2枚目以降の検査対象の基板Wの欠陥判定処理を行う際には、ステップS21の処理を省略することができる。したがって、欠陥判定処理の効率が向上する。
【0148】
(3)第3の実施の形態に係る基板処理装置100は、第1の実施の形態に係る膜厚測定装置200および第2の実施の形態に係る基板検査装置300を備えるが、膜厚測定装置200および基板検査装置300のうちいずれか一方のみを備えてもよい。
【0149】
(4)第1および第2の実施の形態において、膜厚測定装置200および基板検査装置300には反射部230が設けられるが、本発明はこれに限定されない。撮像部240が基板Wからの光を直接受光するように構成される場合には、反射部230が設けられなくてもよい。
【0150】
(5)第1および第2の実施の形態において、移動部260は、投光部220、反射部230および撮像部240に対して基板保持装置250を前後方向に移動させるように構成されるが、本発明はこれに限定されない。移動部260は、撮像部240の撮像領域が基板Wの一面の全体を通過するように、基板保持装置250に対して投光部220、反射部230および撮像部240を前後方向に移動させるように構成されてもよい。
【0151】
[5]請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。
【0152】
上記の実施の形態では、膜厚測定装置200が膜厚測定装置の例であり、基板保持装置250および制御部401が保持部の例であり、撮像部240および制御部401が撮像部の例であり、移動部260および制御部401が移動部の例である。
【0153】
また、補正情報生成部410,450が補正情報生成部の例であり、膜厚測定部420が膜厚測定部の例であり、膜厚補正部430が膜厚補正部の例であり、第1の線状データ生成部411,451が第1の線状データ生成部の例であり、第2の線状データ生成部412,452が第2の線状データ生成部の例であり、補正情報算出部413,453が補正情報算出部の例である。
【0154】
また、面状データ生成部421,461が面状データ生成部の例であり、帯状データ生成部432,472が帯状データ生成部の例であり、帯状データ補正部431,471が帯状データ補正部の例であり、基板検査装置300が基板検査装置の例であり、画像取得部460が画像取得部の例であり、画像補正部470が画像補正部の例であり、判定部480が判定部の例である。
【0155】
請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。